説明

プニカグラナツムの抽出物を使用して白髪症を防止するための方法

本発明は、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はその抽出物を、頭髪及び/又は体毛の白色化を減少させる又は防止するための剤として使用する方法において、該抽出物が経口的に使用される前記方法に関する。
本発明は、プニカ グラナツムの投与による化粧的処理方法にもまた関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外皮(integument)の白色化を防止する又は低減させるための化粧的処理方法、及び外皮の着色化を促進するため及び脱着色化を制限するため及び/又は防止するための剤として植物の抽出物を使用する方法に関する。本発明は白髪症を防止するための特にザクロの抽出物又はそれを含む組成物に関する。
【0002】
ヒトの毛及び皮膚の色は、種々の因子、特に季節、人種、性別及び年齢に依存する。それは、メラニン生成細胞(melanocyte)により生成されるメラニンの濃度により主に決められる。メラニン生成細胞は特別の細胞器官、メラノソーム、により、メラニンを合成する特殊化された細胞である。
【0003】
メラニン合成、即ちメラノゲネシスは、複雑であり、模式的には以下の主な段階を含む。

チロシナーゼ(モノフェノールジヒドロキシルフェニルアラニン:酸素酸化還元酵素EC 1.14.18.1)は、特にチロシンをドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)へと転化する反応及びドーパのドーパキノンへの転化の反応を触媒することによりこの反応連続に含まれる。
【0004】
毛嚢の上部は、真皮の深い層まで貫通する、表皮の管状の鞘の形をとる。下部、即ち毛球は、それ自身が、その中に真皮層がある鞘を有する。毛球の下部の、真皮層の周りには、高度の増殖を有する細胞(マトリックス細胞)が分布する領域がある。これらの細胞は、毛を構成するケラチン化された細胞の前駆体である。これらの前駆体の増殖から生じる細胞は球において垂直に移動し、球の上部において徐々にケラチン化され、ケラチン化された細胞のこの集合体は毛の軸を形成する。
【0005】
頭髪及び体毛の色は、変化する量及び比におけるメラニンの2つの群、即ちユーメラニン(eumelanins)(茶色及び黒色の色素)及びフェオメラニン(pheomelanins)(赤及び黄色の色素)の存在に部分的に基づく。頭髪及び体毛の色素は、毛嚢の毛球においてメラニン生成細胞の存在を必要とする。これらのメラニン生成細胞は活性であり、すなわちメラニンを合成する。このメラニンは、毛の柄(hair stalk)を形成することを意図されたケラチン生成細胞に伝達されて、頭髪又は体毛の色素化された房の成長をもたらす。この構造は、「毛包着色単位(follicular pigmentation unit)」として知られている。哺乳類において、メラニン形成は、少なくとも3つの酵素、即ちチロシナーゼ、ドーパクロームトートメラーゼ(TRP−2)及びDHICAオキシダーゼ(TRP−1)を含む。チロシナーゼは、メラニンの生合成を開始する酵素であるとしてもまた記載される。メラニン形成を制限する酵素としてもまた記載されている。チロシナーゼはチロシンのドーパへの、次にドーパキノンへの酸化を触媒する。化合物ドーパキノンは、自然にドーパクロームへと、又はシステインの存在化においてはシステニルドーパ誘導体へと転換される。TRP−2は、ドーパクロムの5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸 (DHICA)への互変異性化を触媒する。TRP−2の不存在下、ドーパクロームは自然に脱カルボキシル化して、5,6−ジヒドロキシインドール(DHI)を形成する。最後に、TRP−1はDHICA化合物を酸化して、キノン誘導体を形成する。該3つの酵素、チロシナーゼ、TRP−2及びTRP−1は、ユーメラニン形成(eumelanogenesis)に特に含まれているようである。さらに、これらの3つの酵素の活性はユーメラニン生合成の最大活性にとって必要であると記載された。
