説明

フリーラジカル重合用連鎖移動剤である1,2−ジチオール−3−チオン

本発明は、連鎖移動剤としての1,2−ジチオール−3−チオンの存在下で、フリーラジカル重合が可能なモノマーの制御されたフリーラジカル重合によるポリマーの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖移動剤としての1,2−ジチオール−3−チオンの存在下で、フリーラジカル重合可能なモノマーの制御されたフリーラジカル重合を行うポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル重合は、数多くの重要な化学製品、特にプラスチックの工業生産において、最も重要なプロセスの一つである。フリーラジカル重合が重要なのは、特に、使用可能なモノマーが多様であること、プロセスが不純物に敏感でないこと、重合が比較的簡単に実施可能なためである。したがって、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン等の多量ポリマーが経済的に製造可能である。このプロセスの限界は、分子量の制御が難しいことや比較的に単純なポリマー構造に限られることである。これらの欠点のいくつかは、いわゆる「リビング」法、例えばカチオン性またはアニオン性のリビング重合で克服できる。本明細書において「リビング」とは、リビング重合において、反応性の、即ち成長中の鎖末端の停止反応が実質的に抑制されていることを意味する。重合を同時に開始すると、すべてのマクロラジカルは、ほぼ同じ速度で成長し、すべての鎖は常に実質的に同じ鎖長となる。したがって、ポリマーの形成は、比較的に狭い分子量分布、即ち低い多分散指数(PDI=Mw/Mn;Mw=重量平均分子量;Mn=数平均分子量)を特徴とする。したがって、イオン的なリビングプロセスにより生成物の分子量を望むように決めることが可能となる。また、これにより、複雑な構造、例えばブロックコポリマーを製造できるようになる。リビングイオン性のプロセスの欠点は、しかしながら、用いる反応原料の純度を高くする必要があり、また低温技術が必要となるため、経済的な魅力があまり高くないことである。
【0003】
近年、しかしながら、フリーラジカル重合でも制御された(リビング)プロセスの開発が可能となってきている。制御されたフリーラジカル重合では、鎖長、末端基、及びポリマー鎖形成のマクロ構造の正確な制御が可能となる。したがって、フリーラジカル重合により、ブロックコポリマー、勾配コポリマー、星型ポリマーや、デンドリマー性分岐状末端基官能化ポリマーを製造することが可能となってきている。同時に、この新規なリビングフリーラジカル重合技術は、いくつかの重要な点で、従来のリビングイオン重合プロセスより優れている。したがって、かなり多くのモノマー種が重合できる。また、反応原料の純度への要求がイオン重合の場合よりかなり低く、また原則として低温技術も必要でないため、試験に携わる労力も大幅に小さい。また、追加の反応に用いられる活性中心は、ポリマー中に保持される。
【0004】
すべてのリビング重合の基本原理は、反応中の、即ち成長中の鎖末端の停止反応の抑制である。二つの反応性末端(二個のアニオンまたは二個のカチオン)間のイオン重合停止は原理的に不可能であるが、フリーラジカル重合では、鎖末端(二個のラジカル)は、再結合または不均化または転移反応によるフリーラジカル機能の喪失により相互に反応して、鎖停止にいたる。制御された、即ちリビングのフリーラジカル重合では、比較的少数の活性な、即ち成長中のフリーラジカルと、比較的多数のいわゆる「休眠」ラジカルとの間の動的平衡により、これらの停止反応は最小限となっている。この休眠ラジカルの活性中心は保護されており、相互に再結合しない。即ち、反応性鎖末端の濃度は劇的に減少し、二次反応が抑制されている。活性化反応の後、この休眠中心をさらに重合させることができる。この反応性の鎖末端の休眠種への変換は、C−S、C−O−NまたはC−ハロゲン結合の形成により行われる。休眠種への変換に用いる試薬により、次の技術を選択する。
【0005】
−原子移動ラジカル重合(ATRP):ここでは、酸化還元プロセスにより、フリーラジカルは、相当するハロゲン化アルキル(休眠種)と平衡になっている。
【0006】
−ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMRP)、ここでは、ニトロキシド系、例えばTEMPOの安定ラジカルが、成長鎖末端と可逆的に反応し、アルコキシアミンを与える。
【0007】
−可逆的付加開裂重合(RAFT)
RAFT重合では、ジチオ化合物、一般的には特別なジチオエステルまたはキサントゲン酸塩が、既知の方法で連鎖移動剤として使用される。ジチオ化合物によるフリーラジカル中心の休眠ラジカルへの変換とこれらの再解離のメカニズムを、次の図の例で示す。図示のために選んだ開始剤は、等方的に開裂するフリーラジカル開始剤であり、選んだジチオ化合物はジチオエステルである。しかしながら、他の開始剤及び/又は他のジチオ化合物を鎖移動剤として選択しても、同じかほぼ同じメカニズムが働くと考えられる。
【0008】
【化1】

【0009】
フリーラジカル重合で使用されるように、既存の開始剤I2の開裂により開始剤ラジカルの生成し、最初のステップで二個の開始剤ラジカルI*が生成する。第二のステップでは、この開始剤ラジカルI*がモノマーと反応する。これは、鎖の開始とみなされ、Pn*ラジカルを形成する。このPn*ラジカルは、第三のステップで鎖移動剤として作用するジチオ成分と反応し、より不安定な中間体ラジカルの形成となる。この中間体は、二つの反応の可能性を持つ。一つは、逆反応で、Pn*ラジカルを再放出する。第二は、R基をR*ラジカルとして放出する。Z基とR基をうまく選択すると、中間ラジカルから第二のラジカル遊離経路が優先となる。放出されたラジカルR*は、今度はモノマーと反応して新たなポリマー鎖を開始可能で、Pm*種を与える。Pm*種とPn*種は、他のモノマーとの反応で同じ反応性を持ち、またジチオ成分にも同じ反応性を示す。この結果、この中間ラジカル種とこれら二種のラジカルPn*とPm*との間の平衡となる。この平衡を調整して、重合をコントロールする。
【0010】
ジチオ成分の連鎖移動剤としての活性は、実質的に二つの点で影響を受ける。したがって、Z基は、ジチオ中間ラジカルの安定化に携わる。この中間体化合物が安定化されるほど、中間種の形成が促進される。連鎖移動剤の反応性にかなりの影響を有する第二の成分はR基で、これは、まず脱離性のよい基である必要があり、またモノマーと反応して新たなポリマー鎖を形成できなければならない。
【0011】
特に、先行技術では、ジチオカルボン酸エステルまたは塩及びキサントゲン酸塩、即ちジチオカルボン酸の塩またはエステルが、連鎖移動剤としてRAFT重合で用いられる。
【0012】
したがって、特許文献1は、キサントゲン酸カリウムと2−ブロモプロピオン酸のナトリウム塩との反応で得られた置換(3−カルボニル化キサントゲン酸のナトリウム塩を連鎖移動剤として存在させて、アクリル酸(塩)のフリーラジカル制御された重合を行うホモポリマーまたはコポリマーヘの重合について述べている。
【0013】
特許文献2は、いろいろな、ある場合には非常に複雑なジチオエステル、ジチオカルバメート及びキサントゲン酸塩を連鎖移動剤として用いた複数のモノマーの制御されたフリーラジカル重合について述べている。
【0014】
特許文献3は、いろいろなジチオエステルやトリチオカルボン酸エステルの連鎖移動剤としての存在下での線状の高分子ABAコポリマーや星型ポリマーの製造のためのフリーラジカル制御された重合について述べている。
【0015】
特許文献4は、いろいろなジチオエステルの存在下でのRAFTミニエマルジョン重合によるホモポリマー及びコポリマーの製造方法について述べている。
【0016】
特許文献5は、いろいろなジチオエステルの連鎖移動剤としての存在下での他ブロックコポリマーの製造方法について述べている。
【0017】
先行技術に記載されているこれらのジチオ化合物すべての欠点は、複雑な合成により得られること及び/又は比較的高価な出発原料から製造されることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】WO2004/014967
【特許文献2】WO99/31144
【特許文献3】US−A−2003/0195310
【特許文献4】EP−A−1205492
【特許文献5】WO2004/056880
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、製造が容易な、フリーラジカル制御重合用の連鎖移動剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本目的は、制御されたフリーラジカル重合によりポリマーを製造する方法であって、少なくとも一種のフリーラジカル重合可能なモノマーを、少なくとも一種のフリーラジカル開始剤、及び少なくとも一種の下記式I:
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、
aとRbは、相互に独立して、H、ハロゲン、OH、SH、CN、ニトロ、アミノ、ホルミル、カルボキシル、チオカルボキシル(−C(S)OH)、ジチオカルボキシル(CSSH)、アリール、C1−C80−アルキル、C2−C80−アルケニル、C2−C80−アルキニル、C1−C10−アルキルオキシ、C2−C10−アルケニルオキシ、C2−C10−アルキニルオキシ、C1−C10−アルキルチオ、C2−C10−アルケニルチオ、C2−C10−アルキニルチオ、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルオキシカルボニル、C1−C10−アルキルオキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルオキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルオキシチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルアミノまたはジ(C1−C10−アルキル)アミノであり(ただし、上記19種の基中のアルキル、アルケニル、及びアルキニルは、無置換であっても、部分的または完全にハロゲン化されていても、及び/又は、OH、C1−C10−アルコキシ、SH、C1−C10−アルキルチオ、CN、ニトロ、アミノ、C1−C10−アルキルアミノ、ジ(C1−C10−アルキル)アミノ、ホルミル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、カルボキシル、チオカルボキシル、C1−C10−アルコキシカルボニル、C1−C10−アルコキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシチオカルボニルオキシ、及びアリールから選ばれる同一または異なる置換基を1、2、3または4個有していてもよい)、又は
aとRbが、これらが結合する炭素原子とともに、O、S及びNから選ばれる1、2または3個のヘテロ原子及び/又は1または2個のカルボニル基を環の要素として含む5員環または6員環の飽和又は不飽和の環を形成し(ただし、前記環が、ハロゲン、OH、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、C1−C4−アルコキシ、およびC1−C4−ハロアルコキシから選ばれる置換基を1,2または3個有していてもよい)]
で示される連鎖移動剤、及び必要に応じて、少なくとも一種の溶媒の存在下で重合することを特徴とする方法により達成された。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「連鎖移動剤」と「連鎖移動試薬」とは、以下の発明の説明において同じ意味で使用する。
【0024】
本発明において、C1−C4−アルキルは、炭素原子数が1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。これらの例としては、メチルやエチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルが挙げられる。
【0025】
1−C6−アルキルは、炭素原子数が1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。これらの例としては、メチルや、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0026】
1−C10−アルキルは、炭素原子数が1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C6−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、ヘプチルや、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0027】
1−C20−アルキルは、炭素原子数が1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C10−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、ウンデシルや、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0028】
1−C30−アルキルは、炭素原子数が1〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C20−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、ヘンイコシニルや、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、スクアリル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0029】
1−C40−アルキルは、炭素原子数が1〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C30−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、炭素原子数が31〜40の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0030】
