説明

ブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料を製造する方法および該方法によって製造されたセラミックマトリクス材料

以下の操作段階:a)少なくとも1つのケイ素型のセラミック前駆体と、研磨剤として好適な硬質材料の粒子と、潤滑剤として好適な物質の粒子と、金属材料の粒子との混合物を調製する段階と;b)未焼結体を得るために混合物を熱間プレスする段階と;c)プレセラミック結合剤のセラミック化を得、それゆえセラミックマトリクス材料を得るために、未焼結体に熱分解プロセスを受けさせる段階と;からなる、ブレーキの、特にディスクブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料を製造する方法。本発明は、混合物が前記熱間プレス段階中の前記セラミック前駆体の有利な網状化に好適な触媒を含むことおよび熱分解プロセスが800℃未満の、さらに精密には400℃〜600℃の温度にて行われることによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ、特にディスクブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料を製造する方法、ならびに本方法によって製造されたセラミックマトリクス材料に関する。
【0002】
本発明はさらに、前記セラミックマトリクス材料を含むディスクブレーキパッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セラミックマトリクス材料は、ブレーキの摩擦部品を製造するために幅広く使用されている。
【0004】
セラミックマトリクス材料は、摩擦係数および耐摩耗性に関する良好な性能に加えて、その耐熱性特徴を考慮すると、金属粉末の焼結によって得られる摩擦材料と比較して、ディスクから油圧ブレーキシステムへの熱伝達が低い。
【0005】
セラミックマトリクス材料の作製には、多くの製造技法、例えば粉末の溶融および焼結の技法が使用できる。
【0006】
近年拡大している技法は、通常は有機シリコンポリマー(ケイ素を含有する)、例えばポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシラザンおよびポリシロキサンからなる、セラミックポリマー前駆体の熱分解(ポリマー熱分解)に基づく。
【0007】
本技法は、オキシ炭化ケイ素および/または炭化もしくは窒化ケイ素(SiCまたはSi)の形成によって、有機から無機ポリマー性構造への推移を達成するための、800℃を超える温度の制御または不活性雰囲気(例えばアルゴン流)中でシリコンセラミック前駆体および適切な充填剤の混合物を加熱するプロセスを含む。上述した前駆体は、通常、高いセラミック収率を有する:初期のポリマー重量の50%超が最終材料で保たれる。
【0008】
他の技法と比較して、熱分解は、厳密な操作上の観点および最終生成物の特徴の両方から各種の利点を与える。
【0009】
特に溶融技法と比較して、熱分解技法によって最終生成物の形状および純度のより良好な制御ならびにより低い温度(800〜1500℃)での加工可能性が与えられる。
【0010】
ポリマー性熱分解によるセラミックマトリクスを用いた摩擦材料の製造プロセスの例は、米国特許第6062351号に記載されている。摩擦材料は、1つ以上の有機セラミック前駆体(カルボシル−ケイ素樹脂)、補強繊維(例えば炭素、アルミナ、窒化または炭化ケイ素の繊維)および充填剤(例えば炭化ケイ素、グラファイト、アルミナ、ムライト、シリカ、酸化チタン、窒化ケイ素またはホウ素の粉末)の混合物から始めることによって作製される。次に、混合物はモールド内で冷間圧縮される。セラミック前駆体の重合および未焼結体の取得のための、モールド自体の中での加熱段階が続く。次に、未焼結体は800℃〜1100℃の温度の不活性雰囲気中で熱分解される。
【0011】
米国特許第6062351号に記載されたプロセスの特殊な実施形式に従って、熱分解操作サイクルは、およそ2℃/分の速度での周囲温度から約150℃までの第1加熱段階と、続く0.4℃/分の速度での400℃までの第2加熱段階に続く。第3および第4の加熱段階はそれぞれ、0.18℃/分の速度で760℃まで、および0.46℃/分の温度で870℃までである。生成物は次に870℃で約4時間維持されて、次におよそ1.2℃/分の速度で周囲温度まで冷却される。加熱段階には、およそ48時間の全時間が必要で、冷却段階には約12時間が必要である。
【0012】
セラミックマトリクスを用いる摩擦材料の製造に加えられるポリマー熱分解の主な制限の1つは、低い加熱速度で作業する必要性である。これが長期の作業プロセスを意味するのは、熱分解段階が数十時間を必要とし得るためである。低い加熱速度での作業は、有害な熱応力を制限するために必要であり、このことは、材料収縮の自然現象および熱分解中の揮発性有機物質の放出による微小孔の形成に有利となるが、最終材料の破壊のリスクと共に、微小亀裂の形成を引き起こすことがある。
【0013】
ディスクブレーキパッドの製造プロセスでは、熱分解段階の完了時に、支持プレートへの接着または機械的取付け(例えばボルトまたはリベットを用いた)の前に、通常、セラミックマトリクス材料に対して再仕上げおよび研磨が行われる。
【0014】
支持プレートは一般に、制動中に通例発生する圧縮応力および屈曲応力に耐えることができる金属(鋼鉄)製である。
【0015】
熱分解技法の1つの制限は、溶融技法とさらに共通して、金属支持プレートとすでに直接接合された最終摩擦部品を得られないことに関する。熱分解温度(800℃超)は実際に、従来使用されている金属支持プレートに許容されない変形を引き起こすであろう。
【0016】
このことは必然的に、熱分解段階の完了時のみに、摩擦部品をプレートと接合することを含む。そのため製造サイクルでは、プレートと摩擦部品との特殊な組立て段階、すなわち後者の部品の研磨および再仕上げが先行し得る段階を想定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6062351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、ポリマー熱分解に基づくセラミックマトリクス摩擦材料の作製プロセスを提供することによって、上述の周知の技法の欠点を排除することであり、この作製プロセスは、加工時間を相当短縮することを可能とすると同時に、その性能が摩擦係数および耐摩耗性に関して、従来のセラミックマトリクス摩擦材料の性能と少なくとも同等であるセラミックマトリクス摩擦材料を製造することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、その性能が摩擦係数値および耐摩耗性に関して、従来のセラミックマトリクス摩擦材料よりも優れたセラミックマトリクス摩擦材料を供給することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、セラミックマトリクス材料の摩擦部品と金属支持プレートとの接合を簡単にする、ディスクブレーキパッドの作製方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の技術的特徴は、上述の目的に従って、以下に挙げる請求項の内容で明確に理解され得、その利点は、純粋に例示のためであり、制限するものではない、本発明の1つ以上の形態を表す添付図面を参照して与えられた、続いての詳細な説明でさらに明らかにされる。
【図1】本発明による方法の第1および第2それぞれの適用可能な形態の図を示す。
【図2】本発明による方法の第1および第2それぞれの適用可能な形態の図を示す。
【図3】熱分解が行われた最高温度が特に異なる3個のセラミックマトリクス摩擦部品(そのうち2個は本発明による)の、制動操作回数の関数としての摩擦係数の傾向を表す。
【図4】本発明の方法の特殊な適用可能な形態によって作製されたセラミックマトリクス摩擦部品の、制動操作の回数の関数としての摩擦係数の傾向を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ブレーキの摩擦部品、例えばディスクブレーキパッドの摩擦部分に特に好適なセラミックマトリクス材料を製造する方法に関する。
【0023】
以下で詳説するように、本発明の方法に従って製造されたセラミックマトリクス摩擦材料は、複合セラミック材料(CCM)のディスクブレーキおよびねずみ鋳鉄のディスクブレーキの両方と摩擦学的に連動するパッドの製造に有用であり得、耐摩耗性、摩擦およびなじみ時間(最適機能条件を達成するまでにかかる時間として理解される)に関して最適性能を確保する。
【0024】
特に摩擦に関する性能については、従来の材料と比較すると、時間における安定性と相関した、摩擦係数の平均値に上昇があることが指摘される。制動開始時の摩擦係数値が要求された動作範囲内にあることもさらに指摘される。