【0006】
頭髪及び体毛はサイクルする。このサイクルは、成長期(アナジェニック期)、衰退期(カタジェニック期)及び休止期(テロジェニック期)を含み、その後、新たなアナジェニック期が展開する。この毛周期の結果、毛包着色単位もまた、周期的に更新されなければならない。ヒトにおいて、テロジェニック−アナジェニック移行期の間、テロジェニックカプセルに含まれる不活性なメラニン生成細胞のいくつかは増殖して、発生期の毛球の皮膚乳頭の周りに位置し、メラニンの合成に必要な酵素、例えばチロシナーゼ及びTRP−1を発現し始めるが、酵素TRP−2は発現しない(Pigment Cell Res. 2004年10月17日:488〜497頁)。平行して、毛嚢の上の方の領域における静止しているメラニン生成細胞の残りは、不活性なままである。酵素チロシナーゼ及びTRP−1はアナジェニック期を通して毛球のメラニン生成細胞において発現されるが、カタジェニック期及びテロジェニック期の間は、メラニン生成細胞において該酵素はもはや発現されない。即ち、ヒトの毛嚢におけるメラニン生成細胞の正常な周期は、毛包着色単位を再生するために周期的に活性化される毛嚢の上の方の領域における前駆体メラニン生成細胞の存在を必要とする。
【0007】
人口の大部分において、皮膚の褐色の着色及び毛の定常的な色の維持は重要な願望であることが知られている。
【0008】
灰色又は白の体毛及び/又は頭髪即ち白髪の外観は、毛の柄のメラニンの減少と関連があることが受け入れられている。この現象は個人の一生において自然に発生する。しかし、ヒトはより若い外見を有することを求め、審美的な理由から、この現象が特に相対的に早い年齢において起きるとき特に、この現象を食い止める試みがしばしば行われる。
【0009】
これまで、毛の自然な色にできるだけ近い色を毛に与えることを目的とする外部の着色剤を供給することによる人工的な着色の分野において多くの解決法が提案されてきた。別のアプローチは自然の着色ルートを刺激することにある。
【背景技術】
【0010】
提案された解決法の中で、ホスホジエステラーゼ阻害剤(国際公開第95/17161号)、DNAフラグメント(国際公開第95/01773号)、ジアシルグリセロール(国際公開第94/04122号)、プロスタグランジン(国際公開第95/11003号)又はピリミジン3−オキサイド誘導体(欧州特許第829260号)を含む組成物が挙げられ得る。特許出願国際公開第04/073594号は、酵素15−PGDHの阻害剤の使用を提案している。欧州特許第1870081号は、白髪の処理のためにエラグ酸又はその誘導体の使用を記載している。
【0011】
しかし、頭髪及び/又は体毛の着色を促進し、かつそのようにして白髪を防止する又は減少させるための新規な効果的な解決法に対する需要がまだある。
【0012】
意外なことに、この目的及び他のものは、植物プニカ グラナツム、その画分又はその抽出物を使用することにより達成されることができることが今見出された。
【0013】
従って、本発明の一つの課題は、頭髪及び/又は体毛の白色化を減少させる又は防止するための剤として、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物及び/又はその画分又は少なくとも1のそのような植物又はその抽出物を含む組成物を使用する方法において、該抽出分が経口的に使用される方法である。
【0014】
ザクロの木(プニカ グラナツム)は落葉性の葉を有する小さな果樹であり、アジア、特に中近東の原産であり、イグサ科(Punicacea family)に属する。それは約5mの高さに届き得るが、しばしば1.50m以下である。花は種類に依存して橙〜赤又は真紅であり、一重又は二重である。果実は食べることができ、古代から消費されてきた。同義語はプニカスピノサ、プニカフロリダ又はグラナツムプニセウムである。
【0015】
その果実はザクロであり、橙―赤色であり、堅く強い果皮(即ち皮)を有し、透明な果汁を多く含む種衣(aril)を有する、たくさんの三角形の種を有する6〜12の膜質状の葉部を含む。ザクロは、ビタミン類(B、C,及びD)及びタンニンの形のポリフェノールが豊富である。皮の抽出物はその収斂性、抗菌性及び抗出血性のために提案されてきた。タンニンの豊富な抽出物は従来毛を黒くするためのモロッコの薬物において、局所施与として使用されている。
