説明

プラグユニット

【課題】ワンタッチ式のジョイント部材が着脱されるためのプラグは従来のゴムホースを連結するようには設計されていない。そのため、ジョイント部材専用であることを知らずにゴムホースをプラグに接続しようとしても容易には接続することはできない。ところが、ゴムホースは弾性変形することができるため、無理矢理プラグにゴムホースを接続できる場合が生じる。
【解決手段】1対のロック部材3を同時に押し下げなければプラグ12の先端を覆っている連結防止部材2を下方に移動させることができないようにし、同時に、ゴムホースの端面では同時に押すことができない位置にロック部材3から突起31を設け、ジョイント部材Jではロック部材3を押し下げることができるがゴムホースでは両ロック部材3を同時に押し下げられないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具に設けられ、ガス器具に対してガスを供給するジョイント部材が接続されるプラグユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばガスファンヒータのようなガス器具には、ガスを供給するガスコードと呼ばれるチューブ状の管が接続されるプラグが設けられている。ガスコードの器具側の端部にはジョイント部材が取り付けられている。このジョイント部材はワンタッチ式でプラグに着脱することができる。ジョイント部材の先端には金属製の筒状の部材が取り付けられており、ジョイント部材をプラグの先端にあてがい、その状態からジョイント部材を押しつければ、金属製の筒状の部材が飛び出し、ジョイント部材がプラグに連結される。また、ジョイント部材を取り外す際には、その金属製の筒状の部材を指で挟んで引き戻せば、ジョイント部材はプラグから簡単に外れる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−111535号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プラグはジョイント部材が着脱されるためのものであり、従来のゴムホースを連結するようには設計されていない。そのため、ジョイント部材専用であることを知らずにゴムホースをプラグに接続しようとしても容易には接続することはできない。ところが、ゴムホースは弾性変形することができるため、無理矢理プラグにゴムホースを接続できる場合が生じる。
【0005】
ただし、ジョイント部材専用のプラグにゴムホースを無理矢理接続した状態は正規の状態ではないため、ゴムホースに外力が作用すると、ゴムホースとプラグとの間に隙間が生じたり、ゴムホースが外れてしまい、好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、ジョイント部材用のプラグに対してジョイント部材の着脱は問題なく行うことができると共に、ゴム管の接続を確実に阻止することのできるプラグユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるプラグユニットは、ガス器具に設けられ、ガスコードの先端に取り付けられたワンタッチによる着脱式のジョイント部材が取り付けられるプラグユニットにおいて、先端部近傍の外周面にジョイント部材との連結用の溝が形成された円筒状のプラグを備え、このプラグの外側に装着された筒状の連結防止部材を設け、この連結防止部材がプラグの先端部分を覆ってジョイント部材およびガスホースがプラグに連結されることを防止する連結防止位置でプラグの溝に係合し、かつ溝に係合している状態から連結防止部材をプラグに沿って押し込むと、外側に弾性変形して溝から外れるロック爪を連結防止部材に形成し、連結防止部材の外側に、ロック爪が外側に弾性変形することを阻止してロック爪が溝から外れることを阻止するロック位置と、ロック爪の弾性変形を許可するロック解除位置とに移動自在なロック部材を設け、このロック部材を、連結防止部材を挟む1対の部材で形成すると共に、両ロック部材から、プラグの中心軸線を挟んで対峙する対称な位置に各々内側に向かう突起を形成し、両突起間の間隔をゴムホースの直径より広く設定し、ゴムホースの端面では両ロック部材を同時に押し込むことができないようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記構成では、ロック部材をロック解除状態まで移動させなければ連結防止部材が移動できなので、ジョイント部材もゴムホースも共にプラグに接続することができない。ジョイント部材を連結する際にはジョイント部材で両ロック部材を同時に押し込んでロック解除位置に移動させ、更にジョイント部材で連結防止部材を移動させながらジョイント部材をプラグに連結させることができる。一方、ゴムホースはジョイント部材の先端部の直径よりも細いので、両ロック部材をゴムホースの先端で同時に押すことができず、そのためロック爪が溝から外れず、連結防止部材を移動させることができない。なお、ロック部材の円周方向の幅が広いと、ロック部材を2つの部材で構成しても両ロック部材の距離が短くなる位置が生じる。その位置にゴムホースが位置すると意に反してゴムホースで両ロック部材を同時に押し込める状態にある恐れが生じる。そこで、上記のように、各ロック部材に突起を形成して、両突起の突起の距離をゴムホースの直径より広くした。これによりゴムホースの端部が両突起に同時に接触することがなくなる。
【0009】
