説明

プッシュオンスイッチ

【課題】各種電子機器の入力操作部等に使用される多段動作仕様のプッシュオンスイッチに関し、第一スイッチをオン状態に移行させる操作力が従来のものよりもさらに軽く、かつその操作された状態の維持も容易なものを提供する。
【解決手段】スイッチケース21の凹部21A内に、外側接点部41に常接された突出部11を有する可動接点7を収容し、その上方を中央貫通孔50A付きのシート50で覆うと共に、中央貫通孔50A内の位置に応じた可動接点7の円板部8部分に対し、上下に所定間隔をあけて押圧部13Cが対峙するようにカバー端子13E付きの金属カバー13を結合させた構成とし、押圧部13C上から非常に軽くて弱い力が加わった際、押圧部13Cが上記円板部8部分に接触して第一スイッチの状態が切り換わるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてカメラ、ビデオカメラ等の各種電子機器の入力操作部等に使用される多段動作仕様のプッシュオンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のプッシュオンスイッチの中で、軽く押圧操作するとまず第一スイッチがオンし、さらに強く押圧操作すると続いて第二スイッチがオンする二段動作仕様のものがカメラのシャッター部分やビデオカメラの録画開始ボタンなどの入力操作部に多く用いられており、上記形態のものを以下に説明する。
【0003】
図11は従来のプッシュオンスイッチの外観斜視図、図12は同分解斜視図、図13(a)は図11のP−P線における断面図、(b)はQ−Q線における断面図である。
【0004】
同図において、1は上方開口の凹部1Aを備えた略方形の樹脂からなるスイッチケースで、図14のスイッチケースの上面図に示すように、略円形の凹部1Aの内底面には、二つの電気的に独立した周辺接点2およびこれよりも少し低い中央接点3が露出状態でインサート成形により固定されていると共に、各固定接点とそれぞれ導通した接続用端子2A、2Bおよび3Aはスイッチケース1の外周側部に突出して導出されている。なお、接続用端子6Aはダミー端子であり、これもスイッチケース1の外周側部に突出して設けられている。
【0005】
また、凹部1Aを構成する側壁の対向した位置には、一対の段状の可動接点受け部4およびそれと直交する位置に一対の切り欠き溝部5が設けられている。
【0006】
そして、7は弾性薄板金属板をプレス加工して形成された可動接点で、その形状は図15(a)および(b)の平面図および側面図に示すように、上方に球面状に湾曲した中央の円板部8と、この外方に一定の間隔をあけて同心円状に配された円形のリング状部10と、中心に対して対称位置に一対で配され、円板部8側が高くなるように上記円板部8と上記リング状部10とを繋ぐ傾斜した連結部9と、連結部9と同一直径上でリング状部10から外方に直線状で突出させて設けられた一対の突出部11とからなっている。上記リング状部10は、連結部9と直角な対向した二ヶ所の位置が頂点部10Bとなるように上方への略V字状に湾曲形成されている。
【0007】
そして、この可動接点7は、図16のスイッチケース1内に可動接点7を装着した状態の上面図に示すように、湾曲突部側が上方となるようにして突出部11が切り欠き溝部5内に挿入されると共に、図13(b)に示すように、リング状部10のV字曲げ部分の側部10Aが可動接点受け部4上に載置されてスイッチケース1の凹部1A内に配されている。
【0008】
そして、スイッチケース1の上面は、可撓性を備えた絶縁フィルム製のシート12で覆われ、さらにその上から金属カバー13がスイッチケース1に対して取り付けられている。なお、シート12は、金属カバー13の下面とスイッチケース1上端面およびその上端面に凹部1A周囲を囲むようにして配された小突起1Bで挟持されつつ保持されている。
【0009】
そして、金属カバー13は、図11などに示すように、枠状平坦部13Aから中央側に延びる一対の弾性アーム13Bを備え、その弾性アーム13Bを介して繋げられた中央の押圧部13Cを有している。なお、押圧部13Cは、外形が略円形で、その中央位置に下方に突出する下方凸部13Dが設けられている。
【0010】
このように構成された従来のプッシュオンスイッチは、通常状態では、図13に示したように、可動接点7が周辺接点2および中央接点3に対して離れているため、スイッチオフ状態となっている。