1−C80−アルキルは、炭素原子数が1〜80の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C40−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、原子数が41〜80の高級同族体炭素、およびそれらの位置異性体が挙げられる。
【0031】
4−C12−アルキルは、炭素原子数が4〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。これらの例としては、n−ブチルや、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0032】
4−C20−アルキルは、炭素原子数が4〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C1−C12−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、トリデシルや、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0033】
4−C30−アルキル基は、炭素原子数が4〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C4−C20−アルキル基の場合の上記の例以外のこれらの例としては、ヘンイコシニルや、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、スクアリル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0034】
4−C40−アルキルは、炭素原子数が4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C4−C30−アルキルの場合の上記の例以外のこれらの例としては、炭素原子数が31〜40高級同族体、およびそれらの位置異性体が挙げられる。
【0035】
4−C80−アルキルは、炭素原子数が4〜80の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。C4−C40−アルキル基の場合の上記の例以外のこれらの例としては、炭素原子数が41〜80の高級同族体、およびそれらの位置異性体が挙げられる。
【0036】
高級アルキル基、特に炭素原子数が6を超えるもの、例えば炭素数が8〜10、8〜20、8〜30、8〜40、または8〜80のものは、好ましくは、低級アルケン、特にC2−C6−アルケン、例えばエチレン、プロペン、1−および2−ブテン、イソブテン、1−および2−ペンテン、または1−、2−および3−ヘキセンのオリゴマーまたはポリマーに由来する。
【0037】
2−C4−ヒドロキシアルキルは、炭素原子数が2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、その内の一個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されたもので、各炭素原子の持つヒドロキシル基は原則として一個以内である。これらの例としては、2−ヒドロキシエチルや、2−及び3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0038】
2−C6−ヒドロキシアルキルは、炭素原子数が2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、その内の一個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されたもので、各炭素原子の持つヒドロキシル基は原則として一個以内である。C2−C4−ヒドロキシアルキルの場合に述べた例に加えてこれらの例としては、ペンタエリスリチルとソルビチルが挙げられる。
【0039】
2−C10−ヒドロキシアルキルは、炭素原子数が2〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、その内の一個以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されたもので、各炭素原子の持つヒドロキシル基は原則として一個以内である。これらの例としては、2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、ペンタエリスリチル、ソルビチルなどが挙げられる。
1−C6−ハロアルキルは、少なくとも一個の水素原子がハロゲン原子、例えばF、ClまたはBrで置換されたC1−C6−アルキル基である。C1−C4−ハロアルキルは、少なくとも一個の水素原子が、ハロゲン原子、例えばF、ClまたはBrで置換されたC1−C4−アルキル基である。これらの例としては、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、1,1−ジクロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタクロロエチル、3,3,3−トリクロロプロピルなどが挙げられる。
【0040】
シリル−置換されたC1−C10−アルキルは、炭素原子数が1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そのうち少なくとも一種の水素原子が、シリル基SiR'R''R'''、(ただし、R'、R''およびR'''は、相互に独立して、C1−C6−アルキルまたはC1−C6−アルコキシである)で置換されている。これらの例としては、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、トリプロポキシシリルプロピル、トリブトキシシリルプロピル、ジメトキシメチルシリルプロピル、ジエトキシメチルシリルプロピル、ジプロポキシメチルシリルプロピル、ジイソプロポキシメチルシリルプロピル、ジブトキシメチルシリルプロピル、トリメトキシシリルエチル、トリエトキシシリルエチル、トリプロポキシシリルエチル、トリブトキシシリルエチル、ジメトキシメチルシリルエチル、ジエトキシメチルシリルエチル、ジプロポキシメチルシリルエチル、ジイソプロポキシメチルシリルエチル、ジブトキシメチルシリルエチル、トリメトキシシリルメチル、トリエトキシシリルメチル、トリプロポキシシリルメチル、トリブトキシシリルメチル、ジメトキシメチルシリルメチル、ジエトキシメチルシリルメチル、ジプロポキシメチルシリルメチル、ジイソプロポキシメチルシリルメチル、ジブトキシメチルシリルメチルなどが挙げられる。
【0041】
アミン−またはアンモニウム−置換されたC1−C10−アルキルは、炭素原子数が1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そのうち少なくとも一個の水素原子、例えば1個、2個または3個の水素原子、好ましくは1個の水素原子、がアミノ基NR'R''またはアンモニウム基NR'R''R'''で置換されている(ただし、R'、R''及びR'''は、相互に独立して、H、C1−C6−アルキル、またはC1−C6−ヒドロキシアルキルである)。これらの例としては、2−アミノエチル、2−(メチルアミノ)エチル、2−(メチルアンモニウム)エチル、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−(ジメチルアンモニウム)エチル、2−(トリメチルアンモニウム)エチル、2−(エチルアミノ)エチル、2−(エチルアンモニウム)エチル、2−(ジエチルアミノ)エチル、2−(ジエチルアンモニウム)エチル、2−(トリエチルアンモニウム)エチル、2−(プロピルアミノ)エチル、2−(プロピルアンモニウム)エチル、2−(ジプロピルアミノ)エチル、2−(ジプロピルアンモニウム)エチル、2−(トリプロピルアンモニウム)エチル、3−アミノプロピル、3−(メチルアミノ)プロピル、3−(メチルアンモニウム)プロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、3−(ジメチルアンモニウム)プロピル、3−(トリメチルアンモニウム)プロピル、3−(エチルアミノ)プロピル、3−(エチルアンモニウム)プロピル、3−(ジエチルアミノ)プロピル、3−(ジエチルアンモニウム)プロピル、3−(トリエチルアンモニウム)プロピル、3−(プロピルアミノ)プロピル、3−(プロピルアンモニウム)プロピル、3−(ジプロピルアミノ)プロピル、3−(ジプロピルアンモニウム)プロピル、3−(トリプロピルアンモニウム)プロピルなどが挙げられる。もちろん、アンモニウム置換アルキルの場合、対アニオン、例えばクロライド、ブロマイドまたはスルフェートが存在していてもよい。スルホまたはスルホネートが置換されたC1−C10−アルキルは、炭素原子数が1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そのうち少なくとも一個の水素原子、例えば1個、2個または3個の水素原子、好ましくは1個の水素原子、スルホ基(−SO3H)またはスルホネート基で置換されている。「スルホネート基」は、スルホン酸塩−SO3-(Mx+1/x及びスルホン酸エステル−SO3Rの両方に関係する。(Mx+1/xは、金属カチオン等価物またはアンモニウムイオン(NRαβγδ+である。好ましくは、Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの第三族金属、鉄またはニッケルなどの遷移金属である。好ましくは、Mは、アルカリ金属、特にナトリウムまたはカリウムである。Rα、Rβ、Rγ、Rδは、相互に独立して、H、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルである。Rは、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルである。スルホネートで置換されたC1−C10−アルキルは、好ましくは炭素原子数が1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そのうち一個の水素原子が、スルホン酸塩基SO3-(Mx+1/xで置換されている。
【0042】
1−C4−アルキルオキシ(またはアルコキシ)は、酸素原子を経由して結合しているC1−C4−アルキル基である。これらの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシが挙げられる。
【0043】
1−C6−アルキルオキシ(またはアルコキシ)は、酸素原子を経由して結合しているC1−C6−アルキル基である。これらの例としては、C1−C4−アルコキシに対して述べた例に加えて、ペンチルオキシ、キシロキシ、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0044】
1−C10−アルキルオキシ(またはアルコキシ)基は、酸素原子を経由して結合しているC1−C10−アルキル基である。これらの例としては、C1−C6−アルコキシに対して述べた例に加えて、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルへキシロキシ、ノニルオキシ、デシロキシ、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0045】
1−C4−アルキルチオ基は、硫黄原子を経由して結合しているC1−C4−アルキル基である。これらの例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、イソブチルチオ、およびtert−ブチルチオが挙げられる。
【0046】
1−C6−アルキルチオは、硫黄原子を経由して結合しているC1−C6−アルキル基である。これらの例としては、C1−C4−アルキルチオに対して述べた例に加えて、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0047】
1−C10−アルキルチオは、硫黄原子を経由して結合しているC1−C10−アルキル基である。これらの例としては、C1−C6−アルキルチオに対して述べた例に加えて、ヘプチルチオ、オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0048】
1−C10−アルキルカルボニルは、式R−CO−で表される基であり、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルキル基である。例としては、アセチル、プロピオニルなどが挙げられる。
【0049】
1−C10−アルキルチオカルボニルは、式R−CS−で表される基で、式中、Rは、上に定義したC1−C10−アルキル基である。例としては、チオアセチル、チオプロピオニルなどが挙げられる。
【0050】
1−C10−アルキルカルボニルオキシは、式R−CO−O−で表される基で、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルキル基である。例としては、セトキシ、プロピオニルオキシなどが挙げられる。
【0051】
1−C10−アルキルチオカルボニルオキシは、式R−CS−O−で表される基で、式中、Rは上に定義した.C1−C10−アルキル基である。例としては、チオアセトキシ、チオプロピオニルオキシなどが挙げられる。
【0052】
1−C10−アルコキシカルボニルは、式R−CO−で表される基で、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルコキシ基である。例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0053】
1−C10−アルコキシチオカルボニルは、式R−CS−で表される基で、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルコキシ基である。例としては、メトキシチオカルボニル、エトキシチオカルボニルなどが挙げられる。
【0054】
1−C10−アルコキシカルボニルオキシは、式R−CO−O−で表される基で、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルコキシ基である。例としては、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0055】
