ブラシ装置及びモータ
【課題】部品点数を増加させることなくブラシのがたつきを抑制することができるブラシ装置を提供する。
【解決手段】ブラシ装置31は、整流子16の軸線方向に離間した一対の内側面S1,S2を有し整流子16の略径方向に延びるブラシホルダ32と、ブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容され先端が整流子16に接触するブラシ33と、ブラシ33の後端部を整流子16に向けて付勢するトーションスプリング34とを備えている。トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置を押圧することでブラシ33を整流子16に向けて付勢している。ブラシ33は、トーションスプリング34に付勢されることで、その先端側で一方の内側面S1に接触するとともに、その後端側で他方の内側面S2に接触している。
【解決手段】ブラシ装置31は、整流子16の軸線方向に離間した一対の内側面S1,S2を有し整流子16の略径方向に延びるブラシホルダ32と、ブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容され先端が整流子16に接触するブラシ33と、ブラシ33の後端部を整流子16に向けて付勢するトーションスプリング34とを備えている。トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置を押圧することでブラシ33を整流子16に向けて付勢している。ブラシ33は、トーションスプリング34に付勢されることで、その先端側で一方の内側面S1に接触するとともに、その後端側で他方の内側面S2に接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流子にブラシを接触させるブラシ装置、及び該ブラシ装置を備えたモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータには、回転駆動される回転軸に外嵌固定された整流子の外周面にその先端が接触する給電用のブラシと、該ブラシを内側に保持する筒状のブラシホルダと、該ブラシの後端を整流子に向けて付勢するスプリングとを有するブラシ装置を備えたものがある。そして、このようなブラシ装置には、ブラシの後端を付勢するスプリングとしてトーションスプリングを用いたものがある。トーションスプリングを用いると、例えばコイルスプリングを用いる場合に比べてブラシ装置を小型化することができる。しかしながら、一般的に、トーションスプリングは、ブラシの後端面を1点で押圧して同ブラシを整流子に向けて付勢する。更に、ブラシホルダの内周面は、ブラシの熱膨張を考慮してブラシの外形よりも若干大きく形成されている。そのため、回転軸の回転駆動時、即ち整流子の回転時に、ブラシホルダの内部でブラシの姿勢が安定し難く、ブラシの先端と整流子との接触状態が不安定になってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されたブラシ装置では、ブラシを安定した状態で整流子に接触させるために、ブラシの後端部に設けた板状の押圧部材をトーションスプリングで付勢し、該押圧部材を介してトーションスプリングの付勢力をブラシに伝達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−124518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたブラシ装置では、トーションスプリングは、押圧部材を1点で押圧するため、トーションスプリングによる押圧部材の付勢方向が安定し難い。そのため、押圧部材を介して付勢されるブラシについても、付勢される方向が安定し難く、ブラシホルダの内部でブラシががたついて(暴れて)しまう虞があった。また、押圧部材を追加することになるため、部品点数が増加されてしまう。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数を増加させることなくブラシのがたつきを抑制することができるブラシ装置及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し前記整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、トーションスプリングは、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置を押圧する。そのため、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力をブラシに付与しやすくなる。そして、当該回転力が付与されたブラシは、その先端側で一方の内側面に接触して押し付けられるとともに、その後端側で他方の内側面に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを抑制することができる。また、ブラシを安定した状態で整流子に接触させることができる。更に、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置をトーションスプリングによって押圧することでブラシホルダ内でのブラシのがたつきを抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシ装置において、一対の前記内側面は、前記整流子に向かって前記整流子の軸線方向一端側に傾斜しており、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、整流子の直径方向と略平行な方向にトーションスプリングがブラシの後端部を付勢すると、ブラシは、その先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように容易に回転されて、その先端側で一方の内側面に接触するとともにその後端側で他方の内側面に接触できる。従って、トーションスプリングによるブラシの付勢方向を複雑な方向としなくてもよいため、ブラシ装置の構造が複雑化されることが抑制される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のブラシ装置において、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧し、前記ブラシは、前記中心線よりも前記整流子の軸線方向他端側で前記整流子に接触することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、トーションスプリングがブラシを付勢することで生じる、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力を大きくしやすい。従って、ブラシの先端側で該ブラシを一方の内側面により強く押し付けるとともに、ブラシの後端側で該ブラシを他方の内側面により強く押し付けることができる。よって、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシがより移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきをより抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端側の部分には、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧位置に対して前記中心線を挟んで反対側に、前記ブラシに電源を供給するためのピッグテールが接続されていることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、トーションスプリングがブラシを付勢することで生じる、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力と略同方向の力が、ピッグテールからブラシに付与される。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが更に移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを更に抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧するとともに、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ブラシホルダの内部で、整流子の周方向にブラシががたつくことを抑制できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、押圧凸部は、追従凹部に挿入されて該追従凹部の内周面における整流子の周方向に離間した2箇所を押圧している。ブラシが摩耗すると、ブラシの後端部が整流子の方へ移動するため、それに伴ってトーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が同トーションスプリングのコイル部付近を回転中心として回転する。このように、トーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が回転しても、押圧凸部が、整流子の軸方向から見てブラシの後端部側に突出した円弧状をなすため、追従凹部の内周面において整流子の周方向に離間した2箇所を押圧凸部にて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシが摩耗しても、整流子の周方向のブラシのがたつきを抑制することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のブラシ装置において、一対の前記内側面のうち前記ブラシの先端側が接触する前記内側面は、該内側面における前記整流子側の端に、前記整流子の軸線方向と直交し且つ前記ブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなす直線部を有し、前記ブラシは、その先端側で前記直線部に接触することをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、ブラシは、その先端側では直線部に接触するため、内側面に対して線接触若しくは面接触することが可能である。そして、直線部は、整流子の軸線方向と直交し且つブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなしている。従って、ブラシは、トーションスプリングの付勢力によって同ブラシの先端側で直線部に押し付けられて同直線部に線接触若しくは面接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。よって、ブラシのがたつきを一層抑制することができるとともに、ブラシをより安定した状態で整流子に接触させることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、回転駆動される回転軸に一体回転可能に固定された前記整流子と、前記整流子の外周面に摺接する前記ブラシを有する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のブラシ装置と、を備えたモータとしたことをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、モータは、ブラシホルダ内でのブラシのがたつきが抑制されたブラシ装置を備えているため、このモータにおいてブラシのがたつきによる騒音の発生が抑制される。また、ブラシは、安定した状態で整流子に接触しているため、ブラシの過剰な摩耗が抑制されて同ブラシの寿命が短くなることが抑制されている。従って、ひいてはモータの寿命が短くなることが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、部品点数を増加させることなくブラシのがたつきを抑制することができるブラシ装置及びモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】モータの正面図。
【図2】第1実施形態におけるモータ部の斜視図。
【図3】第1実施形態におけるモータ部の端面図(図4におけるC−C端面図)。
【図4】第1実施形態におけるモータ部の端面図(図3におけるA−A端面図及びB−B端面図)。
【図5】第1実施形態のモータ部におけるブラシの先端部付近の拡大図。
【図6】第1実施形態のモータ部におけるブラシの後端部付近の拡大図。
【図7】第1実施形態におけるブラシ装置の模式図。
【図8】第2実施形態のベース部材の斜視図。
【図9】第2実施形態のベース部材の平面図。
【図10】第2実施形態のモータ部におけるブラシの先端部付近の拡大図。
【図11】別の形態のブラシ装置の模式図。
【図12】別の形態のブラシ装置の模式図。
【図13】別の形態のブラシ装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。モータ1は、図1において上部に位置するモータ部2と、モータ部2の出力側(図1においてモータ部2の下側)に設けられた減速部3と、減速部3の側方(図1において左側)に組み付けられたコネクタ部4とから構成されている。
【0025】
モータ部2のヨークハウジング11(以下、単にヨーク11とする)は、一端(図1において上側の端部)が閉塞された筒状をなしている。また、同ヨーク11の他端の開口部には、径方向外側に延びるフランジ部11aが形成されている。このヨーク11の内周面には、図示しないマグネットが固着されるとともに、該マグネットの内側に電機子12が配置されている。
【0026】
電機子12は、ヨーク11の径方向の中央部に配置された円柱状の回転軸13と、該回転軸13に一体回転可能に固定された電機子コア14と、該電機子コア14に巻装されたコイル15と、前記電機子コア14よりも回転軸13の先端側(図1において下端側)に固定された整流子16とから構成されている。
【0027】
回転軸13の基端部(図1において上側の端部)は、ヨーク11の底部中央に設けられた軸受(図示略)によって軸支されている。また、回転軸13の先端部(図1において下側の端部)は、ヨーク11の開口部から同ヨーク11の外部に突出している。そして、前記電機子コア14は、回転軸13におけるヨーク11の内部に配置された部分に固定されて前記マグネット(図示略)と径方向に対向している。その一方、前記整流子16は、回転軸13におけるヨーク11の外部に突出した部分に該回転軸13と一体回転可能に外嵌固定されている。
【0028】
また、整流子16は、円筒状をなすとともに、その外周面には、周方向に離間するように複数のセグメント16aが並設されている。一部のセグメント16a若しくは全てのセグメント16aは、前記コイル15に電気的に接続されている。即ち、整流子16のセグメント16aを介してコイル15に電源を供給できるようになっている。
【0029】
図1及び図2に示すように、前記ヨーク11の開口部には、該開口部を略閉塞するようにブラシホルダアセンブリ21が配置されている。モータ部2を構成するブラシホルダアセンブリ21は、ヨーク11の開口部に配置されるベース部材22に電子部品等を装着して形成されている。
【0030】
ベース部材22は、絶縁性の樹脂材料にて形成されている。そして、ベース部材22は、ヨーク11の開口部を閉塞する略平板状の基部23を有するとともに、基部23の外形形状は、ヨーク11の開口部よりも若干大きく形成されている。また、基部23の外縁部には、後述する減速部3のギヤハウジング41とヨーク11との間の液密性を確保するシール部材24が設けられている。シール部材24は、例えばエラストマにて形成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、基部23の中央部には、ヨーク11側に開口する有底円筒状のカバー部25が該基部23と一体に形成されている。カバー部25は、基部23からヨーク11と反対方向に軸方向に沿って突出するとともに、カバー部25の底部中央には軸受26が保持されている。そして、ヨーク11の開口部から突出した前記回転軸13の先端側の部分は、カバー部25の径方向の中央部を通りカバー部25の底部を貫通するとともに、軸受26によって軸支されている。即ち、前記回転軸13は、この軸受26と前記ヨーク11の底部中央に設けられた軸受(図示略)とによって軸支されることにより、回転軸13の中心軸線L1を回転中心として回転可能となっている。また、カバー部25の内部には、前記整流子16が収容されている。
