説明

ブラシ付ダスターガン

【課題】清掃ブラシと流体噴出ガンの機能を有するブラシ付ダスターガンを提供する。
【解決手段】本体(1)の後方に斜め上方に傾斜するハンドル(2)があり、このハンドル(2)と本体(1)内には、圧縮空気や水等の流体が流入する流入管(10)、切換弁(12)、ノズル管(13)、連絡管(14)が設けられ、ノズル管(13)の先端には本体の上部前方に開口する噴出ノズル(21)がある。上記連絡管(14)は、空室(7)に開口し、この空室(7)の底板(6)の下方には、前方が開口し周囲をブラシ壁(25)で閉塞するようブラシが設けられている。ブラシ壁により形成された噴出空間内に、前方に向けて圧縮空気や水等の流体を噴出するよう上記底板(6)には、傾斜噴出口(27)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気や水等の流体を噴出するノズルと清掃ブラシを具備したブラシ付ダスターガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属加工、溶接作業、塗装作業等における切削粉、スパッター、スラグ、塗装粉塵等の除去、剥離、木材や石材加工現場における木屑等の粉塵、衣服に付着した塵埃その他の除去等のためにエアガンや清掃ブラシが用いられている。通常これらの部材は独立して設けられているから、エアで吹き飛ばしたり、ブラシで付着物の剥離をするためには、エアガンと清掃ブラシを別々に用意しなければならず、作業も面倒であるし、経済的でもない。エアガンにブラシを併設した清掃具も提案されている(例えば、特許文献1参照)が、圧縮空気の噴出ノズルの先端周囲に植毛リングを嵌着する構成であるから、吹き飛ばされた塵埃等が周辺に散らかって1ヶ所に集めにくく、固い付着物の剥離の際に効果的に力を入れることがむずかしい形態になっている。また、通常の清掃ブラシは被清掃面上を前後動させて使用することが多いが、そのような態様で使用することがむずかしい。なお、水を噴出しながら洗浄する清掃ブラシも知られているが、ブロック製の花壇、タイル、シャッター、網戸等の建具、バイク、自転車、ウッドデッキその他を清掃する際に、上述と同じような欠点がある。
【特許文献1】特開平11−90367号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決課題は、エアガンや水噴出ガンとしても清掃ブラシとしても的確に使用でき、塵埃等が四方に飛び散らからず、作業者から前方向にのみ集めて集塵しやすいブラシ付ダスターガンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、本体と該本体の後方に斜め上方に傾斜するハンドルを有し、該ハンドル内に流体の流路を形成すると共に該流路に通じる噴出ノズルを本体の上部前方に設け、該本体内に上記流路からの流体が流入する空室を形成し、該空室の底板の下方に前方が開口し周囲を閉塞するブラシ壁が形成されるようブラシを設け、該ブラシ壁により形成された噴出空間内に前方に向けて流体を噴出するよう上記底板に傾斜噴出口を設けたブラシ付ダスターガンが提供され、上記課題が解決される。上記流体としては、圧縮空気や不活性ガス等の気体、水や洗浄液等の液体を適宜使用することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は上記のように構成され、本体の底板の下方にブラシ壁を設けてあるので、ハンドルを持って前後動することにより通常の清掃ブラシのように使用でき、該ブラシ壁のブラシ先端が被清掃面に面接触して広い面積を力強く確実にブラシ清掃したり、剥離作業することができる。また、切換弁を切り換えて噴出ノズルから圧縮空気や水等の液体を噴出させれば、通常のエアガンや水噴出ガンとして使用することができる。さらに、上記ブラシ壁により形成された噴出空間内に傾斜噴出口から圧縮空気等の流体を噴出すれば、前方へ向う流れを生じて該ブラシ壁により剥離され、集められた塵埃等を前方に吹き寄せることができ、周囲に飛散することがない。特にハンドルを把持している作業者の手元の方に塵埃等が飛ばないから、衛生的で使いやすい。この際、傾斜噴出口から噴出される圧縮空気等の流体は、本体内の空室に一度溜まってから噴出されるので、傾斜噴出口を任意の位置に複数個所に設けても、各噴出口からほぼ均一の流体圧力で噴出でき、効率よく作業することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明をブラシ付エアダスターガンとして適用した一実施例を示し、本体(1)と該本体(1)の後方に斜め上方に傾斜して一体的に設けられたハンドル(2)を有し、ほぼ半割状のシェル部材(3)を2つ組み合わせて構成され、上記本体(1)とハンドル(2)の内部が中空状に形成され、所望により吊下孔(4)が外面に形成されている。また、上記本体(1)内は、内壁(5)により区画され、底板(6)との間に空室(7)を形成すると共に該空室(7)の上方にノズル挿通部(8)を設けてある。なお、上記ハンドルの傾斜角度は、約10〜45度、好ましくは約15度程度とするとよい。
【0007】
上記ハンドル(2)には、開口(9)を通して図示を省略した接続具により圧縮空気供給源に通じる流路を有する流入管(10)が収納され、該流入管(10)には継手(11)を介して切換弁(12)が接続されている。該切換弁(12)にはノズル管(13)及び連絡管(14)が接続若しくは一体的に形成され、該切換弁(12)により上記流路からの圧縮空気を上記ノズル管(13)に流入させたり、上記連絡管(14)に流入させたりする。なお、上記切換弁(12)は、上下にフランジ(15)を有する略筒状体に形成され、上記シェル部材(3)を合着する際、該フランジ(15)部分が外方に露出した状態で半円弧状の取付部(16)に嵌着している。
【0008】
