説明

プラスチックで成形された中心管組立体

【課題】流体の流れを可能にし、さまざまなフィルタに要求される異なる直径および長さに対応し得る中心管を提供する。
【解決手段】流体システム用フィルタ10は内部空洞20を持つハウジング12を含む。フィルタ媒体24は前記ハウジング12内に配置され、中心開口部27を画定している。中心管組立体35は前記中心開口部27内に配置され且つ相互に積み重ね可能なディスク36を含む。各ディスクは底部を有する中心部を含み、前記底部は隣接するディスクの中心部の内壁によって収容される。外側部は中心部から半径方向外方に延び且つフィルタ媒体に隣接して位置づけられている。中心部、底部および外側部は、中心管組立体35を通る流体の流れを可能にする開口部を含む。中心管組立体35は望ましい完全な構造を提供し、一方流体が中心管を通って流れることを可能にする。中心管組立体はプラスチック成形工程によって製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体システムに使用するフィルタに関し、より詳細には、本発明はフィルタに一般に使用される中心管(センターチューブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタは、相互に固定された1つ以上の構成部品のハウジングから通常構築されている。フィルタ媒体は、通常ひだ付き型のフィルタ媒体であり、ハウジングの内部空洞内に配置される。フィルタ媒体は形状が通常円筒形であり、前記フィルタ媒体の外部は入力側を画定し、この入力側を通って汚れた流体が流入する。フィルタ媒体の内部は、清浄な流体を受け取る出口側を画定している。
【0003】
中心管は、フィルタ媒体に対してフィルタ内の中心に通常配置され、フィルタ媒体の形状を保持すると共にフィルタに強度を与えている。中心管は通常金属から構成される。さまざまな大きさのフィルタのために、異なる直径および長さの中心管が製造される。その結果、異なるフィルタのために、中心管の高い在庫率が要求される。更に、さまざまなフィルタ用の中心管のそれぞれを製造するために、多数の個々の金型(ダイス)、ローラおよびシール装置が要求される。
【0004】
従って、流体の流れを可能にし、一方さまざまなフィルタに要求される異なる直径および長さに対応し得る中心管が求められている。
【0005】
(発明の開示)
流体システム用のフィルタは内部空洞を有するハウジングを含む。フィルタ媒体は前記ハウジング内に配置されて、中心開口部を画定している。中心管組立体は中心開口部内に配置され且つ相互に積み重ね可能なディスクを含む。各ディスクは底部を有する中心部を含み、この底部は隣接するディスクの中心部の内壁によって収容される。外側部は中心部から半径方向外方に延びており且つフィルタ媒体に隣接して配置されている。中心部、底部および外側部は中心管組立体を通る流体の流れを可能にする開口部を含んでもよい。中心管組立体は、望ましい完全な構造を提供し、一方流体が中心管を通って流れることを可能にする。本発明の中心管組立体はプラスチック成形工程によって製造することができる。
【0006】
従って、前記構成により、油の流れを可能にし、一方さまざまなフィルタに必要な異なる直径および長さに対応し得る中心管が提供される。
【0007】
本発明の他の利点は、添付図面を考慮して以下の詳細な説明を参照することによって理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示されたフィルタ10は、エンジン用の潤滑システムにおけるような流体を濾過するために通常使用されている。フィルタ10は、相互に固定された1つ以上の構成部品から構成され得る缶またはハウジング12を含む。例えば、ナットプレート14が継目18によって外側円筒壁部に固定され得る。Oリング16がナットプレート14上に設置され、フィルタ10と取付けアダプタ(図示せず)との間をシールしている。
【0009】
フィルタ10は内部空洞20を含み、内部空洞20は流体から屑片を濾過するために空洞内部20内に配置されたフィルタ媒体24を有し、このためエンジン構成部品の潤滑のためなどに清浄な流体をエンジンに戻すことができる。フィルタ媒体24は一般的に円筒形であり且つ通常ひだが付けられ、中心開口部27を画定する内端縁25を形成している。フィルタ媒体24は各端部キャップ間に通常保持されているが、これら端部キャップは明示のため図示されていない。フィルタ媒体24は汚れた流体を受け取る入口側26と、清浄な流体がフィルタ媒体24から出る出口側28とを有する。ナットプレート14は汚れた流体がフィルタ10に入ることを可能にする小孔22を含んでもよい。ナットプレート14はまたフィルタ10を取付けアダプタに固定するために使用されるねじ孔34を含んでもよい。清浄な流体は中心開口部27を出て、ねじ孔34を通り、取付けアダプタ内に入る。
【0010】
流体の流れは上に述べた方向と逆方向であってもよいことを理解すべきである。更に、本発明の中心管組立体は、適当な固定ハウジング内に通常設置されるカートリッジ型フィルタと共に使用してもよい。フィルタ媒体は離間された端部ディスクの間に保持され、このためフィルタ媒体の外周縁が露出したままとなる。このようなフィルタの配置はこの技術分野において周知である。更に、以下に説明する本発明の中心管組立体はいかなる適切なフィルタ形態にも使用することができることを理解すべきである。
【0011】
中心管組立体35は中心開口部27内に配置されて、フィルタ10を構造的に完成させ、流体が中心管組立体35を通って取付けアダプタまで流れることを可能にする。中心管組立体35はフィルタ媒体24に近接して配置されて、その内端縁25を支持し、フィルタ媒体24の形状を維持している。中心管組立体35は望ましい高さに積み重ねられたディスク36を含む。図2〜図4を参照すると、中心管組立体35は所望の形状を取ることのできる中心部37を含む。中心部37は開口部39を画定している離間された別々の垂直壁38を含んでもよい。中心部37は底部40を更に含み、この底部40は垂直壁38から半径方向にくぼんで(引っ込んで)おり、即ち凹んでおり、且つ隣接するディスク36の内壁41によって収容されている。底部40は垂直壁38間に延在するアーム42を含み、構造上の剛性をもたらしている。アーム42は開口部43を画定し、そこを通過する流体の流れを可能にしている。外側部46は中心部37から半径方向外方に延びていてもよい。外側部46は脚部50によって中心部37に接続された環状壁52を含む。脚部50、環状壁52および中心部37は開口部53を画定しており、そこを通過する流体の流れを可能にしている。フィン44は中心部37と外側部46との間で相互に連結され、ディスク36に付加的な構造上の剛性を付与している。
