説明

フルオレン基を母核とするアミン化合物並びにその製造方法及び用途

【課題】 有機エレクトロルミネッセン素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送又は正孔注入材料として利用できる新規アミン化合物及びこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるアミン化合物を用いる。
【化1】


(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Ar〜Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Arは各々独立して置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン基を母核とするアミン化合物並びにその製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関するものである。フルオレン基を母核とするアミン化合物は、感光材料、有機光導電材料として使用でき、更に具体的には、平面光源や表示に使用される有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送、正孔注入材料及び発光材料として利用できる。
【背景技術】
【0002】
感光材料や正孔輸送材料として開発されている有機光導電材料は、低コスト、加工性が多様であり、無公害性などの多くの利点があり、多くの化合物が提案されている。例えば、オキサジアゾール誘導体(例えば、特許文献1参照)、オキサゾール誘導体(例えば、特許文献2参照)、ヒドラゾン誘導体(例えば、特許文献3参照)、トリアリールピラゾリン誘導体(例えば、特許文献4,5参照)、アリールアミン誘導体(例えば、特許文献6,7参照)、スチルベン誘導体(例えば、特許文献8,9参照)等の材料が開示されている。
【0003】
中でも4,4’,4”−トリス[N,N−(1−ナフチル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)、4,4’,4”−トリス[N,N−(m−トリル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’−ビス[N−(m−トリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)等のアリールアミン誘導体が、正孔輸送又は正孔注入材料として多く使われている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【0004】
そして、最近では、数多くのフルオレン誘導体が開発されている(例えば、特許文献10,11,12,13,14,16参照)。
【0005】
しかしながら、これらの材料は、安定性、耐久性に乏しいなどの難点を有するため、例えば真空蒸着法により成膜したα−NPDの薄膜は、元来α―NPDは結晶性の化合物であるため、二週間程度放置すると結晶化又は凝集が起こり、薄膜が白濁してくる。また、代表的なフルオレン誘導体である9,9位がジメチル基である2,7−ビス(ジナフチルアミノ)−9,9−ジメチルフルオレン(例えば、特許文献11参照)及びジフェニル基である2,7−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−ジフェニルフルオレン(例えば、特許文献16参照)に関しても結晶性が高いため、上記と同様の問題がある。その結果、有機EL素子等の有機薄膜デバイスに応用した場合、ショート又はダークスポット等が発生する可能性が大きいという問題がある。現在では、優れた正孔輸送能力を有し、薄膜安定性に優れ、且つ高Tg(ガラス転移温度)を有する正孔輸送材料の開発が望まれている。また、アリールアミン類の製造方法として、塩基存在下でのアミン化合物によるアリールハライドのアミノ化反応において、トリアルキルホスフィン類とパラジウム化合物からなる触媒を用いる方法が知られている(例えば、特許文献15参照)。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3189447号明細書(クレーム)
【特許文献2】米国特許第3257203号明細書(クレーム)
【特許文献3】特開昭54−59143号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開昭51−93224号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開昭55−108667号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開昭55−144250号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開昭56−119132号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】特開昭58−190953号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】特開昭59−195658号公報(特許請求の範囲)
【特許文献10】特開平11−35532号公報(特許請求の範囲)
【特許文献11】特開平12−16973号公報(特許請求の範囲)
【特許文献12】特開平12−302756号公報(特許請求の範囲)
【特許文献13】特開平12−327638号公報(特許請求の範囲)
【特許文献14】特開平13−39933号公報(特許請求の範囲)
【特許文献15】特開平10−139742号公報(特許請求の範囲)
【特許文献16】特開平10−95972号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】「アドバンスド・マテリアルズ(Advanced Materials)」,(ドイツ),1998年,第10巻,第14号,p1108−1112(図1、表1)
【非特許文献2】「ジャーナル・オブ・ルミネッセンス(Journal of Luminescence)」,(オランダ国),1997年,72−74,p985−991(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、優れた正孔輸送能力を有し、且つ薄膜安定性に優れ、またα−NPD又はMTDATAより高Tgを有する耐久性のある新規材料を提供することである。更に詳しくは、有機EL素子等の正孔輸送材料及び発光材料に適した新規なアミン化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、一般式(1)で表されるアミン化合物が、高Tgを有すること、そのうちの多くの化合物が結晶性化合物ではなく、非晶質構造を有することから薄膜安定性に優れること、また結晶性を示したとしても、カルド構造(カルドとは、蝶番を意味する言葉であり、主鎖に対し環状の基が直接結合したものをいう)のためか長期間にわたって薄膜が白濁化しないことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、一般式(1)で表されるフルオレンを母核とするアミン化合物並びにその製造方法及び用途に関するものである。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Ar〜Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Arは各々独立して置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、ピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表す。)
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0011】
一般式(1)で表されるアミン化合物において、Ar〜Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。
【0012】
置換又は無置換のアリール基としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の芳香族基であり、具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−クロロフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、ターフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、10−フェニルアントリル基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−クロロ−1−ナフチル基、4−クロロ−2−ナフチル基、6−ブロモ−2−ナフチル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
