説明

フルオロポリマー組成物および処理された基材

(a)イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(b)式(I):
f1−L−X (I)
[式中、
f1は、1〜50個の酸素原子によって任意に中断された、炭素数2〜100の1価の部分的に又は完全にフッ素化された直鎖又は分岐鎖のアルキル基であって、炭素原子対酸素原子の比が少なくとも2:1であり、酸素原子が互いに結合していないアルキル基であり、
Lは、結合であるか、又は、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R)C(O)−(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)からなる群から選択される1〜4個のヘテロ基で任意に中断されており且つCH2Clで任意に置換されている炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖の2価の結合基であり、
Xは、−OH、−N(R)H(式中、Rは、H又はC1〜C6アルキルである)、および−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基である]
から選択される少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させる工程、
および、その後、(c)水、および(d)イソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる工程、
によって調製されるポリマーを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に撥油性、撥水性、防汚性を付与するための、非フッ素化粒子を含有するフルオロポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なフッ素化ポリマー組成物は、基材に表面効果を付与するための処理剤として有用であることが知られている。表面効果としては、撥水撥油性、防汚性、汚れ除去性、耐汚染性、および染み除去性、並びに、繊維基材および硬質表面などの他の基材に特に有用な他の効果が挙げられる。多くのこのような処理剤は、フッ素化ポリマー又はコポリマーである。
【0003】
基材に撥水撥油性を付与するための処理剤として有用なほとんどの市販のフッ素化ポリマーは、所望の特性を付与するために、パーフルオロアルキル鎖の炭素数が8より大きいことが圧倒的に多い。Hondaらは、Macromolecules(2005),38(13),5699−5705で、炭素数が8より大きいパーフルオロアルキル鎖では、パーフルオロアルキル鎖の配向が平行な配置に維持されるが、炭素数がより少ないこのようなフルオロアルキル鎖では再配向が起こることを教示している。従って、炭素数6以下の短鎖フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル鎖が最表面に非常に整然と並ばないため、基材に表面効果を付与することに関して、従来、商業的に成功しなかった。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0095933号明細書は、撥水撥油成分、耐汚染(stain resist)成分、染み除去(stain release)成分、および粒子を組み合わせることによって形成された、テキスタイル処理用組成物を開示している。市販の様々なフッ素化ポリマーが撥水撥油成分として使用され、粒子は無機酸化物又は塩基性金属塩である。フッ素化ポリマーと粒子は溶液に別々に添加され、このようにして、ポリマーと粒子の混合物となり、これを被処理基材に塗布する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フッ素化ポリマーの費用のため、表面効果を付与するために基材を処理する際に、それをより低濃度で使用することが求められる。しかし、炭素数6以下の比較的短鎖のパーフルオロアルキル基を含有するポリマーを使用することによってフッ素濃度を低下させることは、商業的に成功しなかった。従って、性能のレベルを維持すると共に、高価なフッ素化成分の使用量がより少ない、撥水性、撥油性、防汚性を含む表面効果を付与する基材処理用組成物が必要とされている。本発明は、このような組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(i)(a)イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(b)式(I):
f1−L−X (I)
[式中、
f1は、1〜50個の酸素原子によって任意に中断された、炭素数2〜100の1価の部分的に又は完全にフッ素化された直鎖又は分岐鎖のアルキル基であって、炭素原子対酸素原子の比が少なくとも2:1であり、酸素原子が互いに結合していないアルキル基であり、
Lは、結合であるか、又は、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R1)C(O)−(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基で任意に中断されており且つCH2Clで任意に置換されている炭素数1〜約20の直鎖若しくは分岐鎖の2価の結合基であり、
Xは、−OH、−N(R)H(式中、Rは、上記に定義した通りである)、および−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基である]
から選択される少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させる工程、および、その後、
(ii)(c)水、および(d)組成物の総乾燥重量に基づいて0.05重量%〜約2.0重量%のイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる工程、
によって調製される、少なくとも1つの尿素結合を有する少なくとも1種類のポリウレタンのポリマーの水溶液又は水性分散体を含む、基材に表面特性を付与するための組成物を含む。
【0007】
本発明は、更に、基材を前述の本発明の組成物と接触させる工程を含む、基材に撥水性、撥油性、および防汚性を付与する方法を含む。
【0008】
本発明は、更に、前述の本発明の組成物と接触させた基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、商標は大文字で示す。
【0010】
本発明は、基材に表面効果を付与する組成物を提供し、組成物中、フッ素化ポリマーは、ポリマーの生成に使用した重合反応中に組み込まれた粒子を有する。従って、粒子は、ポリマー化学構造の一部である。粒子は、表面に反応性官能基を有し、フッ素化されておらず、溶液ベースの又はエマルションベースのフッ素化ポリマーを合成する際、重合中に反応する。得られる組成物は、粒子を含有しない従来の市販の処理剤と比較して、又は処理剤が塗布前に処理浴中で粒子と物理的に混合される組成物と比較して、高い表面効果性能および耐久性を処理された基材に付与する。0.1重量%の少量の粒子をポリマー構造に組み込むと、性能の向上に有効であることが分かった。好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の粒子成分がポリマーに組み込まれる。本発明は、性能を低下させることなく、従来の処理剤の使用量をより少なくすること、又は炭素数8未満の短いパーフルオロアルキル鎖を含有する(従って、フッ素含有量がより少ない)処理剤を使用することを可能にする。
【0011】
本発明の組成物は、まず、(a)イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(b)少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させることによって調製される。次いで、これを(c)水、および(d)イソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる。得られるポリマーは、上記に定義した本発明の組成物である。
【0012】
式(I)のフッ素化化合物は、本発明の様々な組成物の調製に成分(b)として有用である。
f1−L−X (I)
f1は、1〜50個の酸素原子によって任意に中断された、炭素数2〜100の1価の部分的に又は完全にフッ素化された直鎖又は分岐鎖のアルキル基であって、炭素原子対酸素原子の比が少なくとも2:1、好ましくは約2:1〜約3:1であり、酸素原子が互いに結合していないアルキル基である。Rf1内のどの炭素原子も酸素との単結合を2つ以下有することができる。Lは、結合であるか、又は、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−SO2−、および−N(R)C(O)−(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)からなる群から選択される1〜約4個のヘテロ基で任意に中断されており且つCH2Clで任意に置換されている炭素数1〜約20の直鎖若しくは分岐鎖の2価の結合基である。Xは、−OH、−N(R)H(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)、および−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基である。
【0013】
コポリマー組成物は、成分(b)として、式(I)、Rf1−L−X(式中、様々な基、Rf1、L、およびXは、上記に定義した通りである)の少なくとも1種類のフッ素化化合物を必要とする。
【0014】
好ましいRf1基としては、F(CF2n、F(CF2n(CH2CF2p、F(CF2n(CH2x[(CF2CF2p(CH2CH2qm、F(CF2nO(CF2n、F(CF2nOCFHCF2、又はF(CF2n[OCF2CF(CF3)]p[OCF2CF2q(式中、nは1〜約6であり;xは1〜約6であり;p、qおよびmはそれぞれ独立して1〜約3である)が挙げられる。
【0015】
好ましくは、Lは、結合、又は結合基−(L1p−であり、式中、pは1〜4の整数であり、L1は、(Ct2t)−(式中、tは1〜10の整数である)、フェニレン、C1〜C4アルキル置換フェニレン、エチレンオキシド、R5、および、(A)p−R5[式中、Aは炭素数1〜6の2価のアルキルであり、pは上記に定義した通りであり、R5は、−S(CH2u−、
【0016】
【化1】

(式中、
uは、約2〜約4の整数であり、
sは、1〜約50の整数であり、
2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1〜約6のアルキル基である)
からなる群から選択される2価の基である]からなる群から選択される。より好ましくは、Lは、結合、−(Ct2t)−(R5r−(式中、tは1〜10の整数であり、rは0又は1である)、−(R5r−(式中、rは1である)、又は(OCH2CH2v(式中、vは2〜4である)である。
【0017】
好ましくは、モノマー(I)は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie):
(Ia) F(CF2n(CH2t
(Ib) F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2q(R5r
(Ic) F(CF2nO(CH2x[(CF2CF2p(CH2CH2qm(R5r
(Id) F(CF2n(CF2nCH2(Ct2t)X
(Ie) F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2v
[式中、
tは、1〜10の整数であり、
nは、約1〜6の整数であり、
p、qおよびmはそれぞれ独立して、1〜3の整数であり、
xは、1〜6の整数であり、
rは、0又は1であり、
vは、2〜4の整数であり、
Xは、OH、N(R)H(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)、又はSHであり、
5は、−S(CH2u−、
【0018】
【化2】

