説明

フラックスゲート型磁気センサ

【課題】検出コイル信号の真のピーク値に対応するデジタル・ピーク値を求めることにより、入力磁界の測定精度の向上を図り、雑音電圧による影響を排除したフラックスゲート型磁気センサを提供する。
【解決手段】磁気コア1a、励磁コイル1b及び検出コイル1cでなる磁界検出部1と、励磁電圧Vを出力する励磁回路2と、交流増幅器3a、ピーク・タイミング検出回路3bおよびA/D変換器3cを含む実ピーク値検出部3と、クロック発生器4と、検出コイル信号104のデジタル・ピーク値107を検波して、入力磁界Hinを示す磁気値109を出力するデジタル処理部5とを備えて構成される。ピーク・タイミング検出回路3bは、検出コイル信号104の真のピーク値が生じるピーク・タイミングを信号106で抽出し、A/D変換器3cは、該ピーク・タイミングにおける真のデジタル・ピーク値107を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気の測定などに用いられるフラックスゲート型磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフラックスゲート型磁気センサは、地磁気などの外部磁界を入力磁界として受け、その入力磁界の大きさを検出する磁界検出部を備える。この磁界検出部は、磁気コアと、この磁気コアに巻回され、磁気コアを励磁する励磁コイルと、磁気コアに巻回され、磁気コア内の磁気変動に応じて誘起される電圧を検出する検出コイルとで構成される。磁界検出部からは、磁気コア内の磁界変移に応じて検出コイルに誘起される電圧が検出信号として取り出される。この検出信号のピーク値は入力磁界に比例する関係にある。そこで、入力磁界は、検出信号のピーク値を抽出することにより、検出される。
【0003】
従来のフラックスゲート型磁気センサの例としては、特許文献1(特開2000−338210号公報)に記載のものがある。特許文献1では、回路構成が簡略化され、且つセンサ精度の改善が図られた磁気センサが示されている。図8は、特許文献1に図1として記載された、従来例のフラックスゲート型磁気センサの概略構成を示す図である。図8に示されるように、本従来例は、軟磁性コア21a、励磁コイル21bおよび検出コイル21cを含む磁界検出部21と、発振器22と、信号処理部23とを備えて構成される。信号処理部23は交流増幅器23aおよびピーク検出器23bでなる。図8のフラックスゲート型磁気センサでは、発振器22が所定周波数の三角波形状の励振電流を励磁コイル21bに供給している。信号処理部23は、検出コイル21cからの検出信号を交流増幅器23aに受け、交流増幅器23aの出力におけるピーク値をピーク検出器23bで検出し、検出したピーク値を保持し、電圧値Voutとして出力する。電圧値Voutは入力磁界に対応する。
【0004】
この図8の従来のフラックスゲート型磁気センサは、回路構成を簡略化し、且つセンサ精度を改善するための手法として、検出コイル21cにおいて発生する倍周波数の誘導起電圧のピーク値を,ピーク検出器23bにおいて検知している。ピーク検出器23bは図9のピークホールド回路でなる。
【特許文献1】特開2000−338210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のフラックスゲート型磁気センサにおいては、回路構成を簡略化するために、図9に示されるような簡易なピークホールド回路によりピーク検出器を構成している。然しながら、ピーク検出器として、かかるピークホールド回路を使用する場合には、ホールドされている電圧値Voutが、回路内に含まれるキャパシタの自己放電による影響を受けて時間とともに低下する。そこで、ピーク検出器より出力される電圧値Voutを抽出するサンプル・タイミングの如何によっては、電圧値Voutをサンプリングして得たデジタル値は、正確な入力磁界を表さない。特に高温環境下においては、ピークホールド回路内のキャパシタの自己放電による影響が一層顕著となり、入力磁界の検出精度の低下が更に増大する。
【0006】
また、フラックスゲート型磁気センサの実働時においては、磁界検出部および信号処理部を含む電気回路系統に各種の雑音電圧が介在しており、ピークホールド回路を用いるピーク検出器においては、検出コイル21cの誘導起電圧のピーク値以外の雑音電圧値をホールドする誤動作が生じ易く、所期の入力磁界の検出を不可能とする危惧がある。
【0007】
このように、従来のフラックスゲート型磁気センサには、入力磁界の検出精度および雑音の影響の回避に関し、解決するべき課題があった。そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決し、入力磁界の検出精度に優れ、また雑音電圧の影響を受け難いフラックスゲート型磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために本発明は次の手段を提供する。
【0009】
