説明

ブレーキペダル

【課題】転がり軸受の耐久性が低下することを防止できるカムシャフトの軸受構造を提供する。
【解決手段】軸受構造1は二つの外輪部材22を有した転がり軸受15と転がり軸受15を互いの間に挟み込むハウジング13,14と位置決め突起16と位置決め受け穴17を備えている。位置決め突起16と位置決め受け穴17は外輪部材22同士の合わせ目を結んで形成される分割線Lがタイミングチェーンからカムシャフト4が受ける力の方向Fと略直交するように外輪部材22をハウジング13,14に位置決めする。二つの外輪部材22に設けられた位置決め突起16が当該外輪部材22の軸方向の中央から間隔をあけた位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のダッシュパネルに取り付けられたペダルブラケットに回動自在に支持されたブレーキペダルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキペダル(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)は、エンジンルームと乗員室とを区画するダッシュパネルに取り付けられたペダルブラケットに、一端部を中心として回動自在に支持されている。ブレーキペダルの他端部には、足踏プレートが取り付けられている。前述したブレーキペダルは、足踏プレートが運転者により踏まれることにより、前述した一端部を中心として回動して、その変位量を倍力装置に伝達することによって、所要の制動を行うものである。
【0003】
前述したブレーキペダルは、踏み込み動作に耐え得る強度と剛性とが必要とされる。このため、前述した特許文献1に示されたブレーキペダルでは、一端部が前述したペダルブラケットに回動自在に支持され、かつ自動車の車幅方向に若干湾曲したペダルアームの中央部に補強突出部を一体に設けている。
【0004】
特許文献2に示されたブレーキペダルでは、一端部が前述したペダルブラケットに回動自在に支持されたペダルアームの前述した一端部に従動レバーを重ねて設け、ペダルアームと従動レバーとを互いに溶接している。
【0005】
特許文献3に示されたブレーキペダルでは、ペダルブラケットに回動自在に支持された一端部よりも足踏プレートが取り付けられた他端部を車幅方向の内側にオフセットさせてペダルアームを構成し、ペダルアームの中央部と一端部に設けられたボス部とに接合された補強板を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平7−16182号公報
【特許文献2】実開平5−79616号公報
【特許文献3】実公平5−2376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、前述した自動車は、当該自動車の車体自体のコンパクト化と乗員により快適な環境を提供するために、エンジンルームの小型化と、より広い乗員室とが求められている。このために、前述したダッシュパネルが、より自動車の前方に位置されることとなり、前輪の近くに配置されることになる。ここで、エンジンルームを構成する側壁の前輪付近には、前輪を収納するホイールハウスがエンジンルーム内に膨出するとともに、前輪のサスペンションを収納するために、ホイールハウスの上部から上方のエンジンルーム内に膨出するサスペンションタワー(ストラットタワー)が形成されている。この為、ダッシュパネルのエンジンルーム側に取り付けられるブレーキ装置の例えば倍力装置(ブレーキブースタ)が、サスペンションタワー(ストラットタワー)と自動車の前後方向でほぼ同じ位置となり、車幅方向に並ぶ位置に配置されてしまう。
【0008】