置換又は無置換のヘテロアリール基としては、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一つのヘテロ原子を含有する芳香族基であり、例えば、4−キノリル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
また、高Tgを達成するためには、Ar及びArのうち少なくとも一つが置換又は無置換の縮合環式芳香族基、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基の他、アントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基等であることが好ましい。更に好ましくは、1−ナフチル基、9−フェナントリル基、ピレニル基、又は2−フルオレニル基を挙げることができる。また、Ar及びArのうち少なくとも一つが置換又は無置換の炭素数が16を超える縮合環式芳香族基を有する上記一般式(1)で表されるアミン化合物の場合、合成時の収率が低くなる又は異性体の量が数千ppm程残存する傾向にあることから、Ar及びArはフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基のいずれかであることが好ましい場合もある。
【0015】
一般式(1)で表されるアミン化合物において、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよく、置換又は無置換の−N−カルバゾリイル基、−N−フェノキサジニイル基、又は−N−フェノチアジニイル基を形成していてもよい。含窒素複素環は、置換基として例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、単置換又は多置換されていてもよい。これらの中で、好ましくは、無置換の、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜10のアリール基で単置換若しくは多置換された−N−カルバゾリイル基、−N−フェノキサジニイル基、又は−N−フェノチアジニイル基であり、より好ましくは、無置換の−N−カルバゾリイル基、−N−フェノキサジニイル基、又は−N−フェノチアジニイル基である。置換の−N−カルバゾリイル基、−N−フェノキサジニイル基、又は−N−フェノチアジニイル基の具体例としては、例えば、2−メチル−N−カルバゾリイル基、3−メチル−N−カルバゾリイル基、4−メチル−N−カルバゾリイル基、3−n−ブチル−N−カルバゾリイル基、3−n−ヘキシル−N−カルバゾリイル基、3−n−オクチル−N−カルバゾリイル基、3−n−デシル−N−カルバゾリイル基、3,6−ジメチル−N−カルバゾリイル基、2−メトキシ−N−カルバゾリイル基、3−メトキシ−N−カルバゾリイル基、3−エトキシ−N−カルバゾリイル基、3−イソプロポキシ−N−カルバゾリイル基、3−n−ブトキシ−N−カルバゾリイル基、3−n−オクチルオキシ−N−カルバゾリイル基、3−n−デシルオキシ−N−カルバゾリイル基、3−フェニル−N−カルバゾリイル基、3−(4’−メチルフェニル)−N−カルバゾリイル基、3−(4’−tert−ブチルフェニル)−N−カルバゾリイル基、3−クロロ−N−カルバゾリイル基、2−メチル−N−フェノチアジニイル基などを挙げることができる。
【0016】
Arは各々独立して置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。Arの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、メトキシ基、エトシキ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基等のアリール基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、ピリジル基等のヘテロアリール基が挙げられる。中でもArの好ましい置換基としては、フェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、4−ビフェニリル基、4−ターフェニリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、又は10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基である。
【0017】
一般式(1)で表されるアミン化合物において、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子である。
【0018】
アルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基等を例示することができる。
【0019】
アルコキシ基としては、炭素数1〜18の直鎖,分岐若しくは環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等を例示することができる。
【0020】
アリール基としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の芳香族基であり、具体的には、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、1−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジ−トリフルオロメチル−フルオレン−2−イル基等の前記Ar及びArと同一の置換基を挙げることができる。
【0021】
また、アリールオキシ基としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の芳香族基であり、具体的には、フェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基等を挙げることができる。
【0022】
ハロゲン原子としては、弗素、塩素、臭素、又はヨウ素原子が挙げられる。
【0023】
一般式(1)で示されるアミン化合物において、Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基としては、フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、4,4’−ビフェニルジイル基、4,4’−ターフェニルジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−9,9’−ジアルキルフルオレンジイル基等が挙げられる。また、ヘテロアリーレン基としては、2,5−チオフェンジイル基、5,5’−2,2’−ビチオフェンジイル基、4,7−ベンゾチアジアゾールジイル基、2,5−オキサジアゾールジイル基、3,5−4−フェニル−トリアゾール基、2,6−ピリジンジイル基、6,6’−2,2’−ビピリジンジイル基等が挙げられる。
【0024】
更に、アリール基が連結した下記一般式(2a)〜(2f)で表される置換基を例示することができる。
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。l、m及びnは1≦l+m+n≦4を満たす正の整数を表す。)
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、1−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基等を挙げることができる。
【0027】
一般式(1)で表される化合物のうち、好ましくは、R及びRが水素原子であるアミン化合物、特にMが単結合で表される下記一般式(3)で表されるアミン化合物である。
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、Ar及びArは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Arはフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、4−ビフェニリル基、4−ターフェニリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、又は10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基を表す。)
中でも、Ar及びArがフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビフェニリル基、又は1−ナフチル基であるアミン化合物が好ましい。
【0030】
下記表1〜11に上記一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例を示すが、これら化合物に限定されるものではない。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

