ブロックの製造用型枠及び製造方法
【課題】冬期や寒冷地のような低温環境であっても、コンクリートの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができるブロックの型枠及びブロックの製造方法を提供する。
【解決手段】コンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造用型枠1であって、前記型枠1の外面に断熱層14が形成されたことにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【解決手段】コンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造用型枠1であって、前記型枠1の外面に断熱層14が形成されたことにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの製造用型枠とこの製造用型枠を用いた製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、型枠にコンクリートを充填して製造されるブロックとしては、海岸や河川の消波、護岸用等に使用される多脚型ブロックとして、日本テトラポッド株式会社の商品名「テトラポッド」(登録商標)等の4脚型ブロックが良く知られている。この4脚型ブロック101は、図20に示すように、中央部102とこの中央部102から放射状に突出する4個の載頭円錐形状の脚部103とから構成される。4個の脚部103は、相互に等しい立体角を保ちながら中央部102から放射状に突出すると共に、通常、コンクリートを素材としている。このようなブロック101は、製造用型枠104に流動状態のコンクリートを充填し、その固化を待って型枠から取り外すことによって製造される。
【0003】
従来、上記型枠104は、図21のように各脚部103の回りでそれぞれ3等分されて、隣接する3本の脚部103を、周方向に実質的に1/3ずつ覆うように分割形成された実質的に同形の4枚の型板105,106,107,108(背面のため図示されず)からなり、それぞれ分割端同士が該端部に有するフランジ部109でコッターとコッターピンあるいはボルトとナット等の締結部材110により接合固定され、中空立体状に組合されるとともに、各脚部103に対応する部分の先端には、脚部103の端面を覆う端板111が配されるようになっている(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−77644号公報
【特許文献2】特開平7−256620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来、この型枠にコンクリートを充填したコンクリートの養生のため、ブルーシートや断熱シートなどによる養生シートにより型枠104全体を覆い、練炭などの加熱手段によって加熱することが行われる。このようにすることで、冬期や寒冷地のように外気温が低温となるときに場合に、型枠104に充填したコンクリートの養生による強度上昇が遅くなり、それに付随して4脚型ブロックの品質を低下させることを防いでいた。
【0005】
しかし、養生シートにより型枠104全体を覆うだけでは、十分な断熱効果を得ることができず、その為、外気温の影響を受けて、コンクリートの養生による強度を上昇させることができず、4脚型ブロック101の品質が低下する問題点があった。
【0006】
また、従来のコンクリートを打設した後で、型枠104を養生シートで覆うような作業工程では、コンクリートを流し込む段階で、型枠104がもう既に外気温の影響を受けて冷えており、その為、養生シートで覆う前にすでに型枠104に充填されたコンクリートが冷やされてしまい、4脚型ブロック101の品質に影響が現れる問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を克服し、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、コンクリートの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができるブロックの型枠及びブロックの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、コンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造用型枠であって、前記型枠の外面に断熱層が形成されたことである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のブロックの製造用型枠において、前記ブロックは、脚部を備えたブロックとすることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のブロックの製造用型枠において、前記断熱層を、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることである。
【0011】
請求項4の発明は、型枠にコンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造方法であって、前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠の外面に断熱層を形成することである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4記載のブロックの製造方法において、前記ブロックは、脚部を備えたブロックであり、前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4記載のブロックの製造方法において、前記ブロックは、中央部と、該中央部より放射状に突出する複数の脚部とからなるブロックであり、前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載のブロックの製造方法において、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層を形成することである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、脚部を備えたブロックのように立体的な形状を有するブロックにおいて、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、断熱層を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロックの製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロックから型枠を