説明

フレネルレンズシートの製造方法

【課題】複数のフレネルレンズ成形中間型を容易に精度よく位置合わせして配置することができ、かつ作業時間の短縮化も図ることができるようにしたフレネルレンズシートの製造方法を提供する。
【解決手段】フレネルレンズ成形中間型3のいずれか一方の面に位置合わせるためのマークA(第1の目印)を設けると共に、予め設定された各フレネルレンズ成形中間型3の配置位置に対応して位置合わせるためのマークB(第2の目印)が複数設けられた位置合わせ用基板4を用意し、凹凸パターン面が位置合わせ用基板4側に位置するようにしてフレネルレンズ成形中間型3を位置合わせ用基板4上に載置して、マークAとマークBの位置を合わせるように位置調整することで、複数のフレネルレンズ成形中間型3を位置合わせ用基板4上に順次配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形により作製されるフレネルレンズシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの利用が注目されており、そのひとつに太陽光を利用する太陽電池による発電がある。太陽電池による発電では、太陽電池の発電量を増加させるため、同一平面上に複数配置された太陽電池の前方側に、太陽光を各太陽電池に集光させるためのフレネルレンズを多数配設した集光式太陽電池装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記多数のフレネルレンズは一体的に連結されて成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−26800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の集光式太陽電池装置のように、複数配置された太陽電池の前方側に太陽光を各太陽電池に集光させるための一体成形された多数のフレネルレンズ(以下、「フレネルレンズシート」という)が配設された構成では、発電効率を高めるために、各太陽電池の位置に対応して各フレネルレンズを正確に配置する必要がある。
【0005】
しかしながら、フレネルレンズシートを製造する際において、フレネルレンズシートを作製するための多数のフレネルレンズ成形中間型を予め設定された位置に正確に配置しないと、作製されたフレネルレンズシートの各フレネルレンズに対向して配置される各太陽電池に対する集光位置がずれてしまう。このため、フレネルレンズシートを製造する際において、複数のフレネルレンズ成形中間型を容易に精度よく位置合わせして配置することができ、かつ作業時間の短縮化も図れるようにすることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、複数のフレネルレンズ成形中間型を容易に精度よく位置合わせして配置することができ、かつ作業時間の短縮化も図ることができるようにしたフレネルレンズシートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、集光機能を有するフレネルレンズに対応した逆形状の凹凸パターン面が形成された第1の成形型を用い、前記凹凸パターン面を転写成形することにより樹脂製の略透明なフレネルレンズ成形中間型を作製する第1工程と、前記第1の工程で作製された前記フレネルレンズ成形中間型を、縦方向又は横方向の少なくとも一方向に同一平面上に複数並べるように配置してフレネルレンズシート成形中間型を作製する第2工程と、を少なくとも含むフレネルレンズシートの製造方法であって、前記第2工程で前記フレネルレンズ成形中間型を複数並べるように配置してフレネルレンズシート成形中間型を作製する際において、前記フレネルレンズ成形中間型の前面又は背面に位置合わせ用の第1の目印を設けると共に、予め設定された前記各フレネルレンズ成形中間型の配置位置に対応して位置合わせ用の第2の目印が複数設けられた位置合わせ用基板を用意し、前記凹凸パターン面が前記位置合わせ用基板側に位置するようにして前記フレネルレンズ成形中間型を前記位置合わせ用基板上に載置して、前記第1の目印と前記第2の目印の位置を合わせるようにして前記フレネルレンズ成形中間型を前記位置合わせ用基板上に順次配置することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記第1の目印と前記第2の目印は同じ形状であり、前記第1、第2の目印は、配置される前記フレネルレンズ成形中間型の回転ずれも併せて調整可能な形状に形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