説明

プラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法およびプラスチックフィルム挿入合わせガラス

【課題】プラスチックフィルムを樹脂中間膜の間に挟持し、これを、曲面形状の2枚のガラス板の間に挟持した合わせガラスを作製するとき、プラスチックフィルムにシワや、赤外線反射膜にクラックが生じないようにする。
【解決手段】プラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法が、樹脂中間膜とプラスチックフィルムとを熱圧着する工程1と、工程1で熱圧着されたプラスチックフィルムに樹脂中間膜と重ねて積層フィルムとする工程2と、工程2で得られる積層フィルムを、2枚の湾曲したガラス板の間に挿入して積層体とする工程3と、工程3で得られる積層体をオートクレーブにより加圧加熱して接着する工程4と、湾曲したガラス板のエッジからはみ出た積層フィルムを切断・除去する工程5とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ガラス板、樹脂中間膜、透明なプラスチックフィルム、樹脂中間膜、ガラス板をこの順に積層して作製される合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムを挟持した2枚の樹脂中間膜を用いて、2枚のガラス板を積層したものが、熱線反射機能を持たせた合わせガラスとして、知られている。
【0003】
通常、合わせガラスは、オートクレーブを用いて、高温高圧処理され、ガラス板とポリエステルフィルムが、樹脂中間膜により熱融着される。
【0004】
例えば、特許文献1では、薄膜がポリエステルフィルムに形成されてなる熱線反射プラスチックフィルムを、2枚の樹脂中間膜で挟持した可撓性積層体を、2枚のガラス板の間に挟んで積層される、合わせガラスが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、多層のプラスチック層でなる近赤外線遮蔽フィルムを2枚のポリビニブチラールシートの間に挟みもちし、さらに、これを2枚のガラスの間に挟んで積層したものが開示されている。また、この近赤外線遮蔽フィルムは、ガラスに貼り付けた後にガラスとフィルム間での剥がれやクラックが生じることを防ぐ観点から、フィルムの製膜方向と幅方向の150℃、30分処理での収縮率がともに2%以下であること、シワの発生することを防ぐ観点から、150℃、30分処理での収縮率差が0.5%以下であることが記載されている。
【0006】
さらに、ポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚のPVB膜の間に挟持し、合わせガラスに積層したときのシワ等の欠陥を防ぐものとして、特許文献3には、選択光透過性・導電性を有する機能性フィルムをポリビニールブチラール膜で挟み、合わせガラス化したときに、シワなどの外観欠陥を防ぐため、機能性フィルムに用いるポリエステルテレフタレートの1方の熱伸張率を0.1〜1.0%、それに直行する方向の熱収縮率を0.1〜1.0%とすることが記載されている。
【0007】
特許文献4には、プラスチックフィルムに酸化インジウムや銀の膜を形成した熱線反射膜を用い、合わせガラスを作製するのに、プラスチックフィルムの熱加工時の熱収縮率が1〜20%のものを用いることが記載されている。
【特許文献1】特開昭56−32352号公報
【特許文献2】再公表2005−40868号公報
【特許文献3】特開昭60−225747号広報
【特許文献4】特開平6−270318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラスチックフィルムを樹脂中間膜の間に挟持し、これを2枚のガラス板の間に挟持した合わせガラスを作製するとき、曲面形状に曲げられているガラス板の場合、プラスチックフィルムにシワが生じ、外観欠陥となり、また、赤外線反射膜を形成したプラスチックフィルムを用いる場合、赤外線反射膜にクラックが生じるという問題がある。
【0009】
本発明は、シワや赤外線反射膜のクラックがない、プラスチックフィルムを樹脂中間膜で挟持するプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法およびこの製造方法により得られたプラスチックフィルム挿入合わせガラスの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプラスチック挿入合わせガラスの製造方法は、2枚の樹脂中間膜の間にプラスチックフィルムを挟持してなる積層フィルム用いて作製されるプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法において、
プラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法が、樹脂中間膜とプラスチックフィルムとを熱圧着する工程1と、工程1で熱圧着されたプラスチックフィルムに樹脂中間膜と重ねて積層フィルムとする工程2と、工程2で得られる積層フィルムを、2枚の湾曲したガラス板の間に挿入して積層体とする工程3と、工程3で得られる積層体をオートクレーブにより加圧加熱して接着する工程4と、湾曲したガラス板のエッジからはみ出た積層フィルムを切断・除去する工程5とからなることを特徴とするプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法である。
【0011】
また、本発明のプラスチック挿入合わせガラスの製造方法は、前記プラスチック挿入合わせガラスの製造方法において、工程1が、湾曲したガラス板あるいは湾曲したガラス板の凸面と同形の曲面形状を有する型板を用い、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に樹脂中間膜を重ねる工程(イ)と、プラスチックフィルムにテンションをかける工程(ロ)と、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に重ねた樹脂中間膜に、テンションをかけた状態で該プラスチックフィルムを重ねる工程(ハ)と、該樹脂中間膜と該プラスチックフィルムとを熱圧着する工程(ニ)とからなることを特徴とするプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法である。
【0012】
また、本発明のプラスチック挿入合わせガラスの製造方法は、前記プラスチック挿入合わせガラスの製造方法において、湾曲したガラス板の曲率半径が、0.9m〜3mの範囲にあることを特徴とするプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法である。
【0013】
また、本発明のプラスチック挿入合わせガラスは、プラスチックフィルムの表面に赤外線反射膜が形成してなることを特徴とする前記プラスチック挿入合わせガラスの製造方法で製造されるプラスチックフィルム挿入合わせガラスである。
【0014】
また、本発明のプラスチック挿入合わせガラスは、プラスチックフィルムの表面にハードコート膜が形成してなることを特徴とする前記プラスチック挿入合わせガラスの製造方法で製造されるプラスチックフィルム挿入合わせガラスである。
【発明の効果】
【0015】
2枚の樹脂中間膜でプラスチックフィルムを挟持した積層膜により、同形状に湾曲した2枚のガラス板を用いて作製されるプラスチック挿入合わせガラスの製造方法おいて、プラスチックフィルムにシワが生じない、外観が良好なプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法およびこの方法によって得られるプラスチックフィルム挿入合わせガラスの提供を可能にする。
【0016】
特に、自動車や車両の窓に用いられているガラスのように、場所によって、また同じ場所でも方向によって、曲率半径が異なるような、湾曲したガラスを用いて合わせガラスを作製する場合にたいし、プラスチックフィルムにシワを生じないプラスチックフィルム挿入合わせガラスの作製を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法によって、図1に示すような、湾曲した、プラスチックフィルム挿入合わせガラス1が製造される。
【0018】
プラスチックフィルム挿入合わせガラス1は、プラスチックフィルム12の両側を樹脂中間膜で挟持された積層フィルム15を用いて、作製される合わせガラスである。
【0019】
樹脂中間膜には、ポリビニルブチラール(PVB)やエチレンビニルアセテート(EVA)などのホットメルトタイプの接着剤が、好適に用いられる。
【0020】
プラスチックフィルムには、延伸法で作製されているものが好適であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマーなどでなるプラスチックフィルムの中から選んで使用できる。
【0021】
特に2軸延伸法で製膜される結晶性のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)は、耐熱性にも優れていて広範囲の温度環境に使用することができ、また、透明性が高く、大量に生産されているために品質も安定しており、好適である。
【0022】
プラスチックフィルムの厚さは、30μmよりも薄いとフィルムが変形しやすくなり、シワが発生しやすい。また、フィルムの取り扱いが難しく、かつ赤外線反射膜を成膜した場合には赤外線反射膜の応力によりカールしやすい。一方、フィルムの厚さが200μmより厚いと合わせ加工時に脱気不良による外観欠陥が出るため、厚さは30μm〜200μmであることが望ましい。
【0023】
湾曲したガラス板は、フロート法によるソーダライムガラスを軟化点以上の温度に加熱し、曲げ加工されて得られ、3次元的に湾曲したガラス板の使用が簡便である。
