説明

プラグユニット

【課題】ワンタッチ式のジョイント部材が着脱されるためのプラグは従来のゴムホースを連結するようには設計されていない。そのため、ジョイント部材以外の配管部材が接続されることを防止する機構を設ける必要があるが、この機構による接続防止機構を故意に解除されないようにカバーを設けると、ジョイント部材がプラグに接続されていることを確認しづらく、またジョイント部材が接続されている状態でガスの漏れがないかを検知する場合に、ガスの漏れ量が微少であるためカバーが邪魔になり検知しづらい。
【解決手段】プラグにジョイント部材が連結されたことを確認するための開口部53をカバー5に貫設し、ジョイント部材Jが連結されると、開口部53を通して視認できる部材がロック部材3からリングRに切り替わるようにした。なお、開口部53はカバー5を貫通しているのでガスの漏れはこの開口部53を通して行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具に設けられ、ガス器具に対してガスを供給するジョイント部材が接続されるプラグユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばガスファンヒータのようなガス器具には、ガスを供給するガスコードと呼ばれるチューブ状の管が接続されるプラグが設けられている。ガスコードの器具側の端部にはジョイント部材が取り付けられている。このジョイント部材はワンタッチ式でプラグに着脱することができる。ジョイント部材の先端には金属製の筒状の部材が取り付けられており、ジョイント部材をプラグの先端にあてがい、その状態からジョイント部材を押しつければ、金属製の筒状の部材が飛び出し、ジョイント部材がプラグに連結される。また、ジョイント部材を取り外す際には、その金属製の筒状の部材を指で挟んで引き戻せば、ジョイント部材はプラグから簡単に外れる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記プラグはジョイント部材が着脱されるためのものであり、従来のゴムホースを連結するようには設計されていない。そのため、ジョイント部材専用であることを知らずにゴムホースをプラグに接続しようとしても容易には接続することはできない。ところが、ゴムホースは弾性変形することができるため、無理矢理プラグにゴムホースを接続できる場合が生じる。ところが、ジョイント部材専用のプラグにゴムホースを無理矢理接続した状態は正規の状態ではないため、ゴムホースに外力が作用すると、ゴムホースとプラグとの間に隙間が生じたり、ゴムホースが外れてしまい、好ましくない。
【0004】
そこで、プラグに対してゴムホースなどのジョイント部材以外の配管部材が接続されないように接続を阻止する機構をプラグに設け、さらにこのような機構が指などで故意に操作されて接続阻止状態が解除されないようにカバーで覆うことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−111535号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述のようにカバーで覆ってしまうとジョイント部材が接続されたことを確認しづらくなる。特にプラグはガス器具の背面に取り付けられていることが多く、そのため、さらに確認しづらくなる。
【0007】
また、ジョイント部材をプラグに接続する際にゴミなどが噛み込んだり、経年劣化でプラグの先端に傷がついているような場合にはジョイント部材をプラグに接続した状態で微少ではあるがガスが漏れる場合がある。このガスの漏れは微少であるため、人がにおいなどで察知することが困難であり、ガス漏れ検知機などの検査機器で定期的に検査する必要があるが、プラグとジョイント部材との連結部分がカバーで覆われていると、検査機器を用いてもガスの漏れを検知しづらいという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、カバーを設けるがジョイント部材がプラグに接続されたことを確認しやすく、かつガス漏れの検知を容易に行うことのできるプラグユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるプラグユニットは、ガス器具に設けられ、ガスコードの先端に取り付けられたワンタッチによる着脱式のジョイント部材が取り付けられるプラグユニットにおいて、ジョイント部材が接続され、ガス器具へのガスの通路となる筒状のプラグと、このプラグに対してジョイント部材以外の配管部材の連結を防止する連結防止部材と、ジョイント部材が接続される際に連結防止部材の退避位置への移動を許可し、それ以外の場合に連結防止部材の移動をロックするロック部材とを備え、少なくともこれら連結防止部材とロック部材とを覆うカバーを設けると共に、プラグにジョイント部材が連結されたことを確認するための開口部をカバーに貫設したことを特徴とする。
【0010】
上記開口部を設けることによりジョイント部材がプラグに接続されたことを確認しやすくなると共に、開口部はカバーに貫設されているので、ジョイント部材が連結されている状態でガスの漏れが生じているか否かを、この開口部を介して検査することができる。
【0011】
