プッシュスイッチ用弾性アクチュエータおよび入力装置
【課題】タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチが安価に実現できる「プッシュスイッチ用弾性アクチュエータ」と、それを用いた「入力装置」を提供すること。
【解決手段】弾性アクチュエータ3は、押圧操作時に座屈しないで徐々に撓む柔軟変形壁部3eを介してベース部3aが駆動筒部3bを支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部3dを介して両筒部3b,3cが連結されている成形ゴムからなる。操作荷重は駆動筒部3bに付与され、柔軟変形壁部3eは軽い操作荷重で撓み始める。浅押し操作に伴って駆動筒部3bが小なる一定量だけ下動すると、従動筒部3cが第1のスイッチ回路をオン状態となして該従動筒部3cのさらなる下動は規制される。また、深押し操作に伴い駆動筒部3bが大なる一定量だけ下動すると、クリック生成壁部3dが座屈して該駆動筒部3bが第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした。
【解決手段】弾性アクチュエータ3は、押圧操作時に座屈しないで徐々に撓む柔軟変形壁部3eを介してベース部3aが駆動筒部3bを支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部3dを介して両筒部3b,3cが連結されている成形ゴムからなる。操作荷重は駆動筒部3bに付与され、柔軟変形壁部3eは軽い操作荷重で撓み始める。浅押し操作に伴って駆動筒部3bが小なる一定量だけ下動すると、従動筒部3cが第1のスイッチ回路をオン状態となして該従動筒部3cのさらなる下動は規制される。また、深押し操作に伴い駆動筒部3bが大なる一定量だけ下動すると、クリック生成壁部3dが座屈して該駆動筒部3bが第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が行えるプッシュスイッチに接点ゴム等として用いられる弾性アクチュエータと、かかる弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチが複数個配設されている入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、可動接点付きの弾性アクチュエータとして動作する接点ゴムをプッシュスイッチに組み込むことにより、押下ストロークに応じた2種類の信号を取り出すことのできるプッシュスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来のプッシュスイッチは、第1および第2の固定接点が配設された基板上に接点ゴムが載置され、この接点ゴムの天面に操作キーが搭載されている。接点ゴムには第1および第2の固定接点と接離可能に対向する第1および第2の可動接点が固設されており、ユーザが操作キーを浅めに所定量だけ押し込む(浅押し操作する)と、第1の可動接点が第1の固定接点に当接して両接点が導通され、ユーザが操作キーを深めに所定ストローク押し込む(深押し操作する)と、第2の可動接点が第2の固定接点に当接して両接点が導通されるようになっている。
【0003】
かかる従来のプッシュスイッチに組み込まれている接点ゴムは、天面中央部が凹んだ略円錐台形状の外観を呈する。この接点ゴムには、基板上に載置されるベース部と、底面に第2可動接点が設けられた円環部と、円環部の外周面とベース部とを連結している外側スカート部と、底面に第1可動接点が設けられた中央突起部と、円環部の内周面と中央突起部とを連結している内側スカート部とが設けられている。ベース部は外側スカート部を介して円環部を持ち上げるように支持しており、第2可動接点が第2固定接点の真上に間隔d2を存して配置されている。また、円環部が内側スカート部を介して中央突起部を吊り下げるように支持しており、第1可動接点が第1固定接点の真上に間隔d1(ただしd1<d2)を存して配置されている。操作キーは円環部の天面に搭載されており、ユーザが操作キーを押し込むことによって接点ゴムが押圧操作されるようになっている。また、接点ゴムの上方への付勢力によって非操作時の操作キーにプリテンションを付与しておくことにより、操作キーのガタつきを防止できるようになっている。
【0004】
かかる従来のプッシュスイッチの動作について説明すると、押圧操作時には、まず接点ゴムの外側スカート部が撓んで円環部および中央突起部が下動していき、操作キーが一定量押し込まれた時点で外側スカート部が弾性的に座屈する。そのため、クリック感が生起されて第1可動接点が第1固定接点に当接し、両接点が導通されたことにより第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わると共に、中央突起部のさらなる下動が基板に規制された状態になる。そして、ユーザが操作キーをさらに押し込んでいくと、円環部の下動に伴って外側スカート部と内側スカート部がそれぞれ撓んでいき、操作キーが前記一定量よりも深い所定ストローク押し込まれた時点で内側スカート部が弾性的に座屈する。その結果、クリック感が生起されて第2可動接点が第2固定接点に当接し、両接点が導通されたことにより第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わる。なお、操作荷重(押圧操作力)が除去されると、接点ゴムは自らの弾性で元の形状に戻るため、プッシュスイッチの操作キーは非操作時の高さ位置まで押し上げられ、第1および第2のスイッチ回路はオフ状態に自動復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−7735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、カーエアコンやカーオーディオ等の車載用制御装置を操作するための複数個のプッシュスイッチを配設した入力装置として、ユーザの手指がプッシュスイッチの操作キーに触れているか否かを静電容量の変化に基づいて検知可能なセンサ機能を有するタッチセンサ付きの入力装置が実用化されている。かかるタッチセンサ付きの入力装置は、運転中のユーザが目視しやすい場所に設置されているディスプレイ装置と接続されており、このディスプレイ装置に、ユーザの手指がどの操作キーに触れているのかがリアルタイムで表示されるようになっている。したがって、ユーザはプッシュスイッチの押圧操作時に手元を注視しなくても、ディスプレイ装置の表示画面を見れば自分の手指が現在どの操作キー上に置かれているのかを把握できることになる。それゆえ、運転中であっても、ユーザは前方への注意を怠ることなく所望のプッシュスイッチを正確に押圧操作することが可能となり、安全性が高まるものと期待されている。
【0007】
しかしながら、静電容量の変化に基づくタッチセンサを採用すると、マイコン等を追加した高価な入力装置になってしまい、かつ、操作キーの背面側に検出電極を設けなければならないため、操作キーの照光領域を確保しにくくなるという不具合があった。さらに、ユーザが手袋を着用していると正確なセンシングが行えなくなってしまうため、使い勝手も悪かった。
【0008】
そこで、タッチセンサと同じようなセンサ機能を安価に実現するために、前述した接点ゴム等の弾性アクチュエータを用いて2段階の押圧操作を可能にしたプッシュスイッチの浅押し操作によって、ユーザの手指が操作キー上に置かれているか否かを機械的に検知するという手法が考えられる。すなわち、ユーザが手指を任意のプッシュスイッチの操作キー上に載せることにより、その操作キーが容易に浅押し操作されるように設定しておけば、列状に並ぶ複数個の操作キーのどこにユーザの手指が置かれているのかを前記ディスプレイ装置の表示画面を見て把握できるので、ユーザは手元を注視しなくても所望のプッシュスイッチを正確に深押し操作することが可能となる。これにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有する入力装置が安価に得られることになる。
【0009】
しかし、前述した従来の接点ゴムは、浅押し操作されたときに外側スカート部がクリック感を生起するため、操作キー上にユーザの手指が置かれているか否かを正確に検知するためには、ユーザが意識して操作キーを浅押し操作しなければならない。つまり、列状に並ぶ複数個の操作キーをユーザがなぞるだけでは、各プッシュスイッチの第1のスイッチ回路を確実にオン状態に切り替えることができず、ユーザは複数個の操作キーを順番に浅押ししていかなければならないため、良好な操作性を期待することはできない。なお、外側スカート部がクリック感を生起する前に第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わるように設計することも可能であるが、その場合、深押し操作時に外側スカート部と内側スカート部が断続的にクリック感を生起してしまうため、操作感触が極めて悪くなるという別の問題が発生する。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを安価に実現できるプッシュスイッチ用弾性アクチュエータを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた安価な入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した第1の目的を達成するために、本発明は、操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれ、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となす成形ゴムからなる弾性アクチュエータにおいて、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とを有し、前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成した。
【0012】
このように構成されたプッシュスイッチ用弾性アクチュエータでは、駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持する柔軟変形壁部が軽い操作荷重で撓み始めると共に撓みを増しても座屈しないため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、この弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータを用いることにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有して操作性も良好なプッシュスイッチを安価に実現することができる。しかも、この弾性アクチュエータを用いたプッシュスイッチは、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0013】
