プライマー、プライマーセット、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓｎａｔａｎｓ検出方法、ならびに、生物処理方法
【課題】Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出のためのプライマーを提供することなどを課題としている。
【解決手段】配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴とするプライマーを提供することなどにより課題の解決を図る。
【解決手段】配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴とするプライマーを提供することなどにより課題の解決を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、核酸の増幅に用いられるプライマーやプライマーセットに関し、さらには、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓ検出方法、ならびに、生物処理方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、活性汚泥などと呼ばれる生物学的な水処理に利用可能な細菌を含んだ汚泥が下水処理をはじめ食品工場や化学工場等の排水処理などに広く用いられている。
このような生物処理方法においては、下水や工場排水を被処理水として生物処理槽に導入し、該生物処理槽中に収容させた活性汚泥（以下、単に「汚泥」ともいう）と接触させて処理対象物質を分解させ、処理対象物質の低減された処理水を前記生物処理槽から流下させることが行われている。
生物処理槽においてこのような生物処理工程が実施された後の前記処理水には、前記汚泥が浮遊性の固形物（以下「ＳＳ」（ｓｕｓｐｅｎｄｅｄ ｓｏｌｉｄｓ）ともいう）として含まれることが多く、この汚泥を除去するために、従来、生物処理槽から流下された前記処理水を沈殿槽に導入して前記汚泥を沈殿分離したり、前記処理水を限外ろ過膜等によって膜分離したりすることが行われている。
【０００３】
このような固液分離工程においては、糸状性細菌によるバルキングなどから固液分離障害が引き起こされることが従来知られている。
例えば、沈殿槽にいては、（１）Ｅｉｋｅｌｂｏｏｍ ｔｙｐｅ０２１ＮやＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓなどの糸状性細菌により引き起こされる糸状性バルキング、（２）浮上汚泥や腐敗汚泥、および、（３）凝集性が悪化した解体汚泥によって固液分離障害が引き起こされることが知られている（下記非特許文献１参照）。
【０００４】
一般的な生物処理方法において出現する糸状性細菌としては、二十数種類が知られているが、それらの内、沈殿槽で問題となる固液分離障害を起こす原因となるものはそれほど多くなく、Ｅｉｋｅｌｂｏｏｍ ｔｙｐｅ０２１Ｎ、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓ、Ｍｉｃｒｏｔｈｒｉｘ ｐａｒｖｉｃｅｌｌａなどである。
その出現原因は種類により異なるため、糸状性細菌に起因する固液分離障害（糸状性バルキング）の対策には糸状性細菌の同定が必要となる（下記非特許文献２参照）。
【０００５】
従来、糸状性細菌の同定はＥｉｋｅｌｂｏｏｍが提案した形態学的特徴やその方法を基にＪｅｎｋｉｎｓ，Ｒｉｃｈａｒｄらが修正した分類・同定方法を基にした位相差顕微鏡を用いた観察が主流である。
しかし、この方法は熟練を要する上に、特徴が分かりにくい場合や出現環境によって形態が変わる場合もあることから、熟練者といえども正確に同定を行うことは容易ではない。
【０００６】
近年の分子生物学的手法の発達により、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応（以下「ＰＣＲ」ともいう）や蛍光 ｉｎｓｉｔｕ ハイブリダイゼーション（以下「ＦＩＳＨ」ともいう）法等によって汚泥を構成する特定の細菌種を短時間で正確に検出したり、その存在数量を定量したりすることができるようになっている。
例えば、下記非特許文献３には、固液分離障害（糸状性バルキング）の主要な原因細菌の一つであるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出・定量のためのＰＣＲ用プライマーについて記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００７】
【非特許文献１】「最新環境浄化のための微生物学」 稲盛 悠平編、講談社サイエンティフィク、２００８年１２月１０日第１刷発行
【非特許文献２】「カラー図説排水処理の生物相診断」 西原環境テクノロジー著、産業用水調査会、２００８年１１月１１日第１版１刷発行
【非特許文献３】Ｔ．Ｓｕｚｕｋｉ，Ｔ．Ｋａｎａｇａｗａ，Ｙ．Ｋａｍａｇａｔａ（２００２）Ａｐｐｌ．Ｅｎｖｉｒｏｎ．Ｍｉｃｒｏｂｉｏｌ．６８：３６５−３７１
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記非特許文献３に記載されているＰＣＲプライマーは、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの鞘の形成に関与する遺伝子であり、当該細菌を精度良く検出可能ではあるが、ＰＣＲ産物のサイズが約８７０ｂｐと長いため、定量ＰＣＲに適したプライマーとは言い難い。
例えば、タカラバイオ社のホームページに示されている「リアルタイムＰＣＲ実践編 − プライマー設計ガイドライン −」（ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｔａｋａｒａ−ｂｉｏ．ｃｏ．ｊｐ／ｐｒｔ／ｐｄｆ／ｐｒｔ３−１．ｐｄｆ）には、「リアルタイムＰＣＲで１００％に近い増幅効率を得るためには、増幅サイズが８０〜１５０ｂｐとなるように設計することが望ましい。高速でリアルタイムＰＣＲを行う場合は、増幅サイズが大きすぎるとＰＣＲ増幅できない場合もあるので、増幅サイズが３００ ｂｐを超えるようなプライマーペアは避ける。」と記載されている。
【０００９】
すなわち、非特許文献３に記載のプライマーは、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを精度良く検出可能ではあるが、検出に要する効率の点で問題を有し、ＰＣＲに用いる機器によってはプライマーとして使用することが困難になるおそれを有するものである。
そのため、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法においては、その効率を向上させることが難しい状況であり、生物処理方法においては固液分離障害に対する対策が立て難い状況となっている。
【００１０】
