説明

フレキソグラフィー印刷マスターの製造方法

【課題】 硬化可能な噴射可能液体を使用するフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法を提供すること。
【解決手段】 (a)インキ−受容体表面を準備し、
(b)硬化可能な噴射可能流体をインキ−受容体表面上に噴射する
段階を含んでなるフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法であって、硬化可能な噴射可能流体が少なくとも1種の光−開始剤、少なくとも1種の一官能性単量体、硬化後に少なくとも5%の破断点伸び、30Hzにおける200mPaより小さい貯蔵弾性率E’および10%より小さい体積収縮率を有する層を実現しうる硬化可能な噴射可能液体の合計重量を両者とも基準にして少なくとも5重量%の多官能性単量体またはオリゴマーおよび少なくとも5重量%の可塑剤を含んでなることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルフレキソグラフィー、そしてより詳しくは、硬化可能な噴射可能液体を使用するフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソグラフィー印刷版は、柔らかく且つ容易に変形可能な表面、例えばボール紙およびプラスチックフィルムの如き包装材料、上での印刷における使用に関して良く知られている。それらは、一般的には弾性結合剤、少なくとも1種の単量体および光−開始剤を含んでなる光−重合可能組成物よりなる層を有する印刷版前駆体から製造することができる。フレキソグラフィー印刷版に関する初期の特許は、特許文献1(ASAHI CHEMICAL)、特許文献2(UP JOHN)、特許文献3(DU PONT)および特許文献4(DU PONT)を包含する。
【0003】
伝統的に、放射線源と印刷版前駆体との間に挟まれた像マスクを用いて光−重合可能層を活性線(例えば紫外線)に照射露出することにより、像が印刷版前駆体に適用される。活性線は像マスクにより保護されなかった光−重合可能層の領域で重合を引き起こす。像形成後に、版を適当な溶媒で処理して露出されなかった領域中の光−重合可能組成物を除去し、それにより印刷版上にレリーフに基づいた像を作成する。処理された版を次に印刷機上に設置し、そこでそれらはインキを所望する印刷表面に移すために使用される。
【0004】
フレキソグラフィー印刷版の製造方法は、像マスクを製造するための層を印刷版前駆体上に直接適用することにより、簡素化された。特許文献5(AGFA)では、活性線を実質的に通さない赤外−融除可能層がフレキソグラフィー印刷版前駆体上に積層された。特許文献6(AGFA)は、インキ−受容層上の噴射されたインキが高い光学濃度の像マスクを作成するフレキソグラフィー印刷版前駆体の光−重合可能層上のインキ−受容層を開示している。印刷版前駆体中への像マスク形成層の導入によりフレキソグラフィー印刷版の製造方法は簡素化されたが、この方法は依然として複雑で且つ時間がかかる。さらに、この方法は光−重合可能層の露出されなかった領域の除去における大量の廃棄物生成のために環境に優しくない。
【0005】
特許文献7(IDANIT TECHNOLOGIES)は、場合により約30〜260℃の温度に予め加熱された光重合体インキ組成物を用いるインキジェット印刷により基質上にポジまたはネガ像を形成し、そして生じた印刷された基質をUV照射にかけ、それによりインキ組成物を硬化させて像を形成する段階を含んでなる光重合体レリーフ−タイプ印刷版の製造方法を開示している。この方法に適する基質は鋼、ポリエステルおよび他の硬い材料に限定され、フレキソグラフィー用途の可能性を制限する。別の問題は、重合体インキの噴射された小滴が依然として可動性であり且つ変形する傾向があり、それにより小さいドットの正確な再現が妨げられ且つ鮮明な端部の生成およびその結果としての鮮明な像の生成が妨げられることである。
【0006】
特許文献8(CREO)は、改質表面上に沈着させた2種のエラストマーを使用するインキ−ジェットユニットの複数通過によるフレキソグラフィー印刷版の製造方法を開示している。噴射させるために、溶融可能重合体を100〜150℃の間の温度に加熱することによりまたはそれらを例えばトルエンの如き有害且つ有毒な溶媒の中に溶解させることによりエラストマーが液化されうる。高温条件は、適合する基質の選択を制限するだけでなく、またインキ−ジェット印刷機を「ベタ・インキ−ジェット(solid ink−jet)」装置に制限する。トルエンはあらゆる2つの沈着層の間で自然に蒸発して、不利な環境を生ずる。
【0007】
特許文献9(AGFA)は、放射線硬化可能インキ−ジェットインキを弾力性基質の上に噴射することによるフレキソグラフィー印刷版の製造方法を開示している。開示されたインキはエラストマーを含有せずそしてフレキソグラフィー印刷版の品質は従来のフレキソグラフィー印刷版より劣る。そのようなフレキソグラフィー印刷版の品質を改良するのに充分な量でエラストマーを含有する硬化可能な噴射可能液体を製造するための本発明者による実験は成功しなかった。
【0008】
従って、高い像品質を有しそして柔らかく且つ容易に変形可能な表面上への印刷を包含する広範囲の用途に適用可能なフレキソグラフィー印刷版を製造するための迅速で、簡単なそして環境に優しい方法を提供するための要望がある。
先行技術
これまでに、本発明の特許性に関連する下記の文献が知られている。
2004年6月8日に発行された米国特許出願公開第2004/131778A1号明細書
1995年3月8日に発行された欧州特許出願公開第641,848A号明細書
2003年2月18日に発行された米国特許第6,520,084B1号明細書
2004年8月25日に発行された欧州特許出願公開第1,449,648A号明細書
2004年8月5日に発行された独国特許出願公開第10360997A1号明細書
【特許文献1】米国特許第3960572号明細書
【特許文献2】米国特許第3951657号明細書
【特許文献3】米国特許第4323637号明細書
【特許文献4】米国特許第4427759号明細書
【特許文献5】米国特許第6521390号明細書
【特許文献6】米国特許第6358668号明細書
【特許文献7】米国特許第5511477号明細書
【特許文献8】米国特許第6520084号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第1428666A号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の目的
本発明の目的は、フレキソグラフィー印刷マスターを迅速で、簡単なそして環境に優しいやり方で製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、高い像品質を示すフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、圧電印刷ヘッドを低温で使用する安価なインキ−ジェット印刷機を用いるフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法を提供することである。
【0012】
本発明のこれらのおよび他の目的は以下の記述から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
従来のフレキソグラフィー印刷マスターの品質に匹敵する品質を示すフレキソグラフィー印刷マスターがインキ−ジェット方法により得られたことが驚くべきことに見出された。
【0014】
本発明の目的は、
(a)インキ−受容体表面を準備し、
(b)硬化可能な噴射可能流体をインキ−受容体表面上に噴射する
段階を含んでなるフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法であって、硬化可能な噴射可能流体が少なくとも1種の光−開始剤、少なくとも1種の一官能性単量体、硬化後に少なくとも5%の破断点伸び、30Hzにおける200mPaより小さい貯蔵弾性率E’および10%より小さい体積収縮率を有する層を実現しうる硬化可能な噴射可能液体の合計重量を両者とも基準にして少なくとも5重量%の多官能性単量体またはオリゴマーおよび少なくとも5重量%の可塑剤を含んでなることを特徴とする方法を用いて実現される。
【0015】
本発明の別の利点および態様は以下の記述から明らかになるであろう。
発明の詳細な記述
定義
本発明の開示で使用される用語「硬化可能な噴射可能液体」は、フレキソグラフィー印刷マスターを製造するための噴射可能流体を意味する。
【0016】
本発明の開示で使用される用語「印刷インキ」は、フレキソグラフィー印刷マスターを
用いて像を形成するための流体を意味する。
【0017】
本発明の開示で使用される用語「エラストマー」は、室温において低負荷下でたくさん延伸できそしてその負荷の除去時にそのほぼ元の形状を回復しうる重合体状材料、例えば合成ゴムまたはプラスチックを意味する。
【0018】
本発明の開示で使用される用語「可塑剤」は、プラスチックまたは他の材料に加えられてそれらをより屈曲性にする物質を意味する。
【0019】
本発明の開示で使用される用語「破断点伸び」(“elongation at break”)は、0.4mm厚さ層のその破断点伸び(%)を意味する。
【0020】
本発明の開示で使用される用語「複素弾性率(E)」(“complex modulus(E)”)は、材料の粘弾性挙動を表わし、そして式E=E’+iE’’により表示され、ここで実部は弾性(または貯蔵)弾性率E’でありそして虚部は損失弾性率E’’である。
【0021】
本発明の開示で使用される用語「貯蔵弾性率(E’)」(“storage modulus(E’)”)は、材料の複素弾性率Eの弾性成分であり、そして材料の剛性に関連する。
【0022】
本発明の開示で使用される用語「損失弾性率(E’’)」(“loss modulus(E’’)”)は、材料の複素弾性率Eの粘性成分であり、そして材料が分子運動による機械的エネルギーを消散させる能力に関連する。
【0023】
用語「UV」は本発明の開示では紫外線の略語として使用される。
【0024】
本発明の開示で使用される用語「紫外線」は、4〜400nmの波長範囲内の電磁放射線を意味する。
【0025】
本発明の開示で使用される用語「活性線」は、光化学反応を開始させうる電磁放射線を意味する。
【0026】
本発明の開示で使用される用語「一官能性」は、1個の反応性官能基を意味する。
【0027】
本発明の開示で使用される用語「多官能性」は、1個より多い反応性官能基を意味する。
【0028】
本発明の開示で使用される用語「酸官能化された」は、少なくとも1個の酸官能基を含むことを意味する。
【0029】
本発明の開示で使用される用語「オリゴマー」は、2、3または4個の単量体単位から製造される重合体を意味する。
【0030】
本発明の開示で使用される用語「着色剤」は、染料および顔料を意味する。
【0031】
本発明の開示で使用される用語「染料」は、それが適用される媒体中で且つ当該周囲条件下で10mg/Lもしくはそれより大きい溶解度を有する着色剤を意味する。
【0032】
本発明の開示で使用される用語「顔料」は、引用することにより本発明の内容となるDIN55943では、適用媒体中に当該周囲条件下で実質的に不溶性であり、そのためそこの中で10mg/Lより小さい溶解度を有する無機もしくは有機性の発色性または非発色性着色剤として定義されている。
【0033】
用語「アルキル」は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に関して可能な全ての変種、すなわち3個の炭素原子に関してはn−プロピルおよびイソプロピル、4個の炭素原子に関してはn−ブチル、イソブチルおよびターシャリー−ブチル、5個の炭素原子に関してはn−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピルおよび2−メチル−ブチルなどを意味する。
