説明

プラスチックペレット製造設備

【課題】プラスチックペレットを製造する際に、冷却水で冷却されたプラスチックペレットの水切りを適切に行うことができるプラスチックペレット製造設備を提供する。
【解決手段】プラスチックペレット31を冷却水21から分離する(水切りする)ための水切り手段として、受入水槽22内の冷却水21の水面21aより上方に、押出機11から押し出された棒状のプラスチックをカッタ12で切断した際に生じる切屑(ペレット切屑)32を通過させない大きさの網目を有する金網コンベア24が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックのペレットを製造するプラスチックペレット製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、プラスチックのペレットは、プラスチックを溶融して押出し加工を行い、押出されて棒状になったプラスチックを所定の長さで切断してペレット状にした後、そのペレット状のプラスチックを冷却することによって製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1に、上記のようにしてプラスチックペレットを製造する際に用いられるプラスチックペレット製造設備の一般的な設備構成を示す。
【0004】
図1に示すように、このプラスチックペレット製造設備10は、プラスチックを溶融して押出し加工を行う押出機11と、押出機11から押し出されて棒状になったプラスチックを所定の長さで切断してペレット状にするカッタ12と、カッタ12で切断されてペレット状になったプラスチックを冷却水で冷却しながら搬送する冷却水槽13と、冷却水槽13から冷却水で冷却しながら搬送されてきたペレット状プラスチック(プラスチックペレット)を冷却水から分離して次工程に搬送する次搬送設備14と、次搬送設備14で分離された冷却水を循環使用するための冷却水循環設備15とを備えている。
【0005】
そして、図4、図5に、従来用いられている次搬送設備14Xを示す。ここで、図4は縦断面図であり、図5は平面図である。
【0006】
図4、図5に示すように、従来の次搬送設備14Xは、冷却水槽13からペレット状プラスチック(プラスチックペレット)31を冷却しながら搬送してきた冷却水21を受入れる受入水槽22と、プラスチックペレット31を冷却水21から分離する(水切りする)ための水切り手段としての固定金網23と、水切りされたプラスチックペレット31を次工程に搬送するコンベア(パイプコンベア)28と、受入水槽22内の冷却水21を冷却水循環設備15に流出させるための排水口29とを備えている。
【0007】
なお、図4中の32は、押出機11から押し出された棒状のプラスチックをカッタ12で切断した際に生じた切屑(ペレット切屑)であり、プラスチックペレット31と一緒に冷却水21によって次搬送設備14Xに搬送されてくる。そこで、固定金網23はペレット切屑32によって目詰まりすることを避けるために、網目を比較的大きくしている。
【0008】
そして、図4中の21aは、受入水槽22内の冷却水21の水面であり、固定金網23の大部分が水面21aより下に位置している(水没している)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−200422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の次搬送設備14Xにおいては、プラスチックペレット31の水切り手段である固定金網23がペレット切屑32によって目詰まりすることを避けるために、網目を比較的大きくしていることから、その網目をペレット切屑32の一部が通過して冷却水21と一緒に排水口29から冷却水循環設備15に流出するので、冷却水循環設備15においてペレット切屑32を清掃除去する作業の負荷が高かった。
【0011】
これに対して、固定金網23の網目を小さくしてペレット切屑32の通過を抑えることが考えられるが、その場合には、固定金網23がペレット切屑32によってすぐに目詰まりすることが予想される。固定金網23は受入水槽22内の冷却水21に水没しているので、水中で目詰まり除去を行うことは困難である。
【0012】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、プラスチックペレットを製造する際に、冷却水で冷却されたプラスチックペレットの水切りを適切に行うことができるプラスチックペレット製造設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0014】