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、複数の型板を接合して使用を行う、脚部を備え立体形状を有するブロックの型枠のように分割可能な型枠において、接合してコンクリートを充填した型枠を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠を分割させる前に型枠を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロックの養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、複数の型板を接合して使用を行う、多脚型ブロックの型枠のように分割可能な型枠において、接合してコンクリートを充填した型枠を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠を分割させる前に型枠を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロックの養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、断熱層を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロックの製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロックから型枠を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すこの製造用型枠1は、図20に示すように脚部を備え立体形状を有するブロックたる4脚型ブロック101の脚部103の1本を上向きの形態にして成形するように、各脚部103の回りでそれぞれ3等分されて、隣接する3本の脚部103を周方向に1/3ずつを覆うように分割形成された実質的に同形の上部の3枚の側面用型板2,3,4(背面のため図示されず)と1枚の底部用型板5とからなる。
【0025】
型枠1におけるこれら側面用型板2,3,4と底部用型板5は、それぞれ分割端に形成されたフランジ部6同士が突き合せられて、フランジ部6に形成された固定用貫通部7に対しコッターとコッターピンあるいはボルトとナット等の締結部材8により接合固定されることにより、中空立体状に組立可能である。
【0026】
9は、4脚型ブロックの4本の各脚部103に対応する型部分10,11,12,13の先端を履覆可能に形成された円盤状の端板である。この端板9は、型部分10,11,12,13の先端と図示しないC形クランプその他のクランプ手段等により固定可能に設けられている。
【0027】
そして、これら側面用型板2,3,4、底部用型板5及び端板9の外面には、断熱層14が形成される。
【0028】
この断熱層14は、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を、側面用型板2,3,4、底部用型板5及び端板9の外面に対し吹き付け現場発泡させて形成されたものである。
【0029】
以上の構成について、図2に示すフローチャートを参照しながら、4脚型ブロック101の製造工程について説明する。最初に、側面用型板2,3,4及び底部用型板5、端板9の外面に対して、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を吹き付け現場発泡させて、断熱層を形成する(ステップS1)。続いて、型枠1を組み立てる(ステップS2)。型枠1の組み立ては、側面用型板2,3,4と底部用型板5におけるこれらのフランジ部6に形成された固定用貫通部7の位置を位置決め用テーパーピンを用いて位置決めしながら各型板2,3,4,5のフランジ部6を対向させ、ボルトとナットや、コッターとコッターピン等の締結部材8を用いて締結することにより行う。続いて、各型板2,3,4,5の結合によって3箇所に形成される下側の中空の載頭円錐形状の解放端面に端板9を取付けて塞ぐことにより型枠1を完成させる。
【0030】
この後、完成した型枠1の上部から型枠1内に生コンクリートを充填(打設)する(ステップS3)。この場合、生コンクリートは、外面を断熱層14によって覆われた型枠1に充填されたことにより、生コンクリートの養生において型枠1を通して外気温が影響を与えることを防いでいる。
【0031】
その後、製造現場の気象条件などを考慮した固化と養生のための期間を置いてから、固化した4脚型ブロック101が規定の強度に達したことを確認する(ステップS4)。確認できたら、端板9を側面用型板2,3,4からなる上部型枠Aと底部用型板5からなる下部型枠Bとから分離したのち(ステップS5)、上部型枠Aをクレーンなどを使用して吊り上げることにより、これを4脚型ブロック101から分離し、4脚型ブロック101が完成する(ステップS6)。その後、4脚型ブロック101から分離した型枠1は、フランジ部6の固定を解除し型板2,3,4,5ごとに分割し、型板2,3,4,5の清掃の際に、断熱層14の除去を行い(ステップS7)、その後、次の使用に備えて収納を行うか、型枠1のリース元に対して返却を行う。
【0032】
尚、コンクリートの打設に際しては、型枠1内に充填中の生コンクリート内に棒状の振動体を差し込んでその流動性を高めることにより、これが型枠1の隅々まで行き渡るようにする。打設後、必要に応じて、硬化途中の生コンクリートから発生する気泡や水泡を除去するためのスページング作業を行う。また、生コンクリートが完全に固化するまえに、上向きの脚部103の頂部の天端の仕上げを行い、必要に応じて型枠1の上部を図示しない円形の型枠やシートなどで覆うことが好ましく、この場合の円形の型枠の外面にも予め断熱層14を形成しておくことが好ましい。
【0033】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、コンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造用型枠1であって、前記型枠1の外面に断熱層14が形成されたことにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0034】
また、前記実施例では請求項2に対応して、前記ブロック101は、脚部103を備えたブロックとすることにより、立体的な形状を有するブロック101において、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0035】
