説明

フラーレン誘導体及びそれを用いた光電変換素子

【課題】高いLUMOエネルギーとそれに基づく高い開放端電圧を発揮するとともに、ポリマーへの相溶性が高く電荷移動度ならびに電荷分離能に優れた、フラーレン核に近接した電子供与性基を有するフラーレン誘導体を提供する。
【解決手段】フラーレンC60又はC70にフラーレン核から2結合離れた位置に電子供与性置換原子を少なくとも1個配置した置換基を表すDonor−Subおよび、水素、Donor−Sub、合計炭素数1以上20以下のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ置換アルキル基、アルコキシ置換アルコキシ基、アルキルチオ置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ置換アルキルチオ基、アルコキシ置換アルキルチオ基、ベンジル基またはフェニル基のいずれかを備えたフラーレン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン誘導体及びそれを用いた光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜太陽電池は、有機半導体を用いた全固体型の薄膜太陽電池であり、大面積化や安価な製造法、軽量かつ柔軟性に富む太陽電池が実現できると期待されている。しかしながら実用化のためにはその光電変換効率の大幅な向上が課題であり、近年欧米を中心に研究開発が活発化している。
フラーレン誘導体は、電子受容性の高い有機半導体材料であり、有機光電変換素子(有機太陽電池、光センサー等)への応用が期待されている。有機薄膜太陽電池におけるフラーレン誘導体としては、フェニル基と酪酸エステル基をメチレンで架橋したメタノフラーレン(フェニルC61ブチリックアシッドメチルエステル;PCBM)が広く知られており、このPCBMと共役系高分子ポリ(3−ヘキシルチオフェン);P3HTとの混合活性層からなるバルクヘテロ接合構造の有機薄膜太陽電池において、5%程度のエネルギー変換効率が達成されている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
エネルギー変換効率は
変換効率(η)=開放端電圧(VOC)× 短絡電流(JSC)× 曲線因子(FF)
の式で表わされる。
式に見られるように、開放端電圧を上昇させることは変換効率の増大に大きく寄与する。また、開放端電圧はドナーのHOMO(最高占有分子軌道)とアクセプターのLUMO(最低非占有分子軌道)のエネルギー差と強く相関することが知られており(非特許文献3)、アクセプター材料のLUMOエネルギーを上昇させることが開放端電圧の増大につながる。具体的には、Blomらはフェニル酪酸エステル基を二つ置換したビスメタノフラーレン(bisPCBM)において、PCBM比で約100meVのLUMOエネルギーの上昇(第一還元電位測定による)に対し、0.15Vの開放端電圧の増大および光電変換効率が1.2倍となることを報告している(非特許文献4)。
【0004】
これまでアクセプター材料のLUMOエネルギーレベルに言及した例としては、非特許文献5においてPCBMより高いLUMOエネルギーを有するアクセプターが設計されているが、P3HTとのデバイスでは0.65Vと開放端電圧の大幅な向上とは見られていない。
一方、非特許文献6では、PCBMのフェニル基に置換基を入れたメタノフラーレン誘導体に対し開放端電圧との相関を調べているが、これらの化合物は置換基とフラーレン核がメチレンブリッジを介して置換されたメタノフラーレン誘導体構造であるため、置換基の効果がフラーレン核に対して間接的であり、LUMOエネルギーの上昇には限界がある。
このように、これらの報告は総じてより高い開放端電圧を得る指針としては不十分であり、この問題の解決は不充分であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.R-Reyes,K.Kim,D.L.Carroll,「アプライド・フィジクス・レターズ(Appl.Phy.Lett.)」,2005年,87巻,083506
【非特許文献2】W.Ma,C.Yang,X.Gong,K.Lee,A.J.Heeger,「アドバンスト・ファンクショナル・マテリアル(Adv.Funct.Mater.)」,2005年,15巻,p.1617−1622
【非特許文献3】M.C.Scharber,D.Muhlbacher,M.Koppe,P.Denk,C.Waldauf,A.J.Heeger,C.J.Brabec,「アドバンスト・マテリアル(Adv.Mater.)」,2006年,18巻,p.789−794
【非特許文献4】M.Lenes,G.A.H.Wetzelaer,F.B.Kooistra, S.C.Veenstra,J.C.Hummelen,P.W.M.Blom,「アドバンスト・マテリアル(Adv.Mater.)」,2008年、20巻,p.2116−2119
【非特許文献5】I.Riedel,N.Martin,F.Giacalone,J.L.Segura,D.Chirvase,J.Parisi,V.Dyakonov,「シン・ソリッド・フィルムズ(Thin Solid Films)」,2004年,43巻,p.451−452
【非特許文献6】F.B.Kooistra,J.Knol,F.Kastenberg,L.M.Popescu,W.J.H.Verhees,J.M.Kroon,J.C.Hummelen,「オーガニック・レターズ(Org.Lett.)」,2007年,9巻,p.551−554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは前記の課題点に鑑み鋭意研究した結果、メチレンブリッジを介さず、フラーレンに直接的に置換基を導入することで、高いLUMOエネルギーを与えるフラーレン誘導体の開発に成功した。本発明による新規フラーレン誘導体を利用することにより、高い開放端電圧を示す光電変換素子を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式(I)で表わされるフラーレン誘導体に関する。
【化1】