【0032】
また、基部23におけるヨーク11と反対側の軸方向の端面上であってカバー部25の径方向外側となる2箇所にブラシ装置31がそれぞれ設けられている。2つのブラシ装置31は、ブラシホルダ32、該ブラシホルダ32内に保持されたブラシ33、該ブラシ33の後端部を整流子16に向けて付勢するトーションスプリング34をそれぞれ有する。
【0033】
2つのブラシ装置31のブラシホルダ32は、カバー部25の径方向外側で同カバー部25の周方向(整流子16の周方向に同じ)に90°離間した2箇所に形成されるとともに、基部23と一体に形成されている。各ブラシホルダ32は、カバー部25の略径方向(整流子16の略径方向に同じ)に延びる略四角筒状をなしている。図3及び図4に示すように、ブラシホルダ32の径方向内側の端部はカバー部25に一体に形成されるとともに、ブラシホルダ32の内部空間は、カバー部25に形成された挿通開口部25aを介してカバー部25の内部空間に連通している。尚、図4は、カバー部25を通る一点鎖線の円の外側が図3におけるA−A端面図であり、カバー部25を通る一点鎖線の円の内側が図3におけるB−B端面図となっている。
【0034】
図2及び図3に示すように、ブラシホルダ32における軸方向(整流子16の軸線方向)に離間した一対の側壁32a,32bは、平板状をなすとともに、その径方向内側の端部がカバー部25と一体に形成されている。また、一対の側壁32a,32bは、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。尚、整流子16の軸線方向は、回転軸13の中心軸線L1方向と同方向である。本実施形態では、側壁32a,32bは、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16におけるカバー部25の開口部側(ヨーク11側)の軸線方向の端部の方へ傾斜している。従って、側壁32a,32bは、径方向外側の端部から径方向内側の端部に向かうに連れて基部23との間の軸方向の距離が短くなっている。また、一対の側壁32a,32bは互いに平行をなしている。このような一対の側壁32a,32bのうちカバー部25の底部側の側壁32aの内側面である第1の内側面S1は、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16に向かって同整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。同様に、一対の側壁32a,32bのうちカバー部25の底部と反対側(即ちカバー部25の開口部側)の側壁32bの内側面である第2の内側面S2は、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16に向かって同整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。本実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、同整流子16におけるカバー部25の開口部側(ヨーク11側)の軸線方向の端部の方へ傾斜している。これらの第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16の軸線方向に離間するとともに、それぞれ平面状をなしている。
【0035】
また、図2及び図4に示すように、ブラシホルダ32における周方向(整流子16の周方向)に離間した一対の側壁32c,32dは、一対の側壁32a,32bの周方向の両側で該一対の側壁32a,32bと一体に形成されている。一対の側壁32c,32dは、軸方向に沿って立設された平板状をなすとともに、互いに平行をなしている。また、側壁32c,32dにおける基部23側の軸方向の端部は、基部23に一体に形成されるとともに、側壁32c,32dにおける径方向内側の端部は、カバー部25に一体に形成されている。
【0036】
また、ブラシホルダ32において、前記側壁32aには、径方向外側の端部から径方向に沿って径方向内側に延びる挿通溝32eが形成されている。挿通溝32eは、側壁32aを軸方向(整流子16の軸線方向)に貫通し軸方向の両側に開口するとともに、径方向には径方向外側にのみ開口している。
【0037】
図3及び図4に示すように、上記のようなブラシホルダ32に挿入された前記ブラシ33は四角柱状をなしている。ブラシ33の外形は、ブラシホルダ32の四角筒状の内周面よりも若干小さく形成されている。従って、ブラシ33は、ブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容されている。このように、ブラシ33がブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容されることにより、モータ部2の駆動時にブラシ33が熱膨張したとしても、ブラシホルダ32の内部でブラシ33が整流子16の径方向に移動できるようになっている。また、ブラシ33の先端は、前記挿通開口部25aからカバー部25の内部に入り、整流子16の外周面に接触可能となっている。更に、ブラシ33は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側に傾斜した第1及び第2の内側面S1,S2間に配置されることで、その後端から先端に向かうに連れて整流子16の軸線方向の一端(整流子16におけるヨーク11側の軸線方向の端部)に近づくように整流子16の直径方向に対して傾斜している。また、ブラシ33において第1の内側面S1と軸方向に対向する第1の側面33aと、ブラシ33において第2の内側面S2と軸方向に対向する第2の側面33bとは、互いに平行な平面状をなしている。
【0038】
図3に示すように、ブラシ33の先端部は、ブラシ33の先端(整流子16側)に向かうに連れて軸方向の幅が徐々に狭くなるように形成されており、先端が三角形状に尖っている。このようにブラシ33の先端が三角形状に尖った状態は、モータ1の慣らし運転を行う前の状態(即ちブラシ33が摩耗する前の状態)である。そして、ブラシ33の先端部には、ブラシ33の先端に向かうに連れて互いの軸方向の間隔が狭くなる一対の傾斜面33d,33eが形成されている。また、図5に示すように、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見ると、整流子16外周面に略沿った円弧状をなすように凹んでいる。更に、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見ると、ブラシ33の中心線L2を対称軸として線対称な円弧形状をなしている。尚、ブラシ33の中心線L2は、ブラシ33の先端から後端に延びブラシ33の中心を通る直線である。また、円弧状に凹んだブラシ33の先端の曲率半径は、整流子16の外周面の曲率半径よりも大きい値となっている。そのため、ブラシ33の先端は、その周方向の中央で整流子16の外周面に接触する。本実施形態では、ブラシ33の先端は、その周方向の中央において、整流子16の外周面に点接触、若しくは接触面積が小さく点接触に近い状態(線接触を含む)で接触する。また、ブラシホルダ32に保持されたブラシ33の先端が整流子16の外周面に接触した状態においては、前記傾斜面33d,33eと整流子16の外周面との間には隙間が形成されている。
【0039】
図3に示すように、ブラシ33の後端部における、整流子16の軸線方向一端側(本実施形態では、整流子16におけるカバー部25の開口部側の軸線方向一端側)の端部には、ブラシ33の中心線L2方向に段差が形成されるように凹設された段差凹部33fが形成されている。そして、段差凹部33fの内側面のうち、ブラシ33の先端と反対方向を向くとともにブラシ33の中心線L2と直交する平面状をなす押圧面33gの中央部には、ブラシ33の先端と反対側に開口した追従凹部33hが形成されている。図4及び図6に示すように、追従凹部33hは、整流子16の軸線方向から見ると、押圧面33gにおいて、ブラシ33における整流子16との接触点P1を通り中心線L2と平行な直線L3を含む領域に形成されている。尚、本実施形態では、接触点P1は、ブラシ33の先端の周方向の中央に位置するため、整流子16の軸線方向からブラシ33を見た場合、直線L3は中心線L2に一致する。また、追従凹部33hは、その開口部から底部に向かうに連れて整流子16の周方向に沿った方向の幅が徐々に狭くなるように凹設されている。そして、本実施形態では、追従凹部33hを整流子16の軸線方向と直交する平面で切った断面の形状は、ブラシ33の先端と反対方向に開口する略V字状をなすとともに、中心線L2(直線L3)を対称軸として対称形状をなしている。
【0040】
図2及び図4に示すように、前記トーションスプリング34は、コイル部34aと、コイル部34aの一端から突出する係止部34bと、コイル部34aの他端から突出する押圧部34cとからなる。基部23におけるヨーク11と反対側の軸方向の端面上には、各ブラシホルダ32の近傍に支柱27がそれぞれ形成されている。支柱27は、軸方向に沿って延びコイル部34aの内径と略等しい外径を有する円柱状をなしている。そして、各支柱27には、それぞれトーションスプリング34のコイル部34aが外挿されている。支柱27に外挿されたコイル部34aの中心軸線L4は、整流子16の軸線方向と略平行をなしている。また、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の係止部34bは、カバー部25の外周面において2つの支柱27間に形成された係止溝25bに挿入されて係止されている。
【0041】
また、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の押圧部34cの先端部は、ブラシ33の後端部に接触し、該ブラシ33を整流子16に向けて付勢している。前記ブラシホルダ32の側壁32cには、整流子16の径方向に延び押圧部34cの整流子16側への移動を許容する図示しない挿入溝が形成されており、押圧部34cは、この挿入溝を通ってブラシ33の後端部に接触している。
【0042】
図4及び図6に示すように、押圧部34cの先端部(即ちトーションスプリングの一端部)には、ブラシ33の後端部側に突出した押圧凸部34dが形成されている。押圧凸部34dは、整流子16の軸線方向から見て円弧状に突出している。更に、押圧凸部34dにおける整流子16の周方向の幅は、前記追従凹部33hにおける整流子16の周方向の幅よりも広く形成されている。
【0043】
そして、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の押圧凸部34dは、該押圧凸部34dの先端部が追従凹部33hに挿入されるとともに、追従凹部33hの内周面を整流子16の方へ押圧している。トーションスプリング34は、このように追従凹部33hの内周面を押圧凸部34dにて押圧することで、ブラシ33を整流子16に向けて付勢している。尚、コイル部34aの中心軸線L4は整流子16の軸線方向と略平行をなしているため、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、トーションスプリング34は、追従凹部33hの内周面を押圧凸部34dにて押圧することで、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(本実施形態では、整流子16におけるヨーク11側の軸線方向一端側)の位置を押圧している。更に、図3及び図7に示すように、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所と、ブラシ33と整流子16との接触箇所とは、整流子16の軸線方向にずれている。
【0044】
また、図4及び図6に示すように、追従凹部33hに挿入された押圧凸部34dは、追従凹部33hの内周面における整流子16の周方向に離間した2箇所を押圧している。押圧凸部34dにおける整流子16の周方向の幅は、追従凹部33hにおける整流子16の周方向の幅よりも広く形成されているため、押圧凸部34dは、追従凹部33hの周方向の両端をそれぞれ押圧している。そして、追従凹部33hの内周面において押圧凸部34dにて押圧される2箇所の押圧点P4,P5は、整流子16の軸線方向から見ると、中心線L2(直線L3)の両側にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。
【0045】
そして、図7に示すように、ブラシ33には、トーションスプリング34の付勢力F1と、トーションスプリング34による付勢に伴って整流子16から受ける抗力F2とが作用している。ブラシ33を整流子16の周方向から見た場合(即ち図7に示す状態)、トーションスプリング34の付勢力F1は、押圧点P4,P5と接触点P1とを結ぶ直線(図示略)に沿った分力F1aと、該分力F1aと直交する分力F1bとに分解される。また、抗力F2は、押圧点P4,P5と接触点P1とを結ぶ直線(図示略)に沿った分力F2aと、該分力F2aと直交する分力F2bとに分解される。そして、分力F1bは、ブラシ33の後端部を第2の内側面S2の方へ付勢するとともに、分力F2bは、ブラシ33の先端部を第1の内側面S1の方へ付勢する。従って、トーションスプリング34にてブラシ33を付勢することにより生じた分力F1b及び分力F2bによって、ブラシ33には、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように(図7において矢印α方向に)該ブラシ33を回転させようとする回転力が付与される。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、ブラシホルダ32の内部で同ブラシホルダ32に対して整流子16の軸線方向に傾斜し、その先端側で第1の内側面S1に接触して押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。尚、第1の内側面S1においてブラシ33が接触した接触箇所を第1の接触支持点P2とし、第2の内側面S2においてブラシ33が接触した接触箇所を第2の接触支持点P3とする。
【0046】
図2及び図3に示すように、ブラシ33の後端部には、ブラシ33に電源を供給するためのピッグテール35の一端が接続されている。本実施形態では、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧位置(即ち前記押圧点P4,P5)に対して中心線L2を挟んで反対側となる位置に接続されている。従って、ピッグテール35の一端は、ブラシ33における整流子16の軸線方向他端側の側面、即ち第1の側面33aにおけるブラシ33の後端側の部分に接続されている。ピッグテール35は、ブラシホルダ32の側壁32aに形成された前記挿通溝32eを通ってブラシホルダ32の外部に引き出されている。そして、各ブラシ33に接続された各ピッグテール35の他端は、基部23に固定されたチョークコイル28(図2には1つのみ図示)を介して、同基部23に保持された給電用ターミナル29にそれぞれ電気的に接続されている。尚、チョークコイル28は、電機子12に供給する電源に含まれる雑音を除去するための雑防素子である。
【0047】
図1に示すように、前記減速部3は、ギヤハウジング41と、該ギヤハウジング41内に収容された減速機構42とを有する。ギヤハウジング41は、ヨーク11のフランジ部11aに固定されるホルダ収容部43と、該ホルダ収容部43から回転軸13の中心軸線L1方向に沿ってヨーク11と反対方向に延びるウォーム軸収容部44と、ウォーム軸収容部44の側方(図1において右側方)に形成されたウォームホイール収容部45とを有する。