さらに、前記実施例では請求項3に対応して、前記断熱層14を、前記型枠1の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることにより、断熱層14を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層14を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロック101の製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロック101から型枠1を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0036】
また、前記実施例では請求項4に対応して、型枠1にコンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造方法であって、前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠1の外面に断熱層14を形成することにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0037】
さらに、前記実施例では請求項5に対応して、前記ブロック101は、脚部103を備えたブロックであり、前記ブロック101の外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板2,3,4,5を備えた前記型枠1を使用し、前記型板2,3,4,5を接合して中空に組合せた前記型枠1の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板2,3,4,5同士の接合を解除して、製造された前記ブロック101より分離させることにより、複数の型板2,3,4,5を接合して使用を行う、脚部を備え立体形状を有するブロック101の型枠1のように分割可能な型枠1において、接合してコンクリートを充填した型枠1を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠1を分割させる前に型枠1を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロック101の養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0038】
また、前記実施例では請求項6に対応して、前記ブロック101は、中央部102と、該中央部102より放射状に突出する複数の脚部103とからなるブロック101であり、前記ブロック101の外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板2,3,4,5を備えた前記型枠1を使用し、前記型板2,3,4,5を接合して中空に組合せた前記型枠1の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板2,3,4,5同士の接合を解除して、製造された前記ブロック101より分離させることにより、複数の型板2,3,4,5を接合して使用を行う、多脚型ブロック101の型枠1のように分割可能な型枠1において、接合してコンクリートを充填した型枠1を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠1を分割させる前に型枠1を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロック101の養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0039】
さらに、前記実施例では請求項7に対応して、前記型枠1の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層14を形成することにより、断熱層14を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層14を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロック101の製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロック101から型枠1を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【実施例2】
【0040】
本実施例では、図3は、本発明の第2実施例を示すもので、第1実施例と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0041】
図3に示すこの製造用型枠15は、ブロックたる作業現場において打設されるような矩形のブロックCの天面、側面及び底面を覆うように接合可能に形成された天面用枠板16、側面用枠板17,18,19,20及び底部用枠板21からなる。
【0042】
この各枠板16,17,18,19,20,21の外面に、断熱層22が形成されたものである。この断熱層22は、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を、各枠板16,17,18,19,20,21の外面に対し吹き付け現場発泡させて形成されたものである。
【0043】
以上の構成においても、図2に示すフローチャートに沿ってブロックCが製造されるため、その製造工程については説明を省略するが、型枠15を組み立てる段階において(ステップS2)、型枠15の上部にコンクリートを流し込むための天面側開放部分を形成するために、他の型板17,18,19,20,21同士が接合された状態において、天面用型板16の接合は行わないものとし、その後、型枠15にコンクリートを流し込んだ(ステップS3)後に、天面開放部分を塞ぐように天面用型板16を型枠15に接合するものとする。
【0044】
このように本実施例では請求項1,3,4及び請求項7に対応して、上記第1実施例と同様な作用,効果を有するものである。
【実施例3】
【0045】
本実施例では、図4は、本発明の第3実施例を示すもので、第1実施例及び第2実施例と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0046】
図4に本発明の第3実施例に適用されるブロックの一例を示す。このブロックC2は、胴体部22を備え、この胴体部22の両側にそれぞれ脚部103を3本ずつ備えた六脚型ブロックである。
【0047】
本実施例では、このブロックC2を製造する製造用型枠の外面に対して、第1実施例及び第2実施例に示すように、組み立てた製造用型枠にコンクリートを打設する段階以前に、断熱部材を現場発泡させて断熱層を形成する。その後、コンクリートを硬化させた後の脱型の際、製造用型枠における各型板同士の接合を解除して、製造されたブロックC2より分離させるものである。
【0048】
このように本実施例では請求項1乃至請求項7に対応して、上記第1実施例及び第2実施例と同様な作用効果を有するものである。