(1)磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、該検出コイルの出力である検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサに設けられ、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路において、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピークに向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなることを特徴とするピーク・タイミング検出回路。
【0010】
(2)磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、該検出コイルの出力である検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサにおいて、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路と、
前記ピーク・タイミング信号で表されるタイミングにおける前記検出コイル信号のピーク値をデジタル値に変換することによりデジタル・ピーク値を生成するA/D変換器と、
前記デジタル・ピーク値を検波し、前記入力磁界の大きさを表す磁気値信号を生成するデジタル処理部と
でなり、
前記ピーク・タイミング検出回路は、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピーク向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなる
ことを特徴とするフラックスゲート型磁気センサ。
【0011】
(3)磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサにおいて、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路と、
前記ピーク・タイミング信号で表されるタイミングにおける前記検出コイル信号のピーク値をデジタル値に変換することによりデジタル・ピーク値を生成するA/D変換器と、
前記デジタル・ピーク値を検波し、前記入力磁界の大きさを表すデジタル形式の磁気値信号を生成するデジタル処理部と、
前記磁気信号をアナログ信号に変換し、該アナログ信号を負帰還信号として前記検出コイルに出力するD/A変換器と
でなり、
前記ピーク・タイミング検出回路は、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピーク向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなる
ことを特徴とするフラックスゲート型磁気センサ。
【0012】
(4)前記デジタル処理部は、
前記励磁電圧に同期し、該励磁電圧の繰返し周波数の2倍の繰返し周波数のクロック信号で前記デジタル・ピーク値の同期検波をする検波器と、
前記検波器の出力の低周波成分だけを通過させた信号を前記磁気値信号として出力する低域フィルタと
でなることを特徴とする前記(2)に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
【0013】
(5)前記デジタル処理部は、
前記励磁電圧に同期し、該励磁電圧の繰返し周波数の2倍の繰返し周波数のクロック信号で前記デジタル・ピーク値の同期検波をする検波器と、
前記検波器の出力を積分する積分器と
でなることを特徴とする前記(3)に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
【発明の効果】
【0014】
本発明のピーク・タイミング検出回路は、検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するために、第1の微分器と、ゼロクロス検出回路と、第2の微分器と、コンパレータ回路と、タイマ回路と、ピーク・タイミング選択回路とを備える。
【0015】
そして、第1の微分器おいて検出コイル信号を微分し、ゼロクロス検出回路において、検出コイル信号の微分値[検出コイル信号微分信号(112)]がゼロになる時点を検出するが、その時点を直ちに検出コイル信号のピーク時点[ピーク・タイミング信号(106)]とするのではなく、検出コイル信号微分信号(112)が雑音により誤った時点にゼロになったとしても、その時点ではピーク・タイミング信号(106)を発生することのないように、励磁コイル信号[励磁コイル電圧(V1b)]の情報を利用し、検出コイル信号の正確なピーク時点を検出するようにしている。
【0016】
検出コイル信号微分信号(112)の雑音により誤った時点にピーク・タイミング信号(106)が発生することを避けるために、第2の微分器と、コンパレータ回路と、タイマ回路と、ピーク・タイミング選択回路とを備える。
【0017】