上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、駆動筒部と従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていると、この弾性アクチュエータを接点ゴムとなすことができるため、プッシュスイッチの部品点数削減や組立性向上に有利となる。ただし、この弾性アクチュエータはメンブレンスイッチを組み込んだプッシュスイッチに適用することも可能であり、この場合には、弾性アクチュエータが接点ゴムである必要はない。
【0014】
また、上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、駆動筒部が従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されていると、押圧操作時に駆動筒部を傾きなく下動させることが容易となる。ただし、従動筒部が駆動筒部を包囲するように設けられ、この従動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されているという構成も可能である。
【0015】
また、上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることが好ましく、こうすることによって、軽い操作荷重で撓み始めて座屈もしない柔軟変形壁部を容易に形成することができる。この場合において、柔軟変形壁部の複数個所に孔が設けられていると、これらの孔の位置や数、大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部の撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【0016】
上記した第2の目的を達成するために、本発明は、操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチを複数個備え、前記プッシュスイッチに組み込まれた成形ゴムからなる弾性アクチュエータが前記操作キーを介して押圧操作され、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし、かつ前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした入力装置において、前記弾性アクチュエータに、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とが設けられており、前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成した。
【0017】
このように構成された入力装置において、プッシュスイッチに組み込まれている弾性アクチュエータは、駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持する柔軟変形壁部が軽い操作荷重で撓み始めると共に撓みを増しても座屈しないため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、このプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで第1のスイッチ回路オン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部の下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有して操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた実用的価値の高い入力装置が安価に得られる。しかも、この入力装置は、ユーザが手袋を着用していてもプッシュスイッチのセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0018】
上記の構成の入力装置において、複数個のプッシュスイッチの各操作キーが列状に配置されており、これら各操作キーが浅押し操作されているか否かを外部のディスプレイ装置に表示するようにしてあると、ユーザは手元を見ずに所望のプッシュスイッチを正確に選択して深押し操作できるようになり、例えば車載用の入力装置に適用した場合、運転中のユーザが前方への注意を怠ることなく所望のプッシュスイッチを容易に操作できるようになる。
【0019】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータの駆動筒部と従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていると、この弾性アクチュエータを接点ゴムとなすことができるため、プッシュスイッチの部品点数削減や組立性向上に有利となる。ただし、この弾性アクチュエータはメンブレンスイッチを組み込んだプッシュスイッチに適用することも可能であり、この場合には、弾性アクチュエータが接点ゴムである必要はない。
【0020】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータは、駆動筒部が従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されていると、押圧操作時に駆動筒部を傾きなく下動させることが容易となる。ただし、従動筒部が駆動筒部を包囲するように設けられ、この従動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されているという構成も可能である。
【0021】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータの柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることが好ましく、こうすることによって、軽い操作荷重で撓み始めて座屈もしない柔軟変形壁部を容易に形成することができる。この場合において、柔軟変形壁部の複数個所に孔が設けられていると、これらの孔の位置や数、大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部の撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータは、押圧操作時に座屈を伴わず徐々に撓む柔軟変形壁部を介してベース部が駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部を介して駆動筒部と従動筒部とが連結されている成形ゴムを採用しており、柔軟変形壁部は駆動筒部に軽い操作荷重を付与すれば撓み始めるため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、この弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで従動筒部の下動により第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、駆動筒部が第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えたことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータを用いることにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを安価に実現することができる。しかも、この弾性アクチュエータを用いたプッシュスイッチは、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0023】
また、本発明の入力装置によれば、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれる弾性アクチュエータとして、押圧操作時に座屈を伴わず徐々に撓む柔軟変形壁部を介してベース部が駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部を介して駆動筒部と従動筒部とが連結されている成形ゴムを採用しており、柔軟変形壁部は駆動筒部に軽い操作荷重を付与すれば撓み始めるため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部および従動筒部に生じさせることができる。したがって、このプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで従動筒部の下動により第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、駆動筒部が第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えたことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた実用的価値の高い入力装置が安価に得られる。しかも、この入力装置は、ユーザが手袋を着用していてもプッシュスイッチのセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図2】図1のプッシュスイッチに用いられた弾性アクチュエータの底面図である。
【図3】図1のプッシュスイッチの固定接点の形状を示す平面図である。
【図4】図1のプッシュスイッチの浅押し操作時の断面図である。
【図5】図1のプッシュスイッチの深押し操作時の断面図である。
【図6】図1のプッシュスイッチの操作荷重と押下ストロークの関係を示す特性図である。
【図7】図1のプッシュスイッチが複数個配設されている入力装置の外観図である。
【図8】図7の入力装置に組み込まれている成形ゴム体の外観図である。
【図9】該成形ゴム体の平面図である。
【図10】該成形ゴム体の側面図である。
【図11】図7に示す入力装置を含む制御システムのブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態例に係るプッシュスイッチ用弾性アクチュエータの側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態例について図面を参照しつつ説明する。図1〜図6は本実施形態例に係るプッシュスイッチの構造や動作を説明するためのものであり、図7〜図11は該プッシュスイッチを複数個配設してなる入力装置を説明するためのものである。
【0026】
まず、プッシュスイッチ1の構造について説明する。このプッシュスイッチ1は、透光性を有する合成樹脂で形成された操作キー2と、例えば透光性を有するシリコーンゴム等の成形ゴムからなる弾性アクチュエータ3と、導電性を有するカーボン素材で形成され弾性アクチュエータ3に印刷や接着等により固設された可動接点4a,4bと、同じく導電性を有するカーボン素材で形成された固定接点5a,5bやLED6等が配設された基板(プリント基板)7とを備えており、上ケース8と下ケース9を組み合わせてなる筐体の内部に弾性アクチュエータ3や基板7が収納されている。