【0008】
上記一般式(I)において丸枠付きFLはフラーレンC60又はC70を表し、Donor−Subは、フラーレン核から2結合離れた位置に電子供与性置換原子を少なくとも1個配置した置換基を表し、Rは水素、Donor−Sub、合計炭素数1以上20以下のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ置換アルキル基、アルコキシ置換アルコキシ基、アルキルチオ置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ置換アルキルチオ基、アルコキシ置換アルキルチオ基、ベンジル基またはフェニル基を表し、nは1〜10の整数を表す。
また本発明は、第一還元電位が1160mV以上であることを特徴とする前記記載のフラーレン誘導体に関する。
さらに本発明は、電子供与性を有するp型共役高分子とn型のフラーレン誘導体を含むヘテロ接合層を有する光電変換素子において、光電変換層に前記記載のフラーレン誘導体を用いることを特徴とする光電変換素子に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフラーレン誘導体は高い収率で合成することができ、高いLUMOエネルギーを持つことから、高い開放端電圧を示す有機薄膜太陽電池を作製することができるため、有機薄膜太陽電池におけるアクセプター材料として極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は提供されるフラーレン誘導体は一般式(I)で表わされ、フラーレン核近傍に電子供与構造(以下、Donor−Subと記す。)を有することを特徴とする。
【0011】
【化2】

【0012】
上記一般式(I)において丸枠付きFLはフラーレンC60又はC70を表す。
Donor−Subは、フラーレン核から2結合離れた位置に電子供与性置換原子を少なくとも1個配置した芳香環あるいは複素環を有する1価の置換基を表し、Rは水素、Donor−Sub、合計炭素数1以上20以下のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ置換アルキル基、アルコキシ置換アルコキシ基、アルキルチオ置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ置換アルキルチオ基、アルコキシ置換アルキルチオ基、ベンジル基またはフェニル基を表す。Donor−Subおよび置換基Rを何組持つかは特に制限されるものではないが、nは1〜10の整数を示し、1〜6であることが好ましい。
一般式(I)におけるDonor−Subとしては、例えば下記の構造をもつものが挙げられる。
【0013】
【化3】

【0014】
上記一般式において、Rは合計炭素数1以上20以下でアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ置換アルキル基、アルコキシ置換アルコキシ基、アルキルチオ置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ置換アルキルチオ基、アルコキシ置換アルキルチオ基、ベンジル基またはフェニル基を示し、結合の一部に不飽和結合を含んでも分岐構造があっても良い。Rの例としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基とその異性体、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基などを挙げることができる。
これらDonor−Subの具体例としては、下記を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、式中のMeはメチル基、Etはエチル基を表す。
【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
【化8】