(式中、
uは、2〜4の整数であり、
sは、1〜50の整数であり、
2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1〜6のアルキル基である)
からなる群から選択される2価の基である]
からなる群から選択される。
【0019】
本発明の組成物の調製に有用な式(Ia)のフッ素化化合物は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE 19898 USA)から入手可能である。混合物、例えば、式F(CF2hCH2CH2OH(式中、hは6〜約14の範囲であり、主に6、8および10である)のパーフルオロアルキルエチルアルコール混合物を使用してもよく、又は精製された画分、例えば、1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサノールを使用してもよい。1つの好ましい実施形態は、Rf1−L−Xが式(1a)(式中、X=OHであり、Rf1が、C4〜C6パーフルオロアルキル基である)である、本発明の組成物である。
【0020】
本発明の様々な実施形態の調製に有用な式(Ib)のフッ素化化合物は、次のスキーム:
f1−I+CH2=CF2 → F(CF2n(CH2CF2p
F(CF2n(CH2CF2pI+CH2=CH2
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qI (VI)
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qI+オレウム/H2O →
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qOH (IIIb)
による合成によって得ることができる。
フッ化ビニリデン(VDF)と直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキルアイオダイドのテロメリゼーションは周知であり、構造式F(CF2n(CH2CF2pI(式中、pは1〜3又はそれより大きく、nは1〜6である)の化合物が生成される。例えば、Balagueら、「Synthesis of Fluorinated telomers,Part 1,Telomerization of vinylidene fluoride with perfluoroalkyl iodides」、J.Flour Chem.(1995),70(2),215−23を参照されたい。特定のテロマーアイオダイド(V)は分留によって単離される。米国特許第3,979,469号明細書(Ciba−Geigy、1976年)に記載の手順によってテロマーアイオダイド(V)をエチレンで処理し、テロマーエチレンアイオダイド(VI)(式中、qは1〜3又はそれより大きい)を得ることができる。国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するテロマーアルコール(VII)を得ることができる。テロマーエチレンアイオダイド(VI)のより高級な同族体(q=2、3)は、過剰なエチレンを用いて高圧で得ることができる。
【0021】
J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の手順に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)を様々な試薬で処理し、対応するチオールを得ることができる。一例は、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、加水分解することである。
【0022】
次のスキーム(式中、pは1〜3であり、qは1〜3であり、uは2〜4である)に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をω−メルカプト−1−アルカノールで処理し、式(VIII)の化合物を得ることができる。
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qI+HS(CH2u−OH/NaOH →
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qS(CH2uOH (VIII)
次のスキーム(式中、nは1〜6であり、pは1〜3であり、qは1〜3であり、uは2〜4である)に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VI)をω−メルカプト−1−アルキルアミンで処理し、式(IX)の化合物を得ることができる。
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qI+HS(CH2u−NH2/NaOH →
F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2qS(CH2u−NH2 (IX)
本発明を実施するための式(VIII)および(IX)の好ましい化合物は、pおよびqがそれぞれ1であり、uが2〜4のものである。
【0023】
本発明の組成物を製造するのに使用される式(Ic)(式中、XはOHである)のフルオロアルコールは、次の一連の反応(式中、nは1〜6であり、qは1〜3である)によって得ることができる。
F(CF2nOCF=CF2+ICI/HF/BF3 → F(CF2nOCF2CF2
F(CF2nOCF2CF2I+CH2=CH2
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2q
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qI+オレウム/H2O →
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qOH (XIII)
【0024】
出発パーフルオロアルキルエーテルアイオダイドは、パーフルオロ−n−プロピルビニルエーテルから式(XI)の化合物を調製することを開示している米国特許第5,481,028号明細書(この文献は参照により本明細書に援用される)の実施例8に記載の手順で製造される。
【0025】
上記の第2の反応で、パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド(XI)を高温高圧で過剰のエチレンと反応させる。エチレンの付加は熱的に行うことができるが、好適な触媒を使用することが好ましい。好ましくは、触媒は、ベンゾイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、プロピオニルパーオキシド、又はアセチルパーオキシドなどの過酸化物触媒である。より好ましくは、過酸化物触媒はベンゾイルパーオキシドである。反応温度は限定されないが、110℃〜130℃の範囲の温度が好ましい。反応時間は触媒および反応条件で変わるが、典型的には24時間(h)で十分である。生成物は、最終生成物から未反応の出発物質を分離する任意の手段で精製され得るが、蒸留が好ましい。パーフルオロアルキルエーテルアイオダイド1モル当たり約2.7molのエチレン、110℃の温度および自己圧(autogenous pressure)、24時間の反応時間を使用し、蒸留により生成物を精製して、理論の80%までの十分な収率が得られた。
【0026】
国際公開第95/11877号パンフレットに開示されている手順に従って、パーフルオロアルキルエーテルエチレンアイオダイド(XII)をオレウムで処理し、加水分解して、対応するアルコール(XIII)を得る。あるいは、パーフルオロアルキルエーテルエチルアイオダイドをN−メチルホルムアミドで処理した後、エチルアルコール/酸で加水分解する。約130℃〜160℃の温度が好ましい。テロマーエチレンアイオダイド(XII)のより高級な同族体(q=2、3)は、過剰なエチレンを用いて高圧で得ることができる。
【0027】
J.Fluorine Chemistry,104,2 173−183(2000)に記載の手順に従って、テロマーエチレンアイオダイドを様々な試薬で処理し、対応するチオールを得ることができる。一例は、テロマーエチレンアイオダイド(XII)をチオ酢酸ナトリウムと反応させた後、加水分解することである。
【0028】
次のスキーム(式中、nは1〜6であり、qは1〜3であり、uは2〜4である)に従って、テロマーエチレンアイオダイド(XII)をω−メルカプト−1−アルカノールで処理し、式(XIV)の化合物を得ることができる。
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qI+HS(CH2u−OH/NaOH
→ F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qS(CH2u−OH (XIV)
【0029】
次のスキーム(式中、nは1〜6であり、qは1〜3であり、uは2〜4である)に従って、テロマーエチレンアイオダイド(VIII)をω−メルカプト−1−アルキルアミンで処理し、式(XV)の化合物を得ることができる。
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qI+HS(CH2u−NH2/NaOH →
F(CF2nOCF2CF2(CH2CH2qS(CH2u−NH2 (XV)
本発明を実施するための式(XIV)および(XV)の好ましい化合物は、qが1であり、uが2〜4のものである。
【0030】
式(1d)の様々なフルオロアルコールは、本発明の組成物の調製に有用である。一実施形態は、式(Id)のフッ素化化合物が、
F(CF2nO(CF(CF3)CF2O)wCF(CF3)CF2CH2(Ct2t)OH、
F(CF2nO(CF(CF3)CF2O)wCF(CF3)CH2(Ct2t)OH、
F(CF2nOCF[CF2O(C36O)w1CF2CF3]CH2(Ct2t)OH、
F(CF2nO(CF(CF3)(CF2O)wCF2CF2CF2CH2(Ct2t)OH、
(F(CF2n)(F(CF2n)CFO(C36O)w2CF(CF3)CF2CH2(Ct2t)OH、
F(C36O)w1CF(CF3)CF2CH2(Ct2t)OH、
F(C36O)w1CF(CF3)CH2CH2(Ct2t)OH、
F(C36O)y(CF2O)mCF2CH2(Ct2t)OH、
F(C36O)w3(C24O)w5(CF2O)w4CF2CH2(Ct2t)OH、
(式中、tは1〜10の整数であり、w、w1、w2、w3、w4およびw5は独立して2〜約25の整数であり、C36Oは直鎖又は分岐鎖である)
からなる群から選択される組成物である。本発明に有用な、式(Id)(式中、XはOHである)のパーフルオロポリエーテルアルキルアルコールの平均分子量は、約350〜約5000、好ましくは約1000〜約2000、より好ましくは約1500〜約2000である。参照により本明細書に援用される米国特許第6,653,511号明細書は、式(1d)(式中、XはOHである)のアルコールの調製に有用な合成方法を開示している。
【0031】
本発明の組成物に有用な他の低分子量パーフルオロアルキルエーテルアルコールは、以下:
CF3OCF(CF3)CF2OCF2CF2CH2CH2OH、
CF3OCF(CF3)CF2O(CF2CF22CH2CH2OH、
25OCF(CF3)CF2OCF2CF2CH2CH2OH、
25OCF(CF3)CF2O(CF2CF22CH2CH2OH、
37OCF(CF3)CF2OCF2CF2CH2CH2OH、
37OCF(CF3)CF2O(CF2CF22CH2CH2OH、
である。
【0032】
本発明の組成物の製造に使用される式(Ie)(式中、XはOHである)のフルオロアルコールは、次の反応から得ることができる。
F(CF2n−O−CF=CF2+H(OCH2CH2vOH→
F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2vOH
(式中、
nは、2〜約6、好ましくは2〜4、より好ましくは4であり、
vは、2〜約4、好ましくは2〜3、より好ましくは2である)
【0033】
式(Ie)の好ましい化合物は、nが3又は4であり、gが2であり、vが2又は3のものである。
【0034】
式(Ie)の化合物は、アルカリ金属化合物の存在下でパーフルオロアルキルビニルエーテルをジオールと反応させることによって調製される。好ましいエーテルとしては、式F(CF2n−O−CF=CF2(式中、nは1〜6である)のものが挙げられる。好ましいジオールとしては、ジエチレングリコールが挙げられる。ジオールは、エーテル1モル当たり約1〜約15モル、好ましくはエーテル1モル当たり約1〜約5モルで使用される。適したアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、又はアルカリ金属アミドが挙げられる。Na、K若しくはCsなどのアルカリ金属、又はNaH若しくはKHなどのアルカリ金属水素化物が好ましい。反応は、ほぼ周囲温度から約120℃の温度で、好ましくは約40℃〜約120℃の温度で行われる。反応は、エーテル又はニトリルなどの任意の溶媒中で行うことができる。
【0035】
本発明の組成物を製造するために、式(I)のフッ素化化合物をポリイソシアネートと反応させる。ポリイソシアネート反応物はポリマーの分岐性を増加させる。「ポリイソシアネート」の用語はジイソシアネートおよびそれより多量体(higher)のイソシアネートを意味し、この用語はオリゴマーを含む。主に2つ以上のイソシアネート基を有するどのポリイソシアネートも、又は、主に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートのどのイソシアネート前駆体も本発明に使用するのに適している。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーは、本明細書で使用するのに適しており、市販されている。複数のイソシアネート基を有する生成物中に、少量のジイソシアネートが残存し得ることが分かっている。この例としては、少量の残留ヘキサメチレンジイソシアネートを含有するビウレットがある。
【0036】
また、炭化水素ジイソシアネートから誘導されたイソシアヌレート3量体もポリイソシアネート反応物として使用するのに適している。好ましいのは、DESMODUR N−3300(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能なヘキサメチレンジイソシアネートをベースにするイソシアヌレート)である。本発明の目的に有用な他のトリイソシアネートは、3モルのトルエンジイソシアネートを1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)エタン又は1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンと反応させることによって得られるものである。トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体、および3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートのイソシアヌレート3量体は、メタン−トリス−(フェニルイソシアネート)のように、本発明の目的に有用な他のトリイソシアネートの例である。ジイソシアネートなどのポリイソシアネートの前駆体もポリイソシアネートの基質として本発明に使用するのに適している。Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)製のDESMODUR N−3600、DESMODUR Z−4470、およびDESMODUR XP−2410、並びに、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンも本発明に適している。
【0037】
好ましいポリイソシアネート反応物は、ビウレット構造を含有する脂肪族および芳香族ポリイソシアネート、又は、イソシアネートを含有するポリジメチルシロキサンである。このようなポリイソシアネートは、脂肪族置換基と芳香族置換基の両方を含有してもよい。
【0038】
本発明の全ての実施形態にポリイソシアネート反応物として特に好ましいのは、例えば、DESMODUR N−100、DESMODUR N−75、およびDESMODUR N−3200としてBayer Corporation(Pittsburgh,PA)から市販されているヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー;例えば、DESMODUR I(Bayer Corporation)として入手可能な3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート;例えば、DESMODUR W(Bayer Corporation)として入手可能なビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、並びに、式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId):
【0039】
【化3】

