説明

ブリッジ強度測定装置

【課題】キャップにおけるピルファープルーフバンドを連結しているブリッジの破断強度を正確に測定する。
【解決手段】キャップCの内部に配置され、天板部内面と対向させられる加圧ヘッド21と、その加圧ヘッド21の下面側に接続され、前記加圧ヘッド21の中心軸線方向に延びている伝達ロッド22と、伝達ロッド22が摺動可能な貫通孔23内に伝達ロッド22を保持可能なロッドホルダー24と、前記キャップCの破断ラインよりも自由端側の部分を固定するための固定手段25と、伝達ロッド22の下端に作用して加圧ヘッド21を上方に移動させるための移動手段26と、その移動手段26から加圧ヘッド21に加えられる力を測定するための測定手段27とを有するブリッジ強度測定装置であって、ロッドホルダー24における伝達ロッド22と摺接する部分にボールブッシュ36が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピルファープルーフ機能を備えたキャップにおけるピルファープルーフバンド部を接続するブリッジ部の強度を測定するためのブリッジ強度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料用容器用のキャップにおいて、不正開封防止のためのピルファープルーフ機能を備えたキャップが多く使用されている。このようなピルファープループキャップでは、キャップのスカート部の下部に破断容易な複数のブリッジと周方向に延びるスリットとによる破断ラインが形成されており、破断ラインよりも下方のスカート部下端部を容器本体の口頸部に係止することで、キャップの開栓時にブリッジが破断されて開封されたことを明示できるように構成されている。
【0003】
このピルファープルーフ機構のブリッジは、キャップの開栓時に確実に破断するように、その強度が所定範囲内になるように設定されており、このブリッジ強度を測定するための装置として、特許文献1に記載の発明が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された装置は、容器蓋に周方向に向けて形成されている破断ラインの強度を測定するための装置であって、中心軸線方向に移動自在に装着された加圧ヘッド及び該加圧ヘッドの裏面から中心軸線方向に延びている入力ロッドを有する加圧手段と、該加圧手段の該入力ロッドの自由端に作用して該加圧ヘッドを静止支持手段の突出部から離隔する方向に移動させるための移動手段と、該移動手段から前記加圧手段に加えられる力を測定するための測定手段とを具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−28745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、移動手段から加圧手段に加えられる力を伝達する入力ロッドは、静止支持手段を貫通して延びる貫通孔の内部を移動可能に保持されているが、入力ロッドの外周面と貫通孔の内周面とが摺接する際の摩擦抵抗により、本来キャップのブリッジを破断する際に必要な力よりも余分に力が必要になり、その結果、正確なブリッジ強度を測定できない虞がある。
【0007】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、ピルファープルーフ機能を備えたキャップにおいて、ピルファープルーフバンド部を接続するブリッジの強度を正確に測定可能なブリッジ強度測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、天板部と該天板部の周縁部から垂下するスカート部とを有し、そのスカート部の下部に破断容易な複数のブリッジと周方向に延びるスリットとによる破断ラインが形成されているキャップの内部に配置され、前記天板部内面と対向させられる加圧ヘッドと、その加圧ヘッドの下面側に接続され、前記加圧ヘッドの中心軸線方向に延びている伝達ロッドと、内部を前記伝達ロッドが摺動可能な貫通孔を有し、前記貫通孔内に前記伝達ロッドを保持可能なロッドホルダーと、前記キャップのスカート部の破断ラインよりも自由端側の部分を固定するための固定手段と、前記伝達ロッドの下端に作用して前記加圧