説明

ブリスターパッケージ

【課題】容易に収容物を取り出せるとともに、収容部を押圧しても容易に収容物がでないブリスターパッケージを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によるブリスターパッケージは、第1シートと、第1シートの額部12と接着または溶着された第2シートとを有する。第2シートには第1のミシン目22と第2のミシン目23とが設けられている。第1のミシン目22に沿って第2シートを引き裂くことにより、収容部11が開放される。第2のミシン目に沿って第2シートを引き裂くことにより、第1のミシン目22に沿って第2シートを引き裂くための第1つまみ部24が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型電池やコイン型電池、あるいは錠剤等の医薬品などを包装するブリスターパッケージの開放構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン型電池やコイン型電池は1個の大きさが小さいため、包装材に封入して流通させるのが一般的である。このような従来の包装材を、図8および図9を用いて説明する。図8は従来の包装材の分解斜視図、図9は従来の包装材の背面図である。
【0003】
図8に示すように、従来の包装材は第1シート51と第2シート52から構成されている。第1シート51には、コイン型電池などの収容物50を収容する収容部53が設けられている。第1シート51と第2シート52とは収容部53を除く部分の全てまたは一部分で接着あるいは溶着される。第2シート52の、収容部53に対応する位置には、ミシン目54で囲まれた蓋部55が設けられている。
【0004】
そしてユーザは、収容部53に収容物50が内包された状態で第2シート52と反対側から収容部53を押圧することにより、図9に示すように第2シート52がミシン目54に沿って破断して収容物50を取り出すことができる。あるいは、第2シート52の、収容部53に対応する位置に十字型のミシン目を設けることでもユーザは同様にして収容物50を取り出すことができる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−270557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが収容部53に収容物50が内包された状態で、第2シート52と反対側から収容部53を押圧することにより、容易に収容物50を取り出すことができるためには、ミシン目54の破断強度を小さくする必要がある。しかしながらあまり弱くすると、例えば積み重ねて運搬する際に、上に積まれた物品からの荷重によってミシン目54に沿って第2シート52が裂け、収容物50が包装材から出てしまう可能性がある。あるいは幼児などが誤って収容部53を押圧して収容物50を取り出してしまうことがある。逆に、幼児などが誤って収容部53を押圧して収容物50を取り出してしまうことを防止するために、ミシン目54の破断強度を大きくしすぎると、第2シート52と反対側から収容部53を押圧して収容物50を取り出す際に必要な押圧力が大きくなると共に、収容物50にも過大な押圧力が付加されて、収容物50に変形や破壊といった不具合が生じるおそれがある。このように従来の包装材にはミシン目54の破断強度に相反する条件がある。
【0006】
現状では、収容部53に収容物50を入れた状態で、収容部53を20N程度の力で押圧することでミシン目54に沿って第2シート52が裂けるように設定されている。例えば、第2シート52の大きさが40mm×90mm、厚さが100μm、蓋部55の直径が21mmのポリエチレンテレフタレートのとき、ミシン目54では、蓋部55の円弧部分で45°毎に1mmの間隔をおいて切込が設けられる。しかしながら、ミシン目54の強度は、上述のような観点からは充分ではない。
【0007】
本発明は、このような課題を解決し、容易に収容物を取り出せるとともに、収容部を押圧しても容易に収容物が出ないブリスターパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によるブリスターパッケージは、第1シートと、第2シートとを有する。第1シートは、第2シートと反対側に突出してその裏側に凹部を形成した収容部とこの収容部の周囲に広がる額部を有する。第2シートは、この額部と接着または溶着されている。第2シートには第1のミシン目と第2のミシン目とが設けられ、第1のミシン目の伸びる方向と第2のミシン目の伸びる方向とは異なっている。第1のミシン目は、第1のミシン目に沿って第2シートを引き裂くことにより、収容部が開放されるように設けられている。第2のミシン目は、第2のミシン目に沿って第2シートを引き裂くことにより、第1のミシン目に沿って第2シートを引き裂くための第1つまみ部が形成されるように設けられている。