【0024】
3次元的に湾曲したガラス板の形状としては、球面、楕円球面、あるいは、自動車の前面ガラスなどのような曲率半径が場所によって異なるガラス板である。
【0025】
湾曲したガラス板の曲率半径は、0.9m〜3mであることが望ましい。
【0026】
曲率半径が0.9mより小さいと、合わせ加工において、プラスチックフィルムのシワが生じやすいので、曲率半径は0.9m以上であることが望ましい。
【0027】
また、曲率半径が大きくなると、平面に近い形状となり、プラスチックフィルムのシワが生じないという本発明の効果がほとんどなく、湾曲したガラスの曲率半径が3m以下で、本発明の効果が現れるためである。
【0028】
本発明のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法は、
工程1:プラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法が、樹脂中間膜とプラスチックフィルムとを熱圧着し積層フィルムAとする工程、
工程2:工程1で得られる積層フィルムAのプラスチックフィルム側に樹脂中間膜と重ねて積層フィルムBとする工程、
工程3:工程2で得られる積層フィルムBを2枚の湾曲したガラス板の間に挿入して積層体とする工程、
工程4:工程3で得られる積層体をオートクレーブにより加圧加熱接着する工程、
工程5:湾曲したガラス板のエッジからはみ出た積層フィルムを切断・除去する工程
とからなる。
【0029】
工程1の、樹脂中間膜とプラスチックフィルムを熱圧着する際の熱源は、熱風送風機、アイロンあるいはヒートガンなどを好適に用いることができる。
【0030】
熱圧着するときの温度は、樹脂中間膜が粘着性をもつ60℃〜100℃程度であることが望ましい。温度が60℃より低いと樹脂中間膜とプラスチックフィルムが十分に接着せず、100℃より高いと樹脂中間膜が溶けて下側のガラス板と強固に接着してしまう。
【0031】
プラスチックフィルムと樹脂中間膜とを熱圧着させる範囲は、湾曲したガラス板の全面積に渡る範囲でもよいが、ガラス板の周縁部のみでもよく、周縁部の熱圧着は、シワの発生を防ぐために望ましい。
【0032】
工程2は、プラスチックフィルムを樹脂中間膜で挟持する構成の積層フィルムBを得る工程である。
【0033】
工程3〜工程5は、樹脂中間膜1枚による合わせガラスの製造方法とおなじであり、オートクレーブによる加圧加熱処理は、温度範囲が90〜150℃の加熱で、1MPa以下の加圧で、30分程度行うことが好ましい。
【0034】
なお、工程4と工程5との間に、ゴムバッグを用いる真空バッグ脱気法や押圧ロールによる扱き脱気法などの予備接着の工程を入れても良い。
【0035】
さらに、工程1は、湾曲したガラス板あるいは湾曲したガラス板の凸面と同形の曲面形状を有する型板を用い、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に樹脂中間膜を重ねる工程(イ)と、プラスチックフィルムにテンションをかける工程(ロ)と、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に重ねた樹脂中間膜に、テンションをかけた状態で該プラスチックフィルムを重ねる工程(ハ)と、該樹脂中間膜と該プラスチックフィルムとを熱圧着する工程(ニ)とからなることが望ましい。
【0036】
湾曲したガラス板の凸面側を上にして、湾曲したガラス板を固定し、工程(イ)で該湾曲したガラス板の凸面上に樹脂中間膜を重ねる。
さらに、工程(ロ)でプラスチックフィルムにテンションを加える。自動車や車両用の窓のようなほぼ4辺形の場合は、プラスチックフィルムも窓の形に裁断されているほうが好ましく、プラスチックフィルムの少なくともひとつの対向する辺を引っ張るか、対向する2対のコ―ナーを引っ張るかして、プラスチックフィルムにテンションを加える。窓が三角形や円形に近い形状の場合は、プラスチックフィルムにシワが発生しないように、適当な数箇所を選んで引っ張り、プラスチックフィルムが均一なテンションの状態となるようにすることが望ましい。
【0037】
なお、プラスチックフィルムは、窓に用いられる湾曲したガラス板よりも大きい形に裁断されていることが望ましい。
【0038】
また、ガラス板より大きいサイズの枠を用いてプラスチックフィルムをテンションの状態にし、樹脂中間膜に押し当ててもよい。
【0039】
工程(ハ)では、該樹脂中間膜の上に、テンションをかけた状態のプラスチックフィルムを重ね、湾曲したガラス板の曲面に沿わせるようにして、プラスチックフィルムを樹脂中間膜に押し当てる。
【0040】
次いで、工程(ニ)でプラスチックフィルム側から熱をかけ、樹脂中間膜とプラスチックフィルムを熱圧着し一体化させ、積層膜Aを作製する。
【0041】
工程1において、湾曲したガラス板の代わりに、湾曲したガラス板の凸面と同形の曲面形状を有する、金属製、木製あるいは硬質樹脂製の型板を用いても良い。