1−C10−アルコキシチオカルボニルオキシは、式R−CS−O−で表される基で、式中、Rは上に定義したC1−C10−アルコキシ基である。例としては、メトキシチオカルボニルオキシ、エトキシチオカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0056】
2−C4−アルケニルは、炭素原子数が2〜4のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、エテニルや、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニルが挙げられる。
【0057】
2−C6−アルケニルは、炭素原子数が2〜6のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C4−アルケニルに対して述べた例に加えて、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルなどが挙げられる。
【0058】
2−C10−アルケニルは、炭素原子数が2〜10のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C6−アルケニルに対して述べた例に加えて、1−、2−および3−ヘプテニル、1−、2−、3−および4−オクテニル、1−、2−、3−および4−ノネニル、および1−、2−、3−、4−および5−デセニル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0059】
2−C20−アルケニルは、炭素原子数が2〜20のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C10−アルケニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が11〜20の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0060】
2−C30−アルケニルは、炭素原子数が2〜30のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C20−アルケニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が21〜30の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0061】
2−C40−アルケニルは、炭素原子数が2〜40のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C30−アルケニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が31〜40の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0062】
2−C80−アルケニル基は、炭素原子数が2〜80のモノ不飽和脂肪族炭化水素基である。これらの例としては、C2−C40−アルケニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が41〜80の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0063】
高級アルケニル基、特に炭素原子数が6を超えるもの、例えば炭素原子数が8〜10、8〜20、8〜30、8〜40または8〜80のものは、低級アルケン、特にC2−C6−アルケン、例えばエチレン、プロペン、1−および2−ブテン、イソブテン、1−および2−ペンテン、または1−、2−および3−ヘキセンのオリゴマーまたはポリマーに由来する。
【0064】
2−C4−アルキニルは、2〜4個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニルなどが挙げられる。
【0065】
2−C6−アルキニルは、2〜6個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C4−アルキニルに対して述べた例に加えて、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、1−エチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブチニル、1−エチル−1−メチル−2−プロピニルなどが挙げられる。
【0066】
2−C10−アルキニルは、2〜10個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C6−アルキニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が7〜10の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0067】
2−C20−アルキニルは、2〜20個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C10−アルキニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が11〜20の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0068】
2−C30−アルキニルは、2〜30個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C20−アルキニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が21〜30の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0069】
2−C40−アルキニル基は、2〜40個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C30−アルキニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が31〜40の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0070】
2−C80−アルキニル基は、2〜80個の炭素原子数といずれかの位置に三重結合を一つ有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素である。これらの例としては、C2−C40−アルキニルに対して述べた例に加えて、炭素原子数が41〜80の高級同族体、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0071】
2−C10−アルケニルオキシは、酸素原子を経由して結合しているC2−C10−アルケニル基、好ましくはC3−C10−アルケニル基である。これらの例としては、1−プロペニルオキシ、2−プロペニルオキシ、1−メチルエテニルオキシ、1−ブテニルオキシ、2−ブテニルオキシ、3−ブテニルオキシ、1−メチル−1−プロペニルオキシ、2−メチル−1−プロペニルオキシ、1−メチル−2−プロペニルオキシ、2−メチル−2−プロペニルオキシ、1−ペンテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ペンテニルオキシ、4−ペンテニルオキシ、1−メチル−1−ブテニルオキシ、2−メチル−1−ブテニルオキシ、3−メチル−1−ブテニルオキシ、1−メチル−2−ブテニルオキシ、2−メチル−2−ブテニルオキシ、3−メチル−2−ブテニルオキシ、1−メチル−3−ブテニルオキシ、2−メチル−3−ブテニルオキシ、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニルオキシ、1,2−ジメチル−1−プロペニルオキシ、1,2−ジメチル−2−プロペニルオキシ、1−エチル−1−プロペニルオキシ、1−エチル−2−プロペニルオキシ、1−ヘキセニルオキシ、2−ヘキセニルオキシ、3−ヘキセニルオキシ、4−ヘキセニルオキシ、5−ヘキセニルオキシ、1−メチル−1−ペンテニルオキシ、2−メチル−1−ペンテニルオキシ、3−メチル−1−ペンテニルオキシ、4−メチル−1−ペンテニルオキシ、1−メチル−2−ペンテニルオキシ、2−メチル−2−ペンテニルオキシ、3−メチル−2−ペンテニルオキシ、4−メチル−2−ペンテニルオキシ、1−メチル−3−ペンテニルオキシ、2−メチル−3−ペンテニルオキシ、3−メチル−3−ペンテニルオキシ、4−メチル−3−ペンテニルオキシ、1−メチル−4−ペンテニルオキシ、2−メチル−4−ペンテニルオキシ、3−メチル−4−ペンテニルオキシ、4−メチル−4−ペンテニルオキシ、1,1−ジメチル−2−ブテニルオキシ、1,1−ジメチル−3−ブテニルオキシ、1,2−ジメチル−1−ブテニルオキシ、1,2−ジメチル−2−ブテニルオキシ、1,2−ジメチル−3−ブテニルオキシ、1,3−ジメチル−1−ブテニルオキシ、1,3−ジメチル−2−ブテニルオキシ、1,3−ジメチル−3−ブテニルオキシ、2,2−ジメチル−3−ブテニルオキシ、2,3−ジメチル−1−ブテニルオキシ、2,3−ジメチル−2−ブテニルオキシ、2,3−ジメチル−3−ブテニルオキシ、3,3−ジメチル−1−ブテニルオキシ、3,3−ジメチル−2−ブテニルオキシ、1−エチル−1−ブテニルオキシ、1−エチル−2−ブテニルオキシ、1−エチル−3−ブテニルオキシ、2−エチル−1−ブテニルオキシ、2−エチル−2−ブテニルオキシ、2−エチル−3−ブテニルオキシ、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルオキシ、1−エチル−1−メチル−2−プロペニルオキシ、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルオキシ、および1−エチル−2−メチル−2−プロペニルオキシなどが挙げられる。
【0072】
2−C10−アルケニルチオは、硫黄原子を経由して結合しているC2−C10−アルケニル基、好ましくはC3−C10−アルケニル基である。これらの例としては、1−プロペニルチオ、2−プロペニルチオ、1−メチルエテニルチオ、1−ブテニルチオ、2−ブテニルチオ、3−ブテニルチオ、1−メチル−1−プロペニルチオ、2−メチル−1−プロペニルチオ、1−メチル−2−プロペニルチオ、2−メチル−2−プロペニルチオ、1−ペンテニルチオ、2−ペンテニルチオ、3−ペンテニルチオ、4−ペンテニルチオ、1−メチル−1−ブテニルチオ、2−メチル−1−ブテニルチオ、3−メチル−1−ブテニルチオ、1−メチル−2−ブテニルチオ、2−メチル−2−ブテニルチオ、3−メチル−2−ブテニルチオ、1−メチル−3−ブテニルチオ、2−メチル−3−ブテニルチオ、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニルチオ、1,2−ジメチル−1−プロペニルチオ、1,2−ジメチル−2−プロペニルチオ、1−エチル−1−プロペニルチオ、1−エチル−2−プロペニルチオ、1−ヘキセニルチオ、2−ヘキセニルチオ、3−ヘキセニルチオ、4−ヘキセニルチオ、5−ヘキセニルチオ、1−メチル−1−ペンテニルチオ、2−メチル−1−ペンテニルチオ、3−メチル−1−ペンテニルチオ、4−メチル−1−ペンテニルチオ、1−メチル−2−ペンテニルチオ、2−メチル−2−ペンテニルチオ、3−メチル−2−ペンテニルチオ、4−メチル−2−ペンテニルチオ、1−メチル−3−ペンテニルチオ、2−メチル−3−ペンテニルチオ、3−メチル−3−ペンテニルチオ、4−メチル−3−ペンテニルチオ、1−メチル−4−ペンテニルチオ、2−メチル−4−ペンテニルチオ、3−メチル−4−オクテニルチオ、4−メチル−4−オクテニルチオ、1.1−ジメチル−2−ブテニルチオ、1,1−ジメチル−3−ブテニルチオ、1,2−ジメチル−1−ブテニルチオ、1,2−ジメチル−2−ブテニルチオ、1,2−ジメチル−3−ブテニルチオ、1,3−ジメチル−1−ブテニルチオ、1,3−ジメチル−2−ブテニルチオ、1,3−ジメチル−3−ブテニルチオ、2,2−ジメチル−3−ブテニルチオ、2,3−ジメチル−1−ブテニルチオ、2,3−ジメチル−2−ブテニルチオ、2,3−ジメチル−3−ブテニルチオ、3,3−ジメチル−1−ブテニルチオ、3,3−ジメチル−2−ブテニルチオ、1−エチル−1−ブテニルチオ、1−エチル−2−ブテニルチオ、1−エチル−3−ブテニルチオ、2−エチル−1−ブテニルチオ、2−エチル−2−ブテニルチオ、2−エチル−3−ブテニルチオ、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルチオ、1−エチル−1−メチル−2−プロペニルチオ、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルチオ、および1−エチル−2−メチル−2−プロペニルチオなどが挙げられる。
【0073】
2−C10−アルキニルオキシは、酸素原子を経由して結合しているC2−C10−アルキニル基、好ましくはC3−C10−アルキニル基である。これらの例としては、2−プロピニルオキシ、2−ブチニルオキシ、3−ブチニルオキシ、1−メチル−2−プロピニルオキシ、2−ペンチニルオキシ、3−ペンチニルオキシ、4−ペンチニルオキシ、1−メチル−2−ブチニルオキシ、1−メチル−3−ブチニルオキシ、2−メチル−3−ブチニルオキシ、1−エチル−2−プロピニルオキシ、2−ヘキシニルオキシ、3−ヘキシニルオキシ、4−ヘキシニルオキシ、5−ヘキシニルオキシ、1−メチル−2−ペンチニルオキシ、1−メチル−3−ペンチニルオキシなどが挙げられる。
【0074】
2−C10−アルキニルチオは、硫黄原子を経由して結合しているC2−C10−アルキニル基、好ましくはC3−C10−アルキニル基である。これらの例としては、2−プロピニルチオ、2−ブチニルチオ、3−ブチニルチオ、1−メチル−2−プロピニルチオ、2−ペンチニルチオ、3−ペンチニルチオ、4−ペンチニルチオ、1−メチル−2−ブチニルチオ、1−メチル−3−ブチニルチオ、2−メチル−3−ブチニルチオ、1−エチル−2−プロピニルチオ、2−ヘキシニルチオ、3−ヘキシニルチオ、4−ヘキシニルチオ、5−ヘキシニルチオ、1−メチル−2−ペンチニルチオ、1−メチル−3−ペンチニルチオなどが挙げられる。
【0075】