【0009】
このような構成において、ユーザは、まず第2シートの一部を指などでつまみ、第2のミシン目に沿って第2シートを引っ張って第2シートを引き裂くことで第1つまみ部を形成する。次に、ユーザは、第1つまみ部を指などでつまみ、第1のミシン目に沿って第2シートを引っ張って第2シートを裂く。このような2つの簡単な引っ張り動作により第2シートを引き裂く動作は、共にミシン目に沿って行われるため、ユーザは容易に収容部を開放することができる。
【0010】
また、第2シートをミシン目に沿って引き裂くのに必要な力は、収容部を押圧することによって裂くのに必要な力よりも小さい。したがって、不用意に収容物がブリスターパッケージから出てしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザが容易に開放できるとともに誤って開放されることのないブリスターパッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の発明は、第1シートと、第2シートとを有するブリスターパッケージである。第1シートは、第2シートと反対側に突出してその裏側に凹部を形成した収容部とこの収容部の周囲に広がる額部を有する。第2シートはこの額部と接着または溶着されている。第2シートには第1のミシン目と第2のミシン目とが設けられ、第1のミシン目の伸びる方向と第2のミシン目の伸びる方向とは異なっている。第1のミシン目は、第1のミシン目に沿って第2シートを引き裂くことにより、収容部が開放されるように設けられている。第2のミシン目は、第2のミシン目に沿って第2シートを引き裂くことにより、第1のミシン目に沿って第2シートを引き裂くための第1つまみ部が形成されるように設けられている。
【0013】
このような構成において、ユーザは、まず第2シートの一部を指などでつまみ、第2のミシン目に沿って第2シートを引っ張って第2シートを裂くことで第1つまみ部を形成する。次に、ユーザは、第1つまみ部を指などでつまみ、第1のミシン目に沿って第2シートを引っ張って第2シートを裂く。このような2つの簡単な引っ張り動作により、第2シートを引き裂く動作はミシン目に沿って行われるため、ユーザは容易に収容部を開放することができる。また、第2シートをミシン目に沿って引き裂くのに必要な力は、収容部に収容物が内包された状態で第2シートと反対側から収容部を押圧することによって裂くのに必要な力よりも小さい。したがって、運搬中などに容易に収容物がブリスターパッケージから出てしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明の第2の発明は、第1の発明において、第2シートの第1のミシン目を設けた部分は、収容部に収容物が内包された状態で収容部を第2シートと反対側からの押圧力に耐える強度を有するブリスターパッケージである。第1のミシン目の強度を上述のように設定することにより、特に幼児などが誤って収容部を押圧して収容物を取り出し、収容物を誤飲することを防止できる。
【0015】
本発明の第3の発明は、第1の発明において、第2シートには第2のミシン目から独立した第3のミシン目がさらに設けられたブリスターパッケージである。第2のミシン目と第3のミシン目によって挟まれた部分は、帯部となって第2シートに形成されている。このように第3のミシン目を設けて第2シートに帯部を形成することにより、第2のミシン目に沿って第2シートをさらに引き裂きやすくなる。
【0016】
本発明の第4の発明は、第3の発明において、帯部の第1端部において第2のミシン目および第3のミシン目の少なくも一方の延長上にノッチが設けられたブリスターパッケージである。帯部の第1端部は、第2のミシン目および第3のミシン目に沿って第2シートを引き裂くための第2つまみ部となっている。このように第2つまみ部を形成することにより、第2のミシン目に沿って第2シートをさらに引き裂きやすくなる。
【0017】
本発明の第5の発明は、第3の発明において、帯部は第2端部において第1シートに接着または溶着されているブリスターパッケージである。第2端部が第1シートに固定されていることによって、第2のミシン目に沿って第2シートを引き裂いても帯部が第1シートとともに残り、収容物を取り出した後も帯部を第1シートとともにまとめて廃棄することができる。