第2の微分器において、前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成し、
コンパレータ回路において、前記磁気コアの磁気飽和に起因してピーク向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値を予め設定しておき、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成し、
タイマ回路において、前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成し、
ピーク・タイミング選択回路において、前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力する。
【0018】
本発明のピーク・タイミング検出回路は、第2の微分器と、コンパレータ回路と、タイマ回路と、ピーク・タイミング選択回路とをこのように作動させることにより、検出コイル信号が真のピーク値にあるタイミングだけを表すピーク・タイミング信号を生成することができる。
【0019】
本発明のフラックスゲート型磁気センサは、検出コイル信号が真のピーク値にあるタイミングだけを表すピーク・タイミング信号を生成する上記構成のピーク・タイミング検出回路を備え、A/D変換器においてそのタイミングにおける検出コイル信号だけをデジタル化することによりデジタル・ピーク値(107)を生成し、デジタル処理部においてそのデジタル・ピーク値を検波し、入力磁界の大きさを表す磁気値信号を生成する。そこで、本発明のフラックスゲート型磁気センサは、磁気値信号(109)が回路雑音や外来雑音の影響を受け難く、検出コイル信号の正確なピーク値を表わすので、入力磁界を高い精度で測定できる。このフラックスゲート型磁気センサでは、ピークホールド回路を用いないので、高温環境下において入力磁界の検出精度が低下するということはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のフラックスゲート型磁気センサを示すブロック図である。図1に示されるように、第1の実施形態は、磁気コア1a、励磁コイル1bおよび検出コイル1cを含む磁界検出部1と、磁界検出部1に励磁電圧Vを出力する励磁回路2と、実ピーク値検出部3と、クロック発生器4と、実ピーク値検出部3より出力される検出コイル信号のデジタル・ピーク値107を検波して、入力磁界を示す磁気値109を出力するデジタル処理部5とを備えて構成される。実ピーク値検出部3は、交流増幅器3a、ピーク・タイミング検出回路3bおよびA/D変換器3cでなる。抵抗Rは、励磁コイル1bに流れる励磁電流を制限する電流制限抵抗である。
【0021】
図3はピーク・タイミング検出回路3bの構成を示すブロック図であり、図4はデジタル処理部5の構成を示すブロック図であり、図6(a)は第1の実施形態における励磁コイル電圧V1bおよび検出コイル電流I1cを、同図(b)は第2のクロック信号108を、同図(c)は励磁電圧Vをそれぞれ示す。また、図6(d)は、同図(a)における破線で囲んだ部分の時間軸を拡大して示す図である。
【0022】
図7(a)は、図6(d)と同じ信号の波形図であり、図6(a)における破線で囲んだ部分の時間軸を拡大して示す図である。図7(b)〜(e)は、これら励磁コイル電圧V1bおよび検出コイル電流I1cの入力に対応して、ピーク・タイミング検出回路3bの各部で生成される信号を示す。図7(b)は検出コイル信号微分信号112および励磁コイル電圧微分信号113を示す。図7(c)はトリガ信号115を、同図(d)はゲート信号116を、同図(e)はゼロクロス・タイミング信号114をそれぞれ示す。また、図7(b)には閾値117が示してある。以下においては、まず図1、図3、図4、図6および図7を参照して、第1の実施の形態について説明する。
【0023】
図1のフラックスゲート型磁気センサにおいて、クロック発生器4は周波数fの第1のクロック信号105及び周波数2fの第2のクロック信号108(図6(b)参照)を生成する。励磁回路2は、クロック信号105に同期して、矩形波の励磁電圧V(図6(c)参照)を生成し、励磁電圧Vを磁界検出部1に供給する。磁界検出部1において、励磁電圧Vが電流制限抵抗R及び励磁コイル1bの直列回路に印加され、励磁電流I1bが電流制限抵抗R及び励磁コイル1bに流れる。
【0024】
励磁電流I1bは、磁気コア1aに磁界H1bを誘導する。この磁界H1b及び入力磁界Hinとの和(ベクトル和)の磁界Hの変動に応じた誘導電圧が検出コイル1cに誘起される。ここで、Hinは、磁界検出部1に外部から入力された磁界の内で、磁気コア1aの円環平面(図1の紙面に平行な面)内にあり、検出コイル1cの巻回軸方向の成分の強さである。本明細書では、検出コイル1cに誘起された誘導電圧を検出コイル電圧V1cと称する。検出コイル電圧V1cにより、検出コイル電流I1cが検出コイル1cに流れる。励磁コイル電圧V1b及び検出コイル電流I1cの波形は図6(a)及び(d)に示す。図6(d)が、図6(a)における破線で囲んだ部分を、時間軸を拡大した波形図であることは、前述のとおりである。