【0011】
次に、上記プッシュオンスイッチの押圧操作時の動作について、図17(a)、(b)および図18(a)、(b)の断面図を用いて説明する。なお、図17(a)および図18(a)は図11のP−P線における断面図、図17(b)および図18(b)は同Q−Q線における断面図である。また、それらの図面は、判り易くするため金属カバー13を要部のみの図示としている。
【0012】
まず、金属カバー13の押圧部13Cに上方から軽い押し下げ力を加えると、押圧部13Cが下がりシート12上から可動接点7の円板部8を下方凸部13Dで押圧していく。その押圧力が所定の力を超えた時に、可動接点7は、図17(a)および(b)に示すように、まず円板部8は球面状のままでリング状部10の可動接点受け部4に載った部分が支点となって、リング状部10が節度を伴って凹状に反転して、二つの連結部9の円板部側根元部分が二つの電気的に独立した周辺接点2にそれぞれ接触する。この一段目動作で、可動接点7を介して二つの周辺接点2の間すなわち接続用端子2Aおよび2Bの間が電気的に導通した第一スイッチのオン状態となる。
【0013】
そして、この状態からさらに押圧部13Cを押し下げ可動接点7の円板部8をシート12上から押し下げると、図18(a)および(b)に示すように、今度は、外周部分が周辺接点2上に載った円板部8が節度を伴いながら下膨らみ状態に反転動作し、円板部8の中央部下面が中央接点3に接触する。この二段目動作で、第一スイッチとして短絡した二つの周辺接点2に加えて中央接点3との間すなわち接続用端子2A、2Bに加えて接続用端子3Aとの間も電気的に導通した第二スイッチのオン状態になる。
【0014】
この後、押圧部13Cへの押し下げ力を除くと、可動接点7の円板部8への押圧力が解除され、まず円板部8がその弾性復元力により上方突状の球面状態に復元することによって、その中央部下面が中央接点3から離れ第二スイッチがオフ状態に戻り、続いて連結部9が円板部8側が高くなる傾斜状態に戻ることにより円板部側根元部分が周辺接点2から離れて第一スイッチもオフ状態に戻る。また、その可動接点7の復帰動作と共にシート12や押圧部13Cに繋がる弾性アーム13Bも元の位置に復帰するものであった。上記操作時における操作ストロークと各スイッチのオンタイミングなどの遷移状態をまとめて図19に示す。
【0015】
そして、この従来のプッシュオンスイッチは、例えばデジタルスチルカメラなどのシャッター部分用のスイッチとして搭載され、軽い押圧操作状態で得られる第一スイッチからのオン信号で被写体へのピント調整が行われ、さらに強く押圧操作して得られる第二スイッチのオン信号でシャッターをきるように使用されることが多いものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平11−232962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来のプッシュオンスイッチは、上述したようにカメラのシャッター部分などに特に好適なものであったため、様々なカメラに搭載されていた。その一方で、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどが普及するにつれて、カメラとしても機能向上が図られると共に、より使い易いものとする工夫が様々なされるようになってきた。
【0018】
例えば、現在では手振れ防止機能が付加されたものが好まれ、その手振れ防止機能を備えたカメラに対し上記従来のプッシュオンスイッチをシャッター部分や録画開始ボタン部分などに使用する場合には、第一スイッチのオン信号で手振れ防止機能をピント調整とともに作動させるよう制御すればよいが、その作動状態を維持するには、スイッチの一度目の節度感触が得られた後、引き続いてその押圧状態のままで維持しておかなければならない。このとき、第一スイッチのオン状態を維持させるために必要な操作力は軽くて使い易いものではあったが、例えば動きながらの撮影時などではその軽い操作力であっても指が操作部分から若干外れかかかったりして上記操作状態が解除されることなどもあり、その改善が図れる動作仕様のプッシュオンスイッチへの開発要望が高まってきた。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、第一スイッチをオン状態に移行させる操作力が従来のものに対し、さらに軽くてその操作状態の維持も容易な多段動作仕様のプッシュオンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0021】