【0020】
【化9】

【0021】
【化10】

【0022】
【化11】

【0023】
<フラーレン誘導体の製造方法>
本発明のフラーレン誘導体の合成方法の一例を述べるが、これらの方法に限定されるものではない。すなわち、目的とするフラーレンの前駆体であるボロン酸(実施例中、1a、2a、3aが該当)およびフラーレンC60をロジウム触媒存在下、オルトジクロロベンゼン/水中で、60〜100℃で、1〜12時間加熱する手法(M.Nambo、R.Noyori、K.Itami、J.Am.Chem.Soc.vol.129,2007,p.8080−8081)により、目的のフラーレン誘導体を得ることができる。さらに、得られたフラーレン誘導体をオルトジクロロベンゼン/ベンゾニトリル中、カリウム−tert−ブトキシドを加え、室温〜150℃で有機ハロゲン化物(実施例中、4、5、6が該当)を反応させることにより異なる二種類の置換基を有するフラーレン誘導体を得ることができる。あるいは、酸化フラーレンC60Oをオルトジクロロベンゼン中、0℃においてルイス酸存在下ベンゼン誘導体(実施例中、7a、8aが該当)と反応させることでDonor−subを2つ持つフラーレン誘導体を得ることができる。
【0024】
<フラーレン誘導体のLUMOエネルギーの評価>
本発明のフラーレン誘導体は、一般的なフラーレン誘導体(PCBM)に比べ高いLUMOエネルギーレベルを示す。またLUMOエネルギーが高いほど開放端電圧が高くなる傾向があることが知られている。フラーレン誘導体のLUMOエネルギーの評価については、通常、サイクリックボルタンメトリーによる第一還元電位の測定によって決定、比較することができる。すなわち、第一還元電位が高いフラーレン誘導体ほどLUMOエネルギーレベルが高いことが示唆される。第一還元電位の測定法としては、例えば、テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩のオルトジクロロベンゼン溶液にフラーレン誘導体を溶解させ、ポテンショスタットガルバノスタットによって測定することができる。第一還元電位は、フェロセンの酸化/還元電位(Fc/Fc)を内部基準として、第一還元ピークとその酸化ピークの平均値として求めることができる。本発明のフラーレン誘導体は少なくともPCBMより高い第一還元電位を示すことを特徴とし、少なくとも1160mV(vs Fc/Fc)以上の還元電位を示す。
【0025】
<有機光電変換素子>
次に、本発明のフラーレン誘導体を用いた光電変換素子(有機光電変換素子)について説明する。本発明の光電変換素子としては、例えば、本発明のフラーレン誘導体を電子輸送材料として利用し、適当なホール輸送材料と積層、あるいは混合した光電変換層を有するヘテロ接合型素子などが挙げられる。または、本発明のフラーレン誘導体のみを用いた層を形成してもよい。前記ホール輸送材料としては、低分子色素あるいは高分子化合物が望ましい。
本発明のヘテロ接合型電子デバイスの構造としては、例えば、少なくとも一方が透明または半透明な導電性電極基板と対電極の間に、本発明のフラーレン誘導体とホール輸送材料による光電変換層を有するものが挙げられる。
【0026】
有機光電変換素子の動作機構としては、透明/半透明の電極から入射した光エネルギーが有機半導体材料からなる光電変換層において吸収され、励起子が発生する。この励起子が電子輸送材料とホール輸送材料のヘテロ接合界面に移動し、電子とホールに分離されることにより、電荷(電子およびホール)が発生する。生じた電荷がそれぞれ電極に移動し、外部に電気エネルギーとして取り出される。
【0027】
有機光電変換素子に用いるホール輸送材料としては、ホール輸送性高分子であるポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリカルバゾールなどを用いることができる。それらの中でも、ホール輸送材料として比較的ホール移動度の高いチオフェン系高分子、またはチオフェン類と他の共役系構造との共重合体をホール輸送材料に用いることが好ましい。
【0028】
光電変換層の作製方法としては、本発明のフラーレン誘導体と前記ホール輸送材料を溶解可能な溶媒に溶解して、基板に塗布する方法などが可能である。用いる溶媒はフラーレン誘導体およびホール輸送材料の両方を溶解し得るものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、二硫化炭素等を挙げることができる。溶液を基板表面に塗布する方法としては、例えば、キャスト、スピンコート、スプレーコート、バーコート等の方法によって実施することができ、上記溶媒を蒸発させることにより、光電変換層を形成することができる。
【0029】
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極層を積層させて製造される。透明基板としては特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック樹脂材料、シリコン等が用いられる。かかる樹脂材料としては、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0030】
また、透明電極の導電層を形成する透明導電膜としては、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステンなどの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化錫や酸化亜鉛に、他の金属元素を微量ドープしたインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイドを用いた膜(NESA)等が好適に用いられる。膜厚は通常、1nm〜50μm、好ましくは10nm〜10μmである。
【0031】
対極は、通常、金、白金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、カリウムなどの金属、あるいはカーボン電極などを用いることができる。対極の作製方法としては、真空蒸着法,電子ビーム真空蒸着法,スパッタリング法等を用いることができる。
【0032】
また、対極金属層を形成する前に、光電変換層と対極金属層の間に付加的な層としてバッファ層を用いることができる。バッファ層に用いられる材料としては、特に制限されないが、例えば、フェナントロリン、バソキュプロインなどの有機物、フッ化リチウム、TiOxなどの無機化合物または無機酸化物等を用いることができる。
【0033】
光電変換素子の評価については、透明電極および対極にそれぞれ電流測定用の端子を取り付け、光照射の有無による電流値の変化について測定を実施すれば良い。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1(フラーレン誘導体1bの合成)]
フラーレン誘導体1b(BDP−H)を以下のように合成した。
【化12】