【0025】
本発明はさらに、セラミックマトリクス材料を包含するディスクブレーキパッドを製造する方法に関する。
【0026】
以下で詳細に概説されるように、本発明の方法によって、特定の最終組立て段階を想定する必要なしに、(セラミックマトリクス材料の)摩擦部品自体の製造段階中の、ディスクブレーキパッドの摩擦部品と関連金属支持要素(金属支持プレート)との直接接合が可能となる。
【0027】
本発明の一般的な実施に従って、ブレーキ摩擦部品用のセラミックマトリクス材料を製造する方法は、以下の操作段階からなる:
a)少なくとも1つのケイ素型セラミック前駆体と、研磨剤として好適な硬質材料の粒子と、潤滑剤として好適な物質の粒子と、金属材料の粒子との混合物を調製する段階と;
b)未焼結体を得るために混合物を熱間プレスする段階と;
c)プレセラミック結合剤のセラミック化を得、それゆえセラミックマトリクス材料を得るために、未焼結体に熱分解プロセスを受けさせる段階。
【0028】
本発明を特徴付ける第1の態様により、混合物は、熱間プレス段階中のセラミック前駆体の有利な網状化に好適な触媒を含む。
【0029】
セラミック前駆体の網状化反応(ポリマー鎖における加水分解および縮合の反応)のための初期混合物中の好適な触媒によって、プレス段階のちょうど完了時におけるセラミック前駆体の高加速網状化の達成と、したがって未焼結体内の広範囲にわたる分岐ポリマー構造の作製が可能となる。
【0030】
前駆体の加速網状化には一連の利点がある。
【0031】
熱間プレス段階により得た未焼結体は、次の作業プロセス段階の簡略化によって、未焼結体の取扱いを容易にするような機械抵抗性特性を有する。
【0032】
プレス段階中に作製された広範囲にわたる分岐ポリマー構造は、熱分解段階中にセラミック前駆体分子を「拘束する」効果を有し、その揮発性を低下させて、したがってセラミック収率を上昇させる。
【0033】
この広範囲にわたる分岐構造は、初期混合物中に、このようにして構造自体に含有される添加剤(研磨剤、潤滑剤、金属)の粒子を少なくとも部分的に含み、以下で繰り返すような性能(摩擦係数の絶対値および安定性)および耐摩耗性の両方に関して利点を有する。
【0034】
広範囲にわたる分岐ポリマー構造は、熱分解プロセスによって誘起された化学−物理変換後に修飾されるが、セラミックマトリクス材料中で維持されて、最終セラミックマトリクス材料も、特に耐摩耗性、弾性係数および圧縮率に関して、良好な機械抵抗性特性を確保する。
【0035】
本発明を特徴付ける別の態様により、熱分解プロセスは800℃未満の温度にて行われる。
【0036】
広範囲にわたる分岐ポリマー構造が未焼結体に与える良好な機械的特性とは、熱分解プロセスの進行の程度(温度および時間)が必要に応じて調整できることを意味する。これは次に、最終セラミックマトリクス材料のセラミック化の程度が最終セラミックマトリクス材料の性能特徴の関数として設計できることを意味する。
【0037】
以下で要約するように、驚くべきことに800℃未満(および特に400℃〜600℃)の温度での熱分解が摩擦材料性能のかなりの改善を引き起こすことが見出された。
【0038】
図3のグラフは、3種類の異なるディスクブレーキパッドに対して行った制動試験の結果(制動操作の回数の関数としての摩擦係数)を示す。曲線(a)および(b)は、本発明に従って作製した、500℃および700℃の最高熱分解温度をそれぞれ有する、2種類のパッドを指す。曲線(c)は、最高熱分解温度が900℃の従来のパッドを指す。
【0039】
グラフの比較によって、本発明によって製造されたパッドの摩擦係数の上昇が示されており、この上昇は400℃〜600℃の熱分解温度によって作製されたパッドでさらに顕著である。
【0040】
耐摩耗性に関して、試験により、本発明によって製造されたパッドは平均でより高い耐摩耗性を有することが示された:(800℃を超える熱分解温度で作製された)従来型パッドのおよそ0.015mm/制動操作の平均摩耗値に対して、およそ0.005mm/制動操作の平均摩耗値。
【0041】
上述のように、本発明の方法は、その最も一般的な適用形態において、基本構成要素を混合する少なくとも1つの第1の段階と、混合物を熱間プレスする第2の段階と、未焼結体(または成形体)の熱分解の第3の段階とを含む。
【0042】
セラミックマトリクス材料の基本構成要素の混合段階は、好ましくは水平ブレードミキサーで行われるべきである。しかし混合される構成要素の特徴および量に応じて、他の種類のミキサーを用い得る。
【0043】
本発明の方法の好ましい適用可能な解決策によって、各種の構成要素の混合段階は、2つのステージで行われる。
【0044】
第1のステージにおいて、ポリマーセラミック前駆体は、他の構成要素の非存在下で(網状化反応のための)適切な触媒と混合される。このようにして、さらに均質な混合物が触媒の分布によって得られ、したがって(プレス段階の完了時に)前駆体の網状化は、材料の大部分を通じて広がる。
【0045】
最も好都合には、この第1の混合ステージは、好適な混合を確保するための十分な時間にわたって、好ましくは1〜3分間行われる。
【0046】
第2の混合ステージにおいて、他のすべての構成要素:研磨剤、潤滑剤および金属材料が前駆体−触媒混合物に添加される。
【0047】
最も好都合には、この第2の混合ステージは、好適な混合を確保するための十分な時間にわたって、好ましくは3〜5分間行われる。
【0048】
熱間プレス段階は好ましくは、鋼鉄モールドの圧縮に作用する垂直プレス機を用いて行われる。
【0049】
好ましくは、セラミックマトリクス材料の製造段階中に摩擦部品を金属支持体(例えばディスクブレーキパッド支持プレート)に直接接合することを目的とする場合、モールドは、貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体(例えばパッドの摩擦部分)に与えられる形に対応する周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)であるべきである。プレート−マトリクスは、1、2個またはそれ以上の開口部を装備し得る。
【0050】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の一端(好ましくはプレス機内のプレート−マトリクスの水平方向を基準として下方の端)を遮断することによって開始する。次に開口部(装填チャンバを画定する)は混合物が充填される。次に上端は、パッド適用の関数として適切に選択された形状および厚さの金属プレートによって閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされると、パンチを作動させることによってプレスが開始する。モールド内部の温度は、モールド自体に装入された熱電対によって測定される。
【0051】
上述したもの以外のプレスおよびモールドも用い得る。
【0052】
上述したことと共に、または上述したこととは別に、熱間プレス段階中に、モールド内の材料に加えられる圧力は、好ましくは250〜500Kg/cmであるべきである。
【0053】
驚くべきことに、上記の範囲内での圧力の印加が、耐摩耗性、摩擦およびなじみ時間(最適機能条件を達成するまでにかかる時間として理解される)に関する最終セラミックマトリクス材料の性能に有益な効果を有することが見出された。
【0054】
プレス中の上記のような圧力の印加に関連する性能の改善は、熱分解プロセスの操作条件とは無関係に認められた。
【0055】
改善相乗効果は、800℃未満(特に400℃〜600℃)の温度での熱分解プロセスおよび250〜500Kg/cmのプレス圧の印加を組合せることによって、最終セラミックマトリクス材料性能でも認められた。
【0056】
250〜500Kg/cmの圧力の印加と共に、または250〜500Kg/cmの圧力の印加とは別に、プレス段階は好ましくは、前駆体と混合物の他の構成要素との間の密接な接触および接合を促進するようなセラミック前駆体の流体化および粘度値の達成を可能にするために、120℃〜150℃の温度にて行われるべきである。
【0057】
上述したことと共に、または上述したこととは別に、プレス段階は好ましくは、圧力の印加および解放の交互サイクルによって行うべきである。
【0058】
本方法の特殊な適用可能な形態に従って、プレス段階は、それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、圧力の印加および解放の3回の連続サイクルを想定している。およそ90〜210秒の圧力の連続印加の最終段階が続く。全体のプレス段階は、3〜5分間で変化する時間を必要とする。プレスの時間および温度によって、十分に流体化されたセラミック前駆体は、モールドのすべての部分に、および各種の混合構成要素の粒子の間に均一に拡散する。
【0059】