【0016】
欧州特許第138419号は、染色された毛の色の強度を長引かせるためのザクロの抽出物の局所施与を記載している。
【0017】
国際公開第2007/004229号は、皮膚の再生を促進するためにザクロの種の油状画分を使用する方法を記載している。
【0018】
仏国特許第2730408号は、局所施与により皮膚を脱色するための組成物に関し、該組成物は、プニカ グラナツムの抽出物を含む種々の果実の抽出物を含んでいてもよい。
【0019】
欧州特許第1523895号は、プニカ グラナツムの抽出物、脂肪酸、特に共役リノール酸(CLA)、及びOPCの組み合わせを含む経口組成物に関する。
【0020】
米国特許第6630163号は、果実の抽出物、特にザクロの抽出物を含む、皮膚病を処理するための組成物を記載している。
【0021】
米国特許第2006/0280819号は、ザクロの種から製造された食品サプリメントを記載している。
【0022】
しかし、出願人の知る限りでは、白髪の進行を防止する、制限する又は阻止するため、及び/又は外皮、特に頭髪及び/又は体毛の自然な再着色化を促進するためにプニカ グラナツム又はその抽出物を使用することはこれまで提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
即ち、本発明の1つの課題は、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はその抽出物又は少なくとも1のそのような植物又はその抽出物を生理学的に許容できる媒体中に含む組成物を、外皮の着色を促進する及び/又は誘発する及び/又は刺激するための剤として及び/又は外皮の脱色及び/又は外皮の白色化を防止する及び/又は制限するための剤として、特に白髪を防止する及び/又は制限するための剤として使用する方法において、この剤は、より特に哺乳類特にヒトに使用される。
【0024】
その別の特徴に従うと、本発明は、外皮の着色を促進する及び/又は誘発する及び/又は刺激するために、及び/又は外皮の脱色及び/又は白色化を防止する及び/又は制限するために及び/又は白髪を防止する及び/又は制限するために、経口ルートに適切な組成物において種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はその抽出物を使用する化粧方法に関する。
【0025】
本発明は、外皮の着色を促進する及び/又は誘発する及び/又は刺激するために、及び/又は外皮の脱色及び/又は白色化を防止する及び/又は制限するために及び/又は白髪を防止する及び/又は制限するための組成物を製造するために、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はその抽出物を使用する化粧方法に関する。
【0026】
本発明に従う有用である組成物は、生理学的に許容できる媒体又は添加剤を含んでいてもよい。
【0027】
用語「皮膚」は、皮膚の被覆のすべて、特に頭皮及び粘膜、を意味する。用語「外皮(integument)」は、外皮の付属器官(tegumental appendage)のすべて、特に爪、体毛及び頭髪を意味する。用語「体毛」及び「頭髪」は毛でおおわれた付属器官のすべて、特にまつ毛及び眉毛を意味する。用語「少なくとも1」は1又は2以上、特に種々の挙げられた要素のすべての割合における混合物を意味する。別に特定されなければ、本願における用語「1」は少なくとも1を意味すると理解されるべきである。
【0028】
本発明に従って有用であるプニカ グラナツムの抽出物は、プニカ グラナツムの、花の抽出物、果実の抽出物、種子の抽出物、及び皮の抽出物及びすべての割合におけるそれらの混合物から選択され得る。有利には、果実の抽出物、即ちザクロの抽出物が使用され、この抽出物はザクロの任意の部位、より具体的には、皮及び/又は種子に由来することができる。
【0029】