本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出容易なプライマーならびにプライマーセットを提供し、ひいては、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出効率の向上を図って、生物処理方法における固液分離障害の防止を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを効率よく検出可能なプライマーを見出し本発明の完成に到ったのである。
【００１２】
すなわち、プライマーに係る本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴としている。
【００１３】
また、プライマーセットに係る本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとが用いられてなることを特徴としている。
【００１４】
そして、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法に係る本発明は、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって試料中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行うことを特徴としている。
【００１５】
さらに、生物処理方法に係る本発明は、汚泥を用いて被処理水を生物学的に処理する生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を固液分離して前記汚泥除去する固液分離工程とが実施される生物処理方法であって、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって前記汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程がさらに実施されることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば生物処理方法において問題となる固液分離障害（糸状性バルキング）の主要な原因細菌の一つであるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを効率良く検出することができる。
したがって、当該細菌の増殖を抑制可能な条件となるように生物処理の条件（装置運転条件等）を変更することができ、固液分離障害の発生を抑制させ得る。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のプライマーを用いたＰＣＲ産物のアガロースゲル電気泳動写真。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明の実施の形態について、下水や工場排水を被処理水として生物処理槽に導入し、該生物処理槽中に収容させた活性汚泥と接触させて処理対象物質を分解させる生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を沈殿槽に導入して前記活性汚泥を沈殿させるとともに上澄み液を沈殿槽から流下させる固液分離工程とを実施する生物処理方法を例に説明する。
【００１９】
本実施形態の生物処理方法においては、前記生物処理槽又は前記沈殿槽の汚泥をサンプリングし、該汚泥に対してＰＣＲによるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行う工程を別途実施する。
このＰＣＲによるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出は、形態学的特徴に基づいた検出方法などのように熟練技術者でなくとも正確かつ簡単に糸状性バルキング原因細菌を検出・定量できるという利点を有する。
そして、汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を定期的に実施することでＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの増加・減少の傾向を把握することができる。
すなわち、糸状性バルキング原因細菌を正確に検出・定量することが可能となることで本細菌の増殖を抑制し、固液分離障害を防止することができる。
【００２０】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの増加の原因として、腐敗水の流入、曝気槽の溶存酸素濃度不足、栄養塩（特に窒素）不足、高負荷運転などが考えられる。
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの存在比率が全細菌数の概ね１％以上になって、本細菌が糸状性バルキングの主原因になると考えられる場合は、先のような原因についてまず初めに調査して改善することがその対策方法として挙げられる。
なお、水力学的滞留時間（ＨＲＴ）が２時間から３時間になるように嫌気もしくは無酸素槽を設ける、あるいは、間欠曝気運転を行うことで、糸状性バルキング原因細菌であるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを減少させることができ、沈殿槽における固液分離障害を抑制させることができる。
早急に活性汚泥の沈降性を改善したい場合は、次亜塩素酸ナトリウムや市販のバルキング用製剤を投入し、本細菌を死滅させることにより改善される。
【００２１】
前記Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出は、リアルタイムＰＣＲなどによって実施可能である。
このリアルタイムＰＣＲとしては、蛍光を発する色素をインターカレートさせる方法や、蛍光色素を結合させたプローブを用いる方法などを採用し得る。
また、例えば、このリアルタイムＰＣＲは、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）などのリアルタイムＰＣＲ装置を使用して実施することができる。
【００２２】
このリアルタイムＰＣＲには、フォアワードプライマーとして本発明者が設計したＳｎａ１６Ｓｆ（配列番号１：５’−ＧＧＣＧＧＴＴＣＣＡＴＡＡＧＡＣＡＧＡＴ−３’）を用い、リバースプライマーとして本発明者が設計したＳｎａ１６Ｓｒ（配列番号２：５’−ＣＴＡＣＣＧＴＡＣＴＣＴＡＧＣＣＣＣＡＣＡ−３’）を用いることが重要である。
上記プライマー（プライマーセット）を用いることにより、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を選択的に、しかも効率良く、増幅させることができる。
【００２３】