記第1の目印の大きさは、前記フレネルレンズ成形中間型の前記凹凸パターン面の有効面積に対して1×10−10以上1×10−1以下であることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記位置合わせ用基板の線膨張係数は1×10−6以上20×10−6以下であることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記位置合わせ用基板上に位置合わせされて複数配置された前記フレネルレンズ成形中間型の前記位置合わせ用基板と反対側の面を、第1の接着剤を介して中間型保持板に固定し、更に、隣接する前記フレネルレンズ成形中間型間に隙間がある場合には第2の接着剤で埋めることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記第1の接着剤の硬化収縮率は10%以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記第2の接着剤の粘度は10P・s以下であることを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載のフレネルレンズシートの製造方法は、前記第2の工程で作製された前記フレネルレンズシート成形中間型を転写複製することによりフレネルレンズシート成形型を形成した後に、該フレネルレンズシート成形型を転写成形することにより樹脂製の略透明な複数のフレネルレンズが一体的に形成されたフレネルレンズシートを作製することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るフレネルレンズシートの製造方法によれば、位置合わせ用基板上にフレネルレンズ成形中間型を載置して、フレネルレンズ成形中間型に設けた第1の目印と位置合わせ用基板に設けた第2の目印の位置を合わせるように位置調整することにより、複数のフレネルレンズ成形中間型を容易に精度よく位置合わせして配置することができ、かつ作業時間の短縮化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る製造方法により作製されたフレネルレンズシートを示す平面図。
【図2】(a)は、フレネルレンズ成形中間型を示す平面図、(b)は、位置合わせ用のマークを中心位置に設けたフレネルレンズ成形中間型を示す平面図。
【図3】フレネルレンズ成形中間型に設けたマークと位置合わせ用基板に設けたマークの位置を合わせている状態を示す図。
【図4】フレネルレンズ成形中間型と位置合わせ用基板に設けるマークの他の形状を示した図。
【図5】(a)は、位置合わせして複数配置したフレネルレンズ成形中間型が接着剤を介して中間型保持板に固定された状態を示す図、(b)は、作製されたフレネルレンズシート成形中間型を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0018】
集光式太陽電池装置には、平面状に複数配置された太陽電池に対して効率よく太陽光を集光させるために、例えば、図1に示すようなフレネルレンズシート1が各太陽電池10の前方側に配置されている。このフレネルレンズシート1は、集光用の複数の正方形状に形成されたフレネルレンズ2が同一平面上に一体的に連結されている。なお、図1に示したフレネルレンズシート1では、背面側に配置された各太陽電池10の位置に対応して縦方向に2つ、横方向に4つの各フレネルレンズ2がそれぞれ一体的に連結された構成であるが、配置される太陽電池10の数に対応して連結される。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係るフレネルレンズシートの製造方法について説明する。
【0020】
この製造方法では、最初に同心円状に形成された鋸刃状の凹凸面を有するフレネルレンズ2(図1参照)の金型となる金属成形型(不図示)を作製する。この金属成形型は、例えば、旋盤によって金属板を所定ピッチの同心円状の凹凸面を有するように切削することで得ることができる。なお、前記金属成形型は、切削の容易さや耐久性などから金属製(金属板)が好ましく用いられる。
【0021】
そして、この金属成形型を用いて、例えば、略透明な樹脂製基板に対してプレス成形することで、図2(a)に示すような樹脂製のフレネルレンズ成形中間型3が作製される。なお、作製されたフレネルレンズ成形中間型3の外側面をカットして、所定サイズの多角形(例えば、正方形)に形成する。そして、図2(b)に示すように、フレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面(フレネルレンズ転写面)側の中心位置に、目印となるマーク(図では、十字状のマーク)Aを設ける。同様にして、マークAを中心位置に設けたフレネルレンズ成形中間型3を複数作製する。