【0036】
100mLナスフラスコにボロン酸化合物1aを362mg、C60を500mg、触媒[Rh(cod)(MeCN)]BFを26mg入れ(codは1,5−シクロオクタジエンを表す。)、アルゴンガス雰囲気下、オルトジクロロベンゼン(ODCB)50mL、水12.5mLを加え60℃で2時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾過し、減圧下で溶媒を除去した。得られた生成物をリサイクル分取カラムクロマトグラフィー(トルエン溶媒)により分離精製を行い521mgの1bを得た(収率67%)。また、得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSにて同定した。
【0037】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;CDCl)δ7.48(t,1H,8.4Hz),6.95(d,2H,8.6Hz),6.80(s,1H),4.30(br,4H),1.86−1.84(m,4H),1.22(br,26H),0.84(t,6H,6.4Hz);13C−NMR(67.8MHz;CDCl)δ158.64,156.46,155.06,147.32,146.44,146.32,146.22,146.15,146.06,146.05,145.41,145.34,145.15,144.98,144.81,144.78,143.42,142.59,142.51,142.29,142.00,141.75,141.57,141.52,140.07,139.23,137.79,135.51,129.62(H),122.99,106.43(H),70.07(O),64.01,63.28(H),31.86(),29.66(),-29.56(),29.3(),29.26(),26.8(),22.66(),14.11();MALDI−TOF−MS 1110.4[M]
【0038】
[実施例2(フラーレン誘導体2bの合成)]
フラーレン誘導体2b(BPP−H)を以下のように合成した。
【化13】

【0039】
200mLナスフラスコにボロン酸化合物2aを219mg、C60を488mg、触媒[Rh(cod)(MeCN)]BFを26mg入れ、アルゴンガス雰囲気下、オルトジクロロベンゼン60mL、水15mLを加え60℃で4時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾過し、減圧下で溶媒を除去した。得られた生成物をリサイクル分取カラムクロマトグラフィー(トルエン溶媒)により分離精製を行い508mgの2bを得た(収率77%)。また、得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSにて同定した。
【0040】
<分析データ>
H−NMR(300MHz;CDCl/CS)δ7.44(t,1H,8.3Hz),6.90(d,2H,8.4Hz),6.76(s,1H),4.28(br,4H),1.88−1.83(m,4H),1.49−1.31(m,12H),0.89(t,6H,7.2Hz);13C−NMR(75MHz;CDCl/CS)δ158.47,156.24,154.85,147.38,147.19,147.14,146.27,146.20,146.06,145.95,145.92,145.29,145.27,145.03,144.88,144.70,144.67,143.35,142.99,142.49,142.41,142.18,141.89,141.61,141.47,141.42,139.81,139.13,137.66,135.38,129.56(H),122.77,106.33(H),69.91(O),63.83,63.19(H),28.97(),28.85(),22.74(),26.8(),22.66(),14.14();MALDI−TOF−MS 971.2[M]
【0041】
[実施例3(フラーレン誘導体3bの合成)]
フラーレン誘導体3b(BMEP−H)を以下のように合成した。
【化14】

【0042】
200mLナスフラスコにボロン酸化合物3aを412mg、C60を1.0g、触媒[Rh(cod)(MeCN)]BFを53mg入れ、アルゴンガス雰囲気下、オルトジクロロベンゼン80mL、水20mLを加え60℃で3時間攪拌した。反応終了後、不溶物を濾過し、減圧下で溶媒を除去した。得られた生成物をリサイクル分取カラムクロマトグラフィー(トルエン溶媒)により分離精製を行い997mgの3bを得た(収率76%)。また、得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSにて同定した。
【0043】
<分析データ>
H−NMR(300MHz;CDCl/CS)δ7.41(t,1H,8.4Hz),6.89(d,2H,8.4Hz),6.76(s,1H),4.37(br,4H),3.70(t,4H,4.8Hz),3.26(s,6H);13C−NMR(75MHz;CDCl/CS)δ158.15,155.91,154.99,147.29,147.17,147.05,146.24,146.11,145.98,145.87,145.85,145.18,145.10,144.95,144.85,144.61,144.60,143.27,142.92,142.42,142.34,142.12,141.82,141.58,141.39,141.37,139.72,139.03,137.38,135.41,129.58(H),122.98,106.79(H),70.37(O),68.84(O),63.57,62.93(H),58.79();MALDI−TOF−MS 946.0[M]
【0044】
[実施例4(フラーレン誘導体1cの合成)]
フラーレン誘導体1c(BDP−DPM)を以下のように合成した。
【化15】