【0012】
中心部37の長さは変更可能であり、多様なフィルタに好適な異なる長さのディスク36を提供することができる。更に、異なる長さの中心部37を有するディスク36の組み合わせを使用して、所望の長さの中心管組立体35を得ることができる。同様に、図5に最も良く示されているように、異なる寸法の外側部46を使用して、さまざまな直径の中心管組立体35を提供することができる。
【0013】
好ましくは、本発明の中心管組立体35はプラスチックから構成される。中心管組立体35は成形工程によって製造してもよい。専用の金型を使用して、規定の中心部の長さおよび外側部の直径を有するディスクを製造することができる。さまざまな金型を使用して、さまざまな大きさのディスクの各組を提供することができ、これらディスクを組合せまたはマッチさせて、所望の長さおよび直径の中心管組立体を提供することができる。この分野の通常の技術を有する者にとって明らかなように、異なる長さの中心部37および異なる直径の外側部46を提供するために、金型は種々のインサートを含んでいてもよく、この場合、1個のみの金型で済ますことができる。更に、図5に示すディスク36をトリミングして、図4に示す直径のディスク36を提供することができ、このため1つの金型で、異なる直径のディスクを提供することができる。代わりに、この分野の通常の技術を有する者にとって明らかなように、インサートを有する、より多目的な金型を使用して、中心部の長さおよび外側部の直径を変化させることもできる。
【0014】
本発明を図示して説明したが、使用された用語は制限的なものでなく本来説明的な表現を意図したものであると理解すべきである。、明らかなように、本発明の多くの変更および修正が前記教示に照らして可能である。従って、添付された請求項の範囲内において、本発明は特に記載された以外の別のやり方で実施することができることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明のフィルタの部分的な断面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すフィルタの平面図である。
【図3】図3は、線3−3に沿う図2に示すフィルタの断面図である。
【図4】図4は、図3に示す中心管組立体のディスクの1つの側面斜視図である。
【図5】図5は、延在する外側部を有する、図4に示すディスクと同様のディスクの側面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空洞を有するハウジングと、
前記内部空洞内に配置され、中心開口部を画定しているフィルタ媒体と、
前記中心開口部に配置され且つ一緒に積み重ねられた第1および第2ディスクを含む中心管組立体であって、前記第1および前記第2ディスクは前記フィルタ媒体に隣接する外側部で終端している中心管組立体と、
を有する流体システム用フィルタ。
【請求項2】
前記フィルタ媒体は、ひだが付けられ、前記外側部に近接する内端縁を形成している、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記フィルタ媒体は入口側と出口側とを含み、前記中心管組立体は前記出口側に配置されている、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第1および第2ディスクのそれぞれは、長さを画定している中心部と、前記中心部から半径方向外方に延びて直径を画定している前記外側部と、を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記外側部は、脚部によって前部中心部に連結された環状壁を含み、前記脚部、前記環状壁および前記中心部は開口部を画定している、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第1および第2ディスクの一方の前記中心部は底部を有する垂直壁を含み、前記底部は前記垂直壁から引っ込んでおり且つ前記第1および第2ディスクの他方の前記中心部の内壁によって収容されている、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記垂直壁は複数の第1開口部を含み、前記底部は第2開口部を含む、請求項6に記載のフィルタ。
【請求項8】
第1ディスクと、前記第1ディスクと取り外し可能に係合された第2ディスクと、を備え、前記第1および第2ディスクのそれぞれが、長さを画定している中心部と、直径を画定している前記中心部から半径方向外方に延びる外側部と、を含む、オイルフィルタ用中心管組立体。
【請求項9】
前記外側部は、脚部によって前部中心部に連結された環状壁を含み、前記脚部、前記環状壁および前記中心部は開口部を画定している、請求項8に記載の中心管。
【請求項10】
前記第1および第2ディスクの一方の前記中心部は底部を有する垂直壁を含み、前記底部は前記垂直壁からくぼんでおり且つ前記第1および第2ディスクの他方の前記中心部の内壁によって収容されている、請求項8に記載の中心管。
【請求項11】
前記垂直壁は複数の第1開口部を含み、前記底部は第2開口部を含む、請求項10に記載の中心管。
【請求項12】
前記第1ディスクおよび第2ディスクはプラスチックである、請求項8に記載の中心管。
【請求項13】
a)中心開口部を有するフィルタ媒体を設ける工程と、
b)第1ディスクを第2ディスク上に積み重ねて中心管組立体を形成する工程と、
c)前記中心管組立体を前記中心開口部内に挿入する工程と、
を含む、フィルタの組立方法。
【請求項14】
前記第1および第2ディスクが、長さを画定している中心部と、直径を画定している前記中心部から半径方向外方に延びる外側部と、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2ディスクが、所望の中心管組立体の長さと、所望の中心管組立体の直径と、を共に画定する、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−148755(P2009−148755A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−319361(P2008−319361)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【分割の表示】特願2004−155852(P2004−155852)の分割
【原出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【出願人】(508080104)
【氏名又は名称原語表記】PUROLATOR FILTERS NA LLC
【Fターム(参考)】