【0038】
【表8】

【0039】
【表9】

【0040】
【表10】

【0041】
【表11】

【0042】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、一般式(4)
【0043】
【化4】

【0044】
(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Ar、Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を表す。)で表されるフルオレン誘導体と一般式(5)
【0045】
【化5】

【0046】
(式中、Arは置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。)
で表されるボロン酸化合物をパラジウム触媒を用いて反応させることにより合成することができる。
【0047】
上記一般式(4)で表されるフルオレン誘導体は、例えば、Suzukiカップリング反応(例えば、Chem.Rev.1995,95,p2457−2483参照)、又はパラジウム触媒を用いたアミノ化反応(前記特許文献15参照)を利用して合成可能である。
【0048】
【化6】

【0049】
【化7】

【0050】
(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子である。Zはフェノール性水酸基の保護基として使用されているものであれば特に制限はないが、好ましくはメトキシエトキシメチル基、メトキシメチル基である。Arは下記一般式(6)で表される置換基である。)
【0051】
【化8】

【0052】
(式中、Ar、Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表す。)
アミン化合物合成反応に用いられるパラジウム触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物が挙げられる。また、ポリマー固定型パラジウム触媒、パラジウム炭素等の固定化パラジウム触媒も例示できる。これらに、トリフェニルホスフィン、トリ(o―トリル)ホスフィン等の単座アリールホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン等の単座アルキルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等の二座ホスフィンを共存させて反応させてもよい。
【0053】
パラジウム触媒の使用量は、特に限定するものではないが、一般式(4)で表されるフルオレン誘導体1モルに対し、通常0.000001〜20モル%の範囲である。触媒が上記範囲内であれば、高い選択率でアミン化合物を合成できるが、高価な触媒の使用量を低減させる意味から、より好ましい触媒使用量は、フルオレン誘導体1モルに対し、パラジウム換算で0.0001〜5モル%の範囲である。
【0054】
本発明のアミン化合物合成反応において使用される塩基としては、無機塩基及び/又は有機塩基から選択すればよく、特に限定するものではないが、より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム等、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のようなアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンであって、更に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウムである。
【0055】
使用される塩基の量は、前記一般式(4)で表されるフルオレン誘導体に対し、0.5倍モル以上使用するのが好ましい。塩基の量が0.5倍モル未満では、アミン化合物の収率が低くなる場合がある。また、塩基を大過剰に加えてもアミン化合物の収率に変化はなく、反応終了後の後処理操作が煩雑になることから、より好ましい塩基の量は、1〜5倍モルの範囲である。
【0056】
本発明における反応は、通常不活性溶媒存在下で行う。使用される溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒や、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系有機溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。これらのうちより好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒である。
【0057】
本発明における反応は、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うこともできる。
【0058】
本発明における反応は、反応温度20〜300℃の範囲で行われるが、より好ましくは30〜150℃の範囲で行われる。
【0059】
本発明において反応時間は、フルオレン誘導体、アリールボロン酸、塩基、パラジウム触媒の量及び反応温度により決定されるが、数分〜72時間の範囲から選択すればよい。
【0060】
反応終了後、常法によって処理することにより目的とする化合物を得ることができる。
【0061】
本発明のフルオレン基を母核とするアミン化合物は、従来材料とは異なり、合成時に非晶質構造を有するものが多いことから、膜安定性に優れる利点を有する。従って、有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送材料としてのみでなく、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の有機光導電材料のいずれの分野においても使用できる。
【発明の効果】
【0062】
本発明による上記一般式(1)で表されるフルオレン基を母核とするアミン化合物は、高Tgであり、非晶質構造を有するものが多いことから、従来報告された材料と比較して、安定性及び耐久性に優れた材料であり、有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送材料又は発光材料等として利用できる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明する。
【0064】
尚、下記実施例で示したガラス転移温度の測定は、セイコー電子工業製SSC−5000を用い、10℃/分の昇温条件下にて行った。
【0065】
H−NMR及び13C−NMR測定は、バリアン社製Gemini200を用いて行った。
【0066】
FDMS測定は、日立製作所製M−80Bを用いて行った。
【0067】
合成例1
100mlナス型フラスコに、窒素気流下、水素化ナトリウム0.82g(34.2mmol)及びTHF25mlを加え、反応液を0℃に冷却した。そこへ、2,7−ジブロモ−4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノール 6.5g(14.3mmol)THF溶液を滴下し、引き続き2−メトキシエトキシメチルクロリド 5.3g(42.7mmol)を滴下した後、室温下で12時間攪拌し、メタノールを10ml添加し、水素化ナトリウムを分解した。その後、トルエン20mlを加えて有機相を分離した。水及び飽和食塩水にて洗浄後、有機相を濃縮した。濃縮液をエタノールから再結晶することにより、2,7−ジブロモ−9,9’−ビス[4−(2−メトキシエトキシメトキシ)フェニル]−9H−フルオレン(中間体A)を7.7g(収率=80%)単離した。同定は、H−NMR及び13C−NMRにより行った。
【0068】
【化9】