抽出物全体、即ち木質部位が除去されたザクロのすべての部位を含む抽出物、が使用され得る。本発明の他の実施態様に従うと、ある画分に富む少なくとも1の抽出物、特にポリフェノール含有量を有する抽出物が使用される。
【0030】
ザクロの抽出物は、ザクロの木の任意の部分、特に果実、任意的に種子を含んでいてもよい、又は特に果実の皮から得られ得る。
【0031】
用語「抽出物」は、粗く砕かれた植物の部分と抽出溶媒との粗混合物並びに抽出の間に溶解された活性成分の多かれ少なかれ加工された画分又は調合物(preparation)の両方を意味することが理解される。抽出物全体、即ちプニカ グラナツムの部分に存在する画分のすべてを含む抽出物(任意的にセルロース部分を取り除かれていてもよい)を使用することが可能である。本発明の別の実施態様に従うと、ある画分に富む少なくとも1の抽出物が使用される。
【0032】
抽出物は、植物の抽出物を製造するための、当業者に公知の任意の方法により得られ得る。
【0033】
特に、抽出物は水、又は水及び有機溶媒から構成された溶媒、例えば水−アルコール又は水−アセトン、又は水−プロピレングリコール、又は水−ブチレングリコール、において植物の部分をふやかすことにより得られ得る。水−有機溶媒の比は変化され得る。例えば抽出物は、50%水−エタノール混合物又は20%水−80%エタノール溶液において製造される。植物/溶媒の比は例えば制限なしに、1/4〜1/20を変動し得る。有利には、抽出物の製造は植物の部分の粉砕から始まり、続いて数時間抽出溶媒中でふやかす。抽出は、その効率を改善するために撹拌しながら行ってもよい。抽出は室温において、又は温度を例えば50℃又は60℃に、上げることにより行われ得る。ひとたび抽出が実行されると、溶液がろ過される。
【0034】
このようにして得られた溶液は当業者に公知の任意の方法により濃縮されてもよい。同様に、得られた溶液は任意に慣用の凍結乾燥法により凍結乾燥されてもよい。このようにして、粉末が得られる。
【0035】
本発明の実施に有用である抽出物は、果実の果肉部分を圧縮することにより得られたザクロジュースにもまた該当し得る。このジュースは、発酵、濃縮及び/又は凍結乾燥段階及び/又はその保存を容易にするための当業者に公知の任意の操作、例えば殺菌処理を受けてもよい。
【0036】
ザクロの木又は灌木の果実(種子を含む)からの抽出物は、一つの特定の実施態様に従うと、精油の製造をもたらし得る。濃縮された溶液の形の抽出物及び粉末の形の抽出物、及び精油の形の抽出物もまた、経口でのヒトによる消費に適する媒体中に溶解され得る。
【0037】
本発明の一つの有利な実施態様に従うと、抽出物は、プニカ グラナツムの水抽出物及びアルコール性又は水―アルコール性抽出物から選択される。
【0038】
そのような抽出物は、例えば番号CAS84961−57−9の下に収録され、MMP社により例えばザクロジュース抽出物E40の商品名で販売されている。他の抽出物は例えばブルーカルフォルニア(Blue California)社により商品名ザクロ抽出物70%の下で、又はナツレックス(Naturex)社によりザクロ抽出物40%の商品名の下で、又はグイラン レイン ナチュラルイングルージェント(Guillin Layn Natural Ingredients)社によりザクロ種子P.E.の商品名の下で販売されている。
【0039】
有利には、プニカ グラナツムの抽出物は、生理学的に許容される添加剤を含む、経口経路に適する組成物中に存在する。
【0040】
本発明に従う組成物は、全身性の移動を可能にする任意の経路、特に経口経路、を通って吸収されて、身体の表面の部分を良好な状態に保護する又は維持すること又は個人の外観、特に皮膚及びその付属器官の外観を改良することを意図されている。本発明に従う組成物は特に補助食品である。
【0041】
