説明

フロート

【課題】従来の桟橋は、底板があったため制作する費用とメンテナンスが面倒であった。また、巨大フロートの場合、大気圧の変化で破損する恐れがあり、これらの問題を解決するフロートを提供する。
【解決手段】底板が無いためコストが安く、メンテナンスが要らない。また、コンプレッサー3によりフロートの中を圧縮空気で満たしており、上板1には内圧が加わっているので、下から支えているのと同じである。さらに、フロート内部は殆ど海面に触れないので、錆の心配が無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行場や巨大な港を、海上に作るフロートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浮き桟橋や台船は、船のようになっていて、上部、下部、側面を鉄板で囲い海面に浮かべる物であった。桟橋の場合は、その上を人や、車を走らせるため小さい物でも一辺が5メートルの物であった。また、造船所などは、船のブロックを海上運搬するとき、台船に乗せ、タグボートで押して、部品を海上運搬していた。
【0003】
また、出願されているものには特開平8−253910の名称 桟橋ユニット及びそれを用いた浮き桟橋は、機械的に制作するのが可能であった。それは、フロートをプレスで打ち抜き、中に発泡性樹脂部を設け、上部デッキで蓋をしたものを継ぎ合わして、桟橋を作る物があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−253910
【特許文献2】特開2005−29065
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の桟橋は、船のようになっていたが、底を作るのが面倒であった。 また、出願されているものには特開平8−253910の名称 桟橋ユニット及びそれを用いた浮き桟橋は、フロートをプレスで打ち抜き、中に発泡性樹脂部を設け、上部デッキで蓋をしたものを継ぎ合わして、桟橋を作る物があったが本発明には、その製造方法は不向きである。
また、本発明のフロートは巨大な構造物であるため、底を取り付けると気圧の変化で、破損することが容易に想像できる。
【0006】
そこで、本発明のフロートは、水面に金盥を伏せたようにフロートを浮かべ、コンプレサー(3)が空気を送っているため、底が不要になり、甲板の上板(1)には浮力に使った空気が上板(1)を支えているため、上板(1)の補強(2a)が少なくなったフロートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のフロートは、海上に浮かべる桟橋や飛行場などのフロートであって、そのフロートの甲板には上板(1)がある。
その上板(1)には、側板(2)を溶接して取り付け、その内部をコンプレッサー(3)で圧縮した気体を、配管(4)で送り気密を保つことで目標を達成した。
【0008】
請求項2の、フロートを引繰返す方法は、フロートを逆さにして作り、そのフロートの上板(1)と側板(2)に添った部分に、空気室(5)を設ける。
そして、フロートの中に海水を、注水して転覆さし、そのフロートの他の空間(5a)に空気を入れることで、海中で引繰返すことで目的を達成した。
【0009】
請求項3の、海面でフロート群を組む方法は、海面でフロートの上板(1)と、他のフロートの上板(1)を溶接して止める。そして、前期フロートの側板(2)は、捩子(6)で止めて、フロート群を作ることで目標を達成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフロートは、次のような効果がある。
(イ)本発明のフロートは、底が無いので、そのぶん安くできる。
(ロ)本発明のフロートは底が無いので、中に溜まった空気は、そのまま上部の上板に加わるので、補強が少なくてよい。
(ハ)本発明のフロートは底が無いので、気圧の調節が不要である。
(ニ)本発明のフロートは、海中で引繰返すので、部分的には力が加わらない。
(ホ)フロート群は、いちばん外側の外販しか海水に接していないため、錆の心配がいらない。
(ヘ)フロートを作るためのドックは、フロートが簡単であるため何処でも作れる。
(ト)本発明のフロートは底が無いので、底から潜水艦の係留ができ、その姿は外から見えない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図は、フロートの側面図である。
【図2】図は、下から見た斜視図である。
【図3】図は引繰返して組むときの、一部で断面図である。
【図4】図は、海面に浮かべたところの断面図である。
【図5】図は、注水したところの断面図である。
【図6】図は、水平になったところの断面図である。
【図7】図は、フロート群の、斜視図である。
【図8】図は、フロートの側面図で、排水管を示している。
【図9】図は、フロートとフロートを繋げた部分の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のフロートは、海上に浮かべる桟橋や飛行場などのフロートであって、そのフロートの甲板には上板(1)がある。
その上板(1)には、側板(2)を溶接してあり、その上板(1)と側板(2)を補強するため、補強(2a)が付いており、その補強(2a)と補強(2a)の間に補強の補強(2b)を入れる。
【0013】