【0069】
融点:94−96℃
H−NMR(CDCl):δ=7.42−7.57(m,6H),7.06(d,4H,J=8.8Hz),6.92(d,4H,J=8.8Hz),5.23(s,4H),3.77−3.82(m,4H),3.51−3.56(m,4H),3.35(s,6H)
13C−NMR(CDCl):δ=156.2,153.4,137.8,137.6,130.8,129.2,129.0,121.7,121.5,116.1,93.4,71.6,67.7,64.4,59.0
次に、還流冷却器を備えた100mlナス型フラスコに、2,7−ジブロモ−9,9’−ビス[4−(2−メトキシエトキシメトキシ)フェニル]−9H−フルオレン 3g(4.4mmol)、ジフェニルアミン1.5g(9.2mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 1.01g(10.6mmol)及びキシレン20mlを窒素雰囲気下で加えた。その後、酢酸パラジウム4mg、トリ−tert−ブチルホスフィン 10mgを添加して120℃に昇温し、同温度で3時間攪拌させてから室温まで冷却した。水30mlを添加して有機相を分離し、濃縮した。その結果、2,7−ビス(ジフェニルアミノ)−9,9’−ビス[4−(2−メトキシエトキシメトキシ)フェニル]−9H−フルオレン(中間体B)2.8g(収率=75%)を単離した。同定は、H−NMR及び13C−NMRにより行った。
【0070】
【化10】

【0071】
H−NMR(CDCl):δ=6.81−7.45(m,34H),5.22(s,4H),3.78−3.83(m,4H),3.52−3.57(m,4H),3.36(s,6H)
13C−NMR(CDCl):δ=155.8,152.5,147.6,146.6,139.0,129.2,129.0,123.9,123.3,122.5,121.8,120.0,115.6,93.5,71.6,67.6,64.0,59.0
得られた化合物をジクロロメタン20mlに溶解させた反応液に、6N−塩酸水溶液5ml(30mmol)を加え、室温で5時間反応させてから、水を添加して有機相を分離した。得られた有機相は、更にピリジン1.03g(13.0mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物3.1g(9.9mmol)を添加して室温下で攪拌した。水を添加して有機相を分離・濃縮することで、目的とする2,7−ビス(ジフェニルアミノ)−9,9’−ビス[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]−9H−フルオレン(中間体C)を単離した。FDMSにより目的物であることを確認した。
【0072】
【化11】