特に好都合な実施により、支持プレートは、前駆体、触媒および充填剤の混合物と同時プレスされ、次に未焼結体と共に熱分解を受ける。
【0060】
800℃未満の、特に400℃〜600℃の温度で(本発明に従って)熱分解を行うことによって、操作は好都合および実施可能になる。実際に金属支持プレートは、許容できない熱変形を受けることなく、熱分解プロセスに由来する熱応力に耐えることができる。
【0061】
したがって本発明の方法のために、摩擦材料製造段階中に、支持プレートを未焼結体に、ひいてはセラミックマトリクス材料に直接接合することが可能である。したがって摩擦材料の作製段階の完了時に、本発明者らは次の仕上げ加工プロセスおよび任意の機械的固定手段の適用を容易にする、摩擦材料/プレート組立て体を有する。
【0062】
すでに述べたように、本発明の特徴的な態様は、熱分解プロセスが800℃未満の温度で行われるということである。
【0063】
摩擦材料性能の改善に関する最良の結果は、400〜600℃の最高温度に達するような方法で熱分解プロセスを行うことによって得られることが認められた。
【0064】
最も好都合には、熱分解プロセスは、最高温度での3〜5時間、好ましくは4時間の時間を想定して行われる。
【0065】
熱分解プロセス中に、未焼結体の周囲温度から最高温度までの加熱の速度は、好ましくは4〜6℃/分、好ましくは5℃/分であるべきである。
【0066】
熱分解プロセスは、好ましくは等温炉内で行うべきである。
【0067】
最も好都合には、セラミック化プロセスを変化させる酸化現象を回避する目的で、熱分解は不活性雰囲気中で行われる。
【0068】
不活性雰囲気は、セラミックマトリクス材料中のオキシ炭化ケイ素(一般式SiO)の形成が好ましい場合、好ましくはアルゴンまたは窒素流を用いて作製されるべきである。
【0069】
セラミックマトリクス材料中でのオキシ窒化ケイ素(一般式SiO)の形成が所望である場合、各種の雰囲気、例えばアンモニア流も用い得る。
【0070】
図1のダイアグラムに例示する本発明の特殊な適用可能な形態により、支持プレートはすでに作製された摩擦材料に接合されている。熱分解段階の完了時に、セラミックマトリクス材料の未焼結体の厚さの調整段階、および代わりにまたは加えて、セラミックマトリクス体の表面仕上げ段階があり得る。
【0071】
これらの段階の本質的な目的は、ディスクブレーキパッドを作製するために、想定された許容差に従って、支持要素(例えば金属支持プレート)と次に連結できるような方法で、セラミックマトリクス材料の未焼結体を調製することである。
【0072】
本方法は、上述した調整段階および/または表面仕上げ段階の完了時に、ボルト、リベットまたは接着剤などの好適な固定要素による、摩擦部品と金属支持プレートとの組立て段階もあり得る。
【0073】
最も好都合には、表面仕上げ段階は、摩擦部品および支持プレートを組立てる段階の後に行われるべきである。
【0074】
本発明の特に好ましい適用可能な形態により(すでに上述および図2に例示)、摩擦部品を支持する要素は、摩擦材料の作製段階中に、摩擦材料に直接接合される。
【0075】
熱分解段階の完了時に、セラミックマトリクス材料の未焼結体の厚さ調整段階、および代わりにまたは加えて、プレートの露出されて被覆されていない部品の、任意のセラミック材料体の表面再仕上げ段階があり得る。
【0076】
したがって最も好都合には、必要な場合にはその間に特殊な固定要素(例えばボルトまたはリベット)が適用され得、すでに連結された摩擦部品および金属プレートに施す最終の固定段階が必要な場合を除いて、支持プレートとの組立ての最終段階をもはや想定する必要はなく、操作がかなり簡略化される。
【0077】
本発明の一般的な適用可能な解決策によって、プレスされる混合物は、以下のように構成される(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):セラミック前駆体および触媒5〜10%;研磨剤20%〜30%;金属材料60%以下;潤滑剤50%以下。
【0078】
上述のように、セラミックポリマー前駆体は、ケイ素型であり、特に一般式[−R...,Si(C,N,B,O)0.5...1.5−]を有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシラザンおよびポリシロキサンを含む群から選択され得る。
【0079】
好ましくは前駆体は、置換官能基およびポリマーの分岐度とは無関係に、一般式[−RSiO1.5−](式中、Rは、水素または有機官能基(アルキル基、アクリル基など)を示す)を有するポリシロキサンから選択されるべきである。
【0080】
なおさらに好ましくは、前駆体は、セスキシロキサンから、特にポリメチルセスキシロキサンから選択されるべきである。
【0081】
2つ以上の異なる有機前駆体の混合物も用い得る。
【0082】
最も好都合には、混合物のセラミック前駆体の重量パーセンテージは、6%〜9%である。
【0083】
好ましくは、触媒は、亜鉛、銅、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケルおよびチタンを含む群から選択される金属を有する有機配位化合物から選択されるべきである。
【0084】
最も好都合には、触媒は、アセトナート、ベータ−ジケトナート(diketonate)およびカルボキシラートから選択される。特に好ましい触媒は、亜鉛またはジルコニウムアセチルアセトナートである。
【0085】
最も好都合には、触媒は、セラミック前駆体に関して化学量論的パーセンテージで、好ましくは混合物重量の0.15%〜0.3%のパーセンテージで存在する。
【0086】
好ましくは、使用されるセラミック前駆体および触媒は粉末形であるべきである。しかし流体などの他の形の構成要素も使用され得る。
【0087】
好ましくは、研磨剤は粉末炭化ケイ素からなる。しかし研磨剤として機能するような硬度特性を有する材料、例えば炭化ホウ素、ケイ素、ジルコン、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ペリクレース、コランダムおよびスピネルも使用され得る。
【0088】
以下の研磨剤の説明を簡単にするために、炭化ケイ素のみが明示的に言及されるが、これは制限的であると見なされるべきではない。実際に、炭化ケイ素に関する情報は、上で挙げたような研磨剤などの他の研磨剤まで拡張するべきである。
【0089】
最も好都合には、炭化ケイ素は2つの異なる粒径の粉末の形である。
【0090】
2つの粉末の平均直径の間の関係は、9〜11、好ましくは10である。
【0091】
粉末の平均直径は、粒径分布曲線のd50に相当する値を意味する。以下の説明では、FEPA(European Federation of Abrasives Manufacturers)によって採用された粉末の定義を指す。
【0092】
炭化ケイ素粉末の粒径の差は、適合するサイズで作製された研磨剤を混合物の残りすべての構成要素に(供給?)できることを意味する。最も細かい粉末は微細潤滑剤およびセラミック前駆体と混ざるが(バインダ樹脂)、より大型の粒子粉末はより大きいサイズで作製された金属粒子と混ざる。このことは材料の圧密に好都合である。
【0093】
より微細な粉末は残りの材料と混ざって均質化する傾向にあるが、より大型の粒子粉末は混合物の他の構成要素から「分離した」ままであることがさらに認められる。
【0094】
そのため2つの異なる粒径によって、最終摩擦材料性能に有利になるように、異なるエネルギーレベルで作用する研磨剤が生じることが理解され得る。より小さい粒径の研磨剤が摩滅するときに、より大型の粒径研磨剤の、摩滅が進行中の「細片」がある。これにより、より小さい粒径の研磨剤が平均して絶えず存在する。
【0095】
好ましくは、2つの異なる粒径の炭化ケイ素粉末は、1μm〜600μmの平均直径を有するべきである。
【0096】
本発明の一般に適用可能な形態により、粒径がより大きい炭化ケイ素粉末とより小さい炭化ケイ素粉末との間の重量比は、0.8〜1.8である。
【0097】
後に繰り返すように、セラミックマトリクス摩擦材料が複合セラミック材料のディスクブレーキと摩擦学的に連動することが要求される場合、粒径がより大きい炭化ケイ素粉末とより小さい炭化ケイ素粉末との間の重量比は、0.8〜1.2、好ましくは1であるべきである。
【0098】
セラミックマトリクス摩擦材料がねずみ鋳鉄のディスクブレーキと摩擦学的に連動することが要求される場合、粒径がより大きい炭化ケイ素粉末とより小さい炭化ケイ素粉末との間の重量比は、1.2〜1.8、好ましくは1.5であるべきである。
【0099】
本発明の好ましい適用可能な形態により、金属粒子は、鉄および/または鉄合金の粒子からなる。
【0100】
最も好都合には、鉄および/または鉄合金の粒子に代わる、または鉄および/または鉄合金の粒子に加えられる金属粒子は、銅および/または黄銅の粒子からなる。