2−C10−アルケンは、炭素原子数が2〜10のモノ不飽和脂肪族炭化水素である。これらの例としては、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン(シス及びトランス)、イソブテン、1−および2−ペンテン、1−、2−および3−ヘキセン、1−、2−および3−ヘプテン、1−、2−、3−および4−オクテン、1−、2−、3−および4−ノネン、および1−、2−、3−、4−および5−デセン、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0076】
ハロゲン化C2−C10−アルケンは、モノ不飽和脂肪族炭化水素で、そのうち少なくとも一種の水素原子が塩素、臭素またはフッ素などのハロゲン原子等で、特に塩素で置換されたものである。これらの例としては、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化アリル、臭化アリルなどが挙げられる。
【0077】
4−C10−アルカジエンは、炭素原子数が4〜10のジ不飽和脂肪族炭化水素で、二個の重結合が相互に共役または分離したものである。これらの例としては、1,3−ブタジエン、1,3−および1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,3−、1,4−、1,5−および2,4−ヘキサジエン、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、2,4−および2,5−ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0078】
ハロゲン化C4−C10−アルカジエンは、炭素原子数が4〜10のジ不飽和脂肪族炭化水素であり、少なくとも一種の水素原子が塩素、臭素またはフッ素などのハロゲン原子等で、特に塩素で置換されたものである。この一例は、クロロプレンである。
【0079】
3−C10−シクロアルキルは、環の要素として炭素原子数を3〜10有する、任意の単環式または多環式のシクロアルキル基である。単環式の基の例としては、シクロプロピルや、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルが挙げられる。多環式の基の例としては、ノルボルニル、デカリニル、アダマンチルなどが挙げられる。適当な置換基としては、例えば、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、およびハロゲンが挙げられる。
【0080】
3−C10−シクロアルキル−C1−C4−アルキルは、C3−C10−シクロアルキル基で置換されたC1−C4−アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、及びtert−ブチルである。これらの例としては、シクロプロピルメチル、1−または2−シクロプロピルエチル、12−または3−シクロプロピルプロピル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどが挙げられる。
【0081】
本発明において、アリールは、原子数が6〜14の芳香族炭化水素基炭素、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナンスレニルである。このアリール基は無置換でもよいし、1〜4個の置換基を有していてもよい。適当な置換基としては、例えば、C1−C6−アルキル、C1−C6−ハロアルキル、C1−C6−アルコキシ、C1−C6−チオアルキル、ハロゲン、ニトロ、CN、COORd、CORe、SO2ORf、SO2g、SRh、及びNRij、(なお、Rd、Re、Rf、Rg、およびRhは、相互に独立して、HまたはC1−C6−アルキルであり、RiとRjはH、C1−C6−アルキルまたはC2−C6−ヒドロキシアルキルである)。これらの例としては、フェニル、ナフチル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、イソブチルフェニル、tert−ブチルフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、プロポキシフェニル、イソプロポキシフェニル、ブトキシフェニル、sec−ブトキシフェニル、イソブトキシフェニル、tert−ブトキシフェニル、ニトロフェニル、カルボキシフェニル、ホルミルフェニル、アセチルフェニル、スルホニルフェニル、メチルスルホニルフェニル、スルホニルナフチル、メチルスルホニルナフチル、カルボキシナフチルなどが挙げられる。
【0082】
アリール−C1−C4−アルキルは、上に定義したアリール基で置換されたC1−C4−アルキル基である。これらの例としては、ベンジル、1−および2−フェニルエチルが挙げられる。
【0083】
2−C4−アルキレンは、炭素原子数が2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。これらの例としては、1,1−エチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,4−ブチレンなどが挙げられる。
【0084】
本発明において、ヘテロアリールとは、O、S、N及びNRkから選ばれる1〜4個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する5員環または6員環の複素芳香族基である、ただし、Rkは、HまたはC1−C6−アルキル基である。これらの例としては、ピロリルや、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、ビリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、無置換でもよいし、1〜4個の置換基を有していてもよい。適当な置換基としては、例えば、C1−C6−アルキル、C1−C6−ハロアルキル、C1−C6−アルコキシ、C1−C6−チオアルキル、ハロゲン、ニトロ、CN、COORd、CORe、SO2ORf、SO2g、SRh、およびNRij、(なお、Rd、Re、Rf、Rg、およびRhは、相互に独立して、HまたはC1−C6−アルキルであり、RiとRjはH、C1−C6−アルキルまたはC2−C6−ヒドロキシアルキルである)。
【0085】
本発明において、ヘテロシクリルは、3〜10個の環と、1〜4個のO、S、N及びNRlから選ばれるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する飽和又は不飽和の非芳香族へテロ環である。なお、RlはHまたはC1−C6−アルキル基であり、これらのへテロ環が、1または2個のカルボニル基を環の要素として含んでいてもよい。これらの例としては、オキシラニル、チイラニル、アジリジニル、オキセタニル、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、ピロリニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリジンジオニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリジノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニリル、イミダゾリジノニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピベラジニル、モルホリニル、チオモルフォリニル、カプロラクタミルなどが挙げられる。適当な置換基は、ヘテロアリールに対して述べた基に相当する。
【0086】
ヘテロシクリル−C1−C4−アルキルは、ヘテロシクリル基で置換されたC1−C4−アルキル基である。これらの例としては、オキシラニルメチル(グリシジル)、チイラニルメチル、アジリジニルメチル、オキセタニルメチル、アゼチジニルメチル、ジヒドロフラニルメチル、テトラヒドロフラニルメチル、ジヒドロチエニルメチル、テトラヒドロチエニルメチル、ピロリニルメチル、ピロリジニルメチル、ピロリジノニルメチル、ピラゾリニルメチル、ピラゾリジニルメチル、ピラゾリジノニルメチル、イミダゾリニルメチル、イミダゾリジニリルメチル、イミダゾリジノニルメチル、オキサゾリニルメチル、オキサゾリジニルメチル、オキサゾリジノニルメチル、イソオキサゾリニルメチル、イソオキサゾリジニルメチル、イソオキサゾリジノニルメチル、チアゾリニルメチル、チアゾリジニルメチル、チアジアゾリニルメチル、チアジアゾリジニルメチル、ピラニルメチル、ジヒドロピラニルメチル、テトラヒドロピラニルメチル、ピペラジニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルメチル、チオモルホリニルメチルなどが挙げられる。
【0087】
本発明において、ハロゲンは、好ましくはフッ素、塩素または臭素である。
本発明の方法の好ましい展開、例えば、好ましい化合物I、好ましいフリーラジカル重合可能なモノマー好ましいプロセスの評価尺度等についての説明は、相互に単独で、あるいは相互に一緒に適用できる。
【0088】
化合物Iにおいて、RaとRbは、相互に独立して、好ましくは、H、ホルミル、カルボキシル、チオカルボキシル、アリール、C1−C80−アルキル、C2−C80−アルケニル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、C1−C10−アルキルオキシカルボニルまたはC1−C10−アルキルオキシチオカルボニルであり、上述の六個の基の中のアルキル基及びアルケニル基は、無置換であっても、部分的または完全にハロゲン化されていてもよく及び/又はOH、C1−C10−アルコキシ、SH、C1−C10−アルキルチオ、CN、ニトロ、アミノ、C1−C10−アルキルアミノ、ジ(C1−C10−アルキル)アミノ、ホルミル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、カルボキシル、チオカルボキシル、C1−C10−アルコキシカルボニル、C1−C10−アルコキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシチオカルボニルオキシ、およびアリールから選ばれる1、2、3、または4個の同じまたは異なる置換基を有していてもよい。
【0089】
aとRbとは、相互に独立して、より好ましくはH、C4−C80−アルキルであり、好ましくはC4−C40−アルキル、特に好ましくはC4−C20−アルキルであり、特にC4−C12−アルキル基、1または2個のC1−C4−アルコキシカルボニル基またはアリール基で置換されていてもよいC1−C4−アルキル、またはアリールである。
【0090】
アリールは、好ましくは、無置換の、またはハロゲン、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、C1−C4−アルコキシ及びC1−C4−ハロアルコキシから選ばれる1または2個の置換基で置換されたフェニルである。
【0091】
4−C80−、C4−C40−、C4−C20−、およびC4−C12−アルキル基は、好ましくは(ポリ)イソブチル基である。
【0092】
本発明の特に好ましい実施形態においては、RaとRbとが、相互に独立して、H、メチル、又は下記式I.a
【0093】
【化3】

【0094】
(式中、aは0または1であり、bは1〜20の数である)
で表される基であり、RaとRbのうちの少なくとも一方の基は式I.aで示される基である。
【0095】
特に、下記式I.a.1、又は下記式I.a.2:
【0096】
【化4】

【0097】
(式中、
RはH又は基であり、
cは0〜19の数であり、
dは1〜19の数である)
で示される化合物、又はこれらの混合物が、本発明の方法の連鎖移動剤Iとして使用される。
【0098】
cは、好ましくは0〜10の数であり、特に好ましくは0、1、2、3又は4であり、特に0、1、または2である。
【0099】
dは、好ましくは1〜10の数であり、特に好ましくは1、2、3、又は4であり、特に1または2である。
【0100】
Rは好ましくはHである。
【0101】
ほとんどの化合物Iは、公知であり、従来技術における既知の方法で製造できる。ほとんどの製造方法は、Ra及び/又はRbの基またはその前駆体を有する適当な炭化水素と、硫黄及び/又は五硫化リン(P25)とを高温、例えば150〜250℃で反応させる。好適な方法が、例えば、US2,658,900、US2,995,569、FR−A−2119511、Arch.Pharm.324,131−132(1991)、Chem.Rev.1965、65(2)、237、SulfurLetters1989,10(1+2)、31−36,Synthesis2000、12、1749−1755,andTetrahedron35,1339(1979)、及びそこに引用される文献に記載されており、これらはすべて引用として本明細書に援用する。
【0102】
したがって、式I.aの化合物は、例えば、イソブテンオリゴマーと硫黄とを、必要に応じて不活性ガス下で、また必要に応じて加圧した反応圧力下で、180〜250℃の温度で反応させて得られる。反応で副生する硫化水素は、少なくとも部分的に除去することが好ましい。
【0103】
ジイソブテンまたはトリイソブテンと硫黄からの、cが0で、RがHまたはtert−ブチル(d=1)であるI.a.1とI.a.2の化合物の製造は、原則として公知であり、例えば、US2,658,900、US2,995,569、及びFR−A−2119511、及びこれらに引用される文献に記載されてあり、これらはすべて引用として本明細書に援用する。
【0104】
c≧0であるI.a.1及びI.a.2の化合物は、同様に、US2,658,900、US2,995,569、およびFR−A−2119511に記載の方法により製造できる。
【0105】
aまたはRbの基の一方がCOOHまたはアルコキシカルボニルで、他の基がHである化合物Iは、例えば、オキサロ酢酸ジエステルを硫黄及び/又は五硫化リンと高温で反応させることで製造できる。ギ酸誘導体と硫黄の反応も、このような化合物を与える。
【0106】
aとRbの両方の基がHである化合物Iは、例えば、プロペンを硫黄及び/又は五硫化リンと高温で反応させて得られる。ギ酸誘導体と硫黄の反応もこのような化合物を与える。他のオレフィン(適当に置換されていてもよい)の反応も同様に進行し、Ra及び/又はRbが適当に置換されたアルキルまたはアルケニルである化合物Iを与える。
【0107】
アリールビニル化合物、例えばスチレンを、同様にRaまたはRbが必要に応じて置換されたフェニルである化合物Iに変換することもできる。このような化合物は、イソプロピルで置換したアリール化合物を硫黄と反応させて得ることもできる。
