説明

フルオロオレフィン化合物の製造方法

【課題】下記の(i)~(iv)の段階:(i)入口と出口を備えた撹拌反式応器内で、3〜6つの炭素原子と、少なくとも2つのフッ素原子と、少なくとも1つの水素原子とを有する少なくとも一種の化合物(少なくとも一つの水素原子と一つのフッ素原子は互いに隣接する炭素原子上に位置している)を水溶性反応媒体中で水酸化カリウムと接触させて(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を作り、それを気体の形で反応媒体および弗化カリウムから分離し、(ii) 第2の反応装置中で段階(i)で作られた弗化カリウムを水溶性媒質中での水酸化カルシウムと接触させて水酸化カリウムとし、弗化カルシウムを沈澱させ、(iii) 段階(ii)で反応媒体から沈澱させた弗化カルシウムを分離し、(iv)水酸化カリウムの濃度を調整した後に反応媒体を段階(i)へ再循環させる、を有する連続的または半連続的に(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を製造する方法。
【解決手段】段階(ii)の反応媒体中に存在する水酸化カリウムが媒体の水と水酸化カリウム混合物の重量に対して10〜35重量%で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロオレフィン化合物の製造方法に関するものである。本発明は特にハイドロフルオロプロペンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)、特に、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、例えば2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロピレン(HFO-1234yf)はその性質から冷媒、熱交換液、消火剤、推進剤、起泡剤、発泡剤、ガス誘電剤、モノマーまたはポリマーの媒体、担体液、研摩剤、乾燥剤およびエネルギ発生ユニット液として知られた化合物である。潜在的にオゾン層に危険であるCFCおよびHCFCとは違って、HFOは塩素を含まず、従ってオゾン層に対する問題はない。
【0003】
1,2,3,3,3- ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)は2,3,3,3- テトラフルオロ-1-プロピレン(HFO-1234yf)を製造する時の合成中間体である。
【0004】
大多数のハイドロフルオロオレフィン製造方法には脱ハロゲン化水素反応が含まれる。特許文献1(国際特許第WO 03/027051号公報)には式℃F3CY=CXnHpのフルオロオレフィンの製造方法が記載されている。ここで、XおよびYは各々水素原子または弗素、塩素、臭素または沃素から選択されるハロゲン原子を表し、nおよびpは整数で、互いに独立して0、1または2の値を取り、(n+p)=2である。この特許の方法では式CF3C(R1aR2b)C(R3cR4d)の化合物を相間移動触媒の存在下で少なくとも一種のアルカリ金属水酸化物と接触させる。ここで、R1、R2、R3、R4は水素原子または弗素、塩素、臭素または沃素から互いに独立して選択されるハロゲン原子を表し、R1、R2、R3、R4の少なくとも一つはハロゲン原子であり、少なくとも一つの水素と一つのハロゲン原子は互いに隣接する炭素原子卯に位置し、aおよびbは互いに独立して0、1または2の値を取ることができ、ただし、(a+b)=2であり℃およびdは互いに独立して0、1、2または3の値をとることができ、ただし、(c+d)=3である。
【0005】
特許文献1の実施例2は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を室温で水酸化カリウム(KOH)の50%水溶液と加圧下で24時間接触させても相間移動触媒がない場合には反応しないことを示している。
【0006】
特許文献1が教える反応温度は−20℃〜80℃である。
【0007】
特許文献2(国際特許第WO 2008/075017号公報)では、水酸化カリウム(KOH)の50%水溶液1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)をデハイドロフルオロ化して1,2,3,3,3- ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)を製造する。相間移動がない場合、3.5時間後の転化率は57.8%で、HFO-1225yeの選択性は52.4%である(テスト1)。相間移動触媒の存在下ではこの転化率が2.5時間後に得られ、この選択性はほぼ不変である(テスト4)。[表2]が示すように、HFO-1225yeの選択性を上げるには有機溶剤を使用する必要がある。
【0008】