本発明の請求項1に記載の発明は、上方開口の凹部の内底面に、中央接点及びこれから等距離の位置に配された二つの周辺接点、また上記周辺接点の外側位置に少なくとも一つの外側接点部を備えた絶縁樹脂製のスイッチケースと、上方に球面状に湾曲した円板部及びその外方に一定の間隔をあけて可撓性を有する細巾の連結部で同心円状に繋がれたリング状部とそのリング状部から外側に突出形成された突出部を有し、上記リング状部が上記スイッチケースの凹部内に設けられた段状の可動接点受け部に載せられて上記円板部の外周が上記各周辺接点の上方に所定の間隔をあけて位置すると共に、上記突出部が上記外側接点部に常接状態で配された弾性金属板製の可動接点と、上記スイッチケースの凹部を覆うように配された中央貫通孔付きのシートと、上記シート上から上記スイッチケースに結合され、上記シートの中央貫通孔内の位置に応じた上記可動接点の円板部部分に対しその上方に所定間隔を維持して配される上下動可能な押圧部を有するカバー端子付きの金属カバーとからなるプッシュオンスイッチとしたものである。
【0022】
上記構成であれば、金属カバーの押圧部への操作で上記押圧部が下がって可動接点の円板部部分に接触して第一スイッチがオン状態に移行するものにでき、その押圧部の移動に必要な力を従来のものよりもさらに軽い力で動作するものとして構成できるという作用を有する。また、上記状態から、軽い操作力でさらに押圧操作すると、可動接点が各周辺接点に接触して周辺接点どうし間が導通した第二スイッチのオン状態に移行し、続けてさらに強く押圧操作すると、可動接点の円板部の反転動作により可動接点に対して中央接点も接触した第三スイッチのオン状態に切り換わるものに構成できるという作用を有する。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、外側接点部が、周辺接点の一方側に導通状態で配されたものであり、第二スイッチのオン状態で第一スイッチも確実にオン状態であるものに構成できるという作用を有する。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、シートの中央貫通孔の周囲下面を、全周に亘る円形リング状で可動接点の円板部上に粘着保持させたものであり、防塵性の高いものに構成できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、第一スイッチのオン状態に移行させる操作力が従来のものに対し、さらに軽くてその操作状態の維持も容易な多段動作仕様のプッシュオンスイッチを得ることができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、従来と同一構成の部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
(実施の形態)
図1および図2は本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの断面図、図3は同外観斜視図、図4は同分解斜視図、図5は同スイッチケースの上面図である。なお、図1は図3のR−R線における断面図、また、図2は図3のS−S線における断面図を示している。
【0028】
同図において、21は、略方形の樹脂からなるスイッチケースであり、上方開口の凹部21Aを備えている。その凹部21Aは、スイッチケース21の外形における一方の対向する角部位置に切り欠き溝部22、23を有した従来同様の略円形に構成されている。また、凹部21Aを構成する側壁における上記切り欠き溝部22、23と直交する位置には、一対の段状の可動接点受け部24が設けられている。
【0029】
また、凹部21Aの内底面の中央位置には、従来同様に中央接点3がインサート成形で固定されている。また、その周辺位置には、中央接点3から等距離の位置に二つの電気的に独立した周辺接点31および32がインサート成形で露出状態に固定されている。なお、周辺接点31、32と中央接点3との高さ関係は従来のものと同じである。
【0030】
そして、一方の周辺接点31は、対応する一方の切り欠き溝部22の方向に向かって引き回されて切り欠き溝部22の底部を構成している。その切り欠き溝部22の底部位置にあたる部分は凹部21Aの内底面より上方側に突出形成されており、当該切り欠き溝部22の底部部分が、外側接点部41としてなる。