【0025】
交流増幅器3aの入力インピーダンスは、検出コイル1cのインピーダンスに比べて十分に大きい値の抵抗であるので、検出コイル電圧V1cと検出コイル電流I1cとは比例する。したがって、検出コイル電圧V1cの波形は、図6(a),(d)に示す検出コイル電流I1cの波形と相似である。
【0026】
交流増幅器3aは、検出コイル電圧V1cを所定レベルに増幅し、検出コイル信号104として、ピーク・タイミング検出回路3b及びA/D変換回路3cに供給する。検出コイル信号104は、検出コイル電圧V1cに比例し、ひいては検出コイル電流I1cに比例した信号である。そこで、図6(a)及び(d)では、検出コイル電流I1cの脇のカッコ内に検出コイル電圧V1c及び検出コイル信号104が記載してある。
【0027】
ピーク・タイミング検出回路3bは、検出コイル信号104及び励磁コイル電圧V1bを入力し、検出コイル信号104のピーク値のタイミング(時点)を検出し、そのピーク時点を示すピーク・タイミング信号106を生成する回路である。ピーク・タイミング検出回路3bは、検出コイル信号104を微分し、検出コイル信号微分信号を生成し、検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するタイミングを検出コイル信号104のピーク値のタイミングとして検出し、このタイミングにピーク・タイミング信号106を生成する。ところが、検出コイル信号微分信号は、雑音などの影響を受けるので、必ずしも検出コイル信号104のピーク値のタイミングだけではなく、その他のタイミングでもゼロレベルを交差する。そこで、検出コイル信号104のピーク値のタイミングを確実に検出するために、ピーク・タイミング検出回路3bは、検出コイル信号104だけでなく、励磁コイル電圧V1bをも入力する。
【0028】
A/D変換器3cは、ピーク・タイミング信号106で示される時点の検出コイル信号104をデジタル値に変換し、そのデジタル値を表すデジタル・ピーク値107を生成する。
【0029】
図4は、デジタル処理部5の構成を示すブロック図である。デジタル処理部5は、検波器13と低域フィルタ14により構成される。検波器13は、第1のクロック信号105に対して2倍の周波数2fの第2のクロック信号108でもってデジタル・ピーク値107を同期検波する。低域フィルタ14は、検波器13の検波出力を受け、検波出力における高周波成分を雑音成分として除去し、磁気値109として出力する。低域フィルタ14のカットオフ周波数は、200Hzである。磁気値109は、入力磁界Hinを表す。入力磁界Hinは、磁界検出部1に外部から入力された磁界の内で、磁気コア1aの円環平面(図1の紙面に平行な面)であって、検出コイル1cの巻回軸方向の成分の強さであることは、前述のとおりである。
【0030】
次に、図3を参照し、ピーク・タイミング検出回路3bの構成および作動を詳しく説明する。ピーク・タイミング検出回路3bは、検出コイル信号104のピーク時点を検出し、そのピーク時点を示すピーク・タイミング信号106を生成する回路であり、微分器7,8、ゼロクロス検出回路9、コンパレータ回路10、タイマ回路11及びAND回路12(前述のタイミング選択手段に相当)でなる。
【0031】
微分器7は、検出コイル信号104(図7(a)参照)を微分し、検出コイル信号微分信号112(図7(b)参照)を生成する。図7(b)においては、雑音電圧を含めて各信号が示されている。ゼロクロス検出回路9は、検出コイル信号微分信号112がゼロレベルを横切る時点(ゼロクロス時点)t,tを検出し、ゼロクロス・タイミング信号114(図7(e)を参照)生成する。ゼロクロス・タイミング信号114は、そのゼロクロス時点t,tに正のパルスとなる信号である。検出コイル信号微分信号112がゼロレベルを横切る形態には、検出コイル信号微分信号112がマイナス値からプラス値に推移する形態、および検出コイル信号微分信号112がプラス値からマイナス値に推移する形態がある。
【0032】
微分器8は、励磁コイル電圧V1b(図7(a)を参照)を微分し、励磁コイル電圧微分信号113(図7(b)を参照)を生成する。コンパレータ回路10は、励磁コイル電圧微分信号113のレベルと所定の閾値117とを比較し、励磁コイル電圧微分信号113のレベルが該閾値117(図7(b)を参照)を越えるタイミングにおいて、トリガ信号115(図7(c)を参照)を生成する。
【0033】
励磁電流I1bの増大により磁気コア1aが磁気飽和するとき、及び励磁電圧Vの極性が変化し磁気コア1aが磁気飽和から非飽和になるとき、励磁コイル電圧V1bの絶対値は急激に変動する。検出コイル電圧V1cは、その磁気飽和から僅かな時間内にピークに達する。励磁コイル電圧V1bが急激に変動するとき、励磁コイル電圧微分信号113が急にプラス方向またはマイナス方向に増大する。閾値117は、急に増大しつつある期間であって、ピークに至る僅か(数マイクロ秒)に前の時点における励磁コイル電圧微分信号113のレベルに設定してある。閾値117がこのように設定してあるので、コンパレータ回路10は、励磁コイル電圧微分信号113と閾値117とを比較することにより、励磁コイル電圧微分信号113が急に増大しつつある期間であって、ピークに至る僅かに前の時点を検出できる。