【0034】
本発明の開示で使用される用語「アシル基」は、−(C=O)−アリールおよび−(C=O)−アルキル基を意味する。
【0035】
本発明の開示で使用される用語「飽和脂肪族基」は、飽和した直鎖状、分枝鎖状および脂環式炭化水素基を意味する。
【0036】
本発明の開示で使用される用語「不飽和脂肪族基」は、少なくとも1個の二重または三重結合を含有する直鎖状、分枝鎖状および脂環式炭化水素基を意味する。
【0037】
本発明の開示で使用される用語「芳香族基」は、大きな共鳴エネルギーにより特徴づけられる環式共役炭素原子の共有結合された集合体、例えばベンゼン、ナフタレンおよびア
ントラセンを意味する。
【0038】
用語「脂環式炭化水素基」は、芳香族基を形成しない環式共役炭素原子の共有結合された集合体、例えばシクロヘキサンを意味する。
【0039】
本発明の開示で使用される用語「置換されている」は、脂肪族基、芳香族基または脂環式炭化水素基中の1個もしくはそれ以上の炭素原子および/または1個もしくはそれ以上の炭素原子の水素原子が酸素原子、窒素原子、燐原子、珪素原子、硫黄原子、セレン原子もしくはテルル原子、または1個もしくはそれ以上のこれらの炭素および水素置換原子を含有する基により置換されていることを意味する。そのような置換基は、ヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、ウレア基、エーテル基、チオエーテル基、カルボン酸基、エステル基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスホネート基、ホスホンアミド基、ホスホンアミデート基、アミド基およびアミン基を包含する。
【0040】
用語「ヘテロ芳香族基」は、環式共役炭素原子の少なくとも1個が窒素原子または燐原子により置換されている芳香族基を意味する。
【0041】
用語「複素環式基」は、環式共役炭素原子の少なくとも1個が酸素原子、窒素原子、燐原子、珪素原子、硫黄原子、セレン原子もしくはテルル原子により置換されている脂環式炭化水素基を意味する。
硬化可能な噴射可能液体
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、少なくとも4種の成分:(i)一官能性単量体、(ii)多官能性単量体またはオリゴマー、(iii)可塑剤および(iv)光−開始剤を含有する。
【0042】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、熱または活性線による重合を制限するための重合抑制剤を含有しうる。硬化可能な噴射可能液体の製造中に抑制剤を加えることが好ましい。
【0043】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、少なくとも1種の酸官能化された単量体またはオリゴマーをさらに含有しうる。
【0044】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、少なくとも1種のエラストマーをさらに含有しうる。
【0045】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、硬化可能な噴射可能液体小滴の広がりを調節するための少なくとも1種の界面活性剤をさらに含有しうる。
【0046】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、噴射された像と背景との間のコントラストを高めるための少なくとも1種の着色剤をさらに含有しうる。
【0047】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、水および/または有機液体、例えばアルコール類、弗素化された溶媒および双極性非プロトン性液体をさらに含有しうる。
【0048】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、少なくとも1種の湿潤剤をさらに含有しうる。
【0049】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体に、時間が経つと硬化可能な噴射可能液体中で生じうる望ましくない微生物の成長を防止するために、殺菌剤を加えることができる。殺菌剤は単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0050】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、添加剤、例えば緩衝剤、抗カビ剤、pH調節剤、電気伝導率調節剤、キレート化剤、抗サビ剤および光安定剤をさらに含有しうる。そのような添加剤は硬化可能な噴射可能液体の中に所望されるいずれかの有効量で導入しうる。硬化可能な噴射可能液体に適するpH調節剤の例は、酸類、並びにアルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む塩基類を包含するが、それらに限定されない。含まれる量は含まれる具体的成分に依存するであろう。
【0051】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は好ましくは、100s−1の剪断速度および15〜70℃の間の温度における100mPa.sより大きくない、好ましくは50mPa.sより小さい、そしてより好ましくは15mPa.sより小さい粘度を有する。
一官能性単量体
当該技術で既知であるいずれかの重合可能な一官能性単量体を使用することができる。
【0052】
適する一官能性単量体は、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノスチレン、シアノスチレン、ニトロスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、カルボキシスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソアミルスチル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル−ジグリコール、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸メトキシプロピレングリコール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリール、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、アクリル酸ビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチル琥珀酸、2−アクリルオキシエチルフタル酸、2−アクリルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン改質された屈曲性アクリル酸エステル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、2―ビニルイミダゾール、N−メチル−2―ビニルイミダゾール、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ベータ−クロロエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、およびp−クロロフェニルビニルエーテルを包含する。
【0053】
一官能性単量体は好ましくはアクリル酸エステル単量体である。
【0054】
2種もしくはそれ以上の一官能性単量体を組み合わせて使用することができる。
【0055】
一官能性単量体は好ましくは、100s−1の剪断速度および15〜70℃の間の温度における30mPa.sより小さい粘度を有する。
多官能性単量体およびオリゴマー
当該技術で既知であるいずれかの重合可能な多官能性単量体およびオリゴマーを使用することができる。
【0056】
適する多官能性単量体は、例えばジビニルベンゼン、二アクリル酸トリエチレングリコール、二アクリル酸テトラエチレングリコール、二アクリル酸ポリエチレングリコール、二アクリル酸ジプロピレングリコール、二アクリル酸トリプロピレングリコール、二アクリル酸ポリプロピレングリコール、二アクリル酸1,4−ブタンジオール、二アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、二アクリル酸1,9−ノナンジオール、二アクリル酸ネオペンチルグリコール、二アクリル酸ジメチロール−トリシクロデカン、二アクリル酸ビスフェノールA EO(エチレンオキシド)付加物、二アクリル酸ビスフェノールA PO(プロピレンオキシド)付加物、二アクリル酸ヒドロキシビバル酸ネオペンチルグリコール、アルコキシ化された二アクリル酸ジメチロールトリシクロデカン、二アクリル酸ポリテトラメチレングリコール、シュウ酸ジスチリル、マロン酸ジスチリル、琥珀酸ジスチリル、グルタル酸ジスチリル、アジピン酸ジスチリル、マレイン酸ジスチリル、フマル酸ジスチリル、ベータ,ベータ’−ジメチルグルタル酸ジスチリル、2−ブロモグルタル酸ジスチリル、アルファ,アルファ’−ジクロログルタル酸ジスチリル、テレフタル酸ジスチリル、シュウ酸ジ(アクリル酸エチル)、シュウ酸ジ(メタクリル酸エチル)、マロン酸ジ(アクリル酸エチル)、マロン酸ジ(アクリル酸メチルエチル)、琥珀酸ジ(アクリル酸
エチル)、グルタル酸ジ(アクリル酸エチル)、アジピン酸ジ(アクリル酸エチル)、マレイン酸ジ(アクリル酸エチル)、フマル酸ジ(アクリル酸エチル)、ベータ,ベータ’−ジメチルグルタル酸ジ(アクリル酸エチル)、エチレンジアクリルアミド、プロピレンジアクリルアミド、1,4−フェニレンジアクリルアミド、1,4−フェニレンビス(アクリル酸オキシエチル)、1,4−フェニレンビス(アクリル酸オキシメチルエチル)、1,4−ビス(アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(アクリロイルオキシメチルエトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(アクリロイルオキシエトキシカルバモイル)ベンゼン、1,4−ビス(アクリロイルオキシメチルエトキシカルバモイル)ベンゼン、1,4−ビス(アクリロイルオキシエトキシカルバモイル)シクロヘキサン、ビス(アクリロイルオキシエトキシカルバモイルシクロヘキシル)メタン、シュウ酸ジ(メタクリル酸エチル)、シュウ酸ジ(メタクリル酸メチルエチル)、マロン酸ジ(メタクリル酸エチル)、マロン酸ジ(メタクリル酸メチルエチル)、琥珀酸ジ(メタクリル酸エチル)、琥珀酸ジ(メタクリル酸メチルエチル)、グルタル酸ジ(メタクリル酸エチル)、アジピン酸ジ(メタクリル酸エチル)、マレイン酸ジ(メタクリル酸エチル)、フマル酸ジ(メタクリル酸エチル)、フマル酸ジ(メタクリル酸メチルエチル)、ベータ,ベータ’−ジメチルグルタル酸ジ(メタクリル酸エチル)、1,4−フェニレンビス(メタクリル酸オキシエチル)、1,4−ビス(メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキサン、アクリロイルオキシエトキシエチルビニルエーテル、三メタクリル酸ペンタエリトリトール、三メタクリル酸ペンタエリトリトール、ペンタエリトリトールトリ(ヒドロキシスチレン)、三アクリル酸シアヌル酸、三メタクリル酸シアヌル酸、三アクリル酸1,1,1−トリメチロールプロパン、三メタクリル酸1,1,1−トリメチロールプロパン、EO改質された三アクリル酸1,1,1−トリメチロールプロパン、三アクリル酸トリ(プロピレングリコール)、カプロラクトン改質された三アクリル酸トリメチロールプロパン、四アクリル酸ペンタエリトリトール、エトキシ四アクリル酸ペンタエリトリトール、六アクリル酸ジペンタエリトリトール、ジ四アクリル酸トリメチロールプロパン、三アクリル酸グリセリンプロポキシ、シアヌル酸トリ(アクリル酸エチル)、1,1,1−トリメチロールプロパントリ(アクリル酸エチル)、六アクリル酸ジペンタエリトリトール、シアヌル酸トリ(エチルビニルエーテル)、1,1,1−トリメチロールプロパンおよび3倍モルのジイソシアン酸トルエンの間の反応生成物とアクリル酸ヒドロキシエチルとの縮合物、並びに1,1,1−トリメチロールプロパンおよび3倍モルのジイソシアン酸ヘキサンの間の反応生成物とp−ヒドロキシスチレン、エチレンテトラアクリルアミド、およびプロピレンテトラアクリルアミドとの縮合物の如き単量体である。
