説明

フラットケーブルアッセンブリ

【課題】 断線を効果的に防止し得るフラットケーブルアッセンブリを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のフラットケーブルアッセンブリ1は、互いに平行に配列される複数本の電線10と、電線10の両端に連結される一対のコネクタ20A,20Bと、複数本の電線10のうち、一方のコネクタ20Aと、そのコネクタ20Aから他方のコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置とにわたる部位AR1を固定する第1固定部31と、複数本の電線10のうち、第1固定部31から他方のコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置と、他方のコネクタ20Bとにわたる部位AR2を固定する第2固定部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線を効果的に防止し得るフラットケーブルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FPC(Flexible Printed Circuits)と呼ばれるプリント基板が知られている。このFPCは、一般に、フィルム状の絶縁体と、導体層とが積層された構造であり、柔軟性を有している。このため、配線が屈曲した状態となる箇所でFPCが使用されることが多い。例えば、本体部と、その本体部に対して離れる方向又は近づく方向へスライドするスライド部とを電気的に接続する信号線としてFPCが使用されている。
【0003】
一方、複数本の極細同軸ケーブルを互いに平行に配列したフラットケーブルアッセンブリも知られている。このフラットケーブルアッセンブリには、FPCに比べて良好なシールド特性を有している等といった利点がある。このことから、フラットケーブルアッセンブリをFPCに代えて使用したいという要請がある。
【0004】
このようなフラットケーブルアッセンブリとして、複数本の極細同軸ケーブルを可撓性チューブに挿入することで、各極細同軸ケーブルが散らばることを防止するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−192318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に提案されているフラットケーブルアッセンブリの場合、チューブで覆われている分だけフラットケーブルアッセンブリ全体の可撓性は低くなる。このため、フラットケーブルアッセンブリが折れ曲がる場合が一度でもあると、その屈曲部分では曲がり癖が生じて応力が集中し易い状態になってしまう。したがって、特許文献1に開示されているフラットケーブルアッセンブリの場合には、断線する傾向が高くなる。
【0007】
一方、チューブを省略した場合、極細同軸ケーブルの両端がコネクタに連結されただけになるため、屈曲状態では、各々の極細同軸ケーブルが散らばり、これに起因して断線等が生じることがある。
【0008】
そこで、本発明は、ケーブルの散らばりを抑え、断線を効果的に防止し得るフラットケーブルアッセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のフラットケーブルアッセンブリは、互いに平行に配列される複数本の電線と、前記複数本の電線の両端に連結される一対のコネクタと、前記複数本の電線のうち、一方の前記コネクタと、そのコネクタから他方の前記コネクタ側へ所定距離隔てた位置とにわたる部位を固定する第1固定部と、前記複数本の電線のうち、前記第1固定部から前記他方のコネクタ側へ所定距離隔てた位置と、前記他方のコネクタとにわたる部位を固定する第2固定部とを備えることを特徴としている。
【0010】
このようなフラットケーブルアッセンブリによれば、第1固定部及び第2固定部によって各電線の散らばりを抑制することができる。さらに各電線の第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位では、第1固定部及び第2固定部に比べて可撓性を高く保持することができる。このようなフラットケーブルアッセンブリを屈曲させる場合、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位を屈曲させることで、第1固定部及び第2固定部よりも高い可撓性となっているため屈曲した時に曲がり癖が生じ難くなり、応力が集中し易い状態を回避することができる。こうして、ケーブルの散らばりを抑え、断線を効果的に防止し得るフラットケーブルアッセンブリが提供される。
【0011】
また、前記第1固定部と、前記第2固定部との間に設けられ、前記複数本の電線同士を固定する少なくとも1つの補助固定部をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
このようなフラットケーブルアッセンブリによれば、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位を大きく確保しなければならない場合であっても、その部位における電線の散らばりが補助固定部によって抑止される。したがって、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位の大きさにかかわらず、断線を効果的に防止することができる。
