説明

ブリスター包装容器およびブリスター包装容器の包装方法

【課題】円筒形製品などの略筒状の内容物を収容する際に、その包装する内容物に外部からの衝撃が直接伝わることを防止し、かつ製品が回転することの防止を低コストで実現できるブリスター包装容器およびブリスター包装容器の包装方法を提供する。
【解決手段】前記ブリスター包装容器は、前記収容部10内壁には、内容物12の最大径部(図1の本体容器12aの外径)12cに対応する部分に、開口14a側を除いて内容物12の周囲に空間18を有し、かつ、開口14a側と膨出側天部14b内を除いて対向する部分に、内容物12に当接して該内容物12を挟圧するリブ20を3対設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明の収容部に製品を収容するブリスター包装容器およびブリスター包装容器の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブリスターパックと称されるブリスター包装容器は、収容部が透明であるために、内容物が目視できる確認できる包装容器として、乾電池、歯ブラシのような雑貨品、化粧品、機械部品など幅広い分野で採用されている。
【0003】
ブリスター包装容器の機能の一つとして、収容される内容物によって収容部で位置決め固定する必要があるため、内容物の形状を利用する収容部にリブや凹部を設けて嵌合させて固定する場合がある。これは歯ブラシの毛先保護、複数の乾電池の固定等に用いられる。
【0004】
また、内容物が外力で変形し易い場合には、収容部の素材の検討や、肉厚増加が必要となり、コストアップの原因となっていた。
【0005】
ブリスター包装容器の主要部は内容物の形態によって適宜形状に決定されるが、概ね内容物の外形に沿った形状若しくは内容物周囲に空間を設けた蒲鉾形状が挙げられる。なお、製品形状に沿った収容部は、内容物の形状確認効果があり、蒲鉾形状よりも洗練されたイメージがある。
【0006】
内容物に沿った外形を有する収容部の場合、上記の蒲鉾形状と比較して、外観が洗練されているものの内容物の周囲に外力を緩衝する空間がないため外力に対して変形し易く、収容部の肉厚を増加する必要があり改善が求められていた。
【0007】
特に、アルミニウム缶等の外的衝撃に弱い内容物を収容する場合、外力から保護してアルミニウム缶の変形を防ぐブリスター包装容器が要請されていた。
【0008】
これに対して、従来、登録実用新案第3001540号公報(特許文献1)では、容器本体の上下端部に対応して設けられた凹状ビートや凸状ビートによって、巻き上げたフィルム筒状の内容物の位置決めおよび衝撃緩和を行うようにしている。しかしながら、巻かれた内容物との間に空間を設けているのでその空間でガタツキが生じやすい。
【0009】
また、特開平10−72058号公報(特許文献2)には、ブリスターカバーの表面に突起を設けて他の容器に当たってもカバー表面に傷つきを防止している包装容器が開示されている。
【0010】
また、特開平10−203535号公報(特許文献3)には、瓶状の円筒容器に非円筒状部分を、また、ブリスターカバーにその非円筒状部分に対応する変形部をそれぞれ設けて、非円筒状部分に変形部を位置させて円筒容器の回転を防止している。
【0011】
また、(特許文献4)では、製品を包装するブリスターカバーに製品を収容する窪み部の両側に小窪みを設けて包装強度を挙げるようにしている。
【0012】
しかしながら、従来のブリスター包装容器では、収容する内容物に衝撃が伝わらないように、製品外形形状に合わせて凹部や凸部を設けて強度向上や回転防止をしているが、製品外形形状に合わせた特殊な凹凸部を設けるのは、ブリスターカバーの金型が特殊になり、コスト上昇を招き、また、合わせて衝撃に対して製品に傷を付けないようにする技術はなかった。
【特許文献1】登録実用新案第3001540号公報
【特許文献2】特開平10−72058号公報
【特許文献3】特開平10−203535号公報
【特許文献4】登録実用新案第3110628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、斯かる実情に鑑み、円筒形製品などの略筒状の内容物を収容する際に、その包装する内容物に外部からの衝撃が直接伝わることを防止し、かつ製品が回転することの防止を低コストで実現できるブリスター包装容器およびブリスター包装容器の包装方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ブリスター包装容器に係り、
ドーム状に膨出形成した収容部内に略筒状の内容物を収容する樹脂シートからなるブリスターカバーと、収容部の開口側を閉鎖する板体とからなるブリスター包装容器において、