上記切換弁(12)は、ロータリーバルブその他の種々の構成を採用することができるが、図に示す実施例ではスプール形のバルブを使用し、該スプールを移動させて流路を切換えている。このような切換を行うため、図に示すように切換弁(12)の上方には押ボタン(17)が設けられ、下方には操作杆(18)が突出している。この操作杆(18)を押圧するよう上記本体には、レバー(19)がピン(20)により枢着されている。該レバー(19)は、断面略U字状に形成され、U字状の底部が上記操作杆(18)の下端に当接する。上記押ボタン(17)を押せば、スプールを介して上記レバー(19)は下方に回動し、該レバー(19)を引けば上記押ボタン(17)はスプールを介して上昇し、そのような操作で上記スプールを移動させることができる。
【0009】
上記ノズル管(13)の先端は、本体の上部前方に開口する噴出ノズル(21)となっている。該噴出ノズル(21)は、好ましくは本体より少し前方に突出するよう設けられている。また、上記連絡管(14)は、上記空室(7)に開口している。なお、上記流入管(10)、切換弁(12)、ノズル管(13)及び連絡管(14)は、全体として上記本体(1)及びハンドル(2)内に着脱できるよう構成されており、それにより製造、組み立てを容易にすることができる。
【0010】
上記空室(7)の底板(6)には、ブラシ体(22)が交換可能に取り付けられている。該ブラシ体(22)の基板(23)には、図2に示すように、前方が開口(24)し、周囲を閉塞するブラシ壁(25)を形成するようブラシが設けられ、金属製のブラシやプラスチック製その他の適宜のブラシ材料を用いたものが用意されている。上記ブラシ壁(25)により該ブラシ体(22)には噴出空間(26)が形成されるが、該噴出空間(26)は、用途に応じて、1つにしたり(図2(A))、途中にブラシ壁(25)のパーティションを設けて複数個所に設けたり(図2(B))、ブラシ壁(25)を曲線状に設けてわん曲して形成してもよい(図2(C))。
【0011】
上記底板(6)及びブラシ体(22)の基板(23)には、空室(7)に溜った圧縮空気を上記噴出空間(26)内に前方に向けて噴出するよう傾斜噴出口(27)を設けてある。この傾斜噴出口(27)は、各噴出空間(26)内の適宜位置に開口するよう複数設けることができ、各傾斜噴出口(27)からほぼ均一のエア圧でエアを噴出することができる。なお、上記傾斜噴出口(27)の傾斜角度は約10〜75度、好ましくは約45度程度に設けてある。
【0012】
上記構成により清掃ブラシやエアガンとして使用することができ、また、ブラシ壁(25)により形成され前方に開口し周囲が閉塞された噴出空間(26)内に前方に向けて圧縮空気を噴出することができるので、作業者の手元に塵埃等を飛散させることなく前方に吹き集めることができ、各種の用途に使用することができる。
【0013】
上記実施例は、流体として圧縮空気を用いているが、用途に応じて不活性ガス等の気体を用いることもできる。また、水や各種洗浄液等の液体を用いて水等の噴出ガンと清浄ブラシの機能を備えたブラシ付ダスターガンとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明をエアダスターガンに適用した一実施例を示し、半割状のシェル部材の一方を外し、一部を断面した正面図。
【図2】ブラシ体の底面図。
【符号の説明】
【0015】
1 本体
2 ハンドル
6 底板
7 空室
10 流入管
12 切換弁
13 ノズル管
14 連絡管
17 押ボタン
19 レバー
21 噴出ノズル
22 ブラシ体
25 ブラシ壁
26 噴出空間
27 傾斜噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と該本体の後方に斜め上方に傾斜するハンドルを有し、該ハンドル内に流体の流路を形成すると共に該流路に通じる噴出ノズルを本体の上部前方に設け、該本体内に上記流路からの流体が流入する空室を形成し、該空室の底板の下方に前方が開口し周囲を閉塞するブラシ壁が形成されるようブラシを設け、該ブラシ壁により形成された噴出空間内に前方に向けて流体を噴出するよう上記底板に傾斜噴出口を設けたブラシ付ダスターガン。
【請求項2】
上記噴出空間は、ブラシ壁で形成したパーティションを介して複数設けられ、各噴出空間にそれぞれ上記傾斜噴出口が設けられている請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項3】
上記ハンドルの傾斜角度は、10〜45度である請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項4】
上記傾斜噴出口の傾斜角度は、10〜75度である請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項5】
上記流路は、流体の流入管、該流入管に接続された切換弁、該切換弁に通じ先端に噴出ノズルを有するノズル管及び該切換弁に通じ空室に開口する連絡管を含む請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項6】
上記切換弁は、流体をノズル管側若しくは連絡管側へ切換えるための押ボタン及びレバーを含む請求項5に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項7】
上記流体は圧縮空気等の気体である請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。
【請求項8】
上記流体は水等の液体である請求項1に記載のブラシ付ダスターガン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−175692(P2007−175692A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90175(P2006−90175)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(592218919)有限会社サニー商事 (5)
【Fターム(参考)】