のジイソシアネート3量体である。
ジイソシアネート3量体(IIa〜d)は、例えば、DESMODUR Z4470、DESMODUR IL、DESMODUR N−3300、およびDESMODUR XP2410として、それぞれBayer Corporationから入手可能である。
【0040】
好ましい実施形態では、成分(a)イソシアネートと成分(b)フッ素化化合物を反応させる工程(i)は、(e)式
10−(R11k−X
[式中、
10は、C1〜C18アルキル、C1〜C18ω−アルケニル基、又はC1〜C18ω−アルケノイルであり、
11は、
【0041】
【化4】

(式中、
2、R3、およびR4は、それぞれ独立してH又はC1〜C6アルキル基であり、
sは、1〜50の整数である)
からなる群から選択され、
kは、0又は1であり、
Xは、−OH、−N(R)H、又は−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基であり、RはH又はC1〜C6アルキルである]
からなる群から選択される非フッ素化有機化合物を更に含む。好ましくは、式R10−(R11k−YH(式中、Yは、O、S、又はN(R)である)の非フッ素化化合物は、前記イソシアネート基の約0.1mol%〜約60mol%と反応する。
【0042】
別の好ましい実施形態では、式R10−(R11k−X−YHの化合物は、式(III):
【0043】
【化5】

(式中、
12は1価のC1〜C6アルキル基又はシクロアルキル基であり、m1は正の整数であり、m2およびm3はそれぞれ独立して正の整数又は0である)
の少なくとも1種類のヒドロキシ末端ポリエーテルを含む親水性水和性(water−solvatable)物質を含み、前記ポリエーテルの重量平均分子量は約2000以下である。式(III)では、それぞれ、m1およびm3は、独立して、繰り返しオキシエチレン基の平均数であり、m2は繰り返しオキシプロピレン基の平均数であるが、但し、m1は常に正の整数であり、m2およびm3は正の整数又は0である。m2およびm3が0であるとき、式(III)はオキシエチレンホモポリマーを示す。m2が正の整数であり、m3が0であるとき、式(III)は、オキシエチレンとオキシプロピレンのブロック又はランダムコポリマーを示す。m2およびm3が正の整数であるとき、式(III)は、PEG−PPG−PEG(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)と称されるトリブロックコポリマーを示す。好ましくは、親水性、水和性成分は、平均分子量約200以上、最も好ましくは350〜2000の市販のメトキシポリエチレングリコール(MPEG’s)、又はこれらの混合物である。また、市販されており、本発明の組成物の調製に適しているのは、等重量のオキシエチレン基とオキシプロピレン基を含有し(Union Carbide Corp.50−HB Series UCON Fluids and Lubricants)、平均分子量が約1000より大きいブトキシポリオキシアルキレンである。
【0044】
イソシアネートとフッ素化化合物を反応させた後、得られたものを水およびイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる。本発明の組成物に必要なイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分は、ヒドロキシル、アミノ基、又はこれらの混合などのイソシアネート反応性基を有するどのような無機酸化物粒子であってもよい。一実施形態では、イソシアネート反応性粒子成分は、Si、Ti、Zn、Mn、Al、およびZrの無機酸化物を含む。好ましくは、無機酸化物の平均粒径は、約10〜500nm、50〜500nm、80〜400nm、100〜約300nmである。別の実施形態では、イソシアネート反応性粒子成分は、ヒュームド粒子である。別の実施形態では、イソシアネート反応性粒子成分は、アルコキシシラン、クロロシラン、金属アルコキシド、又は金属ハロゲン化物の加水分解によって製造されたコロイド粒子である。
【0045】
一実施形態では、無機酸化物は、疎水性基で;好ましくは無機酸化物と、C1〜C18アルキルトリクロロシラン、C1〜C18ジアルキルジクロロシラン、C1〜C18トリアルキルクロロシランを含むアルキルハロシラン;C1〜C18アルキルトリメトキシシラン、C1〜C18ジアルキルジメトキシシラン、C1〜C18トリアルキルメトキシシランを含むアルキルアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザンを含むアルキルジシラザン;ポリジメチルシロキサンを含むポリジアルキルシロキサン;およびこれらの混合物からなる群から選択される疎水性表面処理試薬との反応から誘導された疎水基で少なくとも部分的に表面改質されている。
【0046】
本発明の組成物の形成に有用な市販の表面改質された無機酸化物としては、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能な商品名AEROSIL、AEROXIDE、およびRシリーズ、特にAEROXIDE LE1、LE2およびLE3のヒュームドシリカが挙げられる。他の市販の表面改質された無機酸化物としては、Cabotn Corporation(Tuscola,IL)製の商品名CABOSILのもの、およびWacker Chemie(Munich,Germany)製のHDK粒子シリーズが挙げられる。
【0047】
本発明の組成物に有用なコロイド粒子としては、例えば、Vista Chemical Company(West Creek,NJ)から入手可能なCATAPALおよびDISPALアルミナなどのコロイドアルミナ;例えば、Nalco Chemical Company(Naperville,IL)から入手可能なNALCOシリカなどのコロイドシリカ懸濁液が挙げられる。
【0048】
本発明に有用な、疎水性基で少なくとも部分的に表面改質された特殊無機酸化物は、合成により製造することができる。本発明の一実施形態は、無機酸化物が、Si、Ti、Zn、Zr、Mn、Al、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるM原子の酸化物を含む表面改質された無機酸化物粒子であり、少なくとも1種類の粒子の表面が、式(IV)、
(−L2−)d(−H)(−L3c(−Si−R5(4-d)) (IV)
(式中、
2は、Mに共有結合している酸素であり;各L3はH、C1〜C2アルキル、およびOHからなる群から独立して選択され;dおよびcは、dが1以上であり、cが0以上であり、d+c=2となるような整数であり;
5は、炭素数1〜18の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基である)
で表される少なくとも1つの基に共有結合している、組成物である。
【0049】
粒子は、無機酸化物と様々なアルキルシロキサン、シリザン、ポリアルキルシロキサンとの反応によって調製される。これらの反応は、典型的には、ペンタン、ヘプタン、又はイソオクタンなどの炭化水素溶媒中で、窒素などの不活性雰囲気下で、約50℃〜約100℃の温度に加熱して行われる。数時間後、生成物を遠心分離などの従来の手段で分離し、洗浄する。得られる粒子は、粒子に共有結合している少なくとも1個の酸素、疎水化された(hydrophobized)シリコーンおよび少なくとも1個の水素を有する。
【0050】
本発明の組成物は、2つの工程で粒子成分をポリマーの合成に組み込むことよって製造される。これらの工程は、i)(a)イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(b)上記に定義した式(I)から選択される少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させること、および、その後、ii)(c)水、および(d)組成物の総乾燥重量に基づいて0.05重量%〜約2.0重量%のイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる工程を含む。
【0051】
まず、イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、式(I)から選択される少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させる。この反応は、典型的には、反応容器にポリイソシアネート;フルオロアルキルアルコール、チオール、アミン、又はこれらの混合物、および、任意に式R10−(R11k−YHの非フッ素化有機化合物を仕込むことによって行われる。試薬を添加する順番は重要ではない。仕込まれるポリイソシアネートと他の試薬の具体的な重量は、それらの等量および反応容器の処理容量(working capacity)に基づき、アルコール、チオール、又はアミンが第1の工程で消費されるように調整される。典型的には、イソシアネート基と反応する基を含まない適した無水有機溶媒が溶媒として使用される。ケトンは好ましい溶媒であり、利便性と入手し易さのため、メチルイソブチルケトン(MIBK)が特に好ましい。仕込んだものを攪拌し、温度を約40℃〜70℃に調整する。典型的には有機溶媒中のチタンキレートなどの触媒を、典型的には組成物の乾燥重量に基づいて約0.01〜約1.0重量%の量で添加し、温度を約80〜100℃に上げる。この初期反応は、ポリイソシアネート基が100%未満反応するように行われる。数時間保持した後、第2の工程で、追加の溶媒、水、イソシアネート反応性粒子成分、および、任意にカップリング剤(linking agent)を添加し、更に数時間、又はイソシアネートが全て反応するまで、混合物を反応させる。必要に応じて、界面活性剤と一緒に更に水を添加し、完全に混合するまで攪拌することができる。均質化した後、有機溶媒を減圧下で留去し、残留するポリマー生成物の水溶液又は水性分散体をそのまま使用しても、又は更に処理してもよい。
【0052】
別の実施形態では、(c)水、および(d)0.05重量%〜約2.0重量%のイソシアネート反応性粒子成分と反応させる工程(ii)は、更に、(f)カップリング剤を含む。本発明の組成物の形成に有用なカップリング剤は、2個以上のツェレビチノフ水素原子(Zerewitinov,Th.,Quantitative Determination of the Active Hydrogen in Organic Compounds, Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft,1908,41,2233−43)を有する有機化合物である。例としては、イソシアネート基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物が挙げられる。このような官能基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、およびチオール基が挙げられる。カップリング剤として有用な多官能性アルコールの例としては、オキシアルキレン基の炭素数が2、3又は4であり、2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー、およびポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルジオール;例えば、アジピン酸又は他の脂肪族二酸と、炭素数2〜30の有機脂肪族ジオールとの重合から誘導されるポリエステルジオールなどのポリエステルジオール;アルキレングリコールを含む非ポリマーポリオール、および1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,5−および1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、およびペンタエリトリトールを含むポリヒドロキシアルカンが挙げられる。
【0053】
好ましいカップリング剤は、ジアミンおよびポリアミンである。カップリング剤として有用な好ましい多官能性アミンとしては、例えば、JEFFAMINE D400、JEFFAMINE ED、およびJEFFAMINE EDR−148(全て、Huntsman Chemical Company(Salt Lake City,Utah)製)などのアミン末端ポリエーテル;アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,5−ジアミノ−3−メチルペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンペンタミン、エタノールアミン、いずれかの立体異性体の形態のリシンおよびその塩、ヘキサンジアミン、およびヒドラジン、ピペラジンを含む脂肪族および脂環式アミン;並びにキシリレンジアミンおよびa,a,a’,a’−テトラメチルキシリレンジアミンなどの芳香脂肪族(arylaliphatic)アミンが挙げられる。