【0073】
FDMS;948
合成例2
還流冷却器を備えた100mlナス型フラスコに、合成例1で得られた2,7−ジブロモ−9,9’−ビス[4−(2−メトキシエトキシメトキシ)フェニル]−9H−フルオレン 2.0g(2.9mmol)、トリフェニルアミンボロン酸1.70g(5.9mmol)、20%炭酸ナトリウム9.4g、テトラキストリフェニルホスフィン10mg及びTHF15mlを加え、5時間加熱還流した。所定時間攪拌した後、反応液を冷却して有機層を分離した。有機層は、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、濃縮することにより、2,7−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)−9,9’−ビス[4−(2−メトキシエトキシメトキシ)フェニル]−9H−フルオレン(中間体D)を2.37g淡黄色粉末として単離した。同定は、H−NMR及び13C−NMRにより行った。
【0074】
【化12】

【0075】
H−NMR(CDCl):δ=7.77(d,2H),7.54−7.58(m,4H),7.44(d,4H,J=8.8Hz),6.97−7.29(m,28H),6.90(d,4H,J=8.8Hz),5.20(s,4H),3.76−3.80(m,4H),3.49−3.54(m,4H),3.33(s,6H)
13C−NMR(CDCl):δ=155.9,152.5,147.5,147.0,139.9,139.2,138.4,135.1,129.2,127.7,126.0,124.3,124.2,123.8,122.8,120.3,115.9,93.4,71.6,67.6,64.4,59.0
合成例1と同様、6N−塩酸水溶液、トリフルオロメタンスルホン酸無水物にて処理することにより、2,7−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)−9,9’−ビス[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]−9H−フルオレンを単離した(中間体E)。FDMSにより目的物であることを確認した。
【0076】
【化13】

【0077】
FDMS;1100
合成例3
2−メトキシエトキシメチルクロリドをクロロメチルメチルエーテルに変更した以外は合成例1に準じて、2,7−ビス(ジフェニルアミノ)−9,9’−ビス[4−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]−9H−フルオレン(中間体C)を単離した。各反応で得られる中間体の同定は、H−NMR及び13C−NMRにより行った。
(1)2,7−ジブロモ−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン
H−NMR(CDCl):δ=7.44−7.59(m,6H),7.06(d,4H,H=8.8Hz),6.91(d,4H,J=8.8Hz),5.14(s,4H),3.46(s,6H)
13C−NMR(CDCl):δ=156.2,153.4,137.8,137.6,130.8,129.3,129.0,121.8,121.5,116.1,94.3,64.5,56.1
(2)2,7−ビス(ジフェニルアミノ)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン
H−NMR(THF−d):δ=7.57(d,2H,J=8.2Hz),6.78−7.22(m,32H),5.09(s,4H),3.38(s,6H)
13C−NMR(THF−d):δ=156.9,153.6,148.5,147.5,139.5,135.4,129.7,124.6,123.8,123.3,122.4,120.8,116.2,95.0,64.9,55.8
(3)2,7−ビス(ジフェニルアミノ)−9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9H−フルオレン
H−NMR(THF−d):δ=8.07(br s,2H),7.55(d,2H,J=8.2Hz),6.84−7.18(m,24H),6.52(d,4H,J=8.8Hz)。
【0078】
13C−NMR(THF−d):δ=157.1,154.4,148.7,127.5,137.2,135.7,129.9,129.8,124.7,123.9,123.3,122.9,120.8,115.4,64.9
合成例4(2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレンの合成)
2,7−ジブロモ−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン 1g(1.68mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン0.94g(3.70mmol)、ジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム36.9mmg、酢酸ナトリウム0.991g及びDMF20mlを窒素気流下で100mlナス型フラスコに加え、80℃で一晩加熱攪拌した。冷却後、トルエンにて抽出し、得られた有機相を水20mlにて2回洗浄した。有機相は無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濃縮後1.1gの2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン(中間体F)を合成した。同定は、FDMS、H−NMR及び13C−NMRにより行い、目的物であることを確認した。
【0079】
【化14】