特許文献3(国際特許第WO 2007/056194号公報)では水酸化カリウム(KOH)の50%水溶液または触媒存在下、特にニッケル、炭素またはこれらを組合せたものをベースにした触媒上で気相で1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-235eb)をデハイドロフルオロ化してHFO-1224yfを得る。
【0009】
非特許文献1にはフッ素化物の各種化学反応が記載されている。この文献には1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)をジブチルエーテル中のKOH粉末の懸濁液中を通過させることによってデドロフルオロ化して1,2,3,3,3- ペンタフルオロ-1- プロピレン(HFO-1225ye)を製造する方法が記載されている。収率は60%である。この文献にはさらに、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)をジブチルエーテル中のKOH粉末の懸濁液中に通してデハイドロフルオロ化して2,3,3,3- テトラフルオロ-1- プロピレン(HFO-1234yf)を得る方法も記載されている。収率は70%である。
【0010】
さらに、非特許文献2の51頁のパート2の[図2]には水と水酸化カリウムの液体/固体平衡系が示され、52頁の表には測定値が記載されている。
【0011】
上記のデハイドロフルオロ化反応では所望のハイドロフルオロオレフィン化合物の他に水および弗化カリウムが生成する。しかも、この反応は少なくとも3つの相(ガス、液体および固形物)が含まれるため、工業的スケールで連続的に実施することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許第WO 03/027051号公報
【特許文献2】国際特許第WO 2008/075017号公報
【特許文献3】国際特許第WO 2007/056194号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Knunyants et al., Journal of the USSR Academy of Sciences,℃hemistry Department,「Reactions of fluoro-olefins、Report 13℃atalytic hydrogenation of perfluoro-olefins」, 1960
【非特許文献2】Nouveau traite de℃himie minerale by P. Pascal, Ed. 1963
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記の欠点を解決して、(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を連続的または半連続的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の対象は、下記の(i)〜(iv)の段階:
(i) 反応物用の少なくとも一つの入口と少なくとも一つの出口とを備えた撹拌反式応器内で、3〜6つの炭素原子と、少なくとも2つのフッ素原子と、少なくとも1つの水素原子とを有する少なくとも一種の化合物(ただし、少なくとも一つの水素原子と一つのフッ素原子は互いに隣接する炭素原子上に位置している)を水溶性反応媒体中で水酸化カリウムと接触させて、(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を作り、それを気体の形で反応媒体および弗化カリウムから分離し、
(ii) 第2の反応装置中で段階(i)で作られた弗化カリウムを水溶性媒質中での水酸化カルシウムと接触させて水酸化カリウムとし、弗化カルシウムを沈澱させ、
(iii) 段階(ii)で反応媒体から沈澱させた弗化カルシウムを分離し、
(iv)必要に応じて、水酸化カリウムの濃度を調整した後に反応媒体を段階(i)へ再循環させる、
を有する連続的または半連続的に(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を製造する方法において、
段階(ii)の反応媒体中に存在する水酸化カリウムが媒体の水と水酸化カリウム混合物の重量に対して10〜35重量%で存在することを特徴とする方法にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を具体化した実施例の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明方法では、デハイドロフルオロ化反応において水酸化カルシウムより反応が高い水酸化カリウムを用いることができ、水酸化カルシウムを回収価値のある副産物の弗化カルシウムに転化することができる。
【0018】
本発明者は、本発明方法を用いることで弗化カルシウム結晶の50重量%粒径分布で平均寸法を10μm以上にすることができ、さらには20μm以上、特に20〜60μmにすることができ、従って、水洗および濾過操作と水酸化カリウムの再循環を容易にすることができるということを見出した。
【0019】