【0049】
尚、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、断熱層14,22についても上記各実施例では、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に発泡合成樹脂素材を吹き付け現場発泡させて形成したが、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に沿って形成された断熱性パネルを、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に対して着脱自在に備えて、これを断熱層14,22としてもよい。この場合、4脚型ブロック101、矩形のブロックC1、六脚型ブロックC2が完成し、型枠1,15を分割させた後、断熱層14,22を外す場合の作業が容易となる。この断熱性パネルについては、発泡スチロール等の発泡合成樹脂素材からなる発泡合成樹脂パネル、真空断熱層を備える真空断熱パネル、空気断熱層を備える空気断熱パネル等としてもよい。
【0050】
また、上記各実施例で示した4脚型ブロック101、矩形のブロックC1、六脚型ブロックC2等のブロックの製造用型枠1,15の外面に断熱層14,22を形成するという本発明は、第1実施例乃至第3実施例に示すような4脚型ブロック101、矩形のブロックC及び六脚型ブロックC2に限らず、例えば三本の脚部103を有するブロック、図5乃至図14に示すような四本の脚部103を有するブロック(四脚型ブロック)、図15に示すような五本の脚部103を有するブロック、図16乃至図19に示すような六本の脚部103を有するブロック(六脚型ブロック)、八本の脚部103を有するブロック、十本の脚部103を有するブロック等の複数の脚部103を有するブロックC3等の海岸や河川の消波、護岸等に使用される各種ブロック、特に屋外などの現場でコンクリートを打設して製造されるような運搬に手間やコストがかかる大型ブロックの製造用型枠に適用した場合において、コスト削減や作業工程の簡略化等の優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロックの製造用型枠の側面図である。
【図2】同上、ブロックの製造工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例を示すブロックの製造用型枠の側面図である。
【図4】本発明の第3実施例に適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図5】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図6】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図7】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図8】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図9】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図10】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図11】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図12】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図13】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図14】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図15】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図16】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図17】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図18】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図19】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図20】従来のブロックたる4脚型ブロックの側面図である。
【図21】従来技術におけるブロックの製造用型枠を示す側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 製造用型枠
2,3,4 側面用型板
5 底部用型板
14 断熱層
15 製造用型枠
16 天面用型板
17,18,19,20 側面用型板
21 底面用型板
22 断熱層
101 4脚型ブロック(ブロック)
103 脚部
C1,C2,C3 ブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの製造用型枠とこの製造用型枠を用いた製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、型枠にコンクリートを充填して製造されるブロックとしては、海岸や河川の消波、護岸用等に使用される多脚型ブロックとして、日本テトラポッド株式会社の商品名「テトラポッド」(登録商標)等の4脚型ブロックが良く知られている。この4脚型ブロック101は、図20に示すように、中央部102とこの中央部102から放射状に突出する4個の載頭円錐形状の脚部103とから構成される。4個の脚部103は、相互に等しい立体角を保ちながら中央部102から放射状に突出すると共に、通常、コンクリートを素材としている。このようなブロック101は、製造用型枠104に流動状態のコンクリートを充填し、その固化を待って型枠から取り外すことによって製造される。
【0003】
従来、上記型枠104は、図21のように各脚部103の回りでそれぞれ3等分されて、隣接する3本の脚部103を、周方向に実質的に1/3ずつ覆うように分割形成された実質的に同形の4枚の型板105,106,107,108(背面のため図示されず)からなり、それぞれ分割端同士が該端部に有するフランジ部109でコッターとコッターピンあるいはボルトとナット等の締結部材110により接合固定され、中空立体状に組合されるとともに、各脚部103に対応する部分の先端には、脚部103の端面を覆う端板111が配されるようになっている(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−77644号公報