なお、この汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程以外の前記生物処理工程や、前記固液分離工程については、従来公知の設備を用いて従来公知の方法で実施可能である。
【実施例】
【００２４】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００２５】
（検証方法）
１）ＰＣＲプライマーの設計
データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌや、ＮＣＢＩ（Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｅｎｔｅｒ ｆｏｒ Ｂｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ）：ｈｔｔｐ：／／www．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／）に登録されているＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ属細菌並びにＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の配列を基に新規ＰＣＲプライマーを設計した。
ＰＣＲプライマーの設計は、Ｐｒｉｍｅｒ ＢＬＡＳＴ （ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／ｔｏｏｌｓ／ｐｒｉｍｅｒ−ｂｌａｓｔ／ｉｎｄｅｘ．ｃｇｉ？ＬＩＮＫ＿ＬＯＣ＝ＢｌａｓｔＤｅｓｃＡｄ）を用いて実施した。
【００２６】
２）新規プライマーの検証
表１に示すプライマーセットを用い、Ｆａｓｔ ＤＮＡ ＳＰＩＮ ｋｉｔ ｆｏｒ ＳＯＩＬ（Ｑｂｉｏｇｅｎｅ社製）を用いて下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを鋳型にしてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を増幅した。
続いてそれぞれの増幅産物をクローニング後、その塩基配列を決定し、データベースに登録されている既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性解析を行い、増幅産物がＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子であること、つまり目的とする遺伝子だけが増幅され、目的外の細菌の遺伝子は増幅されないことを確認した。
すなわち、精製したＤＮＡ １ｎｇ、ＡｍｐｌｉＴａｑ Ｇｏｌｄ ＰＣＲ Ｍａｓｔｅｒ Ｍｉｘ（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）および０．２５μＭのそれぞれのＰＣＲプライマーセットから構成される反応液を用いて、表２のＰＣＲ条件でＰＣＲを行った。
【００２７】
【表１】
【００２８】
【表２】
【００２９】
続いて、これらの増幅産物をＱＩＡｑｕｉｃｋ ＰＣＲ Ｐｕｒｉｆｉｃａｔｉｏｎ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）を用いて精製後、ＴＯＰＯ ＴＡクローニングキット（インビトロジェン株式会社製）を用い、ｐＣＲ４−ＴＯＰＯベクターにクローニングし大腸菌を形質転換した。
得られた形質転換体を任意にそれぞれ１２個選択し、ＱＩＡｑｕｉｃｋ Ｓｐｉｎ Ｍｉｎｉｐｒｅｐ Ｋｉｔ（インビトロジェン株式会社製）を用いて組み換えプラスミドを精製した。
これらのプラスミドを鋳型にしてＢｉｇＤｙｅ Ｔｅｒｍｉｎａｔｏｒ ｖ１．１ Ｃｙｃｌｅ Ｓｅｑｕｅｎｃｉｎｇ Ｋｉｔ（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いてＰＣＲ産物の塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）： ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌ）上に登録されている既存の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
【００３０】
表１に示す新規プライマーセットによる定量ＰＣＲの条件検討、および最適条件で定量ＰＣＲを行った際のＰＣＲ産物の既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性解析を行い、増幅産物がＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子であること、つまり目的とする遺伝子だけが増幅され、目的外の細菌の遺伝子は増幅されないことを確認した。
【００３１】
３）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲの条件検討と検証
上記１）で精製したＤＮＡ １ｎｇ、それぞれ３００ｎＭのＦｏｒｗａｒｄプライマーとＲｅｖｅｒｓｅプライマーおよびＱｕａｎｔｉＴｅｃｔ ＳＹＢＲ Ｇｒｅｅｎ ＰＣＲ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）から構成される反応液を用い、表３に示す条件により定量ＰＣＲを行った。
ＰＣＲ反応は、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００リアルタイムＰＣＲシステム（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いて行った。
さらに、各プライマーセットで行ったＰＣＲ産物を上記２）と同じ方法で精製、クローニングし、得られた形質転換体を任意に１２個選択し、塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、上記２）と同様にデータベース上の既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性を求めた。
【００３２】
４）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲによる下水処理場活性汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの定量
表１に示すプライマーセットを用い、下水処理場の活性汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出および存在数量の定量を行った。
すなわち、上記２）で精製したＤＮＡ １ｎｇ、それぞれ３００ｎＭのＦｏｒｗａｒｄプライマーとＲｅｖｅｒｓｅプライマーおよびＱｕａｎｔｉＴｅｃｔ ＳＹＢＲ Ｇｒｅｅｎ ＰＣＲ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）から構成される反応液を用い、表３に示す条件により定量ＰＣＲを行った。