【0027】
操作キー2は弾性アクチュエータ3上に搭載されて上ケース8の開口部8a内に昇降可能(前後進可能)に配置されており、操作キー2の上部が上ケース8から突出して押圧操作されるようになっている。図1に示すように、非操作時の操作キー2は弾性アクチュエータ3の付勢力によって上ケース8の凹部8bに押し付けられており、このプリテンションによって操作キー2のガタつきが防止されている。また、操作キー2の天面には図示せぬ照光領域が設けられており、この照光領域が基板7上のLED6の光で照光されるようになっている。
【0028】
図3に示すように、基板7上にはLED6の周囲に第1固定接点5aが不連続な略環状に設けられており、第1固定接点5aの周囲には第2固定接点5bが不連続な略環状に設けられている。また、図1に示すように、弾性アクチュエータ3に固設された第1可動接点4aと第2可動接点4bがそれぞれ、第1固定接点5aと第2固定接点5bの真上に接離可能に配置されている。両可動接点4a,4bは図2に示すような形状に形成されているため、第1可動接点4aを当接させることにより不連続な第1固定接点5a間を導通させて第1の制御信号を取り出すことができ、同様に、第2可動接点4bを当接させることにより不連続な第2固定接点5b間を導通させて第2の制御信号を取り出すことができる。すなわち、このプッシュスイッチ1には、第1可動接点4aが第1固定接点5aに当接するとオン状態に切り替わる第1のスイッチ回路と、第2可動接点4bが第2固定接点5bに当接するとオン状態に切り替わる第2のスイッチ回路とが設けられている。
【0029】
弾性アクチュエータ3は成形ゴムであるが、第1および第2可動接点4a,4bを固設しているため接点ゴムとして動作する。この弾性アクチュエータ3には、基板7上で第2固定接点5bを包囲する領域に載置されるベース部3aと、同心状に配置された駆動筒部3bおよび従動筒部3cと、駆動筒部3bの内周面と従動筒部3cの外周面を全周に亘って連結しているクリック生成壁部3dと、駆動筒部3bの外周面を全周に亘ってベース部3aに連結している柔軟変形壁部3eとが設けられており、ベース部3aが柔軟変形壁部3eを介して駆動筒部3bを支持している。駆動筒部3bの天面は弾性アクチュエータ3の最上端に位置するため、操作キー2は駆動筒部3b上に搭載され、操作荷重が駆動筒部3bの天面に付与されるようになっている。駆動筒部3bはクリック生成壁部3dを介して従動筒部3cを支持しているので、操作荷重が付与されて駆動筒部3bが下動(後退)すると、従動筒部3cが駆動筒部3bに駆動されて下動する。従動筒部3cの底面は基板7に近接して配置され、この従動筒部3cの底面に印刷や接着等により第1可動接点4aが固設されている。駆動筒部3bの底面は従動筒部3cの底面よりも基板7から離れた位置に配置され、この駆動筒部3bの底面に印刷や接着等により第2可動接点4bが固設されている。クリック生成壁部3dは、従動筒部3cの外周面から駆動筒部3bの内周面にかけてその断面形状が直線的に斜め上方に延びる逆スカート形状に形成されている。このクリック生成壁部3dは操作キー2の押圧操作時に座屈変形可能であり、座屈するときにクリック感を生起するようになっている。柔軟変形壁部3eは十分に軽い操作荷重で撓み始めるように、クリック生成壁部3dよりも肉薄で且つその断面形状が直線部を持たず一方向に連続して湾曲する湾曲形状に形成されており、本実施形態例では、ベース部3aの天面と駆動筒部3bの外周面との間で約90°の角度範囲に亘る略円弧形状とされている。柔軟変形壁部3eは操作キー2の押圧操作時には座屈しないで徐々に撓むようになっている。なお、柔軟変形壁部3eの断面形状は直線部を持たない湾曲形状に限られるものではなく、例えば微小な直線部が連接されて全体として湾曲形状を呈するもの等、操作キー2の押圧操作時に座屈しないで撓む形状であれば如何なるものでも良い。ただし、後述する操作キー2の全押下ストローク範囲において、柔軟変形壁部3eの断面形状に起因する操作荷重の急激な変化が生じないようにするためには、上述したように、柔軟変形壁部3eの断面形状を直線部を持たず一方向に連続して湾曲する湾曲形状とすることが好ましい。
【0030】
このような弾性アクチュエータ3を接点ゴムとして用いているため、プッシュスイッチ1は、軽い操作力で操作キー2を浅く押し込むことによって前記第1のスイッチ回路をオン状態に切り替える浅押し操作と、比較的強い操作力で操作キー2を深く押し込むことによって前記第2のスイッチ回路をオン状態に切り替える深押し操作とが行えるようになっている。
【0031】
かかる2段階の押圧操作について、図6のフィーリング曲線を参照しつつ説明する。なお、図6は操作キー2を押し込んだときの操作荷重と押下ストロークとの関係を示している。同図に示すように、本実施形態例のプッシュスイッチ1では、操作荷重が0.2N(約20g重)以上であるときに操作キー2を介して弾性アクチュエータ3が押し撓められるようになっている。これは、弾性アクチュエータ3により非操作時の操作キー2にほぼ0.2N(約20g重)のプリテンションが付与されているためであり、このプリテンションによって操作キー2のガタつきが防止されていると共に、外部振動等によって操作キー2が意図せず浅押し操作された状態にならないように配慮されている。また、非操作時においてプッシュスイッチ1内の弾性アクチュエータ3は図1に示すような断面形状になっており、第1および第2可動接点4a,4bがそれぞれ第1および第2固定接点5a,5bの真上に配置されている。
【0032】
操作キー2に0.2N以上の操作荷重が付与されると、弾性アクチュエータ3は、まず柔軟変形壁部3eが徐々に撓んでいくのに伴って駆動筒部3bと従動筒部3cが下動(後退)していくが、従動筒部3cと基板7との間隔は僅かなので、押下ストロークがS1(約0.22mm)に達した時点で従動筒部3cの下動が基板7に規制された図4の状態になり、第1可動接点4aが第1固定接点5aに当接する。つまり、0.5mmに満たない微少な押下ストロークS1において第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わり、押下ストロークS1を実現するために必要な操作荷重は0.32N(約33g重)と極めて軽い。したがって、ユーザは意識的な押し込み操作を行わなくても、手指を操作キー2上に載せるだけでプッシュスイッチ1の浅押し操作が行えるようになっている。
【0033】
浅押し操作された操作キー2がさらに押し込まれると、従動筒部3cの下動が規制されたまま駆動筒部3bが下動するため、柔軟変形壁部3eが撓み続けるだけでなくクリック生成壁部3dも撓み始める。それゆえ、図6に示すように、フィーリング曲線の傾斜角度は押下ストロークS1を越えると急に大きくなる。そして、操作荷重が3.17N(約324g重)で押下ストロークをS2(約1.12mm)まで増やすことができるが、押下ストロークがS2を越えるとクリック生成壁部3dが弾性的に座屈するため、操作荷重が急減して押下ストロークがS3(約1.63mm)まで急増し、それに伴ってクリック感が生起される。その結果、駆動筒部3bの下動が基板7に規制された図5の状態になり、第2可動接点4bが第2固定接点5bに当接する。つまり、ユーザは操作キー2に3.17N以上の操作荷重を加えて1.6mm以上押し込むことによって、第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。なお、上記の操作荷重および押下ストロークの数値はあくまで一例であり、操作キー2の大きさや重量等に応じて適宜設定可能であることは言うまでもない。ただし、ユーザが意識的な押し込み操作を行わなくても、手指を操作キー2上に載せるだけでプッシュスイッチ1の浅押し操作が行えるようにするためには、図6に示す浅押し操作時の押下ストロークS1は0.5mm以下であることが好ましく、この押下ストロークS1を得るために必要な操作荷重は0.48N(50g重)以下であることが好ましい。
【0034】
このようにプッシュスイッチ1に接点ゴムとして組み込まれている弾性アクチュエータ3は、駆動筒部3bを支持する柔軟変形壁部3eが十分に軽い操作荷重で撓み始めると共に、図5に示す第2のスイッチ回路のオン状態となるまで、すなわち操作キー2の全押下ストローク範囲において座屈することがないため、ユーザが操作キー2上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチ1の浅押し操作に必要な小なる一定量の下動(押下ストロークS1)を駆動筒部3bと従動筒部3cに生じさせることができる。つまり、このプッシュスイッチ1は、ユーザが意識的に操作キー2を押し込まなくても浅押し操作が行え、手指を操作キー2上に載せるだけで第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチ1をユーザが深押し操作した場合には、従動筒部3cの下動が規制された後の駆動筒部3bのさらなる下動によってクリック生成壁部3dを座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータ3を用いることによって、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチ1を安価に実現することができる。しかも、こうして得られるプッシュスイッチ1は、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キー2の背面側にLED6の光を妨げる検出電極を設ける必要がないため、操作キー2に照光領域を確保することが容易である。
【0035】
なお、図1に示すように、弾性アクチュエータ3の柔軟変形壁部3eは断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部3dよりも肉薄に形成されており、こうすることによって、駆動筒部3bを支持したまま軽い操作荷重で撓み始めて深押し操作時にも座屈しない柔軟変形壁部3eを容易に形成することができる。また、後述するように、弾性アクチュエータ3が接点ゴムではない構成にすることも可能であるが、本実施形態例のように弾性アクチュエータ3を第1および第2可動接点4a,4bを有する接点ゴムとなしておけば、プッシュスイッチ1の部品点数削減や組立性向上に有利となる。
【0036】
次に、プッシュスイッチ1が複数個配設されている入力装置10について、図7〜図11を参照しつつ説明する。なお、これらの図において、図1〜図5と対応する部分には同一符号が付してある。また、本実施形態例では、プッシュスイッチ1が横1列に3個並べて配設されている入力装置10を例示しているが、プッシュスイッチ1の数や並べ方は適宜選択可能である。
【0037】