【0034】
コンパレータ回路10は、上述のように、励磁コイル電圧微分信号113と閾値117とを比較し、励磁コイル電圧微分信号113の絶対値が閾値117の絶対値を超えた時点t,tにトリガ信号115(前述の励磁コイル信号微分値急増大信号に相当)を生成する。
【0035】
タイマ回路11は、図7(d)に示されるように、トリガ信号115を所定の遅延時間△tだけ遅延させ、△tだけ遅延した時点に立ち上がる時間幅Tのゲート信号116(図7(d)参照)を生成する。ゲート信号116の立上り時点をトリガ信号115から時間△tだけ遅らせるのは次の理由による。例えば、検出コイル信号微分信号112がトリガ信号115の時点tからマイナス側に急激に増大するとき、検出コイル信号微分信号112は時点tにおいてゼロを交差したとゼロクロス検出回路9が判断し、偽のゼロクロス・タイミング信号を時点tに生成する虞れがある。この偽のゼロクロス・タイミング信号に基づき、ピーク・タイミング信号106が生成されると、図1のフラックスゲート型磁気センサは誤った入力磁界の磁気値109を出力してしまう。このような理由により、ピーク・タイミング検出回路3bには、タイマ回路11に遅延時間△tを設定している。遅延時間△tの適正な値は、交流増幅器3a及び微分器8の応答特性などによって変動するが、通常は1μs〜2μs程度である。
【0036】
ゲート信号116の時間幅Tは、ゼロクロス・タイミング信号114の検出に支障を生じることなく、且つ周辺雑音電圧に対して有効に検出されるように設定される。AND回路12においては、ゼロクロス・タイミング信号114とゲート信号116の入力を受けて両信号の論理積がとられ、ゼロクロス・タイミング信号114はゲート信号116で選択されて、ピーク・タイミング信号106として出力され、A/D変換器3cに入力される。
【0037】
ピーク・タイミング検出回路3bは、上述のように、微分器7およびゼロクロス検出回路9が検出コイル信号104に基づき生成したゼロクロス・タイミング信号114に、真に検出コイル信号104のピーク値のタイミング以外の時点に誤ってパルスが含まれていたとしても、微分器8、コンパレータ回路10及びタイマ回路11が励磁コイル電圧V1bに基づき生成したゲート信号116とゼロクロス・タイミング信号114との論理積をAND回路12で取ることにより、ゼロクロス・タイミング信号114における誤ってパルスを除去する。このピーク・タイミング検出回路3bの作用により、ピーク・タイミング信号106は、検出コイル信号104における真にピーク値のタイミングを表す。
【0038】
図2は、本発明の第2の実施形態のフラックスゲート型磁気センサを示すブロック図である。第2の実施形態は、図1の第1の実施形態の構成に加えて負帰還用のD/A変換器17を備え、また第1の実施形態におけるデジタル処理部5に代えてデジタル処理部6を備える。図1と図2との対比により明らかなように、図2の第2の実施形態が図1の第1の実施形態との相違点は、第2の実施形態がD/A変換器17でなる負帰還ループを備え、のデジタル処理部6が図1のデジタル処理部5とは機能上の相違点だけである。すなわち、図2の第2の実施形態は、D/A変換器17でなる負帰還ループが実ピーク値検出部3の入力側に負帰還信号111を供給する点で、図1の第1の実施形態と相違し、デジタル処理部6が図1のデジタル処理部5とは機能上相違する。第2の実施形態は、その他の点では図1の第1の実施形態と構成および作動を同じくする。
【0039】
図5は、この本発明の第2の実施形態におけるデジタル処理部6の構成を示すブロック図である。図3のピーク・タイミング検出回路3bのブロック図並びに図6及び図7の波形図は、この第2の実施形態にそのまま適用される。第2の実施形態において、図2における磁界検出部1、励磁回路2、実ピーク値検出部3およびクロック発生器2の動作は、第1の実施形態と全く同様であり、前述のように、異なる点は、デジタル処理部の機能と、デジタル処理部6出力のデジタル信号である磁気値110をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を負帰還信号111として磁界検出部1の検出コイル1cに負帰還する負帰還ループが設けてあることである。そこで、説明の重複を避けるために、第2の実施形態については、デジタル処理部6の構成及び動作並びに負帰還ループについてのみ説明する。
【0040】
