説明

ブプレノルフィンとナロキソンを含む改良医薬組成物

患者の痛みを治療するための組成物を提供する。本組成物は、ブプレノルフィンとナロキソンとを痛覚脱失を得るのに適した量であるブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1で含み、経皮又は経粘膜剤形である。関連する方法及び使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブプレノルフィン(buprenorphine)とナロキソン(naloxone)とを含有する医薬組成物並びにこのような組成物の鎮痛剤としての使用及び製造に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイドは中等度から激しい痛みの処置に特に効果的だが、不快で危険性のある有害作用により、その使用は限られている。このような有害作用には、鎮静、呼吸抑制、悪心及び胃腸障害が含まれる。このため、有害作用を最小限に抑えるための努力がなされている。
【0003】
多くのオピオイドがあり、一部のオピオイドは他のものより大きな有害作用をもたらす。従って、鎮痛組成物に用いるオピオイドを慎重に選択するだけで、有害作用の発生と重症度が軽減される場合がある。特に適したオピオイドの1つがブプレノルフィンであり、アゴニスト(モルヒネ様)及びアンタゴニスト特性の両方を有し、大きな身体的依存をもたらすことがないことが判明している。
【0004】
ブプレノルフィン(N−シクロプロピルメチル−7[アルファ]−[1−(S)−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチルプロピル]6,14−エンドエタノ−6,7,8,14−テトラヒドロノルオリパビンの国際一般名称)は、他のアヘン系鎮痛剤に見られる精神異常発現作用のない、強力なアヘン系部分アゴニスト鎮痛剤である。しかしながら、ブプレノルフィンは、患者によってはアヘン系アゴニストに典型的な悪心、嘔吐、便秘、(その部分アゴニスト特性の直接的な結果としての呼吸抑制作用には上限があるものの)呼吸抑制等の副作用をもたらす。
【0005】
オピオイドによる治療とその他の薬剤とを組み合わせることにより、有害作用の発生と重症度を最小限に抑えながらオピオイドの鎮痛効果を強化する試みもなされている。
【0006】
1つのアプローチが、オピオイドによる治療に非オピオイド系鎮痛剤を加えることである。抗侵害受容を達成するのに低レベルのオピオイドしか必要としないため、有害作用が軽減されるというのがその論拠である。
【0007】
別のアプローチは、オピオイド系アゴニストと低用量のオピオイド系アンタゴニストとを同時投与することである。
【0008】
オピオイド系アンタゴニストの投与によりオピオイドの結合が強力に遮断されることを鑑みると、従来の学説に従うと、このような薬剤の使用では痛みの緩和に改善は見られず、結合するアゴニストの部分的な遮断により痛みが強まる可能性があることが予測される。一部のケースでは抗侵害受容が強化され得るが、ヒトでの実験ではオピオイド系アンタゴニストとオピオイド系アゴニストとの併用について相反する発見があることが判明しており、全ての研究が成功しているわけではない。
【0009】
このようなアンタゴニストの1つがナロキソン(1−N−アリル−14−ヒドロキシノルヒドロモルヒノンの国際一般名称)であり、麻薬拮抗薬である。
【0010】
英国特許出願公開第2150832号明細書(GB2150832)には、有効用量のブプレノルフィンと、非経口投与により麻薬中毒者への嫌悪刺激となるには十分だがブプレノルフィンの鎮痛作用を損なうには不十分な量のナロキソンとを含む舌下又は非経口剤形の鎮痛組成物が記載されている。好ましくは、非経口剤形では、ナロキソンとブプレノルフィンとを質量比1:3〜1:1の範囲で含有し、舌下剤形では、比1:2〜2:1の範囲で含有する。英国特許出願公開第2150832号明細書(GB−A−2150832)において、試験はラットで行われた。
【0011】
欧州特許出願公開第1242087A号明細書(EP1242087A)は、痛みを緩和するのに必要な臨床用量より少ないブプレノルフィンと、ブプレノルフィン対ナロキソンの質量比が12.5:1〜27.5:1の範囲となるような量のナロキソンとを含み、ブプレノルフィンの鎮痛作用がこの低用量のナロキソンによって増強される、非経口単位剤形又は粘膜を介した送達に適した単位剤形の鎮痛組成物を提供する。欧州特許出願公開第1242087A号明細書(EP1242087A)において、試験はラットで行われた。