上記構成では誤ってゴムホースを接続することは防止できるが、指などでロック部材を移動させて故意にロック部材をロック解除位置に移動させることを確実に防止できない。そこで、上記ロック部材を覆って、両ロック部材がジョイント部材以外のものによって同時に押し込まれないようにする筒状のカバーを設けると共に、このカバーの先端部分にプラグの先端を目視できてジョイント部材の連結を容易にするスリットを形成し、さらに、このスリットの開口幅を、外側から指で内部のロック部材を触ることのできない狭さにすることが望まれる。
【0010】
カバーを設けることにより、外部からロック部材に触れることができなくなる。ただし、カバーで完全に覆ってしまうとジョイント部材を接続する際にプラグの先端が目視できず、接続しにくくなる恐れがある。そこで、スリットをカバーに設けてプラグの先端が見えるようにした。ただし、そのスリットから指を挿入できないようにスリットの開口幅を狭くした。
【0011】
また、カバーを設けるとジョイント部材を外しにくくなるので、カバーの外周面に沿ってスライドする円筒状の連結解除部材を設け、この連結解除部材の内側にカバーを貫通してカバーの内部に突出し、連結解除部材を先端側にスライドさせることによりジョイント部材を外れる方向に押してプラグからジョイント部材を外す連結解除部を形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ゴムホースをプラグに誤って接続することを確実に防止することができ、更に故意によってゴムホースを接続することも確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】プラグユニットの分解斜視図
【図3】プラグユニットの断面図
【図4】突起の間隔を示す図
【図5】ジョイント部材が連結された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、1は本発明によるプラグユニットの一例を示すものである。このプラグユニット1は、たとえばガス器具であるガスファンヒータの背面に取り付けられている。取付軸11が図示しない取り付け用ブラケットに挿入され、取付軸11を中心に図示のように揺動自在に取り付けられている。このプラグユニット1にはガスを供給するガスコードの先端に取り付けられたジョイント部材Jが着脱自在に連結されるものであり、ジョイント部材Jが連結されると、ガスコードを通ってガスがガス器具に供給される。
【0015】
図2および図3を参照して、プラグユニット1の中心位置には金属製のパイプ状のプラグ12が内蔵されている。このプラグ12に上記ジョイント部材Jが連結される。プラグ12には連結のための溝13が形成されている。
【0016】
2は連結防止部材である。この連結防止部材2は筒状に形成されており、プラグ12の外側に装着される。この連結防止部材2には弾性変形することのできる1対の腕部21が形成されている。そして、両腕部21の先端部分には内側に突出する突起22が形成されている。この突起22はプラグ12の溝13に係合するように形成されている。突起22が溝13に係合している状態では連結防止部材2によってプラグ12の先端部分が覆い隠されているため、ジョイント部材Jや図示しないゴムホースをプラグ12に連結もしくは接続することはできない。その状態から連結防止部材2を押し下げると、腕部21が外側に撓んで突起22が溝13から外れる。その状態から更に連結防止部材2を押し下げると、連結防止部材2はプラグ12に沿って移動し、プラグ12の先端部分が露出することになる。そして、プラグ12の先端が露出すると、プラグ12にジョイント部材Jを連結させることができる。
【0017】
3はロック部材である。このロック部材3は2個の同一形状の部材から構成されている。この1対のロック部材3は上記連結防止部材2を外側から挟むように取り付けられ、バネ4の付勢力で常に図において上方に付勢されている。ロック部材3がバネ4の付勢力によって保持されている図3に示す状態では、ロック部材3は上記突起22の外側に位置している。このため、突起22が溝13から外れようとしても、ロック部材3によって突起22が押さえられ、突起22は溝13から外れることができない。すると、連結防止部材2はその位置から移動することができないので、プラグ12にジョイント部材Jやゴムホースが連結や接続できない状態が維持される。
【0018】
5は筒状のカバーであり、ロック部材3が指などで移動されないようにロック部材3を覆うように取り付けられている。ただし、カバー5でプラグ12の先端が隠れてしまうと、プラグ12にジョイント部材Jを連結する際にプラグ12の先端が見えず、ジョイント部材Jをプラグ12の先端に合わせにくい。そこで、カバー5の先端部分に2個のスリット51を設けた。ただし、このスリット51の開口幅が広すぎるとスリット51から指を挿入してロック部材3を押し下げてしまうことができる。そこで、スリット51の開口幅を、外側から指で内部のロック部材3を触ることのできない狭さにした。また、カバー5の後端側には切欠き52を設けて、後述する連結解除部材6の解除リング61が連結解除部材6と共に移動できるようにした。
【0019】
連結解除部材6はカバー5の外側に装着されており、カバー5に沿って移動することができる。また、連結解除部材6の内部にはリング状の解除リング61が一体に形成されている。この解除リング61はカバー5の内側に位置するように形成されている。そして、上記の各部品を組み付けた状態で固定バンド14でカバー5をプラグ12側に固定している。
【0020】