図5に示されるように、第2の実施形態におけるデジタル処理部6は、検波器15および積分器16により構成される。実ピーク値検出部3に含まれるA/D変換器3cより出力されるデジタル・ピーク値107は、検波器15において第2のクロック信号108でもって同期検波され、その検波出力は、積分器16において積分された後に、入力磁界Hinを示す磁気値110として出力される。磁気値110はデジタルデータである。
【0041】
D/A変換器17は、磁気値110をアナログ信号に変換し、アナログ信号を負帰還信号111として検出コイル1cに導く。負帰還信号111は、検出コイル電流I1cがゼロ(零)となるように、負帰還ループを形成する。図2の第2の実施形態では、D/A変換器17でなる負帰還ループが、磁気検出特性の直線性を向上する。
【0042】
なお、以上には、実施の形態を挙げ、本発明を具体的に説明したが、本発明がこれら実施の形態に限られるのもではないことは勿論である。例えば、上述の本実施形態においては、実ピーク値検出部3の内部に、検出コイル電流I1cを増幅する交流増幅器3aが含まれているが、検出コイル電流I1cのレベルがA/D変換器3c及びピーク・タイミング検出回路3bにおける処理に足りるだけの大きさであれば、交流増幅器3aを不要とすることも可能である。
【0043】
また、本発明で言うところの検出コイル信号は、上述の実施の形態における検出コイル電圧V1c若しくは検出コイル電流I1c又は信号104[検出コイル電圧V1cを増幅した信号(図1又は図2の実施の形態では、検出コイル信号104と称されている)]のうちの何れでも差し支えない。検出コイル信号として、検出コイル電圧V1c若しくは検出コイル電流I1c又は信号104のうちの何れを用いても、本発明は実施できる。
【0044】
また、図3を参照して説明したコンパレータ回路に関して、磁気コア1aの磁気飽和に起因し急に増大する途中における励磁コイル電圧微分信号113のレベルに相当する所定の閾値117が予め設定してあり、励磁コイル電圧微分信号113と該閾値117とを比較し、励磁コイル電圧微分信号113が閾値117を越えたとき、トリガ信号115を生成すると説明した。しかしながら、コンパレータ回路の出力は、図7(c)のようなトリガ信号であることは必須ではなく、励磁コイル信号微分信号が急に増大している途中の時点であることを表す信号であれば足りる。そこで、本発明では、コンパレータ回路の出力は励磁コイル信号微分値急増大信号と表現した。
【0045】
更に、図3のピーク・タイミング検出回路3bでは、ゲート信号116で示される所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号114を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号をピーク・タイミング信号106として出力する手段をAND回路で実現した。しかし、該手段は、AND回路に限られず、同様な機能を有するゲート回路その他の回路であって、ゲート信号116で示される時間だけ選択的にゼロクロス・タイミング信号114を通過させる選択手段で実現できるので、本発明では該手段をタイミング選択手段として規定した。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図3】ピーク・タイミング検出回路を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態におけるデジタル処理部を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態におけるデジタル処理部を示すブロック図である。
【図6】検出コイル電流I1cおよび励磁コイル電圧V1b(a)、第2のクロック信号(b)並びに励磁電圧(c)のタイミング図、並びに図(a)の破線で囲んだ範囲の検出コイル電流I1c及び励磁コイル電圧V1bの時間軸を拡大して示すタイミング図である。
【図7】検出コイル信号I1c、励磁コイル電圧V1b、検出コイル信号104、検出コイル信号微分信号112、励磁コイル電圧微分信号113、閾値117、トリガ信号115、ゲート信号116およびゼロクロス・タイミング信号114のタイミング図である。
【図8】従来例を示すブロック図である。
【図9】図8の従来例における交流増幅器およびピーク検出器を示す回路図である。
【符号の説明】
【0047】
1,21 磁界検出部
1a 磁気コア
1b,21b 励磁コイル
1c, 21c 検出コイル
2 励磁回路
3 実ピーク値検出部
3a,23a 交流増幅器
3b ピーク・タイミング検出回路
3c A/D変換器
4 クロック発生器
5,6 デジタル処理部
7,8 微分器
9 ゼロクロス検出回路
10 コンパレータ回路
11 タイマ回路
12 AND回路
13,15 検波器
14 低域フィルタ
16 積分器
17 D/A変換器
21a 軟磁性コア
22 発振器
23 信号処理部
23b ピーク検出器
電流制限抵抗
R1 電流制限抵抗Rの両端電圧
励磁電圧
1b 励磁電流
1b 励磁コイル電圧
1c 検出コイル電流
1c 検出コイル電圧
Hin 入力磁界
104 検出コイル信号
105 第1のクロック信号