【0012】
ヒトでの研究は行われておらず、またオピオイド系アゴニストとしてのブプレノルフィンとオピオイド系アンタゴニストとしてのナロキソンとの併用について新しい発見がなされている。これらの新しい発見により、ヒトにおいて効果的な痛覚脱失をもたらす治療用量についての我々の理解が深まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】英国特許出願公開第2150832号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1242087A号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様により、患者の痛みを治療するための方法が提供され、本方法は、患者にブプレノルフィンとナロキソンとをブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1の範囲で経皮又は経粘膜投与することを含む。
【0015】
ブプレノルフィンの鎮痛作用は、このような投与様式で達成されたナロキソンの血漿中濃度によって増強されると考えられている。
【0016】
本願で使用のブプレノルフィン、ナロキソンという用語は、エステル、塩基、塩(例えば酸付加塩)等の単純な、関連する薬学的に許容可能な化合物にも及ぶことを意図したものであると理解されたい。特に好ましい塩は、塩酸塩である。しかしながら、本願に記載の比及び質量はブプレノルフィン及びナロキソンそれ自体についてのものである。
【0017】
投与には数分かかる場合がある。好ましくは、少なくとも1分、好ましくは少なくとも2分、好ましくは少なくとも3分かかる。好ましくは、最高10分、好ましくは最高7分、好ましくは最高5分かかる。
【0018】
適切には、本方法は、患者にブプレノルフィンとナロキソンとをブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.2:1又は2.3:1又は2.4:1又は2.5:1又は3:1又は3.5:1の範囲で経皮又は経粘膜投与することを含む。
【0019】
好ましくは、本方法では、患者にブプレノルフィンとナロキソンとを、最高7.5:1 又は6.8:1又は6.4:1又は6:1又は5.5:1又は4.5:1の質量比で経皮又は経粘膜投与する。特に好ましいブプレノルフィン対ナロキソンの質量比は4:1である。
【0020】
経皮又は経粘膜投与のための単位剤形は、例えば、錠剤、フィルム、噴霧剤、パッチ、擦り込み組成物(rub−in composition)又は薬用ドロップ(lozenge)である。第2の態様で詳しく説明するが、投与は、ブプレノルフィンとナロキソンとを含む薬物を好ましくはこのような形態で送達することを含み得る。
【0021】
経皮投与は、真皮を介した全ての投与様式を網羅し得る。経粘膜投与は、粘膜を介した全ての投与様式を網羅し得、投与部位には、例えば、膣粘膜及び直腸粘膜、好ましくは口腔・鼻腔粘膜、例えば、鼻、咽喉、頬、舌下部位が含まれる。経鼻及び舌下投与が特に好ましい。
【0022】
本方法で使用する組成物を単位剤形として、すなわち適当な量のブプレノルフィンとナロキソンとを薬学的に許容可能な希釈剤及び/又は担体と共に含有する物理的に別個の単位として処方することが好ましい。このような単位剤形は、経皮又は経粘膜投与に適した形態である。
【0023】
本方法で使用の薬用ドロップ及び錠剤形態の組成物は、適切には、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖又はこれらの混合物等の材料から選択される可溶性賦形剤を含有する。組成物は、適切には、でんぷん、ポビドン(povidone)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤等の材料から選択される造粒剤及び崩壊剤も含有する。
【0024】
本発明の組成物は、緩衝系、例えば、クエン酸及びクエン酸ナトリウム等の有機酸及びその塩を含有し得る。上記で詳細に説明したように、経皮又は経粘膜投与に適した組成物は、当業者に周知の製造技法により調製し得る。
【0025】
本発明の第2の態様では、患者の痛みを治療するための薬物の製造におけるブプレノルフィン及びナロキソンの使用が提供され、薬物は経皮又は経粘膜投与用であり、ブプレノルフィン及びナロキソンは、ブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1で薬物に配合される。