図7〜図11に示す入力装置10は、カーエアコンやカーオーディオ等の車載用制御装置40を操作するためのものであり、入力装置10に配設された任意のプッシュスイッチ1の操作キー2をユーザが深押し操作することによって、所望の操作を実行するための制御信号が車載用制御装置40へ出力されるようになっている。また、この入力装置10は、ユーザにとって目視容易な場所に設置されているディスプレイ装置50と接続されており、ユーザの手指が現在どの操作キー2上に置かれているか(浅押し操作されているか)という情報や、どの操作キー2が深押し操作されたのかという情報や、各操作キー2に割り当てられている操作内容等が、ディスプレイ装置50の表示画面に表示されるようになっている。なお、ディスプレイ装置50は車載用制御装置40とも接続されており、車載用制御装置40の現在の制御内容等をディスプレイ装置50の表示画面に表示させることができる。
【0038】
入力装置10に配設されている各プッシュスイッチ1はすべて同じ構造のものであり、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が可能である。また、各プッシュスイッチ1に接点ゴムとして組み込まれている弾性アクチュエータ3は、互いのベース部3aを共有している。すなわち、図8〜図10に示す成形ゴム体30に各プッシュスイッチ1の弾性アクチュエータ3が一体的に形成されている。
【0039】
そして、ユーザが任意のプッシュスイッチ1の操作キー2上に手指を載せて浅押し操作すると、このプッシュスイッチ1の前記第1のスイッチ回路からディスプレイ装置50へ検出信号(オン信号)が出力されるため、この検出信号に基づいて、手指がどの操作キー2上に位置しているのかがディスプレイ装置50の表示画面に瞬時に表示されるようになっている。したがって、ユーザは手元を注視することなく所望のプッシュスイッチ1の操作キー2を正確に選び出して深押し操作することができ、深押し操作された操作キー2に割り当てられている操作内容を実行するための制御信号(オン信号)が第2のスイッチ回路から車載用制御装置40へ出力される。これにより、運転中のユーザは、前方への注意を怠ることなく入力装置10の所望のプッシュスイッチ1を容易に操作できるようになっている。
【0040】
図12は本発明の第2実施形態例に係るプッシュスイッチ用弾性アクチュエータの側面図であり、図10と対応する部分には同一符号が付してある。
【0041】
図12に示す弾性アクチュエータ3は、柔軟変形壁部3eの複数個所に孔3fが設けられている点が前述した第1実施形態例と異なっている。これらの孔3fは柔軟変形壁部3eの剛性を弱めるために形成されたものであり、孔3fの位置や数や大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部3eの撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【0042】
図13は本発明の第3実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0043】
図13に示すプッシュスイッチ11は、押圧操作時に弾性アクチュエータ3の駆動筒部3bや従動筒部3cが基板7上のメンブレンスイッチ20を押圧駆動するように構成されており、第1実施形態例のプッシュスイッチ1に用いられていた可動接点4a,4bや固定接点5a,5bは省略されている。メンブレンスイッチ20は、可動接点を有する上部シートと固定接点を有する下部シートとがスペーサを介して積層されたものであり、従動筒部3cによって押圧駆動可能な可動接点を含む第1の接点対21と、駆動筒部3bによって押圧駆動可能な可動接点を含む第2の接点対22とが設けられている。そして、操作キー2が浅押し操作されると、従動筒部3cに押圧駆動された可動接点が対応する固定接点に接触して第1の接点対21が導通状態となり、これにより第1のスイッチ回路からオン信号が出力されるようになっている。また、操作キー2が深押し操作されると、駆動筒部3bに押圧駆動された可動接点が対応する固定接点に接触して第2の接点対22が導通状態となり、これにより第2のスイッチ回路からオン信号が出力されるようになっている。
【0044】
このようにメンブレンスイッチ20を使用したプッシュスイッチ11では、弾性アクチュエータ3を可動接点を有する接点ゴムとなす必要はない。同様に、基板7上の固定接点に接離可能な板ばね等からなる可動接点(図示せず)を使用した場合にも、弾性アクチュエータ3を接点ゴムとなす必要はない。
【0045】
図14は本発明の第4実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0046】
図14に示すプッシュスイッチ12は、弾性アクチュエータ3の内周部に従動筒部3cの内周面とベース部3aとを連結する柔軟変形壁部3gを付設した点が第1実施形態例と異なっている。この柔軟変形壁部3gは、弾性アクチュエータ3の外周部に設けられている柔軟変形壁部3eと同様に、十分に軽い操作荷重で撓み始めるように形成されており、押圧操作時には座屈を伴わず徐々に撓むようになっている。このように弾性アクチュエータ3の内周部に柔軟変形壁部3gが設けてあると、浅押し操作時に従動筒部3cを傾きなく下動させることが容易となる。ただし、柔軟変形壁部3gを付設すると弾性アクチュエータ3の内周側に空きスペースが確保しにくくなるため、操作キー2を照光させるためのLED等を設置する場合は、第1実施形態例のような構造にしておくほうが好ましい。
【0047】
図15は本発明の第5実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0048】
図15に示すプッシュスイッチ13では、弾性アクチュエータ3の駆動筒部3bと従動筒部3cの位置関係が第1実施形態例と逆になっており、それに伴い、可動接点4a,4bの位置関係や固定接点5a,5bの位置関係も第1実施形態例と逆になっている。すなわち、プッシュスイッチ13に用いられている弾性アクチュエータ3では、従動筒部3cが駆動筒部3bを包囲するように外側に設けられ、この従動筒部3cの外周面が柔軟変形壁部3eを介してベース部3aと連結されている。このように駆動筒部3bと従動筒部3cの位置関係を逆にしても、弾性アクチュエータ3の動作は第1実施形態例の場合と基本的に同等である。ただし、本実施形態例では、駆動筒部3bと柔軟変形壁部3eとが離隔してしまうため、押圧操作時に駆動筒部3bを傾きなく下動させることが第1実施形態例の場合ほど容易ではない。
【0049】
図16は本発明の第6実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図15と対応する部分には同一符号が付してある。
【0050】
図16に示すプッシュスイッチ14は、弾性アクチュエータ3の内周部に駆動筒部3bの内周面とベース部3aとを連結する柔軟変形壁部3hを付設した点が前述した第5実施形態例と異なっている。この柔軟変形壁部3hは、弾性アクチュエータ3の外周部に設けられている柔軟変形壁部3eと同様に、十分に軽い操作荷重で撓み始めるように形成されており、押圧操作時には座屈を伴わず徐々に撓むようになっている。このように弾性アクチュエータ3の内周部に駆動筒部3bと連続する柔軟変形壁部3hが設けてあると、押圧操作時に駆動筒部3bを傾きなく下動させることが容易となる。ただし、柔軟変形壁部3hを付設した場合、弾性アクチュエータ3の内周側にLED等を設置するための空きスペースは確保しにくくなる。
【符号の説明】
【0051】
1,11,12,13,14 プッシュスイッチ
2 操作キー
3 弾性アクチュエータ
3a ベース部
3b 駆動筒部
3c 従動筒部
3d クリック生成壁部
3e,3g,3h 柔軟変形壁部
3f 孔
4a,4b 可動接点
5a,5b 固定接点
6 LED
7 基板
10 入力装置
20 メンブレンスイッチ
30 成形ゴム体
40 車載用制御装置
50 ディスプレイ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が行えるプッシュスイッチに接点ゴム等として用いられる弾性アクチュエータと、かかる弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチが複数個配設されている入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、可動接点付きの弾性アクチュエータとして動作する接点ゴムをプッシュスイッチに組み込むことにより、押下ストロークに応じた2種類の信号を取り出すことのできるプッシュスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来のプッシュスイッチは、第1および第2の固定接点が配設された基板上に接点ゴムが載置され、この接点ゴムの天面に操作キーが搭載されている。接点ゴムには第1および第2の固定接点と接離可能に対向する第1および第2の可動接点が固設されており、ユーザが操作キーを浅めに所定量だけ押し込む(浅押し操作する)と、第1の可動接点が第1の固定接点に当接して両接点が導通され、ユーザが操作キーを深めに所定ストローク押し込む(深押し操作する)と、第2の可動接点が第2の固定接点に当接して両接点が導通されるようになっている。
【0003】
かかる従来のプッシュスイッチに組み込まれている接点ゴムは、天面中央部が凹んだ略円錐台形状の外観を呈する。この接点ゴムには、基板上に載置されるベース部と、底面に第2可動接点が設けられた円環部と、円環部の外周面とベース部とを連結している外側スカート部と、底面に第1可動接点が設けられた中央突起部と、円環部の内周面と中央突起部とを連結している内側スカート部とが設けられている。ベース部は外側スカート部を介して円環部を持ち上げるように支持しており、第2可動接点が第2固定接点の真上に間隔d2を存して配置されている。また、円環部が内側スカート部を介して中央突起部を吊り下げるように支持しており、第1可動接点が第1固定接点の真上に間隔d1(ただしd1<d2)を存して配置されている。操作キーは円環部の天面に搭載されており、ユーザが操作キーを押し込むことによって接点ゴムが押圧操作されるようになっている。また、接点ゴムの上方への付勢力によって非操作時の操作キーにプリテンションを付与しておくことにより、操作キーのガタつきを防止できるようになっている。
【0004】