【0054】
カップリング剤として使用できるモノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、およびジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0055】
得られる組成物を、水で希釈しても、又は基材に最終的に塗布するための溶媒(以下「塗布溶媒」)として適している単純なアルコール又はケトンを含む群から選択される溶媒に更に分散又は溶解させてもよい。
【0056】
あるいは、蒸発により溶媒を除去すること、および当業者に既知の乳化又は均質化法の使用により、界面活性剤を用いて従来の方法で製造される水性分散体を調製する。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又はブレンドを挙げることができる。このような溶媒非含有エマルションは、可燃性および揮発性有機化合物(VOC)の問題を最小限にするのに好ましい。
【0057】
基材に塗布される最終生成物は、ポリマー生成物の分散体(水ベースである場合)又は溶液(水以外の溶媒を使用する場合)である。
【0058】
本発明の好ましいポリマーは、Rfの炭素数が4〜6であり、pおよびqが1であり、rが0のものである。他の好ましい実施形態は、前記フッ素化化合物が前記イソシアネート基の約5mol%〜約90mol%、より好ましくは約10mol%〜約70mol%と反応するポリマーである。他の好ましい実施形態は、結合基がジアミン又はポリアミンであるポリマーである。
【0059】
また、上記の手順のいずれか又は全部に多くの変更を行い、最大の収率、生産性、又は生成物の品質が得られるように反応条件を最適化できることも当業者に明らかである。
【0060】
本発明は、更に、本発明のポリマーを溶液又は分散体として基材と接触させる工程を含む、基材に撥水性、撥油性、および防汚性を付与する方法を含む。適した基材としては、後述の繊維基材が挙げられる。
【0061】
前述の本発明の組成物の溶液又は分散体をいずれかの適した方法で基材と接触させる。このような方法としては、吸尽、泡、フレックスニップ(flex−nip)、ニップ、パッド、キスロール、ベック(beck)、かせ、ウインス、液体注入、オーバーフローフラッド(overflow flood)、ロール、刷毛、ローラー、スプレー、ディッピング、および浸漬等による塗布が挙げられるが、これらに限定されない。また、ベック染色(beck dyeing)法、連続的染色法、又は紡糸ライン塗布(thread line application)を使用することによって組成物を接触させる。
【0062】
溶液又は分散体は、基材に、それ自体で、又は他の任意のテキスタイル仕上剤若しくは表面処理剤と組み合わせて塗布される。このような任意の追加の成分としては、追加の表面効果を達成する処理剤若しくは仕上剤、又はこのような処理剤若しくは仕上剤と一緒に通常使用される添加剤が挙げられる。このような追加の成分は、ノーアイロン、アイロン掛けし易さ、収縮抑制、しわ防止、パーマネントプレス、水分調節、柔軟性、強度、スリップ防止、帯電防止、スナッグ防止(anti−snag)、ピリング防止、染みをはじく性質、染み除去性、汚れをはじく性質、汚れ除去性、撥水性、撥油性、臭気抑制、抗微生物、耐光性(sun protection)、洗浄性(cleanability)、および類似の効果などの表面効果を付与する化合物又は組成物を含む。このような処理剤又は仕上剤の1つ以上が、本発明の組成物の前、後、又は本発明の組成物と同時に基材に塗布される。例えば、繊維基材では、合成布帛又は木綿布帛を処理するとき、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能なALKANOL 6112などの湿潤剤の使用が望ましいことがある。木綿又は綿混の布帛を処理するとき、Omnova Solutions(Chester,SC)から入手可能なPERMAFRESH EFCなどの防皺性樹脂を使用することができる。
【0063】
また、任意に、界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックス増量剤、および当業者に既知の他の添加剤などの、一般にこのような処理剤又は仕上剤と一緒に使用される他の添加剤も存在する。適した界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、N−オキシド、および両性界面活性剤が挙げられる。好ましいのは、DUPONOL WAQE若しくはSUPRALATE WAQEとしてWitco Corporation(Greenwich,CT)から、又はSUPRALATE WAQEとしてWitco(Houston,TX)から入手可能なラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤である。このような添加剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、および耐汚染剤(anti−stains)等が挙げられる。組成物は、製造設備で、小売業者の場所で、又は敷設および使用の前に、又は消費者の場所で塗布される。
【0064】
任意に、耐久性を更に促進するブロックイソシアネートを本発明の組成物と一緒に添加する(即ち、ブレンドされた組成物として)。本発明に使用するのに適したブロックイソシアネートの例は、Ciba Specialty Chemicals(High Point,NJ)から入手可能なHYDROPHOBOL XANである。他の市販のブロックイソシアネートも本明細書で使用するのに適している。ブロックイソシアネートの添加の必要性は、コポリマーの特定の用途に依存する。現在考えられている用途のほとんどでは、それは、鎖間の十分な架橋、又は基材への結合を達成するために存在する必要はない。ブレンドされたイソシアネートとして添加されるとき、約20重量%以下の量を添加する。
【0065】
任意に、フッ素効率を更に増加させる可能性がある非フッ素化増量剤組成物も塗布組成物中に含まれる。このような任意の追加の増量剤ポリマー組成物の例としては、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの混合物の炭化水素コポリマーが挙げられる。このようなコポリマーは、また、塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、又はこれらの混合物も含み得る。
【0066】
所与の基材の最適な処理は、(1)本発明のフッ素化ポリマーの特性、(2)基材の表面の特性、(3)表面に塗布されるフッ素化ポリマーの量、(4)表面へのフッ素化ポリマーの塗布方法、および他の多くの要因に依存する。幾つかのフッ素化ポリマー撥水撥油剤は多くの異なる基材上で良好に機能し、油、水、および他の様々な液体をはじく性質を示す。他のフッ素化ポリマー撥水撥油剤は、基材によって、より優れた撥水撥油性を示すこともあれば、又はより高い添加レベルを必要とすることもある。
【0067】
本発明は、更に、前述の本発明の組成物の溶液又は分散体で処理された基材を含む。適した基材としては、繊維基材が挙げられる。繊維基材としては、繊維、ヤーン、布帛、混紡布(fabric blend)、テキスタイル、不織布、紙、皮革およびカーペットが挙げられる。これらは、木綿、セルロース、ウール、シルク、レーヨン、ナイロン、アラミド、アセテート、アクリル、ジュート、サイザル麻、海草、コイア、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリアラミド、又はこれらのブレンドを含む天然繊維又は合成繊維から製造される。「混紡布(fabric blends)」とは、2種類以上の繊維で製造された布帛を意味する。典型的には、これらの混紡は、少なくとも1種類の天然繊維と少なくとも1種類の合成繊維の組み合わせであるが、2種類以上の天然繊維の混紡又は2種類以上の合成繊維の混紡も含むことができる。カーペット基材は、染色されていても、顔料で着色されていても、印刷されていても、又は染色されていなくてもよい。カーペット基材は、精錬されていても又は精錬されていなくてもよい。防汚性および汚れ除去性が付与されるように本発明の方法で処理されることが特に有利な基材としては、ポリアミド繊維(ナイロンなど)、木綿、ポリエステルと木綿の混紡から製造されるもの、特にテーブルクロス、衣料品、および洗濯可能なユニフォーム等に使用される基材が挙げられる。不織布基材としては、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能なSONTARAなどのスパンレース不織布、およびスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織布が挙げられる。本発明の処理された基材は、優れた撥水性、撥油性、防汚性、汚れ除去性、耐汚染性、および染み除去性の1つ以上を有する。
【0068】
本発明の組成物および方法は、処理された基材に優れた撥水性、撥油性、および防汚性を付与するのに有用である。これらの表面特性は、粒子成分と、炭素数約2〜約8、好ましくは炭素数約2〜約6のパーフルオロアルキル基を含有するポリマーを使用して得られる。ポリマー構造中に粒子成分が極少量存在すると、パーフルオロアルキル鎖長が比較的短くても、基材に優れた表面効果特性を付与できることが分かった。本発明の処理された基材は、衣類、防護服、カーペット、室内装飾材料、室内装備品および他の用途などの様々な用途および製品に有用である。前述の優れた表面特性は、表面の清浄さを維持するのに役立ち、従って、より長く使用することを可能にする。
【0069】
材料および試験方法
試験方法
試験方法1−撥水性
処理された基材の撥水性をAATCC標準試験方法第193−2004およびTEFLON Global Specifications and Quality Control Tests information packetに概要が記載されているDuPont Technical Laboratory Methodに従って測定した。試験は、水性液体による濡れに対する処理された基材の耐性を決定する。様々な表面張力を有する水−アルコール混合物の液滴を基材につけて、表面の濡れの程度を視覚的に決定する。撥水性評価が高いほど、水をベースにする物質による染みに対する完成した基材の耐性は良好である。撥水性試験液の組成を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
試験手順:試験液1を3滴、処理された基材につける。10秒後、真空吸引を使用して液滴を除去する。液体の浸透又は部分的吸収が観察されない(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れない)場合、試験液2で試験を繰り返す。液体の浸透が観察される(基材に濡れて色の濃くなった斑点が現れる)まで、試験液3および順次それより大きい試験液番号で試験を繰り返す。試験結果は、基材に浸透しない最も大きい試験液番号である。スコアが高いほど撥水性が大きいことを示す。
【0072】
試験方法2−撥油性
次のように実施したAATCC標準試験方法第118の変更により、処理されたサンプルの撥油性を試験した。前述のポリマーの水性分散体で処理された基材を23℃、相対湿度20%と、65℃、相対湿度10%で最低2時間調整する。次いで、下記の表2に示す一連の有機液体をサンプルに1滴ずつつける。最も小さい番号の試験液(撥油性評価番号1)で始めて、3つの位置にそれぞれ1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)、少なくとも5mm離してつける。液滴を30秒間観察する。この時間の終わりに、3滴のうち2滴がまだ球状の形状であり、液滴の周囲にウィッキングが起こっていない場合、次の最も大きい番号の液体を3滴、隣接する部位につけ、同様に30秒間観察する。試験液の1つで3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持できないという結果になるまで、又は濡れ若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を続ける。
【0073】
撥油性評価は、3滴のうち2滴が球状〜半球状を維持し、30秒間ウィッキングが起こらない最も大きい番号の試験液である。一般に、5以上の評価を有する処理されたサンプルは、良〜優と考えられ、1以上の評価を有するサンプルは、ある一定の用途に使用することができる。
【0074】
【表2】

