説明

フレキシブル太陽電池モジュールの連結シート

【課題】フレキシブル太陽電池モジュールを連結してパイプハウスの屋根材等を容易に構成することを可能と為し得る、フレキシブル太陽電池モジュールの連結シートを提供すること。
【解決手段】一対の矩形シート状部材22a,22bによって構成されており、各矩形シート状部材22において、少なくとも一つの端縁部がフレキシブル太陽電池モジュールへの固着縁部24とされていると共に、他の少なくとも一つの端縁部26には、該一対の矩形シート状部材22a,22bを解除可能に連結する連結手段34a,34bが設けられており、更に、該一対の矩形シート状部材22a,22bの少なくとも一方には、該連結手段をフレキシブル太陽電池モジュールの表面側から覆う保護部40が設けられている連結シート14。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル太陽電池モジュールを連結して例えば農業用ビニールハウスの屋根材等を構成するのに用いられる連結シートに関するものであり、更に、かかる連結シートを利用してフレキシブル太陽電池モジュールで屋根材等を構成した農業用ビニールハウス等のパイプハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圃場における環境調節等の目的で農業用ビニールハウスが用いられている。農業用ビニールハウスは、金属パイプ等で組み立てた骨格部材に対して、屋根材等の壁材としてビニール等の透明な合成樹脂シートを装着して被覆することで構成されている。
【0003】
ところで、かかる農業用ビニールハウス等のパイプハウスでは、ハウス内の暖房や冷房、換気等の空調設備の作動の他、耕転や収穫、吸水、施肥などの各種作業用設備の作動に際して、駆動エネルギーとしての電力が必要とされることが多い。そして、近年では、環境への配慮から、これらの電力を太陽電池を用いた太陽光発電で補うことが検討されている。例えば、特開2006−339683号公報(特許文献1)には、簡易ドーム状構造物の屋根材に太陽電池モジュールを装着することが提案されている。
【0004】
ところが、上記特許文献1に記載された従来構造では、屋根材に対して太陽電池モジュールを縫い付けて装着する必要があった。そのために、屋根材と太陽電池モジュールに対して糸を刺し通して縫い付けるという面倒な作業が必要であった。特に、市場に提供されている太陽電池モジュールは、他部材に縫い付けられて使用されることを想定していないから、縫付用の糸を挿し通す孔を穿つことが難しく、多数の太陽電池モジュールを屋根材に縫い付けて装着することが困難を極める。しかも、農業用ビニールハウスの屋根材として用いられる農業用ポリ塩化ビニルフィルム等は1〜2年置きに張り替えられるから、その度に、古い屋根材に縫い付けられた多数の太陽電池モジュールを取り外し、新しい屋根材に対して多数の太陽電池モジュールを縫い付けなおすことが必要となる。このように、太陽電池モジュールの屋根材への装着には、多大な労力と時間を要することとなり、実用化が極めて困難であったのである。
【0005】
加えて、農業用ビニールハウスにおいては、ハウス内で栽培される野菜等に太陽光を当てるために、採光量を確保する必要がある。ところが、特許文献1に記載の従来構造では、屋根材に縫い付けられた太陽電池モジュールが太陽光を遮ってしまい、採光量を十分に確保することが難しいという問題もあった。
【0006】
なお、特許文献2(特開2001−291888号公報)には、複数の太陽電池モジュールを、帯状の外装フィルム内に形成した袋状部分に対して移動可能に収容させて、かかる帯状の外装フィルムで、それら複数の太陽電池モジュールを相互に連結させて支持せしめた構造が開示されている。しかしながら、この特許文献2に記載の構造では、太陽電池モジュールを収容した外装フィルムを農業用ビニールハウスに装着するために、隣り合うハウス骨格間に跨がって係止される特別な固着具を別途に準備する必要があった。そのために、部品点数が多くなって構造が複雑となり、ビニールハウスへの装着作業も面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−339683号公報
【特許文献2】特開2001−291888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決課題とするところは、フレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウスに適用するに際して、フレキシブル太陽電池モジュールを屋根材等として容易に装着が出来ると共に、ハウス内の採光量も効果的に確保することが出来る、新規な構造の連結シートを提供することにある。
【0009】
また、本発明は、フレキシブル太陽電池モジュールを容易に配設することが出来ると共に、ハウス内の採光量も効果的に確保することが出来る、新規な構造のパイプハウスを提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
連結シートに係る本発明の第一の態様は、複数のフレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウスに装着して用いる際に隣り合う二つの該フレキシブル太陽電池モジュールを相互に連結するための連結シートであって、透明な合成樹脂材料で形成されて隣り合う二つの前記フレキシブル太陽電池モジュールを相互に連結する際に組み合わせて用いられる一対の矩形シート状部材によって構成されており、各矩形シート状部材において、少なくとも一つの端縁部が該フレキシブル太陽電池モジュールに重ね合わせられて固着される固着縁部とされていると共に、他の少なくとも一つの端縁部には、該一対の矩形シート状部材を解除可能に連結する連結手段が設けられており、更に、該一対の矩形シート状部材の少なくとも一方には、該連結手段を該フレキシブル太陽電池モジュールの表面側から覆う保護部が設けられていることを、特徴とする。
【0011】
第一の態様によれば、フレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウス骨格へ装着する際に、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールを適宜に連結することが出来る。それ故、複数のフレキシブル太陽電池モジュールを、その用途対象となる形状に対して柔軟に対応して、全体的に各種の形状を実現することが可能となり、フレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウス骨格に対して容易に且つ効率的に装着することが可能となる。
【0012】
また、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールの間に配設されることとなる矩形シート状部材を通じて、ハウス内への採光を実現できる。即ち、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールの間において、採光窓が実現され得る。その結果、パイプハウスの屋根材等の壁材やその内側や外側に必要に応じて適当な隙間を隔てて重なるようにして、複数のフレキシブル太陽電池モジュールが連結されたものを配設して採用しても、パイプハウス内の採光量が確保可能となる。
【0013】