かかる従来のプッシュスイッチの動作について説明すると、押圧操作時には、まず接点ゴムの外側スカート部が撓んで円環部および中央突起部が下動していき、操作キーが一定量押し込まれた時点で外側スカート部が弾性的に座屈する。そのため、クリック感が生起されて第1可動接点が第1固定接点に当接し、両接点が導通されたことにより第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わると共に、中央突起部のさらなる下動が基板に規制された状態になる。そして、ユーザが操作キーをさらに押し込んでいくと、円環部の下動に伴って外側スカート部と内側スカート部がそれぞれ撓んでいき、操作キーが前記一定量よりも深い所定ストローク押し込まれた時点で内側スカート部が弾性的に座屈する。その結果、クリック感が生起されて第2可動接点が第2固定接点に当接し、両接点が導通されたことにより第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わる。なお、操作荷重(押圧操作力)が除去されると、接点ゴムは自らの弾性で元の形状に戻るため、プッシュスイッチの操作キーは非操作時の高さ位置まで押し上げられ、第1および第2のスイッチ回路はオフ状態に自動復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−7735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、カーエアコンやカーオーディオ等の車載用制御装置を操作するための複数個のプッシュスイッチを配設した入力装置として、ユーザの手指がプッシュスイッチの操作キーに触れているか否かを静電容量の変化に基づいて検知可能なセンサ機能を有するタッチセンサ付きの入力装置が実用化されている。かかるタッチセンサ付きの入力装置は、運転中のユーザが目視しやすい場所に設置されているディスプレイ装置と接続されており、このディスプレイ装置に、ユーザの手指がどの操作キーに触れているのかがリアルタイムで表示されるようになっている。したがって、ユーザはプッシュスイッチの押圧操作時に手元を注視しなくても、ディスプレイ装置の表示画面を見れば自分の手指が現在どの操作キー上に置かれているのかを把握できることになる。それゆえ、運転中であっても、ユーザは前方への注意を怠ることなく所望のプッシュスイッチを正確に押圧操作することが可能となり、安全性が高まるものと期待されている。
【0007】
しかしながら、静電容量の変化に基づくタッチセンサを採用すると、マイコン等を追加した高価な入力装置になってしまい、かつ、操作キーの背面側に検出電極を設けなければならないため、操作キーの照光領域を確保しにくくなるという不具合があった。さらに、ユーザが手袋を着用していると正確なセンシングが行えなくなってしまうため、使い勝手も悪かった。
【0008】
そこで、タッチセンサと同じようなセンサ機能を安価に実現するために、前述した接点ゴム等の弾性アクチュエータを用いて2段階の押圧操作を可能にしたプッシュスイッチの浅押し操作によって、ユーザの手指が操作キー上に置かれているか否かを機械的に検知するという手法が考えられる。すなわち、ユーザが手指を任意のプッシュスイッチの操作キー上に載せることにより、その操作キーが容易に浅押し操作されるように設定しておけば、列状に並ぶ複数個の操作キーのどこにユーザの手指が置かれているのかを前記ディスプレイ装置の表示画面を見て把握できるので、ユーザは手元を注視しなくても所望のプッシュスイッチを正確に深押し操作することが可能となる。これにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有する入力装置が安価に得られることになる。
【0009】
しかし、前述した従来の接点ゴムは、浅押し操作されたときに外側スカート部がクリック感を生起するため、操作キー上にユーザの手指が置かれているか否かを正確に検知するためには、ユーザが意識して操作キーを浅押し操作しなければならない。つまり、列状に並ぶ複数個の操作キーをユーザがなぞるだけでは、各プッシュスイッチの第1のスイッチ回路を確実にオン状態に切り替えることができず、ユーザは複数個の操作キーを順番に浅押ししていかなければならないため、良好な操作性を期待することはできない。なお、外側スカート部がクリック感を生起する前に第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わるように設計することも可能であるが、その場合、深押し操作時に外側スカート部と内側スカート部が断続的にクリック感を生起してしまうため、操作感触が極めて悪くなるという別の問題が発生する。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを安価に実現できるプッシュスイッチ用弾性アクチュエータを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた安価な入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した第1の目的を達成するために、本発明は、操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれ、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となす成形ゴムからなる弾性アクチュエータにおいて、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とを有し、前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成した。
【0012】
このように構成されたプッシュスイッチ用弾性アクチュエータでは、駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持する柔軟変形壁部が軽い操作荷重で撓み始めると共に撓みを増しても座屈しないため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、この弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータを用いることにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有して操作性も良好なプッシュスイッチを安価に実現することができる。しかも、この弾性アクチュエータを用いたプッシュスイッチは、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0013】
上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、駆動筒部と従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていると、この弾性アクチュエータを接点ゴムとなすことができるため、プッシュスイッチの部品点数削減や組立性向上に有利となる。ただし、この弾性アクチュエータはメンブレンスイッチを組み込んだプッシュスイッチに適用することも可能であり、この場合には、弾性アクチュエータが接点ゴムである必要はない。
【0014】
また、上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、駆動筒部が従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されていると、押圧操作時に駆動筒部を傾きなく下動させることが容易となる。ただし、従動筒部が駆動筒部を包囲するように設けられ、この従動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されているという構成も可能である。
【0015】
また、上記の構成のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータにおいて、柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることが好ましく、こうすることによって、軽い操作荷重で撓み始めて座屈もしない柔軟変形壁部を容易に形成することができる。この場合において、柔軟変形壁部の複数個所に孔が設けられていると、これらの孔の位置や数、大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部の撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【0016】
上記した第2の目的を達成するために、本発明は、操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチを複数個備え、前記プッシュスイッチに組み込まれた成形ゴムからなる弾性アクチュエータが前記操作キーを介して押圧操作され、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし、かつ前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした入力装置において、前記弾性アクチュエータに、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とが設けられており、前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成した。
【0017】
このように構成された入力装置において、プッシュスイッチに組み込まれている弾性アクチュエータは、駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持する柔軟変形壁部が軽い操作荷重で撓み始めると共に撓みを増しても座屈しないため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、このプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで第1のスイッチ回路オン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部の下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、タッチセンサと同じようなセンサ機能を有して操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた実用的価値の高い入力装置が安価に得られる。しかも、この入力装置は、ユーザが手袋を着用していてもプッシュスイッチのセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0018】
上記の構成の入力装置において、複数個のプッシュスイッチの各操作キーが列状に配置されており、これら各操作キーが浅押し操作されているか否かを外部のディスプレイ装置に表示するようにしてあると、ユーザは手元を見ずに所望のプッシュスイッチを正確に選択して深押し操作できるようになり、例えば車載用の入力装置に適用した場合、運転中のユーザが前方への注意を怠ることなく所望のプッシュスイッチを容易に操作できるようになる。
【0019】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータの駆動筒部と従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていると、この弾性アクチュエータを接点ゴムとなすことができるため、プッシュスイッチの部品点数削減や組立性向上に有利となる。ただし、この弾性アクチュエータはメンブレンスイッチを組み込んだプッシュスイッチに適用することも可能であり、この場合には、弾性アクチュエータが接点ゴムである必要はない。