【0057】
多官能性単量体は好ましくはアクリル酸エステル単量体である。
【0058】
適する重合可能なオリゴマーは、以上で開示された一官能性および/または多官能性単量体から重合されるオリゴマーである。特に好ましいオリゴマーは、エポキシアクリル酸エステル類、脂肪族ウレタンアクリル酸エステル類、芳香族ウレタンアクリル酸エステル類、ポリエステルアクリル酸エステル類、ポリエーテルアクリル酸エステル類、アミン改質されたポリエーテルアクリル酸エステル類および直鎖状アクリル系オリゴマー類を包含する。
【0059】
多官能性単量体またはオリゴマーは好ましくは直鎖状の単量体またはオリゴマーである。
【0060】
2種もしくはそれ以上の多官能性単量体および/またはオリゴマーを組み合わせて使用することができる。
【0061】
多官能性単量体またはオリゴマーは好ましくは100s−1の剪断速度および15〜70℃の間の温度における50mPa.sより大きい粘度を有する。
酸官能化された単量体およびオリゴマー
当該技術で既知であるいずれかの重合可能な酸官能化された単量体およびオリゴマーを使用することができる。酸官能化された単量体およびオリゴマーは複数の酸官能基を含有しうる。
【0062】
酸官能基は好ましくはカルボン酸官能基および燐酸官能基よりなる群から選択される。
【0063】
好ましい酸官能化された単量体は、酸官能化されたアクリル酸エステル単量体、酸官能化された(メタ)アクリル酸エステル単量体、酸官能化されたアクリル酸エステルオリゴマーおよび酸官能化された(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーよりなる群から選択される。UCBから入手可能なエベクリル(Ebecryl)(R)168、エベクリル(R)170およびエベクリル(R)770が特に好ましい。
【0064】
好ましい酸官能化された単量体は、フタル酸2−(メタクリロイル)エチル、フタル酸2−(アクリロイル)エチル、琥珀酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、琥珀酸2−(アクリルオキシ)エチル、メタクリル酸燐酸エチレングリコールおよびアクリル酸2−カルボキシエチルよりなる群から選択される。
【0065】
好ましい酸官能化されたオリゴマーは、多官能性酸オリゴマー状メタクリル酸エステルおよび多官能性酸オリゴマー状アクリル酸エステルよりなる群から選択される。クレイ・バレイ(CRAY VALLEY)から入手可能なサルトマー(Sartomer)(R)SB10E35、サルトマー(R)SB520E35およびサルトマー(R)SB500E50が特に好ましい。
光−開始剤
光−開始剤と称する触媒は典型的には重合反応を開始させる。光−開始剤は単量体およびオリゴマーが重合体を生成するためより少ないエネルギーを活性化させるために必要とする。
【0066】
光−開始剤は光を吸収しそしてフリーラジカルまたはカチオンの生成に寄与する。フリーラジカルまたはカチオンは、単量体、オリゴマーおよび重合体の重合を誘発しそしてそれにより多官能性単量体およびオリゴマーとの架橋結合も誘発する高エネルギー種である。
【0067】
開始剤の好ましい量は硬化可能な噴射可能液体の合計重量の1〜10重量%、そしてより好ましくは硬化可能な噴射可能液体の合計重量の1〜7重量%である。
【0068】
2種もしくはそれ以上の光−開始剤の組み合わせを使用することができる。
【0069】
光−開始剤系を使用することもできる。適する光−開始剤系は、活性線により活性化されそして第二化合物からの水素抽出または電子抽出によりフリーラジカルを生成する光開始剤である。一般的には共−開始剤と称する第二化合物は実際の開始用フリーラジカルになる。
【0070】
活性線による照射は二段階で波長または強度を変えることにより実現できる。そのような場合には、2つのタイプの開始剤を一緒に使用することが好ましい。
【0071】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体中での使用に適する光−開始剤は、キノン類、ベンゾフェノンおよび置換されたベンゾフェノン類、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフェノン類、ジアルコキシアセトフェノン類、α−ハロゲノ−アセトフェノン類、アリールケトン類(例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、チオキサントン類(例えばイソプロピルチオキサントン)、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,2−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、例えば2,4,6トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、メチルチオフェニルモルホリノケトン類、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、モルホリノフェニルアミノケトン類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンまたは5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、弗化ジフェニルヨードおよびヘキサフルオロ燐酸トリフェニルスルホニウム、ベンゾインエーテル類、過酸化物、ビイミダゾール類、ベンジルジメチルケタール、アミノケトン類、ベンゾイルシクロヘキサノール、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、ベンゾイルオキシムエステル類、樟脳キノン類、ケトクマリン類、およびミヒラーケトン類を包含する。
【0072】
これらの光−開始剤は、時には1種もしくはそれ以上の光−開始剤との混合物状で、容
易に商業的に入手可能である:チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(CIBA SPECIALTY CHEMICALS)から入手可能なイルガキュア(Irgacure)(R)184、イルガキュア(R)500、イルガキュア(R)907、イルガキュア(R)369、イルガキュア(R)651、イルガキュア(R)819、イルガキュア(R)1000、イルガキュア(R)1300、イルガキュア(R)1700、イルガキュア(R)1800、イルガキュア(R)1870、ダロクル(Darocur)(R)1173、ダロクル(R)4265およびダロクル(R)ITX、バスフ(BASF)AGから入手可能なルセリン(Lucerin)TPO、ランベルチ(LAMBERTI))から入手可能なエサキュア(Esacure)(R)KK、エサキュア(R)KT046、エサキュア(R)KT055、エサキュア(R)KIP150、エサキュア(R)KT37およびエサキュア(R)EDB、スペクトラ・グループ・リミテッド(SPECTRA
GROUP Ltd.)から入手可能なH−Nu(R)470およびH−Nu(R)470X、ラーン(RAHN)から入手可能なゲノキュア(Genocure)(R)EHAおよびゲノキュア(R)EPD。
【0073】
特に好ましい光−開始剤は、チバ・スペシャルティー・ケミカルズから入手可能なイルガキュア(R)819、イルガキュア(R)1300およびイルガキュア(R)1800である。
抑制剤
適する重合抑制剤は、フェノールタイプ酸化防止剤、障害アミン光安定剤、燐タイプ酸化防止剤、(メタ)アクリル酸エステル単量体中で一般的に使用されるヒドロキノンモノメチルエーテルを包含し、そしてヒドロキノン、メチルヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロールを使用することもできる。これらの中で、アクリル酸から誘導される分子内に二重結合を有するフェノール化合物が、閉鎖された無酸素環境の中で加熱される場合でも重合−抑制効果を有するために、特に好ましい。適する抑制剤は、例えば、スミトモ・ケミカル・カンパニー・リミテッド(Sumitomo Chemical Co.,Ltd.)により製造されるスミライザー(Sumilizer)(R)GA−80、スミライザー(R)GMおよびスミライザー(R)GSである。
【0074】
これらの重合抑制剤の過剰添加は硬化に対する硬化可能な噴射可能液体の感度を低下させるであろうため、重合を防止しうる量を配合前に決めることが好ましい。重合抑制剤の量は一般的に硬化可能な噴射可能液体の合計重量の200〜20,000ppmの間である。
【0075】
酸素重合抑制を減ずる化合物とラジカル重合抑制剤との適する組み合わせは、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンおよびベンゾフェノン:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンまたは2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンおよびジエチルチオキサントンまたはイソプロピルチオキサントン;並びにベンゾフェノンおよび第三級アミノ基を有するアクリル酸エステル誘導体、並びに第三級アミンの添加である。アミン化合物は一般的に酸素重合抑制剤を減ずるためまたは感度を高めるために使用される。しかしながら、アミン化合物が高酸価化合物と組み合わせて使用される場合には、高温における貯蔵安定性が低下する傾向がある。従って、具体的には、インキ−ジェット印刷における高酸価化合物と一緒のアミン化合物の使用は避けるべきである。
【0076】
硬化性質を改良するためおよび酸素抑制の影響を減ずるために、相乗添加剤を使用することができる。そのような添加剤はアクゾ・ノベル(AKZO NOBEL)から入手可能なアクチラン(ACTILANE)(R)800およびアクチラン(R)725、UCB・ケミカルズ(UCB CHEMICALS)から入手可能なエベクリル(R)P115およびエベクリル(R)350、並びにクレイ・バレイから入手可能なCD1012、クレイノルCN386(アミン改質されたアクリル酸エステル)およびクレイノルCN501(アミン改質されたエトキシル化された三アクリル酸トリメチロールプロパン)を包
含するが、それらに限定されない。
【0077】
相乗添加剤の含有量は、硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として0〜50重量%の範囲内、好ましくは5〜35重量%の範囲内である。
可塑剤
接着剤、密封化合物およびコーティング組成物の可塑性を改良するためまたは硬度を減ずるために、可塑剤が一般的に使用される。可塑剤は、液体または固体の一般的には低蒸気圧の不活性有機物質である。
【0078】
適する可塑剤は、改質されたおよび未改質の天然油および樹脂、酸類、例えばアルカン酸類、アリールカルボン酸類もしくは燐酸、のアルキル、アルケニル、アリールアルキルまたはアリールアルケニルエステル類、合成オリゴマーまたは樹脂、例えばオリゴスチレン、オリゴマー状スチレン−ブタジエン共重合体、オリゴマー状α−メチルスチレン−p−メチルスチレン共重合体、液体オリゴブタジエン類、または液体オリゴマー状アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、並びにポリテルペン類、ポリアクリル酸エステル類、ポリエステル類またはポリウレタン類、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、α−メチルオリゴ(エチレンオキシド)、脂肪族炭化水素油、例えば、ナフテン系およびパラフィン系油;液体ポリジエン類並びに液体ポリイソプレンを包含する。