【0022】
そして、図3に示すように、表面上の複数の所定位置に目印となるマーク(図では、十字状のマーク)Bを設けた位置合わせ用基板4を用意する。各マークBの位置は、複数連結して配置されるフレネルレンズ成形中間型3の配置位置(マークAの位置)に対応している。そして、位置合わせ用基板4上に、前記マークBの位置にフレネルレンズ成形中間型3のマークAを合わせるようにして、複数のフレネルレンズ成形中間型3を同一平面上に順次配置する。なお、図3では、最初に位置合わせ配置する1枚目のフレネルレンズ成形中間型3のみを示しているが、このフレネルレンズ成形中間型3の位置合わせ後に、同様してフレネルレンズ成形中間型3を位置合わせ用基板4上のマークBの位置に合わせて順次配置する。
【0023】
図3では、位置合わせ用基板4上の各マークBの位置に対応して、フレネルレンズ成形中間型3が縦3列、横4列に位置合わせして配置される。前記マークAとマークBの位置合わせ作業において、作業者Cが上方からルーペ等の補助具(不図示)を用いて拡大して合致位置を正確に把握することで、複数のフレネルレンズ成形中間型3を所定位置に正確に配置することができる。
【0024】
なお、図3では、位置合わせ用基板4とフレネルレンズ成形中間型3との間に隙間があるが、実際は位置合わせ用基板4の表面にフレネルレンズ成形中間型3が載置される。
【0025】
図3に示した位置合わせ用基板4の表面に設けた各マークBの位置は、フレネルレンズシート1(図1参照)を構成する平面状に複数連結される各フレネルレンズ2の中心位置(即ち、集光式太陽電池装置に配置される各太陽電池10の中心位置)に対応している。また、この位置合わせ用基板4は、線膨張係数が1×10−6以上20×10−6以下のものを用いている。また、この位置合わせ用基板4の大きさは、作製されるフレネルレンズシート1(図1参照)と略同じ大きさに設定されている。
【0026】
フレネルレンズ成形中間型3の中心位置に設けたマークAは、本来フレネルレンズ2の光学性能に寄与しないものである。従って、マークAの大きさは光学性能の低下防止の観点からできる限り小さくすることが望ましい。マークAの好ましい大きさは、必要なフレネルレンズ有効面積に対して、1×10−10以上1×10−1以下であり、より好ましくは、1×10−7以上1×10−3以下である。
【0027】
前記マークAは、少なくともフレネルレンズ成形中間型3の中心若しくは中心近傍に一つ以上設けることが必要である。マークAがレンズ中心(若しくは中心近傍)にあると、フレネルレンズ成形中間型3の中心位置が容易に分かるため、位置合わせに最も重要な隣接する各フレネルレンズ成形中間型3間の中心間距離を容易に決めることができる。
【0028】
更に、フレネルレンズ成形中間型3の形状が真円以外の形状(例えば、図2に示した正方形を含む多角形や楕円など)の場合、配置するときの回転ずれ調整用マークを1つ以上設けることが好ましい。なお、本実施形態では、フレネルレンズ成形中間型3の中心位置に設けたマークAは十字状になっているので、位置決めマークとともに回転ずれ調整用マークとしての機能を有している。位置決めマークと回転ずれ調整用マークの両方の機能を有するマークAとしては、例えば、図4(a),(b),(c),(d),(e)に示したような形状のマークがある。
【0029】
なお、フレネルレンズ成形中間型3の中心から遠く離れた位置にこのマークAを形成した場合には、温度、湿度環境によってフレネルレンズ成形中間型3に膨張や収縮が生じて、マークAの位置がずれてしまい、フレネルレンズ成形中間型3を所定の配置位置に正確に位置合わせすることが困難になる場合がある。このため、このマークAは、フレネルレンズ成形中間型3の中心にできるだけ近いことが好ましい。例えば、マークAの位置は、フレネルレンズ成形中間型3の中心から5mm以内が好ましく、更に1mm以内がより好ましい。
【0030】
また、マークAを設ける面は、上記の場合ではフレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面(フレネルレンズ転写面)側に設けているが、上記のようにフレネルレンズ成形中間型3が透明な場合は、前記凹凸転写面側と反対側の面でもよい。しかしながら、フレネルレンズ成形中間型3の厚みが大きい場合は視差によるずれが生じ易いので、マークAはフレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面(フレネルレンズ転写面)側に設けることが好ましい。