なお、プラグにジョイント部材を連結していない状態で開口部から埃などが入り込むことを嫌う場合には、プラグに連結されているジョイント部材をプラグから外す連結解除部材をカバーの外周面に沿って摺動自在に設け、プラグにジョイント部材が連結されていない状態では上記開口部を連結解除部材で覆い、ジョイント部材がプラグに連結された状態では連結解除部材が移動して開口部が露出するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、カバーを設けてもジョイント部材がプラグに接続されたことを容易に確認することができ、かつジョイント部材が連結されている状態でのガスの漏れの検査を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】プラグユニットの分解斜視図
【図3】プラグユニットの断面図
【図4】突起の間隔を示す図
【図5】ジョイント部材が連結された状態を示す図
【図6】他の実施の形態を示すプラグユニットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明によるプラグユニットの一例を示すものである。このプラグユニット1は、たとえばガス器具であるガスファンヒータの背面に取り付けられている。取付軸11が図示しない取り付け用ブラケットに挿入され、取付軸11を中心に図示のように揺動自在に取り付けられている。このプラグユニット1にはガスを供給するガスコードの先端に取り付けられたジョイント部材Jが着脱自在に連結されるものであり、ジョイント部材Jが連結されると、ガスコードを通ってガスがガス器具に供給される。
【0015】
図2および図3を参照して、プラグユニット1の中心位置には金属製のパイプ状のプラグ12が内蔵されている。このプラグ12に上記ジョイント部材Jが連結される。プラグ12には連結のための溝13が形成されている。
【0016】
2は連結防止部材である。この連結防止部材2は筒状に形成されており、プラグ12の外側に装着される。この連結防止部材2には弾性変形することのできる1対の腕部21が形成されている。そして、両腕部21の先端部分には内側に突出する突起22が形成されている。この突起22はプラグ12の溝13に係合するように形成されている。突起22が溝13に係合している状態では連結防止部材2によってプラグ12の先端部分が覆い隠されているため、ジョイント部材Jや図示しないゴムホースをプラグ12に連結もしくは接続することはできない。その状態から連結防止部材2を押し下げると、腕部21が外側に撓んで突起22が溝13から外れる。その状態から更に連結防止部材2を押し下げると、連結防止部材2はプラグ12に沿って移動し、プラグ12の先端部分が露出することになる。そして、プラグ12の先端が露出すると、プラグ12にジョイント部材Jを連結させることができる。
【0017】
3はロック部材である。このロック部材3は2個の同一形状の部材から構成されている。この1対のロック部材3は上記連結防止部材2を外側から挟むように取り付けられ、バネ4の付勢力で常に図において上方に付勢されている。ロック部材3がバネ4の付勢力によって保持されている図3に示す状態では、ロック部材3は上記突起22の外側に位置している。このため、突起22が溝13から外れようとしても、ロック部材3によって突起22が押さえられ、突起22は溝13から外れることができない。すると、連結防止部材2はその位置から移動することができないので、プラグ12にジョイント部材Jやゴムホースが連結や接続できない状態が維持される。そして、両ロック部材3の外周面に着色部32を設けた。本実施の形態では赤色に着色したが、離れた位置から視認しやすい色であればよく、特定の色に限定するものではない。
【0018】
5は筒状のカバーであり、ロック部材3が指などで移動されないようにロック部材3を覆うように取り付けられている。ただし、カバー5でプラグ12の先端が隠れてしまうと、プラグ12にジョイント部材Jを連結する際にプラグ12の先端が見えず、ジョイント部材Jをプラグ12の先端に合わせにくい。そこで、カバー5の先端部分に2個のスリット51を設けた。ただし、このスリット51の開口幅が広すぎるとスリット51から指を挿入してロック部材3を押し下げてしまうことができる。そこで、スリット51の開口幅を、外側から指で内部のロック部材3を触ることのできない狭さにした。また、カバー5の後端側には切欠き52を設けて、後述する連結解除部材6の解除リング61が連結解除部材6と共に移動できるようにした。また、カバー5の内外を貫通する開口部53を形成した。この開口部53は図1に示すように、ジョイント部材Jが連結されていない状態で、ロック部材の着色部32が外部に臨む位置に設定されている。
【0019】
連結解除部材6はカバー5の外側に装着されており、カバー5に沿って移動することができる。また、連結解除部材6の内部にはリング状の解除リング61が一体に形成されている。この解除リング61はカバー5の内側に位置するように形成されている。そして、上記の各部品を組み付けた状態で固定バンド14でカバー5をプラグ12側に固定している。
【0020】
図3および図4を参照して、ジョイント部材Jの先端には金属製の筒状のリングRが設けられている。ジョイント部材Jをプラグ12に連結すると、リングRは所定量突出し、連結を解除する場合にはこのリングRを元の状態になるように押し戻す。すると、ジョイント部材Jはプラグ12から外れるように構成されている。また、リングRの内側にはプラグ12が挿入される固定筒Cが設けられている。
【0021】