【0080】
FDMS:690
H−NMR(THF−d):δ=7.76−7.84(m,6H),7.07(d,4H,J=8.8Hz),6.85(d,4H,J=8.8Hz),5.08(s,4H),3.37(s,6H),1.29(s,24H)
13C−NMR(THF−d):δ=157.20,152.57,143.50,139.73,134.84,132.85,129.88,120.45,116.46,95.12,84.36,65.18,55.92,25.28
実施例1(化合物1の合成)
50mlナス型フラスコに、合成例1で得られた中間体C1.0g(1.1mmol)、フェニルボロン酸0.13g(1.1mmol)、20%炭酸ナトリウム5g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム20mg、THF20mlを加え、還流下で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、上層の有機層を分離・濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルクロマトクラフィーにかけ、目的物を単離した。FDMS及び13C−NMRにより目的物であることを確認した。得られた化合物は、融点を持たないガラス転移温度が135℃の非晶質化合物であった。
【0081】
FDMS:804
13C−NMR(CDCl):153.1,148.7,147.8,145.7,141.6,140.3,135.7,129.9,129.4,127.8,127.5,127.4,124.9,124.1,123.5,122.7,121.1,65.7
【0082】
【化15】

【0083】
実施例2(化合物23の合成)
50mlナス型フラスコに、合成例1で得られた中間体E1.2g(1.1mmol)、フェニルボロン酸0.13g(1.1mmol)、20%炭酸ナトリウム5g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム20mg、THF20mlを加え、還流下で2時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、上層の有機層を分離・濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルクロマトクラフィーにかけ、目的物を単離した。FDMSにより目的物であることを確認した。ガラス転移温度は、207℃の非晶質化合物であった。
【0084】
FDMS:956
【0085】
【化16】

【0086】
実施例3(化合物3の合成)
フェニルボロン酸をビフェニルボロン酸に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、化合物3を単離した。化合物の同定は、FDMSにより行った。
【0087】
FDMS:956
【0088】
【化17】

【0089】
実施例4(化合物4の合成)
フェニルボロン酸をターフェニルボロン酸に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、化合物4を単離した。化合物の同定は、FDMSにより行った。
【0090】
FDMS:1108
【0091】
【化18】

【0092】
実施例5(化合物5の合成)
フェニルボロン酸を9−アントリルボロン酸に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、化合物5を単離した。化合物の同定は、FDMSにより行った。
【0093】
FDMS:1004
【0094】
【化19】

【0095】
実施例6〜12(化合物9,10,12,15,21,22,78の合成)
合成例1及び実施例1に準じて、化合物9,10,12,15,21,22,78を各々合成した。各化合物のガラス転移温度を表12に纏めた。
【0096】
【表12】

【0097】
実施例13(化合物23の合成)
50mlナス型フラスコに、合成例4で得られた2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン 1g(1.45mmol)(中間体F)とブロモトリフェニルアミン0.94g(2.90mmol)、20%炭酸ナトリウム4g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム20mg、THF20mlを加え、還流下で8時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、上層の有機層を分離・濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルクロマトクラフィーにかけ、目的物を単離した。FDMSにより2,7−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン(中間体G)であることを確認した。
【0098】
【化20】

【0099】
FDMS:924
合成例1及び実施例1に準じて、塩酸処理、トリフルオロメタンスルホニル化、カップリング処理を行い、化合物23を合成した。同定は、FDMSにより行った。
【0100】
FDMS:956
実施例14(化合物40の合成)
ブロモトリフェニルアミンを4’−ジ(p−トリル)アミノ−4−ブロモビフェニルに変更した以外は実施例13と同様の操作を行い、2,7−ビス[4’−ジ(p−トリルアミノ)ビフェニル−4−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレンを得た。実施例13と同様の処理を行い、化合物40を得た。同定は、FDMSにより行った。
【0101】
FDMS:1164
実施例15(化合物51の合成)
ブロモトリフェニルアミンを7−ジ(p−トリル)アミノ−9,9’−ジメチル−2−ブロモフルオレンに変更した以外は実施例13と同様の操作を行い、2,7−ビス[7−ジ(p−トリル)アミノ−9,9‘−ジメチルフルオレン−2−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレンを得た。実施例13と同様の処理を行い、化合物51を得た。同定は、FDMSにより行った。
【0102】
FDMS:1244
実施例16(化合物62の合成)
ブロモトリフェニルアミンを7−[(4−ジ−p−トリルアミノ)フェニル]−4−ブロモ−2,1,3−ベンゾチアジアゾールに変更した以外は実施例13と同様の操作を行い、2,7−ビス(7−(4−ジ−p−トリルアミノ)フェニル−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレンを得た。実施例13と同様の処理を行い、化合物62を得た。同定は、FDMSにより行った。
【0103】
FDMS:1280
実施例17(化合物34の合成)
50mlナス型フラスコに、合成例4で得られた2,7−ジ(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン(中間体F) 5.18g(7.50mmol)と4−ブロモ−4’−(ジフェニルアミノ)ビフェニル 5.70g(14.3mmol)、20%炭酸ナトリウム30g、ジクロロビス(ジフェニルアミノフェニルフェロセン)パラジウム233mg、THF60mlを加え、還流下で一晩反応させた。反応液を室温まで冷却後、上層の有機層を分離・濃縮し、得られた濃縮液をシリカゲルクロマトクラフィーにかけ、目的物を単離した。13C−NMR及びFDMSにより2,7−ビス(4−ジフェニルアミノビフェニル)−9,9’−ビス(4−メトキシメチルオキシフェニル)−9H−フルオレン(中間体H)であることを確認した。
【0104】
【化21】