【0031】
そして、複数のフレネルレンズ成形中間型3を位置合わせ用基板4上に位置合わせして同一平面上に配置する作業が終了すると、図5(a)に示すように、各フレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面側(マークAを設けている側)と反対側の面(位置合わせ用基板4と反対側の面)と中間型保持板5との間に接着剤(例えば、紫外線硬化性の接着剤)6を充填して、接着剤6の硬化により各フレネルレンズ成形中間型3を位置合わせした状態で中間型保持板5に固定する。
【0032】
接着された各フレネルレンズ成形中間型3と中間型保持板5間が接着剤6の硬化収縮により変化することを防止するため、接着剤6の硬化収縮率が10%以下であることが必要であり、特に、接着剤6の硬化収縮率が1%以下であることが好ましく、更に0.7%以下であることがより好ましい。
【0033】
接着剤6で各フレネルレンズ成形中間型3を中間型保持板5に固定するときの環境は、前記フレネルレンズ成形中間型3の保管環境と同様にすることが好ましく、例えば、フレネルレンズ成形中間型3の保管環境に対して温度は±5℃以下、湿度は±30%以下が好ましく、更に、この保管環境に対して温度は±2℃以下、湿度は±10%以下がより好ましい。その後、図5(b)に示すように、位置合わせ用基板4を取り外す。
【0034】
なお、図5(a)では、各フレネルレンズ成形中間型3のマークAと位置合わせ用基板4のマークBが厚みを有するようにして両者のマーク位置を示しているが、実際は両方のマークA、Bとも殆ど厚みなく形成されている。
【0035】
また、配置された各フレネルレンズ成形中間型3を接着剤6を介して中間型保持板5に固定するときに、隣接する各フレネルレンズ成形中間型3間に隙間があると、作製されたフレネルレンズシートの集光効率にロスが生じため、この隙間を狭くする必要がある。しかしながら、この隙間が狭過ぎると、温度、湿度環境によってフレネルレンズ成形中間型3に膨張や収縮が生じたときに、フレネルレンズ成形中間型3の中心位置の調整が困難になる虞がある。そこで、隣接する各フレネルレンズ成形中間型3間の隙間を1mm以下にするのが好ましく、更に、この隙間を0.1〜0.5mmすることがより好ましい。
【0036】
このため、図5(b)に示すように、隣接する各フレネルレンズ成形中間型3間の隙間に接着剤7を充填する。なお、接着剤7の硬化前の粘度は、隣接する各フレネルレンズ成形中間型3間の隙間を埋めるためできるだけ低いことが必要である。このため、接着剤7の硬化前の粘度は10P・s以下であることが必要であり、特に接着剤7の硬化前の粘度は5P・s以下が好ましく、更に、3P・s以下がより好ましい。
【0037】
上記した接着工程によって、複数のフレネルレンズ成形中間型3が接着剤6、7により一体的に連結固定された状態のフレネルレンズシート成形中間型8が作製される。
【0038】
そして、このフレネルレンズシート成形中間型8の各フレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面(フレネルレンズ転写面)表面に、電鋳処理及びこの電鋳処理された面側に金属基板(不図示)を貼り合せた後に、フレネルレンズシート成形中間型8から前記金属基板を離型することで、金属製のフレネルレンズシート成形型(不図示)が作製される。
【0039】
そして、このフレネルレンズシート成形型(不図示)を金型として、周知の射出成形によって樹脂製のフレネルレンズシート1(図1参照)を作製する。
【0040】
なお、中間型保持板5を透明部材で形成した場合には、図5(b)に示したフレネルレンズシート成形中間型8を、図1に示したフレネルレンズシート1としてその状態で用いることができる。
【0041】
このように、本発明の実施形態に係るフレネルレンズシートの製造方法では、フレネルレンズ成形中間型3を複数並べるように配置してフレネルレンズシート成形中間型8を作製する際において、位置合わせ用基板4上に設けたマークBの位置にフレネルレンズ成形中間型3の中心に設けたマークAを合わせるように位置調整することにより、複数のフレネルレンズ成形中間型3を容易に精度よく位置合わせして配置することができ、かつ作業時間の短縮化も図ることができる。
【0042】
