説明

フレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法

【課題】オーバードライブ技術を用いると、動きの小さい動画や静止画像ではフレーム画像にのるノイズが強調されてしまう。
【解決手段】分割領域毎に現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行うフレーム画像処理装置100において、現在のフレーム画像の階調レベルを補正する補正処理部2と、現在のフレーム画像のノイズ低減を行うフィルタ処理部3と、現在のフレーム画像の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度を算出する動きベクトル算出部4と、動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度に基づき、階調レベルを補正した現在のフレーム画像、または、ノイズ低減した現在のフレーム画像のいずれかを選択する選択部5と、からなるフレーム画像処理装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム画像処理装置およびフレーム画像処理法に関し、特に、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行う装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、フレーム画像の階調変化に対する応答速度が遅いという特性を持ち、さらに詳細には、フレーム画像の白→黒または黒→白の階調変化に対する応答速度は早く、中間階調から中間階調の階調変化に対する応答速度は遅い。
【0003】
そのため、液晶パネルをそなえた表示装置において、動画像を表示する場合に、視聴者に残像感を感じさせる。
【0004】
上記残像感を軽減する技術として、オーバードライブ技術がある。オーバードライブ技術とは、フレーム画像の中間階調から中間階調の階調変化に対する応答速度を、白→黒または黒→白の階調変化に対する応答速度に近付けようとする技術である。具体的には、オーバードライブ技術は、フレーム画像の階調が上昇する場合には、液晶パネルの駆動電圧をその階調に対応する値よりも高くし、逆に、フレーム画像の階調が低下する場合には、液晶パネルの駆動電圧をその階調に対応する値よりも低くする。このオーバードライブ技術により、液晶パネルの応答特性を改善し、動画像表示における残像感を軽減することが可能となる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−189232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶パネルをそなえた表示装置において、オーバードライブ技術を用いると、動きの大きいフレーム画像では画像表示の応答速度を改善することができる一方で、画像表示の応答速度の改善があまり必要とされない動きの小さい動画や静止画ではフレーム画像にのるノイズが強調されてしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、動きの大きいフレーム画像における画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画像にのるノイズを強調せず低減することが可能なフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明のフレーム画像処理装置は、フレーム画像を複数の画素からなる領域に分割し、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、分割領域毎に現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行うフレーム画像処理装置において、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の階調レベルを補正する補正処理部と、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行うフィルタ処理部と、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度を算出する動きベクトル算出部と、前記動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度に基づき、前記分割領域毎に、前記階調レベルを補正した現在のフレーム画像、または、前記ノイズ低減した現在のフレーム画像のいずれかを選択する選択部と、からなる。
【0009】
また、本発明のフレーム画像処理方法は、フレーム画像を複数の画素からなる領域に分割し、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、分割領域毎に現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行うフレーム画像処理装置におけるフレーム画像処理方法において、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の階調レベルを補正する補正処理ステップと、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行うフィルタ処理ステップと、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度を算出する動きベクトル算出ステップと、前記動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度に基づき、前記分割領域毎に、前記階調レベルを補正した現在のフレーム画像、または、前記ノイズ低減した現在のフレーム画像のいずれかを選択する選択ステップと、からなる。
【0010】
本発明のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法によれば、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて算出した分割領域毎の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度に基づき、分割領域毎に、階調レベルを補正したフレーム画像またはノイズ低減したフレーム画像のいずれかを選択するので、動きの大きいフレーム画像におけるフレーム画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画のフレーム画像にのるノイズを強調せず軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法によれば、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて算出した分割領域毎の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度に基づき、分割領域毎に、階調レベルを補正したフレーム画像またはノイズ低減したフレーム画像のいずれかを選択するので、動きの大きいフレーム画像における画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画像にのるノイズを強調せず低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係るフレーム画像処理装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施例1に係るフレーム画像処理装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施例2に係るフレーム画像処理装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施例2に係るフレーム画像処理装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るフレーム画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