倍力装置が、サスペンションタワーと自動車の車幅方向に並ぶ位置に配置されてしまうと、サスペンションタワーとの干渉を回避しつつ倍力装置の径寸法を確保するために、倍力装置の配置場所を車両の左右方向で中央側に移動する必要がある。倍力装置の配置場所を中央側に移動するとそれに連結されるブレーキペダルも同様に移動させる必要がある。しかし、運転者の運転姿勢や操作性を考慮すると、運転者が踏み込み操作する足踏みプレートの位置を倍力装置の移動量と同じ量だけ車両の中央側に移動させることはできない。この為、ブレーキペダルのペダルアームを、車幅方向に屈曲させて、ペダルブラケットに回動自在に支持された一端部よりも足踏プレートが取り付けられた他端部を車幅方向の外側にオフセットせざるを得ない。しかしながら、前述した特許文献1に示されたブレーキペダルでは、ペダルアームが略平板状又は平板状に形成されて前述したようにオフセットされておらず、特許文献2に示されたブレーキペダルでは、従動レバーをペダルアームの側方に別途設ける構成となっており、特許文献3に示されたブレーキペダルでは、一端部よりも他端部を車幅方向の内側にオフセットさせているが、ブレーキブースタがダッシュパネルの車室側で揺動支点よりも上方に配置されている車両に対するものであり、オフセット方向や力の作用する状態を含め特異なものとなっている。このように、前述した特許文献1乃至特許文献3に示されたブレーキペダルでは、倍力装置がサスペンションと自動車の車幅方向に並ぶ位置に配置された際に対応することができない。また、ブレーキペダルの剛性を向上させるには、ペダルアームの板厚を厚くすることが容易に考えられるが、効率的に剛性を向上させることができずに非常に重いものとなり、車体の軽量化ができないという問題がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ブレーキ装置の例えば倍力装置がサスペンションと自動車の車幅方向に並ぶ位置に配置された際にも、踏み込み動作に耐え得る強度と剛性とを確保できるブレーキペダルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のブレーキペダルは、ダッシュパネルに取り付けられたペダルブラケットに回動自在に支持され、かつ車幅方向へ延びた、円筒状のボス部と、前記ボス部を一端部に取り付け、かつブレーキ装置を動作させるためのプッシュロッドが連結されているとともに、前記ボス部を中心とした回動を前記プッシュロッドに伝達するペダルアームと、前記ペダルアームの他端部に設けられた足踏プレートと、を備え、前記ペダルアームが、前記ボス部を取り付けた、平板状の第1平板部と、前記足踏プレートが取り付けられかつ前記第1平板部に対して前記車幅方向の外側に位置ずれした、平板状の第2平板部と、前記第1平板部と前記第2平板部とを連結した、平板状の連結平板部と、を備えたブレーキペダルにおいて、前記第1平板部の前記第2平板部から離れた側の一方の表面から立設しかつ前記ボス部の外周面に接合した補強板を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明のブレーキペダルは、請求項1に記載のブレーキペダルにおいて、前記ボス部の前記一方の表面からの突出量が、前記第1平板部の他方の表面からの突出量よりも大きいことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明のブレーキペダルは、請求項1又は請求項2に記載のブレーキペダルにおいて、前記補強板が、前記ボス部の外周面から前記プッシュロッドの接続箇所を越える位置まで、前記第1平板部の長手方向に沿って設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明のブレーキペダルは、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のブレーキペダルにおいて、前記補強板が、前記ボス部に接合されかつ前記第1平板部の長手方向に沿って延在した平行部と、前記平行部の前記ボス部から離れた側の端部から屈曲しかつ前記第1平板部の幅方向に延在した垂直部と、前記垂直部の前記平行部から離れた側の端部から屈曲しかつ前記ブレーキ装置の動作状況を検出するスイッチを押圧する押圧部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、ボス部が取り付けられた第1平板部よりも足踏プレートが取り付けられた第2平板部が自動車の車幅方向の外側に位置付けられているので、サスペンションとブレーキ装置の例えば倍力装置とを車幅方向に並べて配置しても、ブレーキペダルと当該倍力装置とを確実に連結できる。