ヘッドを上方に移動させるための移動手段と、その移動手段から前記加圧ヘッドに加えられる力を測定するための測定手段とを有するブリッジ強度測定装置において、前記ロッドホルダーにおける前記伝達ロッドと摺接する部分にボールブッシュが設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記加圧ヘッドと前記伝達ロッドとは別部材で構成されており、前記加圧ヘッドは、前記キャップの天板部内面と対向させられる加圧部とその加圧部の周縁部から垂下する側壁部とを有し、前記伝達ロッドの先端部は、前記加圧部の内面と対向する先端面と、前記側壁部の内面と対向する側壁面とを有し、前記先端面は縦断面が円弧状をなすドーム状に形成されており、該ドーム状の先端面の頂点が前記伝達ロッドの中心軸線と一致するように構成されているとともに、前記伝達ロッドの先端部の側壁面の外径は、前記加圧へッドの側壁部の内径よりも小さく設定されており、前記ドーム状の先端面の頂点が、前記加圧部の内面と当接するように構成されていることを特徴とするブリッジ強度測定装置である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ロッドホルダーと摺接する部分における前記伝達ロッドの外径が、20〜40mmの範囲であることを特徴とするブリッジ強度測定装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ロッドホルダーにおける伝達ロッドと摺接する部分にボールブッシュが設けられていることにより、ロッドホルダーと伝達ロッドとの間に生じる摩擦抵抗が低減されるため、正確なブリッジ強度の測定結果を得ることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、伝達ロッドの先端面が縦断面円弧状のドーム状に形成されており、該ドーム状の先端面の頂点が伝達ロッドの中心軸線と一致するように構成されているとともに、伝達ロッドの先端部の側壁面の外径は、加圧ヘッドの側壁部の内径よりも小さく設定されており、ドーム状の先端面の頂点が、加圧部の内面と当接するように構成されていることにより、加圧ヘッドと伝達ロッドの先端部との間に遊びが生じており、加圧ヘッドが伝達ロッドの中心軸線方向に対して傾くように動くことができるため、測定対象となるキャップを加圧ヘッドに被せた際にキャップが多少傾いていたとしても、キャップの天板部の傾きに応じて加圧ヘッドも傾くことができるので、キャップの天板部に対して加圧ヘッドの加圧部を全面的に当接させることができる。その結果、キャップの天板部に対して加圧ヘッドを介して均等に力を加えることができ、より正確にブリッジ強度を測定することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、ロッドホルダーと摺接する部分における伝達ロッドの外径が、20〜40mmの範囲であることにより、摩擦抵抗を大きくしすぎることなく、伝達ロッドの強度を十分に確保できるため、伝達ロッドに撓みが生じることがなく、加圧ヘッドに加えられる力を確実に伝達できるので、正確なブリッジ強度の測定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るブリッジ強度測定装置の一例を示す縦断側面図である。
【図2】キャップの一例を示す一部縦断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のブリッジ強度測定装置における測定対象となるキャップは、飲料用のボトル型缶等の容器本体を密封するためのアルミニウム合金等の金属製の薄板から成形されるキャップであり、その一例を図2に示してある。この図2に示す金属製キャップCは、金属製のキャップシェル1と該キャップシェル1の内周面に施された熱可塑性樹脂製の密封用ライナー2とで構成されている。この金属製キャップCは、金属製のボトル型缶などの容器の口部に冠着してから、その口部の開口端に形成されているカール部に密封用ライナー2が密接するようにキャップシェル1のコーナー部に絞り成形を施し、またロールオン式のキャッパーにより口部のネジ部に螺合するように外周側からネジ加工を施すことなどによって、容器を密封するために使用されるものである。なお、この金属製キャップCには、キャップシェル1の外径が20〜60mmの範囲のものが好適に使用できる。