収容部内壁には、内容物の最大径部に対応する部分に、開口側を除いて内容物の周囲に空間を有し、かつ、開口側と膨出側天部内を除いて対向する部分に、内容物に当接して該内容物を挟圧するリブを少なくとも一対設けたことを特徴とするブリスター包装容器である。
本発明において、ブリスターカバーは、収容部の開口周縁から平坦に展設したフランジ部を有し、このフランジ部は、その周縁が収容部膨出側の反対側に折り返されて溝部が一対対向して形成されており、その対向する溝部内に板体を差し込んで該板体をブリスターカバーに固定可能になっていることが好適である。
【0015】
また、本発明においては、ブリスターカバーは、収容部内壁に対向して設けたリブの間隔が、当該リブに対応する位置の内容物の径方向長さより短く形成されており、
収容部に内容物を収容したときに、リブが内容物に当接して収容部が拡開しかつフランジ部が湾曲し、フランジ部の溝部内に板体を差込んで固定することによってフランジ部の湾曲が矯正されかつ内容物をリブによって挟持する力が発生するようにしたことが好適である。
【0016】
本発明は、ブリスター包装容器の包装方法に係り、ドーム状に膨出形成した樹脂シートからなるブリスターカバーの収容部内に略筒状の内容物を収容し、該収容部の開口側を板体によって閉鎖して内容物を包装するブリスター包装容器の包装方法において、
収容部に内容物を収容したときに、内容物の最大径部に対応する部分に、開口側を除いて内容物の周囲に空間を有した状態で、開口側と膨出側天部内を除いて対向する部分に少なくとも一対設けたリブを当接させ、
リブが内容物に当接することによって収容部を拡開しかつフランジ部を湾曲させ、
該フランジ部の溝部内に板体を差込んで固定することによってフランジ部の湾曲を矯正させかつ内容物をリブによって挟持する力を発生させることを特徴とするブリスター包装容器の包装方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1〜4記載のブリスター包装容器およびブリスター包装容器の包装方法によれば、収容部内壁には、内容物の最大径部に対応する部分に、開口側を除いて内容物の周囲に空間を有するので外部からの衝撃が内容物に直接加わることがないので凹み等の変形や傷が内容物に生じることがない。また、開口側と膨出側天部内を除いて対向する部分に、内容物に当接して該内容物を挟圧するリブを少なくとも一対設けたので、収容する内容物には、リブが挟み付けて当接するので内容物のガタツキ及び回転を防止でき、ブリスター包装容器を店頭展示したときに内容物製品が回転することによって内容物の見せたい面が裏側に回る不具合が生じることが無く製品ディスプレイ性の低下を防止することができる。また、回り止めを内容物の形状に合わせることなく適宜のリブの形成でできるのでブリスターカバー製造コストを下げることができる。
【0018】
なお、本発明において、ブリスターカバーのフランジ部は、その周縁が収容部膨出側の反対側に折り返されて溝部が一対対向して形成されており、その対向する溝部内に板体を差し込んで該板体をブリスターカバーに固定可能になっているものにすれば、溝部内の板体を差込むのみでブリスターカバーに板体を固定できるので、包装作業が簡易かつ短時間で済み、包装作業性の効率を上げることができる。
【0019】
また、本発明において、ブリスターカバーは、収容部内壁に対向して設けたリブの間隔が、当該リブに対応する位置の内容物の径方向長さより短く形成し、収容部に内容物を収容したときに、リブが内容物に当接して収容部が拡開しかつフランジ部が湾曲し、フランジ部の溝部内に板体を差込んで固定することによってフランジ部の湾曲が矯正されかつ内容物をリブによって挟持する力が発生するようにすれば、板体を固定するだけで直ぐにリブに内容物挟持の力を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るブリスター包装容器の側面図、正面図(膨出側からの視図)、図2は同実施形態のブリスター包装容器の斜視図、図3(a)、(b)は変形例に係るブリスター包装容器の側面図、正面図(膨出側からの視図)である。
【0022】
図1および図2に示すように実施形態に係るブリスター包装容器は、ドーム状に膨出形成した収容部10内に略筒状の内容物12を収容する樹脂シートからなるブリスターカバー14と、収容部10の開口14a側を閉鎖する板体16とからなるブリスター包装容器に係るものである。
【0023】
内容物12は、アルミニウムやスチールなどの金属をブレス成形した本体容器12a内に収納した液状薬剤や液状化粧品等の液体を先端部のプッシュボタン12bを押し下げることによって噴射、噴出または注出させる液体容器製品である。本体容器12aは、落下したり、打撃が加えられたりすることによって変形し易い薄板金属材からなり、表面に商品名や商品内容の表示がされており、透明のブリスターカバー14で覆うことによってその表示を見ることができ、かつ、変形を防止するようになっているものである。