【0075】
試験方法3−汚れ促進ドラム試験(Accelerated Soiling Drum Test)
ドラムミル(ローラー上の)を使用し、カーペットサンプルに合成汚れを回転付着させた。合成汚れは、AATCC Test Method 123−2000,Section 8に記載のように調製した。汚れでコーティングされたビーズは次のように調製した。合成汚れ3gと清浄なナイロン樹脂ビーズ[SURLYNアイオノマー樹脂ビーズ、直径1/8〜3/16インチ(0.32〜0.48cm)]1リットルを清浄な空のキャニスタに入れた。SURLYNは、E.I.du Pont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)から入手可能なエチレン/メタクリル酸コポリマーである。キャニスタの蓋を閉じ、ダクトテープで密封し、キャニスタをローラー上で5分間回転させた。汚れでコーティングされたビーズをキャニスタから取り出した。
【0076】
ドラムに挿入するカーペットサンプルは、次のように準備した。これらの試験では、全カーペットサンプルサイズは8×25インチ(20.3×63.5cm)であった。全てのサンプルのカーペットのパイルを同じ方向になるように置いた。各カーペットサンプルの短辺を機械方向に(タフト列に関して)切断した。強力接着テープをカーペット片の裏側に付け、それらを一緒に保持した。カーペットサンプルを、タフトがドラムの中心を向くようにして清浄な空のドラムミルに入れた。カーペットを剛性のワイヤでドラムミル内の所定の位置に保持した。汚れでコーティングされた樹脂ビーズ250ccとボールベアリング(直径5/6インチ、0.79cm)250ccをドラムミルに入れた。ドラムミルの蓋を閉じ、ダクトテープで密封した。ドラムをローラー上で2−1/2分間、毎分105回転(rpm)で回転させた。ローラーを停止させ、ドラムミルの方向を逆にした。ドラムをローラー上で更に2−1/2分間、105rpmで回転させた。カーペットサンプルを取り出し、余分な汚れを除去するため均一に真空吸引した。汚れでコーティングされた樹脂ビーズを廃棄した。
【0077】
元の汚れていないカーペットと比較した汚れたカーペットのΔE色差を、試験品および対照品について測定した。各カーペットの色測定を、汚れ促進試験の後のカーペットで行った。各対照サンプルおよび試験サンプルについて、カーペットの色を測定し、サンプルを汚し、汚れたカーペットの色を測定した。ΔEは、汚れたサンプルと汚れていないサンプルの色の差であり、正の数として表される。Minolta Chroma Meter CR−410を使用して、各品で色差を測定した。カーペットサンプルの5つの異なる領域で色を読み取り、平均ΔEを記録した。各試験品の対照カーペットは、試験品と同じ色および構造であった。ΔEが小さいほど汚れが少なく、汚れをはじく性質が優れていることを示す。ΔΔEは、1つの実施例と別の実施例との防汚性の差を表す。ΔΔEに関する正の数は、1つの実施例の防汚性が別の実施例より優れていることを示し、その逆も同様である。
【0078】
材料
49(CH2CF22Iは、パーフルオロブチルアイオダイド(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能)とフッ化ビニリデン(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能)を、Balagueら、「Synthesis of Fluorinated Telomers,Part 1,Telomerization of Vinylidene Fluoride with Perfluoroalkyl Iodides」、J.Fluorine Chem.(1995),70(2),215−23に記載のように反応させることによって調製した。特定のテロマーアイオダイドは分留によって単離される。
【実施例】
【0079】
実施例1
反応フラスコにDESMODUR N3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、メチルイソブチルケトン(MIBK、12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール(30g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。MIBK(38.3g)および水(0.8g)中で超音波処理されたAEROXIDE LE1(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を含有する溶液を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理し、MIBKを減圧下で蒸留した。得られた混合物をミルクフィルタ(milk filter)で重力ろ過し、所望のエマルションポリマーを得た。
【0080】
実施例1の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3に記載する。
【0081】
実施例1の生成物を、住宅用カーペット(黄褐色のタクテス(tactese)カットパイルカーペット)のサンプルに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいて600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)のフッ素添加レベルを達成することを目標としてスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3Aに記載する。
【0082】
比較例A
この実施例は、粒子成分を反応に添加しないこと以外は、実施例1におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(34.4g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(20.2g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(2.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール(50g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(63.9g)および水(1.1g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(13.8g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(145.8g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理し、MIBKを減圧下で蒸留した。得られた混合物をミルクフィルタで重力ろ過し、所望のエマルションポリマーを得た。
【0083】
比較例Aの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3に記載する。
【0084】
比較例Aの生成物を、住宅用カーペット(黄褐色のタクテスカットパイルカーペット)のサンプルに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいて600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)のフッ素添加レベルを達成することを目標としてスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3Aに記載する。
【0085】
比較例B
この実施例は、粒子成分がポリマーと反応せず、ポリマーの形成後に粒子成分をポリマーと単純に物理的に混合すること以外は、実施例1におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール(30g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(35.0g)および水(0.8g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却した後、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水87.6gの加熱混合物(70℃)を添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。次いで、最終エマルションにAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を添加した後、超音波処理した。
【0086】
比較例Bの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3に記載する。
【0087】
比較例Bの生成物を、住宅用カーペット(黄褐色のタクテスカットパイルカーペット)のサンプルに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいて600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)のフッ素添加レベルを達成することを目標としてスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表3Aに記載する。
【0088】
【表3】