【0016】
キャップシェル1の材料は、アルミニウム合金板、表面処理鋼板等の従来から知られた金属製キャップ用の金属板が使用される。また、本発明で対象とするキャップシェル1の少なくとも内面側は、塗膜や樹脂フィルム等による保護被膜で被覆されていることが好ましく、特に密封用ライナー2の樹脂材料と接着性のあるポリマーによる保護被膜を設けることが接着剤を不要とすることから望ましい。
【0017】
本実施例のキャップシェル1は、上記のような金属板をプレス等により絞り成形することで、円板状の天板部3とその天板部3の周縁部4につながる円筒形のスカート部5とを有するカップ状に一体成形したものであり、絞り成形の後でスカート部5の上部に凹部6と凸部7とを周方向全体に亘って交互に繰り返されるナール部8が形成されている。また、スカート部5の下部には周方向に延びる破断ライン9が形成されており、スカート壁は破断ライン9よりも上方の主部10と破断ライン9よりも下方のピルファープルーフバンド部11とに区画されている。その破断ライン9は、円周方向に向けて形成された複数のスリット12とそれらのスリット12の間に形成された破断容易な細いブリッジ13とから構成されており、キャップの開栓時にそのブリッジ13が破断することにより、一旦開栓されたことを明示するようになっている。
【0018】
なお、上記の密封用ライナー2の樹脂材料としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の従来公知のものを使用することができ、例えば、低密度ポリエチレンとスチレン系エラストマーのブレンド材、ポリエステル系エラストマー等が好適に使用でき、さらに、これらの樹脂に顔料、滑剤、軟化剤等を適宜添加することができる。
【0019】
本発明に係るブリッジ強度測定装置は、上記のようなキャップCもしくはキャップシェル1(以下、これらをまとめてキャップCと記す)におけるブリッジ13の破断強度を測定するためのものであって、図1に示すように、キャップCのスカート部5の内径よりも若干小さい外径を有し、キャップCの内部に配置されて、キャップCの天板部3の内面と対向させられる加圧ヘッド21と、加圧ヘッド21の下面側に接続され、加圧ヘッド21の中心軸線方向に延びている伝達ロッド22と、内部を伝達ロッド22が摺動可能な貫通孔23を有し、貫通孔23内に伝達ロッド22を保持可能なロッドホルダー24と、キャップCのスカート部5の破断ライン9よりも自由端側(下端側もしくは開口端側)の部分を固定するための固定手段25と、伝達ロッド22の下端に作用して加圧ヘッド21を上方に移動させるための移動手段26と、移動手段26から加圧ヘッド21に加えられる力を測定するための測定手段27とを有している。
【0020】
これらの各構成要素について具体的に説明すると、加圧ヘッド21は、キャップCの天板部3の内面のほぼ全面と対向して当接させられる円板状の加圧部28と、加圧部28の周縁部から垂下する側壁部29とを有している。加圧ヘッド21は、伝達ロッド22とは別部材で構成されており、伝達ロッド22の上端部に載置されているだけで、伝達ロッド22に対して固着されておらず、測定対象となるキャップCのサイズに応じて自由に取り替えられるようになっている。また、加圧ヘッド21の側壁部29の外径は、測定対象となるキャップCの内径よりも僅かに小さくなるように設定されている。
【0021】
伝達ロッド22は、外径が3段階に変化している円柱状に形成されており、最も軸方向長さが長く且つ最も外径が大きい主軸部30と、主軸部30の上端に接続され、主軸部30よりも軸方向長さが短く且つ外径も小さい中間軸部32と、中間軸部32の上端に接続され、中間軸部32よりも軸方向長さが短く且つ外径も小さい先端軸部33とを有している。伝達ロッド22の主軸部30の下端面は平坦に形成されている。伝達ロッド22の先端軸部33は、加圧ヘッド21の加圧部28の内面(下面)と対向する先端受面34と、加圧ヘッド21の側壁部29の内面と対向する側壁面35とを有し、先端受面34は縦断面が円弧状をなすドーム状に形成されており、このドーム状の先端受面34の頂点(最上端)は伝達ロッド22の中心軸線と一致するように構成されており、また、ドーム状の先端受面34の頂点が、加圧部28の内面と当接するように構成されている。