【0079】
特に適する可塑剤の例は、パラフィン系鉱油;ジカルボン酸のエステル類、例えばアジピン酸ジオクチルもしくはテレフタル酸ジオクチル;ナフテン系可塑剤または500〜5000g/モルの間のモル重量を有するポリブタジエン類である。
【0080】
より特に好ましい可塑剤は、ヘキスト(HOECHST)から入手可能なホルダフレックス(Hordaflex)(R)LC50、モンサント(MONSANTO)から入手可能なサンチサイザー(Santicizer)(R)278、ペルストープ・AB(PERSTORP AB)から入手可能なTMPME、およびC.P.ホール・カンパニー(C.P.Hall Co.)から入手可能なプラストホール(Plasthall)4141である。
【0081】
異なる可塑剤の混合物を使用することも可能である。
【0082】
硬化可能な噴射可能液体中に存在する可塑剤の量は当業者により選択され、そして各場合とも硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として、好ましくは少なくとも5重量%、特に好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%の濃度で存在する。
【0083】
好ましい可塑剤は5000より小さい分子量を有する液体であるが、30000までの分子量を有しうる。
エラストマー
エラストマーは単一結合剤または種々の結合剤の混合物でありうる。弾性結合剤は、共役ジエン−タイプ単量体および少なくとも2個の非共役二重結合を有するポリエン単量体の弾性共重合体、または共役ジエン−タイプ単量体、少なくとも2個の非共役二重結合を有するポリエン単量体およびこれらの単量体と共重合可能なビニル単量体の弾性共重合体である。これらの弾性共重合体の骨格を構成する単量体は、例えば、共役ジエン−タイプ単量体、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびクロロプレン、並びにビニル単量体、例えば芳香族ビニル単量体、例えばスチレンおよびアルファ−メチルスチレン、不飽和ニトリル単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびアルファ−クロロアクリロニトリル、を包含する。ビニル単量体はこれらの具体例に限定されず、そして以下で示すポリエン単量体と共重合可能な共役ジエン−タイプ単量体およびビニル単量体のいずれであってもよい。
【0084】
非常に好ましい弾性重合体は、ポリアルカジエン類、ビニル芳香族/アルカジエン−共重合体および−ブロック共重合体、アルカジエン−アクリロニトリル−共重合体、エチレン−プロピレン−共重合体、エチレン−プロピレン−アルカジエン−共重合体、エチレン−(アクリル酸)−共重合体、アルカジエン−(アクリル酸)−共重合体、アルカジエン−アクリル酸エステル−(アクリル酸)−共重合体およびエチレン−((メタ)アクリル酸)−(メタ)アクリル酸エステル−共重合体である。
界面活性剤
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、少なくとも1種の界面活性剤を含有しうる。1種もしくは複数の界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性、または双性イオン性であることができ、そして一般的には硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として20重量%より少ない合計量でそして特に硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として10重量%より少ない合計量で加えられる。
【0085】
弗素化されたまたはシリコーン化合物を界面活性剤として使用することができるが、考えられる欠点は界面活性剤が架橋結合しないことによる像形成後の滲出である。従って、界面活性効果を有する共重合可能な単量体、例えばシリコーン−改質されたアクリル酸エステル類、シリコーン−改質されたメタクリル酸エステル類、弗素化されたアクリル酸エステル類、および弗素化されたメタクリル酸エステル類を使用することが好ましい。
着色剤
着色剤は染料もしくは顔料またはそれらの組み合わせでありうる。有機および/または無機顔料を使用することができる。
【0086】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体に適する染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料および反応性染料を包含する。
【0087】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体に適する顔料は、赤色またはマゼンタ顔料として、ピグメント・レッド3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、ピグメント・バイオレット3、19、23、29、30、37、50、および88;青色またはシアン顔料として、ピグメント・ブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、および60;緑色顔料として、ピグメント・グリーン7、26、36、および50;黄色顔料として、ピグメント・イエロー1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、128、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、177、180、185、および193;白色顔料として、ピグメント・ホワイト6、18、および21を包含する。
【0088】
さらに、顔料はHERBST,W.et al.Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications.2nd edition.VCH,1997により開示されているものから選択できる。
【0089】
適する黒色顔料材料は、カーボンブラック、例えばピグメント・ブラック(例えばミツビシ・ケミカル(MITSUBISHI CHEMICAL)からのカーボン・ブラック(Carbon Black)MA8(R))、カボット・カンパニー(CABOT Co.)からのリーガル(Regal)(R)400R、モグル(Mogul)(R)L、エルフテックス(Elftex)(R)320、またはデグッサ(DEGUSSA)からのカーボン・ブラックFW18、スペシャル・ブラック(Special Black)250、スペシャル・ブラック350、スペシャル・ブラック550、プリンテックス(Printex)(R)25、プリンテックス(R)35、プリンテックス(R)55、プリンテックス(R)90、プリンテックス(R)150Tを包含する。適する顔料の別の例は米国特許第5538548号明細書(ブラザー(BROTHER))に開示されている。
【0090】
顔料は、硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として、0.01〜10重量%の範囲内で、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内で存在する。
溶媒
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は好ましくは蒸発可能成分を含有しないが、時にはUV硬化後のインキ−受容体表面に対する接着性を改良するために極めて少量の溶媒を導入することが有利でありうる。この場合、加えられる溶媒は各々硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として0.1〜10.0重量%、そして好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲内のいずれかの量でありうる。
【0091】
適する有機溶媒は、アルコール、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、高級脂肪酸類、カルビトール類、セロソルブ類、高級脂肪酸エステル類を包含する。適するアルコール類は、メタノール、エタノール、プロパノールおよび1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ブタノール、t.−ブタノールを包含する。適する芳香族炭化水素類は、トルエンおよびキシレンを包含する。適するケトン類は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2,4−ペンタンジオンおよびヘキサフルオロアセトンを包含する。グリコール、グリコールエーテル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドも使用できる。好ましい有機溶媒は酢酸エチルである。
湿潤剤
溶媒が本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体中で使用される場合には、硬化可能な噴射可能液体の蒸発速度を遅くするその能力のために、湿潤剤を加えてノズルの詰まりを防止することができる。
【0092】
適する湿潤剤は、トリアセチン、N−メチル−2−ピロリドン、グリセロール、ウレア、チオウレア、エチレンウレア、アルキルウレア、アルキルチオウレア、ジアルキルウレアおよびジアルキルチオウレア;エタンジオール類、プロパンジオール類、プロパントリオール類、ブタンジオール類、ペンタンジオール類、およびヘキサンジオール類を包含するジオール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコールを包含するグリコール類、並びにそれらの誘導体および混合物を包含し、ポリエチレングリコールが特に好ましい。湿潤剤は硬化可能な噴射可能液体調合物に調合物の0.01〜20重量%、より好ましくは調合物の0.1〜10重量%の量で加えられる。
殺菌剤
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体に適する殺菌剤は、デヒドロ酢酸ナトリウム、2−フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルおよび1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびそれらの塩類を包含する。本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体用の好ましい殺菌剤は、ゼネカ・カラーズ(ZENECA COLOURS)から入手可能なプロキセル(Proxel)(R)GXLである。
【0093】
殺菌剤は、各々硬化可能な噴射可能液体を基準として好ましくは0.001〜3重量%、より好ましくは0.01〜1.00重量%の量で加えられる。
硬化可能な噴射可能液体の製造
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体中での使用のための着色剤の分散液は、着色剤および樹脂の混合、粉砕および分散により、製造することができる。混合装置は、圧力混練器、開放混練器、遊星混合器、溶解器、およびダルトン・ユニバーサル・ミキサー(Dalton Universal
Mixer)を包含しうる。適する粉砕および分散装置は、コロイドミル、高速分散器、二重ローラー、ビードミル、ペイント・コンディショナー、および三重ローラーである。
【0094】
混合、粉砕および分散の工程において、各工程は熱の蓄積を防止するために冷却しながらそしてできる限りUV線が実質的に除外されている光条件下で行われる。
