フロアパネルの固定構造
【課題】 複数のフロアパネルを1個の固定部材で固定できると共に、フロアの水平性を確保できる固定構造を提供すること。
【解決手段】 フロアパネル2の下面に設けられる支持部材1と、複数枚のフロアパネル2を固定する固定部材3とを備え、支持部材1には第1係合部26が設けられている一方、固定部材3には第1係合部26に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部12が設けられており、両係合部12,26は、両部材1,3を着脱可能な初期位置と、固定部材3を所定の方向に回転させることで両係合部12,26が係合して両部材1,3が抜止保持される組付位置とが設けられているものであって、固定部材3には、フロアパネル2の上面側2Aを押圧する押圧部6と、第2係合部12を回転させる操作部10とが設けられていると共に、操作部10は押圧部6の回転を規制した状態で第2係合部12を初期位置から組付位置とすることが可能であることを特徴とするフロアパネル2の固定構造によって達成される。
【解決手段】 フロアパネル2の下面に設けられる支持部材1と、複数枚のフロアパネル2を固定する固定部材3とを備え、支持部材1には第1係合部26が設けられている一方、固定部材3には第1係合部26に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部12が設けられており、両係合部12,26は、両部材1,3を着脱可能な初期位置と、固定部材3を所定の方向に回転させることで両係合部12,26が係合して両部材1,3が抜止保持される組付位置とが設けられているものであって、固定部材3には、フロアパネル2の上面側2Aを押圧する押圧部6と、第2係合部12を回転させる操作部10とが設けられていると共に、操作部10は押圧部6の回転を規制した状態で第2係合部12を初期位置から組付位置とすることが可能であることを特徴とするフロアパネル2の固定構造によって達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年には、オフィス機器の発達に伴う電線の配置空間を確保したり、電子機器の製造工場等の床面に空気を通過させる空間を確保する等の目的で、床面上に設置した支持部材の上面にフロアパネルの四隅を固定することにより、二重床を構成することが多い。支持部材とフロアパネルとを固定するには、ボルトを用いることが一般的である。ところが、一枚のフロアパネルに少なくとも四個のボルトを必要とするために、組付操作、またはフロアパネルの取り替え操作の際に作業が煩雑となってしまう。この問題を解消するためには、1個の固定部材で、複数枚のフロアパネルを固定する構成とすることが望ましい。そのような工夫として、例えば特許文献1〜特許文献3に示すものがある。
【0003】
しかし、上記特許文献に開示された技術は、一般のOAフロアへの使用を目的としたものであるため、フロアパネルの四隅を均等に締め付けるための厳密性に欠けている。例えば、電子機器製造工場などでは、一般のOAフロアに比べると、水平性の基準が高く要求される。特許文献2に示されたものは、突起が一ヶ所であるためにフロアパネルの四隅を均等に締め付けられず、床面の水平性を確保することが難しい。また、特許文献1と特許文献3に示されたものは、固定部材の固定操作に際して、固定部材の押圧面(裏面側)とフロアパネルの上面とが接触した後に、固定部材が回し付けられるために、その組付操作のときにフロアパネルの四隅がねじれてしまい、フロアの水平性を欠くという事態が発生し得る。
上記の事情から、床面の水平性を確保する必要がある二重床については、未だにフロアパネルの四隅にボルトを固定することが一般的であった。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−261054号公報
【特許文献2】特開平7−233618号公報
【特許文献3】特開2003−221921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のフロアパネルを1個の固定部材で固定できると共に、フロアパネルの水平性を確保できる固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための発明に係るフロアパネルの固定構造は、フロアパネルの下面側に設けられる支持部材と、この支持部材の上側から組み付けられて複数枚のフロアパネルを固定する固定部材とを備え、前記支持部材には第1係合部が設けられている一方、前記固定部材には前記第1係合部に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部が設けられており、前記両係合部は、前記両部材を着脱可能な初期位置と、前記固定部材を所定の方向に回転させることで前記両係合部が係合して前記両部材が抜止保持される組付位置とが設けられているものであって、前記固定部材には、前記フロアパネルの上面側を押圧する押圧部と、前記第2係合部を回転させる操作部とが設けられていると共に、前記操作部は前記押圧部の回転を規制した状態で前記第2係合部を前記初期位置から前記組付位置とすることが可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記固定部材と前記支持部材との間には、両部材が初期位置にあるときに前記固定部材を取り外し方向に付勢する付勢部材が設けられていることが好ましい。
また、本発明においては、前記両部材には、前記組付位置に至ったときに相手側の部材に当接することで、回転操作の完了を知らせる当接部が設けられていることが好ましい。
【0008】
第1係合部と第2係合部は、いずれが凸状または凹状に設けられていてもよい。下記実施形態においては、固定部材の第2係合部が凸状とされており、支持部材の第1係合部が凹状とされているが、本発明においては、これを逆の構造とすることもできる。但し、第2係合部を凸状とすることにより、外部からその形状を認識しやすいために、固定部材を支持部材に対して初期位置にはめ込む操作を行いやすい。
第1係合部と第2係合部との個数は問われない。但し、複数のフロアパネルの上面を均等に押圧するためには、複数の係合部が円周上に均等に配置されていることが好ましい。例えば、2個の係合部が180度間隔で、3個の係合部が120度間隔で、4個の係合部が90度間隔で設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部材の上面に複数枚のフロアパネルを載置しておき、固定部材を支持部材に組み付けることで、両係合部を初期位置とする。次に、固定部材を所定の方向に回転させ、両係合部を組付位置とすることで、固定部材が支持部材に抜止保持されると共に、固定部材の押圧部がフロアパネルの上面を押圧して固定する。この組付操作の際には、押圧部の回転が規制された状態で第2係合部が回し付けられるので、回転によってフロアパネルの押圧面が変化して、水平性が欠ける状態となるおそれが減少する。