【0020】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータは、駆動筒部が従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されていると、押圧操作時に駆動筒部を傾きなく下動させることが容易となる。ただし、従動筒部が駆動筒部を包囲するように設けられ、この従動筒部の外周面が柔軟変形壁部を介してベース部と連結されているという構成も可能である。
【0021】
また、上記の構成の入力装置において、弾性アクチュエータの柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることが好ましく、こうすることによって、軽い操作荷重で撓み始めて座屈もしない柔軟変形壁部を容易に形成することができる。この場合において、柔軟変形壁部の複数個所に孔が設けられていると、これらの孔の位置や数、大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部の撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプッシュスイッチ用弾性アクチュエータは、押圧操作時に座屈を伴わず徐々に撓む柔軟変形壁部を介してベース部が駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部を介して駆動筒部と従動筒部とが連結されている成形ゴムを採用しており、柔軟変形壁部は駆動筒部に軽い操作荷重を付与すれば撓み始めるため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部と従動筒部に生じさせることができる。したがって、この弾性アクチュエータを組み込んだプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで従動筒部の下動により第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、駆動筒部が第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えたことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータを用いることにより、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを安価に実現することができる。しかも、この弾性アクチュエータを用いたプッシュスイッチは、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【0023】
また、本発明の入力装置によれば、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれる弾性アクチュエータとして、押圧操作時に座屈を伴わず徐々に撓む柔軟変形壁部を介してベース部が駆動筒部と従動筒部の少なくとも一方を支持していると共に、押圧操作時に座屈するクリック生成壁部を介して駆動筒部と従動筒部とが連結されている成形ゴムを採用しており、柔軟変形壁部は駆動筒部に軽い操作荷重を付与すれば撓み始めるため、ユーザが操作キー上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチの浅押し操作に必要な小なる一定量の下動を駆動筒部および従動筒部に生じさせることができる。したがって、このプッシュスイッチは、ユーザが意識的に操作キーを押し込まなくても浅押し操作が行えることになり、手指を操作キー上に載せるだけで従動筒部の下動により第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチをユーザが深押し操作した場合には、従動筒部の下動が規制された後の駆動筒部のさらなる下動によってクリック生成壁部を座屈させることができるため、駆動筒部が第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えたことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチを複数個備えた実用的価値の高い入力装置が安価に得られる。しかも、この入力装置は、ユーザが手袋を着用していてもプッシュスイッチのセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キーの背面側に検出電極を設ける必要がないため、操作キーの照光領域を確保することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図2】図1のプッシュスイッチに用いられた弾性アクチュエータの底面図である。
【図3】図1のプッシュスイッチの固定接点の形状を示す平面図である。
【図4】図1のプッシュスイッチの浅押し操作時の断面図である。
【図5】図1のプッシュスイッチの深押し操作時の断面図である。
【図6】図1のプッシュスイッチの操作荷重と押下ストロークの関係を示す特性図である。
【図7】図1のプッシュスイッチが複数個配設されている入力装置の外観図である。
【図8】図7の入力装置に組み込まれている成形ゴム体の外観図である。
【図9】該成形ゴム体の平面図である。
【図10】該成形ゴム体の側面図である。
【図11】図7に示す入力装置を含む制御システムのブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態例に係るプッシュスイッチ用弾性アクチュエータの側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態例について図面を参照しつつ説明する。図1〜図6は本実施形態例に係るプッシュスイッチの構造や動作を説明するためのものであり、図7〜図11は該プッシュスイッチを複数個配設してなる入力装置を説明するためのものである。
【0026】
まず、プッシュスイッチ1の構造について説明する。このプッシュスイッチ1は、透光性を有する合成樹脂で形成された操作キー2と、例えば透光性を有するシリコーンゴム等の成形ゴムからなる弾性アクチュエータ3と、導電性を有するカーボン素材で形成され弾性アクチュエータ3に印刷や接着等により固設された可動接点4a,4bと、同じく導電性を有するカーボン素材で形成された固定接点5a,5bやLED6等が配設された基板(プリント基板)7とを備えており、上ケース8と下ケース9を組み合わせてなる筐体の内部に弾性アクチュエータ3や基板7が収納されている。
【0027】
操作キー2は弾性アクチュエータ3上に搭載されて上ケース8の開口部8a内に昇降可能(前後進可能)に配置されており、操作キー2の上部が上ケース8から突出して押圧操作されるようになっている。図1に示すように、非操作時の操作キー2は弾性アクチュエータ3の付勢力によって上ケース8の凹部8bに押し付けられており、このプリテンションによって操作キー2のガタつきが防止されている。また、操作キー2の天面には図示せぬ照光領域が設けられており、この照光領域が基板7上のLED6の光で照光されるようになっている。
【0028】
図3に示すように、基板7上にはLED6の周囲に第1固定接点5aが不連続な略環状に設けられており、第1固定接点5aの周囲には第2固定接点5bが不連続な略環状に設けられている。また、図1に示すように、弾性アクチュエータ3に固設された第1可動接点4aと第2可動接点4bがそれぞれ、第1固定接点5aと第2固定接点5bの真上に接離可能に配置されている。両可動接点4a,4bは図2に示すような形状に形成されているため、第1可動接点4aを当接させることにより不連続な第1固定接点5a間を導通させて第1の制御信号を取り出すことができ、同様に、第2可動接点4bを当接させることにより不連続な第2固定接点5b間を導通させて第2の制御信号を取り出すことができる。すなわち、このプッシュスイッチ1には、第1可動接点4aが第1固定接点5aに当接するとオン状態に切り替わる第1のスイッチ回路と、第2可動接点4bが第2固定接点5bに当接するとオン状態に切り替わる第2のスイッチ回路とが設けられている。
【0029】
弾性アクチュエータ3は成形ゴムであるが、第1および第2可動接点4a,4bを固設しているため接点ゴムとして動作する。この弾性アクチュエータ3には、基板7上で第2固定接点5bを包囲する領域に載置されるベース部3aと、同心状に配置された駆動筒部3bおよび従動筒部3cと、駆動筒部3bの内周面と従動筒部3cの外周面を全周に亘って連結しているクリック生成壁部3dと、駆動筒部3bの外周面を全周に亘ってベース部3aに連結している柔軟変形壁部3eとが設けられており、ベース部3aが柔軟変形壁部3eを介して駆動筒部3bを支持している。駆動筒部3bの天面は弾性アクチュエータ3の最上端に位置するため、操作キー2は駆動筒部3b上に搭載され、操作荷重が駆動筒部3bの天面に付与されるようになっている。駆動筒部3bはクリック生成壁部3dを介して従動筒部3cを支持しているので、操作荷重が付与されて駆動筒部3bが下動(後退)すると、従動筒部3cが駆動筒部3bに駆動されて下動する。従動筒部3cの底面は基板7に近接して配置され、この従動筒部3cの底面に印刷や接着等により第1可動接点4aが固設されている。駆動筒部3bの底面は従動筒部3cの底面よりも基板7から離れた位置に配置され、この駆動筒部3bの底面に印刷や接着等により第2可動接点4bが固設されている。クリック生成壁部3dは、従動筒部3cの外周面から駆動筒部3bの内周面にかけてその断面形状が直線的に斜め上方に延びる逆スカート形状に形成されている。このクリック生成壁部3dは操作キー2の押圧操作時に座屈変形可能であり、座屈するときにクリック感を生起するようになっている。柔軟変形壁部3eは十分に軽い操作荷重で撓み始めるように、クリック生成壁部3dよりも肉薄で且つその断面形状が直線部を持たず一方向に連続して湾曲する湾曲形状に形成されており、本実施形態例では、ベース部3aの天面と駆動筒部3bの外周面との間で約90°の角度範囲に亘る略円弧形状とされている。柔軟変形壁部3eは操作キー2の押圧操作時には座屈しないで徐々に撓むようになっている。なお、柔軟変形壁部3eの断面形状は直線部を持たない湾曲形状に限られるものではなく、例えば微小な直線部が連接されて全体として湾曲形状を呈するもの等、操作キー2の押圧操作時に座屈しないで撓む形状であれば如何なるものでも良い。ただし、後述する操作キー2の全押下ストローク範囲において、柔軟変形壁部3eの断面形状に起因する操作荷重の急激な変化が生じないようにするためには、上述したように、柔軟変形壁部3eの断面形状を直線部を持たず一方向に連続して湾曲する湾曲形状とすることが好ましい。
【0030】
このような弾性アクチュエータ3を接点ゴムとして用いているため、プッシュスイッチ1は、軽い操作力で操作キー2を浅く押し込むことによって前記第1のスイッチ回路をオン状態に切り替える浅押し操作と、比較的強い操作力で操作キー2を深く押し込むことによって前記第2のスイッチ回路をオン状態に切り替える深押し操作とが行えるようになっている。
【0031】