【0022】
伝達ロッド22の先端軸部33の側壁面35の外径は、加圧ヘッド21の側壁部29の内径よりも僅かに小さく設定されており、伝達ロッド22の先端軸部33に、加圧ヘッド21が被された際に、伝達ロッド22の先端軸部33の側壁面35と加圧ヘッド21の側壁部29の内周面との間に、0.1〜1mmの範囲の隙間が設けられるように構成されている。尚、伝達ロッド22の主軸部30の外径は、20〜40mmの範囲に設定されており、主軸部30の軸方向長さは30〜80mmの範囲に設定されている。
【0023】
ロッドホルダー24は、伝達ロッド22を安定的に保持するためのもので、伝達ロッド22が内部を押通可能な貫通孔23を有している。貫通孔23の内周面は、伝達ロッド22の主軸部30の外周面と摺接し、その伝達ロッド22との摺接する部分には、ボールブッシュ36が設けられている。このボールブッシュ36は、転がり接触する鋼球を内周面に突出させて配列した広く知られている構成のものであって、伝達ロッド22の軸線方向への相対移動に対する摩擦抵抗が小さくなるように構成されている。ロッドホルダー24は、伝達ロッド22の最も軸方向長さの長い主軸部30を保持しており、したがって所定方向に安定して伝達ロッド22を移動させることができる。尚、ロッドホルダー24のボールブッシュ36と伝達ロッド22の主軸部30とが軸線方向においてラップする長さ(ロッドホルダー24により伝達ロッド22が保持されている長さ)は、30〜80mmの範囲に設定されている。
【0024】
固定手段25は、キャップCのスカート部5の破断ライン9よりも自由端側のピルファープルーフバンド部11を固定するためのものであり、ピルファープルーフバンド部11の内周面と当接する内側固定部材37と、ピルファープルーフバンド部11の外周面と当接する外側固定部材38とを有している。内側固定部材37は、半径方向外方に移動可能に構成されており、固定された外側固定部材38に対して、内側固定部材37を半径方向で外方に移動させて、内側固定部材37と外側固定部材38との間にピルファープルーフバンド部11を挟み込むように固定するように構成されている。
【0025】
測定手段27は、周知のロードセルを使用しており、ロードセルは支持台の上に載置されている。ロードセルの上端には、加圧ヘッド21に加えられる力を測定するための測定端子39が設けられており、測定端子39は伝達ロッド22の下端面に当接するように配置されている。移動手段26は、ロードセルを載置した支持台40を上下動させるものであり、支持台40の下方に設けられ、モーター(図示せず)が組み込まれた周知の移動手段26により支持台40を上昇させることによってロードセルが上昇するのに伴い、その上方に配置された伝達ロッド22及び加圧ヘッド21が上昇するように構成されている。
【0026】
つぎに上記のように構成されたブリッジ強度測定装置の作用について説明する。先ず、測定の開始に先立って、移動手段26によってロードセルや伝達ロッド22さらには加圧ヘッド21を下降させておき、また内側固定手段37を半径方向で内側に移動させて外側固定手段38との間に隙間を空けておく。この状態でキャップCをその開口端(自由端)を下向きにして固定手段25に載せる。その場合、内側固定手段25が半径方向で内側に移動して待機しているので、外側固定手段38の内周端と内側固定手段37との間に隙間が空いており、キャップCにおける開口端すなわちピルファープルーフバンド部11がその隙間に入り込む。この状態で内側固定部材37が半径方向で外側に移動し、その結果、ピルファープルーフバンド部11が外側固定部材38と内側固定部材37との間に挟み込まれて固定される。
【0027】