インキ−受容体
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体がインキ−受容体表面上に噴射される。インキ−受容体は屈曲性支持体および普通は少なくとも1つの部分的にまたは完全に重合されうる光重合可能層を含んでなる。
支持体
支持体は、フレキソグラフィー印刷マスターを製造するために使用される感光性要素と共にこれまでに使用されているいずれの材料でもありうる。良好な印刷結果のためには、寸法安定性支持体が要求される。
【0095】
好ましくは、支持体は活性線を通すため支持体の中で「バックフラッシュ」(“backflash”)露出を行う。適する支持体材料の例は、付加重合体および線状縮合重合体により製造されるもののような重合体フィルム、透過性フォームおよび布を包含する。金属支持体は放射線を通さないが、ある種の最終使用条件下では、金属、例えば鋼、アルミニウム、銅およびニッケルを支持体として使用することもできる。支持体はシート形状または円筒形状、例えばスリーブでありうる。例えば米国特許出願公開第20020046668A号明細書(ロッシニ(ROSSINI))により開示されているように、スリーブは屈曲性材料の単層または多層から形成することができる。重合体フィルム製の屈曲性スリーブは典型的には紫外線透過性でありそしてそれにより円筒状印刷要素中で床を建造するためのバックフラッシュ露出を行うため、それらが好ましい。多層スリーブは、屈曲性材料層の間に接着剤層またはテープを包含しうる。米国特許第5301610号明細書(デュポン)に開示されている多層スリーブが好ましい。スリーブは不透過性の活性線遮断材料、例えばニッケルまたはガラスエポキシ、製であってもよい。支持体は典型的には0.002〜0.050インチ(0.0051〜0.127cm)の厚さを有する。シート形状に関する好ましい厚さは0.003〜0.016インチ(0.0076〜0.040cm)である。スリーブは典型的には10〜80ミル(0.025〜0.203cm)もしくはそれ以上の壁厚さを有する。円筒形状に関する好ましい壁厚さは10〜40ミル(0.025〜0.10cm)である。
【0096】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法における使用に好ましい重合体状支持体は、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN);配向ポリスチレン(OPS);配向ナイロン(ONy);ポリプロピレン(PP)、配向ポリプロピレン(OPP);ポリ塩化ビニル(PVC);並びに種々のポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ポリオレフィン類、ポリ(ビニルアセタール)類、ポリエーテル類およびポリスルホンアミド類、不透過性白色ポリエステル類、並びにポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンの押し出し配合物である。アクリル樹脂、フェノール樹脂、ガラスおよび金属をインキ−受容体として使用することにできる。他の適する支持体は、Modern Approaches to Wettability: Theory and Applications. Edited by SCHRADER, Malcolm E.,et al. New York: Plenum Press, 1992. ISBN 0306439859に見られる。
光重合可能層
光重合可能層は寸法安定性支持体に、接着剤層を用いてまたは用いずに、適用される。
【0097】
光重合可能層は活性線への露出により硬化する光重合可能組成物よりなる。これは、重合体の光架橋結合により、単量体および/またはオリゴマーの光重合により、或いは両方の方法により行うことができる。
【0098】
好ましい光重合可能層は、現像剤中に洗い流せる少なくとも1種の重合体状結合剤、少なくとも1種のエチレン系不飽和のフリーラジカル重合可能化合物、少なくとも1種の光−開始剤または光−開始剤系、および、場合によっては別の添加剤を含有する。そのような層の組成は原則的に既知でありそして、例えば、米国特許第3960572号明細書(アサヒ(ASAHI))、米国特許第3951657号明細書(アップジョーン(UPJOHN))、米国特許第4323637号明細書(デュポン)および米国特許第4427759号明細書(デュポン)に記載されている。
【0099】
少なくとも1種の重合体状結合剤は好ましくはエラストマーである。適するエラストマーは以上で「硬化可能な噴射可能液体」に関して記載されている。
【0100】
光重合可能混合物は、少なくとも1種のエチレン系不飽和のフリーラジカル重合可能化合物、すなわち単量体またはオリゴマー、をさらに含んでなる。適する単量体およびオリゴマーは以上で「硬化可能な噴射可能液体」に関して記載されている。
【0101】
光重合に適する光−開始剤は以上で「硬化可能な噴射可能液体」に関して記載されている。
【0102】
光重合可能組成物は全成分の合計を基準として一般的には45〜95重量%の結合剤を含有する。好ましくは、70〜95重量%の結合剤が使用される。重合可能化合物の量は4.9〜45重量%、好ましくは4.9〜30重量%の間である。光−開始剤の量は0.1〜5重量%である。
【0103】
光重合可能組成物は少なくとも1種の可塑剤をさらに含んでなってもよい。異なる可塑剤の混合物を使用することも可能である。適する可塑剤は以上で「硬化可能な噴射可能液体」に関して記載されている。存在する可塑剤の量は、光重合可能組成物の全成分の合計を基準として一般的には40重量%より少ない。
【0104】
光重合可能組成物は、他の添加剤、例えば、例えば、熱で開始される重合の抑制剤、染料、顔料、フォトクロミック添加剤、酸化防止剤、抗オゾン剤、および押し出し助剤、例えばα−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体をさらに含むことができる。添加剤の量は光重合可能組成物の全成分の合計を基準として好ましくは20重量%より少なく、そして有利には可塑剤および添加剤の合計量は全成分の合計を基準として50重量%を越えないように選択される。
【0105】
光重合可能層の厚さは所望する用途の条件に従い当業者により選択される。一般的には、厚さは0.05〜7mmで変動する。
弾性フロア
従来のフレキソグラフィー印刷マスターの製造では、第一段階はバック露出すなわちバックフラッシュ段階である。これは、支持体を通る活性線へのブランケット露出である。それは、光重合可能層の支持体側に重合された材料の層または弾性フロアを作成しそして光重合可能層を増感させるために使用される。弾性フロアは光重合可能層と支持体との間に改良された接着性を与え、ハイライトドット解像を助け且つ版レリーフの深さを制定する。バックフラッシュ露出は、硬化可能な噴射可能液体を噴射する段階の前、後または最中に行うことができる。ノズルの詰まりを防止するために、それを硬化可能な噴射可能液体を噴射する前または後に行うことが好ましい。
【0106】
従来のフレキソグラフィー印刷マスターとは異なり、本発明における弾性フロアは1つもしくは複数の完全光重合可能層を含んでなることができる。しかしながら、光重合可能層上への硬化可能な噴射可能液体の接着性を改良するためには、光重合可能層の部分的硬化だけを行うことが有利でありうる。
【0107】
支持体上の適する1つもしくは複数の光重合可能層は、従来のフレキソグラフィー印刷マスター前駆体、例えばデュポンから入手可能なシレル(Cyrel)(R)PLS、シレル(R)HIQ、およびバスフから入手可能なFAH−114を包含する。
【0108】
弾性フロアとしての使用に適する材料は、開放セル構造を有するマイクロセル状ウレタン類、例えばロジャーズ・コーポレーション(ROGERS Corp)から入手可能なポロン(PORON)(R)およびR/bak(R);天然ゴム(ポリイソプレン)、例えばエリクス(ERIKS)から入手可能なゴム版エリクス・ルナ・パラ(ERIKS Luna Para);天然およびスチレン−ブタジエンゴムの混合物、例えば全てエリクスから入手可能な、ゴム版エリクス・ノルマ(ERIKS Norma)およびエリクス・ブランカ(ERIKS Blanca);クロロプレンゴム、例えばゴム版エリクス・ネオプレン(ERIKS Neoprene)(R);EPDMすなわちエチレン−プロピレンジエン改質ゴム、例えばゴム版エリクスEPDM(ERIKS EPDM)(R);NBEすなわちブタジエンおよびアクリロニトリルを含んでなる共重合体、例えばゴム版エリクス・スーペルバ(ERIKS Superba)およびネオ−ベンジド(Ne
o−benzid);フルオロカーボン重合体版、例えばエリクス・ビトン(ERIKS
Viton)(R)を包含する。
【0109】
支持体は弾性フロアに連結されていてもよくまたはされていなくてもよい。接着剤層が弾性フロア上に存在しうる。
フレキソグラフィー印刷マスター
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体はインキ−受容体表面上に噴射手段を用いて適用され、未硬化の印刷された像を作成する。引き続き、この印刷された像を硬化手段により硬化させてフレキソグラフィー印刷マスターを製造する。フレキソグラフィー印刷マスターはいずれかの形状、例えばシート形状、例えば印刷版、または円筒形状、例えばスリーブを有することができる。
【0110】
硬化後の硬化可能な噴射可能液体の層は少なくとも5%の、特に好ましくは少なくとも25%の破断点伸びを有する。
【0111】
硬化後の硬化可能な噴射可能液体の層は30Hzにおける200MPaより小さい、特に好ましくは30Hzにおける50MPaより小さい貯蔵弾性率E’を有する。
【0112】
硬化後の硬化可能な噴射可能液体の層は10%より小さい、特に好ましくは8%より小さい容量縮合率を有する。
噴射手段
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体は、硬化可能な噴射可能液体の小滴を調節方式でノズルを通してインキ−受容体表面上に噴出する印刷ヘッドを含んでなり、その表面は1つもしくは複数の印刷ヘッドに関連して移動する。噴出または噴射された硬化可能な噴射可能液体がインキ−受容体表面上に像を形成する。
【0113】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体を噴射するための好ましい印刷ヘッドは圧電ヘッドである。圧電インキ−ジェット印刷は、電圧が適用された時の圧電セラミック変換器の動きに基づく。電圧の適用が印刷ヘッド内の圧電セラミック変換器の形状を変えて空所を作成し、次に硬化可能な噴射可能液体をそれに充填する。電圧が除かれる時に、セラミックはその元の形状に膨張して印刷ヘッドから硬化可能な噴射可能液体の小滴を噴出する。
【0114】
しかしながら、本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体を噴射する手段は圧電インキ−ジェット印刷ヘッドに限定されない。硬化可能な噴射可能液体噴出用の他のインキ−ジェット印刷ヘッドを使用することができ、そして例えば連続タイプ並びに熱、静電およびアコースティック・ドロップ・オン・デマンド(acoustic drop on demand)タイプの如き種々のタイプを包含する。
硬化手段
インキ−受容体表面上に噴射された本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体を好ましくは放射線または電子線露出により硬化させる。好ましい放射線硬化手段は紫外線である。
【0115】
バックフラッシュ段階用には、放射線の強度および分光エネルギー分布、光重合可能層からのその距離、所望する像解像度、並びに光重合可能組成物の性質および量によって、活性線露出時間は数秒間ないし数分間に変動しうる。露出温度は好ましくは周囲温度またはわずかに高い温度、すなわち約20〜35℃である。露出は、露出された領域をその下にある支持体またはバック露出された層に架橋結合させるのに充分な期間にわたる。