図3および図4を参照して、ジョイント部材Jの先端には金属製の筒状のリングRが設けられている。ジョイント部材Jをプラグ12に連結すると、リングRは所定量突出し、連結を解除する場合にはこのリングRを元の状態になるように押し戻す。すると、ジョイント部材Jはプラグ12から外れるように構成されている。また、リングRの内側にはプラグ12が挿入される固定筒Cが設けられている。
【0021】
カバー5の内径D1はジョイント部材Jの外形D2より大きく設定されており、固定筒Cの内径D3はプラグ12の外形よりも若干大きく設定されている。プラグ12に連結させるため、ジョイント部材Jを図3に示す状態から図において下方に移動させると、リングRが両ロック部材3に当接し、両ロック部材3を同時に押し下げる。すると、両ロック部材3は連結防止部材2の突起22の外側への移動を阻止していた状態ではなくなる。
【0022】
ジョイント部材Jを更に押し下げると、固定筒Cが連結防止部材2に当接して連結部材2を押し下げる。この状態では突起22は外側に移動できるので突起22は溝13から外れて、連結防止部材2は固定筒Cに押し下げられる。そして、図5に示すように、ジョイント部材Jはプラグ12に連結される。
【0023】
次に、ジョイント部材Jを外す際には、リングRを図において上方に押し上げればよいが、上述のように溝51が狭いので、リングRを直接指で触ることができない。そこで、連結解除部材6を図において上方にスライドさせる。すると、カバー5内に位置する解除リング61がロック部材3の下端に当接し、ロック部材3を介してリングRを押し上げる。すると、ジョイント部材Jは上述のようにプラグ12から外れる。また、バネ4の付勢力によってロック部材3が上方に押し上げられるが、その際、ロック部材3が連結防止部材2を引っかけて上昇する。爪22が溝13に係合すると連結防止部材2はその位置で停止し、ロック部材3は更に上昇して、図3に示す状態に復帰する。
【0024】
ロック部材3には内側に突出する突起31が1個形成されている。上述のように両ロック部材3は同一の形状に形成されているので、両突起部材3をセットすると、各突起31はプラグ12の中心軸線を挟んで対称の位置になる。図4に示すように、この両突起31の距離をLとすると、ゴムホースの外形よりも距離Lが長くなるようにした。このように、両突起31を対称の位置に配したので、突起31の距離Lは対称に配置しない場合に比べて最も長くなる。また、距離Lをゴムホースの外形より長くしたので、ゴムホースをプラグ12に接続しようとしても、1対のロック部材3の一方をゴムホースの端面で押し下げることはできても、両ロック部材3を同時にゴムホースで押し下げることはできない。両ロック部材3の一方が押し下げられないと、押し下げられなかった側の突起22が溝13から外れることができないので、連結防止部材2はプラグ12の先端を覆った位置から移動することがなく、その結果ゴムホースをプラグ12に接続するとができない。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 プラグユニット
2 連結防止部材
3 ロック部材
4 バネ
5 カバー
6 連結解除部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス器具に設けられ、ガスコードの先端に取り付けられたワンタッチによる着脱式のジョイント部材が取り付けられるプラグユニットにおいて、先端部近傍の外周面にジョイント部材との連結用の溝が形成された円筒状のプラグを備え、このプラグの外側に装着された筒状の連結防止部材を設け、この連結防止部材がプラグの先端部分を覆ってジョイント部材およびガスホースがプラグに連結されることを防止する連結防止位置でプラグの溝に係合し、かつ溝に係合している状態から連結防止部材をプラグに沿って押し込むと、外側に弾性変形して溝から外れるロック爪を連結防止部材に形成し、連結防止部材の外側に、ロック爪が外側に弾性変形することを阻止してロック爪が溝から外れることを阻止するロック位置と、ロック爪の弾性変形を許可するロック解除位置とに移動自在なロック部材を設け、このロック部材を、連結防止部材を挟む1対の部材で形成すると共に、両ロック部材から、プラグの中心軸線を挟んで対峙する対称な位置に各々内側に向かう突起を形成し、両突起間の間隔をゴムホースの直径より広く設定し、ゴムホースの端面では両ロック部材を同時に押し込むことができないようにしたことを特徴とするプラグユニット。
【請求項2】
上記ロック部材を覆って、両ロック部材がジョイント部材以外のものによって同時に押し込まれないようにする筒状のカバーを設けると共に、このカバーの先端部分にプラグの先端を目視できてジョイント部材の連結を容易にするスリットを形成し、さらに、このスリットの開口幅を、外側から指で内部のロック部材を触ることのできない狭さにしたことを特徴とする請求項1に記載のプラグユニット。
【請求項3】
カバーの外周面に沿ってスライドする円筒状の連結解除部材を設け、この連結解除部材の内側にカバーを貫通してカバーの内部に突出し、連結解除部材を先端側にスライドさせることによりジョイント部材を外れる方向に押してプラグからジョイント部材を外す連結解除部を形成したことを特徴とする請求項2に記載のプラグユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−241925(P2011−241925A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115659(P2010−115659)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】