【0108】
aまたはRbの一方の基がSHまたはアルキルチオである化合物Iは、例えば、必要に応じて置換されたマロン酸エステルを硫黄及び/又は五硫化リンと反応させて得ることができる。
【0109】
その他の化合物Iも、従来技術の方法により同様に製造できる。
【0110】
本発明の方法で用いられるフリーラジカル重合が可能なモノマーは、好ましくは、次のものの中から選ばれる。C2−C10−アルケン、ハロゲン化C2−C10−アルケン、C4−C10−アルカジエン、ハロゲン化C4−C10−アルカジエン、下記式II:
【0111】
【化5】

【0112】
[式中、
1とR2は、H、C1−C6−アルキル、又はCOR5であり、R1またはR2の基の一つ以下がCOR5である;
3は、H、C1−C6−アルキル、又はCH2COR5であり、R1またはR2の基の一方がCOR5である場合は、R3はCH2COR5でない;
4は、COR5又はCNであり、R1またはR2の基の一方がCOR5であるか、R3がCH2COR5である場合は、R4はCNでない;
2とR4は、共に−CO−O−CO−または−CO−NRx−CO−基を形成し、なお、RxはHまたはC1−C10−アルキルである;
各々のR5は、相互に独立して、OR6、O−(My+1/yまたはNR78である;
ただし、
6は、H、C1−C20−アルキル、C2−C10−ヒドロキシアルキル、シリル−置換されたC1−C10−アルキル、アミン−またはアンモニウム−置換されたC1−C10−アルキル、スルホまたはスルホネートで置換されたC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−C4−アルキル、または式−A−[X−A]m−R9で表される基であり、
前記式中、
Aは、C2−C4−アルキレン基である;
Xは、OまたはNR10である;
9は、OR11またはNR1213である;
10、R12、及びR13は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルである;
11は、HまたはC1−C10−アルキル基である;
mは、0〜10の数である;
(My+1/yは、金属等価物またはアンモニウムイオンであり、yは1、2または3である;
7とR8は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキル、C2−C10−ヒドロキシアルキルまたは式−B−[Y−B]o−R14の基であり、
前記式中
Bは、C2−C4−アルキレン基であり;
Yは、OまたはNR15であり;
14は、NR1617またはOR18であり;
16とR17は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキル基またはC2−C10−ヒドロキシアルキル基であり;
15とR18は、相互に独立して、HまたはC1−C10−アルキル基であり;及び
oは0〜10の数である]
で表される化合物、及び
下記式III:
【0113】
【化6】

【0114】
[式中:
18、R19及びR20は、相互に独立して、HまたはC1−C6−アルキル基であり;
21は、OR22、O−(CO)−R23、N(R25)−(CO)−R24、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、R22は、C1−C20−アルキル基であり;
23とR24は、相互に独立して、HまたはC1−C20−アルキルであり;
25は、HまたはC1−C10−アルキルある]
で表される化合物、及びこれらの混合物。
【0115】
ある場合には、二重結合の一炭素原子に分岐のあるアルケン(いわゆるイソアルケン)は、直接にフリーラジカル重合のかけることができない。したがって、フリーラジカル重合が可能なモノマーとして本発明の方法で用いられるC2−C10−アルケンは、好ましくは、二重結合の炭素原子に分岐を持たないアルケン、例えば線状アルケンおよび二重結合に属さない炭素原子に分岐を持つアルケンから選ばれる。したがって、好ましいC2−C10−アルケンは、例えば、エテン、プロペン、n−ブテン(1−および2−ブテン)、n−ペンテン(1−および2−ペンテン)、n−ヘキセン(1−、2−および3−ヘキセン)、n−ヘプテン(1−、2−および3−ヘプテン)、n−オクテン(1−、2−、3−および4−オクテン)、n−ノネン(1−、2−、3−および4−ノネン)、およびn−デセン(1−、2−、3−、4−および5−デセン)である。特に好ましいC2−C10−アルケンは、エテンとプロペンである。
【0116】
好ましいフリーラジカル重合が可能なモノマーとして本発明の方法で使用可能なハロゲン化C2−C10−アルケンは、塩化ビニルと臭化ビニルで、特に塩化ビニルが好ましい。
【0117】
好ましいフリーラジカル重合が可能なモノマーとして本発明の方法で使用可能なC4−C10−アルカジエンは、ブタジエンとイソプレンである。
【0118】
好ましいフリーラジカル重合が可能なモノマーとして本発明の方法で使用可能なハロゲン化C4−C10−アルカジエンは、クロロプレンである。
【0119】
1、R2およびR3が水素またはC1−C6−アルキル基で、R4がCOR5である式IIの化合物は、もしR5がOR6の場合、α,β−不飽和カルボン酸(R6=H)またはそれらのエステル(R6≠H)である。R5がO-(My+1/yの場合、化合物IIは、α,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸塩である。R5がNR78の場合、化合物IIは、α,β−不飽和カルボン酸のアミドである。R1、R2およびR3が同時にHで、R4がCOR5の場合、化合物IIは、アクリル酸またはアクリル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。R3基がメチルで、R1基とR2基がHで、R4がCOR5の場合、化合物IIは、メタクリル酸またはメタクリル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。
【0120】
4がCNである場合、R1基とR2基はいずれもCOR5でなく、R3はCH2COR5でない。この場合、この化合物IIは、アクリロニトリルまたは置換アクリロニトリル、例えばメタクリロニトリルである。
【0121】
1基またはR2基のいずれかがCOR5の場合、化合物IIは、α,β−不飽和α,β−ジカルボン酸またはその誘導体である。R1がCOR5の場合、化合物IIは、必要に応じて置換されたフマル酸または必要に応じて置換されたフマル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。R2がCOR5の場合、化合物IIは、必要に応じて置換されたマレイン酸または必要に応じて置換されたマレイン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。
【0122】
2とR4とがともに−CO−O−CO−基を形成する場合、化合物IIは必要に応じて置換された無水マレイン酸である。R2とR4がともに−CO−NRX−CO−基を形成する場合、化合物IIは必要に応じて置換されたマレイミドである。
【0123】
1またはR2とR4の両方がCOR5基の場合、R1またはR2及びR4の基の中のR5基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0124】
.R1基とR2基がHまたはC1−C6−アルキルであり、R3がCH2COR5である場合、化合物IIは、必要に応じて置換されたイタコン酸または必要に応じて置換されたイタコン酸誘導体(塩、エステル、またはアミド)である。R3がCH2COR5で、R4がCOR5基の場合、R3基とR4基におけるR5基は同一であっても異なっていてもよい。
【0125】
本発明のある好ましい実施形態において、式IIの化合物中のR1基、R2基およびR3基のすべてがHであるか、R1基、R2基およびR3基の二つがHで第三の基がメチルであり、R4はCOR5である。ただし、R5は、上記の一般的な意味、または次の好ましい意味を有する。具体的には、この好ましい実施形態において、この化合物IIは、アクリル酸またはアクリル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R1、R2およびR3=H)、メタクリル酸またはaメタクリル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R1及びR2=H、R3=メチル)、クロトン酸またはaクロトン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R1、R3=H、R2=メチル)、またはイソクロトン酸またはイソクロトン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R2及びR3=H、R1=メチル)である。
【0126】
第二の他の好ましい実施形態においては、R1基、R2基およびR3基のすべてがHで、あるいはR1基、R2基およびR3基のうち二つがHで第三の基がメチルで、R4がCNである;即ちこの場合、化合物IIは、必要に応じて置換されたアクリロニトリルである。
【0127】
第三の他の好ましい実施形態においては、R1基とR3基の双方がHであるか、R1基とR3基のうち一つがメチルで、他方がHであり、R2基とR4基がいずれの場合もCOR5基である。なお、R2基とR4基におけるR5は同一であっても異なっていてもよく、R5は上記の一般的な意味または以下の好ましい意味を持つ。この場合、化合物IIは、マレイン酸またはマレイン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R1及びR3=H)またはシトラコン酸またはシトラコン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)(R1=H、R3=メチル)である。
【0128】
第四の他の好ましい実施形態においては、R1基とR3基はいずれもHであるか、一方の基がメチルで他方がHであり、R2とR4は、ともに−CO−O−CO−基を形成する;即ち、この場合、化合物IIは、無水マレイン酸(R1及びR3=H)またはシトラコン酸無水物(R1=H、R3=メチル)である。
【0129】
第5の他の好ましい実施形態においては、R1基とR3基のいずれもがHであり、一方の基がメチルで他方がHであり、R2基とR4基は、共に−CO−NRx−CO基を形成する。ただし、Rxは、上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有する。この場合、化合物IIは、マレイミド(R1及びR3=H)、又はシトラコンイミド(R1=H、R3=メチル)である。
【0130】
第6の他の好ましい実施形態においては、R2基とR3基のいずれもがHで、一方の基がメチルで他方がHであり、R1とR4はCOR5基である。なお、R1基とR4基の中のR5は、同一であっても異なっていてもよく、R5は上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有する。したがって、この場合、化合物IIは、必要に応じてメチル−置換されたフマル酸または必要に応じてメチル−置換されたフマル酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。
【0131】
第7の他の好ましい実施形態においては、R1基とR2基のいずれもがHで、一方の基がメチルで他方がHであり、R3はCH2COR5であり、R4はCOR5である。なお、R3基とR4基におけるR5は同一であっても異なっていてもよく、R5は上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有する。したがって、この場合、化合物IIは、必要に応じてメチル−置換されたイタコン酸または必要に応じてメチル−置換されたイタコン酸誘導体(塩、エステルまたはアミド)である。
【0132】
6基における、式−A−[X−A−]m−R9で示される基において、Aは、好ましくはエチレンまたは1,2−プロピレンであり、特にエチレン(−CH2−CH2−)である。
【0133】
式−A−[X−A−]m−R9で示される基において、Xは、好ましくはOであり、同時にR9はOR11である。なお、R11は、上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有し、この場合、mは好ましくは1〜10の数、特に好ましくは1〜5の数である。
【0134】
この場合、COR5(なお、R5はOR6で、R6は−A−[X−A−]m−R9)は、エチレングリコールやジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリ(エーテルポリ)オール、またはエチレングリコールモノメチルエーテルや、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのモノエーテル化ポリ(エーテルポリ)オールからのアルコール成分由来のカルボン酸エステル基である。
【0135】
あるいは、式−A−[X−A−]m−R9で示される基において、Xは好ましくはNR10であり、同時にR9はNR1213である。なお、R10、R12およびR13は、上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有し、mは0〜10の数、好ましくは0〜6の数である。
【0136】
この場合、COR5基は、アルカノールアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミン由来の、またはモノ−またはポリアルコキシル化ポリアミン由来のエステル基である。即ち、少なくとも一種のアミン窒素原子が少なくとも一種のヒドロキシアルキル基を有しているポリアミン由来のエステル基である。例えば、アルコール成分中のエステル基は、エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエタノールメチルアミン、ジエタノールエチルアミン、トリエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N'−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)N',N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N',N'−ジエチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N'−(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N',N'−ジメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N',N'−ジエチルジエチレントリアミンなどに由来する。