【0048】
ギヤハウジング41は、フランジ部11aに軸方向から当接したホルダ収容部43が複数の螺子46にて同フランジ部11aに固定されることにより、ヨーク11に固定されている。ホルダ収容部43の内部には、回転軸13の先端側の部位が入り込むとともに、整流子16が配置されている。更に、ホルダ収容部43の内部には、カバー部、ブラシ装置31等、ブラシホルダアセンブリ21におけるヨーク11の開口部から同ヨーク11の外部に突出した部分が配置されている。
【0049】
前記ウォーム軸収容部44の内部には、略円柱状のウォーム軸47が収容されている。ウォーム軸47の軸方向の略中央部には、螺子歯状のウォーム部47aが形成されている。そして、ウォーム軸47は、回転軸13と同軸上に配置(互いの中心軸線が一致するように配置)されるとともに、ウォーム軸収容部44の内部でその中心軸線L5を回転中心として回転可能である。また、ウォーム軸47の基端部(図1において上側の端部)は、前記ホルダ収容部43内に配置されたクラッチ48を介して回転軸13の先端部に連結されている。このクラッチ48は、回転軸13の回転駆動力をウォーム軸47に伝達する一方、ウォーム軸47からの回転力を回転軸13に伝達しないように作動するものである。
【0050】
前記ウォームホイール収容部45の内部空間は、前記ウォーム軸収容部44の内部空間と繋がっている。そして、ウォームホイール収容部45の内部には、ウォーム部47aと噛合する円板状のウォームホイール49が収容されている。このウォームホイール49とウォーム軸47とによって前記減速機構42が構成されている。ウォームホイール49の径方向の中央部には、ウォームホイール49の軸方向に沿って延びる出力軸50が同ウォームホイール49と一体回転可能に設けられている。出力軸50の先端部は、ギヤハウジング41の外部に突出するとともに、同出力軸50の先端部には、図示しないウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが連結される。
【0051】
また、前記ホルダ収容部43に前記コネクタ部4が組付けられている。コネクタ部4は、ホルダ収容部43において、回転軸13の中心軸線L1を挟んでウォームホイール収容部45と反対側(図1において左側)に形成された開口部(図示略)から同ホルダ収容部43に差し込まれている。図1及び図2に示すように、コネクタ部4は、ギヤハウジング41に固定されるコネクタハウジング61と、該コネクタハウジング61の内部に保持された複数の外部接続端子62及び制御IC63とを有する。外部接続端子62は、コネクタハウジング61の内部で制御IC63と電気的に接続されるとともに、コネクタハウジング61に形成された筒状の外部接続部61aの内側でコネクタハウジング61の外部に露出している。そして、コネクタ部4がホルダ収容部43に差し込まれると、制御IC63が2つの前記給電用ターミナル29に電気的に接続されるようになっている。また、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタ(図示略)が外部接続部61aに接続されると、外部接続端子62が外部コネクタに電気的に接続されるようになっている。
【0052】
次に、ブラシ装置31を備えた本実施形態のモータ1の作用を説明する。
外部コネクタからコネクタ部4に供給された電源は、制御IC63から給電用ターミナル29及びピッグテール35を介してブラシ33に供給される。そして、ブラシ33に供給された電源は、整流子16を介してコイル15に供給される。その結果、電機子12(回転軸13)が回転駆動され、回転軸13の回転駆動力は、クラッチ48を介してウォーム軸47に伝達されるとともに、ウォーム部47a及びウォームホイール49にて減速されて出力軸50から出力される。すると、出力軸50の回転方向に応じて、該出力軸50に連結されたウインドレギュレータを介してウインドガラスが下降若しくは上昇される。
【0053】
また、図7に示すように、各ブラシ装置31においては、トーションスプリング34の付勢力F1の分力F1bと、トーションスプリング34による付勢に伴ってブラシ33が整流子16から受ける抗力F2の分力F2bの作用により、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする矢印α方向の回転力がブラシ33に付与される。この回転力を受けたブラシ33は、その先端側で第1の側面33aが第1の内側面S1に接触するとともに、その後端側で第2の側面33bが第2の内側面S2に接触する。そして、トーションスプリング34がブラシ33を回転させようとする力は、第1の内側面S1においてブラシホルダ32の先端側に位置する第1の接触支持点P2と、第2の内側面S2において第1の接触支持点P2よりもブラシホルダ32の後端側に位置する第2の接触支持点P3との2箇所で受け止められる。従って、ブラシ33は、整流子16の径方向(中心線L2方向)に互いにずれるとともに中心線L2を挟んで整流子16の軸線方向の両側に位置する第1の接触支持点P2及び第2の接触支持点P3で、ブラシホルダ32にて支持される。
【0054】
また、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部においてトーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所に対して中心線L2を挟んで反対側となる位置に接続されている。そのため、ピッグテール35からブラシ33の後端部に作用する力F3は、トーションスプリング34に付勢されることでブラシ33の後端部が回転しようとする方向(図7において矢印α方向)と略同じ方向である。従って、ピッグテール35からブラシ33に作用する力F3も、ブラシ33の後端部を第2の内側面S2側へ押すように作用する。
【0055】
また、ブラシ33は、モータ1の慣らし運転を行う前には、その先端が三角形状に尖っている。そして、モータ1の慣らし運転が行われると、ブラシ33の先端の三角形状に尖った部分から摩耗し始める。すると、ブラシ33の先端の摩耗に伴って、ブラシ33の先端と整流子16の外周面との接触面積が増大する。そして、最終的には、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見て同整流子16の外周面に沿った円弧形状に湾曲した形状となる。更に、ブラシ33は、モータ1の慣らし運転前にあった傾斜面33d,33eが無くなった形状、即ち先端の三角形に尖った部分が無くなった形状となる。その結果、ブラシ33の先端部は、同ブラシ33における最も太い四角柱状の部分となるため、この四角柱状の部分の略四角形の先端面全体で整流子16の外周面に摺接する。従って、ブラシ33が安定して整流子16に摺接する。
【0056】
また、図4及び図6に示すように、ブラシ33の先端部が摩耗すると、ブラシ33の後端部は徐々に整流子16の方(径方向内側)へ移動していく(図6において二点鎖線参照)。このとき、ブラシ33の摩耗に伴って、トーションスプリング34の押圧部34cは、コイル部34a付近を回転中心として回転していく(図6において二点鎖線参照)。ブラシ33の摩耗に伴って押圧部34cがコイル部34a付近を中心として回転しても、ブラシ33の後端部側に円弧状に突出した押圧凸部34dは、その外周面と追従凹部33hの内周面とを摺接させながら、直線L3(ブラシ33の中心線L2)の両側の1箇所ずつで追従凹部33hの内周面を押圧した状態を維持できる。
【0057】
上記したように、本第1実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置を押圧する。そのため、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力をブラシ33に付与しやすくなる。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、その先端側で第1の内側面S1に接触して押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33が移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつき(暴れ)を抑制することができる。また、ブラシ33を安定した状態で整流子16に接触させることができる。更に、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置をトーションスプリング34によって押圧することでブラシホルダ32内でのブラシ33のがたつき(暴れ)を抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【0058】
(2)第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側の位置を押圧している。そのため、整流子16の直径方向と略平行な方向にトーションスプリング34がブラシ33の後端部を付勢すると、ブラシ33は、その先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように容易に回転されて、その先端側で第1の内側面S1に接触するとともにその後端側で第2の内側面S2に接触できる。従って、トーションスプリング34によるブラシ33付勢方向を、例えば整流子16の直径方向に対して傾斜した方向等の複雑な方向としなくてもよいため、ブラシ装置31の構造が複雑化されることが抑制される。
【0059】
(3)トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側の位置を押圧している。そして、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側で整流子16に接触している。そのため、トーションスプリング34がブラシ33を付勢することで生じる、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力を大きくしやすい。従って、ブラシ33の先端側で該ブラシ33をより第1の内側面S1に強く押し付けるとともに、ブラシ33の後端側で該ブラシ33をより第2の内側面S2に強く押し付けることができる。よって、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33がより移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつきをより抑制することができる。
【0060】
(4)トーションスプリング34がブラシ33を付勢することで生じる、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力と略同方向の力が、ピッグテール35からブラシ33に付与される。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33が更に移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつきを更に抑制することができる。
【0061】
(5)ブラシ33は、整流子16に1箇所で接触している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における整流子16の周方向に離間した2箇所を押圧するとともに、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所(即ち押圧点P4,P5)は、整流子16の軸線方向から見て、ブラシ33と整流子16との接触箇所(即ち接触点P1)を通り中心線L2と平行な直線L3の両側に1つずつ設けられている。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の周方向にブラシ33ががたつく(暴れる)ことを抑制できる。
【0062】
(6)押圧凸部34dは、整流子16の軸方向から見てブラシ33の後端部側に突出した円弧状をなしている。従って、ブラシ33の摩耗に伴って押圧部34cが回転しても、追従凹部33hの内周面において整流子16の周方向に離間し直線L3を挟んだ2箇所を押圧凸部34dにて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシ33が摩耗しても、整流子16の周方向のブラシ33のがたつきを抑制することができる。
【0063】
(7)モータ1は、ブラシホルダ32内でのブラシ33のがたつき(暴れ)が抑制されたブラシ装置31を備えているため、モータ1においてブラシ33のがたつきによる騒音の発生が抑制される。また、ブラシ33は、安定した状態で整流子16に接触しているため、ブラシ33の過剰な摩耗が抑制されて同ブラシ33の寿命が短くなることが抑制されている。従って、ひいてはモータ1の寿命が短くなることが抑制される。
【0064】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図8に示す本第2実施形態のベース部材71は、上記第1実施形態のベース部材22に代えてモータ1のブラシホルダアセンブリ21に備えられるものである。このベース部材71は、上記第1実施形態のベース部材22と同様に、絶縁性の樹脂材料にて形成され、カバー部25と、ブラシ装置31を構成するブラシホルダ32とを有する。
【0066】
図8及び図10に示すように、本第2実施形態では、2つのブラシ装置31のブラシホルダ32は、径方向内側の端部がカバー部25の内側に若干突出している。そして、各ブラシホルダ32の径方向内側の端部には、カバー部25の内側に開口する内側開口部32hが形成されている。各ブラシホルダ32の内部空間は、この内側開口部32hを介してカバー部25の内部空間に連通している。内側開口部32hは、ブラシ33を挿通可能な四角形状をなしている。
【0067】
また、図9に示すように、カバー部25の内側に突出したブラシホルダ32の径方向内側の端面(即ちブラシホルダ32の先端面)において、内側開口部32hの周縁部には、平面状をなす平面部32kが形成されている。平面部32kは、カバー部25に収容される整流子16の軸線方向と平行をなすとともに、ブラシホルダ32の延びる方向と直交する平面状をなしている。尚、ブラシホルダ32の延びる方向は、上記第1実施形態と同様に整流子16の径方向となっており、図9及び図10において一点鎖線で図示している。また、整流子16の軸線方向は、図9及び図10において紙面垂直方向である。
【0068】
図8及び図9に示すように、各ブラシホルダ32において、第1の内側面S1及び第2の内側面S2の径方向内側の端部は、内側開口部32hまで延びている。そして、第1の内側面S1は、該第1の内側面S1における整流子16側の端に、同整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなす直線部72を有する。第1の内側面S1は、径方向内側には内側開口部32hまで延びているため、直線部72は、内側開口部32hの一部を構成している。そして、本第2実施形態の直線部72は、第1の内側面S1における整流子16側の一辺であり、第1の内側面S1と平面部32kとによって形成される角部に位置する1本の直線である。また、図8及び図10に示すように、直線部72の長さ(整流子16の軸線方向から見てブラシホルダ32の延びる方向と直交する方向の長さ)は、ブラシ33の幅(整流子16の軸線方向から見た幅)よりも長く形成されている。
【0069】