フレーム画像処理装置100は、フレームメモリ1、補正処理部2、フィルタ処理部3、動きベクトル算出部4および選択部5からなる。また、補正処理部2は、LUT(Look Up Table)21および加算器22からなる。
【0016】
フレームメモリ1は、フレーム画像を少なくとも1フレーム遅延させ、遅延させた1以上のフレーム画像を補正処理部2、フィルタ処理部3および動きベクトル算出4に出力する。
【0017】
補正処理部2は、フレーム画像を所定の画素数、例えば、16画素×16画素、16画素×32画素等、に分割した分割領域毎に、現在のフレームと、フレームメモリ1から出力された遅延されたフレーム画像との階調レベルの差分から、現在のフレーム画像の階調レベルを補正し、選択部5に出力する。
【0018】
より具体的には、補正処理部2のLUT21は、入力されるフレーム画像の階調レベルの差に応じた補正値を保持しており、分割領域毎に現在のフレーム画像の階調レベルとフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像の階調レベルの差に応じた補正値を加算器22に出力する。LUT21が保持する補正値は、現在のフレーム画像の階調レベルとフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像の階調レベルの差が大きいほど大きい絶対値を有し、現在のフレーム画像の階調レベルがフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像の階調レベルよりも高い場合には、補正値は正となり、一方、現在のフレーム画像の階調レベルがフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像の階調レベルよりも低い場合には、補正値は負となる。補正処理部2の加算器22は、現在のフレーム画像の階調レベルにLUT21から出力される分割領域毎の補正値を加算し、選択部5に出力する。
【0019】
フィルタ処理部3は、例えば、LPF(Low Pass Filter)で構成され、分割領域毎に、現在のフレーム画像とフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像とから現在のフレーム画像のノイズを低減する。
【0020】
動きベクトル算出部4は、公知の動きベクトル検出方法を用いて、例えば、ブロックマッチング処理による検出方法を用いて、分割領域毎に現在のフレーム画像の動きベクトルを算出し、選択部5に出力する。また、動きベクトル算出部4は、公知の動きベクトル信頼度算出方法を用いて、分割領域毎に算出した現在のフレーム画像の動きベクトルの信頼度を算出し、選択部5に出力する。
【0021】
動きベクトルの信頼度を算出する方法として、例えば、現在のフレーム画像において、対象とする分割領域の動きベクトルが、その周辺の分割領域の動きベクトルと同等かどうかで算出する。すなわち、対象とする分割領域の動きベクトルがその周辺の分割領域の動きベクトルと同等の場合には、対象とする分割領域の動きベクトルの信頼度が高いと判定する。逆に、対象とする分割領域の動きベクトルがその周辺の分割領域の動きベクトルと大きく異なっている場合には、確率的には誤検出の可能性が高いので、対象とする分割領域の動きベクトルの信頼度が低いと判定する。なお、動きベクトルの信頼度を算出する方法は上記に限定されず、その他公知の方法が適用可能である。
【0022】
選択部5は、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルおよび動きベクトル信頼度に基づき、分割領域毎に、補正処理部2から出力される現在のフレーム画像またはフィルタ処理部3から出力される現在のフレーム画像のいずれかを選択する。
【0023】
より具体的には、選択部5は、分割領域毎に、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルが第一の閾値よりも大きく、かつ、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルの信頼度が第二の閾値よりも大きい場合、補正処理部2から出力される、階調レベルが補正された現在のフレーム画像を選択する。この場合、対象となる分割領域において、フレーム画像の動きが大きい可能性が高いと判断し、補正処理部2から出力される、階調レベルが補正された現在のフレーム画像を選択することで、画像表示の応答速度を改善し、残像感を軽減することを優先させる。
【0024】
一方、選択部5は、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルが第一の閾値と同じか小さい、または、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルの信頼度が第二の閾値と同じか小さい場合、フィルタ処理部3から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する。この場合、対象となる分割領域において、フレーム画像の動きが小さい、または、動きベクトル算出部4による動きベクトルの誤検出の可能性が高いと判断し、フィルタ処理部3から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択することで、画像表示の応答速度を改善することよりも、フレーム画像にのるノイズを強調せず低減することを優先させる。
【0025】
なお、第一の閾値は、例えば、動きベクトルの検出値が7ビットであるときは、10から20である。また、第二の閾値は、例えば、信頼度が6ビットであるときは、48から58である。
【0026】
なお、本実施例1において、補正処理部2が補正処理部の一例に相当し、フィルタ処理部3がフィルタ処理部の一例に相当し、動きベクトル算出部4が動きベクトル算出部の一例に相当し、選択部5が選択部の一例に相当する。
【0027】
図2は、本発明の実施例1に係るフレーム画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0028】
選択部5は、対象となる分割領域において、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルが第一の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS21)。動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルが第一の閾値よりも大きい場合(ステップS21でYes)、選択部5は、該対象となる分割領域において、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルの信頼度が第二の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルの信頼度が第二の閾値よりも大きい場合(ステップS22でYes)、選択部5は、該対象となる分割領域において、補正処理部2から出力される、階調レベルが補正された現在のフレーム画像を選択する(ステップS23)。