【特許文献2】特開平7−256620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来、この型枠にコンクリートを充填したコンクリートの養生のため、ブルーシートや断熱シートなどによる養生シートにより型枠104全体を覆い、練炭などの加熱手段によって加熱することが行われる。このようにすることで、冬期や寒冷地のように外気温が低温となるときに場合に、型枠104に充填したコンクリートの養生による強度上昇が遅くなり、それに付随して4脚型ブロックの品質を低下させることを防いでいた。
【0005】
しかし、養生シートにより型枠104全体を覆うだけでは、十分な断熱効果を得ることができず、その為、外気温の影響を受けて、コンクリートの養生による強度を上昇させることができず、4脚型ブロック101の品質が低下する問題点があった。
【0006】
また、従来のコンクリートを打設した後で、型枠104を養生シートで覆うような作業工程では、コンクリートを流し込む段階で、型枠104がもう既に外気温の影響を受けて冷えており、その為、養生シートで覆う前にすでに型枠104に充填されたコンクリートが冷やされてしまい、4脚型ブロック101の品質に影響が現れる問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を克服し、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、コンクリートの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができるブロックの型枠及びブロックの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、コンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造用型枠であって、前記型枠の外面に断熱層が形成されたことである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のブロックの製造用型枠において、前記ブロックは、脚部を備えたブロックとすることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のブロックの製造用型枠において、前記断熱層を、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることである。
【0011】
請求項4の発明は、型枠にコンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造方法であって、前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠の外面に断熱層を形成することである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4記載のブロックの製造方法において、前記ブロックは、脚部を備えたブロックであり、前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4記載のブロックの製造方法において、前記ブロックは、中央部と、該中央部より放射状に突出する複数の脚部とからなるブロックであり、前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載のブロックの製造方法において、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層を形成することである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、脚部を備えたブロックのように立体的な形状を有するブロックにおいて、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、断熱層を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロックの製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロックから型枠を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロックの養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロックを形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、複数の型板を接合して使用を行う、脚部を備え立体形状を有するブロックの型枠のように分割可能な型枠において、接合してコンクリートを充填した型枠を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠を分割させる前に型枠を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロックの養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、複数の型板を接合して使用を行う、多脚型ブロックの型枠のように分割可能な型枠において、接合してコンクリートを充填した型枠を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠を分割させる前に型枠を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロックの養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、断熱層を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロックの製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロックから型枠を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示すこの製造用型枠1は、図20に示すように脚部を備え立体形状を有するブロックたる4脚型ブロック101の脚部103の1本を上向きの形態にして成形するように、各脚部103の回りでそれぞれ3等分されて、隣接する3本の脚部103を周方向に1/3ずつを覆うように分割形成された実質的に同形の上部の3枚の側面用型板2,3,4(背面のため図示されず)と1枚の底部用型板5とからなる。
【0025】
型枠1におけるこれら側面用型板2,3,4と底部用型板5は、それぞれ分割端に形成されたフランジ部6同士が突き合せられて、フランジ部6に形成された固定用貫通部7に対しコッターとコッターピンあるいはボルトとナット等の締結部材8により接合固定されることにより、中空立体状に組立可能である。