【0031】
また、他方の周辺接点32は、従来同様に、対応する他方の切り欠き溝部23の底部から外れる方向に向かってスイッチケース21内に埋設状態で引き回されている。
【0032】
なお、中央接点3に導通した接続用端子3Aはスイッチケース21の外周側部に突出して導出され、また周辺接点31と外側接点部41に導通した接続用端子31Aおよび周辺接点32に導通した接続用端子32Aもそれぞれ独立してスイッチケース21の外周側部に突出して導出されている。なお、6Aはダミー端子として配された接続用端子である。
【0033】
そして、上記凹部21A内には、従来同様に可動接点7が収容されている。この可動接点7としては、直線状に突出形成された各突出部11が若干下方側に所定角度で曲げ形成された点のみ従来のものと異なるため、当該可動接点7における各部位の符号は従来のままで説明を行う。また、その詳細構成についての説明は省略する。
【0034】
そして、その可動接点7は、従来同様に中央の円板部8の湾曲突部側およびその周囲に同心で繋がれた円形のリング状部10のV字曲げ部分における頂点部10B側を上方に向けて、各突出部11を切り欠き溝部22、23に挿入させ、図2に示すように、リング状部10のV字曲げ部分の側部10Aが可動接点受け部24上に載置されるようにしてスイッチケース21の凹部21A内に配されている。
【0035】
このとき、切り欠き溝部22に応じた一方の突出部11の下端は、切り欠き溝部22の底部を構成している外側接点部41上に常接している。また、切り欠き溝部23内に位置する他方の突出部11も、その下端が切り欠き溝部23の底部に当接している。なお、他方の突出部11の方は、若干の間隔があいた対峙状態に配されてあってもよい。
【0036】
そして、50は、弾性を有するゴム製または絶縁フィルム製のシートであり、このシート50は、可動接点7の円板部8よりも小径で円形に形成された中央貫通孔50Aを備え、その中央貫通孔50Aが上記円板部8の中心に合わせて配され、シート50の周囲部分が従来同様にその上から配された金属カバー13の枠状平坦部13A下面とスイッチケース21上端面およびその上端面に凹部21A周囲を囲むようにして配された小突起21B(図4および図5参照)で挟持されて保持されている。なお、シート50の中央貫通孔50Aの周囲下面を全周に亘る円形リング状で円板部8上に粘着保持させておくと防塵性に優れるものにできる。また、シート50の周囲部分をスイッチケース21上端面に粘着保持させてもよい。
【0037】
なお、金属カバー13は、いわゆるアース端子としてなるカバー端子13E付きのものを用いている。その他の構成部分は、従来のものと同じである。このため、可動接点7と同様に、当該金属カバー13における各部位の符号も従来のままで説明を行うと共に、その詳細構成についての説明は省略する。
【0038】
そして、金属カバー13における押圧部13Cは、その下方凸部13Dの下面が、中央貫通孔50A内の位置に応じた円板部8の頂点部に対し、上下方向で所定間隔が空くように対峙している。なお、中央貫通孔50Aは、下方凸部13Dよりも大きい形状に設けられている。
【0039】
本発明によるプッシュオンスイッチは以上のように構成され、次にその動作について説明する。
【0040】
まず、図1および図2に示した通常状態では、当該プッシュオンスイッチは、スイッチオフ状態になっている。この状態では、可動接点7が、外側接点部41のみに接触し、中央接点3や周辺接点31および32には接触していない状態である。
【0041】
そして、上記状態において、金属カバー13の押圧部13C上に指などを載せるなどしてソフトタッチすると、弾性アーム13Bで繋がれた中央の押圧部13Cは若干下方に下がる。そして、図6に示すように、シート50の中央貫通孔50A内の位置に応じた円板部8部分に対して下方凸部13Dの下面が当接し、この一段目動作により、金属カバー13と可動接点7との間すなわちカバー端子13Eと接続用端子31Aとの間が電気的に導通した第一スイッチのオン状態となる。
【0042】
なお、図6(a)は、第一スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、図6(b)は同S−S線における断面図である。また、上記操作時における操作ストロークと各スイッチのオンタイミングなどの遷移状態をまとめて図7に示す。