そして、各ブラシ装置31において、ブラシホルダ32に挿入されたブラシ33は、上記第1実施形態と同様にトーションスプリング34(図4及び図7参照)によって後端部が整流子16の方へ押圧されることにより、同トーションスプリング34によって整流子16に向けて付勢されている。ブラシ33には、トーションスプリング34から、同ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力が付与される。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、ブラシホルダ32の内部で同ブラシホルダ32に対して整流子16の軸線方向に傾斜し、その先端側で第1の内側面S1に押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。ブラシ33の先端部は内側開口部32hからカバー部25の内部に突出するとともに、第1の内側面S1は内側開口部32hまで径方向内側に延びている。そのため、ブラシ33の先端側では、同ブラシ33の第1の側面33aが直線部72に線接触する。
【0070】
次に、本実施形態のブラシ装置31を備えたモータ1の作用を説明する。
各ブラシ装置31において、ブラシ33は、その先端側では直線部72に接触するため、第1の内側面S1に対して線接触する。そして、直線部72は、整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなしている。従って、ブラシ33は、トーションスプリング34の付勢力によって同ブラシ33の先端側で直線部72に押し付けられて同直線部72に線接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。
【0071】
上記したように、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(7)と同様の効果に加えて、以下の効果を有する。
(8)各ブラシ装置31において、ブラシ33は、トーションスプリング34の付勢力によって同ブラシ33の先端側で直線部72に押し付けられて同直線部72に線接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。よって、ブラシ33のがたつきを一層抑制することができるとともに、ブラシ33をより安定した状態で整流子16に接触させることができる。
【0072】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、モータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられている。しかしながら、モータ1は、パワーウインド装置以外の装置の駆動源として用いられてもよい。また、減速部を備えないモータに、ブラシ装置31を備えてもよい。
【0073】
・上記第2実施形態では、ブラシ33は、その先端側で直線部72に線接触する。しかしながら、直線部72が幅を有する場合には、ブラシ33は、その先端側で直線部72に面接触してもよい。この場合においても、上記第2実施形態の(8)と同様の効果を得ることができる。また、トーションスプリング34の付勢力によって、ブラシ33が、その先端側で第2の内側面S2に押し付けられる場合には、第2の内側面S2における整流子16側の端に、同整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなす直線部72を設けてもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、ブラシ33の後端部に追従凹部33hが形成されている。しかしながら、ブラシ33は、必ずしも追従凹部33hを備えなくてもよい。この場合、トーションスプリング34の押圧部34cに、ブラシ33の後端部側に突出し整流子16の周方向に離間した偶数個の凸部を形成し、当該凸部によってブラシ33の後端部における整流子16の周方向に離間した偶数箇所を押圧してもよい。このようにすると、ブラシホルダ32の内部で整流子16の周方向にブラシ33ががたつく(暴れる)ことを抑制できる。また、凸部によるブラシ33の押圧箇所を、ブラシ33の後端部において中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置とし、この凸部によるブラシ33の押圧箇所を、整流子16の軸線方向から見て直線L3の両側に同数ずつ設けると、ブラシ33をより安定した状態で整流子16に接触させることができる。
【0075】
・上記第1実施形態では、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧位置(即ち押圧点P4,P5)に対して中心線L2を挟んで反対側に接続されている。しかしながら、ピッグテール35は、ブラシ33の後端側の部分に接続されるのであれば、上記第1実施形態と別の位置に接続されてもよい。例えば、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において整流子16の周方向の側面に接続されてもよい。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0076】
・上記第1実施形態では、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク11側)の位置を押圧している。そして、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)で整流子16に接触している。しかしながら、図11に示すように、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク11側)で整流子16に接触してもよい。図11では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図11に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図11に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。このようにしても、上記第1実施形態の(1)及び(4)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0077】
・上記第1実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に傾斜している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)の位置を押圧している。しかしながら、図12に示すように、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)の位置を押圧してもよい。図12では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図12に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図12に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。そして、ブラシ33には、分力F1b及び分力F2bによって、矢印β方向の回転力が付与される。このようにしても、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0078】
また、図13に示すように、トーションスプリング34が、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)の位置を押圧する場合において、ブラシ33と整流子16との接触箇所(即ち接触点P1)を中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に設定してもよい。図13では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図13に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図13に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。そして、ブラシ33には、分力F1b及び分力F2bによって、矢印β方向の回転力が付与される。このようにしても、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0079】
・上記各実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に傾斜している。しかしながら、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、整流子16の軸線方向の両端のうち減速部3側の端の方へ傾斜するように形成されてもよい。この場合、整流子16の軸線方向一端側は、整流子16の減速部3側となる。また、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16の軸線方向と直交する(整流子16の直径方向と平行)に形成されてもよい。これらの場合においても、ブラシ33の後端部において中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置をトーションスプリング34で押圧するとともに、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所と、ブラシ33の整流子16に対する接触箇所とを整流子16の軸線方向にずらすことで、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。
【0080】
・モータ1に備えられるブラシ装置31の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
上記各実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0081】
(イ)整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧することを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、ブラシホルダの内部で整流子の周方向にブラシががたつくことを抑制できる。
【0082】
(ロ)前記(イ)に記載のブラシ装置において、前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記ブラシの中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、ブラシをより安定した状態で整流子に接触させることができる。
【0083】
(ハ)前記(ロ)に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、押圧凸部は、追従凹部に挿入されて該追従凹部の内周面における整流子の周方向に離間した2箇所を押圧している。ブラシが摩耗すると、ブラシの後端部が整流子の方へ移動するため、それに伴ってトーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が同トーションスプリングのコイル部付近を回転中心として回転する。このように、トーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が回転しても、押圧凸部が、整流子の軸方向から見てブラシの後端部側に突出した円弧状をなすため、追従凹部の内周面において整流子の周方向に離間した2箇所を押圧凸部にて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシが摩耗しても、整流子の周方向のブラシのがたつきを抑制することができる。
【0084】
(ニ)整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所と、前記ブラシの前記整流子に対する接触箇所とは、前記整流子の軸線方向にずれており、前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、トーションスプリングでブラシを付勢することで、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力をブラシに付与できる。そして、当該回転力が付与されたブラシは、その先端側で一方の内側面に接触して押し付けられるとともに、その後端側で他方の内側面に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを抑制することができる。また、ブラシを安定した状態で整流子に接触させることができる。また、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置をトーションスプリングによって押圧することでブラシホルダ内でのブラシのがたつきを抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【符号の説明】
【0085】
13…回転軸、16…整流子、31…ブラシ装置、32…ブラシホルダ、33…ブラシ、33h…追従凹部、34…トーションスプリング、34d…押圧凸部、35…ピッグテール、72…直線部、L2…中心線、L3…直線、S1…内側面としての第1の内側面、S2…内側面としての第2の内側面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流子にブラシを接触させるブラシ装置、及び該ブラシ装置を備えたモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータには、回転駆動される回転軸に外嵌固定された整流子の外周面にその先端が接触する給電用のブラシと、該ブラシを内側に保持する筒状のブラシホルダと、該ブラシの後端を整流子に向けて付勢するスプリングとを有するブラシ装置を備えたものがある。そして、このようなブラシ装置には、ブラシの後端を付勢するスプリングとしてトーションスプリングを用いたものがある。トーションスプリングを用いると、例えばコイルスプリングを用いる場合に比べてブラシ装置を小型化することができる。しかしながら、一般的に、トーションスプリングは、ブラシの後端面を1点で押圧して同ブラシを整流子に向けて付勢する。更に、ブラシホルダの内周面は、ブラシの熱膨張を考慮してブラシの外形よりも若干大きく形成されている。そのため、回転軸の回転駆動時、即ち整流子の回転時に、ブラシホルダの内部でブラシの姿勢が安定し難く、ブラシの先端と整流子との接触状態が不安定になってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されたブラシ装置では、ブラシを安定した状態で整流子に接触させるために、ブラシの後端部に設けた板状の押圧部材をトーションスプリングで付勢し、該押圧部材を介してトーションスプリングの付勢力をブラシに伝達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−124518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたブラシ装置では、トーションスプリングは、押圧部材を1点で押圧するため、トーションスプリングによる押圧部材の付勢方向が安定し難い。そのため、押圧部材を介して付勢されるブラシについても、付勢される方向が安定し難く、ブラシホルダの内部でブラシががたついて(暴れて)しまう虞があった。また、押圧部材を追加することになるため、部品点数が増加されてしまう。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数を増加させることなくブラシのがたつきを抑制することができるブラシ装置及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し前記整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、トーションスプリングは、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置を押圧する。