また、付勢部材を設けることにより、固定部材が取出方向に付勢されるので、両部材の組付けを忘れてしまうというおそれが減少する。
更に、当接部を設けることにより、固定部材の回転操作の完了時期が分かるので、操作性の良好な固定構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<第1実施形態>
図1には、第1実施形態における支持部材1と固定部材3とを組付ける前の様子を示した。固定部材3は、支持部材1の上側から組み付けられることで複数枚のフロアパネル2(図10及び図12に示す)を固定する。固定部材3は、図2に示すように、4個の部品から構成されている。すなわち、本体4と、Oリング5と、円板状の押圧部6と、Oリング7とである。
【0011】
本体4の上端部には、円板部9が設けられている。円板部9の上面中央には、中心を通って径方向外側に向かって、操作部10が円板部9の両端縁まで突設されている。この操作部10を左右に回転することにより、本体4を回転操作することができる。また、円板部9の裏面側には、Oリング5の上面側が嵌り込む溝部11が凹設されている。更に、円板部9の中央下面側には、回転軸8が垂下されている。回転軸8は、操作部10の回転操作に連れて回転する。回転軸8において、円板部9から僅かに下方に離れた位置には、Oリング7を嵌込み可能な溝部13が外周に沿って凹設されている。
押圧部6は、円板状に形成されており、その中央には開口6Aが設けられている(図3を参照)。開口6Aの形状は、回転軸8の下端部に設けられた張出部15(後に詳述する)とほぼ同等か、それよりも僅かに大きく形成されている。押圧部6は、両Oリング5,7に挟み付けられた状態で、回転軸8に対して同芯状に組み付けられる。このとき、押圧部6は、回転軸8の回りを僅かに回転可能な状態とされている。また、押圧部6と円板部9の正断面は、ほぼ同等の半径を備えている。
【0012】
回転軸8の下端部分には、回転軸8の軸心に対して180度離間する位置に張り出す一対の第2係合部12が設けられている。第2係合部12は、後述する支持部材1の第1係合部26と互いに凹凸係合可能とされている。第2係合部12は、回転軸8の下端部から径方向外側に突設された張出部15と、この張出部15の上面中央において径方向外側に突設された係合縁16とから構成されている。張出部15の張り出し長さは、押圧部6の半径よりも短くされている。また、係合縁16は、滑らかな半円状の断面を備えて、張出部15の全長に渡って設けられている。
【0013】
各第2係合部12の突設方向は、円板部9の操作部10が延設される方向に整合している。また、張出部15において、一端側(回転軸8の軸心から見て、張出部15の左端側)には、当接部17が設けられている。当接部17は、回転軸8の軸方向に沿って突設されている。この当接部17は、支持部材1の所定の当接部27に当接することで、固定部材3の回転操作の完了を認知させるようになっている(後に詳述する)。
支持部材1は、フロアパネル2の下面側に設けられる。より詳細には、支持部材1は、数十平方メートル〜数百平方メートルの広さを備えた床面(図示せず)に所定の間隔を備えて整列して配置される。支持部材1の上面には、複数枚(例えば、数百枚〜数千枚)のフロアパネル2が整然と載置され、4枚のフロアパネル2の隅部分に支持部材1が位置することになる。
【0014】
支持部材1の上面には、ほぼ正方形状のパネル載置部22が設けられている。このパネル載置部22の各辺の中央からは、外側に向かって組付片19が張り出されている。この組付片19は、隣り合った支持部材1を連結するための部材(図示せず)の組付けなどに用いられる。また、パネル載置部22において、組付溝18の周囲には、径方向外側に向かって、突条21が突設されている。この突条21は、組付溝18を中心として、90度間隔で設けられており、パネル載置部22の正方形の各辺の中央位置に設けられている。突条21は、隣り合うフロアパネル2の接続部分に位置するようになっており、フロアパネル2の凹溝(図示せず)に嵌り込むことで、フロアパネル2と支持部材1との位置決めを行う。
【0015】
また、パネル載置部22において下面中央には、円筒状の筒部20が設けられている。パネル載置部22の中央には、筒部20に連通する組付溝18が開放されている。組付溝18の上方開口は、固定部材3の下端部の形状(すなわち、回転軸8を挿入可能な小径の孔部と、その孔部から180度離れた対称的な位置において径方向外側に拡がり両張出部15を挿入可能な大径の孔部とで構成され、全体として長孔形状)に合わせて形成されており、固定部材3を嵌込むときの位置を規定している。すなわち、固定部材3は、180度の回転毎に組付溝18に挿入可能とされている。
組付溝18の上方開口から深さ方向の中央までは、同形状に形成されており、この部分では、固定部材3は上下方向への移動のみが許容され、回転を行うことは規制される。また、組付溝18において深さ方向の中央には、固定部材3の第2係合部12を回転可能な回転用孔部23が設けられている。回転用孔部23の上端において、組付溝18の側壁18Aの中央部分には、第1係合部26が設けられている。側壁18Aは、回転用孔部23において、ほぼ水平方向に向かっており、第1係合部26は、下方に開放する溝状に凹設されている。
【0016】
より詳細には、第1係合部26は、図7において、左側(第2係合部12の係合が開始される側)の方が、より緩やかな緩斜面26Aとされ、右側がより急な急斜面26Bとされている。両斜面26A,26Bは、連続的に形成されており、それらが接続する位置(最も溝が深い位置)が係合孔26Cとされている。第1係合部26が上記のように構成されることにより、第2係合部12は、緩斜面26Aから緩やかに係合し、係合孔26Cに至ると共に、深く凹凸係合するようになっている。また、側壁18Aにおいて、図7の左端部分は、当接部27とされている。この当接部27は、両係合部12,26が組付位置に至ったときに、第1係合部26の当接部17と互いに当接することにより、固定部材3がそれ以上に回転するのを規制すると共に、回転操作の完了を認知させるようになっている。
【0017】
また、回転用孔部23の下方には、より小径のバネ装着孔29が設けられている。ここには、弦巻状のバネ25が収容されている。バネ25は、バネ装着孔29の下方に突設された係止縁28によって脱落が規制されると共に、その下端位置が決められている。バネ25の長さは、バネ装着孔29の深さよりも長くされており、回転用孔部23の内部に収容された固定部材3を、常には上方(固定部材3が支持部材1から外れる方向)に付勢するようになっている。また、バネ装着孔29の内径は、固定部材3の下端に設けられた第2係合12の張出部15の外径よりも小さくなっている。