カバー5の内径D1はジョイント部材Jの外形D2より大きく設定されており、固定筒Cの内径D3はプラグ12の外形よりも若干大きく設定されている。プラグ12に連結させるため、ジョイント部材Jを図3に示す状態から図において下方に移動させると、リングRが両ロック部材3に当接し、両ロック部材3を同時に押し下げる。すると、両ロック部材3は連結防止部材2の突起22の外側への移動を阻止していた状態ではなくなる。
【0022】
ジョイント部材Jを更に押し下げると、固定筒Cが連結防止部材2に当接して連結部材2を押し下げる。この状態では突起22は外側に移動できるので突起22は溝13から外れて、連結防止部材2は固定筒Cに押し下げられる。そして、図5に示すように、ジョイント部材Jはプラグ12に連結される。図示のように、ロック部材3が移動するため、開口部53の位置からロック部材3が外れる。そのため、開口部53から着色部32は見えなくなり、代わりにリングRが開口部53を通して視認できる状態になる。着色部53は上述のように赤色に着色しており、一方リングRは一般に真ちゅうで形成されているので、ジョイント部材Jを連結することにより、開口部53内に視認する色が赤色から真ちゅう色に切り替わることになる。この色の変化によりジョイント部材Jがプラグに連結されたことを確認することができる。また、プラグ12とジョイント部材Jとの連結位置が開口部53に臨むことになるので、仮に連結部分から微量のガスの漏れが生じても、開口53を通してガスの漏れを検知することができる。
【0023】
次に、ジョイント部材Jを外す際には、リングRを図において上方に押し上げればよいが、上述のように溝51が狭いので、リングRを直接指で触ることができない。そこで、連結解除部材6を図において上方にスライドさせる。すると、カバー5内に位置する解除リング61がロック部材3の下端に当接し、ロック部材3を介してリングRを押し上げる。すると、ジョイント部材Jは上述のようにプラグ12から外れる。また、バネ4の付勢力によってロック部材3が上方に押し上げられるが、その際、ロック部材3が連結防止部材2を引っかけて上昇する。爪22が溝13に係合すると連結防止部材2はその位置で停止し、ロック部材3は更に上昇して、図3に示す状態に復帰する。
【0024】
ロック部材3には内側に突出する突起31が1個形成されている。上述のように両ロック部材3は同一の形状に形成されているので、両突起部材3をセットすると、各突起31はプラグ12の中心軸線を挟んで対称の位置になる。図4に示すように、この両突起31の距離をLとすると、ゴムホースの外形よりも距離Lが長くなるようにした。このように、両突起31を対称の位置に配したので、突起31の距離Lは対称に配置しない場合に比べて最も長くなる。また、距離Lをゴムホースの外形より長くしたので、ゴムホースをプラグ12に接続しようとしても、1対のロック部材3の一方をゴムホースの端面で押し下げることはできても、両ロック部材3を同時にゴムホースで押し下げることはできない。両ロック部材3の一方が押し下げられないと、押し下げられなかった側の突起22が溝13から外れることができないので、連結防止部材2はプラグ12の先端を覆った位置から移動することがなく、その結果ゴムホースをプラグ12に接続することができない。
【0025】
ところで、上記開口部53は常に外部に対して露出していたが、図6に示すように、連結解除部材6を長く形成し、かつバネ41を追加して連結解除部材6を先端側に付勢することにより、ジョイント部材Jが連結されていない状態では連結解除部材6で開口部53を覆い隠すようにしてもよい。この構成では、ジョイント部材Jが連結されると連結解除部材6がバネ41の付勢力に抗して押し下げられるので開口部53が露出することになる。
【0026】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
1 プラグユニット
2 連結防止部材
3 ロック部材
4 バネ
5 カバー
6 連結解除部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス器具に設けられ、ガスコードの先端に取り付けられたワンタッチによる着脱式のジョイント部材が取り付けられるプラグユニットにおいて、ジョイント部材が接続され、ガス器具へのガスの通路となる筒状のプラグと、このプラグに対してジョイント部材以外の配管部材の連結を防止する連結防止部材と、ジョイント部材が接続される際に連結防止部材の退避位置への移動を許可し、それ以外の場合に連結防止部材の移動をロックするロック部材とを備え、少なくともこれら連結防止部材とロック部材とを覆うカバーを設けると共に、プラグにジョイント部材が連結されたことを確認するための開口部をカバーに貫設したことを特徴とするプラグユニット。
【請求項2】
プラグに連結されているジョイント部材をプラグから外す連結解除部材をカバーの外周面に沿って摺動自在に設け、プラグにジョイント部材が連結されていない状態では上記開口部を連結解除部材で覆い、ジョイント部材がプラグに連結された状態では連結解除部材が移動して開口部が露出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプラグユニット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−241924(P2011−241924A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115658(P2010−115658)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】