【0137】
A−[X−A−]m−R9で示される基において、Xは特に好ましくはOであり、R9は特に好ましくはOR11である。
なお、A、R9及び11は、上述の一般的な意味または好ましい意味または次の好ましい意味を有する。
【0138】
11は、好ましくはHまたはC1−C4−アルキルであり、特に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、特にHである。
【0139】
10、R12およびR13は、相互に独立して、好ましくはH、C1−C4−アルキルまたはC2−C4−ヒドロキシアルキルであり、特に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、特にHである。
【0140】
6がアリールの場合、このアリール基は、好ましくは、C1−C6−アルキル、C1−C6−ハロアルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、CN、COORd、CORe、SO2ORf、SO29、SRh、およびNRjiから選ばれる1〜4個の基により必要に応じて置換されたフェニル基から選ばれる。なお、Rd、Re、Rf、Rg、及びRhは、相互に独立して、HまたはC1−C6−アルキルであり、RiとRjは、相互に独立して、H、C1−C6−アルキルまたはC2−C6−ヒドロキシアルキルである。アリール基は、特に好ましくはフェニルまたはトリルであり、特にフェニルである。
【0141】
6がアリール−C1−C4−アルキルの場合、この基は好ましくはベンジルと2−フェニルエチルから選ばれる。特に、これはベンジルである。
【0142】
6がヘテロシクリル−C1−C4−アルキルの場合、この基は、好ましくはグリシジル(オキシラニルメチル)である。
【0143】
6は、特に好ましくは、H、C1−C20−アルキル(特にC1−C10−アルキル、特にC1−C4−アルキル)、C2−C10−ヒドロキシアルキル(特にC2−C4−ヒドロキシアルキル)、ヘテロシクリル−C1−C4−アルキル(特に、グリシジル)、アリール(特に、フェニル)、アリール−C1−C4−アルキル(特に、ベンジル)、式−A−[O−A]m−OHの基(式中、Aは、好ましくはエチレン、mは1〜4の数である)、または式−A−[NR10−A]m−NR1213の基(式中、Aは好ましくはエチレン、R10は好ましくはH、R12とR13は好ましくはH、メチルまたはエチル、mは好ましくは0〜4の数、特に0である)である。
【0144】
特に、R6は、HまたはC1−C10−アルキルであり、特にHまたはC1−C4−アルキルである。(My+1/yは、金属等価物あるいはアンモニウムイオンである。yは、1〜3の数で、金属カチオンの電荷数を表す。好ましいアンモニウムイオンは、式NHR'R''R'''で表される。式中、R'、R''およびR'''は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルである。好適な金属等価物は、ナトリウム、カリウムまたはリチウムなどのアルカリ金属、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの第三族の金属、鉄または銅などの遷移金属の一重または多重に正に荷電したカチオンである。好ましい金属は、アルカリ金属とアルカリ土類金属であり、特にアルカリ金属である。好適なアンモニウムイオンは、例えば、アンモニウムイオン(NH4+)および、プロトン化した次のアミン類:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンやトリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミンやトリプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0145】
(My+1/yは、好ましくは、Na+またはK+などのアルカリ金属カチオンである。
【0146】
7基とR8基において、式−B−[Y−B−]o−R14の基において、Bは、好ましくはエチレンまたは1,2−プロピレンであり、特にエチレンである。
【0147】
Yは、好ましくはNR15であり、R15は、上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有する。
【0148】
15は、好ましくはHまたはC1−C4−アルキルであり、特に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、特にHである。
14は、好ましくはNR1617であり、R16とR17は、相互に独立して、上述の一般的な意味または次の好ましい意味を有する。
【0149】
16とR17は、相互に独立して、好ましくはHまたはC1−C4−アルキルであり、特に好ましくはH、メチルまたはエチルであり、特にHである。
【0150】
oは、好ましくは0〜6の数で、特に0〜4の数である。
【0151】
YがNR15であり及び/又はR14がNR1617である場合、多くともR8が、式−B−[Y−B]o−R14の基であり、R7は、H、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルである。
【0152】
8が、式−B−[Y−B]o−R14であり、YがNR15で、同時にoが1〜10の数で、及び/又はR14がNR1617である場合、COR5(R5=NR78:R7=H.C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキル、及びR8=上述の基)は、ジ−またはポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどに由来するカルボキシアミド基である。
【0153】
好ましくは、R7とR8は、相互に独立して、HまたはC1−C10−アルキル、特にC1−C4−アルキルであり、またはR7は、HまたはC1−C10−アルキル、特にC1−C4−アルキルであり、またR8は、式−B−[Y−B]o−R14の基である。なお、式中、変数B、Y、R14、及びoは、上述の一般的な意味または好ましい意味を有する。特に好ましくは、R7とR8がともにH、ともにメチル、またはともにエチルである。
【0154】
式IIの好適な化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、これらの酸の塩(特に、対イオンとしてナトリウム、カリウムまたはアンモニウムを持つもの)、スルホプロピルアクリレート(アクリル酸3−スルホプロピルエステル)、カリウムスルホプロピルアクリレート(アクリル酸3−スルホプロピルエステルカリウム塩)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、nブチルアクリレート、2−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−および3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−、3−および4−ヒドロキシブチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチルアクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−および3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−、3−および4−ヒドロキシブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、(2−オキソ−1−ピロリジニル)メタクリル酸エチル、イタコン酸無水物、無水マレイン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルが挙げられる。
【0155】
式IIの好ましい化合物は、R1とR2がHであり、R3がHまたはメチルである。式IIの特に好ましい化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルである。
【0156】
式IIの化合物のさらに好ましい例は、R1とR2がHで、R3がHまたはメチルで、R4がCOR5のものである。即ち、さらに好ましい式IIの化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、およびメタクリルアミドである。
【0157】
特に好ましくは、R5はOR6またはO(My+1/yである。即ちさらに好ましい式IIの化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸塩、およびメタクリル酸塩である。
【0158】
特に、化合物IIは、アクリル酸またはC1−C20−アルコールのアクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートなどである。
【0159】
化合物IIIにおいて、R18、R19とR20とは、好ましくはH又はR18基、R19基及びR20基の一つがメチルで、残りの二つ基がHである。特に好ましくは、すべての三つの基がHである。
【0160】
21がOR22である化合物IIIは、アルケニルアルキルエーテルである。これらは、好ましくはC1−C20−アルキルビニルエーテル(R18、R19及びR20=H)、またはC1−C10−アルキルプロペニルエーテル(R18基、R19基及びR20基の一つがメチルで、残る二つの基がH)である。特に、これらは、C1−C10−アルキルビニルエーテルである。これらの例としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ノナデシルビニルエーテル、ドコシルビニルエーテル、およびこれらの位置異性体が挙げられる。
【0161】
21がO−(CO)−R23である式IIIの化合物は、飽和脂肪族C1−C21−カルボン酸のアルケニルエステルである。これらは、好ましくは相当するビニルまたはプロペニルエステルであり、特にビニルエステルである。これらの例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルペンタノエート、ビニルヘキサノエート、ビニルヘプタノエート、ビニルオクタノエート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルノナノエート、ビニルデカノエート、ビニルラウレート、ビニルパルミテート、ビニルステアレートなどが挙げられる。好ましいビニルエステルは、酢酸ビニルである。
【0162】
21がN(R25)−(CO)−R24である式IIIの化合物は、飽和脂肪族C1−C21−カルボン酸のN−アルケニルアミドである。これらは、好ましくは相当するN−ビニル−またはN−プロペニルアミドであり、特にN−ビニルアミドである。これらの例としては、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−メチル−N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルブチルアミド、N−メチル−N−ビニルブチルアミドなどが挙げられる。好ましいビニルアミドは、N−ビニルホルムアミドである。
【0163】
21基におけるアリールは、好ましくは無置換又は1〜4個の置換気を持つフェニルである。適当な置換基は、例えば、C1−C4−アルキル、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、およびニトロである。R21がアリールである化合物IIIの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−、3−および4−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2−クロロスチレン、2−、3−および4−ビニル安息香酸、α−メチルビニル安息香酸、ジエチルアミノ−α−メチルスチレン、ジエチルアミノスチレン、p−ビニルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。R21がアリールである好ましい化合物IIIは、スチレン、α−メチルスチレン、及び2−、3−および4−メチルスチレンである。
【0164】
21基におけるヘテロアリールは、好ましくは1〜3個のO、S、N及びNRm(式中、RmはHまたはC1−C4−アルキル)から選ばれるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を持つ5員環または6員環の複素芳香族である。このヘテロアリール基は、好ましくは少なくとも一種の窒素原子を含む。特に好ましくは、OもSも含まない。このヘテロアリール基は、環炭素原子及び環窒素原子経由でアルケニル基と結合していてもよい。R21がヘテロアリールである好適な化合物IIIの例としては、N−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、N−ビニル−[1.2.4]−1H−トリアゾール、3−ビニル−[1.2.4]−1H−トリアゾール、N−ビニル−[1.3.4]−1H−トリアゾール、2−ビニル−[1.3.4]−1H−トリアゾール、ビニルピリジン、特にp−ビニルピリジン、及びビニルピリジン−N−酸化物があげられ、特にp−ビニルピリジン−N−酸化物が挙げられる。
【0165】
21基におけるヘテロシクリルは、1、2、3または4個のOとNから選ばれるヘテロ原子と、必要に応じて1または2個のカルボニル基を環要素として含む3員〜10員環の飽和又は不飽和非芳香族ヘテロ環式基である。R21がヘテロシクリルである化合物IIIの例としては、N−ビニルピロリドンとN−ビニルカプロラクタムが挙げられる。
【0166】