ＰＣＲ反応は、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００リアルタイムＰＣＲシステム（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いて行った。
【００３３】
【表３】
【００３４】
（検証結果）
１）Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出・定量するためのＰＣＲプライマーの設計
データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）： ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌやＮＣＢＩ（Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｅｎｔｅｒ ｆｏｒ Ｂｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／）に登録されているＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の配列を基に表４に示す新規ＰＣＲプライマーを設計した。
【００３５】
【表４】
【００３６】
２）新規ＰＣＲプライマーの検証
前述の表１に示すＰＣＲプライマーセットを用いて増幅したＰＣＲ産物のアガロースゲル電気泳動写真を図１に示す。
ｌａｎｅ１が１００ｂｐ分子量マーカー、ｌａｎｅ２が下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを含まない陰性対照、ｌａｎｅ３が下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを鋳型としてＰＣＲを行った時のＰＣＲ増幅産物を示す。
予想される約８０ｂｐの増幅産物が得られた。
【００３７】
次に、これらのＰＣＲプライマーを用いたＰＣＲにより目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることを検証するために、ＰＣＲ産物をクローニングしその塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌ）上に登録されている既存の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
表５に相同性検索の結果を示す。
【００３８】
【表５】
【００３９】
このように、塩基配列を決定した１２個のＰＣＲ産物のクローン全てが目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓと９８％以上の相同性を持つ細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることを確認した。
以上の結果より、発明者が考案したプライマーは当該細菌だけを検出できる精度の高いプライマーであることを検証した。
【００４０】
表３に示す条件でスタンダードサンプルを鋳型にして定量ＰＣＲを行った時の陰性対象の出現の有無、検量線のＲ2値、増幅効率、および定量下限値の結果を表６に示す。
【００４１】
【表６】
【００４２】
本プライマーセットを用いた定量ＰＣＲにおいて陰性対照の増幅は認められず、検量線のＲ2値は０．９９以上、増幅効率は約９５％と良好な結果が得られた。
また、定量下限値は、それぞれ１２．８（ｃｏｐｉｅｓ／反応）と少ない量の当該細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を検出可能であった。
【００４３】
さらに、定量ＰＣＲ産物の塩基配列を、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ））に登録されている既存の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
その結果を表７に示す。
【００４４】
【表７】
【００４５】
この表からも、相同性解析を行った全ての定量ＰＣＲ産物が目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓと９８％以上の相同性を示し、当該細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることが確認できる。
【００４６】
５）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲによる下水処理場のＭＬＳＳ（Ｍｉｘｅｄ ｌｉｑｕｒｅ Ｓｕｓｐｅｎｄｅｄ ｓｏｌｉｄｓ）中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの定量
表３に示す条件で下水処理場のＭＬＳＳ中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの存在数量を求めた。
その結果を表８に示す。
【００４７】
【表８】
【００４８】
以上のような具体的な事例からも、本発明によれば糸状性バルキングの原因細菌であるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出や定量に好適なプライマー（プライマーセット）が提供されうることが分かる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、核酸の増幅に用いられるプライマーやプライマーセットに関し、さらには、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓ検出方法、ならびに、生物処理方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、活性汚泥などと呼ばれる生物学的な水処理に利用可能な細菌を含んだ汚泥が下水処理をはじめ食品工場や化学工場等の排水処理などに広く用いられている。
このような生物処理方法においては、下水や工場排水を被処理水として生物処理槽に導入し、該生物処理槽中に収容させた活性汚泥（以下、単に「汚泥」ともいう）と接触させて処理対象物質を分解させ、処理対象物質の低減された処理水を前記生物処理槽から流下させることが行われている。
生物処理槽においてこのような生物処理工程が実施された後の前記処理水には、前記汚泥が浮遊性の固形物（以下「ＳＳ」（ｓｕｓｐｅｎｄｅｄ ｓｏｌｉｄｓ）ともいう）として含まれることが多く、この汚泥を除去するために、従来、生物処理槽から流下された前記処理水を沈殿槽に導入して前記汚泥を沈殿分離したり、前記処理水を限外ろ過膜等によって膜分離したりすることが行われている。
【０００３】
このような固液分離工程においては、糸状性細菌によるバルキングなどから固液分離障害が引き起こされることが従来知られている。
