説明

ブレ補正装置、ブレ補正方法及び帳票

【課題】PSFを用いて画像のブレを補正する場合に、比較的少ない演算量で、かつ、簡易な構成で、かつ、容易な操作で、高精度のブレ補正を行うことができるブレ補正装置を提供すること。
【解決手段】ブレ補正装置100は、撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出部102と、PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出部104と、PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出部105と、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成部106と、基準となる推定用マーカ画像とそれに対応する撮影画像中の推定用マーカ画像とを用いてPSFを推定するPSF算出部108と、推定されたPSFを用いて撮影画像のブレを補正するブレ補正部109と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレ補正装置、ブレ補正方法及び帳票に関し、特にPSF(Point Spread Function;点拡がり関数)を用いて画像のブレ(より正確にはブレにより生じた画像のボケ)を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ付き携帯端末で伝票や領収書等の帳票等を撮影し、撮影画像を画像認識するような装置がある。この種の装置では、撮影時の手ブレ等によって画像ブレが生じるので、画像ブレを補正する機能を有するものが多い。
【0003】
このような静止画の画像ブレを画像処理によって補正する方法として、PSF(Point Spread Function;点拡がり関数)を用いる技術が知られている。PSFとは、ボケ方を表す関数である。ブレた撮影画像にPSFを逆畳込みすることで、ブレる前の鮮鋭な画像を復元することができる。
【0004】
PSFの推定方法として、Blind Deconvolution法がある。Blind Deconvolution法は、鮮鋭な自然画像が有する特徴(勾配分布)を仮定し、この仮定を満たす尤もらしい復元画像とPSFとを、入力画像のみから確率統計的に導出する方法である。Blind Deconvolution法の欠点は、演算量が膨大である点と、推定PSFの精度が低く、入力画像に対するロバスト性が低い点である。
【0005】
そこで、付加的なセンサを用いる方法が考えられる。この方法は、カメラにジャイロセンサを付加し、ジャイロセンサを用いて露光期間中のカメラの動き情報を取得することによりブレの軌跡を生成し、このブレの軌跡をPSFとして推定する方法である。
【0006】
さらに、PSFを用いた画像ブレの補正方法として、特許文献1で開示された方法がある。その方法は、エッジの理想画像と実写画像とを用いる方法である。その概要を説明する。特許文献1では、据置型指掌紋画像入力装置を対象とし、パターンが既定のエッジ画像を撮影して生成した実エッジデータと、理想エッジ画像から生成した理想エッジデータとから、装置固有のPSFを推定する。次に、推定したPSFを基に、入力指掌紋画像を逆畳込みフィルタで補正することで、装置による個体差の影響のない鮮鋭な画像を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−40146号公報
【特許文献2】特開平4−14960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ジャイロセンサなどの外部センサを用いた場合、カメラにセンサを搭載する必要があるので、その分だけ構成が複雑化する欠点がある。また、推定PSFの誤差が大きくなる(得られるブレの軌跡は線分を連接した形状となり、線の太さ情報がないため実際のPSFとの誤差が大きくなる)といった欠点もある。
【0009】
また、特許文献1で開示された技術は、撮影対象とカメラの位置関係を固定する必要があるため、手持ちカメラのブレ補正には適用が困難な欠点がある。また、パターンがエッジに限定されている実エッジ画像の撮影を前提としているので、そのためのユーザ操作が必要であり、また、本撮影とは別に、PSF推定のための撮影ステップが必要である。よって、撮影に手間がかかる欠点がある。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、PSFを用いて画像のブレを補正する場合に、比較的少ない演算量で、かつ、簡易な構成で、かつ、容易な操作で、高精度のブレ補正を行うことができるブレ補正装置、ブレ補正方法及び帳票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のブレ補正装置の一つの態様は、レイアウトマーカとPSF推定用マーカとが含まれる撮影画像を入力する画像入力部と、前記撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出部と、レイアウトマーカの情報を保持するマーカ情報保持部と、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出部と、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出部と、前記推定用マーカサイズ算出部によって得られたPSF推定用マーカの大きさに基づいて、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成部と、前記推定用マーカ位置算出部によって得られたPSF推定用マーカの位置に基づいて、前記推定用マーカ基準画像生成部によって得られた基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカの画像と、の位置を対応付ける推定用マーカ位置対応付け部と、前記推定用マーカ位置対応付け部によって対応付けられた、前記基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカ画像と、を用いて、PSFを推定するPSF推定部と、推定されたPSFを用いて、前記撮影画像のブレを補正するブレ補正部と、を具備する。
【0012】
本発明のブレ補正方法の一つの態様は、レイアウトマーカとPSF推定用マーカとが含まれる撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出ステップと、検出されたレイアウトマーカを基に、前記PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出ステップと、検出されたレイアウトマーカを基に、前記PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出ステップと、検出されたPSF推定用マーカの大きさに基づいて、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成ステップと、算出されたPSF推定用マーカの位置に基づいて、生成された基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカの画像と、の位置を対応付ける推定用マーカ位置対応付けステップと、対応付けられた、前記基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカ画像と、を用いて、PSFを推定するPSF推定ステップと、推定されたPSFを用いて、前記撮影画像のブレを補正するブレ補正ステップと、を含む。
【0013】
本発明の帳票の一つの態様は、読取枠と、前記読取枠内に設けられた文字記入欄と、前記読取枠内で、かつ、文字記入欄を挟む位置に形成された第1及び第2のレイアウトマーカと、前記読取枠内で、かつ、前記第1及び第2のレイアウトマーカの間に形成されたPSF推定用マーカと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、PSFを用いて画像のブレを補正する場合に、比較的少ない演算量で、かつ、簡易な構成で、かつ、容易な操作で、高精度のブレ補正を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態によるブレ補正の様子を示す図