好ましい式IIIの化合物は、R18基、R19基及びR20基すべてがHであるか、一つ基がメチルで残り二つの基がHであり、R21はOR22、OCOR23、N(R25)−CO−R24、アリールまたはヘテロシクリルである。アリールは、好ましくは上述のように必要に応じて置換されたフェニルであり、特にフェニルまたは2−、3−、または4−メチルフェニルである。R23は好ましくはメチルである。好ましい式IIIの化合物の例としては、C1−C20−アルキルビニルエーテル(特にC1−C10−アルキルビニルエーテル)、飽和脂肪族C1−C21−カルボン酸のビニルエステル(特に飽和脂肪族C1−C1−カルボン酸のビニルエステル、特に酢酸ビニル)飽和脂肪族C1−C21−カルボン酸のN−ビニルアミド(飽和脂肪族C1−C11−カルボン酸のN−ビニルアミド、特にN−ビニルホルムアミド)、N−ビニル−置換ヘテロシクリル(特に、N−ビニルピロリドンやN−ビニルカプロラクタム)、スチレン、α−メチルスチレン、及び2−、3−および4−メチルスチレンが挙げられる。
【0167】
フリーラジカル重合が可能なモノマーは、特に好ましくは、C2−C10−アルケンおよび式II及び式IIIで表される化合物から選ばれる。これらは、相互に混合して使用できる。適当で好ましいC2−C10−アルケン、式II及び式IIIで表される化合物に関する上記の記述を、本明細書に引用する。特に好ましいモノマーを、他のフリーラジカル重合が可能なモノマー、好ましくは上述の好ましいモノマー、例えばハロゲン化C2−C10−アルケン、C4−C10−アルカジエン及び/又はハロゲン化4−C10−アルカジエンと組合わせて用いることもできる。
【0168】
より好ましくは、式IIの少なくとも一種の化合物を、必要に応じて少なくとも一種の他のフリーラジカル重合可能なモノマーとの組み合わせを、本発明の方法におけるフリーラジカル重合可能なモノマーをして使用することができる。上記モノマーは、好ましくは上述の好ましいモノマー、即ちC2−C10−アルケン、ハロゲン化C2−C10−アルケン、C4−C10−アルカジエン、ハロゲン化C4−C10−アルカジエン、及びその他の式II及び式IIIで表される化合物から選ばれる。式II及び式IIIの適当で好ましい化合物について、上記記述を引用する。上記少なくとも一種の化合物IIをともに重合可能な特に好ましいモノマーは、C2−C10−アルケン(中では、エテンとプロペンが好ましい)及び式IIIで表される化合物(中でも、R18基、R19基及びR20基のすべてがHであるか、一基がメチルで残る二基がHであり、R21がOR22、OCOR23またはアリールのものが好ましい)から選ばれる。なお、アリールは、好ましくは上述のように必要に応じて置換されたフェニル、特にフェニルまたは2−、3−または4−メチルフェニルが好ましい。
【0169】
特に、本発明の方法は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体の、特にアクリル酸またはアクリル酸誘導体のホモポリマー又はコポリマーの製造に用いることができる。もし本発明の方法が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体のコポリマーの製造に使用される場合、好ましいコモノマーは、第一のモノマーとして用いられアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体とは異なる化合物II、C2−C10−アルケン(特にエチレンやプロピレン)、及び式IIIで表される化合物(特にC1−C10−アルキルビニルエーテル)、スチレン、α−メチルスチレン、2−、3−および4−メチルスチレン、及び飽和脂肪族C1−C11−カルボン酸のビニルエステル(例えば酢酸ビニル)から選ばれる。
【0170】
特に、本発明の方法は、アクリル酸のホモ重合または共重合、特に式IIの他の化合物との共重合に有用である。
【0171】
適当なフリーラジカル開始剤(開始剤とも呼ぶ)は、すべて従来のフリーラジカル重合で用いられる開始剤系である。これらには、熱分解する化合物(過酸化物、パーオキシエステルまたはアゾ化合物)、酸化還元系開始剤システム、光化学開始剤システム、高エネルギー放射(電子線、エックス線またはγ線放射)が挙げられる。この開始剤系は、ある反応条件下で連鎖移動剤との間に好ましくない相互作用が出ないように選ぶことが有利である。また、この開始剤は、できれば選択した反応媒体中またはモノマー混合物中に溶解すべきである。
【0172】
好適なアゾ化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−シアノ−2−ブタン)、ジメチル2,2'−アゾビス(イソブチレート)、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4'−アゾビス(シアノペンタン−1−オール)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]−プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2'−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)が挙げられる。
【0173】
好適なペルオキシ化合物の例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシオクタノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジベンジルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ナトリウムペルオキシジスルフェート、カリウムペルオキシジスルフェート、およびアンモニウムペルオキシジスルフェートが挙げられる。
【0174】
光化学開始剤系としては、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン,アリールホスフィン酸化物、および光レドックス系が挙げられる。
【0175】
レドックス開始剤系、原則として少なくとも一種の酸化剤と少なくとも一種の還元剤をの組み合わせからなる。適当な酸化剤としては、例えば、カリウムペルオキシジスルフェート、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキシドが挙げられる。好ましい還元剤は、例えば、鉄(II)塩や、チタン(III)塩、チオ亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウムが挙げられる。
【0176】
好ましく用いられるフリーラジカル開始剤は、等方的に開裂する化合物であり、中でもアゾ化合物が特に好ましい。特に上記のアゾ化合物の一つを用いることが好ましい。
【0177】
用いるフリーラジカル開始剤の量は、特に得られるポリマーの望ましい分子量、望ましい多分散性や、高分子構造により異なる。しかし、原則として、重合に用いるモノマーの全重量に対して、10重量%を超えない量、好ましくは0.001〜5重量%で使用される。
【0178】
反応ゾーンでのフリーラジカルの濃度を可能な限り低く抑えるために、また制御されたフリーラジカル重合を行うために、開始剤(フリーラジカル開始剤)に比較して、過剰量で連鎖移動剤を添加する必要がある。等方的に分解して二つのラジカルを生成する化合物をフリーラジカル開始剤として選んだ場合、鎖移動試剤と開始剤の比率は、少なくとも2:1である必要がある。しかしながら、重合に用いるモノマーによっては、実質的により高い連鎖移動剤とフリーラジカル開始剤の比を必要とする場合もある。いずれの場合も、重合用モノマーまたはモノマー混合物の制御されたフリーラジカル重合に最適の比率は、簡単な予備実験で当業界の熟練者により決定することができる。
【0179】
連鎖移動剤とフリーラジカル開始剤のモル比は、好ましくは少なくとも2:1、例えば2:1〜100:1または2:1〜10:1、特に好ましくは少なくとも3:1、例えば3:1〜100:1または3:1〜10:1、例えば約4:1あるいは約5:1である。
【0180】
本発明に係る重合プロセスは、ホモポリマー及びランダムコポリマーの製造に使用できるが、特にまた、ブロックコポリマー、勾配コポリマー、および他の複合体ポリマー構造の製造に使用できる。
【0181】
類似の反応性を持つコモノマーを実質的に同時に添加して重合すると、原則としてランダムコポリマーが生成するが、個々のコモノマーを、所望の配列で順番に添加するとブロックコポリマーを製造することもできる。「純粋な」ブロック、即ち実質的に単一コモノマーからなるブロック状となるまで既添加のコモノマー実質的に完全に消費された後、それぞれ次のコモノマーの添加を行うことが好ましい。本発明の方法においては、コモノマーブロックを単離・保存し、その後他のコモノマーと反応させることもできる。もし重合が従来の停止反応で実際終了しない場合、それぞれジチオールチオンIで末端を停止された(「休眠」)リビングポリマー鎖は、例えば残存するモノマーを除去し、また必要に応じて溶媒を除去することにより、「休眠」ポリマー鎖を残して単離することができる。これらのポリマーは、所望の時期に、例えば熱的に再活性化でき、例えば他のコモノマーまたは所望の末端基と反応させることができる。この方法は、もちろん、ホモポリマーまたはランダムコポリマーの場合に一定の末端基を導入するのに用いることもできる。
【0182】
勾配コポリマーの製造には、異なる反応性(重合速度)を持つ重合用コモノマーを、特定の反応条件下で同時に重合反応に添加する。
【0183】
星型ポリマーの製造については、J.Pol.Sci.Polym.Chem.2003,41,365、及びそこに引用の文献に記載の方法を参照されたい。
【0184】
本発明に係る重合プロセスは、バッチ、半バッチ、連続、またはフィード法により、
塊重合、溶液重合、乳化重合または懸濁重合で実施することができる。
【0185】
乳化重合や懸濁重合は、原則として水性媒体中で行われ、この媒体は、通常安定剤や散剤、他の添加物などの助剤を含んでいる。
【0186】
溶液重合では、溶媒の選択は特に重合に用いるモノマーによる。非常に一般的には、ペンタンやヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、またはベンゼンやトルエン、クロロベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの非極性溶剤が、無極性モノマーにはより好ましい。したがって、より極性の高い溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはメチルアミルケトンなどのケトン、酢酸エチルや酢酸プロピルなどのエステル、ジエチレングリコールやリエチレングリコールなどのグリコールエーテル、ジエチルエーテルやメチル−tertブチルエーテルやジイソプロピルエーテルなどの開鎖型エーテル、及びテトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテルが、より極性の高いモノマーに好適である。より高極性のコモノマーと無極性なコモノマーの共重合には、上記の高極性溶媒が好ましくは用いられる。ごく極性の高いモノマーには水も適当である。本発明の方法で特に好ましく用いられる式IIのモノマー及びそれを含むモノマー混合物には、水及び上述の高極性溶媒、特に水と環状のエーテルが特に好適である。
【0187】
反応を実施するに当たり、重合を開始する前に連鎖移動剤を投入する方法を採用する、すなわち連鎖移動剤を好ましくはフリーラジカル開始剤の前に添加する方法をとることが好ましい。これは重合の進行を可能な限り制御するためである。
【0188】
本発明に係る重合プロセスは、先行技術のフリーラジカル重合制御のための既知の方法、例えば、WO2004/014967、US−A−2003/0195310、EP−A−1205492、WO2004/056880、および特にWO99/31144及びこれらの文書に引用の文献に記載の方法により実施できる。なお、これらはすべて、引用として本明細書に援用する。原理的には、本方法は、既知のフリーラジカル重合方法と同様に実施でき、大きな差異は連鎖移動剤の使用にある。
【0189】
本発明は、さらに式Iの化合物またはその混合物の制御されたフリーラジカル重合反応における連鎖移動剤としての利用に関する。特に、これらの制御されたフリーラジカル重合反応は、いわゆるRAFT重合である。好ましい化合物Iや、適当なまたは好ましいモノマー、反応条件については、上記の記述を参照されたい。
【0190】
最後に、本発明は、本発明の方法により得られ、化合物Iに由来する基により停止させられたポリマーに関する。「停止させられた」とは、このポリマーが、鎖成長が始まった鎖末端とは反対の末端に化合物Iに由来する、リビング鎖末端とこの化合物との反応で形成した結合基を有していることを意味する。本発明に係るポリマーは、その狭い分子量分布に際立った特徴がある。したがって、そのPDIは、好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.5以下、特に1.3以下である。また、これらのポリマーは、また、例えば熱的な励起によりまたフリーラジカル開始剤の添加により、いつでも再活性化可能であること、さらに例えば他のモノマーまたはコモノマーと反応することができることに際立った特徴がある。
【0191】
個数平均分子量及び重量平均分子量MnとMw、及び多分散指数(PDI=Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。その際に用いた標準は、それぞれの(コ)ポリマーに通常用いられるものであり、例えばポリアクリル酸の場合水であり、非水溶性の(コ)ポリマーの場合はポリスチレンである。
【0192】
本発明の方法で得られるポリマーは、狭い分子量分布に特徴がある。したがって、そのPDIは、好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.5以下、特に1.3以下である。また、これらのポリマーは、相互に明確な境界を持つコモノマーブロックからなるブロックコポリマーや個々のコモノマーの濃度が明確に増加または減少する勾配コポリマーなど、明確で事前に設計可能なポリマー構造をとっていることに特徴がある。
【0193】
化合物Iとその混合物は、フリーラジカル重合において効果的な連鎖移動剤と作用し、従来の連鎖移動剤と較べて、その活性において決して劣るものではない。しかしながら、式Iの化合物は、同時に容易にかつ経済的に製造されるため、これらは、制御されたフリーラジカル重合を、製造の難しい高価なジチオ化合物を連鎖移動剤として用いる従来技術の方法より、実質的により経済的に実施することができる。また同時に、従来のフリーラジカル重合の利点、即ち、特に、広範囲の重合性モノマー、反応物純度に対する低厳格性、プロセス設計の単純性などの利点を保持している。