【0018】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず、図8及び図9を参照しつつ、両係合部12,26の係合形態について説明する。図8には、固定部材3を組付溝18に挿入したときの初期位置の様子を示した。この位置では、両部材1,3は着脱可能な状態となっている。初期位置では、第2係合部12の張出部15の下端面をバネ25が付勢することにより、固定部材3が僅かに上方に押圧されている。このとき、第2係合部12の上端部分が側壁18Aの下端位置よりも上側に位置しているため、固定部材3の回転操作が規制されている。
【0019】
また、当接部17が逆側の側壁18A(この側壁18Aは、組付位置において両当接部17,27が当接するときのものとは反対側の側壁である)に当接しているので、本体4の逆方向(本実施形態においては左方向)への回転は規制された状態にある。このため、逆方向への誤回転が規制されている。なお、固定部材3を支持部材1から取り外す際には、本体4を組付位置から初期位置に回転させたときに、この態様で位置決めがなされるために、固定部材3を支持部材1から取り外す際の操作性が良好となっている。
【0020】
両係合部12,26を係合させるには、固定部材3をバネ25の付勢力に抗しつつ下方に押しつけながら、操作部10を右方向に回転させる。すると、第2係合部12の係合縁16が、側壁18Aの下端をくぐりながら第1係合部26の方向に近づく。更に、固定部材3を右方向に回転させると、係合縁16は第1係合部26の緩斜面26Aに至る。ここで、係合縁16は、緩やかに緩斜面26Aを登りつつ、最上部の係合孔26Cに至ることで、両係合部12,26の凹凸係合が完了し、組付位置に至る(図9を参照)。このときには、両当接部17,27が当接することで、固定部材3の右方向への回転が規制される。また、バネ25が固定部材3の下端面を上方に押圧するので、両係合部12,26の係合は自然には解離し難い状態に保持される。こうして、固定部材3の左方向(すなわち、両部材1,3の係合を解除する方向)への回転が起こり難くなっている。
【0021】
次に、図10〜図13を参照しつつ、両部材1,3がフロアパネル2を固定する態様について説明する。
所定の位置に配置された支持部材1のパネル載置部22の上面から、複数のフロアパネル2を整合させながら載置していく。このとき、4枚のフロアパネル2の隅部分が、パネル載置部22の中央において、組み合わせられる。フロアパネル2の四隅には、固定部材3を組付可能な部材収容凹部2Bが設けられている。4枚のフロアパネル2が組み付けられることにより、4個の部材収容凹部2Bが組み合わせられて、固定部材3を収容可能な挿入孔30が形成される。この挿入孔30は円形をしており、その半径は、張出部15の外径よりも大きくなっている。また、収容凹部2Bは、図11に示すように、段差を備えて形成されており、その段差部分の上面は、固定部材3の押圧部6が押圧固定する被押圧部2Aとされている。
【0022】
4枚のフロアパネル2をパネル載置部22の上面の所定位置に設置した後、固定部材3を挿入孔30から挿入し、その先端の第2係合部26を支持部材1の組付溝18に嵌込む。こうして、両係合部12,26が初期位置に至る(図10、11を参照)。なお、図示の都合上、図10及び図12においては、フロアパネル2は削除して示した。
固定部材3上面の操作部10の延出方向は、第2係合部12の張出部15の延出方向に整合しており、かつ組付溝18の長径方向に沿っている。このため、操作部10の延出方向と組付溝18の長径方向とを合わせれば、張出部15を組付溝18に挿入できるので、初期位置への装着操作を行いやすい。
【0023】
この初期位置では、前述のように、バネ25が固定部材3を上方に付勢することにより、第2係合部12が側壁18Aに当接するので、固定部材3の組付位置方向への回転が規制されている。また、バネ25が固定部材3を上方の取外し方向に付勢しているので、操作部10の上端部分が、フロアパネル2の上面から僅かに上方に突出するようになっている。このため、作業者は両係合部12,26が初期位置にあり、未だに組付位置に至っていないことが分かり、固定部材3の閉め忘れを防止しやすくなっている。また、このときには、固定部材3の押圧部6は、フロアパネル2の被押圧部2Aから僅かに上方に浮いた位置(或いは、被押圧部2Aに軽く接触する位置)となっている。
【0024】
次に、固定部材3上面の操作部10を下方に押しつけつつ、本体4を両係合部12,26が係合する方向(本実施形態においては、右方向)に回転させる。このとき、係合縁16は正断面が滑らかな半円形状をしているので、係合縁が角張った形状をしている場合に比べると、係合縁16が側壁18Aの下端に潜る際に、円滑な組付操作となる。両係合部12,26が所定の組付位置に達すると、係合縁16が係合孔26Cに嵌り込むことで、凹凸係合が完了する(図12及び図13を参照)。こうして、固定部材3が支持部材1に抜止保持されると共に、固定部材3の押圧部6がフロアパネル2の上面の被押圧部2Aを押圧して固定する。
【0025】
上記回転操作において、固定部材3を回転する組付操作の際には、押圧部6は本体4及び第2係合部12の回転とは独立している。すなわち、押圧部6は、フロアパネル2の被押圧部2Aの上面に接触しつつ、本体4の回転操作に対して、回転が規制された状態となっている。このため、押圧部6はフロアパネル2の上面側を押圧しているときに、回転操作が加わらないことから、固定部材3の回転によって、フロアパネル2の四隅部分を歪ませてしまい、フロアの水平性が欠ける状態となるおそれが回避される。
また、バネ25によって、初期位置においては固定部材3が取出方向(上方)に付勢されているので、両部材1,3の組付けを忘れてしまうというおそれが減少する。
【0026】
更に、組付位置に至ったときに、両当接部17,27が当接することにより、固定部材3の回転操作の完了時期が分かるので、組付操作性が良好な固定構造となる。
なお、フロアパネル2の交換などの操作が必要となった場合には、固定部材3の操作部10下方に押圧しつつ、左方向(すなわち、両係合部12,26が組付位置から初期位置に戻る方向)に回転させて初期位置まで戻し、固定部材3を支持部材1から取り外す。
【0027】
<第2実施形態>
次に、図14〜図22を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と第2実施形態とにおいて、同様の作用を奏する構成については、同一の符号を付して、説明の重複を避ける。