【0101】
好ましくは、銅および黄銅の粒子は、個別にまたは混合されて、混合物重量の20%以下のパーセンテージで存在する。
【0102】
「粒子」という用語は、粉末および繊維の両方の形の材料の部分を含むことを意図する。
【0103】
第1鉄材料の粒子に関して、スチールウールが特に好ましい。
【0104】
好ましくは、粉末状の金属粒子(鉄、鉄合金、銅および/または黄銅)は、300μm未満の平均直径を有するべきであるのに対して、繊維状の金属粒子(鉄、鉄合金、銅および/または黄銅)は、100μm未満の平均直径および1mm未満の長さを有するべきである。
【0105】
本発明の好ましい適用可能な形態により、潤滑剤は粉末状のグラファイトからなる。
【0106】
最も好都合には、粉末グラファイトの代わりに、または粉末グラファイトに加えて、潤滑剤は粉末コークス、硫化スズおよび/またはスズからなり得る。
【0107】
好ましくはグラファイトのパーセンテージは、混合物重量の9%〜13%であるべきであるが、粉末コークス、硫化スズおよび/またはスズ(想定される場合)は、混合物に関してそれぞれ35%、10%および5%未満の重量を有するべきである。
【0108】
最も好都合には、添付の実施例で繰り返すように、グラファイト粉末と組合せた粉末コークス、硫化スズおよび/またはスズの使用は、グラファイト含有率を低下させて、上記の範囲の下限値に向かわせる。
【0109】
グラファイトおよび/またはコークス粉末は200μm〜800μmの平均直径を有するが、最も好都合には、硫化スズおよび/またはスズ粉末は100μm未満の平均直径を有する。
【0110】
上述のように、本発明の方法によって製造されたセラミックマトリクス摩擦材料は、複合セラミック材料(CCM)またはねずみ鋳鉄のディスクブレーキと摩擦学的に連動して、摩擦係数安定性および耐摩耗性の値に関して、どちらの場合でも最適性能が保証されるパッドを製作するのに使用され得る。
【0111】
本発明のセラミックマトリクス材料がねずみ鋳鉄のディスクと連動する必要がある場合、プレス段階を受ける混合物は、以下の一般的な組成を有するべきである(混合物に関する重量で表されたパーセンテージ):5〜10%のセラミック前駆体および触媒;20%〜30%の研磨剤;25%〜60%の金属材料;10%〜50%の潤滑剤。
【0112】
より詳細には、具体的な実施により、より大きい粒径の炭化ケイ素粉末とより小さい粒径の粉末との間の重量比は1.2〜1.8、好ましくは1.5である。
【0113】
粒子のサイズがより大きい粉末炭化ケイ素(SiC)は、混合物重量の12%〜18%のパーセンテージで存在するが、より微細なSiC粉末のパーセンテージは、混合物重量の6%〜12%である。
【0114】
金属粒子は、混合物重量の5%〜20%の粉末鉄、混合物重量の5%〜30%のスチールウールおよび(想定される場合)混合物重量の20%未満のパーセンテージの銅および/または黄銅粉末からなる。
【0115】
鉄および/または鉄合金の粒子(粉末および繊維)全体は、混合物重量の5%〜60%の重量である。
【0116】
好ましくは粉末状のグラファイトは、混合物重量の9%〜12%を構成する。コークスが想定される場合、パーセンテージは混合物重量の35%未満であるのに対して、好ましくは粉末状の硫化スズおよびスズは(想定される場合)、混合物重量のそれぞれ10%および5%未満であるべきである。
【0117】
グラファイトが唯一の潤滑剤であるとき、パーセンテージは好ましくは、混合物重量の12%であるべきである。一例として、3%重量のスズ粉末の添加により、グラファイトを10%まで低減することができる。
【0118】
本発明による、ねずみ鋳鉄のディスクと連動するためのセラミックマトリクス材料を作製する3つの具体的な例を続ける。
【実施例1】
【0119】
Wacker−Belsil(登録商標)PMS MK粉末(軟化範囲50〜60℃)であるポリメチルセスキシロキサン樹脂(CH−SiO3/2 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムを水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F36(平均直径525μm)1.500グラムおよび粉末SiCクラスFEPA F220(平均直径58μm)を添加する。粉末銅1.800グラム、スチールウール2.700グラム、粉末鉄1.000グラムおよび最後に粉末グラファイト1.200グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0120】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F36 15%;粉末SiC F220 10%;粉末銅18%;スチールウール27%;粉末鉄10%;粉末グラファイト12%;ポリメチルセスキシロキサン樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0121】
銅および鉄粉末は、それぞれおよそ200μmおよびおよそ250μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ80μmの平均直径およびおよそ0.8mmの平均長を有する。グラファイト粉末は、およそ600μmの平均直径を有する。
【0122】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにポリメチルセスキシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0123】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ60cmの面積およびおよそ8cmの深さを有する。
【0124】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0125】
モールド内の温度(熱電対によって測定)は、約120℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約400Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、圧力の印加および解放の3回の連続サイクルが予定される。続いて、およそ150秒の圧力の連続印加(解放なし)の最終段階がある。全体のプレス段階は、およそ4分間の時間を必要とする。
【0126】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0127】
続いておよそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ500℃までおよそ5℃/分の速度で加熱され、500℃にておよそ4時間維持される。
【0128】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ300グラムの重量を有する。
【0129】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【実施例2】
【0130】
Wacker−Belsil(登録商標)PMS MK粉末(軟化範囲50〜60℃)であるポリメチルセスキシロキサン樹脂(CH−SiO3/2 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムを水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F100(平均直径129μm)1.500グラムおよび粉末SiCクラスFEPA F500(平均直径d50 12.8μm)を添加する。粉末黄銅1.800グラム、スチールウール2.700グラム、粉末鉄900グラム、粉末グラファイト1.000グラムおよび最後に粉末スズ300グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0131】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F100 15%;粉末SiC F500 10%;粉末黄銅18%;スチールウール27%;粉末鉄9%;粉末グラファイト10%;粉末スズ3%;ポリメチルセスキシロキサン樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0132】
黄銅および鉄粉末は、それぞれおよそ250μmおよびおよそ200μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ80μmの平均直径およびおよそ0.6mmの平均長を有する。グラファイトおよびスズ粉末は、それぞれおよそ400μmおよびおよそ80μmの平均直径を有する。