例えば、沈殿槽にいては、（１）Ｅｉｋｅｌｂｏｏｍ ｔｙｐｅ０２１ＮやＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓなどの糸状性細菌により引き起こされる糸状性バルキング、（２）浮上汚泥や腐敗汚泥、および、（３）凝集性が悪化した解体汚泥によって固液分離障害が引き起こされることが知られている（下記非特許文献１参照）。
【０００４】
一般的な生物処理方法において出現する糸状性細菌としては、二十数種類が知られているが、それらの内、沈殿槽で問題となる固液分離障害を起こす原因となるものはそれほど多くなく、Ｅｉｋｅｌｂｏｏｍ ｔｙｐｅ０２１Ｎ、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓ、Ｍｉｃｒｏｔｈｒｉｘ ｐａｒｖｉｃｅｌｌａなどである。
その出現原因は種類により異なるため、糸状性細菌に起因する固液分離障害（糸状性バルキング）の対策には糸状性細菌の同定が必要となる（下記非特許文献２参照）。
【０００５】
従来、糸状性細菌の同定はＥｉｋｅｌｂｏｏｍが提案した形態学的特徴やその方法を基にＪｅｎｋｉｎｓ，Ｒｉｃｈａｒｄらが修正した分類・同定方法を基にした位相差顕微鏡を用いた観察が主流である。
しかし、この方法は熟練を要する上に、特徴が分かりにくい場合や出現環境によって形態が変わる場合もあることから、熟練者といえども正確に同定を行うことは容易ではない。
【０００６】
近年の分子生物学的手法の発達により、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応（以下「ＰＣＲ」ともいう）や蛍光 ｉｎｓｉｔｕ ハイブリダイゼーション（以下「ＦＩＳＨ」ともいう）法等によって汚泥を構成する特定の細菌種を短時間で正確に検出したり、その存在数量を定量したりすることができるようになっている。
例えば、下記非特許文献３には、固液分離障害（糸状性バルキング）の主要な原因細菌の一つであるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出・定量のためのＰＣＲ用プライマーについて記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００７】
【非特許文献１】「最新環境浄化のための微生物学」 稲盛 悠平編、講談社サイエンティフィク、２００８年１２月１０日第１刷発行
【非特許文献２】「カラー図説排水処理の生物相診断」 西原環境テクノロジー著、産業用水調査会、２００８年１１月１１日第１版１刷発行
【非特許文献３】Ｔ．Ｓｕｚｕｋｉ，Ｔ．Ｋａｎａｇａｗａ，Ｙ．Ｋａｍａｇａｔａ（２００２）Ａｐｐｌ．Ｅｎｖｉｒｏｎ．Ｍｉｃｒｏｂｉｏｌ．６８：３６５−３７１
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
上記非特許文献３に記載されているＰＣＲプライマーは、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの鞘の形成に関与する遺伝子であり、当該細菌を精度良く検出可能ではあるが、ＰＣＲ産物のサイズが約８７０ｂｐと長いため、定量ＰＣＲに適したプライマーとは言い難い。
例えば、タカラバイオ社のホームページに示されている「リアルタイムＰＣＲ実践編 − プライマー設計ガイドライン −」（ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｔａｋａｒａ−ｂｉｏ．ｃｏ．ｊｐ／ｐｒｔ／ｐｄｆ／ｐｒｔ３−１．ｐｄｆ）には、「リアルタイムＰＣＲで１００％に近い増幅効率を得るためには、増幅サイズが８０〜１５０ｂｐとなるように設計することが望ましい。高速でリアルタイムＰＣＲを行う場合は、増幅サイズが大きすぎるとＰＣＲ増幅できない場合もあるので、増幅サイズが３００ ｂｐを超えるようなプライマーペアは避ける。」と記載されている。
【０００９】
すなわち、非特許文献３に記載のプライマーは、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを精度良く検出可能ではあるが、検出に要する効率の点で問題を有し、ＰＣＲに用いる機器によってはプライマーとして使用することが困難になるおそれを有するものである。
そのため、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法においては、その効率を向上させることが難しい状況であり、生物処理方法においては固液分離障害に対する対策が立て難い状況となっている。
【００１０】
本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出容易なプライマーならびにプライマーセットを提供し、ひいては、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出効率の向上を図って、生物処理方法における固液分離障害の防止を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを効率よく検出可能なプライマーを見出し本発明の完成に到ったのである。
【００１２】
すなわち、プライマーに係る本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴としている。
【００１３】
また、プライマーセットに係る本発明は、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとが用いられてなることを特徴としている。
【００１４】
そして、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法に係る本発明は、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって試料中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行うことを特徴としている。
【００１５】
さらに、生物処理方法に係る本発明は、汚泥を用いて被処理水を生物学的に処理する生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を固液分離して前記汚泥除去する固液分離工程とが実施される生物処理方法であって、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって前記汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程がさらに実施されることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１６】