【0029】
一方、選択部5は、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルが第一の閾値と同じかまたは小さい場合(ステップS21でNo)、または、動きベクトル算出部4から出力される動きベクトルの信頼度が第二の閾値と同じかまたは小さい場合(ステップS22でNo)、選択部5は、該対象となる分割領域において、フィルタ処理部3から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する。
【0030】
以上、本発明のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法によれば、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて算出した分割領域毎の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度に基づき、分割領域毎に、階調レベルを補正したフレーム画像またはノイズ低減したフレーム画像のいずれかを選択するので、動きの大きいフレーム画像における画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画像にのるノイズを強調せず低減することが可能となる。
【0031】
なお、本実施例1のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法における処理は分割領域単位で実施するとしたが、これに限定されず、フレーム単位または画素単位で実施してもよい。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の実施例2に係るフレーム画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
フレーム画像処理装置200は、フレームメモリ1、補正処理部2、フィルタ処理部3、動きベクトル算出部4および選択部5からなる。また、フィルタ処理部3は、時間方向フィルタ31、空間方向フィルタ32、輝度変化検出部33および第二の選択部34からなる。なお、フレーム画像処理装置200において、実施例1のフレーム画像処理装置100の構成と異なる点は、フィルタ処理部3のより具体的な構成の一例を示した点である。
【0034】
以下、フィルタ処理部3の構成および動作を中心に説明を行う。
【0035】
フィルタ処理部3は、分割領域毎に、現在のフレーム画像に対して最適なフィルタを選択し、現在のフレーム画像のノイズを低減し、選択部5に出力する。
【0036】
フィルタ処理部3の時間方向フィルタ31は、例えば、IIR(Infinite Impulse Response;無限インパルス応答)フィルタで構成され、分割領域毎に、現在のフレーム画像とフレームメモリ1から出力される遅延されたフレーム画像とから現在のフレーム画像のノイズを低減し、第二の選択部34に出力する。
【0037】
フィルタ処理部3の空間方向フィルタ32は、例えば、FIR(Finite Impulse Response;有限インパルス応答)フィルタで構成され、分割領域毎に、現在のフレーム画像から、現在のフレーム画像内で隣接する分割領域を用いて、現在のフレーム画像のノイズを低減し、第二の選択部34に出力する。
【0038】
フィルタ処理部3の輝度変化検出部33は、分割領域毎に輝度変化の激しさを検出し、第二の選択部34に出力する。より具体的には、例えば、輝度変化検出部33は、現在のフレーム画像の注目画素を中心として、例えば3画素×3画素の画素群を抜き出し、この抜き出した画素群に対してハイパスフィルタを掛け合わせ、フィルタ値を算出する。このフィルタ値が注目画素の輝度変化の激しさを表し、各分割領域における輝度変化の激しさは、分割領域に含まれる各画素で求めたフィルタ値の総和となる。輝度変化検出部33は、分割領域毎に、輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和を第二の選択部34に出力する。
【0039】
第二の選択部34は、輝度変化検出部33から出力される各分割領域の輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和に基づき、分割領域毎に、時間方向フィルタ31から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像、または、空間方向フィルタ32から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像のいずれかを選択する。
【0040】
より具体的には、第二の選択部34は、分割領域毎に、輝度変化検出部33から出力される輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和が第三の閾値よりも大きい場合、空間方向フィルタ32から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する。この場合、第二の選択部34は、対象となる分割領域において、フレーム画像の動きが非常に大きい可能性が高い、例えば、シーンチェンジ等が発生した、と判断し、遅延されたフレームを用いることで発生する尾引きによる弊害を防ぐため、空間方向フィルタ32から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する。一方、第二の選択部34は、分割領域毎に、輝度変化検出部33から出力される輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和が第三の閾値と同じかまたは小さい場合、時間方向フィルタ31から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する。
【0041】
なお、第三の閾値は、例えば、10×10ピクセルの領域にて輝度信号8ビットで考えた場合、2560である。
【0042】
なお、本実施例2において、補正処理部2が補正処理部の一例に相当し、フィルタ処理部3がフィルタ処理部の一例に相当し、時間方向フィルタ31が第一のフィルタ処理部の一例に相当し、空間方向フィルタ32が第二のフィルタ処理部の一例に相当し、輝度変化検出部33が輝度変化検出部の一例に相当し、第二の選択部34が第二の選択部の一例に相当し、動きベクトル算出部4が動きベクトル算出部の一例に相当し、選択部5が選択部の一例に相当する。
【0043】
図4は、本発明の実施例2に係るフレーム画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS21、ステップS22およびステップS24は、実施例1の図2におけるステップS21、ステップS22およびステップS24と同じ動作であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