【0105】
13C−NMR(THF−d):157.14,153.66,148.47,148.07,140.84,140.16,140.09,139.83,139.72,135.29,129.87,129.81,128.09,127.89,127.32,126.90,124.98,124.56,123.59,121.26,116.47,94.99,65.36,55.82
FDMS:1076
次に、得られた中間体HのTHF溶液60mlに、室温下で6N−塩酸水溶液を滴下し、その後40℃で一晩攪拌した。反応終了後、トルエン50mlを加えて抽出し、更に水30mlで3回洗浄した。有機層は、硫酸マグネシウムで乾燥した後に濃縮した。更に、得られた濃縮液、トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.99g(10.6mmol)、ピリジン3.82g(48.3mmmol)及びトルエン50mlを仕込み、一晩室温で攪拌させた後、常法処理を行い、対応するスルホン酸エステルを得た。最終的に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム触媒存在下でフェニルボロン酸と反応を行い、化合物34を合成した。同定は、FDMS、H−NMR及び13C−NMRにより行った。尚、ガラス転移温度は183℃であった。
【0106】
また、真空蒸着によりITO電極上に1.2μmの膜厚を有する化合物34の素子を作製し、Time of Flight法(オプテル社製TOF−301)により移動度を測定したところ、正孔移動度=1×10−3cm/V・s、電子移動度=4×10−4cm/V・sのバイポーラー性を示した。このことから、発光材料として使用できることを確認した。
【0107】
FDMS:1108
H−NMR(THF−d):7.99(d,2H,J=8Hz),6.97−7.87(m,48H)
13C−NMR(THF−d):153.0,148.47,148.07,145.78,141.39,141.02,140.31,140.18,140.09,139.92,135.27,129.81,129.38,129.23,128.08,127.89,127.67,127.51,127.34,127.12,125.16,124.98,124.56,123.52,121.34,66.13
実施例18(化合物37の合成)
フェニルボロン酸を9−アントラセンボロン酸に変更した以外は実施例17と同様の操作を行い、化合物37を合成した。同定は、FDMSにより行った。
【0108】
FDMS:1308
実施例19(化合物38の合成)
フェニルボロン酸を10−フェニル−9−アントラセンボロン酸に変更した以外は実施例17と同様の操作を行い、化合物38を合成した。同定は、FDMSにより行った。
【0109】
FDMS:1406
実施例20(化合物39の合成)
フェニルボロン酸を2−9,9’−ジメチルフルオレンボロン酸に変更した以外は実施例17と同様の操作を行い、化合物39を合成した。同定は、FDMSにより行った。
【0110】
FDMS:1340
比較例1〜3
実施例1に示した化合物1において、フルオレン基の9,9’位にp−メトキシフェニル基、ベンジル基、n−オクチル基を有する化合物を以下の反応ルートに従い合成し、その融点とガラス転移温度を示差熱分析にて測定した。実施例1に記載の化合物1の融点とガラス転移温度とを合わせて表13に示す。比較例1〜3の化合物は、明確な融点を示す結晶性の化合物であり、且つそのガラス転移温度は110℃以下であった。一方、化合物1は明確な融点を示さないガラス転移温度が135℃の非晶質物質であった。また、図1には、各々の化合物の示唆熱分析チャートを示す。
【0111】
【化22】

【0112】
【表13】

【0113】
実施例21
実施例1で得られた化合物1及び比較例1〜3の化合物20mgを各々トルエン2mlに溶解させ、1%溶液を調製した。スピンコート法(回転条件=1000rpm(1分間)、真空加熱条件=60℃(1時間)真空加熱)により、石英基板上に薄膜を調製し、室温下(1ヶ月)放置して、薄膜の白濁(又は凝集)を観察した。その結果、化合物1の薄膜については、全く白濁が観察されなかった。一方、比較例1〜3の化合物は、一部白濁が見られた。
【0114】
実施例22
アセトン、イオン交換水、イソプロピルアルコール沸騰液、UV−オゾン洗浄を順次行ったITO電極(陽極)が形成されたガラス基板を用い、ITO陽極上に化合物1を蒸着速度4オングストローム/秒で膜厚40nmまで蒸着し、正孔輸送層を形成した。次に、化合物1上にトリス(8−キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度4オングストローム/秒で膜厚50nmまで蒸着し、電子輸送兼発光層を形成した。次に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム上にマグネシウムと銀とを原子比10:1(=Mg:Ag)で膜厚150nmまで共蒸着し、陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。各薄膜を真空蒸着法によって真空度1.0×10−5Torrで積層した。
【0115】
この様にして作製した有機EL素子は、電流密度8mA/cmで電圧7V時、輝度500cd/mを示した。この素子を真空下、90℃で100時間保持した後、電流−輝度特性を測定したところ、ほとんど変化が認められなかった。
【0116】
比較例4
実施例1で合成した化合物1の代わりに、比較例1〜3の化合物を正孔輸送層に用いた以外、実施例22と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。この素子を真空下、90℃で100時間保持した後、電流−輝度特性を測定したところ、同じ電流に対し上記実施例22の素子に比べて輝度の劣化が速かった。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施例1及び比較例1〜3で得られた化合物の示唆熱分析のチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアミン化合物。
【化1】

(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Ar〜Arは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Arは各々独立して置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表す。)
【請求項2】
一般式(1)において、Ar及びArのうち少なくとも一つが置換又は無置換の縮合環式芳香族基であることを特徴とする請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項3】
縮合環式芳香族基が、1−ナフチル基、9−フェナントリル基、ピレニル基、又は2−フルオレニル基であることを特徴とする請求項2に記載のアミン化合物。
【請求項4】
一般式(1)において、Ar及びArは各々独立してフェニル基、4−メチルフェニル基、又は4−ビフェニリル基であることを特徴とする請求項1に記載のアミン化合物。
【請求項5】
一般式(1)において、Arがフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、4−ビフェニリル基、4−ターフェニリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、又は10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアミン化合物。
【請求項6】
一般式(1)において、Mがフェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、4,4’−ビフェニルジイル基、4,4’−ターフェニルジイル基、9,10−アントラセンジイル基、又は2,7−9,9’−ジアルキルフルオレンジイル基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアミン化合物。
【請求項7】
一般式(1)において、Mが下記一般式(2a)〜(2f)であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアミン化合物。
【化2】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。l、m及びnは1≦l+m+n≦4を満たす正の整数を表す。)
【請求項8】
及びRが水素原子であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアミン化合物。
【請求項9】
及びRが水素原子であり、Mが単結合である下記一般式(3)で表されるアミン化合物。
【化3】

(式中、Ar及びArは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Arはフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、1−ナフチル基、4−ビフェニリル基、4−ターフェニリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、又は10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基を表す。)
【請求項10】
Ar及びArは各々独立してフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビフェニリル基、又は1−ナフチル基であることを特徴とする請求項9に記載のアミン化合物。
【請求項11】
非晶質構造を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアミン化合物。
【請求項12】
下記一般式(4)で表されるフルオレン誘導体と下記一般式(5)で表されるアリールボロン酸とをパラジウム触媒存在下に反応させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のアミン化合物の製造方法。
【化4】

(式中、R〜Rは各々独立して水素原子、直鎖,分岐若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Ar及びArは各々独立して置換又は無置換のアリール基又はヘテロアリール基を表し、ArとArは結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。Mは単結合、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を表す。)
【化5】

(式中、Arは置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、又はピリジル基(但し、アミノ置換体を除く。)を表す。)
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のアミン化合物を発光層、正孔輸送層又は正孔注入層のいずれかに用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【公開番号】特開2006−151935(P2006−151935A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7475(P2005−7475)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】