【0043】
なお、図7からも判るように、第一スイッチのオン状態への移行は非常に軽くて弱い操作力で、しかも操作ストロークも非常に短く設定されたものにできる。例えば、金属カバー13の下方凸部13Dと可動接点7の円板部8における頂点部との上下間隔を0.05mm〜0.2mmであけて対峙させたものであれば、それに応じた下方凸部13Dの下方への移動で上記第一スイッチがオン状態に移行するものにできる。なお、押圧部13Cとしては、非操作時に第一スイッチが押圧部13Cの自重などで撓んで不用意にオン状態に移行しないよう枠状平坦部13Aから延設された弾性アーム13Bの根元に折曲部などを配し押圧部13Cが上方側に持ち上げられて維持されている構成などとしておくことが好ましい。
【0044】
また、上記構成のものの場合には、第一スイッチのオン状態で、押圧部13Cでシート50を押し下げないよう下方凸部13Dの突出量などを設定しておくと、金属カバー13の弾性アーム13Bのみのばね力、つまり非常に小さい力で第一スイッチの状態が切り換わるものにできる。このように当該構成であれば、一段目動作での押圧部13Cの移動に必要な力を従来のものよりもさらに軽い力として設定することも容易である。なお、金属カバーにおける押圧部の構成方式は、上記のもの以外であってもよい。
【0045】
そして、上記状態から従来同等の軽い力で金属カバー13の押圧部13Cに押し下げ力を加えると、可動接点7の円板部8に押圧力がさらに加わっていき、可動接点7は、図8(a)および(b)に示すように、まず円板部8は球面状のままでリング状部10の可動接点受け部24に載った部分が支点となり、リング状部10が凹状に反転変移していく。この押圧部13Cの下方への移動に応じてシート50も中央貫通孔50Aを中心に撓んでいく。そして、上記リング状部10の反転変移により円板部8とリング状部10との間を繋ぐ二つの連結部9の各円板部側根元部分が周辺接点31および32にそれぞれ接触する。この二段目動作により、カバー端子13Eと接続用端子31Aに加え、接続用端子32Aも導通した第二スイッチのオン状態となる。
【0046】
このとき、周辺接点31と外側接点部41とを導通させて配した当該構成のものにおいては、第二スイッチのオン状態で第一スイッチも確実にオン状態となっている。なお、上記リング状部10の反転変移に際し節度感が得られるものとしてもよいが、いずれの場合であっても、上記動作中および動作後を含めて、外側接点部41に常接させて配された上記一方の突出部11の接触状態が維持されるようにしておくことが好ましく、これにより上記第一スイッチのオン状態は維持されたままで第二スイッチのオン状態への移行がなされるものにできる。
【0047】
なお、図8(a)は、第二スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、図8(b)は、同S−S線における断面図であり、従来同様に以下の動作図を含め金属カバー13は要部のみの図示としている。
【0048】
そして、その状態からさらに押圧部13Cを押し下げ可動接点7の円板部8を下方凸部13Dで押し下げると、図9(a)および(b)に示すように、今度は、外周部分が周辺接点31、32上に載った円板部8が節度を伴いながら下膨らみ状態に反転動作する。上記円板部8の動作に応じて、シート50も、その中央貫通孔50Aを中心にさらに引っ張られる。そして、上記円板部8の反転動作によって、円板部8の中央部下面が中央接点3に接触する。この三段目動作により、可動接点7を介してカバー端子13E、接続用端子31A、32Aに加え中央接点3の接続用端子3Aも電気的に導通した第三スイッチのオン状態になる。なお、図9(a)は、第三スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、図9(b)は、同S−S線における断面図である。
【0049】
なお、同図に示したように、この第三スイッチの動作時に、外側接点部41に一方の突出部11が常接状態で維持され、かつ上記外側接点部41に導通状態で配された周辺接点31と周辺接点32とで可動接点7の円板部8の外周部分を受けて円板部8の動作がなされる構成としておけば、第一スイッチや第二スイッチのオン状態は維持されたまま第三スイッチが切り換わるものにできる。
【0050】