【0015】
また、請求項1記載の本発明のブレーキペダルは、第1平板部の第2平板部から離れた側の一方の表面即ち車幅方向の内側の一方の表面から立設した補強板を、ボス部の外周面に接合している。このために、第2平板部が特に車幅方向の外側に向かう方向に、足踏プレートが踏みつけられても、ボス部即ちペダルブラケットと第1平板部とが離れる方向に、ペダルアームを捻る力を、前述した補強板が支えることとなる。したがって、第2平板部が特に車幅方向の外側に向かう方向に、足踏プレートが踏みつけられても、ボス部即ちペダルブラケットと第1平板部とが離れるように、ペダルアームが捻られることを防止できる。特に、補強板を第1平板部の幅方向の中央に設けた場合には、ペダルアームを捻り難く構成することができる。
【0016】
よって、請求項1記載の本発明のブレーキペダルは、ブレーキ装置の例えば倍力装置がサスペンションと自動車の車幅方向に並ぶ位置に配置された際にも、踏み込み動作に耐え得る強度と剛性とを確保することができる。
【0017】
請求項2記載の本発明によれば、一方の表面からの突出量が他方の表面からの突出量よりも大きくなるように、ボス部を第1平板部に取り付けているので、第1平板部と第2平板部の車幅方向のずれ量を抑制しても、サスペンションとブレーキ装置の例えば倍力装置とを車幅方向に並べて配置した際に、ブレーキペダルと当該倍力装置とを確実に連結できる。したがって、第1平板部と第2平板部の車幅方向のずれ量を抑制できるので、補強板の小型化を図っても、ブレーキペダルの剛性をより向上することができる。
【0018】
また、請求項2記載の本発明のブレーキペダルは、ボス部の一方の表面からの突出量が他方の表面からの突出量よりも大きいので、当該ボス部に補強板を容易に接合することができる。
【0019】
請求項3記載の本発明によれば、補強板を、ボス部から、足踏プレートを踏み込んだ際にブレーキ装置の例えば倍力装置からの反力が作用するプッシュロッドの接続箇所を越える位置まで設けている。よって、大きな力が作用する(高い応力が発生する)第1平板部のボス部から接続箇所までの剛性を、補強板により向上することができる。
【0020】
請求項4記載の本発明によれば、ボス部から順に平行部と垂直部と押圧部が位置するように、補強板を屈曲しているので、当該補強板自体の剛性を向上することができる。よって、補強板が、第1平板部に対して倒れることを防止でき、第1平板部即ちペダルアームの剛性を確実に向上することができる。
【0021】
また、請求項4記載の本発明のブレーキペダルは、補強板の押圧部がブレーキ装置の動作状況を検出するスイッチを押圧するので、当該スイッチを押圧するために専用の部材を設ける必要がなく、部品点数が増加することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかるブレーキペダルを備えたプレーキペダル装置の側面図である。
【図2】図1に示されたブレーキペダル装置の分解斜視図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1に示されたブレーキペダル装置のブレーキペダルの斜視図である。
【図5】図4に示されたブレーキペダル装置のブレーキペダルの正面図である。
【図6】図4に示されたブレーキペダル装置のブレーキペダルの要部の側面図である。
【図7】図1に示されたブレーキペダル装置を備えた自動車の要部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態にかかるブレーキペダルを、図1乃至図7を参照して説明する。ブレーキペダル1は、図1及び図2に示すブレーキペダル装置2を構成する。ブレーキペダル装置2は、自動車3(図7に一部示す)のブレーキ装置4を動作させるものである。なお、図7に示された自動車3は、乗員室5内の空間を極力広げるために、エンジンルーム12と乗員室5とを区画するダッシュパネル13が車両の前後方向で前輪の近くに配置され、このダッシュパネル13のエンジンルーム12側の面にブレーキ装置4を構成する倍力装置7が取り付けられている。そして、前輪用のサスペンション6(サスペンションタワー)とブレーキ装置4の倍力装置7とを、車幅方向に並べて配置している。