【0018】
本発明の第6、第7の発明は、第1、第3の発明において、第2のミシン目、第3のミシン目が、不連続なY型の切込を含んで形成されているブリスターパッケージである。切込から、次の切込までの間隔の部分を引き裂く際、場合によっては第2シートが切込から逸れて裂ける場合がある。しかしながら、切込をY型にして縦方向に、すなわち1つのY型の下端が隣接するY型の上端のほぼ中央に対向するようにならべることによって、Y字の二股部分が逸れた裂け目を受け止める。そのためユーザは確実に第2シートを第2のミシン目に沿って引き裂くことができる。
【0019】
本発明の第8の発明は、第1の発明において、第1シートに、第1ミシン目から独立した第4のミシン目がさらに設けられたブリスターパッケージである。そして第1のミシン目と第4のミシン目にはさまれた部分が収容部を覆っている。このように第4のミシン目を設けることにより、第1のミシン目に沿って第2シートをさらに引き裂きやすくなる。
【0020】
本発明の第9、第10の発明は、第1、第8の発明において、第1ミシン目、第4のミシン目が不連続な波型の切込で形成されているブリスターパッケージである。収容部の大きさ(開放面積)と第1つまみの大きさによっては、第1ミシン目や第4のミシン目を、第1つまみを引っ張る方向から逸れるように設ける必要がある。このようにミシン目の伸びる方向と第1つまみを引っ張る方向とが一致しない場合でも、上述の形状のミシン目により、ユーザは確実に第2シートを第1のミシン目に沿って引き裂くことができる。
【0021】
本発明の第11の発明は、第1の発明において、第1シートと第2シートとが生分解性材料で構成されているブリスターパッケージである。生分解性材料は自然環境中で経時的に分解されるため、地球環境保全の点から好ましい。
【0022】
本発明の第12の発明は、第11の発明において、生分解性材料がポリ乳酸系重合体であるブリスターパッケージである。生分解性材料の中でも脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸系重合体は成形加工性の点で好ましい。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本明細書に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下に記載の内容に限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1によるブリスターパッケージの分解斜視図、図2は同ブリスターパッケージの正面図、図3は同ブリスターパッケージの背面図である。
【0025】
このブリスターパッケージは、第1シート1と、第2シート2とを有する。第1シート1は、第2シート2と反対側に突出してその裏側に凹部を形成した、収容物10を収容する収容部11と、収容部11の周囲に広がる額部12を有する。収容部11を囲む長方形の二重線13、つり下げ用の孔16を囲むように配置された二重線14、および端との間に所定の間隔を隔てて配置された二重線15は、段差部を表している。段差部15より外側、すなわち端側において、額部12を形成し、この部分において第2シート2と接着または溶着される。また、段差部14から孔16の縁までの部分においても第2シート2と接着または溶着される。段差部15の内側で、段差部13および14の外側の部分は、前記の接着または溶着される部分より若干、例えば1mm程度高くなっており、第2シートとの間には隙間が形成される。ここで、収容物10は例えば、ボタン型電池やコイン型電池、あるいは錠剤等の医薬品である。
【0026】
図2および図3に示すように、第2シート2には点線22で囲まれた第1のミシン目(以下ミシン目22という)と点線23で囲まれた第2のミシン目(以下ミシン目23という)とが設けられている。ミシン目22の伸びる方向とミシン目23の伸びる方向とは異なっている。図4において、矢印36の示す方向がミシン目22の伸びる方向であり、矢印37の示す方向がミシン目23の伸びる方向である。なお、矢印36および37の示す方向とミシン目22および23の伸びる方向とは、それぞれ厳密に平行であるわけではなく、略平行な方向を示している。
【0027】