【0045】
100mLナスフラスコに実施例1で合成した1bを100mg入れ、アルゴンガス雰囲気下、オルトジクロロベンゼン6mL、ベンゾニトリル(PhCN)12mLを加え、120℃においてカリウム−tert−ブトキシド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を0.09mL加え1分間攪拌した。この溶液にα−ブロモジフェニルメタン4の0.5Mオルトジクロロベンゼン溶液を0.18mL添加し5分間攪拌した。この溶液に対し、不溶物の濾過、溶媒の除去操作を行い、リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い55mgの1cを得た(収率50%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、ESI−MSにて同定した。
【0046】
<分析データ>
H−NMR(300MHz;CDCl)δ7.77(d,2H,7.3Hz),7.69(d,2H,7.3Hz),7.33(t,1H,8.3Hz),7.24−7.19(m,4H),7.14(d,2H,7.2Hz),6.81(d,1H,8.4Hz),6.68(d,1H,8.4Hz),5.24(s,1H),4.22(t,2H,6.5Hz),3.93(t,2H,5.8Hz),1.95−1.75(m,2H),1.40(br,4H),1.16(br,26H),0.82−0.77(m,6H);13C−NMR(75MHz;CDCl)δ160.13,159.01,156.75,155.58,154.13,149.25,149.16,149.05,149.01,148.91,148.84,148.56,148.35,147.41,147.35,147.31,147.25,147.19,147.05,146.82,146.66,145.94,145.70,145.64,145.53,145.50,145.45,145.07,145.03,144.99,144.66,144.47,144.44,144.33,144.21,144.18,144.04,143.71,143.61,143.55,143.41,143.33,143.28,143.19,143.16,143.03,142.96,142.77,142.74,142.61,142.27,141.85,141.59,140.97,140.58,140.46,140.24,139.34,138.94,138.08,130.86,130.28(H),129.93(H),129.84(H),128.68(H),128.62(H),128.15(H),127.86(H),127.72(H),126.27(H),116.05,106.53(H),106.20(H),70.47(O),69.75(O),64.98(H),63.86,57.82,32.29(),30.11(),30.03(),29.75(),29.30(),27.12(),27.04(),23.11(),14.33();ESI−MS 1300.4[M+Na]
【0047】
[実施例5(フラーレン誘導体2cの合成)]
フラーレン誘導体2c(BPP−DPM)を以下のように合成した。
【化16】

【0048】
100mLナスフラスコに実施例2で合成した2bを250mg入れ、アルゴンガス雰囲気下オルトジクロロベンゼン25mL、ベンゾニトリル25mLを加え、120℃においてカリウム−tert−ブトキシド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を0.26mL加え1分間攪拌した。この溶液にα−ブロモジフェニルメタン4の0.5Mオルトジクロロベンゼン溶液を0.51mL添加し5分間攪拌した。この溶液に対し、不溶物の濾過、溶媒の除去操作を行い、リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い137mgの2cを得た(収率47%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、ESI−MSにて同定した。
【0049】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;CDCl)δ7.84(d,2H,7.3Hz),7.74(d,2H,7.3Hz),7.39(t,1H,8.4Hz),7.31−7.21(m,6H),6.86(d,1H,8.2Hz),6.74(d,1H,8.2Hz),5.28(s,1H),4.29(t,2H,6.6Hz),3.99(t,2H,6.8Hz),1.94−1.82(m,2H),1.50−1.21(m,10H),0.91−0.80(m,6H);13C−NMR(67.8MHz;CDCl)δ159.74,158.61,156.21,155.04,153.61,148.85,148.68,148.53,148.10,147.96,147.06,147.01,146.98,146.91,146.84,146.71,146.21,146.15,145.73,145.32,145.17,145.12,144.70,144.62,144.30,144.10,143.91,143.85,143.80,143.62,143.34,143.23,143.00,142.96,142.85,142.78,142.68,142.63,142.44,142.38,142.27,141.87,141.48,141.21,140.47,140.13,140.06,139.88,138.98,138.56,137.65,129.95(H),129.60(H),129.37(H),128.26(H),128.19(H),127.42(H),127.29(H),115.9,106.08(H),105.76(H),70.00(O),69.28(O),64.61(H),63.45,57.32,28.95(),28.72(),28.59(),28.47(),22.62(),14.11(),14.05();ESI−MS 1159.2[M+Na]
【0050】
[実施例6(フラーレン誘導体3cの合成)]
フラーレン誘導体3c(BMEP−DPM)を以下のように合成した。
【化17】