【0089】
表3は、業務用カーペットでの実施例1(反応した粒子を有する)、比較例A(粒子なし)、および比較例B(粒子をブレンドした比較例A)および未処理のカーペットサンプルの撥水性、撥油性および汚れをはじく性質に関する結果を示す。800マイクログラム/グラムのフッ素添加量(loading)では、実施例1は、未処理のカーペットサンプルと比較して、改善された撥水性および撥油性、並びに改善された防汚性を有した。実施例1並びに比較例AおよびBは、撥水性および撥油性並びに防汚性に関して類似の評価を示した。400マイクログラム/グラムの添加量では、実施例1は、同じフッ素添加量で比較例Aより良好な撥水性および撥油性、並びに高い防汚性を示した。
【0090】
【表4】

【0091】
表3Aは、住宅用カーペット(黄褐色のタクテスカットパイルカーペット)での実施例1(反応した粒子を有する)、比較例A(粒子なし)、および比較例B(粒子をブレンドした比較例A)の撥水性、撥油性および汚れをはじく性質に関する結果を示す。600マイクログラム/グラムのフッ素添加量では、実施例1は、比較例AおよびBと比較して、改善された防汚性および同等の撥水撥油性を示した。
【0092】
実施例2
CF3(CF23(CH2CF22I(714g)およびd−(+)−リモネン(3.2g)を仕込んだオートクレーブにエチレン(56g)を導入し、反応器を240℃で12時間加熱した。減圧蒸留により生成物を単離し、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2Iを得た。CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2I(10g、0.02mol)およびN−メチルホルムアミド(8.9mL、0.15mol)の混合物を150℃に26時間加熱した。混合物を100℃に冷却した後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(3mL)およびp−トルエンスルホン酸(0.09g)を添加し、混合物を70℃で0.25時間攪拌した。ギ酸エチルおよびエチルアルコールを留去し、粗生成物を得た。粗生成物をエーテル中に溶解させ、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。蒸留によりアルコール生成物、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2OH(6.5g、収率83%)[2mmHg(266パスカル)で沸点94〜95℃]が得られた。
【0093】
反応フラスコにDESMODUR N3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2OH(27.0g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。MIBK38.3gおよび水0.8g中で超音波処理されたAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を含有する溶液を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なWITCO C−6094(8.3g)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。
【0094】
実施例2の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表4に記載する。
【0095】
比較例C
この実施例は、粒子成分を反応に添加しないこと以外は、実施例2におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(2.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2OH(27.0g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(38.3g)および水(0.79g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なWITCO C−6094(8.3g)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理し、MIBKを減圧下で蒸留した。得られた混合物をミルクフィルタで重力ろ過し、所望のエマルションポリマーを得た。
【0096】
比較例Cの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表4に記載する。
【0097】
比較例D
この実施例は、粒子成分がポリマーと反応せず、ポリマーの形成後に粒子成分をポリマーと単純に物理的に混合すること以外は、実施例2におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3(CF23(CH2CF22CH2CH2OH(27.0g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(35.0g)および水(0.8g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却した後、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能なWITCO C−6094、8.3gと脱イオン水87.6gの加熱混合物(70℃)を添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。次いで、最終エマルションにAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を添加した後、超音波処理した。
【0098】
比較例Dの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表4に記載する。
【0099】
【表5】

【0100】
表4は、実施例2(反応した粒子を有する)、比較例C(粒子なし)、および比較例D(粒子をブレンドした比較例C)および未処理のカーペットサンプルの撥水性、撥油性および汚れをはじく性質に関する結果を示す。800マイクログラム/グラムのフッ素添加量では、実施例2は、未処理のカーペットおよび比較例Dと比較して、改善された撥水性および撥油性を有した。実施例2と比較例Cは、撥水性および撥油性に関して類似の評価を示した。400マイクログラム/グラムの添加量では、実施例2は、同じフッ素添加量で比較例Aより改善された撥水性および撥油性を有した。
【0101】
実施例3
CF3CF2CF2OCF2CF2I(100g、0.24mol)およびベンゾイルパーオキシド(3g)を窒素下で圧力容器に仕込んだ。次いで、−50℃で真空/窒素置換を3回連続して行い、エチレン(18g、0.64mol)を導入した。容器を110℃で24時間加熱した。オートクレーブを0℃に冷却し、脱ガス後に開放した。次いで、生成物を瓶に捕集した。生成物を蒸留し、CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2I80g(収率80%)を得た。沸点は、25mmHg(3.3kPa)で56〜60℃であった。
【0102】
CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2I(300g、0.68mol、前述のように調製)とN−メチルホルムアミド(300mL)の混合物を150℃に26時間加熱した。次いで、反応を100℃に冷却した後、水を添加して粗エステルを分離した。エチルアルコール(77mL)とp−トルエンスルホン酸(2.59g)を粗エステルに添加し、反応を70℃で15分間攪拌した。次いで、蟻酸エチルとエチルアルコールを留去し、粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解させ、亜硫酸ナトリウム水溶液、水、および食塩水で順番に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、生成物を蒸留し、CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2OH199g(収率85%)を得た。沸点は、40mmHg(5333Pa)で71〜73℃であった。
【0103】
反応フラスコにDESMODUR N3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2OH(32.1g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。MIBK(38.3g)および水(0.8g)中で超音波処理されたAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を含有する溶液を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。
【0104】
実施例3の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表5に記載する。
【0105】
比較例E
この実施例は、粒子成分を反応に添加しないこと以外は、実施例3におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(2.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2OH(32.1g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(38.3g)および水(0.79g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理し、MIBKを減圧下で蒸留した。得られた混合物をミルクフィルタで重力ろ過し、所望のエマルションポリマーを得た。
【0106】
比較例Eの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表5に記載する。
【0107】
比較例F
この実施例は、粒子成分がポリマーと反応せず、ポリマーの形成後に粒子成分をポリマーと単純に物理的に混合すること以外は、実施例3におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、CF3CF2CF2OCF2CF2CH2CH2OH(27.0g)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(35.0g)および水(0.8g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却した後、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の加熱混合物(70℃)を添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。次いで、最終エマルションにAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を添加した後、超音波処理した。
【0108】
比較例Fの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表5に記載する。
【0109】
【表6】