また、ミシン目23と略並行にミシン目23から独立した、点線25で囲まれた第3のミシン目(以下、ミシン目25という)がさらに設けられている。さらに、ミシン目22と同様の構成で、かつミシン目22から独立した、点線29で囲まれた第4のミシン目(以下、ミシン目29という)が設けられている。
【0028】
ミシン目22および29は、ユーザがそれぞれミシン目22および29に沿って第2シート2を引き裂くことにより、収容部11が開放されるように設けられている。すなわち、ミシン目22とミシン目29にはさまれた部分は収容部11を覆っている。
【0029】
ミシン目23および25に沿って第2シート2を引き裂くと、第1つまみ部24が形成される。ユーザは第1つまみ部24を指などでつまむことにより、ミシン目22および29に沿って第2シート2を引き裂くことができる。このように第1つまみ部24を形成するように設けられているミシン目23とミシン目25によって挟まれた部分は帯部26を形成している。
【0030】
このような構成において、ユーザは、まず第2シート2の一部を指などでつまみ、ミシン目23および25に沿って第2シート2を引っ張って第2シート2を引き裂く。このようして第1つまみ部24が形成される。次に、ユーザは、第1つまみ部24を指などでつまみ、ミシン目22および29に沿って第2シート2を引っ張って第2シート2を裂く。このような2つの簡単な引っ張り動作により第2シート2を引き裂く動作は、ミシン目22、23、25、および29に沿って行われる。そのため、ユーザは、収容部11を容易に開放することができる。また、第2シート2をミシン目22、23、25、および29に沿って引き裂くのに必要な力は、収容部11に収容物10が内包された状態で、第2シート2と反対側から収容部11を押圧することによって裂くのに必要な力よりも小さい。したがって、不用意に収容物10がブリスターパッケージから出てしまうことを防止することができる。
【0031】
次に、図4を参照してミシン目22、23、25、および29に関し詳細に説明する。図4は図3の拡大図である。ミシン目22は、円弧状の切込31、32、および33の複合である波型の切込34を不連続に設けることで形成されている。ミシン目29の構成は、ミシン目22と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0032】
図4に示す構成では、ミシン目22および29の伸びる方向は第1つまみ24を引っ張る方向とは一致していない。ミシン目22および29ではさまれた部分は収容部11を覆っている。したがって、収容部11の大きさ(開放面積)によってはこの部分の面積を大きくする必要がある。一方、第1つまみ24を大きく設定すると、ユーザがつまむ際にその中央部分だけをつまむことになり、ミシン目22および29に引っ張り力が伝わりにくくなる。そのため第1つまみ24は指の大きさを考慮して設計することが好ましい。
【0033】
このように収容部11の大きさと第1つまみ24の大きさによっては、ミシン目22および29を、第1つまみ24を引っ張る方向から逸れるように設ける必要がある。しかしながら、ミシン目22および29の伸びる方向と第1つまみ24を引っ張る方向とが一致していないと、例えば第2シート2の材質によってはうまくミシン目22および29が引き裂けず、裂け目がミシン目22および29から逸れてしまう。特に、第2シート2が繊維質を含み、その繊維質が方向性を有する場合にこのような現象が顕著になる。
【0034】
図4の構成では、ミシン目22および29が不連続な波型の切込34で形成されている。特に、引き裂く動作の最後に到達する切込31がミシン目22および29のはさむ部分の中心方向に向いている。そのため、切込34同士の間で裂け目が外向きになるのを矯正して確実にミシン目22および29が引き裂けるようになる。
【0035】
このようにミシン目22および29の伸びる方向と第1つまみ24を引っ張る方向とが一致しない場合でも、上述の形状の切込34でミシン目22および29を形成することが好ましい。これにより、ユーザは確実に第2シート2をミシン目22および29に沿って引き裂くことができる。
【0036】
次に、ミシン目23および25について説明する。図4に示すように、ミシン目23および25は、不連続なY型の切込30を含んで形成されている。切込30から、次の切込30までの間隔の部分を引き裂く際、場合によっては第2シート2が切込30から逸れて裂ける場合がある。第2シート2をミシン目22および29に沿って引き裂く場合に比べれば、この場合は帯部26が略長方形状であり、ミシン目23および25の伸びる方向と帯部26を引っ張る方向とがほぼ一致するため、この傾向は小さい。