【0013】
また、前記補助固定部と前記第1固定部との間、前記補助固定部と前記第2固定部との間、及び、前記補助固定部が2以上となる場合の補助固定部同士の間における前記電線の長手方向に沿った距離は、前記補助固定部における前記電線の長手方向の幅以上とされることが好ましい。
【0014】
このようなフラットケーブルアッセンブリによれば、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位が屈曲状態にあっても、互いに隣り合う補助固定部同士の接触を回避することができる。したがって、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位において屈曲される部位が移動したとしても、その移動を滑らかにすることができる。
【0015】
また、前記補助固定部と前記第1固定部との間、前記補助固定部と前記第2固定部との間、及び、前記補助固定部が2以上となる場合の補助固定部同士の間における前記電線の長手方向に沿った距離は、前記電線が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径以上、かつ、前記曲率半径を2倍した値未満とされることが好ましい。
【0016】
このようなフラットケーブルアッセンブリによれば、当該間の距離が曲率半径以上とされることで、当該間の電線が屈曲可能となるため、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位を滑らかに屈曲させることができる。また、当該間の距離が曲率半径を2倍した値未満とされることで、第1固定部と第2固定部とに挟まれる部位が、屈曲に耐え得る最大限で屈曲された場合であっても、屈曲外側の引張力と屈曲内側の圧縮力との差から電線に生じる応力が補助固定部に過度に加わることを抑制できる。したがって、補助固定部の曲がり癖が生じることを未然に回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ケーブルの散らばりを抑え、断線を効果的に防止し得るフラットケーブルアッセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るフラットケーブルアッセンブリを示す図である。
【図2】図1における1本の極細同軸ケーブルについて長手方向に垂直となる断面を示す図である。
【図3】図1のフラットケーブルアッセンブリがU字状に屈曲された状態で取り付けられときの様子を示す図である。
【図4】図1のフラットケーブルアッセンブリがS字状に屈曲された状態で取り付けられときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るフラットケーブルアッセンブリの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るフラットケーブルアッセンブリを示す図である。図1に示すように、フラットケーブルアッセンブリ1は、複数本の極細同軸ケーブル10と、一対のコネクタ20A及び20Bと、固定部30とを主な構成要素として備える。
【0021】
複数本の極細同軸ケーブル10は、それぞれ同一の構造でなり、互いに平行に配列されて横並びとされる。図2は、図1における1本の極細同軸ケーブルについて長手方向に垂直となる断面を示す図である。図2に示すように、極細同軸ケーブル10は、内部導体11と、内部導体11の外周面を被覆する絶縁部材12と、絶縁部材12の外周面を被覆する外部導体13と、外部導体13を被覆するジャケット14とを有する構成とされる。
【0022】
内部導体11は、極細同軸ケーブル10の芯線であり、例えば、複数の導電性線材の撚り線として形成される。絶縁部材12は、絶縁性樹脂により形成され、外部導体13は、例えば、複数の導電性線材を編み込んだ金属編組により形成される。ジャケット14は、熱可塑性樹脂等の絶縁被覆層により形成される。
【0023】
このような各構成要素を備える極細同軸ケーブル10の直径は、おおむね200μm〜400μmの範囲内とされる。なお、極細同軸ケーブル10の各構成要素(内部導体11、絶縁部材12、外部導体13、ジャケット14)の断面形状がそれぞれ円形状とされているが、それら全部又は一部の構成要素の断面形状が楕円形状又は矩形状などといった円形状以外の形状とされていてもよい。
【0024】
図1に示すように、一方のコネクタ20Aは、複数本の極細同軸ケーブル10の一端と連結され、他方のコネクタ20Bは、複数本の極細同軸ケーブル10の他端と連結されている。これらコネクタ20A及び20Bは、それぞれ、筐体21と、筐体21に固定された接地導体22とを備える。筐体21には、図示しない複数の端子が設けられ、これら端子には、各極細同軸ケーブル10における内部導体11の端部が接続される。接地導体22には、図示しないグランドバーが接続され、このグランドバーには、各極細同軸ケーブル10における外部導体13の一部が接続される。
【0025】
固定部30は、複数本の極細同軸ケーブル10同士を固定するものであり、第1固定部31、第2固定部32及び複数の補助固定部33から成る。
【0026】
第1固定部31は、複数本の極細同軸ケーブル10のうち、一方のコネクタ20Aと、そのコネクタ20Aから他方のコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置とにわたる部位AR1を固定している。第2固定部32は、複数本の極細同軸ケーブル10のうち、第1固定部31から他方のコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置と、コネクタ20Bとにわたる部位AR2を固定している。