【0026】
第2の態様による薬物の製造におけるブプレノルフィン及びナロキソンの使用は、第1の態様に関連して記載したようないずれの特徴も含み得る。
【0027】
従って、上記薬物における好ましいブプレノルフィン対ナロキソン比は、好ましくは、第1の態様に関連して上記で定義した通りである。
【0028】
ヒトにおいては、欧州特許第1242087B号明細書(EP1242087B)に記載されるように、鎮痛作用を増強することなく十分に痛みを緩和するには、適切には、体重1kgあたり約40μgの用量のブプレノルフィンが必要とされる。このため、50〜80kgの一般的な体重の場合、ブプレノルフィンの用量は、1日あたりブプレノルフィン2mg〜3.2mgとなる。この用量を、便利よく4単位用量として投与する。
【0029】
本発明の組成物において有効とするのに必要とされるブプレノルフィンの量は、ナロキソンの増強効果なくして有効とするのに必要とされる量よりも少ない。
【0030】
重要なことには、同用量のブプレノルフィンをナロキソンの増強効果がある場合とない場合とで比較した場合、前者の組成物(すなわち、ナロキソンも含有する)によって得られる痛覚脱失の強度及び持続時間は著しく上昇する。従って、ナロキソンと組み合わせた場合、より少ないブプレノルフィン用量で同じ鎮痛作用を達成することができる。治療域内又は治療域全体で、より高い鎮痛効果を達成することができる及び/又はより低濃度のブプレノルフィンを用いることができると言える。
【0031】
適切には、本発明の組成物(ナロキソンを含有する)の単位用量は、ナロキソンを含まないある単位用量のブプレノルフィンで同じように痛みを緩和するのに必要とされるより少ない量のブプレノルフィンを含有する。
【0032】
適切には、本発明の組成物は、1単位用量あたり少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、好ましくは少なくとも20μg、好ましくは少なくとも30μg、最も好ましくは少なくとも40μgのブプレノルフィンを含む。これらの値は、低用量で痛覚脱失を達成するにあたっての本発明の利点を反映している。
【0033】
適切には、本発明の組成物が含有するブプレノルフィンの量はいずれであってもよく、最高で通常の診療の上限量である。適切には、本発明の組成物は、1単位用量あたりブプレノルフィンを最高32mg、好ましくは最高16mg、好ましくは最高8mg、好ましくは最高4mg、好ましくは最高2mg、好ましくは最高1mg、好ましくは最高600μg、好ましくは最高400μg、好ましくは最高200μg、好ましくは最高160μg、好ましくは最高100μg含有し得る。
【0034】
適切には、本発明においては、患者に、24時間あたり(体重)1kgにつきブプレノルフィンを少なくとも0.25μg投与する。好ましくは、投与量は少なくとも0.5μg、好ましくは少なくとも1μg、好ましくは少なくとも1.5μg、最も好ましくは少なくとも2μgである。
【0035】
適切には、本発明においては、患者に、24時間あたり体重1kgにつきブプレノルフィンを最高640μg投与する。好ましくは、投与量は最高320μg、好ましくは最高160μg、好ましくは最高80μg、好ましくは最高40μg、好ましくは最高20μg、好ましく最高16μg、好ましくは最高12μgである。最も好ましくは、投与量は8μg以下である。
【0036】
適切には、本発明の組成物の使用により、痛みの緩和を目的として患者に投与されるブプレノルフィンの量は、24時間あたり少なくとも40μg、好ましくは少なくとも60μg、好ましくは少なくとも80μg、好ましくは少なくとも120μg、最も好ましくは少なくとも160μgである。
【0037】
適切には、本発明の組成物の使用により、痛みの緩和を目的として患者に投与されるブプレノルフィンの量は、最高32mg、好ましくは最高16mg、好ましくは最高8mg、好ましくは最高4mg、好ましくは最高2mg、好ましくは最高1mg、好ましくは最高800μg、好ましくは最高600μg、好ましくは最高400μg、好ましくは最高200μg、好ましくは最高160μg、好ましくは最高100μgである。
【0038】
適切には、組成物は、1単位用量あたり少なくとも1μg、好ましくは少なくとも1.5μg、好ましくは少なくとも2μg、最も好ましくは少なくとも4μgのナロキソンを含む。
【0039】