ここで、車幅方向に並べて配置とは、自動車3を側方から見たときに、サスペンション6(サスペンションタワー)と倍力装置7とが重なる位置にあることを言う。なお、図7に示された様に、自動車3は、乗員室5の右側前方にステアリングホイールが設けられた所謂右ハンドル仕様の自動車となっており、運転者が踏み込み操作する足踏みプレートの位置よりも車両の左右方向で車両の中央側にブレーキ装置4の倍力装置7が配置されている。詳細には、足踏みプレートの位置よりも車両の中央側にブレーキ装置4のプッシュロッド34が配置されている。なお、図7において、符号8がアクセルペダル、符号9がクラッチペダル、符号10がステアリングシャフトを示している。
【0024】
ブレーキペダル装置2は、図1及び図2に示すように、ペダルブラケット11と、ブレーキペダル1とを備えている。ペダルブラケット11は、前記自動車3のエンジンルーム12と乗員室5とを区画するダッシュパネル13の乗員室5側の表面に取り付けられている。
【0025】
ペダルブラケット11は、図2に示すように、ブラケット本体14と、ペダル取付部15とを備えている。ブラケット本体14は、板金で構成され、車幅方向に互いに間隔をあけて平行に設けられた一対の側壁16a,16bと、これら一対の側壁16a,16bの運転手側の縁に取り付けられて一対の側壁16a,16bを連結する手前壁17とを備えて、図2中の下方側に開口が設けられた箱状に形成されている。手前壁17の中央には、ブレーキ装置4が操作されたか否かを検出するストップランプスイッチ18(図1中に二点鎖線で示し、スイッチに相当)を取り付けるスイッチ取付部19が設けられている。
【0026】
なお、ストップランプスイッチ18は、図1に示すように、スイッチ本体20と、このスイッチ本体20から出没自在に設けられかつスイッチ本体20から突出する方向に付勢された操作子21とを備えている。ストップランプスイッチ18は、操作子21がスイッチ本体20内に没した状態からスイッチ本体20外に突出すると、ブレーキペダル1が操作されて回動し前述したブレーキ装置4が動作したこと即ち自動車3が制動されていることを示す情報を出力する。
【0027】
ペダル取付部15は、図2及び図3に示すように、円筒状のカラー22と、一対のブッシュ23と、ボルト24と、ナット25と、リターンスプリング26とを備えている。カラー22は、ブレーキペダル1の後述するボス部27内に挿入された状態で、その両端部が一対の側壁16a,16bの内面に当接するように配置され、その内径内にボルト24が挿入される。一対のブッシュ23は、ブレーキペダル1の動きをスムーズにするためのもので、ボス部27とカラー22との間、及び、ボス部27と側壁16a,16bとの間の摺動抵抗を低減する。ブッシュ23はつば付けの円筒形状であって、その円筒形状部分がボス部27の内径とカラー22の外径との間内に挿入され、鍔部分がボス部27の端面とブラケット本体14の一対の側壁16a,16bの内面との間に配置される。ボルト24は、一対の側壁16a,16b、一対のブッシュ23、ボス部27、カラー22内に挿入されて、その先端が一対の側壁16a,16b外に突出し、そこにナット25が取り付けられる。ボルト24は、ナット25にねじ込まれることでペダルブラケット11に固定され、ブレーキペダル1を後述するペダルアーム28の一端部31aのボス部27を回動自在にペダルブラケット11に支持し、ブレーキペダル1の回動軸となる。リターンスプリング26は、ねじりコイルばねであって、コイル部26aの内側にボス部27の車幅方向の外側の一端部が挿入される。リターンスプリング26は、一端がブラケット本体14に係止され、他端がペダルアーム28の一端部31aに係止される。リターンスプリング26は、ブレーキペダル1の足踏プレート29が自動車3の後方に位置するように、ペダルアーム28を付勢している。前述した構成のペダル取付部15は、ブレーキペダル1を、ペダルアーム28の一端部31aを中心として回動自在にブラケット本体14に取り付ける。
【0028】