【0133】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにセスキシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0134】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ60cmの面積および約8cmの深さを有する。
【0135】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0136】
モールド内の温度は、約130℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約450Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、圧力の印加および解放の3回の連続サイクルが想定される。続いて、およそ210秒の圧力の連続印加(解放なし)の最終段階がある。全体のプレス段階は、およそ5分間の時間を必要とする。
【0137】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0138】
続いておよそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ400℃までおよそ6℃/分の速度で加熱され、400℃にておよそ4時間30分維持される。
【0139】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ300グラムの重量を有する。
【0140】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【実施例3】
【0141】
シクロペンタンシロキサン樹脂のWacker−Belsil(登録商標)RG100 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムを水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F46(平均直径370μm)1.300グラムおよび粉末SiCクラスFEPA F280(平均直径d50 36.5μm)800グラムを添加する。スチールウール2.500グラム、粉末鉄300グラム、粉末グラファイト1.000グラム、コークス3.000グラムおよび最後に粉末スズ300グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0142】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F46 13%;粉末SiC F280 8%;スチールウール25%;粉末鉄3%;粉末グラファイト10%;粉末コークス30%;粉末スズ3%;ケイ素樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0143】
鉄粉末は、およそ150μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ60μmの平均直径およびおよそ0.5mmの平均長を有する。グラファイト、コークスおよびスズ粉末は、それぞれおよそ700μm、およそ600μmおよびおよそ90μmの平均直径を有する。
【0144】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0145】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ60cmの面積および約8cmの深さを有する。
【0146】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0147】
モールド内の温度は、約150℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約350Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、圧力の印加および解放の3回の連続サイクルが想定される。続いて、およそ210秒の力の連続印加(解放なし)の最終段階がある。全体のプレス段階は、およそ5分間の時間を必要とする。
【0148】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0149】
続いて、およそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ600℃までおよそ4℃/分の速度で加熱され、600℃にておよそ3時間30分維持される。
【0150】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ300グラムの重量を有する。
【0151】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【0152】
本発明のセラミックマトリクス材料がCCMのディスクと共に機能する必要がある場合、プレス段階の混合物は、以下の一般的な組成を有するべきである(混合物に関する重量で表されたパーセンテージ):セラミック前駆体および触媒5〜10%;研磨剤20%〜30%;金属材料30%〜60%;潤滑剤10%〜40%。
【0153】
より詳細には、具体的な実施により、より大きい粒径の炭化ケイ素粉末とより小さい粒径の粉末との間の重量比は0.8〜1.2、好ましくは1である。
【0154】
粒子のサイズがより大きい粉末炭化ケイ素(SiC)は、混合物重量の10%〜15%のパーセンテージで存在する。
【0155】
金属粒子は、混合物重量の20%〜30%のスチールウール(粉末鉄によって完全にまたは一部置換され得る)および(想定される場合)混合物重量の20%未満のパーセンテージ銅および/または黄銅の粉末および/または繊維からなる。
【0156】
ねずみ鋳鉄と連動するためのセラミックマトリクス材料とは異なり、CCMのディスクのための材料は、粒子の中でも好ましくは粉末のケイ素も含む。
【0157】
最も好都合には、ケイ素粉末は、混合物の9〜11%の、好ましくは10%の重量パーセンテージで存在する。
【0158】
ケイ素粉末は好ましくは、50μm未満の平均直径を有する。
【0159】
好ましくは粉末形のグラファイトは、混合物重量の11%〜13%、好ましくは12%を構成する。コークスが想定される場合、パーセンテージが混合物重量の20%未満であるのに対して、好ましくは粉末形の硫化スズおよびスズは(想定される場合)、混合物重量のそれぞれ10%および5%未満であるべきである。
【0160】
本発明による、複合セラミック材料(CCM)のディスクと連動するためのセラミックマトリクス材料を作製する3つの具体的な例を続ける。
【実施例4】
【0161】
Wacker−Belsil(登録商標)PMS MK粉末(軟化範囲50〜60℃)であるポリメチルセスキシロキサン樹脂(CH−SiO3/2 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムと、水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F46(平均直径370μm)1.200グラムおよび粉末SiCクラスFEPA F280(平均直径36.5μm)1.300グラムを添加する。粉末銅1.800グラム、スチールウール2.700グラム;粉末ケイ素1.000グラムおよび最後に粉末グラファイト1.200グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0162】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F46 12%;粉末SiC F280 13%;粉末銅18%;スチールウール27%;粉末ケイ素10%;粉末グラファイト12%;セスキシロキサン樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0163】
銅およびケイ素粉末は、それぞれおよそ150μmおよびおよそ40μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ50μmの平均直径およびおよそ0.4mmの平均長を有する。グラファイト粉末は、およそ300μmの平均直径を有する。
【0164】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにセスキシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0165】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ148cmの面積および約8cmの深さを有する。
【0166】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0167】