【図2】実施の形態の処理の概要を示す図である
【図3】実施の形態のブレ補正装置の基本構成を示すブロック図
【図4】ブレ補正装置によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図5】実施の形態の帳票の構成例を示す図
【図6】推定用マーカ位置算出部によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図7】撮影画像から算出するレイアウトマーカ間距離の説明に供する図
【図8】マーカ情報保持部から読み出される、帳票のレイアウト情報を示す図
【図9】推定用マーカサイズ算出部によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図10】マーカ情報保持部から読み出される、PSF推定用マーカ情報の説明に供する図
【図11】推定用マーカ基準画像生成部によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図12】PSF推定用マーカの基準画像(マーカ形状が円の場合)の描画例を示す図
【図13】PSF算出部の構成例を示すブロック図
【図14】変形例によるブレ補正装置によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図15】応用構成1のブレ補正装置を示すブロック図
【図16】応用構成1のブレ補正装置によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図17】帳票レイアウト座標系で表された代表点の座標情報を示す図
【図18】PSF推定用マーカ領域の算出処理手順を示すフローチャート
【図19】PSF推定用マーカの基準画像の生成処理手順を示すフローチャート
【図20】マーカ情報保持部から読み出すPSF推定用マーカ情報を示す図
【図21】PSF推定用マーカの基準画像(マーカ形状が円の場合)の描画例を示す図
【図22】応用構成2のブレ補正装置を示すブロック図
【図23】応用構成2で用いられる帳票の構成例を示す図
【図24】応用構成2のブレ補正装置による処理の様子を示す図
【図25】応用構成3のブレ補正装置を示すブロック図
【図26】逆畳込みにより得られる1次元のPSFデータを示す図
【図27】2次元データに拡張された推定PSFデータを示す図
【図28】応用構成3のブレ補正装置によって行われる処理手順を示すフローチャート
【図29】推定用罫線位置算出処理手順を示すフローチャート
【図30】マーカ情報保持部から読み出されるレイアウト情報の例を示す図
【図31】推定用罫線太さ算出処理手順を示すフローチャート
【図32】推定用罫線断面の基準画像の生成処理手順を示すフローチャート
【図33】応用構成4で用いる帳票の構成例を示す図
【図34】応用構成4のブレ補正装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[1]原理
先ず、本実施の形態の原理について説明する。図1は、本実施の形態によるブレ補正の様子を示す図である。本実施の形態では、図1Aに示すようなブレ(ボケと言ってもよい)のある静止画から、図1Bに示すような鮮鋭な静止画を得る。
【0018】
図2は、本実施の形態の処理の概要を示す図である。本実施の形態では、撮影対象が帳票である場合を例とする。つまり、撮影画像は帳票を撮影したものである。但し、本実施の形態のブレ補正対象は、帳票の撮影画像に限らない。よって、以下の説明において「帳票」と記載した箇所は、「読取対象」と読み替えてもよい。
【0019】
本実施の形態では、帳票に以下の加工が施される。
【0020】
・撮影画像内での位置関係を取得するための既知パターン(レイアウトマーカ)α1、α2が印刷されている。レイアウトマーカα1、α2は、位置の離れた2つのマーカで構成されている。レイアウトマーカα1、α2の形状は、特に限定されるものではないが、カメラによって確実に読み取ることができるようなサイズを有し、かつ、パターン認識がし易い形状であることが好ましい。
【0021】
・PSFを推定するための既知パターン(PSF推定用マーカ)β1が印刷されている。PSF推定用マーカβ1の形状は、特に限定されるものではないが、丸、三角形、四角形、多角形などの閉じた図形であることが好ましい。なお、後述するが、PSF推定用マーカβ1は、レイアウトマーカα1、α2で兼用してもよく、読取枠等の罫線で兼用してもよい。
【0022】
帳票における各マーカの配置例については、後で詳しく説明する(図5)。
【0023】
次に、ブレ補正処理の概要を説明する。ブレ補正処理は、以下の順で行われる。
<1> 撮影画像からレイアウトマーカα1、α2を検出する。
【0024】
<2> レイアウトマーカα1、α2の位置から、PSF推定用マーカβ1の位置と大きさを導出する。ここで、実際の帳票上での、レイアウトマーカα1、α2とPSF推定用マーカβ1の位置関係、及び、大きさの関係は、ボケ補正装置において既知であるものとする(つまり、これらの情報はボケ補正装置に予め記憶されている)。
【0025】
<3> PSF推定用マーカβ1が含まれる小領域を撮影画像から切出す。
【0026】
<4> PSF推定用マーカβ1についてのボケの無い画像を、上記<2>で導出した情報を基に生成する。ここで、PSF推定用マーカβ1の形状は、ボケ補正装置において既知であるものとする(つまり、この情報はボケ補正装置に予め記憶されている)。図2の例では、PSF推定用マーカβ1の形状は円であり、その半径の情報は上記<2>で得られた情報を用いる。
【0027】
<5> 上記<3>、<4>で得たPSF推定用マーカ画像2枚を用いて、逆畳込み演算を行うことで、PSFを推定する。
【0028】
<6> 推定PSFを用いて、Non-blind法による逆畳込み演算を行うことで、撮影画像全体もしくは関心のある領域画像のブレを補正して、ブレ補正画像を得る。
【0029】
[2]基本構成
図3に、本実施の形態のブレ補正装置の基本構成を示す。
【0030】
ブレ補正装置100は、画像入力部101にブレ補正の対象となる画像を入力する。画像入力部101は、フレームメモリを有し、図1Aに示したような帳票類の被写体を撮影した撮影画像を入力し、フレーム単位で格納する。
【0031】
レイアウトマーカ検出部102は、画像入力部101に格納された画像から、形状が既定であるレイアウトマーカα1、α2を探索する。レイアウトマーカα1、α2の探索方法としては、パターン検出等の公知の方法を利用すればよい。例えば、テンプレートマッチング、特徴点マッチングによって撮像画像中のレイアウトマーカα1、α2を検出する。
【0032】
マーカ情報保持部103は、レイアウトマーカα1、α2及びPSF推定用マーカ(以下、PSF推定用マーカを単に推定用マーカと呼ぶ)βに関する、大きさ、位置関係、形状などの情報を保持している。
【0033】
推定用マーカ位置算出部104は、レイアウトマーカ検出部102によって検出されたレイアウトマーカα1、α2と、マーカ情報保持部103によって保持されているマーカ情報とから、推定用マーカβの位置を算出する。この推定用マーカ位置の算出については、後で詳しく説明する。
【0034】
推定用マーカサイズ算出部105は、レイアウトマーカ検出部102によって検出されたレイアウトマーカα1、α2と、推定用マーカ位置算出部104によって算出された推定用マーカβの位置と、マーカ情報保持部103によって保持されているマーカ情報とから、推定用マーカβのサイズを算出する。この推定用マーカサイズの算出については、後で詳しく説明する。
【0035】