図14に示すように、本実施形態の固定部材48は、本体40と、Oリング41と、押圧部42と、弦巻状のバネ43とから構成されている。本体40及び押圧部42は、金属材料(例えば、ステンレス、アルミニウムなど)から、それぞれ一体に形成されている。本体40の上端部には、円板部46が設けられており、その上面には、軸心を通る溝状の操作部47が凹設されている。操作部47は、図15に示すように、両端部分では溝が浅くなるように凹設されている。この操作部47には、所定の工具(例えば、コインなどの滑らかに突設したもの)を差し込むことにより、本体40を左右両方に回転させることができる。操作部47の延設方向は、第2係合部12の張出部15が張り出す方向から、90度位置ずれした方向とされている。
【0028】
また、円板部46の中央からは、下方に向かって回転軸44が垂下されている。回転軸44の上側半分は、下側半分よりも外径が太く設定されており、その連結部分には、テーパー面44Aが設けられている。回転軸44の上側には、外周に沿って、バネ装着溝45が凹設されている。ここには、バネ43が回し付けられる。また、回転軸44の下端部には、第1実施形態と同様の構成を備えた第2係合部12が設けられている。図17に示すように、回転軸44の上側の外径は、張出部15の張出し長さよりも長くなっている。
【0029】
Oリング41は、ゴムなどの弾性材によって形成されており、図19に示すように、その側断面は中間部分が上下両端部分よりも径方向内側に向かうように、V字状とされている。また、押圧部42の中央には、回転軸44の上側の外径を挿通可能な挿通孔42Aが開放されている。
本体40の回転軸44に対して、Oリング41と押圧部42とを組付け、バネ43をバネ装着溝45に回し付けることにより、バネ43が本体40に固定されると共に、Oリング41と押圧部42が抜止めされる。
【0030】
支持部材49の下方に設けられた筒部20は、上下方向に同径に設けられており、その内部には、同径の組付溝18が開放されている。組付溝18の内部の所定位置には、位置決め突条51が内周に沿って突設されている。この位置決め突条51は、両係合部12,26が係合するときに、固定部材48の張出部15下端面に当接するようになっている。また、組付溝18の上端開口縁は、バネ当接部50とされている。ここには、バネ43が当接するようになっている。
【0031】
上記のように構成された本実施形態の作用及び効果を説明すると、次の通りである。所定の位置に設置された支持部材49のパネル載置部22に、フロアパネル2を整列させる。パネル載置部22の上面に4枚のフロアパネル2の隅部分を載置させた後に、挿入孔30から固定部材48の挿入を開始し、支持部材49の組付溝18に至らせる。この初期位置においては、バネ43の下端がバネ当接部50に当接して、固定部材48を取外方向(上方)に付勢しているので、円板部46の上端部分がフロアパネル2から僅かに突出した位置となっている(図21を参照)。この初期位置では、第2係合部12が側壁18Aに当接するので固定部材48の回転が記載されている。
【0032】
また、押圧部42は、フロアパネル2の被押圧部2Aに対して、僅かに浮いた位置(或いは、軽く接触する位置)にある。
次に、固定部材48上面の操作部47に工具(図示せず)を挿入して、下方に押しつけつつ、本体40を両係合部12,26が係合する方向(本実施形態においては、右方向)に回転させ、所定の組付位置まで回し付ける。両係合部12,26が所定の組付位置に達すると、係合縁16が係合孔26Cに嵌り込むことで、凹凸係合が完了する。
このように本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。更に、本実施形態では、第1実施形態に比べて、固定構造の全部材の個数を削減できる。また、バネ43を視認することができるので、バネ43の付け忘れ等を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態において、組付け前の支持部材と固定部材を示す斜視図である。
【図2】固定部材の構成を示す側面図である。
【図3】押圧部の平面図である。
【図4】固定部材の正面図である。
【図5】固定部材の側面図である。
【図6】支持部材の平面図である。
【図7】支持部材の側断面図である。
【図8】初期位置における両係合部の位置関係を示す一部側断面図である。
【図9】組付位置における両係合部の位置関係を示す一部側断面図である。
【図10】支持部材と固定部材を初期位置としたときの斜視図である。
【図11】支持部材と固定部材を初期位置としたときの側断面図である。
【図12】支持部材と固定部材を組付位置としたときの斜視図である。
【図13】支持部材と固定部材を組付位置としたときの側断面図である。
【図14】第2実施形態における固定部材の構成を示す側面図である。
【図15】固定部材の正面図である。
【図16】固定部材の平面図である。
【図17】固定部材の背面図である。
【図18】押圧部の平面図である。
【図19】Oリングの側断面図である。
【図20】支持部材と固定部材を組み付ける前の側面図(支持部材においては側断面図)である。
【図21】支持部材と固定部材を初期位置としたときの側断面図である。
【図22】支持部材と固定部材を組付位置としたときの側断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1,49…支持部材、2…フロアパネル、3,48…固定部材、6,42…押圧部、10,47…操作部、12…第2係合部、25,43…バネ(付勢部材)、26…第1係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年には、オフィス機器の発達に伴う電線の配置空間を確保したり、電子機器の製造工場等の床面に空気を通過させる空間を確保する等の目的で、床面上に設置した支持部材の上面にフロアパネルの四隅を固定することにより、二重床を構成することが多い。支持部材とフロアパネルとを固定するには、ボルトを用いることが一般的である。ところが、一枚のフロアパネルに少なくとも四個のボルトを必要とするために、組付操作、またはフロアパネルの取り替え操作の際に作業が煩雑となってしまう。この問題を解消するためには、1個の固定部材で、複数枚のフロアパネルを固定する構成とすることが望ましい。そのような工夫として、例えば特許文献1〜特許文献3に示すものがある。
【0003】