【0037】
しかしながら、上述のように第2シート2が繊維質を含み、その繊維質が方向性を有する場合には、第2シート2が切込30から逸れて裂ける状況が懸念される。しかし、切込30をY型にして縦方向に、すなわち1つのY型の下端が隣接するY型の上端のほぼ中央に対向するようにならべることによって、Y字の二股部分が逸れた裂け目を受け止める。そのためユーザは確実に第2シート2をミシン目23および25に沿って引き裂くことができる。
【0038】
なお、帯部26の第1端部27において、ミシン目23および25の少なくも一方の延長上にノッチ35Aまたは35Bを設けることが好ましい。このようにノッチ35Aおよび35Bの少なくとも一方を設けることにより、帯部26の第1端部27はミシン目23および25に沿って第2シート2を引き裂くための第2つまみ部となる。このように第2つまみ部を形成することによりミシン目23および25に沿って第2シート2をさらに引き裂きやすくなる。
【0039】
また、帯部26は第2端部28において第1シート1に接着または溶着されていることが好ましい。第2端部28が第1シート1に固定されていることによって、ミシン目23および25に沿って第2シート2を引き裂いても帯部26が第1シート1とともに残る。そのため収容物10を取り出した後も帯部26を第1シート1とともにまとめて廃棄することができる。
なお、第1端部27は、第1シート1の側面と略一致させているが、必ずしもそのようにする必要はない。第1端部を、第1シートの側面より内側に位置させもてよい。その場合は、ノッチ35Aおよび/または35Bと連続した切込に形成する。
【0040】
ミシン目23および25は上述のようにY型の切込30で形成されている。そのため、ミシン目23および25に沿った第2シート2の破断部分はのこぎり状になる。しかしながら、ミシン目23および29の引き裂き方向は、それぞれ直線状で単一方向であるため、Y型の切込30を小さく、細かく設定しても第2シート2をミシン目23および25に沿って確実に引き裂くことができる。そのため、ミシン目23および25に沿った第2シート2の破断部分には大きなバリは生じない。
【0041】
一方、ミシン目22および29の伸びる方向は第1つまみ24を引っ張る方向から斜めに設定されている。そのため、ミシン目22および29をミシン目23および25と同じようにY型の切込30で形成する場合、確実に第2シート2が引き裂けるようにするためにはY型の切込30を大きくする必要がある。このようにY型の切込30が大きいと、ミシン目22および29に沿った第2シート2の破断部分のバリが大きくなる。このような状態になると、ユーザは、そのバリに触れて指などにケガをする恐れがある。
【0042】
本実施の形態では、ミシン目22および29を波型の切込34で形成することで、ミシン目22および29に沿った第2シート2の破断部分が丸みを帯びた状態になる。そのため、ユーザがケガをすることを防ぐことができる。そのため、上述のような問題はない。
【0043】
なお、ミシン目25やミシン目29は必須ではなく、設けなくてもよい。この場合、図3に示すブリスターパッケージの下端や左側で額部12と第2シート2との接着(または溶着)度合いを弱くしておけば、これらをミシン目25やミシン目29の代わりとすることができる。しかしながら、ミシン目25やミシン目29を設けることは、それぞれの動作においてミシン目22および23に沿って第2シート2をさらに引き裂きやすくなるため好ましい。
【0044】
なお、図5に示すように、第1シート1に収容部11Aおよび11Bを設け、それぞれに対応するように第2シート2にミシン目22A、23A、および29Aの組と、ミシン目22B、23B、および29Bの組を設けてもよい。この構成ではミシン目23Aおよび23Bに沿って第2シート2を引き裂くことで同時につまみ部24Aおよび24Bを形成することができる。そのため、ユーザは3回の引き裂き動作により2つの収容物を取り出すことができる。
【0045】
(実施の形態2)
次に、第2シート2に形成する異なるミシン目の形状について説明する。図6は本発明の実施の形態2による他のブリスターパッケージの第2シート2に形成されたミシン目を示す正面図、図7は図6に示す第2シート2を引き裂くときの様子を示す図である。第2シート2が方向性のある繊維質を含まない場合、図6に示すように直線的な切込で構成された第1、第2、第3、および第4のミシン目42、43、45、および49を設けてもよい。特に収容部11がミシン目42および49ではさまれる部分の面積が小さいときは、つまみ部44を引っ張る方向をミシン目42および49の伸びる方向と一致させても問題ない。このようにミシン目の形状は第2シート2の材質や収容部11の大きさなどに応じて任意に変更することができる。