推定用マーカ基準画像生成部106は、推定用マーカ位置算出部104によって算出された推定用マーカβの位置と、推定用マーカ位置サイズ算出部105によって算出された推定用マーカβのサイズと、マーカ情報保持部103によって保持されている推定用マーカβの形状とから、推定用マーカβの基準画像を生成する。この推定用マーカβの基準画像生成処理については、後で詳しく説明する。
【0036】
推定用マーカ位置対応付け部107は、推定用マーカ位置算出部104によって算出された推定用マーカβの位置に基づいて、撮影画像中の推定用マーカの位置を対応付けて、切出す。具体的には、推定用マーカ位置対応付け部107は、PSF推定用マーカβの位置及び大きさを基に、PSF推定用マーカβを含む小領域画像を画像入力部101のフレームメモリから切り出して、PSF推定用マーカ実画像データとして保持する。
【0037】
PSF算出部108は、推定用マーカ基準画像生成部106によって得られた推定用マーカ基準画像と、推定用マーカ位置対応付け部107によって撮影画像から切出された推定用マーカ画像とを用いて、逆畳込み処理を行うことで、PSFを算出(推定)する。ここで、逆畳込み演算を行うためには、インバースフィルタやウィーナーフィルタなど、周波数領域で逆畳込み演算を行うものを用いることができる。
【0038】
ブレ補正部109は、PSF算出部108で得られた推定PSFデータを用いて、画像入力部101のフレームメモリに格納されている撮影画像の全体もしくは注目領域の画像データに対して逆畳込み演算を行うことで、撮影画像のブレを補正する。ここでの逆畳込み演算は、例えばインバースフィルタやウィーナーフィルタなどの周波数領域での逆畳込み演算を行うものを用いればよい。但し、逆畳込みの方法はこれに限らず、要はNon-blind Deconvolutionを実行できるものであればよい。ブレ補正部109は、ブレを補正した画像データを画像出力用メモリに格納する、もしくは、外部記憶媒体に記録する。
【0039】
図4に、ブレ補正装置100によって行われる処理手順を示す。
【0040】
ブレ補正装置100は、ブレ補正処理を開始すると、ステップS101で画像入力部101に撮影画像を入力する。続くステップS102では、レイアウトマーカ検出部102によってレイアウトマーカα1、α2を検出し、ステップS103でレイアウトマーカα1、α2を検出できたか否か判定する。例えば、少なくとも2つのレイアウトマーカα1、α2の存在位置(画像内での座標)が得られれば検出成功、そうでなければ検出失敗とする。ステップS103で検出が成功したと判定されると、ステップS104に進む。
【0041】
ステップS104では、推定用マーカ位置算出部104によってPSF推定用マーカβの位置を算出し、ステップS105では、推定用マーカサイズ算出部105によってPSF推定用マーカβのサイズを算出する。
【0042】
ステップS106では、推定用マーカ位置対応付け部107によってPSF推定用マーカ画像を撮影画像から切り出す。ステップS107では、推定用マーカ基準画像生成部106によってPSF推定用マーカβの基準画像を生成する。ステップS108では、PSF算出部108によってPSF推定用マーカ画像の逆畳込み演算を行うことで、推定PSFデータを得る。
【0043】
ステップS109では、PSF算出部108が、算出した推定PSFはブレ補正に用いるものとして妥当か否かを判断する。判断基準(ブレ補正に用いるものとして妥当であるための基準)の例としては、以下の2つが挙げられる。一つに、推定PSFデータの中で信号レベルが高い要素数が一定以下であること。一つに、推定PSFデータを2次元画像として見た際に、信号レベルが高い領域が独立して複数存在していないこと。ステップS109で推定PSFが妥当であると判断すると(ステップS109;Yes)、ステップS110に進み、妥当でないと判断すると(ステップS109;No)、ステップS101に戻る。
【0044】
ステップS110では、ブレ補正部109が、ステップS109で得られたPSFを用いて、撮影画像(画像全体又はROI(Region Of Interest)領域)に対して逆畳込み演算を行うことで、撮影画像のブレを補正する。
【0045】
ステップS111では、ブレ補正部109が、ブレ補正後の画像を帳票管理装置やモニタなどの他の装置へと出力する。
【0046】
[2−1]帳票の構成
図5に、本実施の形態の帳票の構成例を示す。ここでは、図5A、図5B、図5Cに示すような、3つの例について説明する。
【0047】
先ず、図5Aの帳票について説明する。図5Aの例は、レイアウトマーカα1、α2とPSF推定用マーカβ1とが独立している場合の例である。図5Aの帳票は、図1及び図2でも記載した帳票と同じである。帳票には、読取枠R1が印刷されている。読取枠R1は、読取対象であること示すものであり、一般にカメラはこの読取枠R1を基準に読取枠R1内を読み取る(撮影する)。読取枠R1内には、文字記入欄L1、レイアウトマーカα1、α2、PSF推定用マーカβ1が印刷されている。文字記入欄L1は、図の例では6マスであり、各マスには数字等が記入される。レイアウトマーカα1、α2は、文字記入欄L1を挟む位置に設けられている。レイアウトマーカα1は開始位置用であり、レイアウトマーカα2は終了位置用である。PSF推定用マーカβ1は、読取枠R1内のほぼ中央位置に印刷されている。なお、上述したように、PSF推定用マーカβ1の形状は、丸、三角形、四角形、多角形などの閉じた図形であることが好ましい。
【0048】
図5Bに示した例は、レイアウトマーカα1、α2がPSF推定用マーカβ1を兼用している例である。レイアウトマーカα1、α2内の中央の白丸がPSF推定用マーカβである。
【0049】
図5Cに示した例は、PSF推定用マーカβがない例である。このような帳票が用いられる場合には、PSF推定に罫線を利用する。具体的には、ブレ補正装置は、PSFの推定を、読み取った読取枠R1の4辺うちの任意の罫線を用いて行う。このようなPSF推定の方法については、後で詳しく説明する。
【0050】
[2−2]PSF推定用マーカ位置の算出処理
推定用マーカ位置算出部104によって行われるPSF推定用マーカ位置の算出処理について、図6、図7及び図8を用いて詳しく説明する。図6は、推定用マーカ位置算出部104によって行われる処理手順を示すフローチャートである。図7は、撮影画像から算出するレイアウトマーカ間距離の説明に供する図である。図8は、マーカ情報保持部103から読み出される、帳票のレイアウト情報を示す図である。なお、図7及び図8は、帳票の様式が図5Aに示した様式の場合に関する図である。
【0051】
推定用マーカ位置算出部104は、図6に示すように、先ずステップS301でレイアウトマーカ検出部102からレイアウトマーカ検出結果を入力する。具体的には、推定用マーカ位置算出部104は、開始位置用のレイアウトマーカα1の中心座標と、終了位置用のレイアウトマーカα2の中心座標と、を入力する。
【0052】
ステップS302において、推定用マーカ位置算出部104は、レイアウトマーカα1、α2間の距離を算出する。具体的には、図7に示したような、入力された2つの中心座標間の画像内距離DIを次式により算出する。
【数1】

【0053】
ステップS303において、推定用マーカ位置算出部104は、マーカ情報保持部103から、図8に示したようなレイアウト情報を読み出して取得する。推定用マーカ位置算出部104が取得する情報は、以下の情報である。
【0054】
・帳票紙面上でのレイアウトマーカα1、α2間の距離の実寸D
・レイアウトマーカ中心位置を基準としたPSF推定用マーカ領域中心の相対位置(DXP,DYP)
・PSF推定用マーカ領域の実寸(WP,HP)
【0055】
ステップS304において、推定用マーカ位置算出部104は、PSF推定用マーカβ1の中心位置を算出する。具体的には、算出する中心位置座標を(XP,YP)とすると、この(XP,YP)を、撮影画像と帳票レイアウトの相似関係を用いて、次式によって算出する。
【数2】

【0056】