ついで、移動手段26が動作してロードセルや伝達ロッド22さらには加圧ヘッド21が上昇させられる。その場合、伝達ロッド22における主軸部30は、ボールブッシュ36に案内されて上昇するので、その摺動抵抗は小さく、スムースに上昇する。こうして、加圧ヘッド21がキャップCにおける天板部3の内面(下面)に接触する。前述したように、加圧ヘッド21を取り付けてある伝達ロッド22の先端受面34が、頂点を伝達ロッド22の中心軸線に一致させたドーム状(凸球面状)に形成されているので、キャップCあるいは天板部3が伝達ロッド22の中心軸線に対して傾いていれば、それに追従するように加圧ヘッド21が傾斜し、その結果、天板部3の内面のほぼ全体に加圧ヘッド21が接触し、キャップCの天板部3に対して加圧ヘッド21を介して均等に力を加えることができ、より正確にブリッジ強度を測定することができる。
【0028】
キャップCを固定手段25によって上記のように固定した状態で加圧ヘッド21がキャップCの天板部3を押し上げるので、キャップCにおけるブリッジ13にこれを破断させる方向の引っ張り荷重が掛かり、その反力がロードセルに作用する。すなわち、ブリッジ13を破断させる方向の荷重が測定手段27によって測定される。その場合、伝達ロッド22がボールブッシュ36に接触しているので、その摩擦抵抗力がロードセルの測定値に含まれることになるが、ボールブッシュ36で生じる抵抗力は転がり抵抗に基づくものであって極めて小さいから、上記の構成のブリッジ強度測定装置によれば、ブリッジ13に作用する荷重を測定手段27によって正確に測定することができる。
【0029】
ロードセルによって測定される荷重が予め定めた値になるまで、あるいはいずれか少なくとも一つのブリッジ13が破断するまで、ロードセルや伝達ロッド22さらには加圧ヘッド21を上昇させるように移動手段26によって押し上げ力を作用させる。ロードセルによって測定された値が予め定めた値に到らずにブリッジ13が破断した場合には、ブリッジ13の強度が不足していることになり、また反対にロードセルで測定された値が他の予め定めた値を超えている場合には、ブリッジ13の強度が強すぎることになる。これに対して、ブリッジ13に破断が生じるまで荷重を掛ければ、破断時の荷重を測定でき、その破断時の荷重が予め定めた範囲に入っていれば、ブリッジ13の強度が適正であるとの判断が成立し、これとは反対に破断が生じた時点の荷重が上記の範囲を外れていれば、ブリッジ13の強度が不足し、あるいは強度が強すぎ、いずれにしても不良であるとの判断が成立する。
【0030】
上記のブリッジ強度測定装置では、伝達ロッド22の先端受面34が縦断面円弧状のドーム状に形成されており、該ドーム状の先端受面34の頂点が伝達ロッド22の中心軸線と一致するように構成されているとともに、加圧ヘッド21の側壁部29の内径よりも伝達ロッド22の先端軸部33の側壁面35の外径の方が小さく設定されており、ドーム状の先端受面34の頂点が、加圧部28の内面と当接するように構成されていることにより、加圧ヘッド21と伝達ロッド22の先端軸部33との間に遊びが生じており、加圧ヘッド21が伝達ロッド22の中心軸線方向に対して傾くように動くことができる。そのため、測定対象となるキャップCを加圧ヘッド21に被せた際にキャップCが多少傾いていても、キャップCの天板部3の傾きに応じて加圧ヘッド21も傾くことができるので、キャップCの天板部3に対して加圧ヘッド21の加圧部28を全面的に当接させることができる。その結果、キャップCの天板部3に対して加圧ヘッド21を介して均等に力を加えることができ、より正確にブリッジ強度を測定することができる。
【0031】
さらに、上記のようにして得られる測定値は、ロッドホルダー24における伝達ロッド22と摺接する部分にボールブッシュ36が設けられていることにより、ロッドホルダー24と伝達ロッド22との間に生じる摩擦抵抗が軽減されるため、正確なブリッジ強度を反映したものとなる。また、ロッドホルダー24と摺接する部分における伝達ロッド22の外径が、20〜40mmの範囲であることにより、摩擦抵抗が過度に大きくなることを回避できる。しかも、伝達ロッド22の強度を十分に確保できるため、伝達ロッド22に撓みが生じることがなく、加圧ヘッド21に加えられる力を確実に伝達できるので、正確なブリッジ強度の測定結果を得ることができる。
【0032】
