説明

ブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置

【課題】画面上の表示は複雑にならず、走行ラインではなく減速するコースの位置を、減速しないときに用いる色とは異なる色表示で知らせることにより走行に集中することを可能とするブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置を提供する。
【解決手段】選択したコースを一定の距離で区切り、区切ったステップ毎に走行すべき速度が記録されているラインデータより前と現在のステップの速度を比較する。前のステップより速度が落ちている場合、その速度変化量に合わせて縮小マップ上の対応のコースのステップ部分を、速度が落ちていない場合に用いる通常の色より異なる色の表示をする。プレイヤは縮小マップの減速すべき位置を見て先のコースのブレーキポイントを知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レースゲーム画面においてコースの形状などを表示する縮小マップを画面の一部に表示するゲーム装置、さらに詳しくいえば、プレイヤが減速すべきコース位置を表示する縮小マップを表示するレースゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレースゲーム装置ではブレーキポイントを表示する場合、通常のマップ表示の上に走行ラインを表示し、そのラインの色替え,形状変更でブレーキポイントを示していた。
しかしながら、従来の走行ラインを表示する方式の場合には、画面表示が煩雑になり、画面が見づらくなるという問題、さらには画面が変っていくため画面上の走行ラインに惑わされて自らの走行に集中できないという問題があった。
【0003】
また、本件出願人はレースゲームにおいて、プレイヤが操作する車を表示する画面上に種々の操作アドバイスを表示し、その中にブレーキについてアドバイスをすることを提案している(特許文献1)。
これはコーナなどに差しかかると、画面中央にその操作すべき内容、例えば実際のプレイヤの速度がオーバーしていれば「コーナー手前減速せよ」という文字表示がなされる。プレイヤはコーナーに迫りつつあるので減速しなければならないことを認識することができるが、どのタイミングでブレーキを踏んでよいかプレイヤの判断にまかされる。
【0004】
また、現在表示されている画面位置でのアドバイスであるため、コースの先にどの様な減速場所があるか予想できない。すこし先のコースが減速場所になっているか否かを予め予想できないことは、現在の車のアクセル,ブレーキ操作をどのようにすべきかの判断にも影響することとなる。
さらに画面中央に一時的にせよ操作すべき内容が文字表示されるために、画面表示が煩雑になり見づらくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−141665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みなしたもので、その目的は、画面上の表示は複雑にならず、走行ラインではなく減速するコースの位置を、減速しないときに用いる色とは異なる色表示で知らせることにより走行に集中することを可能とするブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、プレイヤが行うアクセル,ハンドルおよびブレーキ操作による信号にしたがって画面上の車の動きを表示制御するゲーム装置において、プレイヤによって選択されるコースを所定の距離単位のステップで分割し、それぞれのステップに対し速度データを有するラインデータテーブルを格納する記憶部と、プレイ時の画面の一部にプレイヤの車が存在する位置を基準に所定範囲のコースを作成する縮小マップ作成手段と、プレイ開始後、前記記憶部のラインデータテーブルより各ステップの速度を読み出し、前段のステップの速度と次のステップの速度を比較し、つぎのステップの速度が減速であるか否かを判定する減速位置判定手段とを備え、前記縮小マップを画面の一部に表示し、縮小マップのコース上の、ステップ単位で減速すべき位置を、減速とならないステップに表示する色とは異なる色で表示することを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記色表示は、減速の程度が大きい程、濃度を大きして表示することを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記減速位置判定手段のステップ毎の判定は、プレイヤの車の位置の前方の所定範囲に入ったとき行うことを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項1,2または3記載の発明において前記減速を示す色表示は、赤色であり、減速とならないステップ部分を表示する色は、白色または赤色とは異なるコースを示すことを表示する色であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前記構成によれば、プレイヤは縮小マップを見てこの先のコースについて減速すべき位置を正確に知り、良好なタイミング(ブレーキすべきコース位置)でブレーキをすることができる。したがって、この縮小マップによって従来のレースゲームより的確なアクセルやブレーキ操作ができ、より速いラップなどを容易に出すことが可能となり、先のカーブや減速すべき場所を予め知ることができるため現在の車の位置(コースのアウト位置かイン位置かなど)や速度をどのようにすべきかの指針にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置の外観を示す斜視図である。
レースゲーム機1の正面に画像表示部7が、座席の前にはハンドル4,シフトレバー5がそれぞれ設置されている。さらに下部にはアクセルペダル6,ブレーキペダル8が設けられている。レースゲーム機1にはコイン投入部2が配置されている。座席前部の左右および後部の左右には合計で4個のスピーカが設置されている。
ゲーム中、図5に示すようにレース画面の左下に、プレイヤの車から所定範囲内のコースの位置に減速を示す赤色で表示される縮小マップが表示される。減速量に応じ赤色の濃度を変化させ、減速量が小さいと薄い赤色で、減速量が大きくなるとそれに従って濃度を増加させている。
【0009】
図2は、本発明によるブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置の回路の実施の形態を示すブロック図である。
コイン投入部2はコイン関連装置13に接続され、コイン関連装置13に投入したコインが収容され、そのデータが入出力制御装置14に送られる。操作部11はアクセルペダル,シフトレバー,ブレーキペダル,ハンドルなどを含んでおり、これら情報は入出力制御装置14に送られる。さらに決定ボタンなどがあり、その操作情報は同様に入出力制御装置14に送られる。入出力制御装置14は受信したデータをバス15を介してCPU12に送出する。ROM18にはレースゲームの制御および実行するプログラムおよび必要なデータが格納されており、RAM19はCPU12が演算,処理を行うときに作業エリアとして用いられる。RAM19は、またレースの履歴データ(走行中のフレーム毎のハンドル,アクセル,ブレーキ状態,位置,速度等)やHDDから読み込んだデータ(各コースのラインデータテーブル,コースデータなど)を一時的に保持する。
【0010】
サウンド処理部17ではCPU12からの指示により、BGMなどの音楽信号の出力処理がなされ、デモ時やゲーム中にスピーカから音楽などが流れる。
CPU12はROM18から読み込まれたプログラムにしたがってゲーム機全体を制御するとともにレースゲームを実行処理するゲーム制御部12a,プレイ中の画面の一部にプレイヤの車が存在する位置を基準に所定範囲のコースを作成する縮小マップ作成部12b,プレイ開始後、RAM19のラインデータテーブルより各ステップの速度を読み出し、前段のステップの速度と次のステップの速度を比較し、つぎのステップの速度が減速であるか否かを判定する減速位置判定部12cの機能を備えている。
【0011】
減速位置判定部12cの判定処理は、ゲーム開始時から行われ、コース前方の所定範囲のステップを含む位置まで行われる。
ゲーム制御部12aは、減速位置判定部12cで減速であると判定された場合、その速度差より赤色の濃度を決定し、縮小マップのコースの対応のステップ(位置)に決定した濃度の赤色を表示させるように画像処理部16に指示を送出する。
赤色の濃度について例えば濃度小→濃度大のレベルをA1〜A10までにしてレベル間の減速速度を2kmとした場合、前段のステップより減速6kmであれば、そのステップはA3の濃度の赤色で表示されることとなる。
【0012】
HDD20に格納されているコースデータは、各種コースを生成するためのコース素材データであり、例えばコースA〜Nを作るデータである。
また、HDD20に格納されているラインテーブルは各コースに対し、一定の距離(例えば1mごと)ごとに区分けし(区分けした部分を「ステップ」という)、コース全体の各ステップ(位置)に対し走行すべき速度を記録したテーブルである。
表1にこのラインデータテーブルの例を示す。
【表1】

【0013】
この表はステップ130から250までについて走行すべき速度を記録したもので、例えば、ステップ130には129.31km/hが、ステップ150には100.25km/hが、ステップ151には89.57km/hがそれぞれ記録されている。
ステップ151の1つ前のステップであるステップ150との速度差は−10.68km/hであり、ステップ151の縮小マップのコース位置に速度差の大きさに対応する濃度の赤色が表示される。またステップ150の1つ前のステップであるステップ149の速度差は+1.50km/hであり、ステップ150の縮小マップのコース位置は赤色表示されることはなく白色または通常のコースの色である淡い黄色となる。
【0014】
図3は、ゲームにおけるブレーキポイント縮小マップを表示する処理を説明するためのフローチャートである。
以下、図2,図3を用いてゲームの流れを説明する。なお、説明の簡略化のために個人認証のデータ入力に関する部分は省略する。
コイン投入部2からコインが投入されると、コイン関連装置13に収容されてコイン情報が入出力制御装置14を介してCPU12に送られる。CPU12のゲーム制御部12aはコイン投入により画像処理部16に画像情報を送出し画像表示部7にコース選択、車選択などの画面を表示する。プレイヤは操作部11により数種類の中からコース(初級,中級,上級など)および車種を選択する。これによりゲーム制御部12aは選択したコースのデータおよびそのラインデータテーブルをHDD20からRAM19に読み込む。
さらにコンピュータ相手か、他のレースゲーム機(図面には図示されていない)の相手を選択する操作を行い決定ボタンを押すことによりレースをスタートさせることができる。
【0015】
ゲーム制御部12aはゲーム開始の画面を画像処理部16を介して画像表示部7に表示する(S006)。プレイヤがプレイ開始の操作を行うと、レーススタートのカウントダウンが始まり、アクセルを踏み込むことにより車はスタートする。コースに応じハンドリング,アクセル,ブレーキングをプレイヤは行うこととなる(S007)。
縮小マップ作成部12bはプレイ開始時点よりプレイヤの車が存在する位置を基準に所定範囲のコースの縮小マップを作成する。減速位置判定部12cはプレイ開始から所定範囲のステップまで、1つ前のステップと今のステップとの速度比較を行い大小を判定することとなる。減速位置判定部12cは、最初のステップ1と2の速度をRAM19より読み込み、ステップ1と2の速度を比較し、速度の大小を判定する(S001,S002)。
【0016】
ゲーム制御部12aは前のステップの速度V2に対し現在の速度V1がV2>V1である場合には減速であるとして減速の変化量に対応する濃度の赤色で、縮小マップの対応のコースのステップ部分を表示する(S004)。一方、V2≦V1である場合(速度が変わらないか、または増加した)、コースを示すことを表示する色(淡い黄色など)や白色などで縮小マップの対応のコースのステップ部分を表示する(S003)
ついで、ゲーム制御部12aは、今のステップでの速度をCPU12内のメモリ部に記憶し(S005)、つぎのステップ3に進む(S006)。さらにゴール(コースの最後のステップ)か否かを判定し(S007)、ゴールであれば、ゲームを終了する。ゴールでなければ、S001に戻りつぎのステップの速度比較判定に移行する(S001〜S007)。
【0017】
ゲーム開始時から、このようなS001〜S007までの速度比較判定,描画の動作が行われて所定範囲のステップまで行われる。例えば、プレイヤの車の位置から80ステップ部分まで表示する縮小マップであれば、開始時に80ステップ部分まで速度比較判定,描画が行われ縮小マップに表示される。プレイヤの操作にしたがって車が進行すると、それに伴って縮小マップの所定範囲を表示するようにS001〜S007の処理が繰り返し行われる。
【0018】
図4は、ブレーキポイント縮小マップの表示例を説明するための図である。
縮小マップ25の中心位置にプレイヤの車が位置付けられるようにその前後のコース26が表示される。プレイヤの車から辺まで80ステップ分の大きさの4角形の縮小マップであり、減速ステップ部分は28a〜28eまでの5箇所であり、減速の大きさに対応して徐々に濃度が変わっていることが理解できる。減速ステップ部分28a〜28eがプレイヤにとっては減速ブレーキポイントとなり、プレイヤは色の濃度によってブレーキペダルの踏み具合を調整することができる。
【0019】
図5は、ブレーキポイント縮小マップを表示したプレイ中の画面例を示す図である。
この画面例はプレイヤの車29がコース30に表示されていて、背景画面はコース30の肉眼で見える範囲が表示されている。
左下に図4に示す縮小マップ25が表示されており、プレイヤはこの縮小マップ25を見て、先のブレーキポイントが表示されていないこの画面例のコース部分について減速すべき位置を知ることができる。濃度を変えて表示しているため、ブレーキを掛ける程度を容易に判断できる。その他に画面の右下にタコメータ31,現在のスピード32が表示されている。さらに画面の上部には現在までのラップ表示がなされ、右上にはトータルのタイムやチャンピオンのタイムなどが表示されている。
【0020】
本発明はこのような構成の縮小マップによってプレイヤに先のコース形状およびブレーキポイントを教えることができる。減速する部分を色の濃淡で表示することにより、予めつぎのカーブの部分で減速すべきであることを分かり易くでき、ゲーム中に「ブレーキ踏め」という指示を表示するなどして、さらに効果を高めることができる。なお、「ブレーキ踏め」などを画面中に表示した場合には、縮小マップのみの表示に比べて画面表示は複雑になることが予想される。
このような表示によってプレイヤは初めて走るコースが走りやすくなり、初心者も表示にしたがってブレーキを掛けることにより壁に激突する可能性が少なくなる。また、このような縮小マップによってコースの形状,カーブの曲率半径およびブレーキポイント,加速区間の関係が分かりやすくなる。
さらに走行後に走行時のデータからこの縮小マップのコース上の色分けデータを作成すすると、走行時の加速減速の状態を見ることができるので、手本となるデータと見比べることにより、上手に走行することができたかを判断することもできる。
【0021】
以上の実施の形態は減速部分の色表示として赤色を用いた例を示したが、他の色で表現してもよい。かかる場合は、減速しない部分の表示とは異なる色を用いることが必要である。また、特別の模様のパターンで表示し、減速の程度はパターンの表示密度を変えることによっても減速すべき部分を表示することができる。
また、縮小マップは、実施の形態では所定の範囲のステップを表示する四角形にしたが、形は四角形以外の他の形状であっても良い。
この実施の形態では減速すべき位置を色表示しているが、加速を示す位置を他の色で表示することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
アーケードゲームセンターなどに設置される相手と戦って勝敗を決めるレースゲームなどのTVゲーム装置である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明によるブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】ゲームにおけるブレーキポイント縮小マップを表示する処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】ブレーキポイント縮小マップの表示例を説明するための図である。
【図5】ブレーキポイント縮小マップを表示したプレイ中の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 レースゲーム機
2 コイン投入部
3 スピーカ
4 ハンドル
5 シフトレバー
6 アクセルペダル
7 画像表示部
8 ブレーキペダル
9 シート
10 決定ボタン
11 操作部
12 CPU
13 コイン関連装置
14 入出力制御装置
15 バス
16 画像処理部
17 サウンド処理部
18 ROM
19 RAM
20 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが行うアクセル,ハンドルおよびブレーキ操作による信号にしたがって画面上の車の動きを表示制御するゲーム装置において、
プレイヤによって選択されるコースを所定の距離単位のステップで分割し、それぞれのステップに対し速度データを有するラインデータテーブルを格納する記憶部と、
プレイ時の画面の一部にプレイヤの車が存在する位置を基準に所定範囲のコースを作成する縮小マップ作成手段と、
プレイ開始後、前記記憶部のラインデータテーブルより各ステップの速度を読み出し、前段のステップの速度と次のステップの速度を比較し、つぎのステップの速度が減速であるか否かを判定する減速位置判定手段とを備え、
前記縮小マップを画面の一部に表示し、縮小マップのコース上の、ステップ単位で減速すべき位置を、減速とならないステップに表示する色とは異なる色で表示することを特徴とするブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置。
【請求項2】
前記色表示は、減速の程度が大きい程、濃度を大きして表示することを特徴とする請求項1記載のブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置。
【請求項3】
前記減速位置判定手段のステップ毎の判定は、プレイヤの車の位置の前方の所定範囲に入ったとき行うことを特徴とする請求項1または2記載のブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置。
【請求項4】
前記減速を示す色表示は、赤色であり、減速とならないステップ部分を表示する色は、白色または赤色とは異なるコースを示すことを表示する色であることを特徴とする請求項1,2または3記載のブレーキポイント縮小マップを表示するゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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