説明

フレグランス用下地

【課題】香料とエタノールを主成分とする通常のフレグランスを使用し、嗜好性の高いライトな香りの持続性を高めること。
【解決手段】タルクを高含有し、香りの持続性を高めることを特徴とするフレグランス用下地。フレグランス用下地とは、通常のフレグランスを塗布・噴霧する前に、その部位に塗布して使用するものである。タルクの好ましい配合量は60重量%以上であり、さらに好ましくは肌への付着性を高めるために金属石鹸、ペースト状油剤、液状油剤のうち1種もしくは2種以上配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香水、オーデトワレ、オーデコロンなど、不特定なフレグランスの香りを持続させるという快適な使用性を提供するフレグランス用下地である。
【背景技術】
【0002】
香りを付与することを目的とした香水、オーデトワレ、オーデコロン等のフレグランスは、通常は香料とエタノールを主成分とする。
【0003】
それらに配合される香料成分の中には、短時間で揮散してしまうものがある。特にフレッシュ感、清涼感、みずみずしさをもつシトラスノート、グリーンノート、フルーティーノートなど嗜好性の高いライトな香りは持続性が期待できない。
【0004】
それらを解決するために、香水コロン組成物中にあらかじめ香料を高度分岐環状デキストリンに含浸したさせたものを配合する技術(特許文献1参照)や酸化珪素を主成分としたメソポーラス粉体に予め香料を保持させ、それを化粧料に配合する技術(特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−238376
【特許文献2】特開平11−106324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの技術を応用した製品で上市されているものは、通常のフレグランスと比べ非常に少なく、消費者の香りに関する嗜好性による商品の選択性が低い。
【発明の効果】
【0007】
本発明者はこのような事情を鑑み、消費者にとって香りの選択性が高い、通常のフレグランスを使用し、嗜好性の高いライトな香りの持続性を高めることを目的としたフレグランス用下地を発明した。
【0008】
フレグランス用下地とは、香料とエタノールを主成分とした通常の香水、オーデトワレ、オーデコロン等のフレグランスを塗布もしくはアトマイザーを用いて噴霧する前に、その塗布・噴霧部位に塗布して使用するものであり、本発明者が、一般消費者が購入できる市場にて販売されているものを見つけだすことはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タルクを高含有し、ライトな香りの持続性を高めることを特徴とするフレグランス用下地である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本フレグランス用下地を構成するタルクとしては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。その効果を損なわない範囲で必要に応じて他の成分、例えば肌への付着性向上のため、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、ワセリン、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシルなどの油剤を適宜1種もしくは2種以上組み合わせて配合することができる。
【0011】
また、その形態はルースタイプの粉末状でも良いし、またバインダー等と混合してプレス状としてもよい、さらには練り状にしても構わない。バインダーとして上記のような油剤を適宜1種もしくは2種以上組み合わせて配合することができる。
【0012】
上記の成分のほかに、通常化粧料に用いられる成分として例えば、他の粉体、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線防止剤、色材、美容剤などを配合することができる。
【0013】
<実験>
下記の表1にあげる粉体に関して、表2に示す清涼感、みずみずしさをもつライトな香りに寄与する香料成分の持続性に関して下記のように評価した。
【0014】
【表1】

【0015】
ろ紙(東洋濾紙株式会社 定性濾紙No.1)上に、10cm×10cmの正方形を描き、その正方形内に表1にあげた粉体を各100mg量りとり、均一に塗布する。粉体塗布部に表2に示す香料成分を、1重量%エタノール溶液にしたものを定量アトマイザーを用いて噴霧(1噴霧当たり25mg)し、一定時間後、ろ紙より10cm離れた距離における香りに関して、専門パネル5名により評価した。
【0016】
【表2】

【0017】
<評価>
噴霧した香料成分の香りを
評価点 3:強く感じる
2:明らかに感じる
1:かすかに感じる
0:感じない
とし、専門パネル5名の平均値を評価値とした。
【0018】
<評価>
ブランク(ろ紙になにも塗布しないで、香料成分1重量%エタノール溶液を噴霧したもの)試験の香り消失時(評価値0:全員が香りを感じない)の評価値により、以下のように評価した。
◎:2.0以上
○:1.5以上、2.0未満
△:1.0以上、1.5未満
×:1.0未満
【0019】
リモネンに関する持続性の評価
【表3】

【0020】
α−ピネンに関する持続性の評価
【表4】

【0021】
cis−3−ヘキセノールに関する持続性の評価
【表5】

【0022】
1,8−シネオールに関する持続性の評価
【表6】

【0023】
カプロン酸エチルに関する持続性の評価
【表7】

【0024】
酢酸ベンジルに関する持続性の評価
【表8】

【0025】
アセト酢酸エチルに関する持続性の評価
【表9】

【0026】
表3〜表9の結果より明らかなように、本発明に関わるタルクは清涼感、みずみずしさをもつライトな香りに寄与する香料成分の香りの持続性を高めた。
【0027】
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0028】
表10に実施例1〜5及び比較例1〜3を示す。実施例1〜5及び比較例1〜3に関して、先述と同様の評価法を用いて評価した結果を表11に示す。表10中の数値は重量%である。
【表10】

【0029】
【表11】

【0030】
さらに実施例6、7を示す
【0031】
<実施例6>
フレグランス用下地(ルーセントタイプ)
成分 処方量(重量%)
(1)タルク 90
(2)マイカ 7
(3)ステアリン酸マグネシウム 3
合計 100
製法:成分(1)〜(3)をブレンダーにて混合し、これを粉砕機で粉砕後ふるいを通した。
【0032】
<実施例7>
フレグランス用下地(プレストタイプ)
成分 処方量(重量%)
(1)タルク 70
(2)マイカ 10
(3)カオリン 7
(4)ステアリン酸亜鉛 6
(5)スクワラン 5
(6)トリイソオクタン酸イソトリデシル 2
合計 100
製法:成分(1)〜(4)をブレンダーにて混合した後、成分(5)と(6)とを加え、さらに混合する。これを粉砕機で粉砕後ふるいを通し、中皿に圧縮成型した。
【0033】
実施例6、7のフレグランス下地を、片腕の内腕部に塗布し、そこに市販のフレグランス(シトラスノートのコロン)を噴霧(約100mg)した。さらにもう片方の内腕部にも同じフレグランスを噴霧し、1時間後香りの評価をしたところ、フレグランス下地を無塗布の内腕部の香りは消失している、一方、フレグランス下地を塗布した内腕部は香りが持続しているという良好な結果を得られた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
消費者が幅広い香調から選んだ、市販されている通常のフレグランスの、香りの持続性を高めることができるフレグランス用下地を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タルクを含有することを特徴とするフレグランス用下地。
【請求項2】
タルクの含有量が60重量%以上である請求項1に記載のフレグランス用下地。
【請求項3】
金属石鹸を含有する請求項1または請求項2に記載のフレグランス用下地。
【請求項4】
油剤のうち1種もしくは2種以上を含有する請求項1または請求項2に記載のフレグランス用下地。
【請求項5】
金属石鹸、油剤のうち1種もしくは2種以上を含有する請求項1または請求項2に記載のフレグランス用下地。

【公開番号】特開2011−195454(P2011−195454A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60281(P2010−60281)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】