【0051】
100mLナスフラスコに実施例3で合成した3bを200mg入れ、アルゴンガス雰囲気下オルトジクロロベンゼン20mL、ベンゾニトリル20mLを加え、120℃においてカリウム−tert−ブトキシド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を0.21mL加え1分間攪拌した。この溶液にα−ブロモジフェニルメタン4の0.5Mオルトジクロロベンゼン溶液を0.42mL添加し5分間攪拌した。この溶液に対し、不溶物の濾過、溶媒の除去操作を行い、リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い118mgの3cを得た(収率50%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、ESI−MSにて同定した。
【0052】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;(CDCO/CS)δ7.75(d,2H,7.3Hz),7.65(d,2H,7.3Hz),7.31(t,1H,8.2Hz),7.22−7.04(m,6H),6.81(d,1H,8.2Hz),6.69(d,1H,8.2Hz),5.19(s,1H),4.33(t,2H,4.8Hz),4.09−4.06(m,2H),3.68(t,2H,4.8Hz),3.35−3.26(m,2H),3.22(s,3H),3.15(s,3H);13C−NMR(67.8MHz;(CDCO/CS)δ159.99,158.47,156.26,155.74,153.86,149.13,149.00,148.95,148.85,148.73,148.43,148.32,147.45,147.37,147.33,147.24,147.20,147.07,146.64,146.30,146.19,145.72,145.62,145.50,145.12,145.03,144.71,144.52,144.29,144.16,143.97,143.73,143.62,143.41,143.33,143.17,143.07,142.78,142.24,141.98,141.89,141.60,140.49,140.40,140.11,140.07,139.56,138.98,138.24,130.46(H),130.16(H),129.88(H),128.67(H),128.54(H),128.08(H),127.84(H),127.68(H),116.56,107.13(H),106.73(H),71.06(O),70.64(O),69.26(O),68.98(O),64.76(H),63.82,59.19(O),57.47;ESI−MS 1135.2[M+Na]
【0053】
[実施例7(フラーレン誘導体1dの合成)]
フラーレン誘導体1d(BDP−Bn)を以下のように合成した。
【化18】

【0054】
100mLナスフラスコに実施例1で合成した1bを100mg入れ、アルゴンガス雰囲気下オルトジクロロベンゼン1mL、ベンゾニトリル8mL、ベンジルブロミド5を0.21mL加え、室温においてカリウム−tert−ブトキシド(0.25M1−メチル−2−ピロリドン溶液)を0.54mL加え30分間攪拌した。不溶物を濾過した後、溶媒を除去し、リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い50mgの1dを得た(収率46%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、FD−MSにて同定した。
【0055】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;CDCl)δ7.46−6.73(m,8H),4.35(s,2H),4.32−4.03(m,4H),2.01−1.91(m,2H),1.73−1.63(m,2H),1.59−1.15(m,28H),0.77(t,6H,6.3Hz);13C−NMR(67.8MHz;CDCl)δ159.71,158.66,157.95,156.87,154.49,149.07,148.78,148.64,148.46,147.95,147.45,147.30,147.20,147.03,146.85,146.65,146.48,146.40,146.21,145.82,145.75,145.57,145.41,145.32,145.23,145.18,144.62,144.53,144.44,144.30,144.24,143.87,143.74,143.51,143.25,143.14,143.00,142.84,142.76,142.72,142.50,142.42,141.98,141.81,141.69,141.52,141.16,139.30,139.24,138.53,138.40,138.33,137.60,137.13,136.62,132.53(H),130.96(H),130.53(H),129.8(H),128.29(H),128.07(H),127.57(H),127.05(H),119.30,116.42,1106.43(H),106.12(H),70.12(O),69.58,68.55,60.24,57.77,48.63(Bn−),47.94(Bn−),32.28(),30.16(),30.12(),30.06(),30.01(),29.98(),29.84(),29.76(),29.73(),29.63(),27.43(),27.09(),23.09(),14.28();FD−MS 1201.8[M]
【0056】
[実施例8(フラーレン誘導体1eの合成)]
フラーレン誘導体1e(BDP−Hex)を以下のように合成した。
【化19】