【0116】
活性線源は紫外線および可視光線波長領域を包括する。特定の活性線源の適合性は、フレキソグラフィー印刷マスターの製造において使用される開始剤および単量体の感光度により支配される。ほとんどの普遍的なフレキソグラフィー印刷マスターの好ましい感光度は、より良好な室内光安定性を与えるため、スペクトルのUVおよび深UV領域内である。適する可視光線およびUV源の例は、カーボンアーク、水銀蒸気アーク、蛍光灯、電子フラッシュ装置、電子線装置、レーザー、および写真床ランプを包含する。最適なUV線源は水銀蒸気ランプ、特に太陽ランプである。工業規格放射線源の例は、シルバニア(S
ylvania)350ブラックライト(Blacklight)蛍光灯(FR48T12/350VL/VHO/180、115w)およびフィリップス(Philips)UV−A“TL”−シリーズ低圧水銀蒸気蛍光灯を包含する。典型的には、水銀蒸気アークまたは太陽ランプは光重合可能層から約1.5〜約60インチ(約3.8〜約153cm)の距離で使用することができる。これらの放射線源は一般的には310〜400nmの間の長波長UV線を放出する。これらの特定UV源に敏感なフレキソグラフィー印刷マスターは310〜400nmの間を吸収する。
【0117】
本発明に従うフレキソグラフィー印刷マスターを製造する方法に適する硬化可能な噴射可能液体の硬化手段はインキ−ジェット印刷機の印刷ヘッドと組み合わされて配列することができ、それと共に走行してインキ−受容体の表面に印刷された像をインキ−受容体表面上に印刷された直後に硬化放射線に露出させる。そのような配列では、印刷ヘッドに連結され且つそれと共に走行する小型放射線源を提供することが困難でありうる。従って、静止固定放射線源、例えば繊維光束または内部反射性屈曲管の如き屈曲性の放射線伝導手段により放射線源に連結された硬化用UV放射線源を使用することができる。
【0118】
或いは、硬化用放射線を固定源から放射線ヘッドに対して放射線ヘッド上の鏡を包含する鏡の配置により供給することもできる。
【0119】
印刷ヘッドと共に動かないように配置された放射線源は、硬化させようとするインキ−受容体表面を越えて横方向に且つ印刷ヘッドの横方向の通路に隣接して伸びて印刷ヘッドにより形成された像のその後の列が段階的または連続的に放射線源の下を通過するような細長い放射線源であってもよい。
【0120】
実際には、高速印刷を実現するためには複数の印刷ヘッドを印刷台の中で近接させて提供することも望ましい。この場合、各々がそれ自体に専用の放射線源を有する。
【0121】
いずれかの紫外線源、例えば、高圧または低圧水銀ランプ、冷カソード管、黒色光、紫外線LED、紫外線レーザー、およびフラッシュライトを使用することができる。これらの中で、好ましい源は300〜400nmの主波長を有する比較的長波長のUV−分布を示すものである。具体的には、それに伴う光拡散を減少させるために、より効果的な内部硬化をもたらすUV−A光源が好ましい。
【0122】
UV線は一般的に下記のようにUV−A、UV−B、およびUV−Cとして分類される:
・UV−A:400nm〜320nm
・UV−B:320nm〜290nm
・UV−C:290nm〜100nm。
【0123】
さらに、異なる波長または照度の2つの光源を使用して印刷された像を硬化させることも可能である。例えば、第一UV源をUV−Cに富むように、特に240nm〜200nmの範囲内に、選択することができる。次に第二UV源はUV−Aに富ませることができ、例えばガリウム−ドープランプまたはUV−AおよびUV−Bの両方が多い別のランプでありうる。2つのUV源の使用は例えばより迅速な硬化速度の如き利点を有することが見出されている。
【0124】
硬化を促進するために、インキ−ジェット印刷機はしばしば1つもしくはそれ以上の酸素枯渇ユニットを含む。酸素枯渇ユニットは、硬化環境内の酸素濃度を減ずるために、窒素または他の比較的不活性な気体(例えば、CO)のブランケットを調節可能な位置に且つ調節可能な気体濃度で配置する。残存酸素水準は普通は200ppm程度の低さに保たれるが、一般的には200ppm〜1200ppmの範囲内である。
【実施例】
【0125】
本発明を次に以下の実施例により詳細に記載する。
材料
以下の実施例で使用された全ての材料は断らない限りアルドリッヒ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.)(ベルギー)から容易に入手可能であった。
【0126】
以下の材料が使用された:
感放射線化合物
アクチラン(R)411はアクゾから入手可能な環式アクリル酸トリメチロールプロパンホルマールである。
【0127】
クレイノル(R)CN501はクレイ・バレイから入手可能なアミン改質されたエトキシル化された三アクリル酸トリメチロールプロパンである。
【0128】
DPGDA(R)はUCBから入手可能な二アクリル酸ジプロピレングリコールである。
【0129】
エベクリル(R)11はUCBから入手可能な二アクリル酸ポリエチレングリコールである。
【0130】
エベクリル(R)168はUCBから入手可能な酸改質されたメタクリル酸エステルである。
【0131】
エベクリル(R)350はUCBから入手可能な二アクリル酸シリコーンである。
【0132】
エベクリル(R)770はUCBから入手可能な40%HEMAで希釈された酸官能性アクリル酸ポリエステルである。
【0133】
エベクリル(R)1360はUCBから入手可能な六アクリル酸ポリシロキサンである。
【0134】
サルトマー(R)506Dはクレイ・バレイから入手可能なアクリル酸イソボルニルである。
【0135】
イルガキュア(R)500、イルガキュア(R)819およびイルガキュア(R)907はチバ・スペシャルティー・ケミカルズから入手可能な光−開始剤である。
【0136】
PVS225は10重量%のメチルヒドロキノンを含有するクレイノル(R)CN501およびDPGDA(R)の40/60混合物である。
【0137】
MHQは5重量%のメチルヒドロキノンを含有するDPGDA(R)である。
エラストマー
クラトン(Kraton)(R)商品およびカリフレックス(Cariflex)(R)商品はシェル・カンパニー(SHELL Co.)から入手可能である。
【0138】
ハイカー(Hycar)(R)商品、エスタン(Estane)(R)商品およびヒドリン(Hydrin)(R)商品は全てグッドリッチ(GOODRICH)から入手可能である。
【0139】
ブレオン(Breon)(R)商品はブリティシュ・ゲオン・リミテッド(BRITISH GEON Ltd.)から入手可能である。
可塑剤
ホルダフレックス(R)LC50はヘキストから入手可能である。
【0140】
サンチサイザー(R)278はモンサントから入手可能である。
【0141】
TMPMEはペルストープ(PERSTORP)ABから入手可能なトリメチロールプロパンモノアリルエーテルである。
染料
黄色染料はアグファから入手可能な2−(4−{ブチル−[4−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−アミノ}−ベンジリデン)−マロノニトリルである。
【0142】
マゼンタ染料はアグファから入手可能な2−シアノ−3−(4−ジブチルアミノ−フェニル)−ブト−2−エンジニトリルである。
界面活性剤/均染剤
ペレノール(Perenol)(R)Sは酢酸エチル中の濃縮ペレノール(R)S(コグニス(COGNIS)から入手可能である)の50重量%溶液である。
【0143】
メルソラト(Mersolat)(R)Hはバイエル(BAYER)からの第二級アルカンスルホン酸エステル類の混合物である。
他の材料
キエセルゾル(Kieselsol)(R)100FはバイエルからのSiOの水中30%分散液である。
【0144】
アグファPETは、246mLの88重量%の塩化ビニリデン、10重量%のメタクリ
ル酸エステルおよび2重量%のイタコン酸の共重合体を基準とした32%ラテックス、48mLのキエセルゾル(R)100F−30および10mLのメルソラト(R)Hの水中4.85重量%溶液、並びに696mLの脱塩水よりなる溶液をエア・ナイフコーティングにより一軸配向PET(130m/l)に適用し、150℃の空気温度で乾燥しそして横断方向(係数3.6)に延伸することにより製造された下塗り層でコーティングされたアグファから入手可能な100μmPETフィルムである。
【0145】
ルミロル(Lumirror)X43はトレイ・インダストリーズ(TORAY INDUSTRIES)から入手可能な125μmPETフィルムである。
測定方法
1.溶解度
UV−硬化可能なインキ−ジェットインキ中のエラストマーの溶解度は、エラストマーおよびUV−硬化可能なインキ−ジェットインキを混合することにより、試験された。合計インキ重量を基準として16重量%のエラストマーを含有する透明な均一インキを製造することが可能でない場合には、エラストマーはUV−硬化可能なインキ−ジェットインキ中に不溶性であると考えられた。
2.貯蔵寿命
硬化可能な噴射可能液体の貯蔵寿命は、硬化可能な噴射可能液体をガラス容器の中で20℃においてUV線が実質的に除外されている光条件下に保ちそして硬化可能な噴射可能液体の均一性を2週間後に評価することにより試験された。
3.噴射可能性
硬化可能な噴射可能液体を噴射する能力は、アグファからのUPH110印刷ヘッドを用いて60℃においてエプソン(EPSON)からのプロフェッショナル・グロッシー・ペーパー(Professional Glossy Paper)上で評価された。
4.粘度
硬化可能な噴射可能液体の粘度は、断らない限りウエルズ−ブルックフィールド・コーン/プレート(Wells−Brookfield Cone/Plate)形状を用いるブルックフィールド(BROOKFIELD)からのプログラム可能なDV−11+デジタル粘度計で60℃および100s−1の剪断速度において測定された。
5.曲げ試験
コーティングされた試料を硬化後に90°の角度以上に曲げそして割れ耐性を下記の基準に従い評価した。
基準:
1=優れた屈曲性、全く割れなし
2=中程度の屈曲性、少量だけの割れ(顕微鏡を用いて見える)
3=劣った屈曲性、大きな割れ(肉眼で見える)
4=許容不能な屈曲性、非常に脆弱で且つ極端に脆いガラス状の層
6.Dmax
最大光学濃度は、使用された印刷インキの色を補正するフィルターを有するマクベス(MacBeth)RD918SB濃度計を用いて測定された。
7.モットル
印刷された試料を反射方式で6xの倍率ルーペを用いてTL−光源の下で試験した。試料をそれらのモットル外観に関して以下の目盛りに従い評価した:
等級=12:極端に大きいモットル
等級=11:等級=12より顕著に良好
等級=10:等級=11より顕著に良好
等級=9:等級=10より顕著に良好
等級=8:等級=9より顕著に良好
等級=7:等級=8より顕著に良好
等級=6:等級=7より顕著に良好
等級=5:等級=6より顕著に良好
等級=4:等級=5より顕著に良好
等級=3:等級=4より顕著に良好
等級=2:等級=3より顕著に良好、モットルをほとんど認識できない
等級=1:等級=2より顕著に良好、モットルを認識できない
8.破断点伸び
破断点伸びは、インストロン(INSTRON)からの自動化された引っ張り試験機であるインストロン・シリーズIXを用いて0.4mmの厚さおよび100mm×20mmの寸法を有する試料上で測定された。
9.貯蔵弾性率E’
貯蔵弾性率E’は、30HzにおいてTA・インスツルメンツ(TA Instruments)からのDMA2980を用いて引っ張り方式で30℃の一定温度において100Hz〜0.1Hzの周波数掃引および15μmの振幅で測定された。
10.体積収縮率
硬化の前および後の硬化可能な噴射可能液体の密度の測定が、式:
【0146】
【数1】