本発明によれば生物処理方法において問題となる固液分離障害（糸状性バルキング）の主要な原因細菌の一つであるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを効率良く検出することができる。
したがって、当該細菌の増殖を抑制可能な条件となるように生物処理の条件（装置運転条件等）を変更することができ、固液分離障害の発生を抑制させ得る。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のプライマーを用いたＰＣＲ産物のアガロースゲル電気泳動写真。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明の実施の形態について、下水や工場排水を被処理水として生物処理槽に導入し、該生物処理槽中に収容させた活性汚泥と接触させて処理対象物質を分解させる生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を沈殿槽に導入して前記活性汚泥を沈殿させるとともに上澄み液を沈殿槽から流下させる固液分離工程とを実施する生物処理方法を例に説明する。
【００１９】
本実施形態の生物処理方法においては、前記生物処理槽又は前記沈殿槽の汚泥をサンプリングし、該汚泥に対してＰＣＲによるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行う工程を別途実施する。
このＰＣＲによるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出は、形態学的特徴に基づいた検出方法などのように熟練技術者でなくとも正確かつ簡単に糸状性バルキング原因細菌を検出・定量できるという利点を有する。
そして、汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を定期的に実施することでＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの増加・減少の傾向を把握することができる。
すなわち、糸状性バルキング原因細菌を正確に検出・定量することが可能となることで本細菌の増殖を抑制し、固液分離障害を防止することができる。
【００２０】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの増加の原因として、腐敗水の流入、曝気槽の溶存酸素濃度不足、栄養塩（特に窒素）不足、高負荷運転などが考えられる。
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの存在比率が全細菌数の概ね１％以上になって、本細菌が糸状性バルキングの主原因になると考えられる場合は、先のような原因についてまず初めに調査して改善することがその対策方法として挙げられる。
なお、水力学的滞留時間（ＨＲＴ）が２時間から３時間になるように嫌気もしくは無酸素槽を設ける、あるいは、間欠曝気運転を行うことで、糸状性バルキング原因細菌であるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを減少させることができ、沈殿槽における固液分離障害を抑制させることができる。
早急に活性汚泥の沈降性を改善したい場合は、次亜塩素酸ナトリウムや市販のバルキング用製剤を投入し、本細菌を死滅させることにより改善される。
【００２１】
前記Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出は、リアルタイムＰＣＲなどによって実施可能である。
このリアルタイムＰＣＲとしては、蛍光を発する色素をインターカレートさせる方法や、蛍光色素を結合させたプローブを用いる方法などを採用し得る。
また、例えば、このリアルタイムＰＣＲは、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）などのリアルタイムＰＣＲ装置を使用して実施することができる。
【００２２】
このリアルタイムＰＣＲには、フォアワードプライマーとして本発明者が設計したＳｎａ１６Ｓｆ（配列番号１：５’−ＧＧＣＧＧＴＴＣＣＡＴＡＡＧＡＣＡＧＡＴ−３’）を用い、リバースプライマーとして本発明者が設計したＳｎａ１６Ｓｒ（配列番号２：５’−ＣＴＡＣＣＧＴＡＣＴＣＴＡＧＣＣＣＣＡＣＡ−３’）を用いることが重要である。
上記プライマー（プライマーセット）を用いることにより、Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を選択的に、しかも効率良く、増幅させることができる。
【００２３】
なお、この汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程以外の前記生物処理工程や、前記固液分離工程については、従来公知の設備を用いて従来公知の方法で実施可能である。
【実施例】
【００２４】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００２５】
（検証方法）
１）ＰＣＲプライマーの設計
データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌや、ＮＣＢＩ（Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｅｎｔｅｒ ｆｏｒ Ｂｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ）：ｈｔｔｐ：／／www．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／）に登録されているＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ属細菌並びにＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の配列を基に新規ＰＣＲプライマーを設計した。
ＰＣＲプライマーの設計は、Ｐｒｉｍｅｒ ＢＬＡＳＴ （ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／ｔｏｏｌｓ／ｐｒｉｍｅｒ−ｂｌａｓｔ／ｉｎｄｅｘ．ｃｇｉ？ＬＩＮＫ＿ＬＯＣ＝ＢｌａｓｔＤｅｓｃＡｄ）を用いて実施した。
【００２６】
２）新規プライマーの検証
表１に示すプライマーセットを用い、Ｆａｓｔ ＤＮＡ ＳＰＩＮ ｋｉｔ ｆｏｒ ＳＯＩＬ（Ｑｂｉｏｇｅｎｅ社製）を用いて下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを鋳型にしてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を増幅した。