ステップS305において、推定用マーカ位置算出部104は、PSF推定用マーカ領域座標を算出して出力する。具体的には、算出する領域の左上座標と右下座標をそれぞれ(XPL,YPT)、(XPR,YPB)とすると、推定用マーカ位置算出部104は、ステップS303で取得したPSF推定用マーカ領域の実寸と、ステップS304で算出した結果とを用いて、左上座標(XPL,YPT)と右下座標(XPR,YPB)を、次式により算出し、この領域座標データを出力する。
【数3】

【0057】
[2−3]PSF推定用マーカサイズの算出処理
推定用マーカサイズ算出部105によって行われるPSF推定用マーカβのサイズの算出処理について、図9及び図10を用いて詳しく説明する。図9は、推定用マーカサイズ算出部105によって行われる処理手順を示すフローチャートである。図10は、マーカ情報保持部103から読み出される、PSF推定用マーカ情報の説明に供する図である。
【0058】
推定用マーカサイズ算出部105は、図9に示すように、先ずステップS601で、撮影画像でのレイアウトマーカα1、α2間の距離DI(図7)と、帳票上でのレイアウトマーカα1、α2間の実寸距離D(図8)との比率Zを算出する。なお、距離DI及びDは、推定用マーカ位置算出部104でも算出しているので、推定用マーカサイズ算出部105は、推定用マーカ位置算出部105から距離DI及びDを入力して比率Zを求める。
【0059】
ステップS602において、推定用マーカサイズ算出部105は、マーカ情報保持部103から、帳票上のPSF推定用マーカβ1に関する情報を読み出して取得する。推定用マーカサイズ算出部105が取得する情報は、以下の情報である(図10参照)。
・マーカβの形状及び実寸値(円の場合は直径RP)
【0060】
ステップS603において、推定用マーカサイズ算出部105は、ステップS601で算出した比率Zと、ステップS602で取得した実寸値とを用いて、撮影画像上でのPSF推定用マーカサイズを計算し、計算結果を出力する。ここで、計算されるPSF推定用マーカサイズは、円の場合、マーカサイズRPI=RP・Zである。
【0061】
[2−4]PSF推定用マーカの基準画像の生成処理
推定用マーカ基準画像生成部106によって行われるPSF推定用マーカの基準画像の生成処理について、図11及び図12を用いて詳しく説明する。図11は、推定用マーカ基準画像生成部106によって行われる処理手順を示すフローチャートである。図12は、PSF推定用マーカの基準画像(マーカ形状が円の場合)の描画例を示す図である。
【0062】
推定用マーカ基準画像生成部106は、図11に示すように、先ずステップS801で、推定用マーカ位置算出部104からPSF推定用マーカβの位置を入力する。具体的には、PSF推定用マーカ領域座標が入力される。このPSF推定用マーカ領域座標は、上述したように、例えば矩形領域を表す場合、左上座標(XPL,YPT)と右下座標(XPR,YPB)である。
【0063】
ステップS802において、推定用マーカ基準画像生成部106は、推定用マーカサイズ算出部105からPSF推定用マーカβのサイズを入力する。具体的には、PSF推定用マーカサイズと偏角θ(図7)が入力される。
【0064】
ステップS803において、推定用マーカ基準画像生成部106は、マーカ情報保持部103から、帳票上のPSF推定用マーカβに関する情報を読み出して取得する。推定用マーカ基準画像生成部106が取得する情報は、以下の情報である。
・マーカβの形状、マーカβの配色(白地に黒、又は、黒地に白)
【0065】
ステップS804において、推定用マーカ基準画像生成部106は、PSF推定用マーカ画素の色を決定する。具体的には、ステップS801で入力され特定された範囲の画素値を、撮影画像が格納されたフレームメモリ(画像入力部101)から読み出し、PSF推定用マーカβの画素色を決定する。
【0066】
決定方法としては、以下の2つの例がある。
【0067】
例1) 範囲内の画素値のヒストグラムをとり、低輝度側・高輝度側のそれぞれでピークをなす画素レベルを検出し、低輝度側でピークをなす画素値をPSF推定用マーカの黒色に、高輝度側でピークをなす画素値をPSF推定用マーカの白色にそれぞれ割り当てる。
【0068】
例2) 範囲内の画素値の最小値をPSF推定用マーカの黒色に、範囲内の画素値の最大値をPSF推定用マーカの白色にそれぞれ割り当てる。
【0069】
ステップS805において、推定用マーカ基準画像生成部106は、PSF推定用マーカ画像を描画する。具体的には、推定用マーカ基準画像生成部106は、ステップS801で入力されたマーカ領域座標から領域サイズを計算し、その領域サイズと同じサイズを持つ画像メモリを用意する。そして、推定用マーカ基準画像生成部106は、用意した画像メモリに、ステップS802とS803で得られた情報を元にPSF推定用マーカのパターンを描画する。パターンの白と黒それぞれに対応する画素値は、ステップS804で決定した各画素値を用いる。
【0070】
図12に、その描画例を示す。図12は、PSF推定用マーカの基準画像(マーカ形状が円の場合)の描画例を示す図である。図12において、画素a、画素bに対して以下のような判定を行って、描画が行われる。
【0071】
画素a:(x座標)+(y座標)=13>(RPI/2)=6.25
により、円周外の画素と判定し、背景色で描画する。
画素b:(x座標)+(y座標)=2<(RPI/2)=6.25
により、円周内の画素と判定し、前景色で描画する。
【0072】
他の画素についても、同様の判定を行うことで、背景色かあるいは前景色かを決定することで、描画を行う。ここで、マーカ配色が白地に黒の場合は、背景色は「白」であり、前景色は「黒」である。逆に、マーカ配色が黒地に白の場合は、背景色は「黒」であり、前景色は「白」である。なお、各「白」、「黒」の具体的な画素値は、ステップS804で決定された値である。
【0073】
ステップS806において、推定用マーカ基準画像生成部106は、PSF推定用マーカ画像を回転させる。具体的には、ステップS805で描画した画像データに対して、回転角θ(図7)の回転変換を施す。ここで、回転の中心は、描画したPSF推定用マーカ画像の中心座標とすればよい。なお、マーカの形状が円の場合は、本ステップを省略できる。
【0074】
ステップS807において、推定用マーカ基準画像生成部106は、ステップS805〜S806の処理を施した画像メモリのデータを、PSF推定用マーカ基準画像として出力する。
【0075】
[2−5]変形例
PSF算出部108を、図13に示すように構成し、逆畳込み処理部108−1で算出した推定PSFデータに対して、フィルタ部108−2でフィルタ処理を施せば、より鮮明な画像を得ることができる。つまり、このようにすることで、撮影画像のSN(Signal to Noise ratio)が低い場合や、PSF推定用マーカ基準画像に誤差がある場合であっても、鮮明な推定PSFを得ることができるので、ブレ補正後の画質を向上できる。フィルタ部108−2としては、LPF(Low Pass Filter)やメディアンフィルタなど、高周波成分やインパルス状ノイズを除去するフィルタを用いればよい。
【0076】
図14に、本変形例での処理手順を示す。図14では、図4と同様の処理については図4と同一の符号を付してある。図14の処理手順が図4の処理手順と異なる点は、ステップS1001において、フィルタ部108−2が、ステップS108で得られた推定PSFデータに対して推定ノイズ成分を除去するためのフィルタを施す点である。
【0077】
[3]応用構成1
図15に、応用構成1を示す。図15では、図3と同様の構成要素には図3と同一の符号を付してある。図15のブレ補正装置200が図3のブレ補正装置100と異なる点は、歪み検出部201を有する点である。歪み検出部201は、カメラの撮像面と紙との角度が並行でないことに起因する、撮影画像の歪みを検出する。歪み検出部201は、検出結果を、推定用マーカ基準画像生成部106及び推定用マーカ位置算出部104に出力する。推定用マーカ基準画像生成部106は、歪みも考慮して、推定用マーカの基準画像を生成する。
【0078】