第二の選択部34は、分割領域毎に、輝度変化検出部33から出力される輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和が第三の閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS41)。輝度変化検出部33から出力される輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和が第三の閾値よりも大きい場合(ステップS41でYes)、第二の選択部34は、分割領域毎に、空間方向フィルタ32から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する(ステップS42)。一方、輝度変化検出部33から出力される輝度変化の激しさであるフィルタ値の総和が第三の閾値と同じかまたは小さい場合(ステップS41でNo)、第二の選択部34は、分割領域毎に、時間方向フィルタ31から出力されるノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する(ステップS43)。
【0045】
以上、本発明のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法によれば、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて算出した分割領域毎の動きベクトルおよび動きベクトルの信頼度に基づき、分割領域毎に、階調レベルを補正したフレーム画像または分割領域毎にノイズ低減したフレーム画像のいずれかを選択するので、動きの大きいフレーム画像における画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画像にのるノイズを強調せず低減することが可能となる。
【0046】
また、本発明のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法によれば、現在のフレーム画像を用いて検出した分割領域毎の輝度変化の激しさに基づき、分割領域毎に、現在のフレーム画像に対して最適なフィルタを選択するので、現在のフレーム画像のノイズを効率的に低減することが可能となる。
【0047】
なお、本実施例2のフレーム画像処理装置およびフレーム画像処理方法における処理は分割領域単位で実施するとしたが、これに限定されず、フレーム単位または画素単位で実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、動きの大きいフレーム画像における画像表示の応答速度を改善しつつ、動きの小さい動画や静止画像にのるノイズを強調せず低減することが可能なので、フレーム画像処理技術として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 フレームメモリ
2 補正処理部
3 フィルタ処理部
4 動きベクトル算出部
5 選択部
21 LUT
22 加算器
31 時間方向フィルタ
32 空間方向フィルタ
33 輝度変化検出部
34 第二の選択部
100、200 フレーム画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム画像を複数の画素からなる領域に分割し、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、分割領域毎に現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行うフレーム画像処理装置において、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の階調レベルを補正する補正処理部と、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行うフィルタ処理部と、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度を算出する動きベクトル算出部と、
前記動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度に基づき、前記分割領域毎に、前記階調レベルを補正した現在のフレーム画像、または、前記ノイズ低減した現在のフレーム画像のいずれかを選択する選択部と、
からなるフレーム画像処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記分割領域毎に
前記動きベクトルが第一の閾値より大きく、かつ、前記動きベクトルの信頼度が第二の閾値よりも大きい場合、前記階調レベルを補正した現在のフレーム画像を選択し、
前記動きベクトルが第一の閾値と同じか小さい、または、前記動きベクトルの信頼度が第二の閾値と同じか小さい場合、前記ノイズ低減した現在のフレーム画像を選択する
ことを特徴とする請求項1記載のフレーム画像処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ処理部は、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の輝度変化の激しさを検出する輝度変化検出部と、
前記少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行う第一のフィルタ処理部と、
前記現在のフレーム画像の分割領域に隣接する分割領域を用いて、前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行う第二のフィルタ処理部と、
前記分割領域毎に、
前記現在のフレーム画像の輝度変化の激しさが第三の閾値よりも大きい場合、前記第二のフィルタ処理部でノイズ低減された現在のフレーム画像を選択し、
前記現在のフレーム画像の輝度変化の激しさが第三の閾値よりも小さい場合、前記第一のフィルタ処理部でノイズ低減された現在のフレーム画像を選択する第二の選択部と、
からなることを特徴とする請求項1記載のフレーム画像処理装置。
【請求項4】
フレーム画像を複数の画素からなる領域に分割し、少なくとも2つ以上のフレーム画像を用いて、分割領域毎に現在のフレーム画像に対して所定の画像処理を行うフレーム画像処理装置におけるフレーム画像処理方法において、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の階調レベルを補正する補正処理ステップと、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像のノイズ低減を行うフィルタ処理ステップと、
前記分割領域毎に、前記現在のフレーム画像の動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度を算出する動きベクトル算出ステップと、
前記動きベクトルおよび前記動きベクトルの信頼度に基づき、前記分割領域毎に、前記階調レベルを補正した現在のフレーム画像、または、前記ノイズ低減した現在のフレーム画像のいずれかを選択する選択ステップと、
からなるフレーム画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−252069(P2012−252069A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123115(P2011−123115)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】