【0147】
を使用することにより、重合による収縮率の評価を可能にした。硬化していない硬化可能な噴射可能液体の密度は、25℃においてアントン・パアール(ANTON PAAR)からの密度計DMA45で測定された。硬化した硬化可能な噴射可能液体の密度は、マイクロメリティックス(MICROMERITICS)からの比重瓶であるアキュピック(Accupyc)1330で測定された。
実施例1
この実施例は、エラストマーを硬化可能な噴射可能液体の中に導入するための問題を説明する。
【0148】
多数のエラストマーを典型的なUV−硬化可能インキ−ジェットインキINK−1中のそれらの溶解度に関して試験した。簡単にするために、組成が表1に示されているINK−1には着色剤を加えなかった。
【0149】
【表1】

【0150】
表2のエラストマーの溶解度は、UV−硬化可能インキ−ジェットインキINK−1中で全インキ重量を基準として16重量%の量のエラストマーの添加により試験された。
【0151】
【表2】

【0152】
表2から、エラストマーのいずれも放射線硬化可能組成物中に直接可溶性でないことは明らかである。
【0153】
従って、
・適当な有機溶媒を選択し、
・エラストマーを選択された溶媒の中に溶解させ、
・エラストマー溶液をUV−硬化可能インキ−ジェットインキINK−1と混合し、
・溶媒を回転蒸発器を用いて60℃において蒸発させる
段階を含んでなる、エラストマーをUV−硬化可能インキ−ジェットインキINK−1の中に導入するための間接的方法が試みられた。
【0154】
硬化可能な噴射可能液体を間接的方法で16重量%のエラストマーを含有するような表
3のエラストマー溶液を使用して製造した。
【0155】
【表3】

【0156】
表3から、挙げられたエラストマーを用いて安定な硬化可能な噴射可能液体を製造可能でないことは明らかである。他の実験は、硬化可能な噴射可能液体の単量体組成における変化も安定な硬化可能な噴射可能液体を生じなかったことを示した。表3のエラストマーを含有する硬化可能な噴射可能液体の粘度も噴射可能性に関してははるかに高すぎた。例えば、16重量%のカリフレックス(R)TR226を含有する硬化可能な噴射可能液体は60℃において100mPa.sを越える粘度を有していたが、エラストマーを含有しないINK−1は60℃において10mPa.sの粘度を有していた。
【0157】
エラストマーを含有する硬化可能な噴射可能液体の印刷性質は、これらの流体をバスフからの予め硬化されそして処理されたFAH−114版の上に300μmの厚さでコーティングすることにより、試験された。表4に従う組成を有するコーティングされた試料COAT−1〜COAT−5をD−バルブを装備したフュージョン・UV・システムズ・リミテッド(FUSION UV SYSTEMS Ltd.)からのモデルDRSE−120コンベアの中で5回にわたり20m/分で硬化させた。次に像形成されそして処理されたフレキソグラフィー印刷版を模するために0.2〜0.7mmの種々のレリーフ深さを有する機械的に彫られた溝を適用した。
【0158】
【表4】

【0159】
得られたフレキソグラフィー印刷版を2種の市販のフレキソグラフィー印刷版であるバスフのFAH114(REF−1)およびデュポンのシレル(R)PLS−67(REF
−2)とアライド・ギア・アンド・マシン・カンパニー(ALLIED GEAR AND MACHINE Co.)からのラベル印刷機アライド300シリーズ上で比較した。このフレキソ印刷機のアニロックス・ローラーはウルトラセル(Ultracell)レーザー彫刻ローラー(220 l/cm−3.95 ml/m)であった。40m/分の印刷速度で使用された印刷インキはアクゾ−ノベル(AKZO−NOBEL)から入手可能なヒドロケット(Hydrokett)2000シアンであった。印刷用に使用された2種の基質はAR・コンバート(AR CONVERT)から入手可能な120g/mのキャストコート紙であるSPX80/GLAR63P10および90g/mの未コーティング上質紙であった。
【0160】
【表5】