【0046】
なお、第1シート1と第2シート2の材料は特に限定されないが、地球環境保全の点から生分解性材料で構成されていることが好ましい。生分解性材料は、自然環境中で経時的に分解される。このような材料として脂肪酸ポリエステル、編成ポリビニルアルコール、セルロースエステル化合物、でんぷん変性体などが挙げられる。なかでも脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸系重合体は、成形加工性の点で好ましい。また、分解時に生成するアルコールやカルボン酸は生体への影響が小さいため好ましい。
【0047】
しかしながら、ポリ乳酸系重合体を用いて第2シート2を作製すると、方向性を有する繊維質になるのが一般的である。そのため、図4に示すミシン目22、23、25、および29を設けることが好ましい。
【0048】
なお、第2シート2のミシン目22を設けた部分は、収容部11に収容物10が内包された状態で収容部11を第2シート2と反対側から押圧する押圧力に耐える強度を有することが好ましい。このようにするためには、ミシン目の切込の長さや間隔を調整することで実現できる。ミシン目22の強度を上述のように設定することにより、特に幼児などが誤って収容部11を押圧して収容物10を取り出し、収容物10を誤飲することを防止できる。
【0049】
以上のような条件を満たす第2シート2と、ミシン目22、23、25、および29の一例を示す。第2シート2は厚さ100μm、第1シート1は厚さ170μmのポリ乳酸系重合体でそれぞれ構成する。また、それぞれのおおよその外形寸法は、40mm×90mmである。ミシン目22および29は、切込31および33の円弧の曲率半径を1mm、切込32の円弧の曲率半径を1.25mmとする。そして切込34同士の間隔を1.5mm前後に設定する。また、第1つまみ24の幅を13mmとし、第1つまみ24から離れた側でのミシン目22と29の間隔を25mm前後にする一方、ミシン目23および25の切込30のY字の二股部分のなす角を60°、それぞれの直線部分の長さを0.7mmとし、切込30同士の間隔を0.5mmとする。
また、収容部11の高さを4.2mm、直径を23.4mmとする。額部12と第1シート1とは、120〜140℃で約4秒間、加熱しながら押圧することにより熱溶着する。
【0050】
このように構成したブリスターパッケージの収容部11に直径20mm、厚さ3.2mmのコイン型電池を収容した状態で、第2シート2は、収容部11を押圧する力を約40Nに上げるまで裂けずに耐える。この圧力は人が指で収容部11を押圧する力を超えている。しかもユーザはミシン目23、25、ミシン目22、29の順に第2シート2を指で容易に、かつ確実に引き裂いてコイン型電池を取り出すことができる。
【0051】
また、上述と同様のミシン目を形成した第2シート2に、収容部11の高さが8.3mm、直径が32.4mmの第1シート1を組み合わせてもよい。この場合も、収容部11に直径23mm、厚さ5.4mmのコイン型電池を収容した状態で、第2シート2は、収容部11を押圧する力を約40Nに上げるまで裂けずに耐える。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によるブリスターパッケージは、運搬中などに容易に収容物が出てしまうことを防止することができるとともに、ユーザが指で容易に、かつ確実に引き裂いて収容物を取り出すことができる。このブリスターパッケージはボタン型電池やコイン型電池、あるいは錠剤等の医薬品などを包装するブリスターパッケージとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態によるブリスターパッケージの分解斜視図である。
【図2】同ブリスターパッケージの正面図である。
【図3】同ブリスターパッケージの図2の背面図である。
【図4】図3の要部の拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1による他のブリスターパッケージの正面図である。
【図6】本発明の実施の形態2による他のブリスターパッケージの第2シートに形成されたミシン目を示す正面図である。