【実施例】
【0194】
以下の例は、本発明を説明するためのものであって、なんら制限するためのものではない。
【0195】
実施例1:アクリル酸の重合
還流冷却器及びガス導入チューブを備えた1lのフラスコ中で、溶液中に窒素を連続的に吹き込みながら、72g(1mol)のアクリル酸と、10.22g(0.05mol)の4−ネオペンチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオン(式I.a.1の化合物、式中、RはHで、cは0)と4−メチル−5−tert−ブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオンの混合物とを、200mlのジオキサンに溶解した。この混合物を100℃に加熱し、1.222g(5mmol)の1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)を加え、その後3時間攪拌した。室温に冷却後、揮発性成分(溶媒及び未変換のアクリル酸)は、1mbar、100℃で留去した。30g(80%)の黄褐色の水溶性粉末が得られ、これを、D2O中で1H−NMRで分析した。生成物は、連鎖移動剤分子当たり6個のアクリル酸単位を有していた。数平均分子量Mnは2600であり、多分散指数(PDI=Mw/Mn)は1.3であった。
【0196】
実施例2:化合物Iの鎖移動剤としての効果の証拠
還流冷却器とガス導入チューブを備えた1lフラスコ中で、溶液中に窒素を連続的に吹き込みながら、72g(1mol)のアクリル酸と10.22g(0.05mol)の4−ネオペンチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオンと4−メチル−5−tert−ブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオンとの混合物とを、500mlのジオキサンに溶解した。この混合物を70℃に加熱し、1.242g(5mmol)の2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加え、その後、3時間攪拌した。室温に冷却後、揮発性成分(溶媒及び未変換のアクリル酸)は、1mbar、100℃で留去した。16gの水に不溶性の褐色粉末が得られ、この粉末を、CDCl3中で1H−NMRで分析した。アクリル酸単位は見つからなかった。開始剤は添加されたものの、重合が起こらなかったことを示す。この結果は、生成したラジカルが直ちに連鎖移動剤のチオエステル基と反応し、アクリル酸の重合が進ませるためにこの付加物を切断するには高温が必要であることを示す。これは、チオ化合物が連鎖移動剤として作用していることを証明する。
【0197】
実施例3:アクリル酸/ブチルアクリレートブロックコポリマーの製造
還流冷却器とガス導入チューブを備えた1lフラスコ中で、溶液中に窒素を連続的に吹き込みながら、10g(約15mmol)の実施例1からの「休眠」アクリル酸ポリマーと38.4g(0.3mol)のブチルアクリレートを、50mlのジオキサンに溶解した。この混合物を80℃に加熱し、0.288g(1.5mmol)の2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を加え、その後、3時間攪拌した。室温に冷却後、揮発性成分(溶媒及び未変換のアクリル酸)は、1mbar、100℃で留去した。12.7g(理論量の28%)の赤褐色の硬いワックス状粉末が得られた。これを、CD3OD中で、1H−NMRで分析した。生成物は、連鎖移動剤一分子中に、6個のアクリル酸単位と5個のブチルアクリレート単位を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御されたフリーラジカル重合によるポリマーの製造方法であって、
フリーラジカル重合可能な少なくとも一種のモノマーを、少なくとも一種のフリーラジカル開始剤、及び少なくとも一種の下記式I:
【化1】

[式中、
aとRbは、相互に独立して、H、ハロゲン、OH、SH、CN、ニトロ、アミノ、ホルミル、カルボキシル、チオカルボキシル(−C(S)OH)、ジチオカルボキシル(CSSH)、アリール、C1−C80−アルキル、C2−C80−アルケニル、C2−C80−アルキニル、C1−C10−アルキルオキシ、C2−C10−アルケニルオキシ、C2−C10−アルキニルオキシ、C1−C10−アルキルチオ、C2−C10−アルケニルチオ、C2−C10−アルキニルチオ、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルオキシカルボニル、C1−C10−アルキルオキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルオキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルオキシチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルアミノ、又はジ(C1−C10−アルキル)アミノであり(ただし、上記19種の基中のアルキル、アルケニル、及びアルキニルは、無置換であっても、部分的または完全にハロゲン化されていても、及び/又は、OH、C1−C10−アルコキシ、SH、C1−C10−アルキルチオ、CN、ニトロ、アミノ、C1−C10−アルキルアミノ、ジ(C1−C10−アルキル)アミノ、ホルミル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、カルボキシル、チオカルボキシル、C1−C10−アルコキシカルボニル、C1−C10−アルコキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシチオカルボニルオキシ、及びアリールから選ばれる同一または異なる置換基を1、2、3又は4個有していてもよい)、又は
aとRbが、これらが結合する炭素原子とともに、O、S及びNから選ばれる1、2または3個のヘテロ原子及び/又は1または2個のカルボニル基を環の要素として含む5員環または6員環の飽和又は不飽和の環を形成し(ただし、前記環が、ハロゲン、OH、C1−C4−アルキル、C1−C4−ハロアルキル、C1−C4−アルコキシ、およびC1−C4−ハロアルコキシから選ばれる置換基を1,2または3個有していてもよい)]
で示される連鎖移動剤、及び必要に応じて、少なくとも一種の溶媒の存在下で重合することを特徴とする方法。
【請求項2】
aとRbが、相互に独立して、H、ホルミル、カルボキシル、チオカルボキシル、アリール、C1−C80−アルキル、C2−C80−アルケニル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、C1−C10−アルキルオキシカルボニル、又はC1−C10−アルキルオキシチオカルボニル(上記6個の基中のアルキルおよびアルケニルは、無置換であっても、部分的または完全にハロゲン化されていても、及び/又はOH、C1−C10−アルコキシ、SH、C1−C10−アルキルチオ、CN、ニトロ、アミノ、C1−C10−アルキルアミノ、ジ(C1−C10−アルキル)アミノ、ホルミル、C1−C10−アルキルカルボニル、C1−C10−アルキルチオカルボニル、カルボキシル、チオカルボキシル、C1−C10−アルコキシカルボニル、C1−C10−アルコキシチオカルボニル、C1−C10−アルキルカルボニルオキシ、C1−C10−アルキルチオカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシカルボニルオキシ、C1−C10−アルコキシチオカルボニルオキシ、及びアリール選ばれる同一または異なる置換基を1、2、3または4個有していてもよい)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
aとRbとが、相互に独立して、H、メチル、または下記式I.a:
【化2】

(式中、aは0または1であり、bは1〜20の数である)で示される基であり、Ra基及びRb基の少なくとも一方が式I.aで示される基である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
bが1又は2である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フリーラジカル重合が可能なモノマーが、C2−C10−アルケン、ハロゲン化C2−C10−アルケン、C4−C10−アルカジエン、ハロゲン化C4−C10−アルカジエン、下記式II
【化3】

[式中、
1とR2は、H、C1−C6−アルキルまたはCOR5であり、R1基またはR2基の一個以下がCOR5であり;
3は、H、C1−C6−アルキル、またはCH2COR5であり、R1基またはR2基の一方がCOR5である場合、R3はCH2COR5ではなく;
4はCOR5またはCNであり、R1基またはR2基の一方がCOR5であるかR3がCH2COR5である場合、R4はCNではなく;又は
2とR4は、共に−CO−O−CO−基または−CO−NRX−CO−基(但し、RxはH又はC1−C10−アルキルである)を形成し;
5は、それぞれ独立してOR6、O-(My+1/y又はNR78であり;
6は、H、C1−C20−アルキル、C2−C10−ヒドロキシアルキル、シリルで置換されたC1−C10−アルキル、アミン又はアンモニウムで置換されたC1−C10−アルキル、スルホ又はスルホネートで置換されたC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、C3−C10−シクロアルキル−C1−C4−アルキル、アリール、アリール−C1−C4−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−C4−アルキル、又は式−A−[X−A]m−R9(式中、
Aは、C2−C4−アルキレン基であり;
Xは、OまたはNR10であり;
9は、OR11またはNR1213であり;
10、R12とR13は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキルまたはC2−C10−ヒドロキシアルキルであり;
11は、HまたはC1−C10−アルキルであり;及び
mは0〜10の数である)
で示される基であり、
(My+1/yは、金属等価物又はアンモニウムイオンであり、yは1〜3の数であり;
7及びR8は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキル、C2−C10−ヒドロキシアルキル、又は式−B−[Y−B]o−R14(式中、
Bは、C2−C4−アルキレン基であり;
Yは、OまたはNR15であり;
14は、NR1617、またはOR18であり;
16とR17は、相互に独立して、H、C1−C10−アルキル基またはC2−C10−ヒドロキシアルキル基である)で示される基であり
15とR18は、相互に独立して、HまたはC1−C10−アルキル基であり;及び
oは0〜10の数である]
で示される化合物、下記式III
【化4】

[式中、
18、R19及びR20は、相互に独立して、H又はC1−C6−アルキル基であり;及び
21は、OR22、O−(CO)−R23、N(R25)−(CO)−R24、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである(ただし、
22は、C1−C20−アルキルであり;
23とR24は、相互に独立して、H又はC1−C20−アルキルであり;及び
25は、H又はC1−C10−アルキルであり)]
で示される化合物、及びこれらの混合物から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
フリーラジカル重合が可能なモノマーが、C2−C10−アルケン、式IIで示される化合物、式IIIで示される化合物、及びこれらの混合物から選ばれる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1とR2がHであり、R3がHまたはメチルであり、R4が請求項5において式IIで示される化合物において記載した意味を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化合物IIIにおいて、R18、R19及びR20がHであるか、R18基、R19基、R20基のうちの一個がメチルであり、残りの二個の基がHであり、R21がOR22、O−(CO)−R23、N(R25)−(CO)−R24、アリール、又はヘテロシクリルである請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーラジカル重合可能なポリマーが、式IIで示される少なくとも一種の化合物、及び必要に応じて、少なくとも一種のC2−C10−アルケン及び/又は式IIIの少なくとも一種の化合物から選ばれる請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記式IIで示される化合物が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸誘導体、及びメタクリル酸誘導体から選ばれる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記重合が溶媒の存在下で行われる請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の式Iで示される化合物又はその混合物を、制御されたフリーラジカル重合反応において連鎖移動剤として使用する方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法により得られ、化合物Iに由来する基を末端に有するポリマー。

【公表番号】特表2009−541514(P2009−541514A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515875(P2009−515875)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056161
【国際公開番号】WO2007/147857
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】