【0042】
プラスチックフィルムには、表面にハードコート膜を積層したものも、好適に用いることができる。プラスチックフィルムによっては、樹脂中間膜と密着性が悪かったり、赤外線反射膜を成膜すると白濁が生じたりすることがあり、ハードコート膜を界面に形成することで、これらの不具合を解決できる。
【0043】
なお、ハードコート膜は、プラスチックフィルムの両面に積層しても、片面にのみに積層してもよい。
【0044】
また、プラスチックフィルムに赤外線反射膜を形成したものを用いる場合、本発明のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法により、赤外線反射膜にクラックを生じないようにすることができ、本発明のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法を用いることが好ましい。
【0045】
赤外線反射膜としては、Au、Ag、Cu、Alなどの金属膜や、TiO、Nb、Ta、SiO、Al、ZrO、MgF等の誘電体膜の多層膜を好適に用いることができる。
【0046】
赤外線反射膜に誘電体の多層膜を用いる場合、プラスチックフィルムから数えて、偶数番目の誘電体膜と奇数番目の誘電体膜とに屈折率が異なる誘電体を用いてなる赤外線反射膜が用いられ、誘電体膜の層数は、3層以下であると近赤外線の反射が不十分で、効果がなく、また、層数が12層を超えると膜応力が増加し、誘電体膜とプラスチックフィルムとの密着性が悪くなったり、フィルムをカールさせたりするので、積層される誘電体膜の層数は、4層以上11層以下であることが好適である。
【実施例】
【0047】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0048】
実施例1
図1に示すプラスチックフィルム挿入合わせガラスを次の工程1から工程5の手順に基づいて作製した。
【0049】
湾曲したガラス板10、14には、大きさが250mm×350mm、厚さが2mmのものを用いた。
【0050】
湾曲した板ガラス10、14の曲率半径は、0.9m〜1mの間にあり、周辺部が0.9mの値であり、中央部が1mの値であった。
【0051】
樹脂中間膜11、13には、厚さ0.38mmのPVBフィルムを用い、プラスチックフィルム12には、厚さ50μmのPETフィルムを用いた。
【0052】
工程1:プラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法が、樹脂中間膜とプラスチックフィルムとを熱圧着し積層フィルムAとする工程、
工程2:工程1でえられる積層フィルムAのプラスチックフィルム側に樹脂中間膜と重ねて積層フィルムBとする工程、
工程3:工程2で得られる積層フィルムBを2枚の湾曲したガラス板の間に挿入して積層体とする工程、
工程4:工程3で得られる積層体をオートクレーブにより加圧加熱接着する工程、
工程5:湾曲したガラス板のエッジからはみ出た積層フィルムを切断・除去する工程
工程1において、湾曲したガラス板14を、凸面側を上にして、ほぼ水平に固定し、湾曲したガラス板14の凸面側に樹脂中間膜(PVBフィルム)を重ねた。
【0053】
次に、大きさが500mm×600mmのアルミ製の枠に、テンションをかけて固定したPETフィルムを、PVBフィルムの上に、(○○kgf/mの圧力で)押さえつけるようにして重ね、さらに、80℃の熱をかけてPETフィルムとPVBフィルムを熱圧着させ、積層フィルムAを作製した。
【0054】
次に、工程2から工程5の手順で、プラスチック挿入合わせガラスを作製した。なお、工程4のオートクレーブ処理は、温度を130℃の加熱と1MPaの加圧で、30分行った。
【0055】
作製したプラスチックフィルム挿入合わせガラスは、プラスチックフィルムにシワがなく、良好な外観であった。
【0056】
実施例2
厚さが2mmの湾曲した(曲率半径が2.8m〜3mの間にある湾曲したガラス板(大きさ:250mm×350mm)を用いた他は、全て実施例1と同様にして、プラスチックフィルム挿入合わせガラスを作製した。
【0057】
作製したプラスチックフィルム挿入合わせガラスには、プラスチックフィルムにシワがなく、良好な外観であった。
【0058】
実施例3
プラスチックフィルムに、厚さ100μmのPETフィルムと、該PETフィルムの片面に、ハードコート膜と誘電体の多層膜でなる赤外線反射膜を形成し、用いた他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム挿入合わせガラスを作製した。
【0059】
なお、ハードコート膜には、厚さ5μmのアクリル系ハードコート膜を用い、赤外線反射膜には、TiO膜(厚さ105nm)、SiO膜(厚さ175nm)、TiO膜(厚さ105nm)、SiO膜(厚さ175nm)、TiO膜(厚さ105nm)、SiO膜(厚さ175nm)、TiO膜(厚さ105nm)、SiO膜(厚さ175nm)、TiO膜(厚さ105nm)をハードコート膜上に順次スパッタリングで成膜した誘電体多層膜を用いた。