【0027】
これら第1固定部31及び第2固定部32は、それぞれ、矩形状でなる一対の接着テープFM1及びFM2を貼り合わせて形成されている。
【0028】
これら接着テープFM1及びFM2は、特に制限されるものではないが、例えば、樹脂製のフィルムの一面に接着剤が塗布されたものや、樹脂製のフィルムの一面に接着剤が塗布され他面に金属層が設けられたものが挙げられる。
【0029】
各補助固定部33は、図1に示すように、それぞれ同形同大でなり、複数本の極細同軸ケーブル10のうち、第1固定部31と第2固定部32とに挟まれる部位AR3に所定間隔ごとに設けられている。この部位AR3は、屈曲対象とされる部位である。以下、この部位AR3は屈曲部位AR3と呼ぶ。
【0030】
補助固定部33は、第1固定部31及び第2固定部32と同様に、矩形状でなる1対の接着テープを貼り合わせて形成されている。
【0031】
補助固定部33の幅Wは、補助固定部33同士の間の距離D以下とされ、この距離Dは、極細同軸ケーブル10が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径以上、かつ、曲率半径を2倍にした値未満とされる。具体的に補助固定部33同士間の距離Dは、AWG規格の42では5mm以上10mm未満、44では3.5mm以上7mm未満、46では2.5mm以上5mm未満とされる。
【0032】
なお、補助固定部33と第1固定部31との間、及び、補助固定部33と第2固定部32との間の距離は、曲率半径以上、かつ、曲率半径を2倍にした値未満であれば、補助固定部33同士の間の距離Dと同じであっても異なっていてもよい。また、第1固定部31の幅W1と、第2固定部32の幅W2とは同じであっても異なっていてもよく、当該幅W1又は幅W2と屈曲部位AR3の距離FDとは同じであっても異なっていてもよい。
【0033】
図3は、図1のフラットケーブルアッセンブリがU字状に屈曲された状態で取り付けられときの様子を示す図である。図3に示すように、板状の本体部50と従属部60とが所定の距離を隔てて互いに対向する状態で配置されている。この従属部60は、本体部50に対向される面50Aに沿って、本体部50から離れる方向DTa又は本体部50に近づく方向DTbへスライド可能になっている。
【0034】
また、本体部50と従属部60との間には、フラットケーブルアッセンブリ1の屈曲部位AR3が、本体部50に対向する従属部60の面60Aに対して直交する方向へU字状に屈曲した状態で配置されている。そして、このフラットケーブルアッセンブリ1の一端側のコネクタ20Aが本体部50の図示しないコネクタに接続されるとともに、他端側のコネクタ20Bが従属部60の図示しないコネクタに接続されている。
【0035】
このフラットケーブルアッセンブリ1における屈曲部位AR3の屈曲幅FWは、補助固定部33同士の間の距離Dを2倍した値と補助固定部33の幅Wとを合算した値以上とされる。また、屈曲部位AR3の距離FDは、従属部60のスライドする長さ(移動量)以上とされる。
【0036】
このような接続状態にあるフラットケーブルアッセンブリ1では、従属部60がスライドすると、そのスライドに応じて屈曲部位AR3も移動する。
【0037】
具体的には、従属部60が本体部50から離れる方向DTaへスライドした場合、屈曲部位AR3のコネクタ20A側にある極細同軸ケーブル10が、スライド量に応じた量だけ、屈曲状態から本体部50の一面50Aと平行な状態へと移行する。一方、屈曲部位AR3のコネクタ20B側にある極細同軸ケーブル10が、スライド量に応じた量だけ、従属部60の一面60Aと平行な状態から屈曲状態へと移行する。
【0038】
これに対し、従属部60が本体部50から近づく方向DTbへスライドした場合、屈曲部位AR3のコネクタ20B側にある極細同軸ケーブル10が、スライド量に応じた量だけ、屈曲状態から従属部60の一面60Aと平行な状態へと移行する。一方、屈曲部位AR3のコネクタ20A側にある極細同軸ケーブル10が、スライド量に応じた量だけ、本体部50の一面50Aと平行な状態から屈曲状態へと移行する。
【0039】
そして、このような移行に伴って、屈曲部位AR3の屈曲頂点TPに位置される極細同軸ケーブル10の部位が変化することになる。
【0040】
上述したように、屈曲部位AR3の屈曲幅FWは、補助固定部33同士の間の距離Dを2倍した値と補助固定部33の幅Wとを合算した値以上とされている。このため、屈曲部位AR3の極細同軸ケーブル10が、屈曲状態から本体部50の一面50A又は従属部60の一面60Aと平行な状態へと移行する際に、当該一面50A又は一面60Aと、屈曲部位AR3に介在する補助固定部33の角との接触が大幅に低減される。したがって、このフラットケーブルアッセンブリ1は、本体部50と従属部60との間で屈曲部位AR3を滑らかに移動することができる。
【0041】