そして、できた内部をコンプレッサー(3)で圧縮した気体を配管(4)で送り、気密を保つように側板(2)の下を通って、内部に空気を送ることで、コンプレッサー(3)が故障しても、空気が漏れることが無いため、差支えない。
【0014】
しかし、そのフロートを海に浮かべる形で組むのは、技術的に不可能では無いが、引繰返して組む方がコストが少なくて良い。そこで、上板(1)を地上に並べて、溶接して一枚の大きな上板(1)を作る。裏側の溶接は、後で引繰返したときにするので、開先は両開先のX形で、隙間は開けない方が良い。
【0015】
上板(1)が完成したら、次に側板(2)を取り付ける。側板(2)は、フロートどうしをくっつけるときに、上板(1)が飛び出していると取り付けが良くないので、上板(1)が食み出さないように付ける。そして、補強(2a)を取り付け、補強(2a)の間を補強の補強(2b)が補強し、その間も補強する。
【0016】
できたフロートは、引繰返すために上板(1)と側板(2)に添ったところの、一辺に空気室(5)を設け、ドック内に水を注水して、フロートを水に浮かべる。約30センチでフロートは浮き上がり、フロートが十分に回転する深さの海までタグボートで引っ張り、そこで引繰返す。
【0017】
まず、フロート内に海水を注水して沈めると、空気室(5)が浮力になり、空気室(5)の付いている上板(1)と側板(2)が海面(7)に浮かび、その他の空間(5a)は水没している。そこで、空気を他の空間(5a)に送ると、上板(1)が水面より上がる。そして、フロート全体に空気を送ると全体が持ち上がって、本来のフロートの形になる。
【0018】
フロートは海上を運んで、フロートとフロートをくっつけ、フロートの端とフロートの端の上板(1)を溶接して取り付け、また上板(1)の両開先のX形開先のところを溶接する。そして、側板(2)どうしは捩子(6)で止める。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例に付いて図面を参照して説明する。
(イ)図1の側面図は、本発明のフロートを海面に浮かべたところである。フロート1個の大きさは、縦100メートル、横幅50メートル、高さ6メートルで、フロート群は全体で400個並べて、縦2km、横幅1kmの海上基地を作る場合を説明する。
【0020】
甲板の上板(1)の厚みは16ミリで、側板(2)も16ミリ、後補強(2a)は9ミリとして、全体の重さは850トンである。それを400個繋げると、34万トンで、鉄板を買うお金だけで、1キロ100円として340億円かかり、それを製品に作ると約1700億円かかる。
【0021】
そのフロートを海面に浮かべると、21.5センチメートル沈む。したがって、いちばん外の外板(2a)は、波などにより空気の漏れる心配があるので、空気が漏れないようにスカートを穿く必要があるが、上板(1)をアスファルトやコンクリートを打つことで、50センチのコンクリートを打つと外板(2e)は1.5メートル沈むので条件が変わるが、フロート群の内部の側板(2)は海水に浸からない。
【0022】
図2は、下から見た斜視図であるが、組み立てるときは、その図のように反対にして組み立てると、上板(1)が下になるので補強(2a)などが簡単に組める。そこで、その図のように、側板(2)を6メートルで、補強(2a)は4メートルで、その補強(2a)を補強するため、補強の補強(2b)を2メートルと段々と小さくして補強する。
【0023】
作り方は、上板(1)になる鉄板の縦1524mm横6096mm重さ16mmとして1.167トンの物を、縦33枚、横16枚地上に並べて、溶接して一枚の大きな上板(1)を作る。裏側の溶接は、後で引繰返したときにするので、開先は両開先のX形で、隙間は開けない方が良い。
【0024】
上板(1)が完成したら、次に側板(2)を上板(1)に使った鉄板と同じ物を使い、取り付ける。側板(2)は、上板(1)が食み出さないように付ける。図3を参照して、外側の外板溶接(2c)は開先を取っていないので、レーザー溶接が良く、ともずけという溶接方法である。内側のすみ肉溶接(2d)は、アーク自動溶接でする。そして、補強(2a)は厚み9ミリを取り付け、補強(2a)の間を補強の補強(2b)を同じく厚み9ミリを取り付け、補強する。
【0025】
できたフロートは、引繰返すために上板(1)と側板(2)に添ったところの、一辺に空気室(5)を設ける。空気室(5)は、風船の容積850立方メートル以下だと沈没したしまうから、それ以上の物を取り付ける。そして、ドックに水を注水して、フロートを水に浮かべる。約30センチでフロートは浮き上がり、フロートが十分に回転する深さの海までタグボートで引っ張り、そこで引繰返す。
【0026】
ドックは30センチで浮くため、海抜マイナス1メートルで、大潮の時、海水を注水してフロートを浮かべるので、何処の海岸にでも簡単にドックを作ることができ、側板(2)を立てる高さも6メートルであるから、市販しているレッカー車で十分である。
【0027】
図4は、海中で引繰返すところの断面図である。ドックで逆様にして組んだフロートを、海中で引繰返すため、上板(1)と側板(2)に囲まれた部分に、空気室(5)を設ける。その空気室(5)は850トンの浮力が無いと海中に沈んでしまうため縦100メートル、横12メートル、高さ1メートルの浮力で約1,200トンの浮力ができる。その他の、フロートの中に注水をする。平均的に水を入れないと、水の圧力で歪んで破損することがあるので注意する。