【0026】
9は、4脚型ブロックの4本の各脚部103に対応する型部分10,11,12,13の先端を履覆可能に形成された円盤状の端板である。この端板9は、型部分10,11,12,13の先端と図示しないC形クランプその他のクランプ手段等により固定可能に設けられている。
【0027】
そして、これら側面用型板2,3,4、底部用型板5及び端板9の外面には、断熱層14が形成される。
【0028】
この断熱層14は、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を、側面用型板2,3,4、底部用型板5及び端板9の外面に対し吹き付け現場発泡させて形成されたものである。
【0029】
以上の構成について、図2に示すフローチャートを参照しながら、4脚型ブロック101の製造工程について説明する。最初に、側面用型板2,3,4及び底部用型板5、端板9の外面に対して、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を吹き付け現場発泡させて、断熱層を形成する(ステップS1)。続いて、型枠1を組み立てる(ステップS2)。型枠1の組み立ては、側面用型板2,3,4と底部用型板5におけるこれらのフランジ部6に形成された固定用貫通部7の位置を位置決め用テーパーピンを用いて位置決めしながら各型板2,3,4,5のフランジ部6を対向させ、ボルトとナットや、コッターとコッターピン等の締結部材8を用いて締結することにより行う。続いて、各型板2,3,4,5の結合によって3箇所に形成される下側の中空の載頭円錐形状の解放端面に端板9を取付けて塞ぐことにより型枠1を完成させる。
【0030】
この後、完成した型枠1の上部から型枠1内に生コンクリートを充填(打設)する(ステップS3)。この場合、生コンクリートは、外面を断熱層14によって覆われた型枠1に充填されたことにより、生コンクリートの養生において型枠1を通して外気温が影響を与えることを防いでいる。
【0031】
その後、製造現場の気象条件などを考慮した固化と養生のための期間を置いてから、固化した4脚型ブロック101が規定の強度に達したことを確認する(ステップS4)。確認できたら、端板9を側面用型板2,3,4からなる上部型枠Aと底部用型板5からなる下部型枠Bとから分離したのち(ステップS5)、上部型枠Aをクレーンなどを使用して吊り上げることにより、これを4脚型ブロック101から分離し、4脚型ブロック101が完成する(ステップS6)。その後、4脚型ブロック101から分離した型枠1は、フランジ部6の固定を解除し型板2,3,4,5ごとに分割し、型板2,3,4,5の清掃の際に、断熱層14の除去を行い(ステップS7)、その後、次の使用に備えて収納を行うか、型枠1のリース元に対して返却を行う。
【0032】
尚、コンクリートの打設に際しては、型枠1内に充填中の生コンクリート内に棒状の振動体を差し込んでその流動性を高めることにより、これが型枠1の隅々まで行き渡るようにする。打設後、必要に応じて、硬化途中の生コンクリートから発生する気泡や水泡を除去するためのスページング作業を行う。また、生コンクリートが完全に固化するまえに、上向きの脚部103の頂部の天端の仕上げを行い、必要に応じて型枠1の上部を図示しない円形の型枠やシートなどで覆うことが好ましく、この場合の円形の型枠の外面にも予め断熱層14を形成しておくことが好ましい。
【0033】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、コンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造用型枠1であって、前記型枠1の外面に断熱層14が形成されたことにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0034】
また、前記実施例では請求項2に対応して、前記ブロック101は、脚部103を備えたブロックとすることにより、立体的な形状を有するブロック101において、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0035】
さらに、前記実施例では請求項3に対応して、前記断熱層14を、前記型枠1の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることにより、断熱層14を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層14を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロック101の製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロック101から型枠1を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0036】
また、前記実施例では請求項4に対応して、型枠1にコンクリートを充填してブロック101を製造するブロックの製造方法であって、前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠1の外面に断熱層14を形成することにより、冬期や寒冷地のような低温環境であっても、ブロック101の養生期間を短くすることができ、それでいて、品質良好なブロック101を形成することができ、また、そのような養生を施工容易に行うことができる。
【0037】
さらに、前記実施例では請求項5に対応して、前記ブロック101は、脚部103を備えたブロックであり、前記ブロック101の外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板2,3,4,5を備えた前記型枠1を使用し、前記型板2,3,4,5を接合して中空に組合せた前記型枠1の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板2,3,4,5同士の接合を解除して、製造された前記ブロック101より分離させることにより、複数の型板2,3,4,5を接合して使用を行う、脚部を備え立体形状を有するブロック101の型枠1のように分割可能な型枠1において、接合してコンクリートを充填した型枠1を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠1を分割させる前に型枠1を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロック101の養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0038】