【0057】
100mLナスフラスコに実施例1で合成した1bを100mg入れ、アルゴンガス雰囲気下ベンゾニトリル20mL、1−ヨードヘキサン6を0.27mL加え、室温においてカリウム−tert−ブトキシド(0.25Mテトラヒドロフラン溶液)を0.54mL加え30分間攪拌した。不溶物を濾過した後、溶媒を除去し、リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い59mgの1eを得た(収率55%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、FD−MSにて同定した。
【0058】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;CDCl)δ7.38−7.32(m,1H),6.83−6.74(m,2H),4.23−4.13(m,4H),3.15−3.09(m,1H),2.83−2.80(m,1H),2.08−1.14(br,40H),0.83−0.74(m,9H);13C−NMR(67.8MHz;CDCl)δ160.09,159.55,159.09,159.02,156.95,154.42,149.10,149.06,148.84,148.79,148.73,148.60,148.46,148.04,147.47,147.38,147.26,147.17,146.98,146.90,146.82,146.67,146.49,146.39,146.25,146.04,145.81,145.78,145.61,145.56,145.47,145.37,145.29,145.24,145.02,144.60,144.55,144.51,144.38,144.23,144.15,143.83,143.74,143.50,143.33,143.29,143.26,143.19,143.15,143.02,142.86,142.75,142.70,142.54,142.03,141.89,141.76,141.66,141.44,140.45,140.04,139.51,139.24,138.71,138.40,137.19,136.99,130.3(H),129.88(H),119.40,116.86,106.33(H),106.16(H),70.06(O),68.29,68.22,59.71,57.86,42.47(),42.30(),32.29(),30.31(),30.12(),30.08(),29.98(),29.95(),29.83(),29.75(),29.62(),27.51(),27.38(),27.07(),23.09(),23.01(),22.95(),14.31();FD−MS 1195.8[M]
【0059】
[実施例9(フラーレン誘導体7bの合成)]
フラーレン誘導体7b(bis−HpTMPC60)を以下のように合成した。
【化20】

【0060】
50mLナスフラスコに酸化フラーレン(C60O)を40mg、7aを153mg入れ、アルゴンガス雰囲気下オルトジクロロベンゼン8mLを加え、0℃においてトリフルオロボランジエチルエーテル錯体を34μL加え3.5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、溶媒を除去し、アセトンおよびメタノールで洗浄した後リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い30mgの7bを得た(収率44%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSにて同定した。
【0061】
<分析データ>
H−NMR(300MHz;CDCl)δ6.39(s,1H),3.91(s,3H),3.86(t,2H,6.7Hz),3.83(s,3H),3.76(s,3H),1.75(m,2H),1.49−1.25(m,8H),0.90(t,3H,6.7Hz);13C−NMR(75.5MHz;CDCl)δ155.65,154.98,153.95,153.68,150.17,148.67,148.55,148.25,147.02,146.92,146.65,145.27,145.05,144.59,144.18,144.00,143.65,143.59,143.28,142.93,142.84,142.73,142.46,142.38,141.30,140.48,140.20,139.09,137.34,136.54,114.89,93.29(H),73.67(O),60.86(O),56.41,55.99(O),55.77(O),31.90(),30.34(),29.21(),26.07(),22.66(),14.13();MALDI−TOF−MS 1282.3[M]
【0062】
[実施例10(フラーレン誘導体8bの合成)]
フラーレン誘導体8b(bis−BETMPC60)を以下のように合成した。
【化21】