そのため、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力をブラシに付与しやすくなる。そして、当該回転力が付与されたブラシは、その先端側で一方の内側面に接触して押し付けられるとともに、その後端側で他方の内側面に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを抑制することができる。また、ブラシを安定した状態で整流子に接触させることができる。更に、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置をトーションスプリングによって押圧することでブラシホルダ内でのブラシのがたつきを抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシ装置において、一対の前記内側面は、前記整流子に向かって前記整流子の軸線方向一端側に傾斜しており、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、整流子の直径方向と略平行な方向にトーションスプリングがブラシの後端部を付勢すると、ブラシは、その先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように容易に回転されて、その先端側で一方の内側面に接触するとともにその後端側で他方の内側面に接触できる。従って、トーションスプリングによるブラシの付勢方向を複雑な方向としなくてもよいため、ブラシ装置の構造が複雑化されることが抑制される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のブラシ装置において、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧し、前記ブラシは、前記中心線よりも前記整流子の軸線方向他端側で前記整流子に接触することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、トーションスプリングがブラシを付勢することで生じる、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力を大きくしやすい。従って、ブラシの先端側で該ブラシを一方の内側面により強く押し付けるとともに、ブラシの後端側で該ブラシを他方の内側面により強く押し付けることができる。よって、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシがより移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきをより抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端側の部分には、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧位置に対して前記中心線を挟んで反対側に、前記ブラシに電源を供給するためのピッグテールが接続されていることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、トーションスプリングがブラシを付勢することで生じる、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力と略同方向の力が、ピッグテールからブラシに付与される。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが更に移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを更に抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のブラシ装置において、前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧するとともに、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ブラシホルダの内部で、整流子の周方向にブラシががたつくことを抑制できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、押圧凸部は、追従凹部に挿入されて該追従凹部の内周面における整流子の周方向に離間した2箇所を押圧している。ブラシが摩耗すると、ブラシの後端部が整流子の方へ移動するため、それに伴ってトーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が同トーションスプリングのコイル部付近を回転中心として回転する。このように、トーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が回転しても、押圧凸部が、整流子の軸方向から見てブラシの後端部側に突出した円弧状をなすため、追従凹部の内周面において整流子の周方向に離間した2箇所を押圧凸部にて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシが摩耗しても、整流子の周方向のブラシのがたつきを抑制することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のブラシ装置において、一対の前記内側面のうち前記ブラシの先端側が接触する前記内側面は、該内側面における前記整流子側の端に、前記整流子の軸線方向と直交し且つ前記ブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなす直線部を有し、前記ブラシは、その先端側で前記直線部に接触することをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、ブラシは、その先端側では直線部に接触するため、内側面に対して線接触若しくは面接触することが可能である。そして、直線部は、整流子の軸線方向と直交し且つブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなしている。従って、ブラシは、トーションスプリングの付勢力によって同ブラシの先端側で直線部に押し付けられて同直線部に線接触若しくは面接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。よって、ブラシのがたつきを一層抑制することができるとともに、ブラシをより安定した状態で整流子に接触させることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、回転駆動される回転軸に一体回転可能に固定された前記整流子と、前記整流子の外周面に摺接する前記ブラシを有する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のブラシ装置と、を備えたモータとしたことをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、モータは、ブラシホルダ内でのブラシのがたつきが抑制されたブラシ装置を備えているため、このモータにおいてブラシのがたつきによる騒音の発生が抑制される。また、ブラシは、安定した状態で整流子に接触しているため、ブラシの過剰な摩耗が抑制されて同ブラシの寿命が短くなることが抑制されている。従って、ひいてはモータの寿命が短くなることが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、部品点数を増加させることなくブラシのがたつきを抑制することができるブラシ装置及びモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】モータの正面図。
【図2】第1実施形態におけるモータ部の斜視図。
【図3】第1実施形態におけるモータ部の端面図(図4におけるC−C端面図)。
【図4】第1実施形態におけるモータ部の端面図(図3におけるA−A端面図及びB−B端面図)。
【図5】第1実施形態のモータ部におけるブラシの先端部付近の拡大図。
【図6】第1実施形態のモータ部におけるブラシの後端部付近の拡大図。
【図7】第1実施形態におけるブラシ装置の模式図。
【図8】第2実施形態のベース部材の斜視図。
【図9】第2実施形態のベース部材の平面図。
【図10】第2実施形態のモータ部におけるブラシの先端部付近の拡大図。
【図11】別の形態のブラシ装置の模式図。
【図12】別の形態のブラシ装置の模式図。
【図13】別の形態のブラシ装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のモータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものである。モータ1は、図1において上部に位置するモータ部2と、モータ部2の出力側(図1においてモータ部2の下側)に設けられた減速部3と、減速部3の側方(図1において左側)に組み付けられたコネクタ部4とから構成されている。
【0025】
モータ部2のヨークハウジング11(以下、単にヨーク11とする)は、一端(図1において上側の端部)が閉塞された筒状をなしている。また、同ヨーク11の他端の開口部には、径方向外側に延びるフランジ部11aが形成されている。このヨーク11の内周面には、図示しないマグネットが固着されるとともに、該マグネットの内側に電機子12が配置されている。
【0026】
電機子12は、ヨーク11の径方向の中央部に配置された円柱状の回転軸13と、該回転軸13に一体回転可能に固定された電機子コア14と、該電機子コア14に巻装されたコイル15と、前記電機子コア14よりも回転軸13の先端側(図1において下端側)に固定された整流子16とから構成されている。
【0027】
回転軸13の基端部(図1において上側の端部)は、ヨーク11の底部中央に設けられた軸受(図示略)によって軸支されている。また、回転軸13の先端部(図1において下側の端部)は、ヨーク11の開口部から同ヨーク11の外部に突出している。そして、前記電機子コア14は、回転軸13におけるヨーク11の内部に配置された部分に固定されて前記マグネット(図示略)と径方向に対向している。その一方、前記整流子16は、回転軸13におけるヨーク11の外部に突出した部分に該回転軸13と一体回転可能に外嵌固定されている。
【0028】
また、整流子16は、円筒状をなすとともに、その外周面には、周方向に離間するように複数のセグメント16aが並設されている。一部のセグメント16a若しくは全てのセグメント16aは、前記コイル15に電気的に接続されている。即ち、整流子16のセグメント16aを介してコイル15に電源を供給できるようになっている。
【0029】
図1及び図2に示すように、前記ヨーク11の開口部には、該開口部を略閉塞するようにブラシホルダアセンブリ21が配置されている。モータ部2を構成するブラシホルダアセンブリ21は、ヨーク11の開口部に配置されるベース部材22に電子部品等を装着して形成されている。
【0030】
ベース部材22は、絶縁性の樹脂材料にて形成されている。そして、ベース部材22は、ヨーク11の開口部を閉塞する略平板状の基部23を有するとともに、基部23の外形形状は、ヨーク11の開口部よりも若干大きく形成されている。また、基部23の外縁部には、後述する減速部3のギヤハウジング41とヨーク11との間の液密性を確保するシール部材24が設けられている。シール部材24は、例えばエラストマにて形成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、基部23の中央部には、ヨーク11側に開口する有底円筒状のカバー部25が該基部23と一体に形成されている。カバー部25は、基部23からヨーク11と反対方向に軸方向に沿って突出するとともに、カバー部25の底部中央には軸受26が保持されている。そして、ヨーク11の開口部から突出した前記回転軸13の先端側の部分は、カバー部25の径方向の中央部を通りカバー部25の底部を貫通するとともに、軸受26によって軸支されている。即ち、前記回転軸13は、この軸受26と前記ヨーク11の底部中央に設けられた軸受(図示略)とによって軸支されることにより、回転軸13の中心軸線L1を回転中心として回転可能となっている。また、カバー部25の内部には、前記整流子16が収容されている。
【0032】
また、基部23におけるヨーク11と反対側の軸方向の端面上であってカバー部25の径方向外側となる2箇所にブラシ装置31がそれぞれ設けられている。2つのブラシ装置31は、ブラシホルダ32、該ブラシホルダ32内に保持されたブラシ33、該ブラシ33の後端部を整流子16に向けて付勢するトーションスプリング34をそれぞれ有する。
【0033】
2つのブラシ装置31のブラシホルダ32は、カバー部25の径方向外側で同カバー部25の周方向(整流子16の周方向に同じ)に90°離間した2箇所に形成されるとともに、基部23と一体に形成されている。各ブラシホルダ32は、カバー部25の略径方向(整流子16の略径方向に同じ)に延びる略四角筒状をなしている。図3及び図4に示すように、ブラシホルダ32の径方向内側の端部はカバー部25に一体に形成されるとともに、ブラシホルダ32の内部空間は、カバー部25に形成された挿通開口部25aを介してカバー部25の内部空間に連通している。尚、図4は、カバー部25を通る一点鎖線の円の外側が図3におけるA−A端面図であり、カバー部25を通る一点鎖線の円の内側が図3におけるB−B端面図となっている。
【0034】
図2及び図3に示すように、ブラシホルダ32における軸方向(整流子16の軸線方向)に離間した一対の側壁32a,32bは、平板状をなすとともに、その径方向内側の端部がカバー部25と一体に形成されている。また、一対の側壁32a,32bは、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。尚、整流子16の軸線方向は、回転軸13の中心軸線L1方向と同方向である。本実施形態では、側壁32a,32bは、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16におけるカバー部25の開口部側(ヨーク11側)の軸線方向の端部の方へ傾斜している。従って、側壁32a,32bは、径方向外側の端部から径方向内側の端部に向かうに連れて基部23との間の軸方向の距離が短くなっている。また、一対の側壁32a,32bは互いに平行をなしている。このような一対の側壁32a,32bのうちカバー部25の底部側の側壁32aの内側面である第1の内側面S1は、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16に向かって同整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。同様に、一対の側壁32a,32bのうちカバー部25の底部と反対側(即ちカバー部25の開口部側)の側壁32bの内側面である第2の内側面S2は、その径方向外側の端部からその径方向内側の端部に向かうに連れて、整流子16に向かって同整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。本実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、同整流子16におけるカバー部25の開口部側(ヨーク11側)の軸線方向の端部の方へ傾斜している。これらの第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16の軸線方向に離間するとともに、それぞれ平面状をなしている。
【0035】
また、図2及び図4に示すように、ブラシホルダ32における周方向(整流子16の周方向)に離間した一対の側壁32c,32dは、一対の側壁32a,32bの周方向の両側で該一対の側壁32a,32bと一体に形成されている。一対の側壁32c,32dは、軸方向に沿って立設された平板状をなすとともに、互いに平行をなしている。また、側壁32c,32dにおける基部23側の軸方向の端部は、基部23に一体に形成されるとともに、側壁32c,32dにおける径方向内側の端部は、カバー部25に一体に形成されている。