なお、上記動作時にシート50が中央側に外れることなどをなくすため、スイッチケース21上端の小突起21Bは凹部21Aの周囲全周を囲うようにして設けておくことが好ましい。場合によっては二重に設けてあるなどしてもよい。
【0051】
その後、押圧部13Cへの押し下げ力を除くと、可動接点7の円板部8への押圧力が解除され、円板部8がその弾性復元力によって上方突状の球面状態に復元し、その中央部下面が中央接点3から離れた第三スイッチのオフ状態に戻る。また、それとほぼ同時に、連結部9が円板部8側が高くなる傾斜状態に戻って周辺接点31、32の間が電気的に独立した第二スイッチのオフ状態に戻る。さらに、シート50も、自らの復元力に加え上記可動接点7の復帰動作で押し上げられて元の位置に復帰すると共に、枠状平坦部13Aから中央側に延びた一対の弾性アーム13Bも非操作状態の上方位置に戻ることにより、金属カバー13の押圧部13Cと可動接点7との接触状態が解除された第一スイッチのオフ状態に戻る。
【0052】
以上のように本発明によるプッシュオンスイッチは、多段動作仕様のもので、その第一スイッチが、操作部分に指を載せる程度の非常に軽くて弱い力でしかも短い操作ストロークでオン状態に移行するものとして実現することができる。
【0053】
そして、その第一スイッチのオン状態の維持も、操作する指に力を入れることなく指を操作部分に載せ続けるだけでよく、上記操作状態の維持は従来のものよりも容易となる。また、上記のようにソフトタッチして第一スイッチをオン状態としている間に、軽い操作力で操作すると上記第一スイッチのオン状態が維持されつつ第二スイッチがオン状態になり、その後さらに操作力を加えると第三スイッチが節度感触と共にオン状態に切り換わるものとして得ることができる。
【0054】
次に、本発明によるプッシュオンスイッチの用途につき説明する。その用途としては、従来同様に各種カメラのシャッター部分やビデオカメラの録画開始ボタン部分などに用いることができる。
【0055】
このとき、手振れ防止機能付きのものに当該スイッチを搭載する際には、上記第一スイッチのオン状態への移行に連動させてピント調整や手振れ防止機能を作動させると使い易いものにできる。
【0056】
つまり、使用者が、被写体にレンズ方向を合わせてシャッター部分や録画開始ボタン部分に指を載せると、軽く押し込み操作するまでもなく第一スイッチがオン状態となり、それに応じて即座にピント調整や手振れ防止機能が働くものにできるからである。また、上記第一スイッチのオン状態は上記のように操作部分に指を載せているだけで容易に維持されるため、従来のものより操作性に優れたものとなる。さらに、その後の軽い力の押圧操作で第二スイッチが切り換わる際に節度感触が得られるものとしておくと、それにより上記各機能が働いていることを使用者において感触的に認識できるようにもなる。そして、その状態から従来同様にさらに強く押圧操作して第三スイッチをオン状態にしてシャッター動作や録画開始などの所定機能を作動させることができるものとして構成することができる。
【0057】
なお、本発明によるプッシュオンスイッチであれば、第二スイッチのオン状態への移行でピント調整や手振れ防止機能を作動させる構成としてあっても従来の課題を下記のようにして解決できる。
【0058】
すなわち、例えば動きながらの撮影時などで指が操作部分から若干外れかかったりして第二スイッチのオン状態が解除されても、当該スイッチにおいては指が操作部分上に載っているのみで第一スイッチのオン状態が維持されるため、機器側の制御として第二スイッチがオフ状態となった後にタイマー機能を働かせ、所定時間内に第一スイッチがオフ状態になる場合を除いてピント調整や手振れ防止機能を作動させ続ける仕様とすれば、ピント調整や手振れ防止機能の不用意な解除が少ないものに構成できる。
【0059】
なお、本発明によるプッシュオンスイッチはカメラ用途のみに限定されることはなく、例えばAV・OA機器や各種リモコンなどに搭載して用いられてもよい。
【0060】
なお、当該プッシュオンスイッチを基として各種派生製品を構成することもできる。
【0061】