【0024】
詳しくは、前記ブリスター包装容器は、前記収容部10内壁には、内容物12の最大径部(図1の本体容器12aの外径)12cに対応する部分に、開口14a側を除いて内容物12の周囲に空間18を有し、かつ、開口14a側と膨出側天部14b内を除いて対向する部分に、内容物12に当接して該内容物12を挟圧するリブ20を3対(その他、1対、2対または4対以上設けることができ、少なくとも一対であればよい)設けたものである。
【0025】
なお、ブリスターカバー14の材質としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)等が好ましい。着色の有無、透明、半透明、不透明であるかは製品等の内容物12のディスプレイ性で決定できる。ブリスターカバー14は、各種成形技術によって上記収容部10を膨出させるように樹脂形成したものが好ましい。
【0026】
また、板体16の台紙は、実施形態では、ボール紙などの厚紙類であるが、樹脂シートとして、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)等を用いることができる。
【0027】
詳しく説明する。前記ブリスターカバー14は、収容部10の開口14a周縁22aから平坦に展設したフランジ部22を有する。このフランジ部22は、当初図1に示すように、その周縁22aはフラップ状に延びており、この延びた部分を収容部10膨出側表側の反対側の裏面側に折り返して(折り線22cを図示している)の溝部22b,22bを一対対向して形成する。図1、図2に示すように、その対向する溝部22b,22b内に板体16を差し込んで該板体16をブリスターカバー14に固定するようになっている。
【0028】
前記ブリスターカバー14は、収容部10内壁に対向して設けたリブ20の間隔が、当該リブ20に対応する位置の内容物12の径方向長さ(容器状内容物12の外径)より短く形成されている。
【0029】
そして、収容部10に内容物12を収容したときに、リブ20が内容物12に当接して収容部10が拡開しかつフランジ部22が収容部10の膨出側に上反りして湾曲し、この状態で、フランジ部22の溝部22b,22b内に板体16を差込んで固定することによってフランジ部22の湾曲が矯正されかつ内容物12をリブ20によって挟持する力が発生するようにしている。
【0030】
ブリスター包装容器の包装手順を説明する。
【0031】
実施形態に係るブリスター包装容器において、図1、図2に示すように、ドーム状に膨出形成した樹脂シートからなるブリスターカバー14の収容部10内に略筒状の内容物12を収容し、該収容部10の開口14a側を板体16によって閉鎖して内容物12を包装する際に、収容部10に内容物12を収容したときに、内容物12の最大径部に対応する部分に、開口14a側を除いて内容物12の周囲に空間18を有した状態で、開口14a側と膨出側天部14b内を除いて対向する部分に少なくとも一対設けたリブ20を当接させる。
【0032】
リブ20が内容物12に当接することによって収容部10を拡開しかつフランジ部22を湾曲させる。
【0033】
該フランジ部22の溝部22b,22b内に板体16を差込んで固定することによってフランジ部22の湾曲を矯正させかつ内容物12をリブ20によって挟持する力を発生させる。
【0034】
実施形態に係る収容部10内壁には、内容物12の最大径部に対応する部分に、開口14a側を除いて内容物12の周囲に空間18を有するので外部からの衝撃が内容物12に直接加わることがないので凹み等の変形や傷が内容物12に生じることがない。
【0035】
また、開口14a側と膨出側天部14b内を除いて対向する部分に、内容物12に当接して該内容物12を挟圧するリブ20を少なくとも一対設けたので、収容する内容物12には、リブ20が挟み付けて当接するので内容物12のガタツキ及び回転を防止できる。したがって、ブリスター包装容器を店頭展示したときに内容物12製品が回転することによって内容物12の見せたい面が裏側に回る不具合が生じることが無く製品ディスプレイ性の低下を防止することができる。
【0036】
なお、ブリスターカバー14は、フランジ部22は、その周縁22aが収容部10膨出側の反対側に折り返されて溝部22b,22bが一対対向して形成されており、その対向する溝部22b,22b内に板体16を差し込んで該板体16をブリスターカバー14に固定可能になっているものにすれば、溝部22b,22b内の板体16を差込むのみでブリスターカバー14に板体16を固定できるので、包装作業が簡易かつ短時間で済み、包装作業性の効率を上げることができる。また、回り止めを内容物の形状に合わせることなく適宜のリブの形成でできるのでブリスターカバー製造コストを下げることができる。