【0028】
図5は、海中に沈めたところの断面図である。フロートは完全に注水が終わると、空気室(5)を中心に図のように傾く。そこで、特別に圧縮した空気を送る。この場合、常設のコンプレッサー(3)は圧力が弱いので、海面(7)から50メートルまで、空気を送らなければならないから圧力0.5パスカルが必要である。その圧縮した空気を、他の空間(5a)に送る。上手く引繰返らないときは、タグボートで空気室(5)のところを、右に引っ張ると良い。
【0029】
図6は、海中から浮き上がったところの断面図である。この後、圧縮した空気を他の空間(5a)全体に、満遍なく送ることで水平に持ち上がる。このとき、空気を入れ忘れると最大0.05パスカルの負圧が加わり、静圧300mm(0.003パスカル)で設計しているフロートは破損するので、注意が必要である。そして、十分に上がったフロートは、静圧500mmのコンプレッサー(3)で空気を送る。完全に浮き上がったところで、空気室(5)に取り付けた風船の空気を抜き、次のフロートに代用して引繰返す。
【0030】
図7は、そのフロートを繋げているところの斜視図である。その図は横に5個、縦に8個並べたところであるが、理想は縦横20個ずつの、縦2キロ、横幅1キロである。その、フロート群の外板(2e)が海水に浸かるだけで、その他の側板(2)は圧縮した空気で海面(7)を押し下げているため、殆ど海水に浸からないため錆の心配がいらない。
【0031】
そして、図8のようにフロートの中央に、雨水用の排水管(4a)を設ける。その排水管(4a)は雨水の排水をするだけでなく、空気が溜まり過ぎるとき、空気を出すのにも使用する。フロート群になると、間に挟まれたフロートは、空気の抜けるところがないため、風船のように空中に浮いてしまう。そこで、側板(2)より10センチ長い排水管(4a)を設けると、側板(2)が海面(7)に触れない位置になる。また、10センチ短くすると、側板(2)は海面(7)に浸かるが、各フロートの高さが一定にしやすい。もし、海面(7)の位置が排水管(4a)より下になると、空気は排水管(4a)を通って抜けてしまうので、排水管(4a)の高さ以上にはならない。
【0032】
フロートどうしを組み合わせる方法は、図9のように海上でフロートを合わせ、上板(1)どうしを自動アーク溶接で上板溶接(1a)をして結合し、側板(2)どうしは捩子(6)で止める。捩子(6)は、φ32の物を縦100本、横50本を取り付けるための穴を開けておく。捩子穴は、引繰返すときはガムテープ1枚で、静圧1000mmはもつので、215mm沈むフロートには十分である。外板(2e)は、215mm沈んでいるだけであるから、波で外板(2e)の底が露出するときは、外板(2e)にスカートを捌かして、空気の漏れを防ぐ必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、ドックも満潮の時、1メートル以下のか高さの堤防で良いのと、作るフロートの構造が簡単で、何処の海岸でも作ることができるため現地で制作できる。
また、以前5万トンのタンクに、スカートを穿かし、空気を送って、タンクを移動さす方法があったが、それと同じで、完全に陸地で作り、そのフロートにスカートを穿かせコンプレッサーで空気を送りホバークラフトのようにして陸地から、海上に運ぶ方法もある。 フロート群は、波を避けるため外板(2e)にスカートを取り付けていたので、フロート群の移動はホバークラフトと同じく、海面(7)との摩擦が少ないので、タグボートの数が少なくてよい。また、ホバークラフトと同じであるから、陸上の移設も簡単であるが、コンプレッサー(3)がフロートの内圧を止めてしまうと、上板(1)の強度が持たないので、突っ張りなどの補強がいる。
【符号の説明】
【0034】
1 上板 1a 上板溶接
2 側板 2a 補強 2b 補強の補強 2c 外板溶接
2d すみ肉溶接 2e 外板
3 コンプレッサー
4 配管 4a 排水管
5 空気室 5a 他の空間
6 捩子
7 海面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上に浮かべる桟橋や飛行場などのフロートであって、
該フロートの甲板には上板(1)があり、
該上板(1)には側板(2)を溶接して取り付け、その内部をコンプレッサー(3)で圧縮した気体を配管(4)で送り、気密を保つことを特徴とするフロート。
【請求項2】
フロートを逆さにして作り、
該フロートの、上板(1)と側板(2)に添った部分の一方に空気室(5)を設け、
該フロートを、注水して転覆さし、
該フロートの、他の空間(5a)に空気を入れることで、海中で引繰返すことを特徴とする請求項1のフロート。
【請求項3】
海面でフロートの上板(1)と、他のフロートの上板(1)を溶接して止め、
前期フロートの側板(2)と、他のフロートの側板(2)は捩子(6)で止めて、フロート群を作ることを特徴とする請求項1のフロート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−235669(P2011−235669A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106307(P2010−106307)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(391011113)
【Fターム(参考)】