適切には、組成物は、1単位用量あたり最高4mg、好ましくは最高2mg、好ましくは最高1mg、好ましくは最高500μg、好ましくは最高300μg、好ましくは最高200μg、好ましくは最高100μg、好ましくは最高80μg、最も好ましくは最高50μgのナロキソンを含む。
【0040】
適切には、投与されるナロキソンの量は、24時間あたり体重1kgにつき少なくとも0.025μgである。好ましくは、投与量は少なくとも0.05μg、好ましくは少なくとも0.1μg、好ましくは少なくとも0.15μg、好ましくは少なくとも0.2μg、最も好ましくは少なくとも0.4μgである。
【0041】
適切には、投与されるナロキソンの量は、24時間あたり体重1kgにつき最高320μgである。好ましくは、投与量は最高160μg、好ましくは最高80μg、好ましくは最高40μg、好ましくは最高20μg、好ましくは最高10μg、好ましくは最高8μg、好ましくは最高6μgである。好ましくは、投与量は、24時間あたり体重1kgにつき4μg以下である。
【0042】
適切には、投与されるナロキソンの量は24時間あたり少なくとも5μgであり、好ましくは少なくとも8μg、好ましくは少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、最も好ましくは少なくとも20μgである。
【0043】
適切には、投与されるナロキソンの量は、24時間あたり最高16mgμgであり、好ましくは最高8mg、好ましくは最高4mg、好ましくは最高2mg、好ましくは最高1mg、好ましくは最高500μg、好ましくは最高400μg、好ましくは最高300μg、最も好ましくは最高200μgである。
【0044】
患者に投与し得る化合物の量についての上記記載は、成人患者についてのものである。
【0045】
投与されるブプレノルフィン及びナロキソンの絶対量がどうであれ、ブプレノルフィン対ナロキソンの比について本願に記載の定義は満たされなくてはならない。
【0046】
本発明の第3の態様では患者の痛みを治療するための組成物が提供され、組成物は、ブプレノルフィンとナロキソンとを痛覚脱失を得るのに適した量であるブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1で含み、組成物は経皮又は経粘膜剤形である。
【0047】
適切には、組成物は、第2の態様において記載したような薬物を含む。
【0048】
組成物の使用は、第1の態様による方法における使用を含み得る。
【0049】
第3の態様による組成物は、第1及び/又は第2の態様に関連して記載したようないずれの特徴も含み得る。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を以下の実施例を参照して例を挙げて説明する。
【0051】
薬物
以下の組成:

を有する舌下錠を、ステアリン酸マグネシウムを除く全ての材料を750μmの篩に通す篩過と、これらの材料の混合により調製した。次に、混合した粉末を湿式造粒(aqueous granulation)処理に供し、50℃で乾燥させた。得られた顆粒を750μmの篩に強制的に通し、ステアリン酸マグネシウム(事前に500μmの篩に篩過させてある)と混合した。錠剤用の顆粒を圧縮して、直径5.56mm、質量60mgの錠剤を得た。
【0052】
侵害受容試験
コールドプレッサー(cold pressor:CP)試験を用いて、ブプレノルフィン、ブプレノルフィンとナロキソンとの組み合わせの抗侵害受容を評価した。ブプレノルフィン、ブプレノルフィンとナロキソンとの組み合わせは、(典型的には数分後に)加速させようとすることなく溶解又は分散されるようにと舌下で錠剤を保持することにより投与された。CP試験を投与完了から約20分後に開始し、その後1時間間隔で継続した。化合物の形態は、塩酸ブプレノルフィン及びナロキソン塩酸塩二水和物であった。CP試験では、2つのプラスチック製の円筒形容器を用い、一方を温水で満たし、もう一方を水と砕いた氷とを組み合わせたもので満たして“雪解け状態(slushy)”にした。被験者は、利き手ではないほうの前腕と手を温水にちょうど2分間浸した。1分45秒の時点で、浸した腕に装着した血圧測定器のカフを、拡張期血圧から20mmHg下の圧力にまで膨らませた。血圧測定器のカフにより、低温に対する反応を調べるにあたって、血流の役割が最小限に抑えられた。ちょうど2分の時点で、前腕を温水から冷水に移動させた。全手順を通して被験者の両眼を覆うことにより、被験者が注意散漫となったり時間の見当をつけてしまうことを最小限に抑えた。前腕を冷水に浸した際、被験者には、最初に痛みを感じた時点で知らせるようにと依頼し(痛覚閾値、CPTHR)、次に、痛みにそれ以上耐えられなくなるまで腕を浸したままにするよう依頼した(疼痛耐性、CPTOL)。疼痛閾値及び耐容時間を、冷水に浸してから秒単位で記録した。被験者には非通知の180秒のカットオフ時間で冷水浴を打ち切った。180秒を越えると、しびれ感から疼痛耐性がもはや正確には評価できないからである。疼痛耐性(CPTOL)は、現在の調査において報告される疼痛応答パラメータである。