モールド内の温度は、約120℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約300Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、力の印加および解放の3回の連続サイクルが想定される。およそ90秒の力の連続印加(解放なし)の最終段階が続く。全体のプレス段階は、およそ3分間の期間を必要とする。
【0168】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0169】
続いておよそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ500℃までおよそ5℃/分の速度で加熱され、500℃にておよそ4時間維持される。
【0170】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ710グラムの重量を有する。
【0171】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【実施例5】
【0172】
Wacker−Belsil(登録商標)PMS MK粉末(軟化範囲50〜60℃)であるポリメチルセスキシロキサン樹脂(CH−SiO3/2 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムを水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F54(平均直径310μm)1.200グラムおよび粉末SiCクラスFEPA F320(平均直径d50 29.2μm)1.300グラムを添加する。粉末ケイ素1.000グラム、スチールウール2.700グラム、粉末グラファイト1.200グラムおよび最後に粉末コークス1.800グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0173】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F54 12%;粉末SiC F320 13%;スチールウール27%;粉末ケイ素10%;粉末グラファイト12%;粉末コークス18%;セスキシロキサン樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0174】
ケイ素粉末は、およそ35μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ70μmの平均直径およびおよそ0.6mmの平均長を有する。グラファイトおよびコークス粉末は、およそ500μmの平均直径を有する。
【0175】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにセスキシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0176】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ148cmの面積および約8cmの深さを有する。
【0177】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0178】
モールド内の温度は、約130℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約250Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、圧力の印加および解放の3回の連続サイクルが想定される。続いておよそ150秒の圧力の連続印加(解放なし)の最終段階がある。全体のプレス段階は、およそ4分間の時間を必要とする。
【0179】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0180】
続いておよそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ550℃までおよそ5℃/分の速度で加熱され、550℃にておよそ4時間維持される。
【0181】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ710グラムの重量を有する。
【0182】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【実施例6】
【0183】
シクロペンタンシロキサン樹脂のWacker−Belsil(登録商標)RG100 780グラムおよび粉末亜鉛アセチルアセトナート20グラムを水平ブレードミキサーでおよそ2分間混合する。次に粉末SiCクラスFEPA F40(平均直径438μm)および粉末SiCクラスFEPA F240(平均直径d50 44.5μm)1.300グラムを添加する。粉末黄銅1.500グラム、スチールウール2.100グラム、粉末ケイ素1.000グラム、粉末グラファイト1.200グラムおよび最後に粉末硫化スズ300グラムを添加することによって継続する。混合の第2段階は、およそ4分間続けられる。
【0184】
混合物の全体の組成は以下の通りである(混合物に関して重量で表されたパーセンテージ):粉末SiC F40 12%;粉末SiC F240 13%;スチールウール21%;粉末黄銅15%;粉末ケイ素10%;粉末グラファイト12%;粉末硫化スズ9%;粉末スズ3%;ケイ素樹脂7.8%;亜鉛アセチルアセトナート0.2%。
【0185】
黄銅およびケイ素粉末は、それぞれおよそ200μmおよびおよそ45μmの平均直径を有する。スチールウールは、およそ80μmの平均直径およびおよそ0.8mmの平均長を有する。グラファイトおよび硫化スズ粉末は、それぞれ平均直径およそ750μmおよびおよそ90μmの平均直径を有する。
【0186】
このように得られた混合物の一部は次に、未焼結体、ならびにセスキシロキサン樹脂の加速網状化を得るために、垂直プレス機で熱間プレス段階を受ける。混合物および鋼鉄プレートは同時にプレスされる。
【0187】
より詳細には:貫通開口部およびセラミックマトリクス材料体に与えられる形に対応する実質的に長方形の周囲部分を備えたプレート(またはマトリクス)。開口部は、およそ148cmの面積および約8cmの深さを有する。
【0188】
操作は、プレス機が装備しているパンチのヘッドを使用して、貫通開口部の下端を遮断することによって開始する。次に開口部に混合物が充填され、上端は厚さ約5mmの金属プレートで閉じられる。プレートが所定の位置に好適にロックされ、パンチを作動させることによってプレスが開始する。
【0189】
モールド内の温度は、約130℃に維持される。プレス中に印加される最大圧力は約450Kg/cmである。それぞれ約30秒(印加15秒および解放15秒)続く、力の印加および解放の3回の連続サイクルが想定される。続いておよそ210秒の力の連続印加(解放なし)の最終段階がある。プレス段階全体には、およそ5分間の期間が必要である。
【0190】
プレス段階の完了時に得られた未焼結体はおよそ16mmの厚さを有し、これにプレートの(変化していない)厚さが加えられなければならない。
【0191】
続いておよそ0.2m/時の窒素流を用いた等温炉での熱分解の段階がある。未焼結体は、周囲温度(25℃)からおよそ450℃までおよそ5℃/分の速度で加熱され、450℃にておよそ4時間30分維持される。
【0192】
このように得られたセラミックマトリクス材料は、およそ16mmの厚さ(鋼鉄プレートの厚さを除く)およびおよそ710グラムの重量を有する。
【0193】
次にセラミックマトリクス材料体は、パッドの最終用途に応じて厚さを14または15mmにするために、仕上げ加工を受ける。
【0194】
プレス段階の完了時に、上の実施例1〜3および4〜6によって得られたすべてのセラミックマトリクス材料により、良好な細部(例えばパッドの鋭利な縁)の実現および特に困難を伴わない操作を容易にするような優れた一貫性が示された。熱分解段階の完了時に、材料によって優れた機械抵抗性特性(12〜18MPaの機械抵抗性係数;5〜10GPaの弾性係数)が示された。材料の平均密度は2.9〜3.2g/cmであった。平均セラミック化度は、およそ70%と評価された。
【0195】
ブレーキ印加の回数および耐摩耗性の関数としての摩擦係数、安定性係数に関して性能を評価することを目的として、本発明によって作製されたブレーキパッドに対して制動試験を行った。
【0196】
試験は、試料に50回の一連の制動操作を受けさせることであった。
【0197】
試験は、鋳鉄および複合セラミック材料(CCM)の両方のディスクを装備した制動システムを使用して行った。
【0198】
試験によって、鋳鉄ディスクによる印加とCCMディスクによる印加との間の挙動には重大な相違は見られなかった。