また、前記実施例では請求項6に対応して、前記ブロック101は、中央部102と、該中央部102より放射状に突出する複数の脚部103とからなるブロック101であり、前記ブロック101の外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板2,3,4,5を備えた前記型枠1を使用し、前記型板2,3,4,5を接合して中空に組合せた前記型枠1の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板2,3,4,5同士の接合を解除して、製造された前記ブロック101より分離させることにより、複数の型板2,3,4,5を接合して使用を行う、多脚型ブロック101の型枠1のように分割可能な型枠1において、接合してコンクリートを充填した型枠1を養生シートで覆う作業や、コンクリートが固化し型枠1を分割させる前に型枠1を覆っている養生シートを外す作業を必要としないため、ブロック101の養生期間を短くすることができ、ブロックの養生を施工容易に行うことができる。
【0039】
さらに、前記実施例では請求項7に対応して、前記型枠1の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層14を形成することにより、断熱層14を立体的にしかも吹き付け工法によって形成することで、断熱層14を形成するための作業スペースを小さくすることが可能となるため、狭い場所でのブロック101の製造が可能となる。さらに、コンクリートの養生のために断熱シートで型枠を覆う場合と比べ、コンクリートが固化して完成したブロック101から型枠1を分離させる場合にも、容易に分離させることが可能となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【実施例2】
【0040】
本実施例では、図3は、本発明の第2実施例を示すもので、第1実施例と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0041】
図3に示すこの製造用型枠15は、ブロックたる作業現場において打設されるような矩形のブロックCの天面、側面及び底面を覆うように接合可能に形成された天面用枠板16、側面用枠板17,18,19,20及び底部用枠板21からなる。
【0042】
この各枠板16,17,18,19,20,21の外面に、断熱層22が形成されたものである。この断熱層22は、発泡ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂素材を、各枠板16,17,18,19,20,21の外面に対し吹き付け現場発泡させて形成されたものである。
【0043】
以上の構成においても、図2に示すフローチャートに沿ってブロックCが製造されるため、その製造工程については説明を省略するが、型枠15を組み立てる段階において(ステップS2)、型枠15の上部にコンクリートを流し込むための天面側開放部分を形成するために、他の型板17,18,19,20,21同士が接合された状態において、天面用型板16の接合は行わないものとし、その後、型枠15にコンクリートを流し込んだ(ステップS3)後に、天面開放部分を塞ぐように天面用型板16を型枠15に接合するものとする。
【0044】
このように本実施例では請求項1,3,4及び請求項7に対応して、上記第1実施例と同様な作用,効果を有するものである。
【実施例3】
【0045】
本実施例では、図4は、本発明の第3実施例を示すもので、第1実施例及び第2実施例と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0046】
図4に本発明の第3実施例に適用されるブロックの一例を示す。このブロックC2は、胴体部22を備え、この胴体部22の両側にそれぞれ脚部103を3本ずつ備えた六脚型ブロックである。
【0047】
本実施例では、このブロックC2を製造する製造用型枠の外面に対して、第1実施例及び第2実施例に示すように、組み立てた製造用型枠にコンクリートを打設する段階以前に、断熱部材を現場発泡させて断熱層を形成する。その後、コンクリートを硬化させた後の脱型の際、製造用型枠における各型板同士の接合を解除して、製造されたブロックC2より分離させるものである。
【0048】
このように本実施例では請求項1乃至請求項7に対応して、上記第1実施例及び第2実施例と同様な作用効果を有するものである。
【0049】
尚、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、断熱層14,22についても上記各実施例では、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に発泡合成樹脂素材を吹き付け現場発泡させて形成したが、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に沿って形成された断熱性パネルを、各型板2,3,4,5,16,17,18,19,20,21及び端板9の外面に対して着脱自在に備えて、これを断熱層14,22としてもよい。この場合、4脚型ブロック101、矩形のブロックC1、六脚型ブロックC2が完成し、型枠1,15を分割させた後、断熱層14,22を外す場合の作業が容易となる。この断熱性パネルについては、発泡スチロール等の発泡合成樹脂素材からなる発泡合成樹脂パネル、真空断熱層を備える真空断熱パネル、空気断熱層を備える空気断熱パネル等としてもよい。
【0050】
また、上記各実施例で示した4脚型ブロック101、矩形のブロックC1、六脚型ブロックC2等のブロックの製造用型枠1,15の外面に断熱層14,22を形成するという本発明は、第1実施例乃至第3実施例に示すような4脚型ブロック101、矩形のブロックC及び六脚型ブロックC2に限らず、例えば三本の脚部103を有するブロック、図5乃至図14に示すような四本の脚部103を有するブロック(四脚型ブロック)、図15に示すような五本の脚部103を有するブロック、図16乃至図19に示すような六本の脚部103を有するブロック(六脚型ブロック)、八本の脚部103を有するブロック、十本の脚部103を有するブロック等の複数の脚部103を有するブロックC3等の海岸や河川の消波、護岸等に使用される各種ブロック、特に屋外などの現場でコンクリートを打設して製造されるような運搬に手間やコストがかかる大型ブロックの製造用型枠に適用した場合において、コスト削減や作業工程の簡略化等の優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロックの製造用型枠の側面図である。
【図2】同上、ブロックの製造工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例を示すブロックの製造用型枠の側面図である。