ここで、帳票をハンディカメラ等で撮影する場合には、帳票の紙面がカメラ光軸に垂直でないことはよくあることである。この場合、マーカの形状が幾何的に変形して撮影される。そこで、ブレ補正装置200は、歪み検出部201でマーカ形状の幾何的変形を検出し、PSF推定用マーカ基準画像も同じように変形させた上でPSF推定を行う。これにより、推定誤差の拡大を抑制できる。なお、ブレ補正装置200は、撮影画像(入力画像)の幾何歪みを補正してから、基本構成(図3)の一連の処理をするのではなく、撮影画像の歪みは補正せず、撮影画像と同じ歪みをPSF推定用マーカ基準画像に加える構成となっている。
【0079】
図16に、ブレ補正装置200で行われる処理手順を示す。図16では、図4と同様の処理には図4と同一の符号を付してある。図16の処理手順が図4の処理手順と異なる点は、主に、ステップS1101の幾何歪み検出処理、ステップS1102のPSF推定用マーカ領域算出処理、ステップS1103のPSF推定用マーカ基準画像生成処理、である。以下、これらの処理について、詳しく説明する。
【0080】
[3−1]幾何歪みの検出処理
ステップS1101において歪み検出部201によって行われる幾何歪みの検出処理について説明する。
【0081】
歪み検出部201は、ステップS101で入力された帳票紙面像の平面的な歪みを検出し、その歪みを表す平面射影変換行列Hを求める。この平面射影変換行列Hは、3×3の行列で、8つの未知数要素からなる行列であり、次式で表すことができる。
【数4】

【0082】
Hの算出方法としては、図17に示すような、帳票上の4つの代表点(帳票レイアウト上での座標系で表現された座標として既知である)が撮影画像中のどの座標に観測されているかを検出し、既知座標と観測座標の値を、次式の方程式に当てはめて、Hの各要素を導出する、方法がある。
【数5】

【0083】
なお、図17は、帳票レイアウト座標系で表された代表点の座標情報を示す図である。 撮影画像内の代表点座標の検出方法としては、以下のような方法を用いればよい。
【0084】
方法1)帳票の読取枠R1のコーナー点4つを代表点とする場合には、画像からエッジ検出し、検出したエッジの交点座標を算出することで、代表点座標を求める。
【0085】
方法2)歪みのない帳票画像を生成し、撮影画像との特徴点マッチングを行う。マッチングの取れた複数の座標ペアの中から、評価値の高い4点を抽出する。
【0086】
[3−2]PSF推定用マーカ領域の算出処理
ステップS1102において推定用マーカ位置算出部104によって行われるPSF推定用マーカ領域の算出処理について説明する。
【0087】
推定用マーカ位置算出部104は、PSF推定用マーカ領域を、マーカ情報保持部103からの帳票レイアウト情報、及びステップS1101で算出した射影変換行列を用いて算出する。
【0088】
図18は、PSF推定用マーカ領域の算出処理手順を示すフローチャート(つまり、ステップS1102の詳細な処理内容を示すフローチャート)である。
【0089】
推定用マーカ位置算出部104は、ステップS1301で歪み検出部201から平面射影変換行列Hを入力する。ステップS1302において、推定用マーカ位置算出部104は、マーカ情報保持部103から帳票類のレイアウト情報を読み出し、PSF推定用マーカ領域の座標を得る。図17の例の場合、PSF推定用マーカ領域の座標として、左上角の座標(XRPTL,YRPTL)と、領域の幅WRPと、高さHRPとを取得する。
【0090】
ステップS1303において、推定用マーカ位置算出部104は、PSF推定用マーカ領域を算出する。具体的には、PSF推定用マーカ領域の4隅の座標をそれぞれ、射影変換行列Hによって撮影画像座標系での座標に変換する。図17の例の場合、左上隅の点、右上隅の点、左下隅の点、右下隅の変換後座標をそれぞれ、(XIP1,YIP1),(XIP2,YIP2),(XIP3,YIP3),(XIP4,YIP4)とすると、これらは次式の変換式により求めることができる。
【数6】

【0091】
ステップS1304において、推定用マーカ位置算出部104は、ステップS1303で変換して得た4点で定義される四角形に外接する矩形領域の座標を計算し、計算結果をPSF推定用マーカ領域座標として出力する。図17の例の場合、求める矩形領域の左上隅座標を(XPL,YPT)、右下隅座標を(XPR,YPB)とすると、これらの座標は、次式により求めることができる。
【数7】

【0092】
[3−3]PSF推定用マーカの基準画像の生成処理
ステップS1103において推定用マーカ基準画像生成部106によって行われるPSF推定用マーカの基準画像の生成処理について説明する。
【0093】
推定用マーカ基準画像生成部106は、推定用マーカ位置算出部104で算出されたPSF推定用マーカ領域と、マーカ情報保持部103から読み出した既知のPSF推定用マーカ形状データと、歪み検出部201で算出された射影変換行列Hと、を基に、撮影画像と同じ歪みを持ったPSF推定用マーカの基準画像を生成し、これをPSF推定用マーカ基準画像データとして保持する。
【0094】
図19は、PSF推定用マーカの基準画像の生成処理手順を示すフローチャート(つまり、ステップS1103の詳細な処理内容を示すフローチャート)である。なお、図19では、図11と同様の処理については図11と同一の符号を付してあり、以下ではこの同一の処理についての説明は省略する。
【0095】
推定用マーカ基準画像生成部106は、ステップS1401において、歪み検出部201から平面射影変換行列Hを入力する。ステップS1402において、推定用マーカ基準画像生成部106は、マーカ情報保持部103から、帳票上のPSF推定用マーカに関する情報を読み出して取得する。推定用マーカ基準画像生成部106が取得する情報は、以下の情報である。
・マーカの形状、マーカの配色(白地に黒、又は、黒地に白)
・帳票レイアウト座標系でのマーカ位置及び大きさに関する情報(図20参照)
【0096】
図20は、マーカ情報保持部103から読み出すPSF推定用マーカ情報を示すものである。図の例では、マーカ中心座標は(XRPC,YRPC)、マーカの円の直径はRPである。
【0097】
ステップS1403では、推定用マーカ基準画像生成部106は、PSF推定用マーカ画像を描画する。具体的には、推定用マーカ基準画像生成部106は、ステップS801で入力されたマーカ領域座標から領域サイズを計算し、その領域サイズと同じサイズを持つ画像メモリを用意する。そして、推定用マーカ基準画像生成部106は、用意した画像メモリに、ステップS1401とS1402で得られた情報を元にPSF推定用マーカのパターンを描画する。パターンの白と黒それぞれに対応する画素値は、ステップS804で決定した各画素値を用いる。
【0098】
図21に、その描画例を示す。図21は、PSF推定用マーカの基準画像(マーカ形状が円の場合)の描画例を示す図である。
【0099】
ここで、画像メモリ上の各画素がパターンの白・黒のどちらにあたるかは、その画素の座標(撮影画像座標系で表現したもの)を射影変換行列Hの逆行列H−1で帳票レイアウト座標系に写像して得た座標値が、PSF推定用マーカのどの位置にあたるかを調べればよい。
【0100】
図21での例の場合、画像メモリ上の画素Mの撮影画像座標系での座標を(XIM,YIM)とすると、画素MをH−1で写像した点M’の帳票レイアウト座標系での座標(XRM,YRM)は、次式で表される。
【数8】

【0101】
点M’とマーカ円の中心(XRPC,YRPC)間の距離DMは、次式により算出できる。
【数9】

【0102】
よって、推定用マーカ基準画像生成部106は、図21の画素a、画素bに対して以下のような判定を行って、描画を行う。
【0103】
画素aは、DM>RP/2の場合であり、点M’がマーカ円の外部にあることから、背景色で点Mを描画する。
画素bは、DM≦RP/2の場合であり、点M’がマーカ円の内部にあることから、前景色で点Mを描画する。
【0104】
このようにして、推定用マーカ基準画像生成部は、基準となるPSF推定用マーカ画像に、歪み検出部201によって検出された歪みを反映させることができる。
【0105】