【0063】
50mLナスフラスコに酸化フラーレンを50mg、上記8aを193mg入れ、アルゴンガス雰囲気下オルトジクロロベンゼン10mLを加え、0℃においてトリフルオロボランジエチルエーテル錯体を43μL加え3.5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、溶媒を除去し、アセトンおよびメタノールで洗浄した後リサイクル分取GPC(溶媒クロロホルム)により分離精製を行い32mgの8bを得た(収率37%)。得られた生成物は高速液体クロマトグラフィーにより確認し、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSにて同定した。
【0064】
<分析データ>
H−NMR(270MHz;CDCl)δ6.39(s,1H),4.04(t,2H,4.6Hz),3.92(s,3H),3.83(s,3H),3.79(s,3H),3.72(t,2H,4.7Hz),3.52(t,2H,6.6Hz),1.6(m,2H),1.39(m,2H),0.92(t,3H,7.3Hz);13C−NMR(67.8MHz;CDCl)δ155.79,154.92,153.90,153.60,150.08,148.65,148.51,148.16,146.97,146.87,146.61,145.24,145.00,144.55,144.17,143.96,143.60,143.54,143.24,142.89,142.79,142.69,142.41,142.33,141.28,140.43,139.12,137.31,136.09,114.75,93.14(H),72.32(O),71.10(O),70.00(O),60.93(O),56.33,56.00(O),55.65(O),31.84(),19.32(),13.97();MALDI−TOF−MS 1286.3[M]
【0065】
[実施例11(第一還元電位測定)]
テトラブチルアンモニウム化塩素酸塩のオルトジクロロベンゼン0.1M溶液50mLにフェロセン3.87mgを添加し測定溶液を調製した。この溶液2mLにフラーレン誘導体を1.5mg添加し掃引速度20mV/sにて酸化還元電位をALS製エレクトロケミカルアナライザーモデル630Aにて測定した。第一還元電位(mV)を表1に示した。表1に示したように、本発明によるフラーレン誘導体は、従来型フラーレン誘導体(PCBM)に比べ大きな第一還元電位を示した。
【0066】
【表1】

【0067】
[実施例12(有機光電変換素子の作製)]
洗浄した15Ω/cmの面抵抗を持つITOをスパッタ法により成膜したガラス基板上に、Baytron P(H.C.Stark社製)を5000rpm(50s)でスピンコートし、200℃で10分乾燥した。分子量17500のポリ(3−ヘキシルチオフェン)(アルドリッチ社製)とフラーレン誘導体1cを重量比1.0:0.5で混合し、1cの濃度が1wt%となるようにクロロベンゼンに溶解させた。前記基板上に、前記混合溶液を1000rpm(50s)でスピンコートし、光電変換層を形成した。光電変換層を形成したITO/ガラス基板を窒素下150℃で6分間加熱した後、チタンテトライソプロポキシドを4000rpmでスピンコートし、30分間静置した。さらに約10−5torrの真空下でAlを100nm蒸着して対極を形成し、光電変換デバイスを得た。得られた光電変換デバイスを、100mW/cm擬似太陽光を照射しながら電圧電流特性を測定した。電圧−電流特性から最大効率を計算した。
【0068】
[実施例13]
実施例12と同様の手順で、1cに替えて2cを用いて作成した光電変換デバイスの電圧電流特性を測定し、電圧−電流特性から最大効率を計算した。
【0069】
[実施例14]
実施例12と同様の手順で、1cに替えて3cを用いて作成した光電変換デバイスの電圧電流特性を測定し、電圧−電流特性から最大効率を計算した。
【0070】
[実施例15]
実施例12と同様の手順で、1cに替えて1dを用いて作成した光電変換デバイスの電圧電流特性を測定し、電圧−電流特性から最大効率を計算した。
【0071】
[実施例16]
実施例12と同様の手順で、1cに替えて1eを用いて作成した光電変換デバイスの電圧電流特性を測定し、電圧−電流特性から最大効率を計算した。
【0072】
上記実施例12〜16の結果を表2にまとめた。
【0073】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のフラーレン誘導体は有機TFT、有機太陽電池などに利用可能な有機半導体材料であって、産業上の価値は極めて大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるフラーレン誘導体。
【化1】

(一般式(I)において丸枠付きFLはフラーレンC60又はC70を表し、Donor−Subは、フラーレン核から2結合離れた位置に電子供与性置換原子を少なくとも1個配置した置換基を表し、Rは水素、Donor−Sub、合計炭素数1以上20以下のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシ置換アルキル基、アルコキシ置換アルコキシ基、アルキルチオ置換アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオ置換アルキルチオ基、アルコキシ置換アルキルチオ基、ベンジル基またはフェニル基を表し、nは1〜10の整数を表す。)
【請求項2】
第一還元電位が1160mV以上であることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン誘導体。
【請求項3】
電子供与性を有するp型共役高分子とn型のフラーレン誘導体を含むヘテロ接合層を有する光電変換素子において、光電変換層に請求項1または2に記載のフラーレン誘導体を用いることを特徴とする光電変換素子。

【公開番号】特開2012−148999(P2012−148999A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8117(P2011−8117)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 太陽光発電システム未来技術研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(508114454)地方独立行政法人 大阪市立工業研究所 (60)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】