ブレーキペダル1は、図4及び図5に示すように、ボス部27と、ペダルアーム28と、足踏プレート29(プレート取付部38)と、補強板30とを備えている。ボス部27は、内外径が長手方向に一定の円筒状に形成されている、ボス部27の長手方向は、自動車3の車幅方向に沿っている。即ち、ボス部27は、車幅方向に延びている。ボス部27は、内側にカラー22などが挿入された状態で、前述したボルト24とナット25とによりペダルブラケット11に回動自在に支持される。
【0029】
ペダルアーム28は、厚さが一定の厚手の板金で構成され、かつその板面が車幅方向を向いている。ペダルアーム28は、図4及び図5に示すように屈曲した形状をしており、その上端部から第1平板部31と、連結平板部33と、第2平板部32とを一体に備えている。
【0030】
第1平板部31は、ペダルアーム28の上部部分であって、長手方向が自動車3の略上下方向となるように配置され、かつその板面が車幅方向を向いている。第1平板部31の一端部31a(上端部であって、ペダルアーム28の一端部に相当)には、ボス部27が溶接により取り付けられる。第1平板部31の一端部31aには、ボス部27が垂直に貫通している。なお、本実施形態では、第1平板部31に対して第2平板部32が車両の左右方向にオフセットして配置されており、第1平板部31の第2平板部32側の面を他方の表面31c、第1平板部31の第2平板部32側でない面を一方の表面31bとして、説明を続ける。ボス部27に関し、第1平板部31の第2平板部32から離れた側の面となる一方の表面31bからのボス部27の突出量D1(図5に示す)が、第1平板部31の他方の表面31cからのボス部27の突出量D2(図5に示す)よりも大きくなっている。また、第1平板部31の他端部31d(第1平板部31の下端部)には、前記倍力装置7即ちブレーキ装置4を動作させるためのプッシュロッド34(図7に一部示す)が周知のクレビス35及びクレビスピン36により連結されている。なお、図示例では、第1平板部31の他端部31dにクレビスピン36を通すことができる通し孔37が設けられている。通し孔37内にクレビスピン36が通されることで、第1平板部31即ちペダルアーム28にクレビス35を介してプッシュロッド34が取り付けられる。また、通し孔37は、ペダルアーム28のプッシュロッド34の接続箇所をなしている。第1平板部31の他端部31d(第1平板部31の下端部)は、連結平板部33に連続している。
【0031】
第2平板部32は、ペダルアーム28の下部部分であって、自動車3の後方向に屈曲した形状でその板面は車幅方向を向いており、第1平板部31と略平行に配置され、一端部32a(下端部であって、ペダルアーム28の他端部に相当)に足踏プレート29の取り付け部となる平板状のプレート取付部38が取り付けられている。プレート取付部38は、その平板面が第2平板部32の板面に対して略直交するように配置されて溶接固定されている。プレート取付部38は、足踏プレート29が重ねられて、この足踏プレート29が取り付けられる。なお、足踏プレート29をゴムで形成し、プレート取付部38に被せることでプレート取付部38に取り付けることもできる。第2平板部32は、第1平板部31に対して車幅方向の外側に位置ずれしている。また、第2平板部32の上端部は、連結平板部33に連続している。第2平板部32は、連結平板部33から離れるのにしたがって車両の後方となるように屈曲し、前記一端部32aが上方に向かうように若干屈曲している。
【0032】
連結平板部33は、第1平板部31の下端と第2平板部32の上端との間のペダルアーム28の部分であって、車両の左右方向でオフセット配置された第1平板部31の下端と第2平板部32の上端と連続し、それらを連結している。このため、連結平板部33は、斜めに形成されている。
【0033】
補強板30は、ペダルアーム28に比較して薄手の板金で構成され、第1平板部31の第2平板部32から離れた側の一方の表面31bから立設した状態で、第1平板部31に溶接にて取り付け固定されている。補強板30の一端は、ボス部27の外周面に溶接接合されている。補強板30は、図6に示すように屈曲した形状をしており、平行部40と、垂直部41と、押圧部42と、第2平行部43とを一体に備えている。平行部40は、その上端縁がボス部27の外周面に溶接接合されている。平行部40は、第1平板部31の幅方向の略中央位置であって表面31bに垂直に設けられ、第1平板部31の長手方向に沿って延在し表面31bに溶接接合されている。平行部40は、ボス部27の外周面から第1平板部31の長手方向の中央部に亘って設けられている。