[4]応用構成2
図22に、応用構成2を示す。図22では、図3と同様の構成要素には図3と同一の符号を付してある。図22のブレ補正装置300が図3のブレ補正装置100と異なる点は、領域分割部301、最適PSF対応付け部302、合成部303を有する点である。
【0106】
領域分割部301は、推定用マーカ位置算出部104により得られた、推定用マーカβの画像中の位置に応じて、撮影領域を分割する。例えば、各推定用マーカβの位置に基づいて、ボロノイ領域を作成する。分割した撮影画像を最適PSF対応付け部302に出力する。
【0107】
最適PSF対応付け部302は、分割された画像に対応するPSFを対応付ける。ブレ補正部109は、領域に対応するPSFを用いて各領域のブレ補正を行う。合成部303は、ブレ補正された各領域を合成する。
【0108】
ここで、手ブレの場合には、画面全体が一様にボケるはずだが、撮影時の条件次第では、部分的にボケ方が異なることがある。そのため、本構成では、PSF推定用のマーカを帳票内の複数個所に形成し(印刷し)、それぞれの箇所ごとにPSF推定及びブレ補正を行う。そして、最後に、各画素位置がどのマーカにどの程度近いかに応じて、各ブレ補正画像の選択又は合成出力を行う。
【0109】
図23に、本構成で用いる帳票の構成例を示す。図5に示した帳票と異なるのは、レイアウトマーカα1、α2の間に、複数のPSF推定用マーカβ1、β2、β3が形成されている点である。
【0110】
図24に、ブレ補正装置300による処理の様子を示す。先ず、図24Aに示すように、PSF推定用マーカ毎にPSFが求められる。次に、図24Bに示すように、撮影画像を各PSFを適用する領域毎に分割する。他の方法として、文字を認識して文字ごとにどのPSFを適用するか決める方法を採用してもよい。このようにすれば、1つの文字が複数の領域に分割されることがないので、よりきれいな結果を得ることができる。次に、図24C示すように、分割領域毎に対応するPSFを用いてブレを補正し、補正後の画像を合成することで、鮮明な画像を得る。
【0111】
[5]応用構成3
ここでは、図5Cに示したように、帳票にPSF推定用マーカβ1がない場合に、罫線を利用してPSF推定を行う構成について説明する。
【0112】
図25に、応用構成3を示す。図25では、図3と同様の構成要素には図3と同一の符号を付してある。図25のブレ補正装置400が図3のブレ補正装置100と異なる点は、罫線位置算出部401、罫線太さ算出部402、罫線断面基準画像生成部403、罫線断面位置対応付け部404を有する点である。
【0113】
ここで、罫線断面とは、横方向の罫線をPSF推定に用いる場合には、垂直方向の線分で切断した面であり、縦方向の罫線をPSF推定に用いる場合には、水平方向の線分で切断した面である。
【0114】
罫線位置算出部401は、レイアウトマーカ検出部102によって検出されたレイアウトマーカα1、α2の座標と、マーカ情報保持部103によって保持されているマーカ情報(既知のレイアウト情報)とから、PSF推定に用いる罫線(以下、推定用罫線と呼ぶ)の位置を算出し、算出した切断位置座標データを出力する。なお、ここではPSF推定のための罫線として、読取枠R1を用いる場合ついて説明するが、読取対象を囲む別の罫線を用いてもよい。罫線位置の算出については、後で詳しく説明する。
【0115】
罫線太さ算出部402は、レイアウトマーカ検出部102によって検出されたレイアウトマーカの座標と、罫線位置算出部401によって算出された罫線の位置と、マーカ情報保持部103によって保持されているマーカ情報(既知のレイアウト情報)とから、罫線の太さを算出する。この罫線太さの算出については、後で詳しく説明する。
【0116】
罫線断面基準画像生成部403は、罫線太さ算出部402によって算出された罫線の太さから、当該罫線断面の基準画像(1次元の信号)を生成する。この罫線断面の基準画像生成処理については、後で詳しく説明する。
【0117】
罫線断面位置対応付け部404は、罫線位置算出部401によって算出された罫線の位置と、罫線太さ算出部402によって算出された罫線の太さとに基づいて、基準となる罫線断面に対応する撮影画像中の当該罫線断面の位置を対応付けて、推定用罫線の断面画像(1次元のデータ)を画像入力部101のフレームメモリから切り出して、推定用罫線断面実画像データとして保持する。
【0118】
PSF算出部108は、罫線断面基準画像生成部403により得られた罫線断面基準画像と、罫線断面位置対応付け部404により撮影画像から切出された罫線断面画像(1次元の信号)とを用いて、逆畳込み演算を行うことで、PSFを算出(推定)する。PSF算出部108は、演算結果を推定PSFデータとして保持する。なお、ここで得られる推定PSFデータも1次元となる。
【0119】
そこで、罫線断面基準画像生成部403は、1次元の推定PSFデータを2次元データに拡張する。その様子を、図26及び図27に示す。図26は、逆畳込みにより得られる1次元のPSFデータを示す。図27は、2次元データに拡張された推定PSFデータを示すものである。図27Aは、推定用罫線が水平方向の場合の、2次元化された推定PSFデータを示すものである。図27Bは、推定用罫線が垂直方向の場合の、2次元化されたPSFデータを示すものである。図27から分かるように、2次元拡張のためにデータ値0が追加される。
【0120】
図28に、ブレ補正装置400によって行われる処理手順を示す。図28では、図4と同様の処理については図4と同一の符号を付してあり、以下ではこの同一の処理についての説明は省略する。
【0121】
ステップS1601では、罫線位置算出部401によって推定用の罫線位置を算出し、ステップS1602では、罫線太さ算出部402によって推定用の罫線の太さを算出する。
【0122】
ステップS1603では、罫線断面位置対応付け部404によって、撮影画像から推定用の罫線断面画像を切出す。ステップS1604では、罫線断面基準画像生成部403によって、推定用罫線断面の基準画像を生成する。
【0123】
ステップS1605では、PSF算出部108によって、推定用罫線断面画像の逆畳込み処理が行われることで、推定PSFが得られる。さらに、1次元の推定PSFが2次元の推定PSFに拡張される。
【0124】
[5−1]推定用罫線位置算出処理
ステップS1601において罫線位置算出部401によって行われる推定用罫線位置算出処理について説明する。
【0125】
図29は、推定用罫線位置算出処理手順を示すフローチャート(つまり、ステップS1601の詳細な処理内容を示すフローチャート)である。なお、図29では、図6と同様の処理については図6と同一の符号を付してあり、以下ではこの同一の処理についての説明は省略する。
【0126】
罫線位置算出部401は、ステップS1701において、レイアウト情報を入力する。つまり、帳票類のレイアウトに関する情報をマーカ情報保持部103から読み出して取得する。
【0127】
図30に、マーカ情報保持部103から読み出されるレイアウト情報の例を示す。罫線位置算出部401が読み出すレイアウト情報は、以下の情報である。
・帳票紙面上でのレイアウトマーカ間距離の実寸D
・レイアウトマーカの中心位置を基準とした推定用罫線までの距離(DYP)
【0128】
ステップS1702では、罫線位置算出部401は、推定用罫線の切断位置を算出し、算出した切断位置座標データを出力する。ここで、算出する切断位置座標を(XP,YP)とすると、この切断位置座標(XP,YP)を、撮影画像と帳票レイアウトの相似関係を用いて、次式により算出する。この算出方法は、図7で説明したのと同様である。
【数10】

【0129】
なお、DXPは、推定用罫線の断面をとる位置(帳票レイアウトでの寸法単位)であり、推定PSFを算出したい帳票部分に応じて、0〜Dまでの間の任意の値を設定してよい。
【0130】
[5−2]推定用罫線太さ算出処理
ステップS1602において罫線太さ算出部402によって行われる推定用罫線太さ算出処理について説明する。
【0131】
