説明

フラッシュドア及びその芯材

【課題】簡単な構成で強度の維持を図ることができ、資源の有効活用も可能なフラッシュドア及びその芯材を提供する。
【解決手段】フラッシュドア10は、上桟12,下桟14,一対のタテ框16及び18からなる枠体11の表裏面に、表面材20及び22を貼り合わせた中空構造となっており、その内側には、中桟24と複数の芯材26が設けられている。前記芯材26は、対向する長尺の一対の板材の間に、適宜間隔で複数のブロック材が設けられた略梯子状の形状となっており、前記芯材26の高さは、表面材20及び22の内面の間隔Tdと一致するように設定される。該芯材26を内側に設けることにより、フラッシュドア10の強度の向上や変形防止などを図ることができる。また、木質系材料の端材を利用して前記芯材26を形成すると、資源の有効活用も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具などに用いられるフラッシュドア及びその芯材に関し、更に具体的には、強度の向上と資源の有効活用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内装用ドアなどに用いられるフラッシュドア(フラッシュ戸)は、四方に組んだ枠組みの両面に、主として木質系のパネルを貼り合わせた構造となっており、前記パネル間には、強度の向上や、反りなどの変形防止のために、芯材が設けられている。該芯材としては、従来は、木質系のものや、ダンボールなどの紙材で形成されたハニカムコアやダイスコアが用いられている。このような芯材を備えた構造体としては、例えば、以下の特許文献1に記載の建具におけるペーパーコア入り組子芯材や、特許文献2に記載のフラッシュ構造体がある。
【0003】
一方、フラッシュドアのパネルとして木質系板材を用いる場合は、ベニア板などの板材を、ケージ枠に貼って規格寸法に合わせてカットする際に、外周のトリム部が廃材となる。また、建材においては、使用材料を一定期間保管する義務があるが、保管期間を過ぎた材料も廃材として処分される。このような廃材は、焼却処分したり、産業廃棄物として業者に買い取りを依頼したりして処分されることが多い。
【特許文献1】登録実用新案第3052840号公報
【特許文献2】特開平11−81811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のようなペーパーコアを用いる背景技術では、ペーパーコア(例えば、ダンボールなど)を用いるため、コストが高くなるという不都合がある。一方、木質系材料の廃材の処理は、焼却によるダイオキシンの発生や、業者に処理を委託すると費用がかかるなどの不都合がある。従って、フラッシュドアの必要な強度を維持しつつ、資源の有効活用及びコストの低減が同時に実現できれば都合がよい。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、簡単な構成で強度の維持を図ることができるフラッシュドア及びその芯材を提供することである。他の目的は、資源の有効活用が可能なフラッシュドア及びその芯材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のフラッシュドアの芯材は、枠体の表裏にパネルを備えたフラッシュドアの中空部に配置される芯材であって、前記パネルに対して略直交する方向に所定の高さを有する一対の板体と、該一対の板体間に互いに離間するように挟まれた複数のブロック体によって形成されるとともに、前記一対の板体の高さが、前記両パネルの内面の間隔に一致することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記ブロック体が、板状体を複数積層した積層体であることを特徴とする。他の形態は、前記板体及びブロック体が、木質系材料により形成されていることを特徴とする。更に他の形態は、前記板材及びブロック材の少なくとも一方が、木質系材料を所定形状に切り出した後の端材を利用したものであることを特徴とする。
【0008】
本発明のフラッシュドアは、枠体の表裏に貼り合わせたパネル間の中空部に、請求項1〜4のいずれかに記載の芯材を、表裏のパネル内面に固着するように複数配置したことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、枠体の表裏面にパネルを貼り合わせたフラッシュドアの中空部に設ける芯材を、前記パネルに対して略直交する方向に所定の高さを有する一対の板体と、該一対の板体間に互いに離間するように挟まれた複数のブロック体によって形成する。そして、前記一対の板体の高さを、前記両パネルの内面の間隔に一致させることとしたので、簡単な構成でフラッシュドアの強度を維持することができるという効果が得られる。また、前記芯材として、木質系材料を切り出した後の端材を利用することで、資源の有効活用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、図1〜図3を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。本発明は、建具一般に適用可能であるが、本発明では、内装用ドア等に使用されるフラッシュドアに本発明を適用したものである。図1は、本実施例のフラッシュドアを示す図であり、(A)は内部構造を示す正面図,(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た端面図である。