106 ピーク・タイミング信号
107 デジタル・ピーク値
108 第2のクロック信号
109,110 磁気値
112 検出コイル信号微分信号
113 励磁コイル電圧微分信号
114 ゼロクロス・タイミング信号
115 トリガ信号
116 ゲート信号
117 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、該検出コイルの出力である検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサに設けられ、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路において、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピークに向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなることを特徴とするピーク・タイミング検出回路。
【請求項2】
磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、該検出コイルの出力である検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサにおいて、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路と、
前記ピーク・タイミング信号で表されるタイミングにおける前記検出コイル信号のピーク値をデジタル値に変換することによりデジタル・ピーク値を生成するA/D変換器と、
前記デジタル・ピーク値を検波し、前記入力磁界の大きさを表す磁気値信号を生成するデジタル処理部と
でなり、
前記ピーク・タイミング検出回路は、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピーク向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなる
ことを特徴とするフラックスゲート型磁気センサ。
【請求項3】
磁気コア、該磁気コアを励磁する励磁コイルおよび入力磁界に対応する信号を検出する検出コイルを備えてなり、検出コイル信号のピーク値に基づき入力磁界を検出するフラックスゲート型磁気センサにおいて、
前記検出コイル信号のピーク値を検出するべきタイミングを表すピーク・タイミング信号を生成するピーク・タイミング検出回路と、
前記ピーク・タイミング信号で表されるタイミングにおける前記検出コイル信号のピーク値をデジタル値に変換することによりデジタル・ピーク値を生成するA/D変換器と、
前記デジタル・ピーク値を検波し、前記入力磁界の大きさを表すデジタル形式の磁気値信号を生成するデジタル処理部と、
前記磁気信号をアナログ信号に変換し、該アナログ信号を負帰還信号として前記検出コイルに出力するD/A変換器と
でなり、
前記ピーク・タイミング検出回路は、
前記検出コイル信号を微分し、検出コイル信号微分信号を生成する第1の微分器と、
前記検出コイル信号微分信号がゼロレベルを交差するゼロクロス・タイミングを検出し、該ゼロクロス・タイミングを表すゼロクロス・タイミング信号を生成するゼロクロス検出回路と、
前記励磁コイルの電圧である励磁コイル信号を微分し、励磁コイル信号微分信号を生成する第2の微分器と、
前記磁気コアの磁気飽和に起因してピーク向けて急に増大する途中における前記励磁コイル信号微分信号の所定レベルに相当する閾値が予め設定してあり、該励磁コイル信号微分信号と該閾値とを比較し、該励磁コイル信号微分信号が該閾値を越えたとき、励磁コイル信号微分値急増大信号を生成するコンパレータ回路と、
前記励磁コイル信号微分値急増大信号に基づき所定時間幅のゲート信号を生成するタイマ回路と、
前記ゲート信号で示される前記所定時間だけ、前記ゼロクロス・タイミング信号を通過させ、通過した該ゼロクロス・タイミング信号を前記ピーク・タイミング信号として出力するピーク・タイミング選択回路と
を備えてなる
ことを特徴とするフラックスゲート型磁気センサ。
【請求項4】
前記デジタル処理部は、
前記励磁電圧に同期し、該励磁電圧の繰返し周波数の2倍の繰返し周波数のクロック信号で前記デジタル・ピーク値の同期検波をする検波器と、
前記検波器の出力の低周波成分だけを通過させた信号を前記磁気値信号として出力する低域フィルタと
でなることを特徴とする請求項2に記載のフラックスゲート型磁気センサ。
【請求項5】
前記デジタル処理部は、
前記励磁電圧に同期し、該励磁電圧の繰返し周波数の2倍の繰返し周波数のクロック信号で前記デジタル・ピーク値の同期検波をする検波器と、
前記検波器の出力を積分する積分器と
でなることを特徴とする請求項3に記載のフラックスゲート型磁気センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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