段階(i)の反応媒体は液体媒体中に気体を分散するように攪拌する。
【0020】
本発明方法は、3つの炭素原子を有する(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物、有利には下記の式(I):
CF3CY=CXnHp (I)
(ここで、Yは水素原子または弗素、塩素、臭素または沃素の中から選択されるハロゲン原子を表し、Xは弗素、塩素、臭素または沃素の中から選択されるハロゲン原子を表し、nおよびp整数で、互いに独立して0、1または2の値を取り、(n+p)=2である)
で表される(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を提供する。本発明方法では段階(i)で式:CF3CYRCR'XnHpの化合物(ここで、X、Y、nおよびpは式(I)と同じ意味を有し、R'が水素原子を表す場合にはRはフッ素原子を表し、R'がフッ素原子を表す場合にはRは水素原子を表す)を水酸化カリウムと接触させる。
【0021】
本発明は特に、下記の式(Ia)の化合物の製造に適している:
CF3CF=CHZ (Ia)
(ここで、Zは水素原子またはフッ素原子を表す)
この方法では式:CF3CFRCHR'Zの化合物(ここで、Zは式(Ia)と同じ意味を有し、R'が水素原子を表す時にはRはフッ素原子を表し、R'がフッ素原子を表す時にはRは水素原子を表す)から出発する。
【0022】
すなわち、段階(i)で1,1,1,2,3- ペンタフルオロプロパンをKOHでデハイドロフルオロ化して2,3,3,3- テトラフルオロプロペンを得るか、および/または、1,1,1,2,3,3- ヘキサフルオロプロパンをKOHをデハイドロフルオロ化して1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンを得ることができる。1,2,3,3,3- ペンタフルオロプロペンはシスおよび/またはトランス異性体でもよい。
【0023】
本発明方法はさらに、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパンをKOHでデハイドロフルオロ化して1,3,3,3- テトラフルオロプロペンを製造するのに使用することもできる。
【0024】
本発明方法の段階(i)での水酸化カリウムの含有量は水溶性反応媒体中に存在する水とKOHの混合物に対して20〜75重量%、好ましくは55〜70重量%である。水酸化カリウムは水溶液の形または溶融状態にすることができる。
【0025】
一般に、段階(i)はデハイドロフルオロ化反応で生じる水の全てまたは一部が撹拌反応器から出る(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を含む気体流に随伴して反応媒体から除去できるような温度で実行する。この温度は80〜180℃の間、好ましくは125〜180℃の間、有利には145〜165℃の間である。
【0026】
段階(i)のデハイドロフルオロ化反応は大気圧で実行できるが、大気圧以上で運転するのが好ましい。この圧力は1.1〜2.5バールであるのが有利である。
【0027】
段階(ii)の反応は撹拌式反応器または流動層式反応器で、水酸化カルシウムを好ましくは水に懸濁して段階(i)からの弗化カリウムと反応させて実行できる。反応温度は広範囲で変えることがきるが、経済的理由から50〜150℃の間、好ましくは70〜120℃の間、有利には70〜100℃の間にする。
【0028】
段階(ii)で水酸化カルシウムの懸濁液を用いる場合には、水酸化カルシウムは懸濁液の重量に対して2〜40重量%にする。
【0029】
段階(ii)には段階(i)に由来する水と、水酸化カリウムと、弗化カリウムとから成る反応媒体を介して弗化カリウムを送るのが有利である。段階(i)の弗化カリウムは溶解するか、懸濁させることができる。弗化カリウムは段階(i)からの反応媒体の重量の4〜45重量%にするのが好ましい。
【0030】
段階(ii)では2モルの弗化カリウムを1モルの水酸化カルシウムと反応させて1モルの弗化カリウムと2モルの水酸化カリウムにする。この水酸化カリウムの生成によって再濃縮の必要性が減り、従って、プロセスへの水酸化カリウムの添加量を減らすことができる。
【0031】
段階(i)と段階(ii)の間に反応媒体を希釈する段階を設けることもできる。
【0032】
段階(ii)で沈澱した弗化カルシウムは例えば濾過および/または静置分離で反応媒体から分離できる。静置段階は濾過の前に置くことができる。分離した弗化カルシウムは水で洗浄できる。
【0033】
静置段階中に、濃縮した弗化カルシウムの懸濁液の一部を段階(ii)へ再循環することができる。段階(ii)の反応媒体中に存在する弗化カルシウム固形物のレベルは2〜30重量%の間にあるのが有利である。
【0034】
弗化カルシウムを分離後、反応媒体を、弗化カルシウムの洗浄で生じた水性溶液は一緒に、またはそれ無しに、必要に応じて水酸化カリウム含有量を調整した後に、段階(i)へ再循環することができる。
【0035】