【0199】
試験によって、5回目から30回目までのブレーキ印加では、全体としておよそ0.45の平均摩擦係数が示された。値は、最小値およそ0.42、最大値およそ0.48で、かなり変わりやすい。30回目のブレーキ印加の後、摩擦係数はやや低下して、およそ0.42の平均値に安定した。各ブレーキ印加では、平均でおよそ0.005mmの摩耗があった。
【0200】
図4のグラフ(横座標にブレーキ印加回数および縦座標に摩擦係数)は、鋳鉄ディスクおよび摩擦部品が上述した実施例1のセラミックマトリクス材料であるパッドを用いたシステムに対して行った試験に関する。
【0201】
本発明は、セラミックマトリクス材料の摩擦部品および摩擦部品用の金属支持要素を含むディスクブレーキパッドを製造する方法に関する。
【0202】
より詳細には:本方法は、以下の一般的な操作段階:セラミックマトリクス材料の摩擦部品を作製すること;摩擦部品を支持要素に接合すること;を想定している。
【0203】
本方法は、摩擦部品を製造する段階が上記の手順によって行われるということと、支持要素が形成されたセラミックマトリクス材料と直接接合されるということによって特徴付けられる。
【0204】
好ましくは、支持要素は、上述した熱間プレス段階中に、最初のセラミックマトリクス材料と同時にプレスされるべきである。
【0205】
したがって本発明は、セラミックマトリクス材料の摩擦部品の製造のための作業時間を:およそ60〜80時間の平均総時間(金属支持体との組立ては考慮せず)からおよそ8〜12時間の平均時間まで大幅に短縮する。
【0206】
本発明で提案された方法によって作製したセラミックマトリクス摩擦材料は、摩擦係数および耐摩耗性に関して、従来のセラミックマトリクス摩擦材料の性能よりも優れていないとしても、少なくとも同等である性能を提供する。本発明の材料で見られる摩擦係数は実際に、およそ0.35〜0.4である従来の材料の値に対して、平均で0.42〜0.45である。
【0207】
類似の考察は、耐摩耗性に関しても有効である。本発明の材料において、平均摩耗値は、およそ0.015〜0.020である従来の材料の値に対して、およそ0.005mm/ブレーキ印加である。
【0208】
本発明の方法はさらに、セラミックマトリクス材料の摩擦部品および金属支持プレートの特殊な最終組立て段階を省略することによって、ブレーキパッドおよび金属支持プレート製造の簡略化を可能にする。
【0209】
それゆえ本発明はその当初の目標を達成したと考えられる。
【0210】
明らかにその実務的な実施においては、本発明は、上述の例示されたものとは異なるが、この理由で保護の本文脈から除外されない、形態および構造を取り得る。
【0211】
さらにすべての細部は、技術的に同等な要素によって代えることができ、使用したサイズ、形および材料は、必要に応じて置換され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキの摩擦部品、特にディスクブレーキのためのセラミックマトリクス材料を製造する方法であって、以下の操作段階:
−少なくとも1つのケイ素型セラミック前駆体と、研磨剤として好適な硬質材料の粒子と、潤滑剤として好適な物質の粒子と、金属材料の粒子との混合物を調製する段階と;
−未焼結体を得るための混合物を熱間プレスする段階と;
−プレセラミック結合剤のセラミック化を達成して、それゆえ前記セラミックマトリクス材料を得るために、前記未焼結体に熱分解のプロセスを受けさせる段階と;
からなり、
前記混合物が前記熱間プレス段階中の前記セラミック前駆体の有利な網状化に好適な触媒を含むことおよび前記熱分解段階が800℃未満の温度にて行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記プレス段階が120℃〜150℃の温度にて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレス段階が250〜500Kg/cmの圧力にて行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プレス段階が圧力の印加および解放の交互サイクルで行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記熱分解プロセスが400〜600℃の最高温度にて行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
熱分解プロセスが最高温度にて3〜5時間で、好ましくは4時間で行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
熱分解プロセスが周囲温度から最高温度まで4〜6℃/分の加熱速度で行われる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記混合物(以下、混合物に関して重量で表されたパーセンテージ)がセラミック前駆体および触媒5〜10%、研磨剤20%〜30%、金属材料60%未満および潤滑剤50%未満からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記セラミック前駆体(少なくとも1つ)がポリシロキサンから、好ましくはセスキシロキサンから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が亜鉛、銅、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケルおよびチタンを含む群から選択される金属を有する有機配位化合物から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記触媒がアセトナート、ベータ−ジアセトナート(dicetonates)およびカルボキシラートから選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記研磨剤の粒子が炭化ケイ素、炭化ホウ素、ケイ素、ジルコン、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ペリクレース、コランダムまたはスピネルの粉末である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
研磨剤の粒子が2つの異なる粒径の粉末の形であり、2つの粉末の平均直径の間の比が9〜11である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記2つの異なる粒径の研磨剤粉末の粒子が1μm〜600μmの平均直径を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
より大きい粒径の研磨剤の粉末とより小さい粒径の粉末との間の重量比が0.8〜1.8である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記金属粒子が鉄および/または鉄合金の粒子を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記金属粒子が銅および/または黄銅の粒子を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
銅および/または黄銅の粒子が単独でまたは混合されて、前記混合物の重量の20%未満の全パーセンテージ含まれる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記金属粒子が粉末および/または繊維の形で存在し得る、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
粉末状の前記金属粒子が300μm未満の平均直径を有する、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
繊維状の前記金属粒子が100μm未満の平均直径および1mm未満の長さを有する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記潤滑剤粒子が粉末グラファイトを含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記潤滑剤粒子がコークス、硫化スズおよび/またはスズの粉末を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
グラファイトが混合物重量の9%〜13%のパーセンテージ含まれる、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
コークス粉末が前記混合物の重量の35%未満のパーセンテージ含まれる、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