しかし、上記特許文献に開示された技術は、一般のOAフロアへの使用を目的としたものであるため、フロアパネルの四隅を均等に締め付けるための厳密性に欠けている。例えば、電子機器製造工場などでは、一般のOAフロアに比べると、水平性の基準が高く要求される。特許文献2に示されたものは、突起が一ヶ所であるためにフロアパネルの四隅を均等に締め付けられず、床面の水平性を確保することが難しい。また、特許文献1と特許文献3に示されたものは、固定部材の固定操作に際して、固定部材の押圧面(裏面側)とフロアパネルの上面とが接触した後に、固定部材が回し付けられるために、その組付操作のときにフロアパネルの四隅がねじれてしまい、フロアの水平性を欠くという事態が発生し得る。
上記の事情から、床面の水平性を確保する必要がある二重床については、未だにフロアパネルの四隅にボルトを固定することが一般的であった。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−261054号公報
【特許文献2】特開平7−233618号公報
【特許文献3】特開2003−221921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のフロアパネルを1個の固定部材で固定できると共に、フロアパネルの水平性を確保できる固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための発明に係るフロアパネルの固定構造は、フロアパネルの下面側に設けられる支持部材と、この支持部材の上側から組み付けられて複数枚のフロアパネルを固定する固定部材とを備え、前記支持部材には第1係合部が設けられている一方、前記固定部材には前記第1係合部に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部が設けられており、前記両係合部は、前記両部材を着脱可能な初期位置と、前記固定部材を所定の方向に回転させることで前記両係合部が係合して前記両部材が抜止保持される組付位置とが設けられているものであって、前記固定部材には、前記フロアパネルの上面側を押圧する押圧部と、前記第2係合部を回転させる操作部とが設けられていると共に、前記操作部は前記押圧部の回転を規制した状態で前記第2係合部を前記初期位置から前記組付位置とすることが可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記固定部材と前記支持部材との間には、両部材が初期位置にあるときに前記固定部材を取り外し方向に付勢する付勢部材が設けられていることが好ましい。
また、本発明においては、前記両部材には、前記組付位置に至ったときに相手側の部材に当接することで、回転操作の完了を知らせる当接部が設けられていることが好ましい。
【0008】
第1係合部と第2係合部は、いずれが凸状または凹状に設けられていてもよい。下記実施形態においては、固定部材の第2係合部が凸状とされており、支持部材の第1係合部が凹状とされているが、本発明においては、これを逆の構造とすることもできる。但し、第2係合部を凸状とすることにより、外部からその形状を認識しやすいために、固定部材を支持部材に対して初期位置にはめ込む操作を行いやすい。
第1係合部と第2係合部との個数は問われない。但し、複数のフロアパネルの上面を均等に押圧するためには、複数の係合部が円周上に均等に配置されていることが好ましい。例えば、2個の係合部が180度間隔で、3個の係合部が120度間隔で、4個の係合部が90度間隔で設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部材の上面に複数枚のフロアパネルを載置しておき、固定部材を支持部材に組み付けることで、両係合部を初期位置とする。次に、固定部材を所定の方向に回転させ、両係合部を組付位置とすることで、固定部材が支持部材に抜止保持されると共に、固定部材の押圧部がフロアパネルの上面を押圧して固定する。この組付操作の際には、押圧部の回転が規制された状態で第2係合部が回し付けられるので、回転によってフロアパネルの押圧面が変化して、水平性が欠ける状態となるおそれが減少する。
また、付勢部材を設けることにより、固定部材が取出方向に付勢されるので、両部材の組付けを忘れてしまうというおそれが減少する。
更に、当接部を設けることにより、固定部材の回転操作の完了時期が分かるので、操作性の良好な固定構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<第1実施形態>
図1には、第1実施形態における支持部材1と固定部材3とを組付ける前の様子を示した。固定部材3は、支持部材1の上側から組み付けられることで複数枚のフロアパネル2(図10及び図12に示す)を固定する。固定部材3は、図2に示すように、4個の部品から構成されている。すなわち、本体4と、Oリング5と、円板状の押圧部6と、Oリング7とである。
【0011】
本体4の上端部には、円板部9が設けられている。円板部9の上面中央には、中心を通って径方向外側に向かって、操作部10が円板部9の両端縁まで突設されている。この操作部10を左右に回転することにより、本体4を回転操作することができる。また、円板部9の裏面側には、Oリング5の上面側が嵌り込む溝部11が凹設されている。更に、円板部9の中央下面側には、回転軸8が垂下されている。回転軸8は、操作部10の回転操作に連れて回転する。回転軸8において、円板部9から僅かに下方に離れた位置には、Oリング7を嵌込み可能な溝部13が外周に沿って凹設されている。
押圧部6は、円板状に形成されており、その中央には開口6Aが設けられている(図3を参照)。開口6Aの形状は、回転軸8の下端部に設けられた張出部15(後に詳述する)とほぼ同等か、それよりも僅かに大きく形成されている。押圧部6は、両Oリング5,7に挟み付けられた状態で、回転軸8に対して同芯状に組み付けられる。このとき、押圧部6は、回転軸8の回りを僅かに回転可能な状態とされている。また、押圧部6と円板部9の正断面は、ほぼ同等の半径を備えている。
【0012】
回転軸8の下端部分には、回転軸8の軸心に対して180度離間する位置に張り出す一対の第2係合部12が設けられている。第2係合部12は、後述する支持部材1の第1係合部26と互いに凹凸係合可能とされている。第2係合部12は、回転軸8の下端部から径方向外側に突設された張出部15と、この張出部15の上面中央において径方向外側に突設された係合縁16とから構成されている。張出部15の張り出し長さは、押圧部6の半径よりも短くされている。また、係合縁16は、滑らかな半円状の断面を備えて、張出部15の全長に渡って設けられている。
【0013】
各第2係合部12の突設方向は、円板部9の操作部10が延設される方向に整合している。また、張出部15において、一端側(回転軸8の軸心から見て、張出部15の左端側)には、当接部17が設けられている。当接部17は、回転軸8の軸方向に沿って突設されている。この当接部17は、支持部材1の所定の当接部27に当接することで、固定部材3の回転操作の完了を認知させるようになっている(後に詳述する)。
支持部材1は、フロアパネル2の下面側に設けられる。より詳細には、支持部材1は、数十平方メートル〜数百平方メートルの広さを備えた床面(図示せず)に所定の間隔を備えて整列して配置される。支持部材1の上面には、複数枚(例えば、数百枚〜数千枚)のフロアパネル2が整然と載置され、4枚のフロアパネル2の隅部分に支持部材1が位置することになる。
【0014】
支持部材1の上面には、ほぼ正方形状のパネル載置部22が設けられている。このパネル載置部22の各辺の中央からは、外側に向かって組付片19が張り出されている。この組付片19は、隣り合った支持部材1を連結するための部材(図示せず)の組付けなどに用いられる。また、パネル載置部22において、組付溝18の周囲には、径方向外側に向かって、突条21が突設されている。この突条21は、組付溝18を中心として、90度間隔で設けられており、パネル載置部22の正方形の各辺の中央位置に設けられている。突条21は、隣り合うフロアパネル2の接続部分に位置するようになっており、フロアパネル2の凹溝(図示せず)に嵌り込むことで、フロアパネル2と支持部材1との位置決めを行う。
【0015】
また、パネル載置部22において下面中央には、円筒状の筒部20が設けられている。パネル載置部22の中央には、筒部20に連通する組付溝18が開放されている。組付溝18の上方開口は、固定部材3の下端部の形状(すなわち、回転軸8を挿入可能な小径の孔部と、その孔部から180度離れた対称的な位置において径方向外側に拡がり両張出部15を挿入可能な大径の孔部とで構成され、全体として長孔形状)に合わせて形成されており、固定部材3を嵌込むときの位置を規定している。すなわち、固定部材3は、180度の回転毎に組付溝18に挿入可能とされている。
組付溝18の上方開口から深さ方向の中央までは、同形状に形成されており、この部分では、固定部材3は上下方向への移動のみが許容され、回転を行うことは規制される。また、組付溝18において深さ方向の中央には、固定部材3の第2係合部12を回転可能な回転用孔部23が設けられている。回転用孔部23の上端において、組付溝18の側壁18Aの中央部分には、第1係合部26が設けられている。側壁18Aは、回転用孔部23において、ほぼ水平方向に向かっており、第1係合部26は、下方に開放する溝状に凹設されている。
【0016】
より詳細には、第1係合部26は、図7において、左側(第2係合部12の係合が開始される側)の方が、より緩やかな緩斜面26Aとされ、右側がより急な急斜面26Bとされている。両斜面26A,26Bは、連続的に形成されており、それらが接続する位置(最も溝が深い位置)が係合孔26Cとされている。第1係合部26が上記のように構成されることにより、第2係合部12は、緩斜面26Aから緩やかに係合し、係合孔26Cに至ると共に、深く凹凸係合するようになっている。また、側壁18Aにおいて、図7の左端部分は、当接部27とされている。この当接部27は、両係合部12,26が組付位置に至ったときに、第1係合部26の当接部17と互いに当接することにより、固定部材3がそれ以上に回転するのを規制すると共に、回転操作の完了を認知させるようになっている。
【0017】
また、回転用孔部23の下方には、より小径のバネ装着孔29が設けられている。ここには、弦巻状のバネ25が収容されている。バネ25は、バネ装着孔29の下方に突設された係止縁28によって脱落が規制されると共に、その下端位置が決められている。バネ25の長さは、バネ装着孔29の深さよりも長くされており、回転用孔部23の内部に収容された固定部材3を、常には上方(固定部材3が支持部材1から外れる方向)に付勢するようになっている。また、バネ装着孔29の内径は、固定部材3の下端に設けられた第2係合12の張出部15の外径よりも小さくなっている。
【0018】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず、図8及び図9を参照しつつ、両係合部12,26の係合形態について説明する。図8には、固定部材3を組付溝18に挿入したときの初期位置の様子を示した。この位置では、両部材1,3は着脱可能な状態となっている。初期位置では、第2係合部12の張出部15の下端面をバネ25が付勢することにより、固定部材3が僅かに上方に押圧されている。このとき、第2係合部12の上端部分が側壁18Aの下端位置よりも上側に位置しているため、固定部材3の回転操作が規制されている。
【0019】
また、当接部17が逆側の側壁18A(この側壁18Aは、組付位置において両当接部17,27が当接するときのものとは反対側の側壁である)に当接しているので、本体4の逆方向(本実施形態においては左方向)への回転は規制された状態にある。このため、逆方向への誤回転が規制されている。なお、固定部材3を支持部材1から取り外す際には、本体4を組付位置から初期位置に回転させたときに、この態様で位置決めがなされるために、固定部材3を支持部材1から取り外す際の操作性が良好となっている。
【0020】
両係合部12,26を係合させるには、固定部材3をバネ25の付勢力に抗しつつ下方に押しつけながら、操作部10を右方向に回転させる。すると、第2係合部12の係合縁16が、側壁18Aの下端をくぐりながら第1係合部26の方向に近づく。更に、固定部材3を右方向に回転させると、係合縁16は第1係合部26の緩斜面26Aに至る。ここで、係合縁16は、緩やかに緩斜面26Aを登りつつ、最上部の係合孔26Cに至ることで、両係合部12,26の凹凸係合が完了し、組付位置に至る(図9を参照)。このときには、両当接部17,27が当接することで、固定部材3の右方向への回転が規制される。また、バネ25が固定部材3の下端面を上方に押圧するので、両係合部12,26の係合は自然には解離し難い状態に保持される。こうして、固定部材3の左方向(すなわち、両部材1,3の係合を解除する方向)への回転が起こり難くなっている。
【0021】
次に、図10〜図13を参照しつつ、両部材1,3がフロアパネル2を固定する態様について説明する。
所定の位置に配置された支持部材1のパネル載置部22の上面から、複数のフロアパネル2を整合させながら載置していく。このとき、4枚のフロアパネル2の隅部分が、パネル載置部22の中央において、組み合わせられる。フロアパネル2の四隅には、固定部材3を組付可能な部材収容凹部2Bが設けられている。4枚のフロアパネル2が組み付けられることにより、4個の部材収容凹部2Bが組み合わせられて、固定部材3を収容可能な挿入孔30が形成される。この挿入孔30は円形をしており、その半径は、張出部15の外径よりも大きくなっている。また、収容凹部2Bは、図11に示すように、段差を備えて形成されており、その段差部分の上面は、固定部材3の押圧部6が押圧固定する被押圧部2Aとされている。
【0022】
4枚のフロアパネル2をパネル載置部22の上面の所定位置に設置した後、固定部材3を挿入孔30から挿入し、その先端の第2係合部26を支持部材1の組付溝18に嵌込む。こうして、両係合部12,26が初期位置に至る(図10、11を参照)。なお、図示の都合上、図10及び図12においては、フロアパネル2は削除して示した。
固定部材3上面の操作部10の延出方向は、第2係合部12の張出部15の延出方向に整合しており、かつ組付溝18の長径方向に沿っている。このため、操作部10の延出方向と組付溝18の長径方向とを合わせれば、張出部15を組付溝18に挿入できるので、初期位置への装着操作を行いやすい。
【0023】
この初期位置では、前述のように、バネ25が固定部材3を上方に付勢することにより、第2係合部12が側壁18Aに当接するので、固定部材3の組付位置方向への回転が規制されている。また、バネ25が固定部材3を上方の取外し方向に付勢しているので、操作部10の上端部分が、フロアパネル2の上面から僅かに上方に突出するようになっている。このため、作業者は両係合部12,26が初期位置にあり、未だに組付位置に至っていないことが分かり、固定部材3の閉め忘れを防止しやすくなっている。また、このときには、固定部材3の押圧部6は、フロアパネル2の被押圧部2Aから僅かに上方に浮いた位置(或いは、被押圧部2Aに軽く接触する位置)となっている。
【0024】
次に、固定部材3上面の操作部10を下方に押しつけつつ、本体4を両係合部12,26が係合する方向(本実施形態においては、右方向)に回転させる。このとき、係合縁16は正断面が滑らかな半円形状をしているので、係合縁が角張った形状をしている場合に比べると、係合縁16が側壁18Aの下端に潜る際に、円滑な組付操作となる。両係合部12,26が所定の組付位置に達すると、係合縁16が係合孔26Cに嵌り込むことで、凹凸係合が完了する(図12及び図13を参照)。こうして、固定部材3が支持部材1に抜止保持されると共に、固定部材3の押圧部6がフロアパネル2の上面の被押圧部2Aを押圧して固定する。
【0025】
上記回転操作において、固定部材3を回転する組付操作の際には、押圧部6は本体4及び第2係合部12の回転とは独立している。すなわち、押圧部6は、フロアパネル2の被押圧部2Aの上面に接触しつつ、本体4の回転操作に対して、回転が規制された状態となっている。このため、押圧部6はフロアパネル2の上面側を押圧しているときに、回転操作が加わらないことから、固定部材3の回転によって、フロアパネル2の四隅部分を歪ませてしまい、フロアの水平性が欠ける状態となるおそれが回避される。
また、バネ25によって、初期位置においては固定部材3が取出方向(上方)に付勢されているので、両部材1,3の組付けを忘れてしまうというおそれが減少する。
【0026】
更に、組付位置に至ったときに、両当接部17,27が当接することにより、固定部材3の回転操作の完了時期が分かるので、組付操作性が良好な固定構造となる。
なお、フロアパネル2の交換などの操作が必要となった場合には、固定部材3の操作部10下方に押圧しつつ、左方向(すなわち、両係合部12,26が組付位置から初期位置に戻る方向)に回転させて初期位置まで戻し、固定部材3を支持部材1から取り外す。
【0027】
<第2実施形態>
次に、図14〜図22を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と第2実施形態とにおいて、同様の作用を奏する構成については、同一の符号を付して、説明の重複を避ける。
図14に示すように、本実施形態の固定部材48は、本体40と、Oリング41と、押圧部42と、弦巻状のバネ43とから構成されている。本体40及び押圧部42は、金属材料(例えば、ステンレス、アルミニウムなど)から、それぞれ一体に形成されている。本体40の上端部には、円板部46が設けられており、その上面には、軸心を通る溝状の操作部47が凹設されている。操作部47は、図15に示すように、両端部分では溝が浅くなるように凹設されている。この操作部47には、所定の工具(例えば、コインなどの滑らかに突設したもの)を差し込むことにより、本体40を左右両方に回転させることができる。操作部47の延設方向は、第2係合部12の張出部15が張り出す方向から、90度位置ずれした方向とされている。
【0028】
また、円板部46の中央からは、下方に向かって回転軸44が垂下されている。回転軸44の上側半分は、下側半分よりも外径が太く設定されており、その連結部分には、テーパー面44Aが設けられている。回転軸44の上側には、外周に沿って、バネ装着溝45が凹設されている。ここには、バネ43が回し付けられる。また、回転軸44の下端部には、第1実施形態と同様の構成を備えた第2係合部12が設けられている。図17に示すように、回転軸44の上側の外径は、張出部15の張出し長さよりも長くなっている。
【0029】
Oリング41は、ゴムなどの弾性材によって形成されており、図19に示すように、その側断面は中間部分が上下両端部分よりも径方向内側に向かうように、V字状とされている。また、押圧部42の中央には、回転軸44の上側の外径を挿通可能な挿通孔42Aが開放されている。
本体40の回転軸44に対して、Oリング41と押圧部42とを組付け、バネ43をバネ装着溝45に回し付けることにより、バネ43が本体40に固定されると共に、Oリング41と押圧部42が抜止めされる。
【0030】
支持部材49の下方に設けられた筒部20は、上下方向に同径に設けられており、その内部には、同径の組付溝18が開放されている。組付溝18の内部の所定位置には、位置決め突条51が内周に沿って突設されている。この位置決め突条51は、両係合部12,26が係合するときに、固定部材48の張出部15下端面に当接するようになっている。また、組付溝18の上端開口縁は、バネ当接部50とされている。ここには、バネ43が当接するようになっている。
【0031】
上記のように構成された本実施形態の作用及び効果を説明すると、次の通りである。所定の位置に設置された支持部材49のパネル載置部22に、フロアパネル2を整列させる。パネル載置部22の上面に4枚のフロアパネル2の隅部分を載置させた後に、挿入孔30から固定部材48の挿入を開始し、支持部材49の組付溝18に至らせる。この初期位置においては、バネ43の下端がバネ当接部50に当接して、固定部材48を取外方向(上方)に付勢しているので、円板部46の上端部分がフロアパネル2から僅かに突出した位置となっている(図21を参照)。この初期位置では、第2係合部12が側壁18Aに当接するので固定部材48の回転が記載されている。
【0032】
また、押圧部42は、フロアパネル2の被押圧部2Aに対して、僅かに浮いた位置(或いは、軽く接触する位置)にある。
次に、固定部材48上面の操作部47に工具(図示せず)を挿入して、下方に押しつけつつ、本体40を両係合部12,26が係合する方向(本実施形態においては、右方向)に回転させ、所定の組付位置まで回し付ける。両係合部12,26が所定の組付位置に達すると、係合縁16が係合孔26Cに嵌り込むことで、凹凸係合が完了する。
このように本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。更に、本実施形態では、第1実施形態に比べて、固定構造の全部材の個数を削減できる。また、バネ43を視認することができるので、バネ43の付け忘れ等を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態において、組付け前の支持部材と固定部材を示す斜視図である。
【図2】固定部材の構成を示す側面図である。
【図3】押圧部の平面図である。
【図4】固定部材の正面図である。
【図5】固定部材の側面図である。
【図6】支持部材の平面図である。
【図7】支持部材の側断面図である。
【図8】初期位置における両係合部の位置関係を示す一部側断面図である。
【図9】組付位置における両係合部の位置関係を示す一部側断面図である。
【図10】支持部材と固定部材を初期位置としたときの斜視図である。
【図11】支持部材と固定部材を初期位置としたときの側断面図である。
【図12】支持部材と固定部材を組付位置としたときの斜視図である。
【図13】支持部材と固定部材を組付位置としたときの側断面図である。
【図14】第2実施形態における固定部材の構成を示す側面図である。
【図15】固定部材の正面図である。
【図16】固定部材の平面図である。
【図17】固定部材の背面図である。
【図18】押圧部の平面図である。
【図19】Oリングの側断面図である。
【図20】支持部材と固定部材を組み付ける前の側面図(支持部材においては側断面図)である。
【図21】支持部材と固定部材を初期位置としたときの側断面図である。
【図22】支持部材と固定部材を組付位置としたときの側断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1,49…支持部材、2…フロアパネル、3,48…固定部材、6,42…押圧部、10,47…操作部、12…第2係合部、25,43…バネ(付勢部材)、26…第1係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの下面側に設けられる支持部材と、この支持部材の上側から組み付けられて複数枚のフロアパネルを固定する固定部材とを備え、前記支持部材には第1係合部が設けられている一方、前記固定部材には前記第1係合部に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部が設けられており、前記両係合部は、前記両部材を着脱可能な初期位置と、前記固定部材を所定の方向に回転させることで前記両係合部が係合して前記両部材が抜止保持される組付位置とが設けられているフロアパネルの固定構造であって、
前記固定部材には、前記フロアパネルの上面側を押圧する押圧部と、前記第2係合部を回転させる操作部とが設けられていると共に、前記操作部は前記押圧部の回転を規制した状態で前記第2係合部を前記初期位置から前記組付位置とすることが可能であることを特徴とするフロアパネルの固定構造。
【請求項2】
前記固定部材と前記支持部材との間には、両部材が初期位置にあるときに前記固定部材を取り外し方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルの固定構造。
【請求項3】
前記両部材には、前記組付位置に至ったときに相手側の部材に当接することで、回転操作の完了を知らせる当接部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアパネルの固定構造。
【請求項1】
フロアパネルの下面側に設けられる支持部材と、この支持部材の上側から組み付けられて複数枚のフロアパネルを固定する固定部材とを備え、前記支持部材には第1係合部が設けられている一方、前記固定部材には前記第1係合部に対して互いに凹凸係合可能な第2係合部が設けられており、前記両係合部は、前記両部材を着脱可能な初期位置と、前記固定部材を所定の方向に回転させることで前記両係合部が係合して前記両部材が抜止保持される組付位置とが設けられているフロアパネルの固定構造であって、
前記固定部材には、前記フロアパネルの上面側を押圧する押圧部と、前記第2係合部を回転させる操作部とが設けられていると共に、前記操作部は前記押圧部の回転を規制した状態で前記第2係合部を前記初期位置から前記組付位置とすることが可能であることを特徴とするフロアパネルの固定構造。
【請求項2】
前記固定部材と前記支持部材との間には、両部材が初期位置にあるときに前記固定部材を取り外し方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフロアパネルの固定構造。
【請求項3】
前記両部材には、前記組付位置に至ったときに相手側の部材に当接することで、回転操作の完了を知らせる当接部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアパネルの固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−121385(P2008−121385A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309779(P2006−309779)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(506383629)有限会社ヤマユー (1)
【出願人】(506383630)明星建工株式会社 (1)
【出願人】(593157378)株式会社岩崎製作所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(506383629)有限会社ヤマユー (1)
【出願人】(506383630)明星建工株式会社 (1)
【出願人】(593157378)株式会社岩崎製作所 (6)
【Fターム(参考)】
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