デハイドロフルオロ化段階では不活性ガスを使用するのが有利である。
本発明方法は、相間移動触媒および/または有機溶剤無しで、高い収率が得られるという利点を有する。
本発明は全ての実施例で好ましい形を組み合わせることができる。
【実施例】
【0036】
実施例1
9重量%のKFを含む50重量%水酸化カリウムの1kgを反応装置に入れ、100℃に加熱した。その後、分析値96重量%のCa(OH)2(主たる不純物はCaCO3)の109gを撹拌下に500回転/分で加える。1時間反応した後、懸濁液を取り出す。固形物のレベルは3.5重量%で、固形物の重量組成は以下のとおり:
CaF2: 60%
Ca(OH)2: 36%
CaCO3: 4%
【0037】
実施例2
25%重量%の水酸化カリウムを1kgは導入したことを除いて実施例1の操作を繰り返した。1時間反応後の固形物の重量組成は以下のとおり:
CaF2: 95%
Ca(OH)2: 1%
CaCO3: 4%。
【0038】
実施例3
100℃に維持され、500回転/分で攪拌された反応装置に、デハイドロフルオロ化段階で得られたカリウム水酸化物溶液を連続的に供給する。希釈後に水酸化カリウムは28重量%、KFの重量は6%である。反応装置へ送られるCa(OH)2懸濁液の分析値は20重量%である。反応装置の滞留時間は約1時間である。
反応後に得られた懸濁液の濾過能力は非常に良好であった。
反応装置の出口での懸濁液の固形物レベルは3.6重量%である。
合成された弗化カルシウムの粒径は30μmで、その純度は85重量%以上である。
【0039】
実施例4
[図2]は本発明の実施例を示す。加熱/冷却具と反応媒体の温度測定具とを備えた撹拌式反応器(1)には水中に65重量%のKOHを含む水とKOHの混合物が入れてある。この混合物中へ水中に60重量%のKOHが存在する溶解したKOH(2)溶液と、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(3)とを連続的に供給する。度は150℃に維持し、反応装置の圧力は1.2絶対バールにする。反応装置の蓋に設けたオリフィス(4)を介してガス生成物を取り出し、ガス流中に存在する水は凝縮(13)によって除去する。
反応装置(1)から出た材料(5)は、水(6)で希釈され、KOHの比率を30%にする。この混合物を反応装置(7)の入口へ送り、水溶性媒質中に懸濁可能な弗化カリウムが反応装置(7)へ供給される。反応装置(7)にはライン(8)を介して水酸化カルシウムの15重量%の懸濁液が供給される。反応装置(7)は70〜80℃の温度に維持される。
反応装置(7)の出口はフィルタ(9)に接続され、反応媒体から弗化カルシウムが分離され、水(10)で洗浄される。弗化カルシウムから分離された水溶性媒質はKOH濃度を調整した後に反応装置(1)へ再循環される。その後、弗化カルシウムの洗浄で生じた水相は水酸化カルシウムの懸濁液を製造するタンク(16)へ再循環される。
反応装置(1)へ供給する溶解したKOH混合物は50重量%のKOH水溶液(14)および濾過(9)で得られた水溶液の蒸発(水(15)の除去)によって製造される。
反応装置(1)出口での1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンのモル転化率は98%以上であり、1,1,1,2,3- ペンタフルオロプロペンの選択率は99%以上である。反応装置(7)出口での水酸化カルシウムのモル転化率は85%以上である。
【0040】
実施例5
反応装置(1)へ1,1,1,2,3- ンタフルオロプロパンの代わりに1,1,1,2,3,3- ヘキサフルオロプロパンを連続的に供給する以外は実施例4の操作を繰り返す。
撹拌反応器(1)には水中に65重量%のKOHが存在する水とKOHの混合物が入っている。
反応装置(1)の出口での1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンのモル転化率は98%以上であり、1,1,1,2- テトラフルオロプロペンの選択率は99%以上である。
【0041】
実施例6
80℃に維持され、500回転/分で攪拌された反応装置中にデハイドロフルオロ化段階で得たカリウム水酸化物溶液を連続的に供給する。希釈後の分析結果は水酸化カリウム32.8重量%、KF9.7重量%である。反応装置を送られるCa(OH)2懸濁液の分析値は15重量%であり、反応装置での滞留時間は約1時間である。
反応後に得られる懸濁液の濾過能力は非常に良好である。反応装置出口での懸濁液の固形物レベルは3.6重量%である。合成された弗化カルシウムの粒径は30μmで、その純度は85重量%以上である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(i)〜(iv)の段階:
(i) 反応物用の少なくとも一つの入口と少なくとも一つの出口とを備えた撹拌反式応器内で、3〜6つの炭素原子と、少なくとも2つのフッ素原子と、少なくとも1つの水素原子とを有する少なくとも一種の化合物(ただし、少なくとも一つの水素原子と一つのフッ素原子は互いに隣接する炭素原子上に位置している)を水溶性反応媒体中で水酸化カリウムと接触させて、(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を作り、それを気体の形で反応媒体および弗化カリウムから分離し、
(ii) 第2の反応装置中で段階(i)で作られた弗化カリウムを水溶性媒質中での水酸化カルシウムと接触させて水酸化カリウムとし、弗化カルシウムを沈澱させ、
(iii) 段階(ii)で反応媒体から沈澱させた弗化カルシウムを分離し、
(iv)必要に応じて、水酸化カリウムの濃度を調整した後に反応媒体を段階(i)へ再循環させる、
を有する連続的または半連続的に(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を製造する方法において、
段階(ii)の反応媒体中に存在する水酸化カリウムが、媒体の水と水酸化カリウム混合物の重量に対して10〜35重量%で存在することを特徴とする方法。
【請求項2】
下記の式(I):
CF3CY=CXnHp (I)
(ここで、Yは水素原子または弗素、塩素、臭素または沃素の中から選択されるハロゲン原子を表し、Xは弗素、塩素、臭素または沃素の中から選択されるハロゲン原子を表し、nおよびp整数で、互いに独立して0、1または2の値を取り、(n+p)=2である)で表される請求項1に記載の(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物を製造する方法において、
段階(i)で式CF3CYRCR'XnHpの化合物(ここで、X、Y、nおよびpは式(I)と同じ意味を有し、R'が水素原子を表す場合にはRはフッ素原子を表し、R'がフッ素原子を表す場合にはRは水素原子を表す)を水酸化カリウムと接触させることを特徴とする方法。
【請求項3】
下記の式(Ia):
CF3CF=CHZ (Ia)
(ここで、Zは水素原子またはフッ素原子を表す)、
の請求項1に記載の(ハイドロ)フルオロオレフィン化合物の製造方法であって、
段階(i)で式CF3CFRCHR'Zの化合物(ここで、Zは式(Ia)の同じ意味を有し、R'が水素原子を表す時にはRはフッ素原子を表し、R'がフッ素原子を表す時にはRは水素原子を表す)を水酸化カリウムと接触させることを特徴とする方法。
【請求項4】
段階(i)で1,1,1,2,3- ペンタフルオロプロパンを水酸化カリウムと接触させ2,3,3,3- テトラフルオロプロペンを得るか、および/または、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパンを水酸化カリウムと接触させて1,2,3,3,3- ペンタフルオロプロペンを得る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階(i)の水溶性反応媒体中に存在する水とKOHとの混合物の重量に対して水酸化カリウムが20〜75重量%、好ましくは55〜70重量%で存在する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
段階(i)を80〜180℃の間、好ましくは125〜180℃の間、有利には145〜165℃の間の温度で実行する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
段階(ii)を50〜150℃の間、好ましくは70〜120℃の間、有利には70〜100℃の間の温度で実行する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
段階(i)に由来する反応媒体を介して弗化カリウムを段階(ii)に送る請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
弗化カリウムが段階(i)からの反応媒体の重量の4〜45重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
段階(ii)の反応媒体に水が加える請求項8に記載の方法。
【請求項11】
段階(iii)の弗化カルシウムを必要に応じて静置段階後に濾過して取り除く請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
静置中に、濃縮した弗化カルシウム懸濁液の一部を段階(ii)へ再循環する請求項11に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−533607(P2012−533607A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521068(P2012−521068)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050970
【国際公開番号】WO2011/010023
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】