図2は、本実施例の芯材を示す図であり、(A)は斜視図,(B)は製造工程の一例を示す分解斜視図,(C)は原料となる木質材の一例を示す正面図,(D)は変形例を示す斜視図である。図3は、本実施例のフラッシュドアの製造工程の一例を示す端面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施例のフラッシュドア10は、上桟12,下桟14,一対のタテ框16及び18によって四方に組まれた枠体11の表裏面に、表面材20及び22を貼り合わせた中空構造となっており、その内側の略中央部分には、中桟24が、前記上桟12及び下桟14と略平行となるように設けられている。前記中桟24の一方の端部(図示の例では、タテ框16側)には、図示しないドアハンドルなどを取り付ける際の補強材となるブロック材25が設けられている。また、前記上桟12と中桟24の間および前記下桟14と中桟24の間には、前記タテ框16及び18と略平行に、それぞれ複数(図示の例では8つ)の芯材26が、中空部23を適宜間隔で仕切るように配置されている。該芯材26は、フラッシュドア10の強度の向上や、反りなどの変形防止のために設けられるものである。
【0013】
前記芯材26は、図2(A)に示すように、対向する長尺の一対の板材28A,29Aの間に、適宜間隔で複数のブロック材30が設けられた略梯子状に形成されている。本実施例では、前記ブロック材30は、図2(A)に示すように、複数の板片30A〜30Eを重ねて接着した積層構造のものを利用している。このような芯材26は、例えば、図2(B)に示すように、前記板材28A,29Aよりも幅の広い板材28及び29の間に、前記ブロック材30もよりも長いブロック材31を適宜間隔で配置して、図示しない接着剤などで貼り合わせ、カットライン32に沿って複数に切断することによって形成される。このときの切断幅は、芯材26の高さTc(図2(A)参照)が、前記表面材20及び22の内面の間隔Td(図1(B)参照)と一致するように設定される。また、本実施例では、前記板材28A,29A,ブロック材30の高さは全て同一となっている。従って、前記カットライン32の幅を変えることにより、フラッシュドア10の厚みに合わせて、芯材26の高さTcを容易に変えることができる。なお、板材28A及び29Aの間隔(すなわち、芯材26の幅)Iaについては、ブロック材31の厚みを変更することにより任意に変更可能である。
【0014】
本実施例では、前記板材28,29や、ブロック材31として、図2(C)に示すように、化粧板40などを図示しないドアなどの規格形状42に合わせて切り落とした後の端材44を、そのまま、あるいは、必要に応じてつぎ合わせ,切断,積層して利用している。このように端材44を利用すると、木質系材料などの廃材を、芯材26として有効活用することができる。
【0015】
次に、図3を参照して、本実施例のフラッシュドア10の製造方法を説明する。まず、図3(A)に示すように、一方の表面材22上に、上桟12,下桟14,タテ框16及び18,中桟24を四方に組んだ枠体11を、接着剤48により接着する。次に、上桟12と中桟24の間、および下桟14と中桟24の間に、それぞれ所定数の芯材26を、図3(B)に示すように前記接着材48により所定間隔で接着する。本実施例では、図1(A)及び(B)に示すように、前記芯材26の幅Iaが、隣接する芯材26同士の間隔Ibとほぼ同じになるように、前記芯材26が前記中空部23に配置されている。そして、図3(C)に示すように、前記芯材26の表面に接着剤48を塗り、他方の表面材20をのせて貼り合わせる。以上の動作を繰り返して、フラッシュドア10の数枚分の材料を重ね、プレス部材46及び50により所定時間(例えば、数十分程度)圧着したのち、必要に応じて表面仕上げや、図示しない窓や金具などを取り付けてフラッシュドア10を完成させる。
【0016】
本実施例では、前記フラッシュドア10を構成する各部の材料として、例えば、上桟12,下桟14,タテ框16及び18,中桟24としては、単板積層材が用いられ、表面材20及び22としては、MDFオレフィン化粧合板(厚み約2.5〜4mm)が用いられる。また、芯材26としては、LVL(木質単板積層材)、ムク材とMDF合板の接着品が用いられ、接着剤48としては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系のものが用いられる。むろん、前記材料は一例であり、公知の各種の材料が適用可能である。また、フラッシュドア10の外形寸法は、例えば、高さ2085mm、幅796mm、厚み35mmに設定されており、前記芯材26は、上桟12と中桟24の間、および下桟14と中桟24の間に、それぞれ7本ずつ設けられている。
【0017】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)一対の表面材20及び22間の中空部23に、略梯子状の複数の芯材26を設けたため、強度の維持や変形防止などに優れたフラッシュドア10が得られる。
(2)前記芯材26を木質系材料で形成することとしたので、所定形状・寸法の材料を切り出した後の木質系材料の端材44などを利用することができ、資源の有効活用とともに、コストの低減を図ることができる。
(3)幅広の板材28,29の間に長尺のブロック材31を適宜間隔で配置して貼り合わせ、カットライン32に沿って切断して芯材26を形成することとしたので、前記カットライン32間の幅を変更することにより、フラッシュドア10の厚みに自在に対応することができる。