【0036】
また、ブラシホルダ32において、前記側壁32aには、径方向外側の端部から径方向に沿って径方向内側に延びる挿通溝32eが形成されている。挿通溝32eは、側壁32aを軸方向(整流子16の軸線方向)に貫通し軸方向の両側に開口するとともに、径方向には径方向外側にのみ開口している。
【0037】
図3及び図4に示すように、上記のようなブラシホルダ32に挿入された前記ブラシ33は四角柱状をなしている。ブラシ33の外形は、ブラシホルダ32の四角筒状の内周面よりも若干小さく形成されている。従って、ブラシ33は、ブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容されている。このように、ブラシ33がブラシホルダ32内に空隙を有した状態で収容されることにより、モータ部2の駆動時にブラシ33が熱膨張したとしても、ブラシホルダ32の内部でブラシ33が整流子16の径方向に移動できるようになっている。また、ブラシ33の先端は、前記挿通開口部25aからカバー部25の内部に入り、整流子16の外周面に接触可能となっている。更に、ブラシ33は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側に傾斜した第1及び第2の内側面S1,S2間に配置されることで、その後端から先端に向かうに連れて整流子16の軸線方向の一端(整流子16におけるヨーク11側の軸線方向の端部)に近づくように整流子16の直径方向に対して傾斜している。また、ブラシ33において第1の内側面S1と軸方向に対向する第1の側面33aと、ブラシ33において第2の内側面S2と軸方向に対向する第2の側面33bとは、互いに平行な平面状をなしている。
【0038】
図3に示すように、ブラシ33の先端部は、ブラシ33の先端(整流子16側)に向かうに連れて軸方向の幅が徐々に狭くなるように形成されており、先端が三角形状に尖っている。このようにブラシ33の先端が三角形状に尖った状態は、モータ1の慣らし運転を行う前の状態(即ちブラシ33が摩耗する前の状態)である。そして、ブラシ33の先端部には、ブラシ33の先端に向かうに連れて互いの軸方向の間隔が狭くなる一対の傾斜面33d,33eが形成されている。また、図5に示すように、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見ると、整流子16外周面に略沿った円弧状をなすように凹んでいる。更に、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見ると、ブラシ33の中心線L2を対称軸として線対称な円弧形状をなしている。尚、ブラシ33の中心線L2は、ブラシ33の先端から後端に延びブラシ33の中心を通る直線である。また、円弧状に凹んだブラシ33の先端の曲率半径は、整流子16の外周面の曲率半径よりも大きい値となっている。そのため、ブラシ33の先端は、その周方向の中央で整流子16の外周面に接触する。本実施形態では、ブラシ33の先端は、その周方向の中央において、整流子16の外周面に点接触、若しくは接触面積が小さく点接触に近い状態(線接触を含む)で接触する。また、ブラシホルダ32に保持されたブラシ33の先端が整流子16の外周面に接触した状態においては、前記傾斜面33d,33eと整流子16の外周面との間には隙間が形成されている。
【0039】
図3に示すように、ブラシ33の後端部における、整流子16の軸線方向一端側(本実施形態では、整流子16におけるカバー部25の開口部側の軸線方向一端側)の端部には、ブラシ33の中心線L2方向に段差が形成されるように凹設された段差凹部33fが形成されている。そして、段差凹部33fの内側面のうち、ブラシ33の先端と反対方向を向くとともにブラシ33の中心線L2と直交する平面状をなす押圧面33gの中央部には、ブラシ33の先端と反対側に開口した追従凹部33hが形成されている。図4及び図6に示すように、追従凹部33hは、整流子16の軸線方向から見ると、押圧面33gにおいて、ブラシ33における整流子16との接触点P1を通り中心線L2と平行な直線L3を含む領域に形成されている。尚、本実施形態では、接触点P1は、ブラシ33の先端の周方向の中央に位置するため、整流子16の軸線方向からブラシ33を見た場合、直線L3は中心線L2に一致する。また、追従凹部33hは、その開口部から底部に向かうに連れて整流子16の周方向に沿った方向の幅が徐々に狭くなるように凹設されている。そして、本実施形態では、追従凹部33hを整流子16の軸線方向と直交する平面で切った断面の形状は、ブラシ33の先端と反対方向に開口する略V字状をなすとともに、中心線L2(直線L3)を対称軸として対称形状をなしている。
【0040】
図2及び図4に示すように、前記トーションスプリング34は、コイル部34aと、コイル部34aの一端から突出する係止部34bと、コイル部34aの他端から突出する押圧部34cとからなる。基部23におけるヨーク11と反対側の軸方向の端面上には、各ブラシホルダ32の近傍に支柱27がそれぞれ形成されている。支柱27は、軸方向に沿って延びコイル部34aの内径と略等しい外径を有する円柱状をなしている。そして、各支柱27には、それぞれトーションスプリング34のコイル部34aが外挿されている。支柱27に外挿されたコイル部34aの中心軸線L4は、整流子16の軸線方向と略平行をなしている。また、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の係止部34bは、カバー部25の外周面において2つの支柱27間に形成された係止溝25bに挿入されて係止されている。
【0041】
また、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の押圧部34cの先端部は、ブラシ33の後端部に接触し、該ブラシ33を整流子16に向けて付勢している。前記ブラシホルダ32の側壁32cには、整流子16の径方向に延び押圧部34cの整流子16側への移動を許容する図示しない挿入溝が形成されており、押圧部34cは、この挿入溝を通ってブラシ33の後端部に接触している。
【0042】
図4及び図6に示すように、押圧部34cの先端部(即ちトーションスプリングの一端部)には、ブラシ33の後端部側に突出した押圧凸部34dが形成されている。押圧凸部34dは、整流子16の軸線方向から見て円弧状に突出している。更に、押圧凸部34dにおける整流子16の周方向の幅は、前記追従凹部33hにおける整流子16の周方向の幅よりも広く形成されている。
【0043】
そして、各ブラシ装置31において、トーションスプリング34の押圧凸部34dは、該押圧凸部34dの先端部が追従凹部33hに挿入されるとともに、追従凹部33hの内周面を整流子16の方へ押圧している。トーションスプリング34は、このように追従凹部33hの内周面を押圧凸部34dにて押圧することで、ブラシ33を整流子16に向けて付勢している。尚、コイル部34aの中心軸線L4は整流子16の軸線方向と略平行をなしているため、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、トーションスプリング34は、追従凹部33hの内周面を押圧凸部34dにて押圧することで、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(本実施形態では、整流子16におけるヨーク11側の軸線方向一端側)の位置を押圧している。更に、図3及び図7に示すように、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所と、ブラシ33と整流子16との接触箇所とは、整流子16の軸線方向にずれている。
【0044】
また、図4及び図6に示すように、追従凹部33hに挿入された押圧凸部34dは、追従凹部33hの内周面における整流子16の周方向に離間した2箇所を押圧している。押圧凸部34dにおける整流子16の周方向の幅は、追従凹部33hにおける整流子16の周方向の幅よりも広く形成されているため、押圧凸部34dは、追従凹部33hの周方向の両端をそれぞれ押圧している。そして、追従凹部33hの内周面において押圧凸部34dにて押圧される2箇所の押圧点P4,P5は、整流子16の軸線方向から見ると、中心線L2(直線L3)の両側にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。
【0045】
そして、図7に示すように、ブラシ33には、トーションスプリング34の付勢力F1と、トーションスプリング34による付勢に伴って整流子16から受ける抗力F2とが作用している。ブラシ33を整流子16の周方向から見た場合(即ち図7に示す状態)、トーションスプリング34の付勢力F1は、押圧点P4,P5と接触点P1とを結ぶ直線(図示略)に沿った分力F1aと、該分力F1aと直交する分力F1bとに分解される。また、抗力F2は、押圧点P4,P5と接触点P1とを結ぶ直線(図示略)に沿った分力F2aと、該分力F2aと直交する分力F2bとに分解される。そして、分力F1bは、ブラシ33の後端部を第2の内側面S2の方へ付勢するとともに、分力F2bは、ブラシ33の先端部を第1の内側面S1の方へ付勢する。従って、トーションスプリング34にてブラシ33を付勢することにより生じた分力F1b及び分力F2bによって、ブラシ33には、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように(図7において矢印α方向に)該ブラシ33を回転させようとする回転力が付与される。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、ブラシホルダ32の内部で同ブラシホルダ32に対して整流子16の軸線方向に傾斜し、その先端側で第1の内側面S1に接触して押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。尚、第1の内側面S1においてブラシ33が接触した接触箇所を第1の接触支持点P2とし、第2の内側面S2においてブラシ33が接触した接触箇所を第2の接触支持点P3とする。
【0046】
図2及び図3に示すように、ブラシ33の後端部には、ブラシ33に電源を供給するためのピッグテール35の一端が接続されている。本実施形態では、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧位置(即ち前記押圧点P4,P5)に対して中心線L2を挟んで反対側となる位置に接続されている。従って、ピッグテール35の一端は、ブラシ33における整流子16の軸線方向他端側の側面、即ち第1の側面33aにおけるブラシ33の後端側の部分に接続されている。ピッグテール35は、ブラシホルダ32の側壁32aに形成された前記挿通溝32eを通ってブラシホルダ32の外部に引き出されている。そして、各ブラシ33に接続された各ピッグテール35の他端は、基部23に固定されたチョークコイル28(図2には1つのみ図示)を介して、同基部23に保持された給電用ターミナル29にそれぞれ電気的に接続されている。尚、チョークコイル28は、電機子12に供給する電源に含まれる雑音を除去するための雑防素子である。
【0047】
図1に示すように、前記減速部3は、ギヤハウジング41と、該ギヤハウジング41内に収容された減速機構42とを有する。ギヤハウジング41は、ヨーク11のフランジ部11aに固定されるホルダ収容部43と、該ホルダ収容部43から回転軸13の中心軸線L1方向に沿ってヨーク11と反対方向に延びるウォーム軸収容部44と、ウォーム軸収容部44の側方(図1において右側方)に形成されたウォームホイール収容部45とを有する。
【0048】
ギヤハウジング41は、フランジ部11aに軸方向から当接したホルダ収容部43が複数の螺子46にて同フランジ部11aに固定されることにより、ヨーク11に固定されている。ホルダ収容部43の内部には、回転軸13の先端側の部位が入り込むとともに、整流子16が配置されている。更に、ホルダ収容部43の内部には、カバー部、ブラシ装置31等、ブラシホルダアセンブリ21におけるヨーク11の開口部から同ヨーク11の外部に突出した部分が配置されている。
【0049】
前記ウォーム軸収容部44の内部には、略円柱状のウォーム軸47が収容されている。ウォーム軸47の軸方向の略中央部には、螺子歯状のウォーム部47aが形成されている。そして、ウォーム軸47は、回転軸13と同軸上に配置(互いの中心軸線が一致するように配置)されるとともに、ウォーム軸収容部44の内部でその中心軸線L5を回転中心として回転可能である。また、ウォーム軸47の基端部(図1において上側の端部)は、前記ホルダ収容部43内に配置されたクラッチ48を介して回転軸13の先端部に連結されている。このクラッチ48は、回転軸13の回転駆動力をウォーム軸47に伝達する一方、ウォーム軸47からの回転力を回転軸13に伝達しないように作動するものである。
【0050】
前記ウォームホイール収容部45の内部空間は、前記ウォーム軸収容部44の内部空間と繋がっている。そして、ウォームホイール収容部45の内部には、ウォーム部47aと噛合する円板状のウォームホイール49が収容されている。このウォームホイール49とウォーム軸47とによって前記減速機構42が構成されている。ウォームホイール49の径方向の中央部には、ウォームホイール49の軸方向に沿って延びる出力軸50が同ウォームホイール49と一体回転可能に設けられている。出力軸50の先端部は、ギヤハウジング41の外部に突出するとともに、同出力軸50の先端部には、図示しないウインドレギュレータを介して車両のウインドガラスが連結される。
【0051】
また、前記ホルダ収容部43に前記コネクタ部4が組付けられている。コネクタ部4は、ホルダ収容部43において、回転軸13の中心軸線L1を挟んでウォームホイール収容部45と反対側(図1において左側)に形成された開口部(図示略)から同ホルダ収容部43に差し込まれている。図1及び図2に示すように、コネクタ部4は、ギヤハウジング41に固定されるコネクタハウジング61と、該コネクタハウジング61の内部に保持された複数の外部接続端子62及び制御IC63とを有する。外部接続端子62は、コネクタハウジング61の内部で制御IC63と電気的に接続されるとともに、コネクタハウジング61に形成された筒状の外部接続部61aの内側でコネクタハウジング61の外部に露出している。そして、コネクタ部4がホルダ収容部43に差し込まれると、制御IC63が2つの前記給電用ターミナル29に電気的に接続されるようになっている。また、電気信号の入力・出力や給電を行うための外部コネクタ(図示略)が外部接続部61aに接続されると、外部接続端子62が外部コネクタに電気的に接続されるようになっている。
【0052】
次に、ブラシ装置31を備えた本実施形態のモータ1の作用を説明する。
外部コネクタからコネクタ部4に供給された電源は、制御IC63から給電用ターミナル29及びピッグテール35を介してブラシ33に供給される。そして、ブラシ33に供給された電源は、整流子16を介してコイル15に供給される。その結果、電機子12(回転軸13)が回転駆動され、回転軸13の回転駆動力は、クラッチ48を介してウォーム軸47に伝達されるとともに、ウォーム部47a及びウォームホイール49にて減速されて出力軸50から出力される。すると、出力軸50の回転方向に応じて、該出力軸50に連結されたウインドレギュレータを介してウインドガラスが下降若しくは上昇される。
【0053】