続いてそれぞれの増幅産物をクローニング後、その塩基配列を決定し、データベースに登録されている既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性解析を行い、増幅産物がＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子であること、つまり目的とする遺伝子だけが増幅され、目的外の細菌の遺伝子は増幅されないことを確認した。
すなわち、精製したＤＮＡ １ｎｇ、ＡｍｐｌｉＴａｑ Ｇｏｌｄ ＰＣＲ Ｍａｓｔｅｒ Ｍｉｘ（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）および０．２５μＭのそれぞれのＰＣＲプライマーセットから構成される反応液を用いて、表２のＰＣＲ条件でＰＣＲを行った。
【００２７】
【表１】
【００２８】
【表２】
【００２９】
続いて、これらの増幅産物をＱＩＡｑｕｉｃｋ ＰＣＲ Ｐｕｒｉｆｉｃａｔｉｏｎ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）を用いて精製後、ＴＯＰＯ ＴＡクローニングキット（インビトロジェン株式会社製）を用い、ｐＣＲ４−ＴＯＰＯベクターにクローニングし大腸菌を形質転換した。
得られた形質転換体を任意にそれぞれ１２個選択し、ＱＩＡｑｕｉｃｋ Ｓｐｉｎ Ｍｉｎｉｐｒｅｐ Ｋｉｔ（インビトロジェン株式会社製）を用いて組み換えプラスミドを精製した。
これらのプラスミドを鋳型にしてＢｉｇＤｙｅ Ｔｅｒｍｉｎａｔｏｒ ｖ１．１ Ｃｙｃｌｅ Ｓｅｑｕｅｎｃｉｎｇ Ｋｉｔ（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いてＰＣＲ産物の塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）： ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌ）上に登録されている既存の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
【００３０】
表１に示す新規プライマーセットによる定量ＰＣＲの条件検討、および最適条件で定量ＰＣＲを行った際のＰＣＲ産物の既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性解析を行い、増幅産物がＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子であること、つまり目的とする遺伝子だけが増幅され、目的外の細菌の遺伝子は増幅されないことを確認した。
【００３１】
３）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲの条件検討と検証
上記１）で精製したＤＮＡ １ｎｇ、それぞれ３００ｎＭのＦｏｒｗａｒｄプライマーとＲｅｖｅｒｓｅプライマーおよびＱｕａｎｔｉＴｅｃｔ ＳＹＢＲ Ｇｒｅｅｎ ＰＣＲ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）から構成される反応液を用い、表３に示す条件により定量ＰＣＲを行った。
ＰＣＲ反応は、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００リアルタイムＰＣＲシステム（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いて行った。
さらに、各プライマーセットで行ったＰＣＲ産物を上記２）と同じ方法で精製、クローニングし、得られた形質転換体を任意に１２個選択し、塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、上記２）と同様にデータベース上の既知の細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子と相同性を求めた。
【００３２】
４）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲによる下水処理場活性汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの定量
表１に示すプライマーセットを用い、下水処理場の活性汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出および存在数量の定量を行った。
すなわち、上記２）で精製したＤＮＡ １ｎｇ、それぞれ３００ｎＭのＦｏｒｗａｒｄプライマーとＲｅｖｅｒｓｅプライマーおよびＱｕａｎｔｉＴｅｃｔ ＳＹＢＲ Ｇｒｅｅｎ ＰＣＲ Ｋｉｔ（株式会社キアゲン製）から構成される反応液を用い、表３に示す条件により定量ＰＣＲを行った。
ＰＣＲ反応は、Ａｐｐｌｉｅｄ Ｂｉｏｓｙｓｔｅｍｓ ７３００リアルタイムＰＣＲシステム（アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製）を用いて行った。
【００３３】
【表３】
【００３４】
（検証結果）
１）Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出・定量するためのＰＣＲプライマーの設計
データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）： ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌやＮＣＢＩ（Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｅｎｔｅｒ ｆｏｒ Ｂｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｎｃｂｉ．ｎｌｍ．ｎｉｈ．ｇｏｖ／）に登録されているＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子の配列を基に表４に示す新規ＰＣＲプライマーを設計した。
【００３５】
【表４】
【００３６】
２）新規ＰＣＲプライマーの検証
前述の表１に示すＰＣＲプライマーセットを用いて増幅したＰＣＲ産物のアガロースゲル電気泳動写真を図１に示す。
ｌａｎｅ１が１００ｂｐ分子量マーカー、ｌａｎｅ２が下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを含まない陰性対照、ｌａｎｅ３が下水処理場の活性汚泥から精製したＤＮＡを鋳型としてＰＣＲを行った時のＰＣＲ増幅産物を示す。
予想される約８０ｂｐの増幅産物が得られた。
【００３７】
次に、これらのＰＣＲプライマーを用いたＰＣＲにより目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることを検証するために、ＰＣＲ産物をクローニングしその塩基配列を決定した。