経口経路を経て、本発明に従う組成物は液状食品例えば任意的にフレーバーをつけられた水性又は水性―アルコール性の溶液に溶解されたプニカ グラナツムの抽出物を含み得る。該抽出物は、摂取可能な固体の賦形剤に取り込まれていてもよい。例えば顆粒、ピル、錠剤又は被覆された錠剤の形であってもよい。それらは、任意的にそれ自身が摂取可能なカプセルに仕込まれていてもよい液状食品における溶液に入れられてもよい。摂取のために、経口組成物、特に補助食品、のたくさんの実施態様が可能である。それらは被覆された錠剤、ゲルカプセル、ゲル、エマルジョン、錠剤、カプセル又は溶液を製造するための通常の方法によって配合される。特に、本発明に従う活性剤は、任意の形の補助食品又は強化された食品、例えばフードバー、又は圧縮された又は非圧縮された粉末、に取り込まれ得る。粉末は水で、ソーダにおいて、乳製品又は大豆誘導体中で希釈され得、又はフードバーに取り込まれ得る。
【0042】
本発明に従う活性剤は、通常の賦形剤及びそのような経口組成物又は補助食品のための成分、即ち特に脂肪及び/又は水性成分、湿潤剤、増粘剤、保存剤、組織剤、味覚剤及び/又は被覆剤、抗酸化剤、保存剤及び食品部門において一般的である染料と一緒に配合され得る。
【0043】
プニカ グラナツム植物又は抽出物の量は、当業者により活性剤の性質及び所望される効果に従って適合され得る。本発明のある実施態様においては、プニカ グラナツムの抽出物は組成物の100%を構成してもよい。指針として、プニカ グラナツムの抽出物は経口経路に適切である組成物中に、組成物の総重量に対して0.01重量%〜99重量%の濃度、一般的には90重量%以下、特に0.1重量%〜50重量%の濃度で存在する。即ち、組成物の総重量に対して5重量%〜50重量%の濃度、特に40重量%〜50重量%の濃度が、本発明に従って使用され得る。
【0044】
組成物中のプニカ グラナツム又はプニカ グラナツムの抽出物の含有量は、10mg〜1000mg、特に200mg〜500mg、のプニカ グラナツムの抽出物の1日の摂取量を得るように適合される。
【0045】
本発明に従う、種プニカ グラナツムの植物の組成物又は抽出物は、より特にヒトにおける加齢において生理学的に起きるケラチン繊維の自然の白色化を低下させる及び/又は防止する及び/又は遅らせるために使用される。本発明が適用される、ヒトのケラチン繊維は、特に頭髪、眉毛、まつ毛、顎鬚、口髭、及び陰毛である。より特に、本発明は、ヒトの頭髪及び/又はまつ毛に使用する。
【0046】
本発明の課題は、白髪を防止する及び/又は処理するためのその使用のための種プニカ グラナツムの植物又はその抽出物でもある。
【0047】
特に、本発明は、毛のメラニン生成細胞前駆体の消失を制限する、防止する又は停止することに向けられる。
【0048】
本発明の課題は、ケラチン繊維、特に頭髪及び/又は体毛、の白色化を低下させる及び/又は遅らせる、及び/又はその自然な再着色化を促進するための化粧的処理方法において、特に種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はプニカ グラナツムの抽出物又はそれを含む組成物が経口的に個人に投与されることを特徴とする方法でもまたある。
【0049】
即ち、本発明に従う方法は、頭髪及び/又は体毛の白色化を低減させること及び/又は遅らせること及び/又は防止すること、及び/又はその自然な再着色化を促進することを意図され得る。即ち、本方法は、ヒトの毛、特に35歳以上又は45歳以上さえの個人の場合の自然な色の維持及び着色を可能にする。
【0050】
プニカ グラナツムの抽出物の経口摂取は、摂取されたものと同じ又は異なる、プニカ グラナツムの抽出物の皮膚又は外皮への局所施与と組み合わされ得る。
【0051】
本発明に従う方法の一つの変形に従うと、頭髪及び/又は体毛にとって有益な少なくとも1の追加の剤、特に頭髪及び/又は体毛の自然な着色化又は再着色化を促進する及び/又はその白色化を低減させる剤又は毛の成長を促進する又は抜け毛を低減させる剤、毛の繊維の質を改良するための剤、例えば毛が割れることを低減させる又は毛の直径を大きくするための剤又は抗フケ剤、又は毛の剥離状態に対処するための剤もまた施与される。この施与は任意の経路特に局所的又は経口的に実行され得る。
【0052】
本発明の一つの特定の実施態様に従うと、プニカ グラナツムの抽出物を含む組成物は、頭髪又は体毛の着色化を促進する少なくとも1の他の剤及び/又は毛の再成長を促進する又は抜け毛を低減させるための少なくとも1の剤をもまた含む。