【0037】
また、ブリスターカバー14は、収容部10内壁に対向して設けたリブ20の間隔が、当該リブ20に対応する位置の内容物12の径方向長さより短く形成し、収容部10に内容物12を収容したときに、リブ20が内容物12に当接して収容部10が拡開しかつフランジ部22が湾曲し、フランジ部22の溝部22b,22b内に板体16を差込んで固定することによってフランジ部22の湾曲が矯正されかつ内容物12をリブ20によって挟持する力が発生するようにすれば、板体16を固定するだけで直ぐにリブ20に内容物12挟持の力を発揮させることができる。
【0038】
図3に、本実施形態のブリスター包装容器の変形例を示す。この変形例に係るブリスター包装容器では、リブ20が2対形成されている。その他構成および作用効果は実施形態と同様のため、同様部分に同一符号を付している。
【0039】
また、本発明のブリスター包装容器は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。ブリスター包装容器で包装する内容物12製品は液体容器製品に限定されず、筒状容器の食品製品や日用品、電気製品等の概略筒状の各種製品に適用することができる。
【0040】
また、リブは実施形態では、2対または3対設けられているが、その他、1対または4対以上設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るブリスター包装容器の側面図、正面図である。
【図2】同第1実施形態のブリスター包装容器の斜視図である。
【図3】(a)、(b)は変形例に係るブリスター包装容器の側面図、正面図(膨出側からの視図)である。
【符号の説明】
【0042】
10 収容部
12 内容物
12a 本体容器
12b プッシュボタン
14 ブリスターカバー
14a 開口
14b 膨出側天部
16 板体
18 空間
20 リブ
22 フランジ部
22a 周縁
22b,22b 溝部
22c 折り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状に膨出形成した収容部内に略筒状の内容物を収容する樹脂シートからなるブリスターカバーと、収容部の開口側を閉鎖する板体とからなるブリスター包装容器において、
収容部内壁には、内容物の最大径部に対応する部分に、開口側を除いて内容物の周囲に空間を有し、かつ、開口側と膨出側天部内を除いて対向する部分に、内容物に当接して該内容物を挟圧するリブを少なくとも一対設けたことを特徴とするブリスター包装容器。
【請求項2】
ブリスターカバーは、収容部の開口周縁から平坦に展設したフランジ部を有し、このフランジ部は、その周縁が収容部膨出側の反対側に折り返されて溝部が一対対向して形成されており、その対向する溝部内に板体を差し込んで該板体をブリスターカバーに固定可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装容器。
【請求項3】
ブリスターカバーは、収容部内壁に対向して設けたリブの間隔が、当該リブに対応する位置の内容物の径方向長さより短く形成されており、
収容部に内容物を収容したときに、リブが内容物に当接して収容部が拡開しかつフランジ部が湾曲し、フランジ部の溝部内に板体を差込んで固定することによってフランジ部の湾曲が矯正されかつ内容物をリブによって挟持する力が発生するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装容器。
【請求項4】
ドーム状に膨出形成した樹脂シートからなるブリスターカバーの収容部内に略筒状の内容物を収容し、該収容部の開口側を板体によって閉鎖して内容物を包装するブリスター包装容器の包装方法において、
収容部に内容物を収容したときに、内容物の最大径部に対応する部分に、開口側を除いて内容物の周囲に空間を有した状態で、開口側と膨出側天部内を除いて対向する部分に少なくとも一対設けたリブを当接させ、
リブが内容物に当接することによって収容部を拡開しかつフランジ部を湾曲させ、
該フランジ部の溝部内に板体を差込んで固定することによってフランジ部の湾曲を矯正させかつ内容物をリブによって挟持する力を発生させることを特徴とするブリスター包装容器の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161186(P2009−161186A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339331(P2007−339331)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】