更に、複数のフレネルレンズ成形中間型3を精度よく位置合わせして良好なフレネルレンズシート成形中間型8を製作することができるので、このフレネルレンズシート成形中間型8から精度の高いフレネルレンズシート成形型(不図示)を作製して、精度の高いフレネルレンズシート1を作製することができる。これにより、作製されたフレネルレンズシート1の各フレネルレンズ2(図1参照)を集光式太陽電池装置の各太陽電池の前方側に正確に配置することが可能となり、効率よく太陽光を各太陽電池に集光させることができる。
【実施例】
【0043】
以下、上記した本発明の実施形態に係るフレネルレンズシートの製造方法の詳細について説明する。
【0044】
〈フレネルレンズ金型の作製〉
ダイヤモンド切削バイトを用いて黄銅製基板表面に同心円状に形成された所定ピッチの鋸刃状の凹凸面(フレネルレンズ面)を彫刻して、フレネルレンズ2(図1参照)の金型となる金属成形型(不図示)を作製し、この金属成形型の中心に、位置合わせ用の太さ0.1mm、線の長さ20mmの十字マークを彫刻した。
【0045】
〈フレネルレンズ成形中間型の作製〉
前記金属成形型(不図示)を使用して、PMMA樹脂製基板を用いてプレス成形法によりPMMA樹脂製フレネルレンズ成形中間型を作製した。そして、プレス成形後、前記PMMAフレネルレンズ成形中間型を、一辺224.75mmの正方形サイズにカットした。こうして、中心に太さ0.1mm、長さ20mmの十字マーク(図2(b)に示したマークA)を設けたフレネルレンズ成形中間型3を作製した。
【0046】
〈位置合わせ用基板の作製〉
SUS303基板(線膨張係数:18.7×10−6)上に、前記同様の位置合わせ用の十字マーク(図3に示したマークB)を225mmの間隔で機械切削にて罫書きし、位置合わせ用基板4を作製した。
【0047】
〈フレネルレンズシート成形中間型の作製〉
位置合わせ用基板4上に前記フレネルレンズ成形中間型3を載置し、それぞれのマークを目視しながら位置合わせを行うことで、フレネルレンズ成形中間型3を縦3列、横4列に配置し、その後接着剤6を介してアクリル板の中間型保持板5に固定する。その後、位置合わせ用基板4を取り外して、各フレネルレンズ成形中間型の隙間に光硬化性の接着剤7を充填して紫外線にて硬化し、フレネルレンズ成形中間型3が縦3列、横4列に連結固定された構成のフレネルレンズシート成形中間型8を作製した。
【0048】
〈フレネルレンズシート成形型の作製〉
前記フレネルレンズシート成形中間型8の各フレネルレンズ成形中間型3の凹凸転写面(フレネルレンズ転写面)表面に、電鋳処理及びこの電鋳処理された面側に金属基板(不図示)を貼り合せた後に、フレネルレンズシート成形中間型8から前記金属基板を離型することで、金属製のフレネルレンズシート成形型(不図示)を作製した。
【0049】
〈フレネルレンズシートの作製〉
前記フレネルレンズシート成形型(不図示)を金型として、周知の射出成形によって樹脂製のフレネルレンズシート1(図1参照)を作製した。
【0050】
上記したフレネルレンズシート成形中間型8の作製において、縦横に連結される各フレネルレンズ成形中間型3間の中心間距離が225mmに設定されている場合に、縦横に連結された各フレネルレンズ成形中間型3間の中心間距離を、225mm±50μmに抑えることができた。なお、上記した一連の作製に要した作業日数は4日であった。
【0051】
上記した実施例に対する比較例として、以下のように比較例用のフレネルレンズ成形中間型とフレネルレンズシート成形中間型を作製した。なお、他の作製工程は前記実施例と同様である。
【0052】
〈比較例のフレネルレンズ成形中間型の作製〉
この比較例では、位置合わせ用の前記十字マークを彫刻していない金属成形型(不図示)を使用して、PMMA樹脂製基板を用いてプレス成形法によりPMMA樹脂製フレネルレンズ成形中間型を作製した。そして、プレス成形後、前記PMMAフレネルレンズ成形中間型を、一辺225mmの正方形サイズにカットして、十字マークを設けていない比較例用フレネルレンズ成形中間型を作製した。
【0053】
〈比較例のフレネルレンズシート成形中間型の作製〉
位置合わせ用マークを設けていないアルミ製下敷き上において、前記比較例用フレネルレンズ成形中間型の四隅の一角から順次突き当てる手法により、前記実施例と同様に比較例用フレネルレンズ成形中間型を縦3列、横4列に連結する作業を行い、比較例用フレネルレンズ成形中間型が縦3列、横4列に連結固定された構成の比較例用フレネルレンズシート成形中間型を作製した。
【0054】
上記した本発明の実施例では、連結された各フレネルレンズ成形中間型間の中心間距離を、225mm±50μmに抑えることができたが、この比較例では、連結された各比較例用フレネルレンズ成形中間型間の中心間距離は、225mm±300μmであった。また、上記一連の作製に要した比較例での作業日数は8日であった。