【0053】
本発明を実施するために適切である追加の剤の中で、挙げられ得る例は以下の通りである。
− 皮膚細胞の分化及び/又は増殖及び/又は着色化を変化させる剤、例えばレチノール及びそのエステル、ビタミンD及びその誘導体、cAMPモジュレーター例えばPOMC誘導体、アデノシン、フォルスコリン及びその誘導体及びプロスタグランジン及びその誘導体;
− 微生物の抽出物;
− 遊離基捕捉剤、例えばα−トコフェロール又はそのエステル、スーパーオキサイドジスムターゼ又はその類似体、ある種の金属キレート化剤又はアスコルビン酸及びそのエステル;
− 抗脂漏症剤、例えばある種の硫黄含有アミノ酸、13−シス−レチノイン酸及び酢酸シプロテロン;
− 頭皮の剥離状態に対処するための他の剤、例えばセレニウムジスルフィド、クリムバゾール、ウンデシレン酸、ケトコナゾール、ピロクトン オラミン(オクトピロックス)又はシクロピロクトン(シクロピロックス);
− 前着色活性(propigmenting activity)を有する植物抽出物、例えば、仏国特許第2768343号に記載されている菊の抽出物及びフランス国特許第2782920号に記載されているワレモコウの抽出物。
特に、それらは、毛の再成長を刺激する及び/又は抜け毛の緩慢化を促進する活性な剤であり得る。より特に非制限的な態様において、以下が挙げられ得る。
− ニコチン酸エステル、特にニコチン酸トコフェリル、ニコチン酸ベンジル及びニコチン酸C〜Cアルキル、例えばニコチン酸メチル又はニコチン酸ヘキシル;
− ピリミジン誘導体、例えば、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン3−オキサイド又は米国特許第4139619号及び米国特許第4596812号に記載されているミノキシジル;国際公開第96/09048号に記載されているアミネキシル(Aminexil)又は2,4−ジアミノピリジン3−オキサイド;
− リポキシゲナーゼ阻害剤又は毛の再成長を促進させるシクロオキシダーゼインデューサー、例えば欧州特許出願第0648488号により記載されているもの;
− カルシウム抗体、例えばシナリジン(cinnarizine)、ニモジピン(nimodipine)及びニフェジピン(nifedipine);
− ATP−依存型カリウムチャンネルアゴニスト、例えばクロマカリム(cromakalim)及びニコランジル(nicorandil)。
追加の剤は、フラガリア(Fragaria)(苺)、ブラックベリー、ラズベリー、ブドウ、クルミ、モモタマナ属(Terminalia)(特にベレリカ(Belerica),チェブラ(Chebula)及びアルジュナ(Arjuna))、カエサルピニア スピノサ(Caesalpinia spinosa),イトスギ、ワレモコウ、サングイソルバ オフィシナリス(Sanguisorba officinalis)若しくはキク(クリサンスマム モリフォリウム(Chrysanthemum morifolium))、又はチロシン、L−ドーパ、プロオピオメラノコルチン誘導体、アデノシン又はフォルスコリン又はその誘導体から選択された植物の少なくとも1の抽出物を含む群から特に選択され得る。
【0054】
本発明に従う方法の一つの実施態様に従うと、少なくとも1の追加の剤は皮膚及び/又はその付属器官に局所的に施与される。
【0055】
本発明に従う方法の別の実施態様に従うと、少なくとも1の追加の剤、特に上記の、毛にとって有益である少なくとも1の追加の剤、特に毛の自然な再着色化を促進する又はその白色化を低減させる剤、は経口的に投与される。
【0056】
そのような追加の活性剤は特に塩素;ブドウ種子抽出物;緑茶抽出物;微量元素例えば亜鉛及びセレン;ビタミン類例えばビタミンA、ビタミンE及びビタミンC;カテキン類例えばエピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン又は没食子酸エピガロカテキン;松植物ステロールから選択され得る。
【0057】