【0110】
表5は、実施例3(反応した粒子を有する)、比較例E(粒子なし)、および比較例F(粒子をブレンドした比較例E)および未処理のカーペットサンプルの撥水性、撥油性および汚れをはじく性質に関する結果を示す。800マイクログラム/グラムのフッ素添加量では、実施例3は、比較例EおよびFと比較して同等の撥水性および撥油性、並びに改善された防汚性を有した。未処理のサンプルの防汚性の方が良好であったが、実施例3は、未処理のカーペットサンプルと比較して撥油性および撥水性の向上を示した。400マイクログラム/グラムの添加量では、実施例3は比較例Eと同等の撥水性および撥油性を有したが、同じフッ素添加量で改善された防汚性を有した。
【0111】
実施例4
1ガロンの反応器にパーフルオロエチルエチルアイオダイド(PFEEI、850g、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能)を仕込んだ。低温真空排気した後、圧力が60psig(413.7×103Pa)に達するまで、エチレンとテトラフルオロエチレンを27:73の比で添加した。次いで、反応を70℃に加熱した。圧力が160psig(1103×103Pa)に達するまで、更にエチレンとテトラフルオロエチレンを27:73の比で添加した。過酸化ラウロイル溶液(パーフルオロエチルエチルアイオダイド150g中、過酸化ラウロイル4g)を1mL/分の速度で1時間添加した。気体供給率をエチレン:テトラフルオロエチレン1:1に調整し、圧力を160psig(1103×103Pa)に維持した。エチレン約67gを添加した後、エチレンとテトラフルオロエチレンの供給を停止した。反応を70℃で更に8時間加熱した。揮発性物質を真空蒸留により室温で除去した。主成分として1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカンを約2:1の比で含有するアイオダイド(773g)の混合物を得た。
【0112】
1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−ヨードオクタンと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ヨードドデカン(46.5g)を含有するアイオダイドの混合物とN−メチルホルムアミド(NMF)(273mL)を150℃に19時間加熱した。反応混合物を水(4×500mL)で洗浄し、残留物を得た。この残留物、エタノール(200mL)、および濃塩酸(1mL)の混合物を24時間穏やかに還流した(浴温85℃)。反応混合物を水(300mL)中に注いだ。固体を水(2×75mL)で洗浄し、減圧下(2torr)で乾燥させ、主成分として1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノールを含有するアルコールの混合物26.5gを得た。
【0113】
反応フラスコにDESMODUR N3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(33.3g)の混合物を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。MIBK(38.3g)および水(0.8g)中で超音波処理されたAEROXIDE LE1(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を含有する溶液を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。
【0114】
実施例4の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表6に記載する。
【0115】
比較例G
この実施例は、粒子成分を反応に添加しないこと以外は、実施例4におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(2.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(33.3g)の混合物を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(38.3g)および水(0.79g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却し、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の混合物を70℃に加熱して、添加した。混合物を超音波処理し、MIBKを減圧下で蒸留した。得られた混合物をミルクフィルタで重力ろ過し、所望のエマルションポリマーを得た。
【0116】
比較例Gの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表6に記載する。
【0117】
比較例H
この実施例は、粒子成分がポリマーと反応せず、ポリマーの形成後に粒子成分をポリマーと単純に物理的に混合すること以外は、実施例4におけるように調製した組成物を実証した。フラスコにN3300A HDIをベースにするイソシアネート(20.6g、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)、MIBK(12.1g)、およびMIBK中0.005Mのジラウリン酸ジブチルスズ溶液(1.5g)を仕込んだ。混合物を60℃に加熱した後、1,1,2,2,5,5,6,6−オクタヒドロパーフルオロ−1−オクタノールと1,1,2,2,5,5,6,6,9,9,10,10−ドデカヒドロパーフルオロ−1−ドデカノール(33.3g)の混合物を徐々に滴下した。滴下が完了した後、反応温度を85℃に上げ、3時間保持した。3時間後、MIBK(35.0g)および水(0.8g)を添加し、得られた混合物を85℃で更に12時間加熱、攪拌した。次いで、この混合物を70℃に冷却した後、WITCO C−6094(8.3g、Witco Corporation(Greenwich,CT)から入手可能)と脱イオン水(87.6g)の加熱混合物(70℃)を添加した。混合物を超音波処理した後、MIBKを減圧下で蒸留し、ミルクフィルタで重力ろ過して、所望のエマルションポリマーを得た。次いで、最終エマルションにAEROXIDE LE1ヒュームドシリカ粒子(0.05g、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)を添加した後、超音波処理した。
【0118】
比較例Hの生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素800ppmおよび400ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表6に記載する。
【0119】
【表7】

【0120】
表6は、実施例4(反応した粒子を有する)、比較例G(粒子なし)、および比較例H(粒子をブレンドした比較例G)および未処理のカーペットサンプルの撥水性、撥油性および汚れをはじく性質に関する結果を示す。800マイクログラム/グラムのフッ素添加量では、実施例4は、未処理のカーペットサンプル並びに比較例GおよびHと比較して改善された撥水性および撥油性、並びに改善された防汚性を有した。400マイクログラム/グラムのフッ素添加量では、実施例4は、同じフッ素添加量で、比較例Gと同等の撥水性および撥油性、並びに高い防汚性を有した。
【0121】
実施例5
ジラウリン酸ジブチルスズ/メチルイソブチルケトン(MIBK)溶液(0.004g/gMIBK)は、MIBK62.5gにスズ化合物0.25gを添加することによって作製した。滴下漏斗、熱電対、機械的攪拌機、窒素入口、冷却器、およびガス出口を備えた250mLの四つ口丸底フラスコを準備した。フラスコを窒素でパージし、60℃に加熱した後、冷却した。フラスコに、1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサノール50g、DESMODUR N100(イソシアネート、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)33.57g、およびMIBK19.71gを仕込んだ。反応混合物を60℃に加熱した後、スズ溶液3.48gを滴下漏斗で滴下した。60.0℃から104.4℃への発熱が観察された。反応混合物の温度を85℃に上げ、4時間保持した。4時間後、AEROXIDE LE1粒子(83.6mg、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)をMIBK70.09g中で各20秒間、2回超音波処理した。次いで、この混合物を溶液に添加した後、水12.36gを添加し、85℃で終夜加熱した。反応性イソシアネートが全て完全に反応したと思われたとき、得られた溶液を70℃に冷却し、中間物質を得た。
【0122】
250mLの三角フラスコに、Witco C−6094、6.8gと脱イオン水54.75gを添加し、水浴中で70℃に加熱した。次いで、プラスチックビーカー内の上記段落で生成した中間物質85gにこの溶液を添加し、各1分間、2回超音波処理した。次いで、ロータリーエバポレータで溶液からMIBKを留去した。次いで、得られた溶液をミルクフィルタでろ過した。このポリマーの固形分率は、約30%であり、F%は約10%であった。
【0123】
実施例5の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表7に記載する。
【0124】
実施例6
AEROXIDE LE1の代わりに、実施例6ではAEROXIDE LE2を使用して、実施例5の手順を繰り返した。ジラウリン酸ジブチルスズ/メチルイソブチルケトン(MIBK)溶液(0.004g/gMIBK)は、MIBK62.5gにスズ化合物0.25gを添加することによって作製した。滴下漏斗、熱電対、機械的攪拌機、窒素入口、冷却器、およびガス出口を備えた250mLの四つ口丸底フラスコを準備した。フラスコを窒素でパージし、60℃に加熱した後、冷却した。フラスコに、1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサノール50g、DESMODUR N100(イソシアネート、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)33.57g、およびMIBK19.71gを仕込んだ。反応混合物を60℃に加熱した後、スズ溶液3.48gを滴下漏斗で滴下した。60.0℃から104.4℃への発熱が観察された。反応混合物の温度を85℃に上げ、4時間保持した。4時間後、AEROXIDE LE2粒子(83.6mg、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)をMIBK70.09g中で各20秒間、2回超音波処理した。次いで、この混合物を溶液に添加した後、水12.36gを添加し、85℃で終夜加熱した。反応性イソシアネートが全て完全に反応したと思われたとき、得られた溶液を70℃に冷却し、中間物質を得た。
【0125】
250mLの三角フラスコに、Witco C−6094、6.8gと脱イオン水54.75gを添加し、水浴中で70℃に加熱した。次いで、プラスチックビーカー内の上記段落で生成した中間物質85gにこの溶液を添加し、各1分間、2回超音波処理した。次いで、ロータリーエバポレータで溶液からMIBKを留去した。次いで、得られた溶液をミルクフィルタでろ過した。このポリマーの固形分率は、約30%であり、F%は約10%であった。
【0126】
実施例6の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表7に記載する。
【0127】
実施例7
AEROXIDE LE1の代わりに、実施例7ではAEROXIDE LE3を使用して、実施例5の手順を繰り返した。ジラウリン酸ジブチルスズ/メチルイソブチルケトン(MIBK)溶液(0.004g/gMIBK)は、MIBK62.5gにスズ化合物0.25gを添加することによって作製した。滴下漏斗、熱電対、機械的攪拌機、窒素入口、冷却器、およびガス出口を備えた250mLの四つ口丸底フラスコを準備した。フラスコを窒素でパージし、60℃に加熱した後、冷却した。フラスコに、1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサノール50g、DESMODUR N100(イソシアネート、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手可能)33.57g、およびMIBK19.71gを仕込んだ。反応混合物を60℃に加熱した後、スズ溶液3.48gを滴下漏斗で滴下した。60.0℃から104.4℃への発熱が観察された。反応混合物の温度を85℃に上げ、4時間保持した。4時間後、AEROXIDE LE3粒子(83.6mg、Evonik Industries(Essen,Germany)から入手可能)をMIBK70.09g中で各20秒間、2回超音波処理した。次いで、この混合物を溶液に添加した後、水12.36gを添加し、85℃で終夜加熱した。反応性イソシアネートが全て完全に反応したと思われたとき、得られた溶液を70℃に冷却し、中間物質を得た。
【0128】
250mLの三角フラスコに、Witco C−6094、6.8gと脱イオン水54.75gを添加し、水浴中で70℃に加熱した。次いで、プラスチックビーカー内の上記段落で生成した中間物質85gにこの溶液を添加し、各1分間、2回超音波処理した。次いで、ロータリーエバポレータで溶液からMIBKを留去した。次いで、得られた溶液をミルクフィルタでろ過した。このポリマーの固形分率は、約30%であり、F%は約10%であった。
【0129】
実施例7の生成物を、28オンス/平方ヤード(0.95kg/平方メートル)の黄色のナイロン6,6の業務用レベルループカーペットであるカーペットに塗布した。組成物を水で希釈し、カーペット繊維重量に基づいてフッ素600ppm(1グラム当たりのマイクログラム)を目標としてウェットピックアップが25%となるようにスプレー塗布でカーペットに塗布した。この後、オーブンで硬化させ、少なくとも1分間、表面繊維温度250°F(121℃)を達成した。試験方法1、2および3に従って、カーペットの撥水性、撥油性および防汚性を試験した。結果を表7に記載する。
【0130】
比較例J−L
比較例Aと同じ条件および濃度を使用して、比較例J−Lを調製した。次いで、比較例Jを600マイクログラム/グラムの添加量でカーペットに塗布し、試験方法1、2および3を使用して試験し、実施例5と比較した。比較例Kを600マイクログラム/グラムの添加量でカーペットに塗布し、試験方法1、2および3を使用して試験し、実施例6と比較した。比較例Lを600マイクログラム/グラムの添加量でカーペットに塗布し、試験方法1、2および3を使用して試験し、実施例7と比較した。結果を表7に記載する。
【0131】
【表8】