決定した塩基配列は、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ）：ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｄｄｂｊ．ｎｉｇ．ａｃ．ｊｐ／Ｗｅｌｃｏｍｅ−ｊ．ｈｔｍｌ）上に登録されている既存の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
表５に相同性検索の結果を示す。
【００３８】
【表５】
【００３９】
このように、塩基配列を決定した１２個のＰＣＲ産物のクローン全てが目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓと９８％以上の相同性を持つ細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることを確認した。
以上の結果より、発明者が考案したプライマーは当該細菌だけを検出できる精度の高いプライマーであることを検証した。
【００４０】
表３に示す条件でスタンダードサンプルを鋳型にして定量ＰＣＲを行った時の陰性対象の出現の有無、検量線のＲ2値、増幅効率、および定量下限値の結果を表６に示す。
【００４１】
【表６】
【００４２】
本プライマーセットを用いた定量ＰＣＲにおいて陰性対照の増幅は認められず、検量線のＲ2値は０．９９以上、増幅効率は約９５％と良好な結果が得られた。
また、定量下限値は、それぞれ１２．８（ｃｏｐｉｅｓ／反応）と少ない量の当該細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子を検出可能であった。
【００４３】
さらに、定量ＰＣＲ産物の塩基配列を、データベース（ＤＤＢＪ（ＤＮＡ Ｄａｔａ Ｂａｎｋ ｏｆ Ｊａｐａｎ））に登録されている既存の塩基配列と相同性を求めることにより、増幅されたＰＣＲ産物がどの細菌種に由来するかを推定した。
その結果を表７に示す。
【００４４】
【表７】
【００４５】
この表からも、相同性解析を行った全ての定量ＰＣＲ産物が目的とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓと９８％以上の相同性を示し、当該細菌の１６ＳｒＲＮＡ遺伝子だけが増幅されていることが確認できる。
【００４６】
５）新規ＰＣＲプライマーを用いた定量ＰＣＲによる下水処理場のＭＬＳＳ（Ｍｉｘｅｄ ｌｉｑｕｒｅ Ｓｕｓｐｅｎｄｅｄ ｓｏｌｉｄｓ）中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの定量
表３に示す条件で下水処理場のＭＬＳＳ中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの存在数量を求めた。
その結果を表８に示す。
【００４７】
【表８】
【００４８】
以上のような具体的な事例からも、本発明によれば糸状性バルキングの原因細菌であるＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出や定量に好適なプライマー（プライマーセット）が提供されうることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴とするプライマー。
【請求項２】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとが用いられてなることを特徴とするプライマーセット。
【請求項３】
配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって試料中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行うことを特徴とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法。
【請求項４】
汚泥を用いて被処理水を生物学的に処理する生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を固液分離して前記汚泥除去する固液分離工程とが実施される生物処理方法であって、
配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって前記汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程がさらに実施されることを特徴とする生物処理方法。
【請求項１】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１又は２のいずれかの塩基配列を有していることを特徴とするプライマー。
【請求項２】
Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸の増幅に用いられ、配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとが用いられてなることを特徴とするプライマーセット。
【請求項３】
配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって試料中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出を行うことを特徴とするＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの検出方法。
【請求項４】
汚泥を用いて被処理水を生物学的に処理する生物処理工程と、該生物処理工程後の処理水を固液分離して前記汚泥除去する固液分離工程とが実施される生物処理方法であって、
配列番号１の塩基配列を有しているフォワードプライマーと配列番号２の塩基配列を有しているリバースプライマーとを用いてＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓの核酸を増幅させることによって前記汚泥中のＳｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ ｎａｔａｎｓを検出する工程がさらに実施されることを特徴とする生物処理方法。
【図１】
【公開番号】特開２０１１−５５７４５（Ｐ２０１１−５５７４５Ａ）
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２０７２６９（Ｐ２００９−２０７２６９）
【出願日】平成２１年９月８日（２００９．９．８）
【出願人】（０００１９２５９０）株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月８日（２００９．９．８）
【出願人】（０００１９２５９０）株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Ｆターム（参考）】
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