図31は、推定用罫線太さ算出処理手順を示すフローチャート(つまり、ステップS1602の詳細な処理内容を示すフローチャート)である。なお、図31では、図9と同様の処理については図9と同一の符号を付してある。
【0132】
罫線太さ算出部402は、ステップS601で、撮影画像でのレイアウトマーカα1、α2間の距離DI(図7)と、帳票上でのレイアウトマーカα1、α2間の実寸距離D(図30)との比率Zを算出する。なお、距離DI及びDは、罫線位置算出部401でも算出しているので、罫線太さ算出部402は、罫線位置算出部401から距離DI及びDを入力して比率Zを求める。また、罫線太さ算出部402は、偏角θ(図7)を入力する。
【0133】
罫線太さ算出部402は、ステップS1901において、レイアウト情報を入力する。つまり、帳票類のレイアウトに関する情報をマーカ情報保持部103から読み出して取得する。罫線太さ算出部402が読み出すレイアウト情報は、以下の情報である。
・罫線太さの実寸値HP(図30参照)
【0134】
罫線太さ算出部402は、ステップS1902において、ステップS601及びステップS1901で得た値を用いて、撮影画像上での推定用罫線の太さ(断面幅)を計算し、これを出力する。罫線太さHPICは、次式により求めることができる。
【数11】

【0135】
[5−3]推定用罫線断面の基準画像の生成処理
ステップS1604において罫線断面基準画像生成部403によって行われる推定用罫線断面の基準画像の生成処理について説明する。
【0136】
図32は、推定用罫線断面の基準画像の生成処理手順を示すフローチャート(つまり、ステップS1604の詳細な処理内容を示すフローチャート)である。
【0137】
罫線断面基準画像生成部403は、ステップS2001において、前のステップS1702で算出された推定用罫線切断位置の座標(XP,YP)を入力する。ステップS2002では、前のステップS1602で算出された推定用罫線断面幅HPICを入力する。
【0138】
罫線断面基準画像生成部403は、ステップS2003において、マーカ情報保持部103から、帳票のレイアウトに関する情報を読み出して取得する。罫線断面基準画像生成部403が取得する情報は、以下の情報である。
・推定用罫線の配色(白地に黒、又は、黒地に白など)
【0139】
ステップS2004において、罫線断面基準画像生成部403は、ステップS2001及びS2002で特定される断面線分上の画素値を、撮影画像が格納された画像入力部101のフレームメモリから読み出し、推定用罫線断面基準画像の画素色を決定する。この読み出しは、罫線断面近傍の背景画素を含むように行う。例えば、水平の罫線を用いる場合には、読み出す範囲の座標を、(XP,YP−Δ1)〜(XP,YP+HPIC+Δ2)とする。但し、Δ1,Δ2は、罫線上下で余分に読み出す背景領域の高さを示す。なお、画素値の決定方法はステップS804で説明した方法と同様である。
【0140】
ステップS2005において、罫線断面基準画像生成部403は、推定用罫線断面画像を描画する。具体的には、罫線断面基準画像生成部403は、先ず、ステップS2004で撮影画像から読み出した画素データと同数の要素を持つ画像メモリ(1次元)を用意する。そして、用意した画像メモリに対して、ステップS2002とS2003で得られた情報を基に罫線断面パターンを描画する。パターンの白と黒それぞれに対応する画素値は、ステップS2004で決定した各画素値を用いる。
【0141】
ステップS2006において、罫線断面基準画像生成部403は、ステップS2005で描画したデータを、推定用罫線断面基準画像として出力する。
【0142】
[6]応用構成4
本構成では、PSF推定用マーカとして、1ドットの点像を用いる。これにより、特許文献2にも記載されているように、PSFを求める際に、1ドットの点像の撮像画像をそのままPSFとして利用することができるので、計算量が少なくて済む。因みに、複数ドットの点像を用いる場合には、逆畳込み処理が必要となるので、計算量が大きくなる。ここで、1ドットとは、撮影画像を撮影したカメラの最小画素(例えばCCDの1受光素子)のことである。
【0143】
図33に、応用構成4で用いる帳票の構成例を示す。PSF推定用マーカβは、大きさの異なる複数の点像から構成されている。そして、本構成のブレ補正装置は、レイアウトマーカα1、α2を用いて複数の点像のサイズを推定し、複数の点像の中から1ドットで写っているものを抽出する。抽出されたPSF推定用マーカを用いることで、少ない計算量でPSFを求めることができる。
【0144】
図34に、応用構成4を示す。図34では、図3と同様の構成要素には図3と同一の符号を付してある。図34のブレ補正装置500は、マーカ選択部501、PSF正規化部502を有する。
【0145】
推定用マーカサイズ算出部105は、レイアウトマーカα1、α2を用いて、複数の点像(図33)のサイズを推定し、推定結果をマーカ選択部501に出力する。
【0146】
マーカ選択部501は、サイズ推定結果に基づいて、複数の点像の中から1ドットで撮影されているものを選択する。
【0147】
推定用マーカ位置対応付け部107は、マーカ選択部501で選択された推定用マーカの位置に基づいて、撮影画像中の推定用マーカの位置を対応付けて、切出す。
【0148】
PSF正規化部502は、マーカ位置対応付け部107で切り出されたマーカ領域画像(≒PSF画像)の各画素の信号レベルを正規化する。具体的には、以下の処理を行う。
【0149】
・先ず、白地に黒のPSF推定用マーカが形成されている場合、マーカ領域画像の白と黒を反転させる。なお、黒地に白のPSF推定用マーカが形成されている場合は、反転は必要ない。
【0150】
・次に、黒地の信号レベルが0になるよう全体の信号レベルを一律に下げる。こうして得られたものを、推定PSFとして用いる。
【0151】
[7]実施の形態の効果
撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出部102と、PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出部104と、PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出部105と、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成部106と、基準となる推定用マーカ画像とそれに対応する撮影画像中の推定用マーカ画像とを用いてPSFを推定するPSF算出(推定)部108と、推定されたPSFを用いて撮影画像のブレを補正するブレ補正部109と、を設けたことにより、比較的少ない演算量で、かつ、簡易な構成で、かつ、容易な操作で、高精度のブレ補正を行うことができるようになる。
【0152】
すなわち、本実施の形態によれば、少ない演算量で精度良く、1枚の静止画からブレを補正できる。また、付加的なセンサを用いることなくブレを補正できる。また、被写体撮影と同時にPSFが推定されるので、余計な撮影ステップを不要にできる。また、カメラと被写体の位置関係を固定することなくブレを補正できる。また、撮影時の手ブレによる画像ブレだけでなく、撮像対象である帳票等の状態に起因する画像ブレも補正できる。
【0153】
なお、上述の実施の形態のブレ補正装置100、200、300、400、500は、メモリ・CPUを含むパソコン等のコンピュータによって構成することができる。そして、ブレ補正装置100、200、300、400、500を構成する各構成要素の機能は、メモリ上に記憶されたコンピュータプログラムをCPUが読み出して実行処理することで実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、例えばハンディターミナル等のカメラ付き携帯端末で帳票類を撮影し、撮影画像を画像認識するような装置に有用である。
【符号の説明】
【0155】
100、200、300、400、500 ブレ補正装置
101 画像入力部
102 レイアウトマーカ検出部
103 マーカ情報保持部
104 推定用マーカ位置算出部