【0132】
実施例5〜7は、ポリマー中に粒子成分が存在しないこと以外は同じ組成物で処理された同じカーペットである各比較例J〜Lと類似の撥水性および撥油性を有したが、比較例J〜Lより良好なドラム汚れ特性を有した。しかし、実施例5は、実施例6および実施例7と比較して著しく良好なドラム汚れ特性を有した。モノマーの重量に対して非常に低い粒子成分添加量(0.1重量%)で、性能特性の向上が起こった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(a)イソシアネート基を有する少なくとも1種類のジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物と、(b)式(I):
f1−L−X (I)
[式中、
f1は、1〜50個の酸素原子によって任意に中断された、炭素数2〜100の1価の部分的に又は完全にフッ素化された直鎖又は分岐鎖のアルキル基であって、炭素原子対酸素原子の比が少なくとも2:1であり、酸素原子が互いに結合していないアルキル基であり、
Lは、結合であるか、又は、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−SO2−、−N(R)C(O)−(式中、RはH又はC1〜C6アルキルである)からなる群から選択される1〜4個のヘテロ基で任意に中断されており且つCH2Clで任意に置換されている炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖の2価の結合基であり、
Xは、−OH、−N(R)H(式中、Rは、H又はC1〜C6アルキルである)、および−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基である]
から選択される少なくとも1種類のフッ素化化合物を反応させる工程、および、その後、
(ii)(c)水、および(d)組成物の総乾燥重量に基づいて0.05重量%〜約2.0重量%のイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる工程、
によって調製される、少なくとも1つの尿素結合を有する少なくとも1種類のポリウレタンの水溶液又は水性分散体を含む、基材に表面特性を付与するための組成物。
【請求項2】
f1が、F(CF2n、F(CF2n(CH2CF2p、F(CF2n(CH2x[(CF2CF2p−(CH2CH2qm、F(CF2nOF(CF2n、F(CF2nOCFHCF2、又はF(CF2n[OCF2CF(CH3)]p[OCF2CF2q(式中、nは1〜約6であり、xは1〜約6であり、p、qおよびmはそれぞれ独立して1〜約3である)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
f1−L−X(I)が、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie):
(Ia) F(CF2n(CH2tX、
(Ib) F(CF2n(CH2CF2p(CH2CH2q(R5rX、
(Ic) F(CF2n(CH2x[(CF2CF2p(CH2CH2qm(R5rX、
(Id) F(CF2nO(CF2nCH2(Ct2t)X、
(Ie) F(CF2n−OCFHCF2(OCH2CH2vX、
[式中、
tは、1〜10の整数であり、
nは、約1〜6の整数であり、
p、qおよびmはそれぞれ独立して、1〜3の整数であり、
xは、1〜6の整数であり、
rは、0又は1であり、
Xは、−O−、−NH−、又は−S−であり、
1は、−S(CH2u−、
【化1】

(式中、
uは、2〜4の整数であり、
sは、1〜50の整数であり、
2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素、又は炭素数1〜6のアルキル基である)
からなる群から選択される2価の基である]
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジイソシアネート又はポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および、式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId):
【化2】

のジイソシアネート3量体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
反応させる工程(i)が、(e)式
10−(R11k−X
[式中、
10は、C1〜C18アルキル、C1〜C18ω−アルケニル基、又はC1〜C18ω−アルケノイルであり、
11は、
【化3】

(式中、
2、R3、およびR4は、それぞれ独立してH又はC1〜C6アルキルであり、
sは、1〜50の整数である)
からなる群から選択され、
kは、0又は1であり、
Xは、−OH、−N(R)H、および−SHからなる群から選択されるイソシアネート反応性基であり、RはH又はC1〜C6アルキル基である]
からなる群から選択される非フッ素化有機化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート反応性非フッ素化粒子成分が、平均粒径約10〜500nmのSi、Ti、Zn、Mn、Al、およびZrの無機酸化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記無機酸化物が、疎水性基で少なくとも部分的に表面改質されており、前記疎水性基が、無機酸化物と、C1〜C18アルキルトリクロロシラン、C1〜C18ジアルキルジクロロシラン、C1〜C18トリアルキルクロロシランを含むアルキルハロシラン;C1〜C18アルキルトリメトキシシラン、C1〜C18ジアルキルジメトキシシラン、C1〜C18トリアルキルメトキシシラン、およびC1〜C18アルキルトリエトキシシランを含むアルキルアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザンを含むアルキルジシラザン;ポリジメチルシロキサンを含むポリジアルキルシロキサン;およびこれらの混合物からなる群から選択される疎水性表面処理試薬との反応から誘導される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記無機酸化物が、Si、Ti、Zn、Zr、Mn、Al、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択されるM原子の酸化物を含む表面改質された無機酸化物粒子であり、少なくとも1種類の粒子の表面が、式(IV)、
(−L2−)d(−H)(−L3c(−Si−R5(4-d)) (IV)
(式中、
2は、Mに共有結合している酸素であり;各L3はH、C1〜C2アルキル、およびOHからなる群から独立して選択され;dおよびcは、d≧1、c≧0、およびd+c=2となるような整数であり;
5は、炭素数1〜18の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基である)
で表される少なくとも1つの基に共有結合している、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
(c)水、および(d)0.05重量%〜約2.0重量%のイソシアネート反応性非フッ素化粒子成分と反応させる工程(ii)が、(f)ジアミン又はポリアミンであるカップリング剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
基材に請求項1に記載の組成物を接触させる工程を含む、基材に撥水性、撥油性、および防汚性を付与する方法。
【請求項11】
木綿、セルロース、ウール、シルク、レーヨン、ナイロン、アラミド、アセテート、アクリル、ジュート、サイザル麻、海草、コイア、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリアラミド、又はこれらの混紡からなる繊維、ヤーン、布帛、混紡布、テキスタイル、スパンレース不織布、カーペット、紙、又は皮革である、請求項10に記載の方法で処理された基材。

【公表番号】特表2011−506639(P2011−506639A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537021(P2010−537021)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/085296
【国際公開番号】WO2009/076108
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】