有利には、本発明を実施するために適切な組成物は、ラズベリー、ブラックベリー、苺、ブドウ、クルミ、モモタマナ属(Terminalia)(特にベレリカ,チェブラ及びアルジュナ)、及びカエサルピニア スピノサから抽出された植物の少なくとも1の抽出物をもまた含む。
【0058】
植物、プニカ グラナツム、その抽出物及びそれらを含む組成物は、定期的に、毎日、特に1日当たり1〜3回摂取される。プニカ グラナツムの摂取は長期にわたって例えば2〜4週間継続されるが、欠点なく2〜6月間継続され得る。
【0059】
本発明に従う方法は、特に生理学的な白色化を遅らせる又は低減させることによる、毛の外観を改良する化粧方法である。
【0060】
本発明に従うザクロ抽出物の使用は、化粧処理の良好な耐久性及び良好な効能を得ることを可能にする。改良された配合物もまた得られる。
【0061】
本発明は、白髪を防止する及び/又は処理することにおける、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物の抽出物の使用にもまた関する。
【0062】
本発明は、時間に関して同時の、独立している、又は連続的な使用のための組み合わせ製品において、
(i)種プニカ グラナツムの植物及び/又は種プニカ グラナツムの植物の抽出物を含む成分
(ii)フラガリア(苺)、ブラックベリー、ラズベリー、ブドウ、クルミ、モモタマナ属(特にベレリカ,チェブラ及びアルジュナ)、及びカエサルピニア スピノサから選択された植物の抽出物から選択された、毛の自然な着色化を促進する又はその白色化を低減させる、追加の活性な剤
を少なくとも含むことを特徴とする前記製品にもまた関する。
【0063】
他の特徴及び本発明の利点は、以下の実施例を読むと分かる。
【0064】
実施例1:ヒトの毛嚢メラニン生成細胞の活性の測定
ヒトの毛嚢のメラニン生成細胞の活性は、Micheletらによる刊行物(Exp. Dermatol.2008年10月22日)に記載された方法により測定される。
簡単に述べると、この試験の実施段階は以下の通りである:
ヒトの毛嚢がマイクロ切断され、特にグルタミン、インスリン、ハイドロコルチゾン及び抗生物質を補強されたウィリアムのE培養基(Gibco−BRL)においてインビトロで培養される。
【0065】
培養基は[14C]2−チオウラシルを3μCi/ mlの濃度で含む。
【0066】
毛嚢(25の嚢)の「試験」群のために、培養基がザクロ抽出物で強化される。「対照」の群(25の毛嚢)のためには、培養基は(「試験」群と同じ量の)ビヒクルで強化される。
【0067】
5日後、毛嚢は[14C]2−チオウラシルを含まない媒体で洗浄され、その後、50℃に上げられたソルエン(Soluene)350の溶液における浸漬により分解される。次に、シンチレーション用液体(scintillant liquid)が添加される。分解物中に存在する[14C]2−チオウラシルの量がTrilux1450マイクローベータマシンを使用して測定される。
【0068】
ザクロの抽出物は毛嚢への[14C]2−チオウラシルの取り込みを増加させる。
【0069】
実施例II:ヒトの毛嚢の白髪の生体マーカーの補正(correction)
灰色の毛の毛嚢において、ある種のmRNAが大きな比率を占め(過剰発現された遺伝子)かつ他は少ない比率を占める(低発現された遺伝子)。これらの遺伝子は白髪の生体マーカーであり、発現におけるそれらの変化は拡張の発達と関係がある。
【0070】
これらの白髪の生体マーカーの発現のレベルは、ヒトの毛嚢における定量的RT−PCR(Q−RT−PCR)の標準的技術により分析される。
【0071】
試験を行うために、ヒトの、灰色の毛の毛嚢がマイクロ切断され、特にグルタミン、インスリン、ハイドロコルチゾン及び抗生物質を補強されたウィリアムのE培養基(Gibco−BRL)においてインビトロで培養される。毛嚢(30の嚢)の「試験」群のために、培養基がプニカ グラナツム抽出物で強化される。「対照」の群(30の毛嚢)のためには、培養基は(「試験」群と同じ量の)ビヒクルで強化される。
【0072】
抽出物の活性の発覚のために必要な時間後、一般的には24時間から5日後、毛嚢のmRNAが抽出される。同じ実験条件のmRNAが照合される。
【0073】