【0034】
垂直部41は、平行部40のボス部27から離れた側の端部から上方(即ち乗員室5の内側)に向かって屈曲している。垂直部41は、表面31bに垂直で第1平板部31の幅方向の略中央位置から車両の後方側となる幅方向に延在している。垂直部41は、第1平板部31の幅方向の略中央位置から図1中上方に位置する一方の外縁部に亘って設けられて表面31bに溶接接合されている。
【0035】
押圧部42は、垂直部41の平行部40から離れた側の端部から第2平板部32に向かって屈曲している。押圧部42は、第1平板部31の外縁部付近に配置され、表面31bに垂直に設けられるとともに、その面がブレーキペダル1の回動軸からの放射方向に沿って配置され第1平板部31の長手方向に対して若干傾いている。押圧部42の長さは、垂直部41の長さと略等しく形成されている。押圧部42には、リターンスプリング26の付勢力により第2平板部32の一端部32aが倍力装置7から離れた状態に位置付けられた時(ペダルを踏み操作していない状態の時)、前述したストップランプスイッチ18の操作子21を押圧して、この操作子21をスイッチ本体20内に没した状態に位置付ける。こうして、押圧部42は、リターンスプリング26の付勢力により、図1中の実線で示すように、第2平板部32の一端部32aが倍力装置7から離れた状態に位置付けられると、ブレーキ装置4の動作状況を検出するためのストップランプスイッチ18の操作子21を押圧する。
【0036】
第2平行部43は、押圧部42の垂直部41から離れた側の端部から第2平板部32に向かって屈曲している。第2平行部43は、第1平板部31の外縁部付近に沿って表面31bに垂直に設けられ、第1平板部31の長手方向に沿って延在している。第2平行部43は、押圧部42から第1平板部31の他端部31dに亘って設けられている。また、第2平行部43は、通し孔37即ちプッシュロッド34のペダルアーム28への接続箇所の車両の後方側となる位置まで延在し、表面31bに溶接接合されている。こうして、補強板30は、ボス部27の外周面から通し孔37即ちプッシュロッド34のペダルアーム28への接続箇所を越える位置まで、第1平板部31の長手方向に沿って設けられている。
【0037】
前述した構成のブレーキペダル1は、ボス部27にカラー22が挿入され、さらに、ブッシュ23が取り付けられた後、カラー22にボルト24が挿入されて、ペダルブラケット11のブラケット本体14の側壁16a,16b間に挿入される。なお、この際、ボス部27の一端部にリターンスプリング26のコイル部26aが取り付けられている。そして、ボルト24にナット25がねじ込まれて、ボス部27を回動可能に軸支し、ボス部27即ち第1平行部31の一端部31aを中心として、ペダルアーム28即ちブレーキペダル1が、ペダルブラケット11のブラケット本体14に回動自在に取り付けられる。ペダルブラケット11がダッシュパネル13に取り付けられる際に、第1平板部31の通し孔37にクレビス35及びクレビスピンによりプッシュロッド34が取り付けられる。
【0038】
すると、この状態では、図1中の実線で示すように、リターンスプリング26の付勢力により、足踏プレート29が自動車3の後方側に位置している。そして、押圧部42がストップランプスイッチ18の操作子21を押圧して、操作子21がスイッチ本体20内に没している。
【0039】
運転者が、足踏プレート29を踏み込むと、リターンスプリング26の付勢力に抗して、足踏プレート29が自動車3の前方に向かうように、図1中の二点鎖線で示すように、ペダルアーム28即ちブレーキペダル1が回動する。そして、プッシュロッド34が押し込まれて、ブレーキ装置4が動作して、所要の制動が成される。このとき、ブレーキペダル1は、運転者の足による操作力が足踏プレート29に加えられ、プッシュロッド34からの反力が第1平板部31の通し孔37に加えられ、ボルト24の軸支力がボス部27に加えられる。なお、ブレーキペダル1が操作されて回動すると押圧部42がストップランプスイッチ18の操作子21から離れて、ストップランプスイッチ18のスイッチ本体20から所要の信号が出力される。
【0040】
本実施形態によれば、ボス部27が取り付けられた第1平板部31よりも足踏プレート29が取り付けられた第2平板部32が自動車3の車幅方向の外側に位置付けられているので、サスペンション6とブレーキ装置4の例えば倍力装置7とを車幅方向に並べて配置しても、運転者の運転姿勢を良好にすることができるとともに、運転者の操作性を犠牲とすることなく、ブレーキペダル1と当該倍力装置7とを確実に連結できる。
【0041】
また、第1平板部31の第2平板部32から離れた側の一方の表面31b即ち車幅方向の内側の一方の表面31bから立設した補強板30を、ボス部27の外周面に接合している。このため、プッシュロッド34からの反力を受ける第1平板部31と運転者の足による操作力を受ける第2平板部32とが車両の左右方向でオフセット配置されることに起因するペダルアーム28に生じる捻りモーメントに対する剛性を効果的に向上させている。第1平板部31とボス部27部分の剛性が向上し、ブレーキペダル1を操作したときの運転者が感じる剛性感が向上する。さらに、第2平板部32が特に車幅方向の外側に向かう方向に、足踏プレート29が踏みつけられても、ボス部27即ちペダルブラケット11と第1平板部31とが離れる方向に、ペダルアーム28を捻る力を、前述した補強板30が効果的に支えることとなる。したがって、第2平板部32が特に車幅方向の外側に向かう方向に、足踏プレート29が踏みつけられても、ボス部27即ちペダルブラケット11と第1平板部31とが離れるように、ペダルアーム28が捻られることを防止できる。特に、補強板30を第1平板部31の幅方向の中央に設けた場合には、ペダルアーム28を効果的に捻り難く構成することができる。
【0042】
よって、前述した実施形態のブレーキペダル1は、ブレーキ装置4の例えば倍力装置7がサスペンション6と自動車3の車幅方向に並ぶ位置に配置された際にも、踏み込み動作に耐え得る強度と剛性とを確保することができる。
【0043】
また、前述した実施形態のブレーキペダル1は、一方の表面31bからの突出量D1が他方の表面31cからの突出量D2よりも大きくなるように、ボス部27を第1平板部31に取り付けているので、第1平板部31と第2平板部32の車幅方向のずれ量を抑制しても、サスペンション6とブレーキ装置4の例えば倍力装置7とを車幅方向に並べて配置した際に、ブレーキペダル1と当該倍力装置7とを確実に連結できる。したがって、第1平板部31と第2平板部32の車幅方向のずれ量を抑制できるので、補強板30の小型化を図っても、ブレーキペダル1の剛性をより向上することができる。また、ボス部27の一方の表面31bからの突出量D1が他方の表面31cからの突出量D2よりも大きいので、当該ボス部27に補強板30を容易に接合することができる。さらに、ボス部27の長さを長くすることが可能となって、比較的弱い力でも大きなモーメントとすることができ、操作時のペダルアーム28を捻る力に対して容易に対抗させることができる。この為、側壁16a,16bを強固にする必要がなく比較的容易に形成することができ、ブレーキペダル1を操作したときの剛性感が向上する。さらに、ブッシュ23の摺動抵抗を低減して操作性を向上させることができるとともに、ブッシュ23の耐久性を向上させることができる。
【0044】
補強板30を、ボス部27から、足踏プレート29を踏み込んだ際にブレーキ装置4の例えば倍力装置7からの反力が作用するプッシュロッド34の接続箇所としての通し孔37を越える位置まで設けている。よって、大きな力が作用する第1平板部31のボス部27から接続箇所としての通し孔37までの剛性を、補強板30により向上することができる。特に、ボス部27から通し孔37まで間に、ボス部27と通し孔37を結ぶ直線上付近に平行部40が配置されるだけでなく、通し孔37近傍に垂直部41が配置されており、効果的にボス部27から通し孔37までの第1平板部31部分を補強することができる。
【0045】
ボス部27から順に平行部40と垂直部41と押圧部42が位置するように、補強板30を屈曲しているので、当該補強板30自体の剛性を向上させることができる。よって、補強板30が、第1平板部31に対して倒れることを防止でき、第1平板部31即ちペダルアーム28の剛性を確実に向上することができる。
【0046】
また、補強板30の押圧部42がブレーキ装置4の動作状況を検出するストップランプスイッチ18を押圧するので、当該ストップランプスイッチ18を押圧するために専用の部材を設ける必要がなく、部品点数が増加することを防止できる。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、右ハンドル仕様の自動車3用のブレーキペダル1を示しているが、本発明では、左ハンドル仕様の自動車3用のブレーキペダル1としても良い。左ハンドル仕様の自動車3用のブレーキペダル1の場合も、前述した実施形態と同様に、第2平板部32を第1平板部31よりも自動車の車幅方向の外側即ち左側に設け、補強板30を第1平板部31の第2平板部32から離れた側の一方の表面31b即ち運転者からみて右側の表面から立設させれば良い。
【符号の説明】
【0048】
1 ブレーキペダル
4 ブレーキ装置
11 ペダルブラケット
13 ダッシュパネル
18 ストップランプスイッチ(スイッチ)
27 ボス部
28 ペダルアーム
29 足踏プレート
30 補強板
31 第1平板部
31a 一端部(ペダルアームの一端部)
31b 一方の表面
31c 他方の端面
32 第2平板部
32a 一端部(ペダルアームの他端部)
33 連結平板部
34 プッシュロッド
37 通し孔(接続箇所)
40 平行部
41 垂直部
42 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルに取り付けられたペダルブラケットに回動自在に支持され、かつ車幅方向へ延びた、円筒状のボス部と、
前記ボス部を一端部に取り付け、かつブレーキ装置を動作させるためのプッシュロッドが連結されているとともに、前記ボス部を中心とした回動を前記プッシュロッドに伝達するペダルアームと、
前記ペダルアームの他端部に設けられた足踏プレートと、を備え、
前記ペダルアームが、
前記ボス部を取り付けた、平板状の第1平板部と、
前記足踏プレートが取り付けられかつ前記第1平板部に対して前記車幅方向の外側に位置ずれした、平板状の第2平板部と、
前記第1平板部と前記第2平板部とを連結した、平板状の連結平板部と、
を備えたブレーキペダルにおいて、
前記第1平板部の前記第2平板部から離れた側の一方の表面から立設しかつ前記ボス部の外周面に接合した補強板を備えたことを特徴とするブレーキペダル。
【請求項2】
前記ボス部の前記一方の表面からの突出量が、前記第1平板部の他方の表面からの突出量よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のブレーキペダル。
【請求項3】
前記補強板が、前記ボス部の外周面から前記プッシュロッドの接続箇所を越える位置まで、前記第1平板部の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のブレーキペダル。
【請求項4】
前記補強板が、前記ボス部に接合されかつ前記第1平板部の長手方向に沿って延在した平行部と、前記平行部の前記ボス部から離れた側の端部から屈曲しかつ前記第1平板部の幅方向に延在した垂直部と、前記垂直部の前記平行部から離れた側の端部から屈曲しかつ前記ブレーキ装置の動作状況を検出するスイッチを押圧する押圧部と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のブレーキペダル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−187952(P2012−187952A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51250(P2011−51250)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】