【0060】
ハードコート膜および赤外線反射膜は、湾曲したガラス板の凸面側に位置させた。
【0061】
本実施例のプラスチックフィルム挿入合わせガラスも、シワが観察されない、良好な外観を有した。
実施例4
厚さ50μmのPETフィルムを用いた他は、実施例3と同様にして、プラスチックフィルム挿入合わせガラスを作製した。
【0062】
本実施例のプラスチックフィルム挿入合わせガラスも、シワが観察されない、良好な外観を有した。
【0063】
比較例1
実施例1で用いた湾曲したガラス板、PVBフィルムおよびPETフィルムと同じ湾曲したガラス板、PVBフィルムおよびPETフィルムを用い、実施例1の熱圧着による積層フィルムを作製せずに、湾曲したガラス板、PVBフィルム、PETフィルム、PVBフィルム、ガラス板を順次重ね、実施例1と同じ条件でオートクレーブにより、プラスチックフィルム挿入合わせガラスを作製した。
【0064】
作製したプラスチック挿入合わせガラスの周辺部において、プラスチックフィルムのシワが観察され、外観不良となった。
【0065】
比較例2
実施例3で用いた、ハードコート膜と赤外線反射膜とが形成されたPETフィルムを用いた他は、比較例1と同様にしてプラスチックフィルム挿入合わせガラスを作製した。
【0066】
作製したプラスチック挿入合わせガラスの周辺部において、プラスチックフィルムのシワが観察され、また、製凱旋反射膜にクラックが観察され、外観不良となり、実用には適さないものであった。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明で製造されるプラスチック挿入合わせガラスの断面図。
【符号の説明】
【0068】
1 プラスチック挿入合わせガラス
10、14 湾曲したガラス
11、13 樹脂中間膜
12 プラスチックフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の樹脂中間膜の間にプラスチックフィルムを挟持してなる積層フィルム用いて作製されるプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法において、樹脂中間膜とプラスチックフィルムとを熱圧着する工程1と、工程1で熱圧着されたプラスチックフィルムに樹脂中間膜と重ねて積層フィルムとする工程2と、工程2で得られる積層フィルムを、2枚の湾曲したガラス板の間に挿入して積層体とする工程3と、工程3で得られる積層体をオートクレーブにより加圧加温して接着する工程4と、湾曲したガラス板のエッジからはみ出た積層フィルムを切断・除去する工程5とからなることを特徴とするプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法。
【請求項2】
工程1が、湾曲したガラス板あるいは湾曲したガラス板の凸面と同形の曲面形状を有する型板を用い、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に樹脂中間膜を重ねる工程(イ)と、プラスチックフィルムにテンションをかける工程(ロ)と、該湾曲したガラス板あるいは該型板の凸面側に重ねた樹脂中間膜に、テンションをかけた状態で該プラスチックフィルムを重ねる工程(ハ)と、該樹脂中間膜と該プラスチックフィルムとを熱圧着する工程(ニ)とからなることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法。
【請求項3】
湾曲したガラス板の曲率半径が、0.9m〜3mの範囲にあることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプラスチックフィルム挿入合わせガラスの製造方法。
【請求項4】
プラスチックフィルムの表面に赤外線反射膜が形成してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプラスチック挿入合わせガラスの製造方法で製造されるプラスチックフィルム挿入合わせガラス。
【請求項5】
プラスチックフィルムの表面にハードコート膜が形成してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプラスチック挿入合わせガラスの製造方法で製造されるプラスチックフィルム挿入合わせガラス。

【図1】
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【公開番号】特開2009−161406(P2009−161406A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2188(P2008−2188)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】