【0018】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した各部の形状,寸法,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、芯材26を構成する材料として、木質系材料を所定形状に切り出した後の端材を利用することとしたが、これも一例であり、端材以外の材料を用いるようにしてもよいし、木質系以外の材料を用いてもよい。
【0019】
(2)前記実施例では、芯材26を、タテ框16及び18と略平行になるように略等間隔に配置したが、これも一例であり、不均等に配置したり、上桟12,下桟14,中桟24との間に隙間が空くように配置したりするなど、必要に応じて適宜変更してよい。また、芯材26の設置数や間隔Ibも必要に応じて適宜変更してよい。更に、芯材26の向きも一例であり、上桟12,下桟14,中桟24と略平行になるように配置してもよいし、これらに対して斜めになるように配置するようにしてもよい。
【0020】
(3)前記実施例では、中桟24を一つ設けることとしたが、必要に応じて二つ以上設けるようにしてもよいし、フラッシュドア10の寸法が小さい場合には、中桟24を省略するようにしてもよい。
【0021】
(4)前記実施例では、芯材26を構成するブロック材30として、複数の板片30A〜30Eを貼り合わせた積層体を利用することとしたが、これも一例であり、図2(D)に示すように、角材などを切断したブロック材52を利用するようにしてもよい。
【0022】
(5)前記実施例で示した芯材26の製造工程およびフラッシュドア10の製造工程は一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
【0023】
(6)前記フラッシュドア10も一例であり、灯り窓を設けたりガラスを嵌め込みしたりしてもよいし、表面材20又は22を、一枚板ではなく複数の板をつぎ合わせて色彩や模様を変えるようにしてもよい。あるいは、ドアの表面に金属様のコーティングを施すようにするなど、必要に応じて適宜デザインを変更してよい。
【0024】
(7)前記実施例では、部屋内の仕切りに適した内装用ドアの例を示したが、本発明のフラッシュドア及びその芯材は、玄関ドアや、クロゼット、家具扉など、引戸式・開き戸式を問わず、公知の各種のフラッシュドア全般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、枠体の表裏面にパネルを貼り合わせたフラッシュドアの中空部に設ける芯材を、前記パネルに対して略直交する方向に所定の高さを有する一対の板体と、該一対の板体間に互いに離間するように挟まれた複数のブロック体によって形成するとともに、前記一対の板体の高さを、前記両パネルの内面の間隔に概略一致させることとした。このため、フラッシュドア用の芯材の用途に適用できる。特に、前記芯材として、木質系材料を切り出した後の端材が利用可能なため、木質系フラッシュドアの用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1のフラッシュドアを示す図であり、(A)は内部構造を示す正面図,(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た端面図である。
【図2】前記実施例1の芯材を示す図であり、(A)は斜視図,(B)は製造工程の一例を示す分解斜視図,(C)は原料となる木質材の一例を示す正面図,(D)は変形例を示す斜視図である。
【図3】前記実施例1のフラッシュドアの製造工程の一例を示す端面図である。
【符号の説明】
【0027】
10:フラッシュドア
11:枠体
12:上桟
14:下桟
16,18:タテ框
20,22:表面材
23:中空部
24:中桟
25:ブロック材
26:芯材
28,28A,29,29A:板材(化粧板)
30,31:ブロック材
30A〜30E:板片
32:カットライン
40:化粧板
42:規格形状
44:端材
46,50:プレス部材
48:接着剤
52:ブロック材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の表裏にパネルを備えたフラッシュドアの中空部に配置される芯材であって、
前記パネルに対して略直交する方向に所定の高さを有する一対の板体と、該一対の板体間に互いに離間するように挟まれた複数のブロック体によって形成されるとともに、
前記一対の板体の高さが、前記両パネルの内面の間隔に一致することを特徴とするフラッシュドアの芯材。
【請求項2】
前記ブロック体が、板状体を複数積層した積層体であることを特徴とする請求項1記載のフラッシュドアの芯材。
【請求項3】
前記板体及びブロック体が、木質系材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフラッシュドアの芯材。
【請求項4】
前記板材及びブロック材の少なくとも一方が、木質系材料を所定形状に切り出した後の端材を利用したものであることを特徴とする請求項3記載のフラッシュドアの芯材。
【請求項5】
枠体の表裏に貼り合わせたパネル間の中空部に、請求項1〜4のいずれかに記載の芯材を、表裏のパネル内面に固着するように複数配置したことを特徴とするフラッシュドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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