【0055】
このように、上記した実施例における方法でフレネルレンズシート成形中間型を作製することにより、上記した比較例に比べて、連結された各フレネルレンズ成形中間型間の中心間距離の精度を6倍程度向上させることができた。更に、作業日数も1/2に短縮することができた。
【符号の説明】
【0056】
1 フレネルレンズシート
2 フレネルレンズ
3 フレネルレンズ成形中間型
4 位置合わせ用基板
5 中間型保持板
6 接着剤(第1の接着剤)
7 接着剤(第2の接着剤)
8 フレネルレンズシート成形中間型
A マーク(第1の目印)
B マーク(第2の目印)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光機能を有するフレネルレンズに対応した逆形状の凹凸パターン面が形成された第1の成形型を用い、前記凹凸パターン面を転写成形することにより樹脂製の略透明なフレネルレンズ成形中間型を作製する第1工程と、前記第1の工程で作製された前記フレネルレンズ成形中間型を、縦方向又は横方向の少なくとも一方向に同一平面上に複数並べるように配置してフレネルレンズシート成形中間型を作製する第2工程と、を少なくとも含むフレネルレンズシートの製造方法であって、
前記第2工程で前記フレネルレンズ成形中間型を複数並べるように配置してフレネルレンズシート成形中間型を作製する際において、前記フレネルレンズ成形中間型の前面又は背面に位置合わせ用の第1の目印を設けると共に、予め設定された前記各フレネルレンズ成形中間型の配置位置に対応して位置合わせ用の第2の目印が複数設けられた位置合わせ用基板を用意し、
前記凹凸パターン面が前記位置合わせ用基板側に位置するようにして前記フレネルレンズ成形中間型を前記位置合わせ用基板上に載置して、前記第1の目印と前記第2の目印の位置を合わせるようにして前記フレネルレンズ成形中間型を前記位置合わせ用基板上に順次配置することを特徴とするフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項2】
前記第1の目印と前記第2の目印は同じ形状であり、前記第1、第2の目印は、配置される前記フレネルレンズ成形中間型の回転ずれも併せて調整可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項3】
前記第1の目印の大きさは、前記フレネルレンズ成形中間型の前記凹凸パターン面の有効面積に対して1×10−10以上1×10−1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項4】
前記位置合わせ用基板の線膨張係数は1×10−6以上20×10−6以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項5】
前記位置合わせ用基板上に位置合わせされて複数配置された前記フレネルレンズ成形中間型の前記位置合わせ用基板と反対側の面を、第1の接着剤を介して中間型保持板に固定し、更に、隣接する前記フレネルレンズ成形中間型間に隙間がある場合には第2の接着剤で埋めることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項6】
前記第1の接着剤の硬化収縮率は10%以下であることを特徴とする請求項5に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項7】
前記第2の接着剤の粘度は10P・s以下であることを特徴とする請求項5に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項8】
前記第2の工程で作製された前記フレネルレンズシート成形中間型を転写複製することによりフレネルレンズシート成形型を形成した後に、該フレネルレンズシート成形型を転写成形することにより樹脂製の略透明な複数のフレネルレンズが一体的に形成されたフレネルレンズシートを作製することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフレネルレンズシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58648(P2012−58648A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204111(P2010−204111)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】