さらに、屈曲部位AR3の距離FDは、従属部60のスライドする長さ(移動量)以上とされているため、屈曲部位AR3の状態移行に伴って、屈曲部位AR3の屈曲頂点TPに、第1固定部31又は第2固定部32が位置されることが未然に回避される。したがって、このフラットケーブルアッセンブリ1は、第1固定部31又は第2固定部32に対して曲がり癖に起因する応力の集中を未然に回避することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のフラットケーブルアッセンブリ1では、互いに平行に配列される複数本の極細同軸ケーブル10のうち、コネクタ20Aと、そのコネクタ20Aから他方のコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置とにわたる部位AR1が第1固定部31により固定されている。また、この第1固定部31からコネクタ20B側へ所定距離隔てた位置と、コネクタ20Bとにわたる部位AR2が第2固定部32により固定されている。
【0043】
このようなフラットケーブルアッセンブリ1は、第1固定部31と第2固定部32とに挟まれる屈曲部位AR3では、第1固定部31及び第2固定部32によって各極細同軸ケーブル10の散らばりを抑制しつつも、屈曲部位AR3では、第1固定部31及び第2固定部32に比べて可撓性を高く保持することができる。したがって、このフラットケーブルアッセンブリ1を屈曲すると、第1固定部31と第2固定部32とに挟まれる部位は屈曲するものの曲がり癖が生じ難くなり、応力が集中し易い状態を回避することができる。
【0044】
また、本実施形態のフラットケーブルアッセンブリ1では、第1固定部31と第2固定部32との間に、各極細同軸ケーブル10同士を固定する複数の補助固定部33が設けられている。このため、屈曲部位AR3を大きく確保しなければならない場合であっても、その屈曲部位AR3における極細同軸ケーブル10の散らばりが補助固定部33によって抑止される。したがって、屈曲部位AR3の大きさにかかわらず、断線を効果的に防止することができる。
【0045】
このことは、上述した本体部50と従属部60等のように、フラットケーブルアッセンブリ1の接続対象となる部材間が相対的に移動するものとなる場合、特に有用となる。このような場合、部材間の相対的な移動に伴って、極細同軸ケーブル10での屈曲位置が変化するため、その移動量に応じた分だけ屈曲部位AR3の距離FDを大きく確保する必要が生じるからである。
【0046】
さらに、本実施形態のフラットケーブルアッセンブリ1では、補助固定部33の幅Wは、補助固定部33同士の間の距離D以下とされている。このため、屈曲部位AR3が屈曲状態にあっても、互いに隣り合う補助固定部33同士の接触が大幅に低減される。したがって、このフラットケーブルアッセンブリ1は、屈曲部位AR3が移動したとしても、その移動を滑らかにすることができる。
【0047】
さらに、本実施形態のフラットケーブルアッセンブリ1では、補助固定部33同士の間の距離Dは、極細同軸ケーブル10が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径以上、かつ、曲率半径を2倍にした値未満とされている。
【0048】
補助固定部33同士の間の距離Dが曲率半径以上とされることで、屈曲部位AR3における補助固定部33同士の間の極細同軸ケーブル10が屈曲可能な状態になる。また、補助固定部33同士の間の距離Dの距離が曲率半径を2倍した値未満とされることで、屈曲に耐え得る最大限で屈曲部位AR3が屈曲された場合であっても、屈曲外側の引張力と屈曲内側の圧縮力との差から電線に生じる応力が補助固定部33に過度に加わることを抑制できる。したがって、補助固定部33の曲がり癖が生じることを未然に回避することができる。
【0049】
以上、本発明に係るフラットケーブルアッセンブリの好適な実施形態として説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、上述の実施形態では、電線として極細同軸ケーブル10が適用された。しかしながら電線は、例えば、導電性の線材を絶縁層で被覆した絶縁線を適用可能である。
【0051】
また、上述の実施形態では、第1固定部31、第2固定部32及び各補助固定部33が、一対の接着テープFM1及びFM2を貼り合わせて形成された。しかしながら第1固定部31、第2固定部32及び各補助固定部33の形成手法はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1固定部31、第2固定部32又は各補助固定部33を樹脂により成型する手法や、ホットメルトを塗布した後に冷却することにより硬化させる手法が適用可能である。なお、第1固定部31と、第2固定部32と、各補助固定部33との形成手法がそれぞれ異なっていてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、第1固定部31及び第2固定部32における極細同軸ケーブル10の一側面全体と、他端面全体とが固定されたが、一部が固定されていてもよい。例えば、極細同軸ケーブル10の長手方向に沿って極細同軸ケーブル10同士を縞状に固定するようにしてもよい。また、一側面及び他端面全体をメッシュ状に固定することが可能である。このようにした場合、各極細同軸ケーブル10の散らばりを防止しながらも、側面全体を固定する場合に比べて可撓性を向上させることができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、屈曲部位AR3に設けられる補助固定部33が4つとされたが、5つ以上であっても良く、3つ以下であってもよい。なお、補助固定部33が省略されていてもよい。ただし、補助固定部33が省略される場合、屈曲部位AR3の距離FDが大きくなるほど、各極細同軸ケーブル10が散らばる傾向が高くなる。したがって、屈曲部位AR3の距離FDの大きさにかかわらず、極細同軸ケーブル10の散らばりを防止する観点では、補助固定部33を有していたほうが望ましい。