また、図7に示すように、各ブラシ装置31においては、トーションスプリング34の付勢力F1の分力F1bと、トーションスプリング34による付勢に伴ってブラシ33が整流子16から受ける抗力F2の分力F2bの作用により、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする矢印α方向の回転力がブラシ33に付与される。この回転力を受けたブラシ33は、その先端側で第1の側面33aが第1の内側面S1に接触するとともに、その後端側で第2の側面33bが第2の内側面S2に接触する。そして、トーションスプリング34がブラシ33を回転させようとする力は、第1の内側面S1においてブラシホルダ32の先端側に位置する第1の接触支持点P2と、第2の内側面S2において第1の接触支持点P2よりもブラシホルダ32の後端側に位置する第2の接触支持点P3との2箇所で受け止められる。従って、ブラシ33は、整流子16の径方向(中心線L2方向)に互いにずれるとともに中心線L2を挟んで整流子16の軸線方向の両側に位置する第1の接触支持点P2及び第2の接触支持点P3で、ブラシホルダ32にて支持される。
【0054】
また、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部においてトーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所に対して中心線L2を挟んで反対側となる位置に接続されている。そのため、ピッグテール35からブラシ33の後端部に作用する力F3は、トーションスプリング34に付勢されることでブラシ33の後端部が回転しようとする方向(図7において矢印α方向)と略同じ方向である。従って、ピッグテール35からブラシ33に作用する力F3も、ブラシ33の後端部を第2の内側面S2側へ押すように作用する。
【0055】
また、ブラシ33は、モータ1の慣らし運転を行う前には、その先端が三角形状に尖っている。そして、モータ1の慣らし運転が行われると、ブラシ33の先端の三角形状に尖った部分から摩耗し始める。すると、ブラシ33の先端の摩耗に伴って、ブラシ33の先端と整流子16の外周面との接触面積が増大する。そして、最終的には、ブラシ33の先端は、整流子16の軸線方向から見て同整流子16の外周面に沿った円弧形状に湾曲した形状となる。更に、ブラシ33は、モータ1の慣らし運転前にあった傾斜面33d,33eが無くなった形状、即ち先端の三角形に尖った部分が無くなった形状となる。その結果、ブラシ33の先端部は、同ブラシ33における最も太い四角柱状の部分となるため、この四角柱状の部分の略四角形の先端面全体で整流子16の外周面に摺接する。従って、ブラシ33が安定して整流子16に摺接する。
【0056】
また、図4及び図6に示すように、ブラシ33の先端部が摩耗すると、ブラシ33の後端部は徐々に整流子16の方(径方向内側)へ移動していく(図6において二点鎖線参照)。このとき、ブラシ33の摩耗に伴って、トーションスプリング34の押圧部34cは、コイル部34a付近を回転中心として回転していく(図6において二点鎖線参照)。ブラシ33の摩耗に伴って押圧部34cがコイル部34a付近を中心として回転しても、ブラシ33の後端部側に円弧状に突出した押圧凸部34dは、その外周面と追従凹部33hの内周面とを摺接させながら、直線L3(ブラシ33の中心線L2)の両側の1箇所ずつで追従凹部33hの内周面を押圧した状態を維持できる。
【0057】
上記したように、本第1実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置を押圧する。そのため、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力をブラシ33に付与しやすくなる。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、その先端側で第1の内側面S1に接触して押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33が移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつき(暴れ)を抑制することができる。また、ブラシ33を安定した状態で整流子16に接触させることができる。更に、ブラシ33の後端部においてブラシ33の中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置をトーションスプリング34によって押圧することでブラシホルダ32内でのブラシ33のがたつき(暴れ)を抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【0058】
(2)第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側に傾斜している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側の位置を押圧している。そのため、整流子16の直径方向と略平行な方向にトーションスプリング34がブラシ33の後端部を付勢すると、ブラシ33は、その先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように容易に回転されて、その先端側で第1の内側面S1に接触するとともにその後端側で第2の内側面S2に接触できる。従って、トーションスプリング34によるブラシ33付勢方向を、例えば整流子16の直径方向に対して傾斜した方向等の複雑な方向としなくてもよいため、ブラシ装置31の構造が複雑化されることが抑制される。
【0059】
(3)トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側の位置を押圧している。そして、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側で整流子16に接触している。そのため、トーションスプリング34がブラシ33を付勢することで生じる、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力を大きくしやすい。従って、ブラシ33の先端側で該ブラシ33をより第1の内側面S1に強く押し付けるとともに、ブラシ33の後端側で該ブラシ33をより第2の内側面S2に強く押し付けることができる。よって、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33がより移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつきをより抑制することができる。
【0060】
(4)トーションスプリング34がブラシ33を付勢することで生じる、ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシ33を回転させようとする回転力と略同方向の力が、ピッグテール35からブラシ33に付与される。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の軸線方向にブラシ33が更に移動し難くなるため、整流子16の軸線方向のブラシ33のがたつきを更に抑制することができる。
【0061】
(5)ブラシ33は、整流子16に1箇所で接触している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における整流子16の周方向に離間した2箇所を押圧するとともに、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所(即ち押圧点P4,P5)は、整流子16の軸線方向から見て、ブラシ33と整流子16との接触箇所(即ち接触点P1)を通り中心線L2と平行な直線L3の両側に1つずつ設けられている。従って、ブラシホルダ32の内部で、整流子16の周方向にブラシ33ががたつく(暴れる)ことを抑制できる。
【0062】
(6)押圧凸部34dは、整流子16の軸方向から見てブラシ33の後端部側に突出した円弧状をなしている。従って、ブラシ33の摩耗に伴って押圧部34cが回転しても、追従凹部33hの内周面において整流子16の周方向に離間し直線L3を挟んだ2箇所を押圧凸部34dにて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシ33が摩耗しても、整流子16の周方向のブラシ33のがたつきを抑制することができる。
【0063】
(7)モータ1は、ブラシホルダ32内でのブラシ33のがたつき(暴れ)が抑制されたブラシ装置31を備えているため、モータ1においてブラシ33のがたつきによる騒音の発生が抑制される。また、ブラシ33は、安定した状態で整流子16に接触しているため、ブラシ33の過剰な摩耗が抑制されて同ブラシ33の寿命が短くなることが抑制されている。従って、ひいてはモータ1の寿命が短くなることが抑制される。
【0064】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図8に示す本第2実施形態のベース部材71は、上記第1実施形態のベース部材22に代えてモータ1のブラシホルダアセンブリ21に備えられるものである。このベース部材71は、上記第1実施形態のベース部材22と同様に、絶縁性の樹脂材料にて形成され、カバー部25と、ブラシ装置31を構成するブラシホルダ32とを有する。
【0066】
図8及び図10に示すように、本第2実施形態では、2つのブラシ装置31のブラシホルダ32は、径方向内側の端部がカバー部25の内側に若干突出している。そして、各ブラシホルダ32の径方向内側の端部には、カバー部25の内側に開口する内側開口部32hが形成されている。各ブラシホルダ32の内部空間は、この内側開口部32hを介してカバー部25の内部空間に連通している。内側開口部32hは、ブラシ33を挿通可能な四角形状をなしている。
【0067】
また、図9に示すように、カバー部25の内側に突出したブラシホルダ32の径方向内側の端面(即ちブラシホルダ32の先端面)において、内側開口部32hの周縁部には、平面状をなす平面部32kが形成されている。平面部32kは、カバー部25に収容される整流子16の軸線方向と平行をなすとともに、ブラシホルダ32の延びる方向と直交する平面状をなしている。尚、ブラシホルダ32の延びる方向は、上記第1実施形態と同様に整流子16の径方向となっており、図9及び図10において一点鎖線で図示している。また、整流子16の軸線方向は、図9及び図10において紙面垂直方向である。
【0068】
図8及び図9に示すように、各ブラシホルダ32において、第1の内側面S1及び第2の内側面S2の径方向内側の端部は、内側開口部32hまで延びている。そして、第1の内側面S1は、該第1の内側面S1における整流子16側の端に、同整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなす直線部72を有する。第1の内側面S1は、径方向内側には内側開口部32hまで延びているため、直線部72は、内側開口部32hの一部を構成している。そして、本第2実施形態の直線部72は、第1の内側面S1における整流子16側の一辺であり、第1の内側面S1と平面部32kとによって形成される角部に位置する1本の直線である。また、図8及び図10に示すように、直線部72の長さ(整流子16の軸線方向から見てブラシホルダ32の延びる方向と直交する方向の長さ)は、ブラシ33の幅(整流子16の軸線方向から見た幅)よりも長く形成されている。
【0069】
そして、各ブラシ装置31において、ブラシホルダ32に挿入されたブラシ33は、上記第1実施形態と同様にトーションスプリング34(図4及び図7参照)によって後端部が整流子16の方へ押圧されることにより、同トーションスプリング34によって整流子16に向けて付勢されている。ブラシ33には、トーションスプリング34から、同ブラシ33の先端と後端とが整流子16の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力が付与される。そして、当該回転力が付与されたブラシ33は、ブラシホルダ32の内部で同ブラシホルダ32に対して整流子16の軸線方向に傾斜し、その先端側で第1の内側面S1に押し付けられるとともに、その後端側で第2の内側面S2に接触して押し付けられた状態となる。ブラシ33の先端部は内側開口部32hからカバー部25の内部に突出するとともに、第1の内側面S1は内側開口部32hまで径方向内側に延びている。そのため、ブラシ33の先端側では、同ブラシ33の第1の側面33aが直線部72に線接触する。
【0070】
次に、本実施形態のブラシ装置31を備えたモータ1の作用を説明する。
各ブラシ装置31において、ブラシ33は、その先端側では直線部72に接触するため、第1の内側面S1に対して線接触する。そして、直線部72は、整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなしている。従って、ブラシ33は、トーションスプリング34の付勢力によって同ブラシ33の先端側で直線部72に押し付けられて同直線部72に線接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。
【0071】
上記したように、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(7)と同様の効果に加えて、以下の効果を有する。
(8)各ブラシ装置31において、ブラシ33は、トーションスプリング34の付勢力によって同ブラシ33の先端側で直線部72に押し付けられて同直線部72に線接触すると、姿勢が一層安定しやすくなる。よって、ブラシ33のがたつきを一層抑制することができるとともに、ブラシ33をより安定した状態で整流子16に接触させることができる。
【0072】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、モータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降させるパワーウインド装置の駆動源として用いられている。しかしながら、モータ1は、パワーウインド装置以外の装置の駆動源として用いられてもよい。また、減速部を備えないモータに、ブラシ装置31を備えてもよい。
【0073】
・上記第2実施形態では、ブラシ33は、その先端側で直線部72に線接触する。しかしながら、直線部72が幅を有する場合には、ブラシ33は、その先端側で直線部72に面接触してもよい。この場合においても、上記第2実施形態の(8)と同様の効果を得ることができる。また、トーションスプリング34の付勢力によって、ブラシ33が、その先端側で第2の内側面S2に押し付けられる場合には、第2の内側面S2における整流子16側の端に、同整流子16の軸線方向と直交し且つブラシホルダ32の延びる方向と直交する直線状をなす直線部72を設けてもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、ブラシ33の後端部に追従凹部33hが形成されている。しかしながら、ブラシ33は、必ずしも追従凹部33hを備えなくてもよい。この場合、トーションスプリング34の押圧部34cに、ブラシ33の後端部側に突出し整流子16の周方向に離間した偶数個の凸部を形成し、当該凸部によってブラシ33の後端部における整流子16の周方向に離間した偶数箇所を押圧してもよい。このようにすると、ブラシホルダ32の内部で整流子16の周方向にブラシ33ががたつく(暴れる)ことを抑制できる。また、凸部によるブラシ33の押圧箇所を、ブラシ33の後端部において中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置とし、この凸部によるブラシ33の押圧箇所を、整流子16の軸線方向から見て直線L3の両側に同数ずつ設けると、ブラシ33をより安定した状態で整流子16に接触させることができる。
【0075】
・上記第1実施形態では、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧位置(即ち押圧点P4,P5)に対して中心線L2を挟んで反対側に接続されている。しかしながら、ピッグテール35は、ブラシ33の後端側の部分に接続されるのであれば、上記第1実施形態と別の位置に接続されてもよい。例えば、ピッグテール35は、ブラシ33の後端部において整流子16の周方向の側面に接続されてもよい。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0076】