例えば、切り欠き溝部22の底部部分に外側接点部41を配したのと同様に、図10に示すように、他方の切り欠き溝部23の底部を他方の周辺接点32からの引き回し部で外側接点部42として構成したもの、その際に外側接点部42に対して対応する他方の突出部11を常接状態としたもの、上記両者間に所定間隔をあけて対峙させた構成のもの、さらには、周辺接点と外側接点部とを互いに独立させて配し、かつ個々に接続用端子を設けたものなどとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によるプッシュオンスイッチは、第一スイッチのオン状態に移行させる操作力が従来のものに対し、さらに軽くてその操作状態の維持も容易な多段動作仕様のものを実現できるという効果を有し、各種電子機器の入力操作部を構成する際などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの断面図
【図2】同断面図
【図3】同外観斜視図
【図4】同分解斜視図
【図5】同スイッチケースの上面図
【図6】(a)同第一スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、(b)同S−S線における断面図
【図7】同プッシュオンスイッチの操作時における遷移状態を示す図
【図8】(a)同第二スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、(b)同S−S線における断面図
【図9】(a)同第三スイッチの動作状態を説明する図3のR−R線における断面図、(b)同S−S線における断面図
【図10】同他の構成としたものの断面図
【図11】従来のプッシュオンスイッチの外観斜視図
【図12】同分解斜視図
【図13】(a)同図11のP−P線における断面図、(b)同Q−Q線における断面図
【図14】同スイッチケースの上面図
【図15】(a)同可動接点の平面図、(b)同側面図
【図16】同スイッチケース内に可動接点を装着した状態の上面図
【図17】(a)同第一スイッチの動作状態を説明する図11のP−P線における断面図、(b)同Q−Q線における断面図
【図18】(a)同第二スイッチの動作状態を説明する図11のP−P線における断面図、(b)同Q−Q線における断面図
【図19】同プッシュオンスイッチの操作時における遷移状態を示す図
【符号の説明】
【0064】
3 中央接点
3A、6A、31A、32A 接続用端子
7 可動接点
8 円板部
9 連結部
10 リング状部
10A 側部
10B 頂点部
11 突出部
13 金属カバー
13A 枠状平坦部
13B 弾性アーム
13C 押圧部
13D 下方凸部
13E カバー端子
21 スイッチケース
21A 凹部
21B 小突起
22、23 切り欠き溝部
24 可動接点受け部
31、32 周辺接点
41、42 外側接点部
50 シート
50A 中央貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の凹部の内底面に、中央接点及びこれから等距離の位置に配された二つの周辺接点、また上記周辺接点の外側位置に少なくとも一つの外側接点部を備えた絶縁樹脂製のスイッチケースと、上方に球面状に湾曲した円板部及びその外方に一定の間隔をあけて可撓性を有する細巾の連結部で同心円状に繋がれたリング状部とそのリング状部から外側に突出形成された突出部を有し、上記リング状部が上記スイッチケースの凹部内に設けられた段状の可動接点受け部に載せられて上記円板部の外周が上記各周辺接点の上方に所定の間隔をあけて位置すると共に、上記突出部が上記外側接点部に常接状態で配された弾性金属板製の可動接点と、上記スイッチケースの凹部を覆うように配された中央貫通孔付きのシートと、上記シート上から上記スイッチケースに結合され、上記シートの中央貫通孔内の位置に応じた上記可動接点の円板部部分に対しその上方に所定間隔を維持して配される上下動可能な押圧部を有するカバー端子付きの金属カバーとからなるプッシュオンスイッチ。
【請求項2】
外側接点部が、周辺接点の一方側に導通状態で配された請求項1記載のプッシュオンスイッチ。
【請求項3】
シートの中央貫通孔の周囲下面を、全周に亘る円形リング状で可動接点の円板部上に粘着保持させた請求項1記載のプッシュオンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−52962(P2007−52962A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236274(P2005−236274)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】