【0054】
また、上述の実施形態では、屈曲部位AR3に対して補助固定部33が所定間隔ごとに設けられたが、任意の間隔であってもよい。なお、補助固定部33の曲がり癖に起因する応力の集中を未然に回避する観点では、補助固定部33同士の間の距離Dを極細同軸ケーブル10が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径を2倍にした値未満とする条件を充足することが望ましい。また、屈曲部位AR3を滑らかに移動させる観点では、補助固定部33同士の間の距離Dを、極細同軸ケーブル10が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径以上とする条件を充足することが望ましい。
【0055】
また、上述の実施形態では、補助固定部33の形状が矩形状とされた。しかしながら補助固定部33の形状はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、楕円状、メッシュ形状又は線状など、様々な形状が適用可能である。ただし、屈曲部位AR3を滑らかに移動させる観点では、極細同軸ケーブル10の長手方向に直交する方向の仮想線を基準として左右対称であることが好ましい。
【0056】
また、上述の実施形態では、補助固定部33が、極細同軸ケーブル10の長手方向に対して直交する方向に沿って設けられたが、当該長手方向に対して斜めに設けられていてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、本体部50と従属部60との間にフラットケーブルアッセンブリ1がU字状に屈曲した状態で配置された。しかしながら屈曲状態はU字状に限るものではない。例えば、図4に示すように、S字状に屈曲されても良く、U字又はS字以外の形状に屈曲されていてもよい。なお、本体部50と従属部60との間で屈曲部位AR3を滑らかに移動させる観点では、屈曲幅FWが補助固定部33同士の間の距離Dを2倍した値と補助固定部33の幅Wとを合算した値以上とされることが望ましい。また、第1固定部31又は第2固定部32に対して曲がり癖に起因する応力の集中を未然に回避させる観点では、屈曲部位AR3の距離FDが従属部60のスライドする長さ(移動量)以上とされることの双方又は一方を充足していることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、互いに離れる方向又は近づく方向へ相対的に移動可能な部品同士を電気的に接続するものとして利用可能性がある。
【符号の説明】
【0059】
1・・・フラットケーブルアッセンブリ
10・・・極細同軸ケーブル
11・・・内部導体
12・・・絶縁部材
13・・・外部導体
14・・・ジャケット
20A、20B・・・コネクタ
21・・・筺体
22・・・接地導体
30・・・固定部
31・・・第1固定部
32・・・第2固定部
33・・・補助固定部
50・・・本体部
60・・・従属部
AR3・・・屈曲部位
FM1、FM2・・・接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配列される複数本の電線と、
前記複数本の電線の両端に連結される一対のコネクタと、
前記複数本の電線のうち、一方の前記コネクタと、そのコネクタから他方の前記コネクタ側へ所定距離隔てた位置とにわたる部位を固定する第1固定部と、
前記複数本の電線のうち、前記第1固定部から前記他方のコネクタ側へ所定距離隔てた位置と、前記他方のコネクタとにわたる部位を固定する第2固定部と
を備えることを特徴とするフラットケーブルアッセンブリ。
【請求項2】
前記第1固定部と、前記第2固定部との間に設けられ、前記複数本の電線同士を固定する少なくとも1つの補助固定部
を備えることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブルアッセンブリ。
【請求項3】
前記補助固定部における前記電線の長手方向の幅は、前記補助固定部と前記第1固定部との間、前記補助固定部と前記第2固定部との間、及び、前記補助固定部が2以上となる場合の補助固定部同士の間における前記電線の長手方向に沿った距離以下とされる
を備えることを特徴とする請求項2に記載のフラットケーブルアッセンブリ。
【請求項4】
前記補助固定部と前記第1固定部との間、前記補助固定部と前記第2固定部との間、及び、前記補助固定部が2以上となる場合の補助固定部同士の間における前記電線の長手方向に沿った距離は、前記電線が屈曲に耐え得るとして許容される曲率半径以上、かつ、前記曲率半径を2倍した値未満とされる
ことを特徴とする請求項2に記載のフラットケーブルアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27265(P2013−27265A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162807(P2011−162807)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】