【0053】
本発明における試験に関し、侵害受容試験は、最小限の背景雑音及び可聴音声並びに針の音がする時計のない同じ環境で行われた。周囲室温及び照明は一貫して同じであった。実験者が、被験者の試験においての反応について議論すること又は平均的な疼痛耐容時間若しくは以前の結果に関する質問に答えることは決してなかった。
【0054】
一連の二重盲検試験におけるこれらの試験パラメータの使用により、ブプレノルフィンとナロキソンとを組み合わせた製品では、ブプレノルフィン単独の場合より痛覚脱失の強度が増し、持続時間が長くなることが実証された。
【0055】
様々な組み合わせを調べて、ナロキソン含有量が高すぎてナロキソンが痛覚脱失に対してブプレノルフィンと拮抗してしまうポイントを求めた。加えて、ナロキソン含有量が低すぎて相乗的な増強効果が得られないポイントを求めた。これら2つのポイントの間のナロキソン含有量全てが、ブプレノルフィンに対するナロキソンの有益な増強効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の痛みを治療するための組成物であって、ブプレノルフィンとナロキソンとを痛覚脱失を得るのに適した量であるブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1で含み、経皮又は経粘膜剤形にあることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記比が2.5:1〜6:1、好ましくは3:1〜5:1、好ましくは3.5:1〜4.5:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
投与単位あたりのブプレノルフィン量が10μg〜8mgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物を口腔・鼻腔投与用に適合させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
患者の痛みを治療するための方法であって、患者にブプレノルフィンとナロキソンとをブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1の範囲で経皮又は経粘膜投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
舌下投与を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
患者の痛みを治療するための薬物の製造におけるブプレノルフィン及びナロキソンの使用であって、前記薬物は経皮又は経粘膜投与用であり、ブプレノルフィン及びナロキソンは、ブプレノルフィン対ナロキソンの質量比2.1:1〜8:1で前記薬物に配合されることを特徴とする使用。
【請求項8】
前記投与は典型的には1分〜10分続く、請求項5、6又は7に記載の方法又は使用。
【請求項9】
ブプレノルフィンの投与が、24時間あたり体重1kgにつき0.25μg〜640μgの範囲でなされる、請求項5、6、7又は8に記載の方法又は使用。
【請求項10】
実質的に本発明に従って前述したような組成物又は方法又は使用。

【公表番号】特表2010−520185(P2010−520185A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551255(P2009−551255)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000523
【国際公開番号】WO2008/104737
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(501427803)レキット ベンキサー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】