グラファイトおよび/またはコークス粉末が200μm〜800μmの平均直径を有する、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
硫化スズ粉末が前記混合物の重量の10%未満のパーセンテージ含まれる、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
スズ粉末が5%未満のパーセンテージ含まれる、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
硫化スズおよび/またはスズ粉末が100μm未満の平均直径を有する、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記混合物がセラミック前駆体および触媒5〜10重量%、研磨剤20%〜30%、金属材料30%〜60%および潤滑剤10%〜40%からなる、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記金属粒子がケイ素粉末を含む、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
ケイ素粉末が前記混合物の9〜11%の重量パーセンテージ含まれる、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
ケイ素粉末が50μm未満の平均直径を有する、請求項30〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
鉄および/または鉄合金の粒子が前記混合物の20%〜30%の重量パーセンテージ含まれる、請求項30〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
粒径がより大きい研磨剤粉末と粒径がより小さい研磨剤粉末との重量比が0.8〜1.2であり、好ましくは1である、請求項30〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
グラファイトが前記混合物重量の11%〜13%の、好ましくは12%のパーセンテージ含まれる、請求項30〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
コークスが前記混合物重量の20%未満のパーセンテージ含まれる、請求項30〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記混合物(以下、混合物に関して重量で表されたパーセンテージ)がセラミック前駆体および触媒5〜10%、研磨剤20%〜30%、金属材料25%〜60%および潤滑剤10%〜50%からなる、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
鉄および/または鉄合金の粒子が前記混合物の5%〜60%の重量パーセンテージ含まれる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
粒径がより大きい研磨剤粉末と粒径がより小さい研磨剤粉末との重量比が1.2〜1.8であり、好ましくは1.5である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
グラファイトが前記混合物重量の9%〜12%のパーセンテージ含まれる、請求項38〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
コークスが前記混合物重量の35%未満のパーセンテージ含まれる、請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記熱分解段階に続いて、セラミックマトリクス材料の前記未焼結体の厚さを調整する操作段階を含む、請求項1〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記熱分解段階に続いて、セラミックマトリクス材料の前記未焼結体の表面仕上げの操作段階を含む、請求項1〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記混合物の前記熱間プレス段階中に、前記混合物が支持要素の、好ましくは金属の上に直接プレスされる、請求項1〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
ブレーキ、特にディスクブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料を製造する方法であって、以下の操作段階:
−少なくとも1つのケイ素型のセラミック前駆体と、研磨剤として好適な硬質材料の粒子と、潤滑剤として好適な物質の粒子と、金属材料の粒子との混合物を調製する段階と;
−未焼結体を得るために前記混合物を熱間プレスする段階と;
−前記プレセラミック結合剤のセラミック化を達成して、それゆえ前記セラミックマトリクス材料を得るために、前記未焼結体に熱分解プロセスを受けさせる段階と;
からなり、
前記プレス段階が250〜500Kg/cmの圧力によって行われることを特徴とする、方法。
【請求項47】
前記混合物が、前記熱間プレス段階中の前記セラミック前駆体の有利な網状化に好適な触媒を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記熱分解プロセスが800℃未満の、好ましくは400〜600℃の温度で行われる、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載の方法によって作製された、ブレーキ、特にディスクブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料。
【請求項50】
複合セラミック材料のブレーキ部品、特にブレーキディスクと摩擦学的に連動するための、ブレーキの、特にディスクブレーキの摩擦部品用のセラミックマトリクス材料であって、請求項30〜37のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料。
【請求項51】
鋳鉄のブレーキ部品、特にブレーキディスクと摩擦学的に連動するための、ブレーキの、特にディスクブレーキの摩擦部品用の、請求項38〜42のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料。
【請求項52】
請求項1〜45のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料の摩擦部品と、前記摩擦部品の金属支持要素とを含む、ディスクブレーキパッド。
【請求項53】
少なくとも1個のブレーキディスクと、前記ディスクと摩擦学的に連動する、請求項1〜45のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料を含む少なくとも1個の摩擦部品を備えるパッドとを含む、ディスクブレーキシステム。
【請求項54】
複合セラミック材料の少なくとも1個のブレーキディスクと、前記ディスクと摩擦学的に連動する、請求項30〜37のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料を含む少なくとも1個の摩擦部品を備えるパッドとを含む、ディスクブレーキシステム。
【請求項55】
鋳鉄の少なくとも1個のブレーキディスクと、前記ディスクと摩擦学的に連動する、請求項38〜42のいずれかに記載の方法によって作製されたセラミックマトリクス材料からなる少なくとも1個の摩擦部品を備えるパッドとを含む、ディスクブレーキシステム。
【請求項56】
セラミックマトリクス材料の少なくとも1個の摩擦部品と、前記摩擦部品の金属支持要素とからなるディスクブレーキパッドを作製する方法であって、以下の操作段階:
−セラミックマトリクス材料を含む材料の前記摩擦部品の作製段階と;
−前記摩擦部品および前記支持要素の組立て段階と;
を含み、
摩擦部品を作製する段階が請求項1〜45のいずれかに記載の方法によって行われることと、前記セラミックマトリクス材料が前記熱間プレス段階中に前記支持要素と同時にプレスされることとを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−530682(P2011−530682A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521691(P2011−521691)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/IT2008/000543
【国際公開番号】WO2010/016079
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(504401639)フレニ ブレンボ エス.ピー.エー. (22)
【Fターム(参考)】