【0161】
表5から、市販の版であるREF−1およびREF−2と比べてDmaxが低すぎ且つモットル度が高すぎるために試料COAT−1〜COAT−5が不適切な印刷インキのレイダウン(laydown)を示したことは明らかである。曲げ試験から、試料COAT−1〜COAT−5の柔軟性および屈曲性が不満足であったことが明らかになった。可塑剤の導入は印刷結果を改良しなかった。硬化可能な噴射可能液体であるCOAT−1〜COAT−5が一官能性単量体を含有しなかったことは当然自明である。
実施例2
この実施例は、一官能性単量体、多官能性単量体および/またはオリゴマー並びに光−開始剤を含有する噴射可能液体を用いて高品質のフレキソグラフィー印刷版を製造するための噴射可能液体中での可塑剤の必要性を説明する。
硬化可能な噴射可能液体
クリスタル(Crystal)UFEインキはサン・ケミカルズ(SUN CHEMICALS)によると増加した融通性を有するUV硬化可能インキとして記載されている。欧州特許第1428666A号明細書(アグファ)では、フレキソグラフィー印刷版を製造するためにUV硬化可能黒色インキであるクリスタルUFE(R)7577が使用された。この実施例では、表6に従う比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−1およびCOMP−2を製造するために同様なシアンインキであるクリスタルUFE(R)5562が使用された。比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−3および本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−1も表6に従い製造された。
【0162】
【表6】

【0163】
フレキソグラフィー版の製造
比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−1〜COMP−3および本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−1をルミロルX43PETフィルム上にバー・コーターおよび30μmワイヤード・バーを用いてコーティングした。各々のコーティングされた層を、試料をUVランプ下でコンベアベルト上で20m/分の速度で移送するフュージョンVSP/1600灯(D−バルブ)を装備したフュージョンDRSE−120Dコンベアを用いて硬化させた。この工程は、硬化した層を400μmの厚さで有する印刷版が得られるまで、繰り返された。コーティングされた試料を破断点伸び、貯蔵弾性率および体積収縮率に関して評価した。
【0164】
曲げ試験のために、比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−1〜COMP−3および本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−1を、完全に硬化されそして標準処理されたデュポンのシレル(R)PLS印刷版上に290μmの厚さでコーティングしそして硬化した。
【0165】
結果は表7に示される。
【0166】
【表7】

【0167】
表7は、本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−1だけが低い体積収縮率および高い屈曲性を有するフレキソグラフィー印刷版を製造することを示している。
実施例3
この実施例は、フレキソグラフィー印刷版の性質に対する硬化可能な噴射可能液体中で使用される光−開始剤の影響を説明する。
硬化可能な噴射可能液体
表8に示されている組成を有する本発明に従う3種の硬化可能な噴射可能液体を製造した。
【0168】
【表8】

【0169】
フレキソグラフィー版の製造
本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−2〜INV−4をアグファPET上に250μmの厚さでコーティングしそしてコーティングされた試料をD−バルブを装備したフュージョン・UV・システムズ・リミテッドからのモデルDRSE−120コンベアの中で5回にわたり20m/分で硬化させた。コーティングされた試料を破断点伸び、貯蔵弾性率および曲げに関して評価し、そしてデュポンからの硬化されそして処理されたシレル(R)HIQフレキソグラフィー印刷版と比較した。結果は表9に示される。
【0170】
【表9】

【0171】
表9から、硬化可能な噴射可能液体を硬化させるために選択された光−開始剤が、選択された単量体およびオリゴマーに関する場合と同様に、破断点伸びおよび貯蔵弾性率に明らかに影響することは明らかである。
実施例4
この実施例は体積収縮率に対する硬化可能な噴射可能液体中で使用される可塑剤の量の影響を説明する。
硬化可能な噴射可能液体
比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−4およびCOMP−5並びに本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−5およびINV−6を表10に従い製造した。
【0172】
【表10】

【0173】
フレキソグラフィー版の製造
比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−4およびCOMP−5並びに本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−5およびINV−6をルミロルX43PETフィルム上にバー・コーターおよび30μmワイヤード・バーを用いてコーティングした。各々のコーティングされた層を、試料をUVランプ下でコンベアベルト上で20m/分の速度で移送するフュージョンVSP/1600灯(D−バルブ)を装備したフュージョンDRSE−120Dコンベアを用いて硬化させた。この工程は、硬化した層を400μmの厚さで有する印刷版が得られるまで、繰り返された。コーティングされた試料を体積収縮率に関して評価した。
【0174】
【表11】

【0175】
表11は、可塑剤の量を増加させることにより体積収縮率を減じうることを示している。本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−5およびINV−6は低い体積収縮率および高い屈曲性を有するフレキソグラフィー印刷版を製造する。
実施例5
この実施例は、硬化可能な噴射可能液体中における少なくとも1個の酸基を有する放射線硬化可能化合物の利点を説明する。
【0176】
本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−8〜INV−11は表12に従い製造され、そして酸官能性単量体としてエベクリル(R)168および/またはエベクリル(R)770を含む。本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−7は表12に従い製造され、そして酸官能性単量体を含まない。比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−6は酸官能性単量体を含むが、硬化可能な噴射可能液体の合計重量を基準として少なくとも5重量%の多官能性単量体またはオリゴマーを含有しない。
【0177】
【表12】

【0178】
この実施例は、可塑剤および光−開始剤を含有する硬化可能な噴射可能液体を用いて高品質のフレキソグラフィー印刷版を製造するための少なくとも1種の一官能性単量体および少なくとも1種の多官能性単量体またはオリゴマーの混合物の必要性も説明する。
【0179】
本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−7〜INV−11および比較用の硬化可能な噴射可能液体であるCOMP−6の印刷性質を、これらの流体を予め硬化されそして処理されたデュポンのシレル(R)HIQ版上に290μmの厚さでコーティングすることにより、試験した。表13に従うコーティングされた試料をD−バルブを装備したフュージョン・UV・システムズ・リミテッドからのモデルDRSE−120コンベアの中で5回にわたり20m/分で硬化させた。次に像形成されそして処理されたフレキソグラフィー印刷版を模するために0.2〜0.6mmの種々のレリーフ深さを有する機械的に彫られた溝を適用した。
【0180】
得られたフレキソグラフィー印刷版をアライド・ギア・アンド・マシン・カンパニーからのラベル印刷機アライド300シリーズ上でデュポンのシレル(R)HIQ版と比較した。このフレキソ印刷機のアニロックス・ローラーはウルトラセルレーザー彫刻ローラー(220 l/cm−3.95 ml/m)であった。40m/分の印刷速度で使用された印刷インキはロイヤル・ダッチ・プリンティング・インキ・ファクトリーズ・ヴァン・サン(ROYAL DUTCH PRINTING INK FACTORIES VAN SON)から入手可能なアクア・ベース・プラス・ET・ブルー(Aqua Base Plus ET Blue)ET−51405であった。この水をベースとした印刷インキを用いて印刷するために使用された基質は、ラフラタック・ユーロップ(RAFLATAC EUROP)からの多色印刷および高光沢仕上げの高品質ラベル用の機械外でコーティングされた光沢性アート紙であるラフラグロス(Raflagloss)であった。
【0181】
【表13】

【0182】
表13から、酸官能性単量体を含有する本発明の噴射可能液体であるINV−8〜INV−11を使用することにより得られたフレキソグラフィー印刷版が、従来のフレキソグラフィー印刷版であるデュポンのシレル(R)HIQおよび酸官能性単量体を含有しなかった本発明の硬化可能な噴射可能液体であるINV−7と比べて、より高いDmaxおよびより低いモットルを有する像を製造したことは明らかである。
【0183】
単量体、オリゴマー、光−開始剤および可塑剤のタイプおよび濃度を調節することによりフレキソグラフィー印刷マスターの種々の性質を所望する水準に変えうることは上記の実施例から当然自明である。
【0184】
本発明の好ましい態様を詳細に記載してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱しない多数の改変を行いうることは当業者にここで明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)インキ−受容体表面を準備し、
(b)硬化可能な噴射可能流体を該インキ−受容体表面上に噴射する
段階を含んでなるフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法であって、該硬化可能な噴射可能流体が少なくとも1種の光−開始剤、少なくとも1種の一官能性単量体、硬化後に少なくとも5%の破断点伸び、30Hzにおける200mPaより小さい貯蔵弾性率E’および10%より小さい体積収縮率を有する層を実現しうる硬化可能な噴射可能液体の合計重量を両者とも基準として少なくとも5重量%の多官能性単量体またはオリゴマーおよび少なくとも5重量%の可塑剤を含んでなることを特徴とする方法。
【請求項2】
該一官能性単量体がアクリレート単量体である、請求項1に記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項3】
該一官能性単量体が100s−1の剪断速度および15〜70℃の間の温度における30mPa.sより小さい粘度を有する、請求項1または2に記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項4】
該多官能性単量体が多官能性アクリレート単量体またはオリゴマーである、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項5】
該可塑剤がフタル酸ベンジルである、請求項1〜4のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項6】
該多官能性単量体またはオリゴマーが100s−1の剪断速度および15〜70℃の間の温度における50mPa.sより小さい粘度を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項7】
該インキ−受容体表面の支持体がスリーブである、請求項1〜6のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項8】
該インキ−受容体表面が弾性フロアの表面である、請求項1〜7のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項9】
該フレキソグラフィー印刷マスターが弾性フロアを含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項10】
該弾性フロアが支持体上に噴射される、請求項9に記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項11】
該弾性フロアが光重合可能層が予め設けられた支持体である、請求項9に記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。
【請求項12】
該弾性フロアがゴムを含んでなる、請求項9に記載のフレキソグラフィー印刷マスターの製造方法。

【公開番号】特開2006−82550(P2006−82550A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261070(P2005−261070)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】