・上記第1実施形態では、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク11側)の位置を押圧している。そして、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)で整流子16に接触している。しかしながら、図11に示すように、ブラシ33は、中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク11側)で整流子16に接触してもよい。図11では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図11に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図11に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。このようにしても、上記第1実施形態の(1)及び(4)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0077】
・上記第1実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に傾斜している。そして、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)の位置を押圧している。しかしながら、図12に示すように、トーションスプリング34は、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)の位置を押圧してもよい。図12では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図12に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図12に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。そして、ブラシ33には、分力F1b及び分力F2bによって、矢印β方向の回転力が付与される。このようにしても、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0078】
また、図13に示すように、トーションスプリング34が、ブラシ33の後端部における中心線L2よりも整流子16の軸線方向他端側(減速部側)の位置を押圧する場合において、ブラシ33と整流子16との接触箇所(即ち接触点P1)を中心線L2よりも整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に設定してもよい。図13では、上記第1実施形態と同様の構成に同じ符号を付している。図13に示す例において、トーションスプリング34は、整流子16の直径方向と略平行な方向にブラシ33を付勢している。また、整流子16の周方向から見て(即ち図13に示す状態)、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧点P4,P5と、ブラシ33と整流子16との接触点P1とは、整流子16の軸線方向にずれている。そして、ブラシ33には、分力F1b及び分力F2bによって、矢印β方向の回転力が付与される。このようにしても、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。このことは、上記第2実施形態のブラシ装置31においても同様である。
【0079】
・上記各実施形態では、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、整流子16の軸線方向一端側(ヨーク側)に傾斜している。しかしながら、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16に向かって、整流子16の軸線方向の両端のうち減速部3側の端の方へ傾斜するように形成されてもよい。この場合、整流子16の軸線方向一端側は、整流子16の減速部3側となる。また、第1の内側面S1及び第2の内側面S2は、整流子16の軸線方向と直交する(整流子16の直径方向と平行)に形成されてもよい。これらの場合においても、ブラシ33の後端部において中心線L2から整流子16の軸線方向にずれた位置をトーションスプリング34で押圧するとともに、トーションスプリング34によるブラシ33の押圧箇所と、ブラシ33の整流子16に対する接触箇所とを整流子16の軸線方向にずらすことで、上記第1実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。
【0080】
・モータ1に備えられるブラシ装置31の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
上記各実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0081】
(イ)整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧することを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、ブラシホルダの内部で整流子の周方向にブラシががたつくことを抑制できる。
【0082】
(ロ)前記(イ)に記載のブラシ装置において、前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記ブラシの中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、ブラシをより安定した状態で整流子に接触させることができる。
【0083】
(ハ)前記(ロ)に記載のブラシ装置において、前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、押圧凸部は、追従凹部に挿入されて該追従凹部の内周面における整流子の周方向に離間した2箇所を押圧している。ブラシが摩耗すると、ブラシの後端部が整流子の方へ移動するため、それに伴ってトーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が同トーションスプリングのコイル部付近を回転中心として回転する。このように、トーションスプリングにおける押圧凸部が形成された一端部が回転しても、押圧凸部が、整流子の軸方向から見てブラシの後端部側に突出した円弧状をなすため、追従凹部の内周面において整流子の周方向に離間した2箇所を押圧凸部にて押圧した状態を維持することができる。従って、ブラシが摩耗しても、整流子の周方向のブラシのがたつきを抑制することができる。
【0084】
(ニ)整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、を備えたブラシ装置であって、前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所と、前記ブラシの前記整流子に対する接触箇所とは、前記整流子の軸線方向にずれており、前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることを特徴とするブラシ装置。同構成によれば、トーションスプリングでブラシを付勢することで、ブラシの先端と後端とが整流子の軸線方向にずれるように該ブラシを回転させようとする回転力をブラシに付与できる。そして、当該回転力が付与されたブラシは、その先端側で一方の内側面に接触して押し付けられるとともに、その後端側で他方の内側面に接触して押し付けられた状態となる。従って、ブラシホルダの内部で、整流子の軸線方向にブラシが移動し難くなるため、整流子の軸線方向のブラシのがたつきを抑制することができる。また、ブラシを安定した状態で整流子に接触させることができる。また、ブラシの後端部においてブラシの中心線から整流子の軸線方向にずれた位置をトーションスプリングによって押圧することでブラシホルダ内でのブラシのがたつきを抑制しているため、部品点数を増加させなくてもよい。
【符号の説明】
【0085】
13…回転軸、16…整流子、31…ブラシ装置、32…ブラシホルダ、33…ブラシ、33h…追従凹部、34…トーションスプリング、34d…押圧凸部、35…ピッグテール、72…直線部、L2…中心線、L3…直線、S1…内側面としての第1の内側面、S2…内側面としての第2の内側面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し前記整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、
前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、
前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、
を備えたブラシ装置であって、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、
前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシ装置において、
一対の前記内側面は、前記整流子に向かって前記整流子の軸線方向一端側に傾斜しており、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧することを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブラシ装置において、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧し、
前記ブラシは、前記中心線よりも前記整流子の軸線方向他端側で前記整流子に接触することを特徴とするブラシ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記ブラシの後端側の部分には、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧位置に対して前記中心線を挟んで反対側に、前記ブラシに電源を供給するためのピッグテールが接続されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧するとともに、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のブラシ装置において、
前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、
前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のブラシ装置において、
一対の前記内側面のうち前記ブラシの先端側が接触する前記内側面は、該内側面における前記整流子側の端に、前記整流子の軸線方向と直交し且つ前記ブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなす直線部を有し、
前記ブラシは、その先端側で前記直線部に接触することを特徴とするブラシ装置。
【請求項8】
回転駆動される回転軸に一体回転可能に固定された前記整流子と、
前記整流子の外周面に摺接する前記ブラシを有する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のブラシ装置と、
を備えたことを特徴とするモータ。
【請求項1】
整流子の軸線方向に離間した一対の内側面を有し前記整流子の略径方向に延びるブラシホルダと、
前記ブラシホルダ内に空隙を有した状態で収容され先端が前記整流子に接触するブラシと、
前記ブラシの後端部を前記整流子に向けて付勢するトーションスプリングと、
を備えたブラシ装置であって、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部において前記ブラシの中心線から前記整流子の軸線方向にずれた位置を押圧することで前記ブラシを前記整流子に向けて付勢し、
前記ブラシは、前記トーションスプリングに付勢されることで、その先端側で一対の前記内側面のうち一方の前記内側面に接触するとともに、その後端側で他方の前記内側面に接触していることを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシ装置において、
一対の前記内側面は、前記整流子に向かって前記整流子の軸線方向一端側に傾斜しており、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧することを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のブラシ装置において、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記中心線よりも前記整流子の軸線方向一端側の位置を押圧し、
前記ブラシは、前記中心線よりも前記整流子の軸線方向他端側で前記整流子に接触することを特徴とするブラシ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記ブラシの後端側の部分には、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧位置に対して前記中心線を挟んで反対側に、前記ブラシに電源を供給するためのピッグテールが接続されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のブラシ装置において、
前記ブラシは、前記整流子に1箇所で接触し、
前記トーションスプリングは、前記ブラシの後端部における前記整流子の周方向に離間した偶数箇所を押圧するとともに、前記トーションスプリングによる前記ブラシの押圧箇所は、前記整流子の軸線方向から見て、前記ブラシと前記整流子との接触箇所を通り前記中心線と平行な直線の両側に同数ずつ設けられていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のブラシ装置において、
前記ブラシの後端部には、前記ブラシの先端と反対側に開口した追従凹部が形成され、
前記トーションスプリングの一端部には、前記整流子の軸線方向から見て前記ブラシの後端部側に円弧状に突出し、前記追従凹部に挿入されて前記追従凹部の内周面における前記整流子の周方向に離間した2箇所を押圧する押圧凸部が形成されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のブラシ装置において、
一対の前記内側面のうち前記ブラシの先端側が接触する前記内側面は、該内側面における前記整流子側の端に、前記整流子の軸線方向と直交し且つ前記ブラシホルダの延びる方向と直交する直線状をなす直線部を有し、
前記ブラシは、その先端側で前記直線部に接触することを特徴とするブラシ装置。
【請求項8】
回転駆動される回転軸に一体回転可能に固定された前記整流子と、
前記整流子の外周面に摺接する前記ブラシを有する請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のブラシ装置と、
を備えたことを特徴とするモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−63012(P2013−63012A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167733(P2012−167733)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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