すなわち、ロッドホルダー24と摺接する部分における伝達ロッド22の外径が20mmよりも小さいと、伝達ロッド22の強度が弱くなり、伝達ロッド22に撓みが生じやすくなり、正確な力を伝達できずに、正確な測定結果を得ることができない虞がある。一方、ロッドホルダー24と摺接する部分における伝達ロッド22の外径が40mmよりも大きいと、伝達ロッド22とロッドホルダー24との接触面積が広くなりすぎるため、余分な摩擦抵抗が生じ、正確な測定結果を得ることができない虞がある。
【0033】
また、本実施例においては、ロッドホルダー24のボールブッシュ36と伝達ロッド22の主軸部30とが軸線方向にラップする範囲(ロッドホルダー24により伝達ロッド22が保持されている範囲)の長さが、30〜80mmの範囲に設定されていることにより、余分な摩擦抵抗を生じさせることなく、伝達ロッド22をロッドホルダー24の軸線方向に沿って、確実に移動させることができるため、正確なブリッジ強度の測定結果を得ることができる。
【0034】
なお、本発明は上述した具体例に限定されるものではなく、測定対象物であるキャップは、図2に示す構成以外のものであってもよい。また、荷重あるいは応力を測定するセンサはロードセル以外に、押圧力を検出可能な従来知られている適宜のセンサを利用したものであってよい。さらに、伝達ロッドと加圧ヘッドとを連結している面のドーム形状は、要は、加圧ヘッドが滑らかに傾き得る構造の部分であればよく、したがって球状部分を凹球面に接触させたいわゆるロッドエンドと同様の構造であればよい。
【符号の説明】
【0035】
C…金属製キャップ、 1…キャップシェル、 3…天板部、 5…スカート部、 9…破断ライン、 11…ピルファープルーフバンド部、 12…スリット、 13…ブリッジ、 21…加圧ヘッド、 22…伝達ロッド、 23…貫通孔、 24…ロッドホルダー、 25…固定手段、 26…移動手段、 27…測定手段、 28…加圧部、 29…側壁部、 30…主軸部、 32…中間軸部、 33…先端軸部、 34…先端受面、 35…側壁面、 36…ボールブッシュ、 37…内側固定部材、 38…外側固定部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と該天板部の周縁部から垂下するスカート部とを有し、そのスカート部の下部に破断容易な複数のブリッジと周方向に延びるスリットとによる破断ラインが形成されているキャップの内部に配置され、前記天板部内面と対向させられる加圧ヘッドと、その加圧ヘッドの下面側に接続され、前記加圧ヘッドの中心軸線方向に延びている伝達ロッドと、内部を前記伝達ロッドが摺動可能な貫通孔を有し、前記貫通孔内に前記伝達ロッドを保持可能なロッドホルダーと、前記キャップのスカート部の破断ラインよりも自由端側の部分を固定するための固定手段と、前記伝達ロッドの下端に作用して前記加圧ヘッドを上方に移動させるための移動手段と、その移動手段から前記加圧ヘッドに加えられる力を測定するための測定手段とを有するブリッジ強度測定装置において、
前記ロッドホルダーにおける前記伝達ロッドと摺接する部分にボールブッシュが設けられていることを特徴とするブリッジ強度測定装置。
【請求項2】
前記加圧ヘッドと前記伝達ロッドとは別部材で構成されており、
前記加圧ヘッドは、前記キャップの天板部の内面と対向させられる加圧部とその加圧部の周縁部から垂下する側壁部とを有し、
前記伝達ロッドの先端軸部は、前記加圧部の内面と対向する先端受面と、前記側壁部の内面と対向する側壁面とを有し、
前記先端受面は縦断面が円弧状をなすドーム状に形成されており、該ドーム状の先端受面の頂点が前記伝達ロッドの中心軸線と一致するように構成されているとともに、
前記伝達ロッドの先端軸部の側壁面の外径は、前記加圧ヘッドの側壁部の内径よりも小さく設定されており、
前記ドーム状の先端受面の頂点が、前記加圧部の内面と当接するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のブリッジ強度測定装置。
【請求項3】
前記ロッドホルダーと摺接する部分における前記伝達ロッドの外径が、20〜40mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブリッジ強度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate