説明

ブレーキランプ制御装置

【課題】急ブレーキに応じたブレーキランプの明るさ調整を実現できるブレーキランプ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキランプ制御装置1は、加速度センサ21から車輌の加速度を取得し、ブレーキ操作検出部22からブレーキ操作の有無に係る情報を取得し、ブレーキ操作がなされた場合にブレーキランプ2を点灯すると共に、車輌が閾値を超えて減速した場合にブレーキランプ2の輝度を増加させる。ブレーキランプ制御装置1は、PWM制御によりオルタネータ5及びバッテリ6からブレーキランプ2への電力供給を行うと共に、電圧計13にて検出したオルタネータ5及びバッテリ6の電圧に応じてPWM制御のデューティ比を算出する。またブレーキランプ制御装置1は、車輌の加速度に応じてデューティ比を増減することにより、ブレーキランプ2の輝度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のブレーキ操作に応じて、車輌の後部に設けられたブレーキランプの点灯制御を行うブレーキランプ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌の後部にはテールランプと一体又は別体でブレーキランプ(ストップランプ)が設けられている。ブレーキランプは、運転者が車輌のブレーキを操作した場合に点灯されるものであり、これにより車輌の停止又は減速を後続車輌へ通知することができ、追突事故などを未然に防ぐことができる。
【0003】
特許文献1においては、ブレーキペダルの踏み込みの強弱により変化する油圧を、ブレーキ油圧ラインに設けたオイルプレッシャーケージ内で電気抵抗の増減に変換し、オイルプレッシャーケージを介してブレーキランプに流れる電流値を変化させることによって、ブレーキペダルの踏み込みの強弱によりブレーキランプの照度を変化させることができ、急ブレーキ時にはブレーキランプの照度を高めて追突事故を未然に防止することができる自動車用ブレーキランプが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−232280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の自動車用ブレーキランプは、急ブレーキの有無を感知するために、油圧の変化を電気抵抗の増減に変換するオイルプレッシャーケージをブレーキ油圧ラインに設ける必要があり、車輌のコスト増大を招来するという問題がある。また近年においては、車輌のブレーキを油圧式から電気式(所謂、ブレーキバイワイヤ)に切り替えることが検討されており、電気式のブレーキを搭載した車輌では特許文献1の構成を適用することはできない。
【0006】
また、特許文献1に記載の自動車用ブレーキランプは、車輌の停車中に運転者がブレーキを強く踏み込んだ場合であっても、急ブレーキの時と同様に、ブレーキランプの照度を増加させるという問題がある。このため、ブレーキランプによる電力消費量が増大する虞があると共に、不必要な場面でのブレーキランプの照度増加が発生し、後続車輌に対して悪影響を与える虞がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コストの増大を抑制しつつ、急ブレーキに応じたブレーキランプの明るさ調整を実現でき、油圧式のブレーキを搭載しない車輌であっても利用可能なブレーキランプ制御装置を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的とするところは、車輌の停車中にブレーキランプの明るさを増加させるなど、不必要な場面における誤動作を防止することができ、急ブレーキを確実に判断してブレーキランプの明るさ調整を行うことができるブレーキランプ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るブレーキランプ制御装置は、車輌のブレーキに対する操作の有無を判定するブレーキ操作判定手段と、前記車輌の加速度を取得する加速度取得手段と、前記ブレーキが操作されたと前記ブレーキ操作判定手段が判定した場合に、前記車輌のブレーキランプを点灯させる制御を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記加速度取得手段が取得した加速度に応じて、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るブレーキランプ制御装置は、前記制御手段が、前記車輌が加速度閾値を超えて減速した場合に、前記車輌が加速度閾値を超えて減速していない場合と比較して、前記ブレーキランプを明るく点灯させるようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るブレーキランプ制御装置は、前記ブレーキに対する操作量を取得する操作量取得手段を更に備え、前記制御手段は、前記車輌が加速度閾値を超えて減速し、且つ、前記操作量取得手段が取得した前記ブレーキの操作量が操作量閾値を超えた場合に、前記車輌が加速度閾値を超えて減速していない場合又は前記ブレーキの操作量が操作量閾値を超えない場合と比較して、前記ブレーキランプを明るく点灯させるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るブレーキランプ制御装置は、前記制御手段が、電源からの電力を断続的に供給して前記ブレーキランプを点灯するようにしてあり、電力の供給/非供給の比率を調整することにより、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るブレーキランプ制御装置は、前記電源の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧に応じて、前記デューティ比を調整するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るブレーキランプ制御装置は、前記制御手段が、電源から前記ブレーキランプへ供給する電力の電圧値を調整することにより、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、車輌の運転者によるブレーキ操作がなされた場合に、車輌の加速度に応じてブレーキランプの明るさを調整する。急ブレーキ時に車輌は急激に減速するため、車輌の加速度(の絶対値)は大きく、急ブレーキでない通常のブレーキ時は加速度は小さい。よって、ブレーキランプ制御装置が車輌の加速度に応じてブレーキランプの明るさを調整することにより、ブレーキに対する運転者の踏み込み強度などを検出することなく、急ブレーキの際と、通常ブレーキの際とでブレーキランプの明るさを変更することができる。
【0016】
また、本発明においては、車輌が加速度閾値を超えて減速した場合に、ブレーキランプ制御装置はブレーキランプをより明るく点灯する。これにより、急ブレーキの際にブレーキランプをより明るく(高輝度で)点灯させることができるため、後続車輌に対する警告を効果的に行うことができる。
【0017】
また、本発明においては、ブレーキランプ制御装置がブレーキに対する運転者の操作量(ブレーキの踏み込み量)を取得して、車輌が加速度閾値を超えて減速し、且つ、ブレーキの操作量が操作量閾値を超えた場合に、ブレーキランプをより明るく点灯する。車輌の加速度のみでなく、ブレーキに対する操作量に応じてブレーキランプの明るさ調整を行うことによって、ブレーキランプ制御装置は急ブレーキの有無をより精度よく判断することができる。また、ブレーキの操作量に応じてのみブレーキランプの明るさを調整する構成と比較して、本発明の構成では、車輌の停車中におけるブレーキの踏み込みを急ブレーキと誤判断する虞がない。
【0018】
また、本発明においては、車輌のバッテリ又はオルタネータ等の電源からの電力を断続的にブレーキランプへ供給し、電力の供給/非供給の比率を調整することでブレーキランプの明るさ調整を行う。即ち、電源からの電力をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりブレーキランプへ供給し、デューティ比を調整することで、ブレーキランプの明るさ調整を行う。これにより、ブレーキランプによる電力消費量を低減することができると共に、ブレーキランプの明るさの増減を容易に実現できる。
【0019】
また、本発明においては、電源の電圧を取得して、取得した電源電圧に応じてPWM制御のデューティ比を調整することにより、ブレーキランプの明るさを調整する。これにより、例えばバッテリの電圧が低下した場合などにはデューティ比を高めて明るさの低下を防止するなど、電源電圧の変動に対して明るさが変動することを防止することができる。
【0020】
また、本発明においては、電源からブレーキランプへ供給する電力の電圧値を調整することによって、ブレーキランプの明るさ制御を行う。これによりブレーキランプの明るさの増減を簡単且つ確実に行うことができる。また電源電圧を昇圧する回路を用いることによって、ブレーキランプの明るさをより高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による場合は、ブレーキ操作がなされた場合に、車輌の加速度に応じてブレーキランプの明るさを調整する構成とすることにより、ブレーキに対する運転者の踏み込み強度などを検出する機構を備えることなく、急ブレーキに応じたブレーキランプの明るさ調整を実現できる。また油圧式のブレーキを搭載しない車輌であっても本発明は適用可能である。
【0022】
また本発明による場合は、車輌の加速度が閾値を超え、且つ、ブレーキの操作量が閾値を超えた場合に、ブレーキランプの明るさを増加させる構成とすることにより、車輌の停車中にブレーキランプの明るさを増加させるなどの不必要な場面における誤動作を防止することができ、急ブレーキの有無をより精度よく判断してブレーキランプの明るさ調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るブレーキランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るブレーキランプ制御装置が行うブレーキランプの輝度調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1の変形例に係るブレーキランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置が行うブレーキランプの輝度調整を説明するための模式図である。
【図6】実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置が行うブレーキランプの輝度調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るブレーキランプ制御装置の構成を示すブロック図である。図において1は、車輌(図示は省略する)の後部に設けられたブレーキランプ2の点灯/消灯及び点灯時の輝度(明るさ)を制御するブレーキランプ制御装置である。ブレーキランプ2は、車輌の運転席に設けられたブレーキペダルに対する運転者の踏み込み操作が行われた場合に点灯されるランプであり、自車輌が停車又は減速することを後続車輌へ警告するためのランプである。
【0025】
ブレーキランプ制御装置1は、車輌に搭載されたオルタネータ5及びバッテリ6等の電源からブレーキランプ2への電力供給経路中に配されており、電源からブレーキランプ2への電力の供給/非供給の切り替え、及び電力の供給量の制御を行うことによって、ブレーキランプ2の点灯制御を行う。オルタネータ5は、車輌のエンジン(図示は省略する)の動作に伴って発電を行う発電器である。またバッテリ6は、オルタネータ5が発電した電力を蓄積するものであり、車輌のエンジン停止時にはブレーキランプ2及びその他の車載機器へ蓄積した電力を供給する。
【0026】
ブレーキランプ制御装置1は、加速度センサ21及びブレーキ操作検出部22から与えられる情報に応じてブレーキランプ2の点灯制御を行っている。加速度センサ21は、車輌の適所に配設され、車輌に加わるか速度を検出するセンサであり、検出した加速度をブレーキランプ制御装置1へ通知する。
【0027】
ブレーキ操作検出部22は、車輌の運転席の足元に配されたブレーキペダルに対するブレーキ操作(踏み込み操作)を検出するものであり、検出結果をブレーキランプ制御装置1へ通知する。ブレーキ操作検出部22は、ブレーキペダルに対するブレーキ操作がなされたか否か(即ち、ブレーキのオン/オフ)を検出するが、ブレーキペダルに対する操作量(踏み込み量)を検出するものではない。このため、ブレーキ操作検出部22は、単純な一接点のスイッチなどを用いて実現することができ、スイッチのオン/オフ状態をブレーキランプ制御装置1へ出力する構成とすればよい。
【0028】
またブレーキランプ制御装置1は、制御部11、電力供給切替部12及び電圧計13等を備えて構成されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置、及びRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等のメモリ素子等を有して構成されており、ブレーキランプ2に係る種々の演算処理及び電力供給切替部12の動作の制御処理を行う。
【0029】
電力供給切替部12は、制御部11から与えられる制御信号に応じてオルタネータ5及びバッテリ6の電源からブレーキランプ2への電力の供給/非供給を切り替えるものである。電力供給切替部12は、例えば電源及びブレーキランプ2間の電力供給経路中に配されたスイッチング素子などにより実現され、制御部11からの制御信号に応じてスイッチング素子のオン/オフを切り替えて電力供給経路の接続/遮断を行うことにより、電力の供給/非供給を切り替えることができる。電圧計13は、オルタネータ5及びバッテリ6の電源の出力電圧を測定し、測定結果の電圧値を制御部11へ通知する。
【0030】
ブレーキランプ制御装置1の制御部11には、電圧計13が測定した電源の出力電圧値と、加速度センサ21が検出した車輌の加速度と、ブレーキ操作検出部22によるブレーキ操作の検出結果とが入力されており、これらの情報に基づいてブレーキランプ2の点灯制御を行っている。以下に、ブレーキランプ制御装置1が行うブレーキランプ2の制御について詳細に説明する。
【0031】
ブレーキランプ制御装置1の制御部11は、ブレーキ操作検出部22からの入力情報に応じてブレーキペダルに対するブレーキ操作の有無を判定し、ブレーキ操作がなされた場合にはブレーキランプ2を点灯させ、ブレーキ操作がなされていない場合にはブレーキランプ2を消灯させる制御を行う。このとき制御部11は、電圧計13が測定した電源の出力電圧値に応じたデューティ比のパルス信号を制御信号として電力供給切替部12へ出力する。電力供給切替部12は、制御部11から与えられた制御信号に応じて電源からランプ2への電力供給経路の接続/遮断(スイッチング素子のオン/オフ)を行うことによって、デューティ比に応じた電力供給量にて、即ちデューティ比に応じた輝度にてブレーキランプ2を点灯させる。
【0032】
ブレーキランプ制御装置1による制御信号のデューティ比に応じたブレーキランプ2の点灯制御は、所謂PWM方式の制御方法である。このとき制御部11が出力する制御信号のデューティ比は、下記の(式1)にて算出することができる。なお(式1)において、変数Vは電圧計13が測定した電源の出力電圧値であり、Vaは定数である。
デューティ比 = (Va/V)2 …(式1)
【0033】
制御部11が(式1)にて算出されるデューティ比の制御信号を出力することにより、電源の出力電圧値が変動した場合であっても、ブレーキランプ2へはVa[V]の直流電圧印加に相当する電力が安定して供給される。即ち、電圧計13が検出する出力電圧値Vが減少した場合には、制御部11が出力する制御信号のデューティ比が増加し、また、出力電圧値Vが増加した場合には、制御信号のデューティ比が減少するため、ブレーキランプ2への供給電力量が略一定に保たれる。例えばVa=12に設定された場合、電源の出力電圧値の変動の影響を受けることなく、ブレーキランプ2は12Vの直流電圧が印加された場合と同等の輝度で点灯する。
【0034】
また、ブレーキランプ制御装置1の制御部11は、加速度センサ21が検出した車輌の加速度から、車輌が閾値(加速度閾値)を超えて減速したか否かを判定することにより、急ブレーキの有無を判定する。なお、加速度センサ21が検出する加速度には、車輌が加速する場合の加速度と、減速する場合の加速度とが含まれる。加速度センサ21の検出結果が加速の方向を含む場合、即ち車輌の加速時の加速度をプラスとし、減速時の加速度をマイナスとして加速度センサ21が検出結果を出力する場合、制御部11は、マイナス値の閾値と加速度センサ21が検出した加速度とを比較し、加速度が閾値を下回った場合に急ブレーキありと判定することができる。又は、制御部11は、加速度センサ21が検出した加速度の絶対値とプラス値の閾値とを比較し、加速度の絶対値が閾値を超えた場合に急ブレーキありと判定することができる。また、加速度センサ21の検出結果が加速の方向を含まない場合、即ち車輌の加速時であっても減速時であっても加速度センサ21が加速度の大きさをプラス値として出力する場合、制御部11は加速度センサ21が検出した加速度とプラス値の閾値とを比較し、加速度が閾値を超えた場合に急ブレーキありと判定することができる。
【0035】
上記のいずれの構成であって、ブレーキランプ制御装置1の制御部11は、加速度センサ21が検出した加速度に基づいて、加速度と閾値との比較を行うことにより、車輌が閾値を超えて減速したか否かを判定することができ、これに応じて急ブレーキの有無を判定することができる。
【0036】
制御部11は、急ブレーキなしと判定した場合にブレーキランプ2を通常輝度で点灯し、急ブレーキありと判定した場合にはブレーキランプ2の輝度を増加させる。ここで通常輝度での点灯とは、上述の(式1)において例えば定数Va=10に設定し、10Vの直流電圧を印加した場合と同等の輝度でランプ2を点灯させるものとする。また、輝度を増加させる場合には、(式1)において定数Vaを通常輝度ものより高い値(例えばVa=12)に設定するものとする。
【0037】
図2は、本発明に係るブレーキランプ制御装置1が行うブレーキランプ2の輝度調整処理の手順を示すフローチャートであり、ブレーキランプ制御装置1の制御部11が行う処理である。ブレーキランプ制御装置1の制御部11は、まず、ブレーキ操作検出部22からの入力情報を取得して、車輌のブレーキペダルに対するブレーキ操作がなされたか否かを判定し(ステップS1)、ブレーキ操作がなされていないと判定した場合には(S1:NO)、ブレーキランプを消灯状態として(ステップS2)、ステップS1へ処理を戻し、ブレーキ操作がなされるまで待機する。
【0038】
ブレーキ操作がなされたと判定した場合(S1:YES)、制御部11は、電圧計13が検出する電源の電圧Vを取得し(ステップS3)、加速度センサ21が検出する車輌の加速度を取得する(ステップS4)。次いで、制御部11は、ステップS4にて取得した車輌の加速度に基づいて、車輌が閾値を超えて減速したか否かを判定する(ステップS5)。
【0039】
車輌が閾値を超えて減速した場合(S5:YES)、制御部11は、急ブレーキありと判断し、ステップS3にて取得した電源電圧Vを用いて、デューティ比=(12/V)2 の算出を行い(ステップS6)、算出したデューティ比の制御信号を電力供給切替部12へ出力することによって、輝度を増してブレーキランプ2を点灯させ(ステップS8)、処理を終了する。
【0040】
また、車輌が閾値を超えて減速していない場合(S5:NO)、制御部11は、急ブレーキなしと判断し、ステップS3にて取得した電源電圧Vを用いて、デューティ比=(10/V)2 の算出を行い(ステップS7)、算出したデューティ比の制御信号を電力供給切替部12へ出力することによって、通常輝度にてブレーキランプ2を点灯させ(ステップS8)、処理を終了する。なお、制御部11は、上述のステップS1〜S8の処理を繰り返し行っている。
【0041】
以上の構成のブレーキランプ制御装置1においては、ブレーキ操作がなされた場合にブレーキランプ2を点灯すると共に、加速度センサ21が検出する車輌の加速度に応じてブレーキランプ2の輝度を調整する構成とすることにより、ブレーキペダルの操作量を検出する機構を備えることなく、ブレーキランプ制御装置1が車輌の急ブレーキの有無を判定でき、急ブレーキの際と、通常ブレーキの際とでブレーキランプ2の輝度を変更することができる。またブレーキランプ制御装置1は、急ブレーキありと判定した場合にブレーキランプ2の輝度を増加させる構成とすることにより、後続車輌に対する警告を効果的に行うことができる。
【0042】
また、ブレーキランプ制御装置1は、オルタネータ5及びバッテリ6の電圧を電圧計13にて検出し、検出した電圧に応じて(式1)によるデューティ比を算出し、算出したデューティ比の制御信号を制御部11から電力供給切替部12へ出力してブレーキランプ2の輝度を調整する構成とすることにより、ブレーキランプ2の点灯に伴う消費電力の低減を実現できると共に、電源の電圧変動に対してブレーキランプ2の輝度が変動することを防止できる。
【0043】
なお、本実施の形態においては、急ブレーキの際にブレーキランプ2を12Vの直流電圧を印加した場合と同等の輝度で点灯し、通常ブレーキの際にブレーキランプ2を10Vの直流電圧を印加した場合と同等の輝度で点灯する構成、即ち急ブレーキ時に定数Va=12Vに設定し、通常ブレーキ時に定数Va=10Vに設定して(式1)によるデューティ比の算出を行う構成としたが、12V及び10Vの数値は一例であって、これに限るものではない。また、ブレーキランプ制御装置1がブレーキランプ2の輝度を2段階で増減する構成としたが、これに限るものではなく、車輌の加速度に応じて多段階で輝度の増減を行う構成としてもよい。
【0044】
また、加速度センサ21を用いて車輌の加速度を検出する構成としたが、これに限るものではなく、車輌の走行速度を速度センサにより検出し、検出した速度の変化率(微分値)を算出して加速度を取得する構成としてもよい。また、車輌のブレーキランプ2がテールランプと共通のランプを用いるものであってもよく、この場合には、ブレーキランプ制御装置1は、運転者によるランプの点灯スイッチのオン操作に応じてランプを第1輝度で点灯し、通常ブレーキの際にランプを第2輝度(>第1輝度)で点灯し、急ブレーキの際にランプを第3輝度(>第2輝度)に増加させる構成とすればよい。
【0045】
(変形例)
図3は、本発明の実施の形態1の変形例に係るブレーキランプ制御装置1aの構成を示すブロック図である。変形例に係るブレーキランプ制御装置1aは、上述の実施の形態1に係るブレーキランプ制御装置1が備える電力供給切替部12に代えて、DC/DCコンバータ12aを備えている。DC/DCコンバータ12aは、オルタネータ5及びバッテリ6の電源から入力された直流電力を、制御部11aの制御に応じた電圧値の直流電力に変換してブレーキランプ2へ供給するものである。
【0046】
制御部11aは、電圧計13が測定した電源の電圧値、加速度センサ21が検出した車輌の加速度、及びブレーキ操作検出部22の検出結果に応じて、DC/DCコンバータ12aの出力電圧値を決定する。このとき制御部11aは、出力電圧値を車輌の加速度に応じて12V又は10V等に決定することができ、決定した出力電圧値の直流電力を出力するように、DC/DCコンバータ12aへ制御信号を与えてその動作を制御する。
【0047】
また制御部11aは、電圧計13が測定した電圧値(DC/DCコンバータ12aへの入力電圧値に相当する)に応じて、DC/DCコンバータ12aの制御を行う。即ち制御部11aは、電源の電圧値が変動した場合であっても、DC/DCコンバータ12aの出力電圧値が変動しないように、DC/DCコンバータ12aの制御を行う。
【0048】
このように、変形例に係るブレーキランプ制御装置1aは、DC/DCコンバータ12aを用いてブレーキランプ2の点灯制御及び輝度調整を行う構成であるが、実施の形態1に係るブレーキランプ制御装置1と同様の点灯制御及び輝度調整を行うことができ、同様の効果を得ることができる。
【0049】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201は、実施の形態1に係るブレーキランプ制御装置1に、ブレーキ操作量検出部223が検出するブレーキ操作量に応じたブレーキランプ2の輝度調整機能を追加した構成である。
【0050】
上述の実施の形態1にて用いたブレーキ操作検出部22は、単に車輌のブレーキペダルに対する操作の有無を検出するのみであるが、実施の形態2にて用いるブレーキ操作量検出部223は、ブレーキペダルに対する操作の有無のみでなく、ブレーキペダルに対する操作量(踏み込み量など)を検出することができ、検出結果をブレーキランプ制御装置201の制御部211へ通知する。
【0051】
ブレーキランプ制御装置201の制御部211は、ブレーキ操作量検出部223からの入力情報に応じて(例えばブレーキ操作量が0であるか否かに応じて)、車輌のブレーキペダルに対するブレーキ操作の有無を判定することができる。制御部211は、ブレーキ操作がなされた場合にはブレーキランプ2を点灯させ、ブレーキ操作がなされていない場合にはブレーキランプ2を消灯させる制御を行う。このとき制御部211は、電圧計13が測定した電源の出力電圧値に応じて(式1)によりデューティ比を算出し、算出したデューティ比のパルス信号を制御信号として電力供給切替部12へ出力する。
【0052】
また、制御部211は、加速度センサ21が検出した車輌の加速度及びブレーキ操作量検出部223が検出したブレーキペダルの操作量から急ブレーキの有無を判定して、急ブレーキの有無に応じたブレーキランプ2の輝度調整を行う。
【0053】
図5は、実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201が行うブレーキランプ2の輝度調整を説明するための模式図であり、車輌の加速度及びブレーキペダルの操作量と、ブレーキランプ2の輝度との対応関係を示してある。ブレーキランプ制御装置201の制御部211は、加速度センサ21が検出した車輌の加速度と閾値(加速度閾値)との比較を行うと共に、ブレーキ操作量検出部223が検出したブレーキペダルの操作量と閾値(操作量閾値)との比較を行う。なお、本図においては、車輌の加速度の絶対値と閾値との比較を行って大小を判定しており、加速度が大きいとは、車輌が閾値を超えた減速を行っている状態をいうものとする。
【0054】
車輌の加速度が閾値より大きく、且つ、ブレーキペダルの操作量が閾値より大きい場合、制御部211は、急ブレーキであると判定し、ブレーキランプ2を高輝度(例えば(式1)においてVa=12V)で点灯する。それ以外の場合、即ち、車輌の加速度が閾値より小さいか、又は、ブレーキペダルの操作量が閾値より小さい場合、制御部211は、急ブレーキでないと判定し、ブレーキランプ2を低輝度(例えば(式1)においてVa=10V)で点灯する。
【0055】
図6は、実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201が行うブレーキランプ2の輝度調整処理の手順を示すフローチャートであり、ブレーキランプ制御装置201の制御部211が行う処理である。ブレーキランプ制御装置201の制御部211は、まず、ブレーキ操作量検出部223が検出するブレーキペダルの操作量を取得し(ステップS31)、取得した操作量に基づいて、ブレーキ操作がなされたか否かを判定する(ステップS32)。ブレーキ操作がなされていないと判定した場合(S32:NO)、制御部211は、ブレーキランプを消灯状態として(ステップS33)、ステップS31へ処理を戻し、ブレーキ操作がなされるまで上述の処理を繰り返し行って待機する。
【0056】
ブレーキ操作がなされたと判定した場合(S32:YES)、制御部211は、電圧計13が検出する電源の電圧Vを取得し(ステップS34)、加速度センサ21が検出する車輌の加速度を取得する(ステップS35)。次いで、制御部211は、ステップS31にて取得したブレーキペダルの操作量が閾値を超えるか否かを判定する(ステップS36)。操作量が閾値を超える場合(S36:YES)、制御部211は、ステップS35にて取得した車輌の加速度に基づいて、車輌が閾値を超えて減速したか否かを判定する(ステップS37)。
【0057】
車輌が閾値を超えて減速した場合(S37:YES)、制御部211は、急ブレーキありと判断し、ステップS34にて取得した電源電圧Vを用いて、デューティ比=(12/V)2 の算出を行い(ステップS38)、算出したデューティ比の制御信号を電力供給切替部12へ出力することによって、輝度を増してブレーキランプ2を点灯させ(ステップS40)、処理を終了する。
【0058】
また、ブレーキペダルの操作量が閾値を超えていない場合(S36:NO)、又は、車輌が閾値を超えて減速していない場合(S37:NO)、制御部211は、急ブレーキなしと判断し、ステップS34にて取得した電源電圧Vを用いて、デューティ比=(10/V)2 の算出を行い(ステップS39)、算出したデューティ比の制御信号を電力供給切替部12へ出力することによって、通常輝度にてブレーキランプ2を点灯させ(ステップS40)、処理を終了する。なお、制御部211は、上述のステップS31〜S40の処理を繰り返し行っている。
【0059】
以上の構成の実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201は、車輌のブレーキ(ブレーキペダル)に対する運転者の操作量(踏み込み量)を取得して、車輌の加速度が閾値より大きく、且つ、ブレーキの操作量が閾値より大きい場合に、ブレーキランプ2の輝度を増加させる。車輌の加速度のみでなく、ブレーキの操作量に応じてブレーキランプ2の輝度調整を行う構成とすることによって、ブレーキランプ制御装置201は、急ブレーキの有無をより精度よく判定することができ、ブレーキランプ2の輝度調整を精度よく行うことができる。車輌の停車中に運転者がブレーキペダルを強く踏み込んでいる状態などであっても、ブレーキランプ制御装置201はこの状態を急ブレーキと判断することはなく、ブレーキランプ2の輝度を増加させることはない。
【0060】
なお、実施の形態2に係るブレーキランプ制御装置201のその他の構成は、実施の形態1に係るブレーキランプ制御装置1の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0061】
1、1a ブレーキランプ制御装置
2 ブレーキランプ
5 オルタネータ
6 バッテリ
11 制御部(ブレーキ操作判定手段、加速度取得手段、制御手段)
12 電力供給切替部
12a DC/DCコンバータ
13 電圧計(電圧検出手段)
21 加速度センサ
22 ブレーキ操作検出部
201 ブレーキランプ制御装置
211 制御部(ブレーキ操作判定手段、加速度取得手段、制御手段、操作量取得手段)
223 ブレーキ操作量検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌のブレーキに対する操作の有無を判定するブレーキ操作判定手段と、
前記車輌の加速度を取得する加速度取得手段と、
前記ブレーキが操作されたと前記ブレーキ操作判定手段が判定した場合に、前記車輌のブレーキランプを点灯させる制御を行う制御手段と
を備え、
該制御手段は、前記加速度取得手段が取得した加速度に応じて、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあること
を特徴とするブレーキランプ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車輌が加速度閾値を超えて減速した場合に、前記車輌が加速度閾値を超えて減速していない場合と比較して、前記ブレーキランプを明るく点灯させるようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載のブレーキランプ制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキに対する操作量を取得する操作量取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記車輌が加速度閾値を超えて減速し、且つ、前記操作量取得手段が取得した前記ブレーキの操作量が操作量閾値を超えた場合に、前記車輌が加速度閾値を超えて減速していない場合又は前記ブレーキの操作量が操作量閾値を超えない場合と比較して、前記ブレーキランプを明るく点灯させるようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載のブレーキランプ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、電源からの電力を断続的に供給して前記ブレーキランプを点灯するようにしてあり、電力の供給/非供給の比率を調整することにより、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のブレーキランプ制御装置。
【請求項5】
前記電源の電圧を検出する電圧検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧に応じて、前記デューティ比を調整するようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載のブレーキランプ制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、電源から前記ブレーキランプへ供給する電力の電圧値を調整することにより、前記ブレーキランプの明るさを調整するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のブレーキランプ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−68295(P2011−68295A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222651(P2009−222651)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】