かかる2段階の押圧操作について、図6のフィーリング曲線を参照しつつ説明する。なお、図6は操作キー2を押し込んだときの操作荷重と押下ストロークとの関係を示している。同図に示すように、本実施形態例のプッシュスイッチ1では、操作荷重が0.2N(約20g重)以上であるときに操作キー2を介して弾性アクチュエータ3が押し撓められるようになっている。これは、弾性アクチュエータ3により非操作時の操作キー2にほぼ0.2N(約20g重)のプリテンションが付与されているためであり、このプリテンションによって操作キー2のガタつきが防止されていると共に、外部振動等によって操作キー2が意図せず浅押し操作された状態にならないように配慮されている。また、非操作時においてプッシュスイッチ1内の弾性アクチュエータ3は図1に示すような断面形状になっており、第1および第2可動接点4a,4bがそれぞれ第1および第2固定接点5a,5bの真上に配置されている。
【0032】
操作キー2に0.2N以上の操作荷重が付与されると、弾性アクチュエータ3は、まず柔軟変形壁部3eが徐々に撓んでいくのに伴って駆動筒部3bと従動筒部3cが下動(後退)していくが、従動筒部3cと基板7との間隔は僅かなので、押下ストロークがS1(約0.22mm)に達した時点で従動筒部3cの下動が基板7に規制された図4の状態になり、第1可動接点4aが第1固定接点5aに当接する。つまり、0.5mmに満たない微少な押下ストロークS1において第1のスイッチ回路がオン状態に切り替わり、押下ストロークS1を実現するために必要な操作荷重は0.32N(約33g重)と極めて軽い。したがって、ユーザは意識的な押し込み操作を行わなくても、手指を操作キー2上に載せるだけでプッシュスイッチ1の浅押し操作が行えるようになっている。
【0033】
浅押し操作された操作キー2がさらに押し込まれると、従動筒部3cの下動が規制されたまま駆動筒部3bが下動するため、柔軟変形壁部3eが撓み続けるだけでなくクリック生成壁部3dも撓み始める。それゆえ、図6に示すように、フィーリング曲線の傾斜角度は押下ストロークS1を越えると急に大きくなる。そして、操作荷重が3.17N(約324g重)で押下ストロークをS2(約1.12mm)まで増やすことができるが、押下ストロークがS2を越えるとクリック生成壁部3dが弾性的に座屈するため、操作荷重が急減して押下ストロークがS3(約1.63mm)まで急増し、それに伴ってクリック感が生起される。その結果、駆動筒部3bの下動が基板7に規制された図5の状態になり、第2可動接点4bが第2固定接点5bに当接する。つまり、ユーザは操作キー2に3.17N以上の操作荷重を加えて1.6mm以上押し込むことによって、第2のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。なお、上記の操作荷重および押下ストロークの数値はあくまで一例であり、操作キー2の大きさや重量等に応じて適宜設定可能であることは言うまでもない。ただし、ユーザが意識的な押し込み操作を行わなくても、手指を操作キー2上に載せるだけでプッシュスイッチ1の浅押し操作が行えるようにするためには、図6に示す浅押し操作時の押下ストロークS1は0.5mm以下であることが好ましく、この押下ストロークS1を得るために必要な操作荷重は0.48N(50g重)以下であることが好ましい。
【0034】
このようにプッシュスイッチ1に接点ゴムとして組み込まれている弾性アクチュエータ3は、駆動筒部3bを支持する柔軟変形壁部3eが十分に軽い操作荷重で撓み始めると共に、図5に示す第2のスイッチ回路のオン状態となるまで、すなわち操作キー2の全押下ストローク範囲において座屈することがないため、ユーザが操作キー2上に手指を載せた際に生じる程度の軽い操作荷重で、プッシュスイッチ1の浅押し操作に必要な小なる一定量の下動(押下ストロークS1)を駆動筒部3bと従動筒部3cに生じさせることができる。つまり、このプッシュスイッチ1は、ユーザが意識的に操作キー2を押し込まなくても浅押し操作が行え、手指を操作キー2上に載せるだけで第1のスイッチ回路をオン状態に切り替えることができる。また、このプッシュスイッチ1をユーザが深押し操作した場合には、従動筒部3cの下動が規制された後の駆動筒部3bのさらなる下動によってクリック生成壁部3dを座屈させることができるため、第2のスイッチ回路がオン状態に切り替わったことをユーザはクリック感によって明確に感得できる。それゆえ、この弾性アクチュエータ3を用いることによって、タッチセンサと同じようなセンサ機能を併せ持ち操作感触も良好なプッシュスイッチ1を安価に実現することができる。しかも、こうして得られるプッシュスイッチ1は、ユーザが手袋を着用していてもセンサ機能に悪影響を及ぼさないため使い勝手がよく、かつ操作キー2の背面側にLED6の光を妨げる検出電極を設ける必要がないため、操作キー2に照光領域を確保することが容易である。
【0035】
なお、図1に示すように、弾性アクチュエータ3の柔軟変形壁部3eは断面形状が湾曲形状でクリック生成壁部3dよりも肉薄に形成されており、こうすることによって、駆動筒部3bを支持したまま軽い操作荷重で撓み始めて深押し操作時にも座屈しない柔軟変形壁部3eを容易に形成することができる。また、後述するように、弾性アクチュエータ3が接点ゴムではない構成にすることも可能であるが、本実施形態例のように弾性アクチュエータ3を第1および第2可動接点4a,4bを有する接点ゴムとなしておけば、プッシュスイッチ1の部品点数削減や組立性向上に有利となる。
【0036】
次に、プッシュスイッチ1が複数個配設されている入力装置10について、図7〜図11を参照しつつ説明する。なお、これらの図において、図1〜図5と対応する部分には同一符号が付してある。また、本実施形態例では、プッシュスイッチ1が横1列に3個並べて配設されている入力装置10を例示しているが、プッシュスイッチ1の数や並べ方は適宜選択可能である。
【0037】
図7〜図11に示す入力装置10は、カーエアコンやカーオーディオ等の車載用制御装置40を操作するためのものであり、入力装置10に配設された任意のプッシュスイッチ1の操作キー2をユーザが深押し操作することによって、所望の操作を実行するための制御信号が車載用制御装置40へ出力されるようになっている。また、この入力装置10は、ユーザにとって目視容易な場所に設置されているディスプレイ装置50と接続されており、ユーザの手指が現在どの操作キー2上に置かれているか(浅押し操作されているか)という情報や、どの操作キー2が深押し操作されたのかという情報や、各操作キー2に割り当てられている操作内容等が、ディスプレイ装置50の表示画面に表示されるようになっている。なお、ディスプレイ装置50は車載用制御装置40とも接続されており、車載用制御装置40の現在の制御内容等をディスプレイ装置50の表示画面に表示させることができる。
【0038】
入力装置10に配設されている各プッシュスイッチ1はすべて同じ構造のものであり、浅押しと深押しの2段階の押圧操作が可能である。また、各プッシュスイッチ1に接点ゴムとして組み込まれている弾性アクチュエータ3は、互いのベース部3aを共有している。すなわち、図8〜図10に示す成形ゴム体30に各プッシュスイッチ1の弾性アクチュエータ3が一体的に形成されている。
【0039】
そして、ユーザが任意のプッシュスイッチ1の操作キー2上に手指を載せて浅押し操作すると、このプッシュスイッチ1の前記第1のスイッチ回路からディスプレイ装置50へ検出信号(オン信号)が出力されるため、この検出信号に基づいて、手指がどの操作キー2上に位置しているのかがディスプレイ装置50の表示画面に瞬時に表示されるようになっている。したがって、ユーザは手元を注視することなく所望のプッシュスイッチ1の操作キー2を正確に選び出して深押し操作することができ、深押し操作された操作キー2に割り当てられている操作内容を実行するための制御信号(オン信号)が第2のスイッチ回路から車載用制御装置40へ出力される。これにより、運転中のユーザは、前方への注意を怠ることなく入力装置10の所望のプッシュスイッチ1を容易に操作できるようになっている。
【0040】
図12は本発明の第2実施形態例に係るプッシュスイッチ用弾性アクチュエータの側面図であり、図10と対応する部分には同一符号が付してある。
【0041】
図12に示す弾性アクチュエータ3は、柔軟変形壁部3eの複数個所に孔3fが設けられている点が前述した第1実施形態例と異なっている。これらの孔3fは柔軟変形壁部3eの剛性を弱めるために形成されたものであり、孔3fの位置や数や大きさ等を適宜選択することによって、操作荷重に応じた柔軟変形壁部3eの撓み量を所望の値に設定しやすくなる。
【0042】
図13は本発明の第3実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0043】
図13に示すプッシュスイッチ11は、押圧操作時に弾性アクチュエータ3の駆動筒部3bや従動筒部3cが基板7上のメンブレンスイッチ20を押圧駆動するように構成されており、第1実施形態例のプッシュスイッチ1に用いられていた可動接点4a,4bや固定接点5a,5bは省略されている。メンブレンスイッチ20は、可動接点を有する上部シートと固定接点を有する下部シートとがスペーサを介して積層されたものであり、従動筒部3cによって押圧駆動可能な可動接点を含む第1の接点対21と、駆動筒部3bによって押圧駆動可能な可動接点を含む第2の接点対22とが設けられている。そして、操作キー2が浅押し操作されると、従動筒部3cに押圧駆動された可動接点が対応する固定接点に接触して第1の接点対21が導通状態となり、これにより第1のスイッチ回路からオン信号が出力されるようになっている。また、操作キー2が深押し操作されると、駆動筒部3bに押圧駆動された可動接点が対応する固定接点に接触して第2の接点対22が導通状態となり、これにより第2のスイッチ回路からオン信号が出力されるようになっている。
【0044】
このようにメンブレンスイッチ20を使用したプッシュスイッチ11では、弾性アクチュエータ3を可動接点を有する接点ゴムとなす必要はない。同様に、基板7上の固定接点に接離可能な板ばね等からなる可動接点(図示せず)を使用した場合にも、弾性アクチュエータ3を接点ゴムとなす必要はない。
【0045】
図14は本発明の第4実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0046】
図14に示すプッシュスイッチ12は、弾性アクチュエータ3の内周部に従動筒部3cの内周面とベース部3aとを連結する柔軟変形壁部3gを付設した点が第1実施形態例と異なっている。この柔軟変形壁部3gは、弾性アクチュエータ3の外周部に設けられている柔軟変形壁部3eと同様に、十分に軽い操作荷重で撓み始めるように形成されており、押圧操作時には座屈を伴わず徐々に撓むようになっている。このように弾性アクチュエータ3の内周部に柔軟変形壁部3gが設けてあると、浅押し操作時に従動筒部3cを傾きなく下動させることが容易となる。ただし、柔軟変形壁部3gを付設すると弾性アクチュエータ3の内周側に空きスペースが確保しにくくなるため、操作キー2を照光させるためのLED等を設置する場合は、第1実施形態例のような構造にしておくほうが好ましい。