関心のあるmRNAの発現のレベルは、標準的なQ−RT−PCR法により、例えばQiagen製の204243で参照されるQuantiTect SYBR(商標)Green RT−PCRキットを使用して決定され、該測定はおそらくBiorad製のMylQマシンを使用して行われる。
【0074】
プニカ グラナツムの抽出物は灰色の毛の毛嚢におけるある、白髪の生体マーカーの発現における変化を正す。
【0075】
実施例III:経口組成物
実施例1:被覆された錠剤タイプの配合物
【0076】

【0077】
実施例2:ゼラチンゲルカプセルタイプの配合物
【0078】

【0079】
実施例3:単独投与ゲルタイプの配合物
【0080】

【0081】
実施例4:カプセルタイプの配合物
【0082】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物又はその抽出物を、頭髪及び/又は体毛の白色化を減少させる又は防止するための剤として使用する方法において、該抽出物が経口的に使用される前記方法。
【請求項2】
プニカ グラナツムの抽出物が、プニカ グラナツムの、花の抽出物、果実の抽出物、種子の抽出物、及び皮の抽出物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の、少なくとも1の抽出物を使用する方法。
【請求項3】
該抽出物が、プニカ グラナツムの水抽出物、アルコール抽出物及び水−アルコール抽出物から選択させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
プニカ グラナツムの抽出物が、経口経路に適切である組成物中に、組成物の総重量に対して0.01重量%〜99重量%の濃度で存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
白髪を防止する及び/又は処理することにおける使用のための、種プニカ グラナツムの少なくとも1の植物の抽出物。
【請求項6】
頭髪及び/又は体毛の白色化を低下させる及び/又は遅らせるため及び/又はそれらの自然な再着色化を促進するための化粧的処理方法において、プニカ グラナツムの少なくとも1の抽出物又はそれを含む組成物が経口的に投与されることを特徴とする化粧的処理方法。
【請求項7】
頭髪及び/又は体毛の着色化を促進するための活性剤及び抜け毛を低減させる又は毛の成長を刺激する又は剥離状態に対処する又は毛の繊維の質を改良する又は毛の房の直径を大きくするための活性剤から選択された、毛にとって有益な少なくとも1の追加の剤もまたヒトに施与されることを特徴とする、請求項6に記載の化粧的処理方法。
【請求項8】
該組成物が、毛の着色化を促進する又は毛の再成長を促進するための少なくとも1の剤をもまた含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の化粧的処理方法。
【請求項9】
該組成物が、ラズベリー、ブラックベリー、ストロベリー、ブドウ、クルミ、モモタマナ(特にベレリカ,チェブラ及びアルジュナ)、カエサルピニア スピノサから選択された植物の少なくとも1の抽出物を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の化粧的処理方法。
【請求項10】
毛にとって有益な少なくとも1の追加の剤が毛又はその付属器官に局所的に施与されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の化粧方法。


【公表番号】特表2013−509387(P2013−509387A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535909(P2012−535909)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052327
【国際公開番号】WO2011/051633
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【出願人】(512110787)ネステック エスエー (2)
【Fターム(参考)】