【図4】本発明の第3実施例に適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図5】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図6】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図7】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図8】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図9】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図10】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図11】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図12】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図13】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図14】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図15】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図16】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図17】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図18】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図19】本発明の適用されるブロックの例を示す斜視図である。
【図20】従来のブロックたる4脚型ブロックの側面図である。
【図21】従来技術におけるブロックの製造用型枠を示す側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 製造用型枠
2,3,4 側面用型板
5 底部用型板
14 断熱層
15 製造用型枠
16 天面用型板
17,18,19,20 側面用型板
21 底面用型板
22 断熱層
101 4脚型ブロック(ブロック)
103 脚部
C1,C2,C3 ブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造用型枠であって、前記型枠の外面に断熱層が形成されたことを特徴とするブロックの製造用型枠。
【請求項2】
前記ブロックは、脚部を備えたブロックとすることを特徴とするブロックの製造用型枠。
【請求項3】
前記断熱層を、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることを請求項1又は2記載のブロックの製造用型枠。
【請求項4】
型枠にコンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造方法であって、
前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠の外面に断熱層を形成することを特徴とするブロックの製造方法。
【請求項5】
前記ブロックは、脚部を備えたブロックであり、
前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする請求項4記載のブロックの製造方法。
【請求項6】
前記ブロックは、中央部と、該中央部より放射状に突出する複数の脚部とからなるブロックであり、
前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする請求項4記載のブロックの製造方法。
【請求項7】
前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層を形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のブロックの製造方法。
【請求項1】
コンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造用型枠であって、前記型枠の外面に断熱層が形成されたことを特徴とするブロックの製造用型枠。
【請求項2】
前記ブロックは、脚部を備えたブロックとすることを特徴とするブロックの製造用型枠。
【請求項3】
前記断熱層を、前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて形成されたものとすることを請求項1又は2記載のブロックの製造用型枠。
【請求項4】
型枠にコンクリートを充填してブロックを製造するブロックの製造方法であって、
前記型枠の内部にコンクリートを充填する段階以前に、前記型枠の外面に断熱層を形成することを特徴とするブロックの製造方法。
【請求項5】
前記ブロックは、脚部を備えたブロックであり、
前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする請求項4記載のブロックの製造方法。
【請求項6】
前記ブロックは、中央部と、該中央部より放射状に突出する複数の脚部とからなるブロックであり、
前記ブロックの外面を覆うように分割可能に形成された複数の型板を備えた前記型枠を使用し、前記型板を接合して中空に組合せた前記型枠の内部にコンクリートを充填して、これを硬化させた後の脱型の際、前記各型板同士の接合を解除して、製造された前記ブロックより分離させることを特徴とする請求項4記載のブロックの製造方法。
【請求項7】
前記型枠の外面に発泡性合成樹脂素材を吹き付けて現場発泡させて断熱層を形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−34956(P2009−34956A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203234(P2007−203234)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(502362460)小柳建設株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(502362460)小柳建設株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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