105 推定用マーカサイズ算出部
106 推定用マーカ基準画像生成部
107 推定用マーカ位置対応付け部
108 PSF算出部
109 ブレ補正部
201 歪み補正部
301 領域分割部
302 最適PSF対応付け部
303 合成部
401 罫線位置算出部
402 罫線太さ算出部
403 罫線断面基準画像生成部
404 罫線断面位置対応付け部
501 マーカ選択部
502 PSF正規化部
α1、α2 レイアウトマーカ
β、β1、β2、β3 PSF推定用マーカ
L1 文字記入欄
R1 読取枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアウトマーカとPSF推定用マーカとが含まれる撮影画像を入力する画像入力部と、
前記撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出部と、
レイアウトマーカの情報を保持するマーカ情報保持部と、
前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出部と、
前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出部と、
前記推定用マーカサイズ算出部によって得られたPSF推定用マーカの大きさに基づいて、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成部と、
前記推定用マーカ位置算出部によって得られたPSF推定用マーカの位置に基づいて、前記推定用マーカ基準画像生成部によって得られた基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカの画像と、の位置を対応付ける推定用マーカ位置対応付け部と、
前記推定用マーカ位置対応付け部によって対応付けられた、前記基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカ画像と、を用いて、PSFを推定するPSF推定部と、
推定されたPSFを用いて、前記撮影画像のブレを補正するブレ補正部と、
を具備するブレ補正装置。
【請求項2】
前記撮影画像の歪みを検出する歪み検出部を、さらに具備し、
前記推定用マーカ基準画像生成部は、前記基準となるPSF推定用マーカ画像に、前記歪み検出部によって検出された歪みを反映させる、
請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項3】
前記撮影画像には、複数のPSF推定用マーカが含まれ、
前記PSF推定部は、PSF推定用マーカごとにPSFを推定し、
前記ブレ補正装置は、前記推定用マーカ位置算出部により得られた前記複数のPSF推定用マーカの位置に応じて、前記撮影画像を複数の領域に分割する領域分割部と、
前記PSF推定部によって推定された各PSF推定用マーカのPSFと、前記領域分割部によって得られた各領域と、を対応付ける最適PSF対応付け部と、
前記ブレ補正部によってブレ補正が行われた各領域の画像を合成する合成部と、
を、さらに具備し、
前記ブレ補正部は、各領域に対応付けられたPSFを用いて、領域ごとにブレ補正を行う、
請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項4】
前記PSF推定用マーカは、罫線であり、
前記推定用マーカ位置算出部は、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記罫線の位置を求める罫線位置算出部であり、
前記推定用マーカサイズ算出部は、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記罫線の太さを求める罫線太さ算出部であり、
前記推定用マーカ基準画像生成部は、前記罫線太さ算出部によって得られた罫線の太さに基づいて、基準となる罫線を生成し、
前記推定用マーカ位置対応付け部は、前記罫線位置算出部によって得られた罫線の位置に基づいて、前記推定用マーカ基準画像生成部によって得られた基準となる罫線画像と、前記撮影画像中の罫線画像と、を対応付け、
前記PSF推定部は、前記推定用マーカ位置対応付け部によって対応付けられた、前記基準となる罫線画像と、撮影画像中の罫線画像と、を用いて、PSFを推定する、
請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項5】
前記PSF推定用マーカは、互いに大きさの異なる複数の点像であり、
前記推定用マーカ位置算出部は、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記複数の点像の位置を求め、
前記推定用マーカサイズ算出部は、前記レイアウトマーカ検出部によって得られたレイアウトマーカの検出結果と、前記マーカ情報保持部に保持されたレイアウトマーカの情報と、に基づいて、前記複数の点像のサイズを求め、
前記推定用マーカ基準画像生成部は、前記推定用マーカサイズ算出部によって得られた複数の点像のサイズに基づいて、前記複数の点像の中から1ドットの点像を、基準となるPSF推定用マーカとして選択し、
前記推定用マーカ位置対応付け部は、前記推定用マーカ基準画像生成部によって選択された点像の位置に対応する、前記撮影画像中の点像を切出し、
前記PSF推定部は、前記推定用マーカ位置対応付け部によって切出された前記点像を正規化することで、PSFを推定する、
請求項1に記載のブレ補正装置。
【請求項6】
前記PSF推定部は、前記推定用マーカ位置対応付け部によって対応付けられた、前記基準となるPSF推定用マーカ画像と、撮影画像中のPSF推定用マーカ画像と、を用いて、逆畳込み処理を行うことで、PSFを推定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のブレ補正装置。
【請求項7】
レイアウトマーカとPSF推定用マーカとが含まれる撮影画像からレイアウトマーカを検出するレイアウトマーカ検出ステップと、
検出されたレイアウトマーカを基に、前記PSF推定用マーカの位置を求める推定用マーカ位置算出ステップと、
検出されたレイアウトマーカを基に、前記PSF推定用マーカの大きさを求める推定用マーカサイズ算出ステップと、
検出されたPSF推定用マーカの大きさに基づいて、基準となるPSF推定用マーカ画像を生成する推定用マーカ基準画像生成ステップと、
算出されたPSF推定用マーカの位置に基づいて、生成された基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカの画像と、の位置を対応付ける推定用マーカ位置対応付けステップと、
対応付けられた、前記基準となるPSF推定用マーカ画像と、前記撮影画像中のPSF推定用マーカ画像と、を用いて、PSFを推定するPSF推定ステップと、
推定されたPSFを用いて、前記撮影画像のブレを補正するブレ補正ステップと、
を含むブレ補正方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のブレ補正装置に、その撮影画像が入力される帳票であって、
読取枠と、
前記読取枠内に設けられた文字記入欄と、
前記読取枠内で、かつ、文字記入欄を挟む位置に形成された第1及び第2のレイアウトマーカと、
前記読取枠内で、かつ、前記第1及び第2のレイアウトマーカの間に形成されたPSF推定用マーカと、
を有する帳票。
【請求項9】
前記PSF推定用マーカは、前記読取枠内の中央位置に形成されている、
請求項8に記載の帳票。
【請求項10】
前記PSF推定用マーカは、閉じた図形である、
請求項8又は請求項9に記載の帳票。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5258(P2013−5258A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134926(P2011−134926)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】