【図7】図6に示す第2シートを引き裂くときの様子を示す図である。
【図8】従来の包装材の分解斜視図である。
【図9】従来の包装材の背面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 第1シート
2 第2シート
10 収容物
11、11A、11B 収容部
12 額部
22、22A、22B、42 第1のミシン目(ミシン目)
23、23A、23B、43 第2のミシン目(ミシン目)
24、24A、24B、44 第1つまみ部(つまみ部)
25、45 第3のミシン目(ミシン目)
26 帯部
27 第1端部
28 第2端部
29、29A、29B、49 第4のミシン目(ミシン目)
30、31、32、33、34 切込
35A、35B ノッチ
36,37 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと、第2シートとを備え、
前記第1シートは、前記第2シートと反対側に突出してその裏側に凹部を形成した収容部と前記収容部の周囲に広がる額部を有し、
前記第2シートは前記額部と接着または溶着され、
前記第2シートには第1のミシン目と第2のミシン目が設けられ、前記第1のミシン目の伸びる方向と前記第2のミシン目の伸びる方向とは異なり、
前記第1のミシン目は、前記第1のミシン目に沿って前記第2シートを引き裂くことにより、前記収容部が開放されるように設けられ、
前記第2のミシン目は、前記第2のミシン目に沿って前記第2シートを引き裂くことにより、前記第1のミシン目に沿って前記第2シートを引き裂くための第1つまみ部が形成されるように設けられたブリスターパッケージ。
【請求項2】
前記第2シートの前記第1のミシン目を設けた部分は、前記収容部に収容物が内包された状態で前記第2シートと反対側から前記収容部を押圧する押圧力に耐える強度を有する請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項3】
前記第2シートには前記第2のミシン目から独立した第3のミシン目がさらに設けられ、前記第2のミシン目と前記第3のミシン目によって挟まれた帯部が前記第2シートに形成されている請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項4】
前記帯部の第1端部において前記第2のミシン目および前記第3のミシン目の少なくも一方の延長上にノッチが設けられ、前記帯部の前記第1端部が前記第2のミシン目および前記第3のミシン目に沿って前記第2シートを引き裂くための第2つまみ部となっている請求項3記載のブリスターパッケージ。
【請求項5】
前記帯部は第2端部において前記第1シートに接着または溶着されている請求項3記載のブリスターパッケージ。
【請求項6】
前記第2のミシン目および前記第3のミシン目は、不連続なY型の切込を含んで形成されている請求項3記載のブリスターパッケージ。
【請求項7】
前記第2のミシン目は、不連続なY型の切込を含んで形成されている請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項8】
前記第1シートには、前記第1ミシン目から独立した第4のミシン目がさらに設けられ、前記第1のミシン目と前記第4のミシン目にはさまれた部分が前記収容部を覆っている請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項9】
前記第1ミシン目および前記第4のミシン目は不連続な波型の切込で形成されている請求項8記載のブリスターパッケージ。
【請求項10】
前記第1ミシン目は不連続な波型の切込で形成されている請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項11】
前記第1シートと前記第2シートとが生分解性材料で構成されている請求項1記載のブリスターパッケージ。
【請求項12】
前記生分解性材料はポリ乳酸系重合体である請求項11記載のブリスターパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−154948(P2009−154948A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337976(P2007−337976)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(591016345)梅田真空包装株式会社 (6)
【Fターム(参考)】