なお、本発明において連結対象となるフレキシブルな太陽電池モジュールは、具体的な材質等が限定されるものでなく、パイプハウス骨格に装着するのに要求される形状の自由度を有するものであれば良い。具体的には、例えばカルコパイライト系太陽電池等の化合物系や、有機薄膜太陽電池等の有機系の他、曲面設置可能な球状シリコン型太陽電池等のシリコン系も、本発明が対象とする太陽電池モジュールとなり得る。
【0014】
連結シートに係る本発明の第二の態様は、第一の態様に記載のものにおいて、前記矩形シート状部材の少なくとも一部によって光学レンズが構成されているものである。
【0015】
第二の態様によれば、矩形シート状部材を通りぬける太陽光を、用途等を考慮してより効率的に利用することが可能となる。例えば、光学レンズとして、プリズムや、光収束させる凸レンズ、光発散させる凹レンズ、球面レンズ等の各種レンズが適宜に採用される。例えば、プリズムを採用して、ハウス内栽培作物に有益な波長光だけを照射したり、凹レンズを使用してフレキシブル太陽電池モジュールの裏側へ太陽光を回り込ませてフレキシブル太陽電池モジュールの影による栽培作物への悪影響を軽減させること等も可能となる。
【0016】
連結シートに係る本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載のものにおいて、各前記矩形シート状部材の互いに連結される前記端縁部において裏側延出片と表側延出片が設けられており、該裏側延出片に前記連結手段が設けられていると共に、該表側延出片に前記保護部が設けられているものである。
【0017】
第三の態様によれば、各矩形シート状部材に保護部が設けられているので、連結手段を二重に覆うことが出来る。その結果、保護部による連結手段の保護をより確実なものとすることが可能となる。
【0018】
連結シートに係る本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れかの態様に記載のものにおいて、前記一対の矩形シート状部材のそれぞれにおいて、前記連結手段の設けられた前記端縁部と前記固着縁部が該一対の矩形シート状部材の対辺部分に位置しているものである。
【0019】
第四の態様によれば、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールが特定の方向に連結される。それ故、フレキシブル太陽電池モジュールの連結方向が判り易くなり、フレキシブル太陽電池モジュールの連結作業を効率良く行うことが出来る。
【0020】
連結シートに係る本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れかの態様に記載のものにおいて、透明な合成樹脂製の矩形状シートで構成された中間シート状部材が前記一対の矩形シート状部材の間に少なくとも一つ配設されており、該中間シート状部材において該一対の矩形シート状部材の対辺部分にはそれぞれ該矩形シート状部材の前記連結手段に対して解除可能に連結される中間連結手段が設けられているものである。
【0021】
第五の態様によれば、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールの間に更に大きな隙間を形成することが出来る。その結果、パイプハウスの採光量を十分に確保することが可能となる。
【0022】
連結シートに係る本発明の第六の態様は、第五の態様に記載のものにおいて、前記中間シート状部材の少なくとも一部によって光学レンズが構成されているものである。
【0023】
第六の態様によれば、中間シート状部材を通りぬける太陽光のハウス内への照射態様を、前述の矩形シート状部材を通り抜ける太陽光と同様に、光学レンズで調節設定してより効率的に利用することが可能となる。
【0024】
連結シートに係る本発明の第七の態様は、第一〜六の態様に記載のものにおいて、前記フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を緩和する引張部材を取り付けるための取付部が設けられているものである。
【0025】
なお、かかる取付部は、フレキシブル太陽電池モジュールを挟んだ両側に位置する異なる連結シートに形成されていても良いし、フレキシブル太陽電池モジュールの長さ方向に延びる一つの連結シートの複数箇所に形成されていても良い。要するに、異なる位置に形成された取付部間に跨がって引張部材を配することで、フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を軽減又は解消し得る態様であれば良い。
【0026】
パイプハウスに係る本発明の第一の態様は、連結シートに係る本発明の第一〜第七の態様の何れかに記載の連結シートを用いて連結された複数の前記フレキシブル太陽電池モジュールがパイプハウス骨格に装着されていることを、特徴とする。
【0027】
本態様によれば、フレキシブル太陽電池モジュールそのものがパイプハウス骨格に装着されるから、フレキシブル太陽電池モジュールの装着作業が容易になる。また、連結シートを通じてのパイプハウス内への採光量を設定し、適当に調節することも可能となる。
【0028】
なお、本発明において太陽電池モジュールが装着されるパイプハウス骨格としては、例えば従来構造のビニールハウスにおいて外壁(周壁や屋根材等)を構成する樹脂フィルムを支持するパイプハウス骨格をそのまま利用して、このパイプハウス骨格に装着することにより樹脂フィルムに代えてフレキシブル太陽電池モジュールを採用することにより、かかる太陽電池モジュールによってパイプハウスの外壁を構成することも可能である。或いは、そのような従来構造のビニールハウスにおいてパイプハウス骨格で支持されて外壁を構成する樹脂フィルムをそのままにして、当該外壁の内側(又は外側)に別のパイプハウス骨格を構築せしめ、このパイプハウス骨格に対して、本発明に係るパイプハウス用取付部材を用いて、太陽電池モジュールを支持せしめて装着することも可能である。なお、このように従来構造のビニールハウス等の外壁を残したままで、当該外壁の内側(又は外側)に太陽電池モジュールを装着する場合には、太陽電池モジュールに対して防水性等の外壁機能が必ずしも要求されないことから、太陽電池モジュールの配設形態の自由度を大きく確保できると共に、要求される取付支持強度が低くされてパイプハウス用取付部材の装着数の減少や取付構造の簡略化等も可能となる。
【0029】
パイプハウスに係る本発明の第二の態様は、第一の態様に記載のものにおいて、前記フレキシブル太陽電池モジュールの展張方向に配設されることにより、該フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を分担支持する引張部材を設けたものである。
【0030】
第二の態様のパイプハウスによれば、フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を軽減又は解消して、フレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウスの屋根材として使用するに際しての、引張力作用に起因する耐久性低下や損傷を回避することが可能となる。
【0031】
なお、上記引張部材は、例えば、パイプハウス骨格に対して直接に連結されて複数のパイプハウス骨格間に跨がって配設されていても良いが、前述の如きフレキシブル太陽電池モジュールの連結シートに対して、引張部材の端部が取り付けられる取付部を設けることにより、かかる連結シートを利用して引張部材を装着するようにしても良い。
【0032】
また、上述の引張部材には、その引張力を調節する張力調節手段が設けられることが望ましい。これにより、フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を、例えば温度等の環境に対応して必要な時期に適宜に調節することが可能となる。