【0047】
図15は本発明の第5実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図1と対応する部分には同一符号が付してある。
【0048】
図15に示すプッシュスイッチ13では、弾性アクチュエータ3の駆動筒部3bと従動筒部3cの位置関係が第1実施形態例と逆になっており、それに伴い、可動接点4a,4bの位置関係や固定接点5a,5bの位置関係も第1実施形態例と逆になっている。すなわち、プッシュスイッチ13に用いられている弾性アクチュエータ3では、従動筒部3cが駆動筒部3bを包囲するように外側に設けられ、この従動筒部3cの外周面が柔軟変形壁部3eを介してベース部3aと連結されている。このように駆動筒部3bと従動筒部3cの位置関係を逆にしても、弾性アクチュエータ3の動作は第1実施形態例の場合と基本的に同等である。ただし、本実施形態例では、駆動筒部3bと柔軟変形壁部3eとが離隔してしまうため、押圧操作時に駆動筒部3bを傾きなく下動させることが第1実施形態例の場合ほど容易ではない。
【0049】
図16は本発明の第6実施形態例に係るプッシュスイッチの非操作時の断面図であり、図15と対応する部分には同一符号が付してある。
【0050】
図16に示すプッシュスイッチ14は、弾性アクチュエータ3の内周部に駆動筒部3bの内周面とベース部3aとを連結する柔軟変形壁部3hを付設した点が前述した第5実施形態例と異なっている。この柔軟変形壁部3hは、弾性アクチュエータ3の外周部に設けられている柔軟変形壁部3eと同様に、十分に軽い操作荷重で撓み始めるように形成されており、押圧操作時には座屈を伴わず徐々に撓むようになっている。このように弾性アクチュエータ3の内周部に駆動筒部3bと連続する柔軟変形壁部3hが設けてあると、押圧操作時に駆動筒部3bを傾きなく下動させることが容易となる。ただし、柔軟変形壁部3hを付設した場合、弾性アクチュエータ3の内周側にLED等を設置するための空きスペースは確保しにくくなる。
【符号の説明】
【0051】
1,11,12,13,14 プッシュスイッチ
2 操作キー
3 弾性アクチュエータ
3a ベース部
3b 駆動筒部
3c 従動筒部
3d クリック生成壁部
3e,3g,3h 柔軟変形壁部
3f 孔
4a,4b 可動接点
5a,5b 固定接点
6 LED
7 基板
10 入力装置
20 メンブレンスイッチ
30 成形ゴム体
40 車載用制御装置
50 ディスプレイ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれ、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となす成形ゴムからなる弾性アクチュエータにおいて、
前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部のすくなくとも一方を支持しているベース部とを有し、
前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成したことを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記駆動筒部と前記従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記駆動筒部が前記従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が前記柔軟変形壁部を介して前記ベース部と連結されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状で前記クリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項5】
操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチを複数個備え、前記プッシュスイッチに組み込まれた成形ゴムからなる弾性アクチュエータが前記操作キーを介して押圧操作され、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし、かつ前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした入力装置において、
前記弾性アクチュエータに、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とが設けられており、
前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成したことを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、複数個の前記プッシュスイッチの各操作キーが列状に配置されており、これら各操作キーが浅押し操作されているか否かを外部のディスプレイ装置に表示するようにしたことを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項5または6の記載において、前記弾性アクチュエータの前記駆動筒部と前記従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていることを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項の記載において、前記弾性アクチュエータは、前記駆動筒部が前記従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が前記柔軟変形壁部を介して前記ベース部と連結されていることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項の記載において、前記弾性アクチュエータの前記柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状で前記クリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることを特徴とする入力装置。
【請求項1】
操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチに組み込まれ、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となす成形ゴムからなる弾性アクチュエータにおいて、
前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部のすくなくとも一方を支持しているベース部とを有し、
前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成したことを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記駆動筒部と前記従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記駆動筒部が前記従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が前記柔軟変形壁部を介して前記ベース部と連結されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状で前記クリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ用弾性アクチュエータ。
【請求項5】
操作キーに対する浅押し操作と深押し操作が可能なプッシュスイッチを複数個備え、前記プッシュスイッチに組み込まれた成形ゴムからなる弾性アクチュエータが前記操作キーを介して押圧操作され、前記浅押し操作時に第1のスイッチ回路をオン状態となし、かつ前記深押し操作時に第2のスイッチ回路をオン状態となすようにした入力装置において、
前記弾性アクチュエータに、前記操作キーを介して天面に操作荷重が付与されることで下動する駆動筒部と、この駆動筒部の内外いずれか一方側に同心的に配置された従動筒部と、この従動筒部と前記駆動筒部とを連結して前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴って変形可能なクリック生成壁部と、前記操作キーの押圧操作時に座屈を伴わずに変形可能な柔軟変形壁部と、この柔軟変形壁部を介して前記駆動筒部と前記従動筒部の少なくとも一方を支持しているベース部とが設けられており、
前記浅押し操作時に前記駆動筒部に連動して前記従動筒部が下動することで前記第1のスイッチ回路をオン状態となすと共に、このオン状態で前記従動筒部の下動が規制され、かつ、前記深押し操作時に前記駆動筒部の下動に伴って前記クリック生成壁部が座屈することでクリック感を生起すると共に、前記駆動筒部が前記第2のスイッチ回路をオン状態となすように構成したことを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、複数個の前記プッシュスイッチの各操作キーが列状に配置されており、これら各操作キーが浅押し操作されているか否かを外部のディスプレイ装置に表示するようにしたことを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項5または6の記載において、前記弾性アクチュエータの前記駆動筒部と前記従動筒部の底面にそれぞれ可動接点が固設されていることを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項の記載において、前記弾性アクチュエータは、前記駆動筒部が前記従動筒部を包囲するように設けられ、この駆動筒部の外周面が前記柔軟変形壁部を介して前記ベース部と連結されていることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項の記載において、前記弾性アクチュエータの前記柔軟変形壁部は断面形状が湾曲形状で前記クリック生成壁部よりも肉薄に形成されていることを特徴とする入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−65902(P2011−65902A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216378(P2009−216378)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(000130226)株式会社コバック (2)
【出願人】(000187231)昭和有機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(000130226)株式会社コバック (2)
【出願人】(000187231)昭和有機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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