【0033】
なお、かかる引張部材は、例えば、その長さ方向において複数の分割引張部材に分割可能とされていると共に、これらの複数の分割引張部材の連結部分において長さの調節機構を備えることにより、上記張力調節手段が構成され得る。或いは、それらの分割引張部材の連結部分において長さ方向に弾性変形可能な弾性連結部材を介在させることにより、引張力を弾性的に調節するようにしても良い。
【発明の効果】
【0034】
連結シートに関する本発明においては、複数のフレキシブル太陽電池モジュールを、適宜に、大きな自由度をもって、相互に連結することが可能となる。また、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュールの間に、本発明の連結シートが配設されることで、それら二つのフレキシブル太陽電池モジュール間において、連結シートを通じての太陽光のパイプハウス内への入射採光を確保することが出来る。
【0035】
パイプハウスに関する本発明においては、フレキシブル太陽電池モジュールをそれ自体に大幅な改造を加えることなく良好な作業性をもって且つ強固に固定支持せしめることが可能となることから、太陽電池モジュールを屋根材等として利用することも出来て、太陽電池を利用したパイプハウスが効率的に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】パイプハウスに係る本発明の第一の実施形態としてのパイプハウスを示す斜視図。
【図2】連結シートに係る本発明の第一の実施形態としての連結シートを説明するための平面図。
【図3】図2に示す連結シートの側面図。
【図4】図1に示したパイプハウスにおいて屋根材をパイプハウス骨格に装着するためのパイプハウス用取付部材を示す平面図。
【図5】図4に示したパイプハウス用取付部材の側面図。
【図6】フレキシブル太陽電池モジュールがパイプハウス用取付部材によってパイプハウス骨格に装着されている状態を説明するための断面図。
【図7】複数のフレキシブル太陽電池モジュールを連結する際に採用可能な連結方法を説明するための平面図。
【図8】連結シートに係る本発明の第二の実施形態としての連結シートを説明するための平面図。
【図9】図8に示す連結シートの側面図。
【図10】図8に示した連結シートの要部を拡大して示す断面図。
【図11】連結シートに係る本発明の第三の実施形態としての連結シートを説明するための平面図。
【図12】図11に示す連結シートの側面図。
【図13】連結シートに係る本発明の第四の実施形態としての連結シートを説明するための側面図。
【図14】連結シートに係る本発明の第五の実施形態としての連結シートを説明するための平面図。
【図15】パイプハウスに係る本発明の第二の実施形態としてのパイプハウスにおける要部を示す断面説明図。
【図16】紐状部材の要部を拡大して示す平面図。
【図17】本実施形態のパイプハウスで採用可能な長さ調節手段の他の態様を示す拡大平面図。
【図18】本実施形態のパイプハウスで採用可能な長さ調節手段の更に別の態様を示す拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0038】
図1には、パイプハウスに係る本発明の第一の実施形態としてのパイプハウス10が示されている。パイプハウス10は、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12が、連結シートに係る本発明の第一の実施形態としての連結シート14によって連結された状態で、パイプハウス骨格16に装着された構造とされている。
【0039】
より詳細には、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12は、それぞれ、従来から公知のものであって、図2及び図3に示されているように、直並列接続された複数枚の太陽電池セル18の表裏両面に保護フィルム20a,20bが接着された構造とされており、全体として帯形状を呈している。
【0040】
保護フィルム20a,20bとしては、フッ化エチレン−エチレン共重合体,フッ化ビニリデン樹脂,3フッ化塩化エチレン樹脂,アクリル樹脂,3フッ化塩化エチレン樹脂コートアクリル樹脂,ポリエステル樹脂等からなるものが採用されている。なお、裏側の保護フィルム20bとしては、これらの樹脂材料の他、アルミ箔ラミネート1フッ素化ビニル樹脂やアルミ箔ラミネートポリエステル樹脂、防水の為の金属箔又は金属板を貼り付けたガラス繊維布やポリエステル不織布等からなるものも採用可能である。
【0041】
このようなフレキシブル太陽電池モジュール12を連結する連結シート14は、一対の矩形シート状部材22a,22bによって構成されている。一対の矩形シート状部材22a,22bは、それぞれ、裏側の保護フィルム20bと同様に、耐候性に優れた合成樹脂材料で形成されており、幅方向(図2の左右方向)一方の端縁部がフレキシブル太陽電池モジュール12の裏面(裏側の保護フィルム20b)に重ね合わされて接着される固着縁部24a,24bとされている。
【0042】
矩形シート状部材22a,22bとフレキシブル太陽電池モジュール12の接着には、使用環境の他、矩形シート状部材22a,22bや裏側の保護フィルム20bとの接着性等を考慮して、適当な接着剤が用いられる。例えば、矩形シート状部材22a,22bと裏側の保護フィルム20bの何れもが、例示の如き樹脂材料からなる場合には、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA),エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,シリコン樹脂,アクリル樹脂,フッ素樹脂,ポリイソブチレン,テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロビレン−ビニリデンフロライド共重合体(THV)等からなる接着剤が採用可能である。高耐候性及び低コストの観点からは、EVAからなる接着剤が望ましい。THV以外の樹脂材料からなる接着剤には、紫外線吸収剤や酸化防止剤,架橋剤,カップリング剤を配合する必要があるので、作業性の観点からはTHVからなる接着剤が望ましい。
【0043】
裏側の保護フィルム20bと矩形シート状部材22a,22bの接着面には、使用する接着剤との接着性を向上させるために、親水化表面処理を施すことが望ましい。親水化表面処理の方法としては、コロナ放電処理,プラズマ放電処理,アルカリ処理,紫外線照射処理等がある。
【0044】
また、各矩形シート状部材22a,22bにおいて固着縁部24a,24bとは幅方向で反対側に位置する端縁部(以下、連結側縁部26a,26bと称する)には、裏側延出片28と表側延出片30が設けられている。裏側延出片28は、連結手段としての防水性スライドファスナー32を構成する防水ファスナー部材34a,34bによって構成されている。
【0045】
防水ファスナー部材34a,34bは、従来から公知のものを用いることもできる。例えば、織成又は編成した帯状芯材にエラストマー樹脂等にて防水層を形成した防水性ファスナーテープ36a,36bの片側縁部の表裏両面に複数の合成樹脂製ファスナーエレメント38a,38bを射出成形したもの等が採用可能である。
【0046】
このような防水ファスナー部材34a,34bは、各矩形シート状部材22a,22bにおいて連結側縁部26a,26bの裏面に重ね合わされて固着されている。防水ファスナー部材34a,34bにおいてファスナーエレメント38a,38bが並ぶ端縁部は、矩形シート状部材22a,22bへの固着位置よりも幅方向外方へ位置している。なお、防水ファスナー部材34a,34bと矩形シート状部材22a,22bの固着には、耐候性等を考慮して選択された接着剤を用いても良いし、水密性リベットやシールワッシャ付リベット,プリコーティング剤付リべット,水密性ビス,Oリング付防水ビス,プリコーティング剤付タッピングビス等の従来から公知の水密性締結部材を用いても良い。或いは、防水ファスナー部材34a,34bを矩形シート状部材22a,22bと一体形成することで、防水ファスナー部材34a,34bを矩形シート状部材22a,22bに固着しても良い。
【0047】
一方、表側延出片28は、各矩形シート状部材22a,22bにおいて連結側縁部26a,26bと一体形成されており、連結側端縁部26a,26bから幅方向外方へ延び出している。そして、表側延出片28の延出端縁部によって、保護部40a,40bが形成されている。
【0048】
上述の如き一対の矩形シート状部材22a,22bは、防水ファスナー部材34a,34bにおいてファスナーエレメント38a,38bが並ぶ端縁部を突き合わせた状態で、一方の防水ファスナー部材34a,34bに組み付けられたスライダー42を移動させることにより、一方の防水ファスナー部材34aと他方の防水ファスナー34bのそれぞれに設けられたファスナーエレメント38a,38bが噛み合うようになっている。これにより、一方の防水ファスナー部材34aと他方の防水ファスナー部材34b、延いては、一対の矩形シート状部材22a,22bが相互に連結される。その結果、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12が連結される。
【0049】
また、防水ファスナー部材34a,34bが相互に連結された状態(防水性スライドファスナー32が閉じられた状態)で、防水性スライドファスナー32よりもフレキシブル太陽電池モジュール12の表面側において、一方の矩形シート状部材22aに設けられた保護部40aと他方の矩形シート状部材22bに設けられた保護部40bが重ね合わされている。そして、互いに重ね合わされた保護部40a,40b同士が水密性リベット44で相互に連結されることにより、防水性スライドファスナー32がフレキシブル太陽電池モジュール12の表面側から保護部40a,40bによって保護されている。水密性リベット44としては、従来から公知のものが採用される。水密性リベット44に代えて、シールワッシャ付リベット等の従来から公知の水密性締結部材を用いても良い。
【0050】
また、フレキシブル太陽電池モジュール12が装着されるパイプハウス骨格16は、従来から公知のものであり、所定の間隔で並ぶ複数の門型骨格部材46aを、これら複数の門型骨格部材46aが並ぶ方向に延びる連結用骨格部材46bで連結した構造とされている。
【0051】
続いて、上述の如き連結シート14を用いてフレキシブル太陽電池モジュール12を連結する方法について説明する。先ず、矩形シート状部材22a,22bが裏面に接着されたフレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16に装着する。
【0052】
フレキシブル太陽電池モジュール12のパイプハウス骨格16への装着態様としては、様々な態様が考えられる。例えば、一枚のフレキシブル太陽電池モジュール12を一つの門型骨格部材42aに沿って上側から重ね合わせるように装着する態様や、一枚のフレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16の奥行方向で幾つかの門型骨格部材46aに掛け渡すように上側から重ね合わせて装着する態様等が考えられる。何れの装着態様においても、フレキシブル太陽電池モジュール12は、その裏面に固着されたパイプハウス用取付部材48によって、パイプハウス骨格16に装着される。
【0053】
パイプハウス用取付部材48は、図4及び図5に示されているように、台座シート50を備えている。台座シート50は、フッ化エチレン−エチレン共重合体,フッ化ビニリデン樹脂,3フッ化塩化エチレン樹脂,アクリル樹脂,3フッ化塩化エチレン樹脂コートアクリル樹脂,ポリエステル樹脂等の合成樹脂材料で形成されており、全体として矩形平板形状を呈している。
【0054】
台座シート50には、一対の取付片52,52が設けられている。これら一対の取付片52,52は、それぞれ、台座シート50の厚さ方向一方の面(ハウス内面54)から略垂直に突出して形成されており、略一定の矩形断面形状でもって台座シート50の幅方向(図4の左右方向)の略全長に亘って延びる縦壁形状を呈している。即ち、一対の取付片52,52は、台座シート50の幅方向へ互いに平行に延びており、その対向面間距離が台座シート50の幅方向の全長に亘って略一定とされている。これにより、パイプハウス用取付部材48には、一対の取付片52,52の対向面間において、台座シート50の幅方向に略一定の断面形状で延びる収容溝56が形成されている。また、各取付片52は、台座シート50と同じ合成樹脂材料でもって台座シート50に一体形成されていると共に、壁厚方向での湾曲変形が可能とされている。
【0055】
各取付片52の突出先端部分には、スライドファスナー58を構成するファスナーエレメント59が取付片52の突出先端縁部に沿って並んだ状態で取り付けられている。また、一方の取付片52には、一対の取付片52,52のそれぞれに設けられたファスナーエレメント59,59同士を噛合離脱させるためのスライダー60が組み付けられている。ファスナーエレメント58やスライダー60は、何れも、従来から公知のものであるから、詳細な説明は省略する。
【0056】
上述の如き構造とされたパイプハウス用取付部材48は、図2及び図3に示されているように、台座シート50の厚さ方向他方の面(固着面61)がフレキシブル太陽電池モジュール12の裏面に重ね合わされて接着される。パイプハウス用取付部材48と裏側の保護フィルム20bの接着には、矩形シート状部材22a,22bとフレキシブル太陽電池モジュール12を接着する際に用いた接着剤と同様な接着剤が使用される。
【0057】
なお、パイプハウス用取付部材48のフレキシブル太陽電池モジュール12に対する接着位置や接着方向,接着個数等は、フレキシブル太陽電池モジュール12の大きさやフレキシブル太陽電池モジュール12のパイプハウス骨格16への装着位置,装着方向等を考慮して設定される。
【0058】
パイプハウス用取付部材48が裏面に接着されたフレキシブル太陽電池モジュール12は、前述した何れの装着態様においても、図6に示すように、パイプハウス骨格16の骨格部材46(門型骨格部材46a及び連結用骨格部材46b)が一対の取付片52,52の対向面間に嵌め入れられて収容溝20内に位置する状態で、骨格部材46に組み付けられる。そして、一対の取付片52,52のそれぞれに設けられたファスナーエレメント59,59がスライダー60の移動に伴って噛み合うことにより、一対の取付片52,52が相互に連結されて、骨格部材46が一対の取付片52,52の対向面間から抜け出さないようになる。これにより、フレキシブル太陽電池モジュール12が、パイプハウス骨格16の骨格部材46に装着される。
【0059】
そして、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12が連結シート14で連結されることにより、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12が、連結シート14によって連結された状態で、パイプハウス骨格16に装着される。
【0060】
ところで、パイプハウス骨格16の大きさ等によっては、図2及び図3に示したように、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12を短辺方向で連結するだけでは寸法が足りない場合がある。例えば、図1に示したパイプハウス10を構成するパイプハウス骨格16においては、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12が短辺方向(図2の左右方向)で連結されたものを、パイプハウス10(パイプハウス骨格16)の奥行方向に5つ並べる必要がある。この場合、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12を長辺方向(図2の上下方向)でも連結する必要がある。複数のフレキシブル太陽電池モジュール12を長手方向で連結する方法としては、例えば、図7に示すように、連結シート14を構成する各矩形シート状部材22a,22bの固着縁部24a,24bを、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12に跨る状態で、これら複数のフレキシブル太陽電池モジュール12のそれぞれの表面に重ね合わせて固着する方法等が採用される。
【0061】
パイプハウス骨格16に装着された複数のフレキシブル太陽電池モジュール12のうちパイプハウス10の奥行方向や幅方向の端に位置するフレキシブル太陽電池モジュール12においてパイプハウス10の奥行方向や幅方向で外方に位置する端縁部には、矩形シート状部材22a,22bと同様な透明の合成樹脂材料で形成されたシート材62が固着されている。これにより、パイプハウス骨格16の全体が、連結シート14で連結された複数のフレキシブル太陽電池モジュール12及びこれらに連結されているシート材62で構成された屋根材63で覆われる。
【0062】
パイプハウス10の側壁面、例えば、奥側の壁面や手前側の壁面、幅方向両側の壁面にフレキシブル太陽電池モジュール12が用いられている必要はないが、パイプハウス10の設置場所等によっては、パイプハウス10に西日が当たることがある。そのような場合には、パイプハウス10の側壁面にフレキシブル太陽電池モジュール12が用いられていても良い。
【0063】
フレキシブル太陽電池モジュール12の盗難防止のために、盗難防止機構を設けても良い。例えば、閉じられた状態のスライドファスナー58を覆う導電部材を配設し、この導電部材がスライドファスナー58を覆った状態で、導電部材が通電状態となるようにすると共に、導電部材を外さなければ、スライドファスナー58を開けることが出来ないようにする。そして、導電部材を外した場合に、パイプハウス骨格16に取り付けられたスピーカから警報音が発せられたり、警報ランプ等の照明装置が点灯又は点滅等するようにする。警報音の発生や照明装置の点灯等に代えて、或いは、警報音の発生や照明装置の点灯等に加えて、パイプハウス10の所有者が有するパソコンや携帯電話機へ電子メールを送信して、パイプハウス10の所有者に直接知らせるようにしても良い。盗難防止機構の作動に必要な電力は、外部給電の他、フレキシブル太陽電池モジュール12が発電した電力を用いることで賄うことが出来る。
【0064】
なお、警報を作動させるセンサは、上述の記載に限定されるものでない。例えば、スライドファスナー58で開閉される両側縁部間に跨がる通電路を形成し、この通電路がスライドファスナー58の開操作で遮断されることで警報が発令されるようにしても良い。また、スライドファスナー58に代えて又は加えて、スライドファスナー32に対して、同様に、その開操作に伴って警報が発せられる構成を採用することも可能である。更にまた、スライドファスナー58や32とは関係なく、フレキシブル太陽電池モジュール12及び/又は連結シート14に対して適当なパターンで通電路を形成し、この通電路の一部が遮断されることで警報が発令されるようにすることも可能であり、このようにフレキシブル太陽電池モジュール12自体や連結シート14自体に通電路を形成してセンサ機能を装備させれば、フレキシブル太陽電池モジュール12や連結シート14をカッター等で切断しての盗難等にも対応することが可能となる。
【0065】
上述の如きパイプハウス10においては、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12を相互に連結する連結シート14が一対の矩形シート状部材22a,22bで構成されている。それ故、予め矩形シート状部材22a,22bが固着されたフレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16の骨格部材46に取り付けた状態で、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12を相互に連結することが出来る。これにより、フレキシブル太陽電池モジュール12を単体で骨格部材46に取り付けることが可能となる。その結果、予め連結された複数のフレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16に装着する場合に比して、フレキシブル太陽電池モジュールの装着作業時にフレキシブル太陽電池モジュール12が風で煽られて地面に落下等して損傷する不具合を回避することが出来る。従って、複数のフレキシブル太陽電池モジュール12を屋根材63としてパイプハウス骨格16に装着することが容易になる。
【0066】
また、各矩形シート状部材22a,22bが透明とされているから、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12の間に太陽光が透過する大きな隙間が形成される。これにより、パイプハウスの採光量を大きく確保することが出来る。その結果、パイプハウス内で栽培する野菜等の植物の光合成に必要な光量を確保することが可能となる。
【0067】
続いて、本発明の第二の実施形態としての連結シート64について、図8〜10に基づいて、説明する。なお、以下に記載の第二の実施形態や後述する第三及び第四の実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0068】
本実施形態の連結シート64は、第一の実施形態の連結シート(14)に比して、一対の矩形シート状部材22a,22bのそれぞれの裏面側であって、且つ、一対の取付片18,18の間に形成された収容溝20よりも溝幅方向外方において、複数の光学レンズ66が矩形シート状部材22a,22bの長手方向(図8の上下方向)に一列に並んで形成されている。光学レンズ66は、表面屈折を利用したレンズであり、例えば、球面レンズや非球面レンズ,シリンドリカルレンズ,フレンネルレンズである。本実施形態の光学レンズ66は平凹レンズであり、矩形シート状部材22a,22bの長手方向(図8の上下方向)に適当な間隔で複数形成されている。光学レンズ66は、各矩形シート状部材22a,22bの裏面だけに形成されている必要はなく、各矩形シート状部材22a,22bの表面側だけに形成されていても良いし、各矩形シート状部材22a,22bの表裏両面に形成されていても良い。なお、矩形シート状部材22a,22bに光学レンズ66を形成する方法としては、例えば、矩形シート状部材22a,22bの裏面に対して、凹レンズの逆型を押圧することにより、矩形シート状部材22a,22bの裏面にレンズ形状を付与する方法等が採用される。光学レンズ66の形成に際しては、光学レンズ66を形成することによる矩形シート状部材22a,22bの強度の低下等を考慮して、光学レンズ66の形状や大きさ等が設定される。
【0069】
このような連結シート64においては、矩形シート状部材22a,22bを透過する太陽光が光学レンズ66に入射して反射光となり、フレキシブル太陽電池モジュール12の方へ回り込む。これにより、太陽光そのものが入射する場合に生じるフレキシブル太陽電池モジュール12の影と矩形シート状部材22a,22bを透過した太陽光が照らす明るい部分からなる縞模様が生じるのを回避することが出来る。その結果、パイプハウス10内を均等に明るくすることが可能となる。
【0070】
なお、光学レンズ66としては、凸レンズを採用することも出来る。凸レンズの場合、凸レンズを透過した太陽光は、フレキシブル太陽電池モジュール12に近い位置で一端集光するが、その後は発散光となるので、凹レンズの場合と同様な効果を得ることが出来る。
【0071】
続いて、本発明の第三の実施形態としての連結シート68について、図10〜12に基づいて、説明する。本実施形態の連結シート68は、第一の実施形態の連結シート(14)に比して、一対の矩形シート状部材22a,22bの間に中間シート状部材70が配設されている。
【0072】
中間シート状部材70は、裏側の保護フィルム20bと同様な透明の合成樹脂材料で形成されており、全体として矩形形状を呈している。中間シート状部材70の幅方向両側の端縁部には、それぞれ、裏側延出片72a,72bと表側延出片74a,74bが設けられている。
【0073】
裏側延出片72a,72bは、矩形シート状部材22a,22bに設けられた防水ファスナー部材34a,34bと協働して防水性スライドファスナー32a,32bを構成する防水ファスナー部材76a,76bによって構成されている。
【0074】
防水ファスナー部材76a,76bは、従来から公知であるから、その詳細な説明は省略するが、簡単に説明すると、織成又は編成した帯状芯材にエラストマー樹脂等にて防水層を形成した防水性ファスナーテープ78a,78bの片側縁部の表裏両面に複数の合成樹脂製ファスナーエレメント80a,80bを射出成形したものである。
【0075】
このような防水ファスナー部材76a,76bは、それぞれ、中間シート状部材70の幅方向両側の端縁部の裏面に重ね合わされて固着されている。防水ファスナー部材76a,76bにおいてファスナーエレメント80a,80bが並んで形成された端縁部は、中間シート状部材70への固着位置よりも幅方向外方に位置している。なお、防水ファスナー部材76a,76bと中間シート状部材70の固着には、耐候性等を考慮して選択された接着剤を用いても良いし、水密性リベット等の従来から公知の水密性締結部材を用いても良い。或いは、防水ファスナー部材76a,76bを中間シート状部材70と一体形成することで、防水ファスナー部材76a,76bを中間シート状部材70に固着しても良い。
【0076】
一方、表側延出片74a,74bは、中間シート状部材70の幅方向端縁部と一体形成されており、この端縁部から幅方向外方へ延び出している。そして、表側延出片74a,74bの延出端縁部によって、保護部82a,82bが形成されている。
【0077】
上述の如き中間シート状部材70は、防水ファスナー部材76a,34aにおいてファスナーエレメント80a,38aが並んで形成された端縁部を突き合わせた状態で、一方の防水ファスナー部材82aに組み付けられたスライダー90aを移動させることにより、防水ファスナー部材76a,34aに設けられたファスナーエレメント80a,38aが噛み合うようになっている。これにより、矩形シート状部材22aと中間シート状部材70が相互に連結される。
【0078】
また、防水ファスナー部材76b,34bにおいてファスナーエレメント80b,38bが並んで形成された端縁部を突き合わせた状態で、一方の防水ファスナー部材106bに組み付けられたスライダー90bを移動させることにより、防水ファスナー部材76b,34bに設けられたファスナーエレメント80b,38bが噛み合うようになっている。これにより、矩形シート状部材22bと中間シート状部材70が相互に連結される。
【0079】
そして、上述の如く一対の矩形シート状部材22a,22bと中間シート状部材70が連結されることで、連結シート68が形成されるようになっており、この連結シート68によって、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12が相互に連結される。
【0080】
また、防水ファスナー部材76a,34aが相互に連結された状態(防水性スライドファスナー32aが閉じられた状態)で、防水性スライドファスナー32aよりもフレキシブル太陽電池モジュール30の表面側において、一方の矩形シート状部材22aに設けられた保護部40aと中間シート状部材70に設けられた保護部82aが重ね合わされている。そして、互いに重ね合わされた保護部40a,82a同士が水密性リベット44aで相互に連結されることにより、防水性スライドファスナー32aがフレキシブル太陽電池モジュール12の表面側から保護部40a,82aによって保護されている。
【0081】
また、防水ファスナー部材76b,34bが相互に連結された状態(防水性スライドファスナー32bが閉じられた状態)で、防水性スライドファスナー32bよりもフレキシブル太陽電池モジュール12の表面側において、一方の矩形シート状部材22bに設けられた保護部40bと中間シート状部材70に設けられた保護部82bが重ね合わされている。そして、互いに重ね合わされた保護部40b,82b同士が水密性リベット44bで相互に連結されることにより、防水性スライドファスナー32bがフレキシブル太陽電池モジュール12の表面側から保護部40b,82bによって保護されている。
【0082】
なお、水密性リベット44a,44bとしては、従来から公知のものが採用される。また、水密性リベット44a,44bに代えて、シールワッシャ付リベット等の従来から公知の水密性締結部材を用いても良い。
【0083】
また、中間シート状部材70の裏面には、複数の光学レンズ66が中間シート状部材70の長手方向(図10の上下方向)に一列に並んで形成されている。なお、光学レンズ66は、第二の実施形態で採用されていたものを同様なものであるから、第二の実施形態と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0084】
このような連結シート68においては、一対の矩形シート状部材22a,22bの間に中間シート状部材70が配設されているから、隣り合う二つのフレキシブル太陽電池モジュール12,12を十分に離した状態で連結することが出来る。それ故、パイプハウスの採光量を大きく確保することが可能となる。
【0085】
矩形シート状部材22aと中間シート状部材70が防水性スライドファスナー32aで連結されていると共に、矩形シート状部材22bと中間シート状部材70が防水性スライドファスナー32bで連結されているから、パイプハウス内への雨水等の侵入を効果的に防止することが出来る。
【0086】
また、防水性スライドファスナー32aの外側が保護部40a,82aで覆われていると共に、防水性スライドファスナー32bの外側が保護部40b,2bで覆われている。これにより、パイプハウス内への雨水等の侵入をより効果的に防止することが出来る。
【0087】
また、中間シート状部材70を透過する太陽光が光学レンズ66に入射して反射光となり、フレキシブル太陽電池モジュール12の方へ回り込む。これにより、太陽光そのものが入射する場合に生じるフレキシブル太陽電池モジュール12の影と矩形シート状部材22a,22bを透過した太陽光が照らす明るい部分からなる縞模様が生じるのを回避することが出来る。その結果、パイプハウス10内を均等に明るくすることが可能となる。
【0088】
なお、本実施形態では、一つの中間シート状部材70が一対の矩形シート状部材22a,22bの間に配設されていたが、複数の中間シート状部材70が一対の矩形シート状部材22a,22bの間に配設されていても良い。
【0089】
続いて、本発明の第四の実施形態としての連結シート84について、図13に基づいて、説明する。本実施形態の連結シート84は、第一の実施形態の連結シート(14)に比して、一方の矩形シート状部材22aだけに保護部40aが設けられている。保護部40aは、他方の矩形シート状部材22bの表面に重ね合わされて水密性リベット44で固着される。
【0090】
このような連結シート84においては、保護部40aが二重構造とされていないので、連結シート84全体の厚さ寸法を小さく抑えることが出来る。その結果、保護部40aの形成位置で連結シート14が外側へ膨らむ歪な形状になり難くなり、連結シート14、延いては、パイプハウス10の外観を良くすることが可能となる。
【0091】
続いて、本発明の第五の実施形態としての連結シート86について、図14に基づいて、説明する。本実施形態の連結シート86は、第一の実施形態の連結シート(14)に比して、各矩形シート状部材22a,22bの裏面に一対の取付片52,52が突設されている。
【0092】
このような連結シート86においては、フレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16の骨格部材46に取り付けるための一対の取付片52,52が各矩形シート状部材22a,22bに突設されているから、パイプハウス用取付部材48をフレキシブル太陽電池モジュール12に別途固着する必要がなくなる。これにより、フレキシブル太陽電池モジュール12のパイプハウス骨格16への装着作業が容易になる。
【0093】
続いて、本発明の第二の実施形態としてのパイプハウスについて、図15に基づいて、説明する。本実施形態のパイプハウスにおいては、第一の実施形態のパイプハウス(10)に比して、パイプハウス骨格16において奥行方向で隣りに位置する二つの門型骨格部材46a,46aのそれぞれに取り付けられたパイプハウス用取付部材48,48が引張部材としての紐状部材88で相互に連結されている。
【0094】
より詳細には、紐状部材88は、図16に示されているように、分割引張部材としての二つの分割紐状体90,90が連結部材92で連結された構造とされている。
【0095】
各分割紐状体90はピアノ線やワイヤ,ロープ等で形成されており、一端側に連結軸94が設けられていると共に、他端側に係止フック96が設けられている。連結軸94には、分割紐状体90との連結側とは反対側の軸方向端面に開口する連結穴97が形成されており、連結穴97の内周面にはねじ溝が形成されている。
【0096】
一方、連結部材92は、軸方向にストレートに延びるロッド形状を呈しており、軸方向両端部のそれぞれの外周面には、連結軸94における連結穴97の内周面に形成されたねじ溝と対応するねじ山が形成されている。
【0097】
このような連結部材92の軸方向一端部が一方の分割紐状体90に設けられた連結軸94の連結穴97に螺入されると共に、軸方向他端部が他方の分割紐状体90に設けられた連結軸94の連結穴97に螺入されることにより、二つの分割紐状体90,90が連結部材92で連結された紐状部材88が形成される。
【0098】
そして、紐状部材88は、一方の分割紐状体90に設けられた係止フック96が一方の門型骨格部材46aに取り付けられたパイプハウス用取付部材48を構成する取付片52の外側面に突設された取付部としての係止片98の係止孔99に係止されると共に、他方の分割紐状体90に設けられた係止フック96が他方の門型骨格部材46aに取り付けられたパイプハウス用取付部材48を構成する取付片52の外側面に突設された取付部としての係止片98の係止孔99に係止される。これにより、パイプハウス骨格16の奥行方向で隣りに位置する二つの門型骨格部材46a,46aのそれぞれに取り付けられたパイプハウス用取付部材48,48同士が紐状部材88で相互に連結される。
【0099】
このようなパイプハウスにおいては、紐状部材88で連結されたパイプハウス用取付部材48,48の離隔距離、延いては、これらのパイプハウス用取付部材48,48が固着されたフレキシブル太陽電池モジュール12の離隔距離が大きくなるのを防止出来る。即ち、フレキシブル太陽電池モジュール12をパイプハウス骨格16に装着することに起因してフレキシブル太陽電池モジュール12に及ぼされる張力(パイプハウス骨格16の奥行方向に作用する張力)を、紐状部材88に分担させて、緩和することが可能となる。その結果、フレキシブル太陽電池モジュール12の太陽電池セル18が損傷する等の不具合の発生を防ぐことが出来る。
【0100】
連結部材92の連結軸94への螺入深さを変更すれば、紐状部材88の長さを変更することが出来る。これにより、パイプハウス骨格16において隣りに位置する二つ門型骨格部材46a,46a毎に離隔距離が異なっていても、これら二つの門型骨格部材46a,46aの間に配される紐状部材88の長さを変更することでフレキシブル太陽電池モジュール12に及ぼされる張力を緩和することが出来る。
【0101】
気温の変化等によって分割紐状体90の長さが変化した場合等において、連結部材92の連結軸94への螺入深さを変更すれば、紐状部材88を所期の長さに設定し直すことが出来る。
【0102】
紐状部材88の長さを連続的に変更することが出来るので、紐状部材88の長さを段階的に変更可能な場合に比して、紐状部材88の長さの微調整が出来る。その結果、紐状部材88の長さを変更する必要がある場合に、柔軟に対応することが可能となる。
【0103】
なお、紐状部材88の長さを段階的に変更可能な構造を採用することも、勿論可能である。具体的には、例えば、分割紐状体90の一端側において、連結軸94の代わりに、係止フック96を設けると共に、連結部材として係止フック96が係止可能な係止孔を複数備えてものを採用し、係止フックが係止される係止孔を変更することで、紐状部材88の長さを段階的に変更するようにしても良い。
【0104】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、分割紐状体90に設けられた連結軸94と連結部材92によって張力調節手段が構成されている。
【0105】
二つの門型骨格部材46a,46aの間に配設した状態で、紐状部材88の長さを調節することが出来る。これにより、紐状部材88を取り外してから長さ調節する必要がなくなる。その結果、紐状部材88の長さ調節作業が極めて容易になる。
【0106】
本実施形態では、張力調節手段として、連結部材92の連結軸94への螺入深さを変更する構造が採用されていたが、例えば、図17に示されているように、連結軸94の内周面に形成されたねじ溝に対応するねじ山が外周面に形成された挿入軸100を係止フック96に設けると共に、分割紐状体90の他端側にも連結軸94を設けて、分割紐状体90の他端側に設けられた連結軸94への挿入軸100の螺入深さを変更することにより、紐状部材88の長さを変更するようにしても良い。なお、この場合には、分割紐状体90の一端側に設けられた連結軸94に対して係止フック96の挿入軸100を螺入するようにし、一つの分割紐状体90で紐状部材を構成するようにしても良い。
【0107】
連結部材92の代わりに、図18に示されているように、弾性連結部材としてのコイルスプリング102によって二つの分割紐状体90,90を連結しても良い。これにより、気温の変化等に起因して分割紐状体90の長さが変化した場合等において、コイルスプリング102の長さが変わることにより、紐状部材の全体長さを所期の長さに保つことが出来る。その結果、紐状部材の長さが適当に設定されているか否かの確認作業をしなくて済む。なお、弾性連結部材は、図19に示したコイルスプリング102の他、ゴム弾性体等であっても良い。
【0108】
また、隣り合う二つの門型骨格部材46a,46a毎に離隔距離が異なっていても、紐状部材の長さを設定する必要がなくなる。その結果、紐状部材の配設作業が簡単になる。
【0109】
紐状部材88の端部を取付片52に取り付ける構造としては、図17に示したように、係止フック96を係止片98に係止させる構造の他、例えば、分割紐状体90の他端側にも連結軸94を設けると共に、ねじ山が外周面に形成された軸部を取付片52の外側面に突設して、軸部を連結軸94の連結穴97に螺入することにより、紐状部材88の端部を取付片52に取り付けるようにしても良い。或いは、取付片52の外側面から垂直に延び出した板状片に開口形成された挿通孔と、分割紐状体90の他端側に設けられた板状片に開口形成された挿通孔にボルトを挿通配置し、このボルトにナットを螺合することにより、紐状部材88の端部を取付片52に取り付けるようにしても良い。
【0110】
なお、本実施形態では、パイプハウス骨格16の奥行方向で隣りに位置する二つの門型骨格部材46a,46aのそれぞれに取り付けられたパイプハウス用取付部材48,48同士を紐状部材88で連結するようにしたが、例えば、一つの門型骨格部材46aにおいて異なる位置に取り付けられたパイプハウス用取付部材48,48同士を紐状部材86で連結するようにしても良い。この場合、気温の変化等に起因して門型骨格部材46aが変形した場合等において、門型骨格部材46aの延びる方向に沿ってフレキシブル太陽電池モジュール12に作用する張力を緩和することが出来る。
【0111】
また、紐状部材88の端部はパイプハウス用取付部材48の取付片52に対して取り付けられる必要は必ずしもない。例えば、パイプハウス用取付部材48の台座シート50に対して紐状部材88の端部が取り付けられるようになっていても良い。
【0112】
また、本実施形態では、フレキシブル太陽電池モジュール12の裏面に固着されるパイプハウス用取付部材48の取付片52に対して取付部(係止片98)が設けられていたが、例えば、連結シートに係る本発明の第二,第三,第五の実施形態としての連結シート64,68,86に設けられた取付片52に対して取付部を設けることも、勿論、可能である。この場合であっても、フレキシブル太陽電池モジュール12に及ぼされる張力を緩和することが出来る。
【0113】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、台座シート50と取付片52を異なる材料で形成するようにしても良い。具体的には、例えば、端縁部に沿ってファスナーエレメントが並んだテープによって取付片を構成するようにしても良い。
【0114】
連結手段は、従来から公知の面ファスナーやスナップであっても良いが、防水機能を発揮する観点から、前記第一〜第四の実施形態で示した防水性スライドファスナーや、一方の側に設けられた凸状レールが他方の側に設けられた凹状レールに嵌め入れられるレールファスナー等が好適に採用される。
【符号の説明】
【0115】
10:パイプハウス,12:フレキシブル太陽電池モジュール,14:連結シート,16:パイプハウス骨格,22:矩形シート状部材,24:固着縁部,28:裏側延出片,30:表側延出片,32:防水性スライドファスナー(連結手段),40a:保護部,40b:保護部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレキシブル太陽電池モジュールをパイプハウスに装着して用いる際に隣り合う二つの該フレキシブル太陽電池モジュールを相互に連結するための連結シートであって、
透明な合成樹脂材料で形成されて隣り合う二つの前記フレキシブル太陽電池モジュールを相互に連結する際に組み合わせて用いられる一対の矩形シート状部材によって構成されており、各矩形シート状部材において、少なくとも一つの端縁部が該フレキシブル太陽電池モジュールに重ね合わせられて固着される固着縁部とされていると共に、他の少なくとも一つの端縁部には、該一対の矩形シート状部材を解除可能に連結する連結手段が設けられており、更に、該一対の矩形シート状部材の少なくとも一方には、該連結手段を該フレキシブル太陽電池モジュールの表面側から覆う保護部が設けられていることを特徴とする連結シート。
【請求項2】
前記矩形シート状部材の少なくとも一部によって光学レンズが構成されている請求項1に記載の連結シート。
【請求項3】
各前記矩形シート状部材の互いに連結される前記端縁部において裏側延出片と表側延出片が設けられており、該裏側延出片に前記連結手段が設けられていると共に、該表側延出片に前記保護部が設けられている請求項1又は2に記載の連結シート。
【請求項4】
前記一対の矩形シート状部材のそれぞれにおいて、前記連結手段の設けられた前記端縁部と前記固着縁部が該一対の矩形シート状部材の対辺部分に位置している請求項1〜3の何れか1項に記載の連結シート。
【請求項5】
透明な合成樹脂製の矩形状シートで構成された中間シート状部材が前記一対の矩形シート状部材の間に少なくとも一つ配設されており、該中間シート状部材において該一対の矩形シート状部材の対辺部分にはそれぞれ該矩形シート状部材の前記連結手段に対して解除可能に連結される中間連結手段が設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の連結シート。
【請求項6】
前記中間シート状部材の少なくとも一部によって光学レンズが構成されている請求項5に記載の連結シート。
【請求項7】
前記フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を緩和する引張部材を取り付けるための取付部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載の連結シート。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の連結シートを用いて連結された複数の前記フレキシブル太陽電池モジュールがパイプハウス骨格に装着されていることを特徴とするパイプハウス。
【請求項9】
前記フレキシブル太陽電池モジュールの展張方向に配設されることにより、該フレキシブル太陽電池モジュールに及ぼされる張力を分担支持する引張部材を設けた請求項8に記載のパイプハウス。
【請求項10】
前記引張部材には、その引張力を調節する張力調節手段が設けられている請求項9に記載のパイプハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−119414(P2011−119414A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274983(P2009−274983)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(593131910)株式会社セイオー技研 (4)
【Fターム(参考)】