[1]プラスチックを溶融して押出し加工を行う押出機と、該押出機から押し出されて棒状になったプラスチックを所定の長さで切断してペレット状にするカッタと、該カッタで切断されてペレット状になったプラスチックを冷却水で冷却しながら搬送する冷却水槽と、該冷却水槽から冷却水で冷却しながら搬送されてきたペレット状プラスチックを冷却水から分離して次工程に搬送する次搬送設備と、該次搬送設備で分離された冷却水を循環使用するための冷却水循環設備とを備えており、前記次搬送設備が、前記冷却水槽からペレット状プラスチックを冷却しながら搬送してきた冷却水を受入れる受入水槽と、ペレット状プラスチックを冷却水から分離するための水切り手段と、水切りされたプラスチックペレット31を次工程に搬送するコンベアとを備えているプラスチックペレット製造設備において、
前記水切り手段として、前記受入水槽内の冷却水の水面より上方に、前記棒状のプラスチックを前記カッタで切断した際に生じる切屑を通過させない大きさの網目を有する金網コンベアが設置されていることを特徴とするプラスチックペレット製造設備。
【0015】
[2]前記金網コンベアの目詰まりを除去する目詰まり除去装置を備えていることを特徴とする前記[1]に記載のプラスチックペレット製造設備。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、プラスチックペレットを製造する際に、冷却水で冷却されたプラスチックペレットの水切りを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プラスチックペレット製造設備の設備構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における次搬送設備を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における次搬送設備を示す平面図である。
【図4】従来の次搬送設備を示す縦断面図である。
【図5】従来の次搬送設備を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、この実施形態におけるプラスチックペレット製造設備の設備構成は、前述の図1に示したものと同様である。
【0020】
すなわち、この実施形態におけるプラスチックペレット製造設備10は、プラスチックを溶融して押出し加工を行う押出機11と、押出機11から押し出されて棒状になったプラスチックを所定の長さで切断してペレット状にするカッタ12と、カッタ12で切断されてペレット状になったプラスチックを冷却水で冷却しながら搬送する冷却水槽13と、冷却水槽13から冷却水で冷却しながら搬送されてきたペレット状プラスチック(プラスチックペレット)を冷却水から分離して次工程に搬送する次搬送設備14と、次搬送設備14で分離された冷却水を循環使用するための冷却水循環設備15とを備えている。
【0021】
そして、図2、図3に、この実施形態における次搬送設備14Aを示す。ここで、図2は縦断面図であり、図3は平面図である。
【0022】
図2、図3に示すように、この実施形態における次搬送設備14Aは、冷却水槽13からペレット状プラスチック(プラスチックペレット)31を冷却しながら搬送してきた冷却水21を受入れる受入水槽22と、プラスチックペレット31を冷却水21から分離する(水切りする)ための水切り手段と、水切りされたプラスチックペレット31を次工程に搬送するコンベア(パイプコンベア)28と、受入水槽22内の冷却水21を冷却水循環設備15に流出させるための排水口29とを備えている。
【0023】
そして、上記の水切り手段として、受入水槽22内の冷却水21の水面21aより上方に、押出機11から押し出された棒状のプラスチックをカッタ12で切断した際に生じる切屑(ペレット切屑)32を通過させない大きさの網目を有する金網コンベア24が設置されている。また、金網コンベア24の目詰まりを除去するために、ブラシやエアスプレーによる目詰まり除去装置25が設けられている。
【0024】
このような構成を備えることによって、この実施形態における次搬送設備14Aでは、水切り手段(金網コンベア24)によってプラスチックペレット31を冷却水21から分離する(水切りする)際に、ペレット切屑32も一緒に冷却水21から分離されるので、従来の次搬送設備14Xでのような、ペレット切屑32が冷却水21と一緒に排水口29から冷却水循環設備15に流出することが防止されるので、冷却水循環設備15における清掃作業の負荷が軽減される。
【0025】
また、水切り手段(金網コンベア24)が冷却水21の水面上に設置されているので、目詰まりした場合でも、目詰まり除去装置25によって容易に目詰まりを除去することができ、連続運転が可能となる。
【0026】
このようにして、この実施形態においては、プラスチックペレット31の水切りを効率的に実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 プラスチックペレット製造設備
11 押出機
12 カッタ
13 冷却水槽
14 次搬送設備
14A 次搬送設備
14X 次搬送設備
15 冷却水循環設備
21 冷却水
21a 冷却水の水面
22 受入水槽
23 固定金網
24 金網コンベア
25 目詰まり除去装置
28 コンベア(パイプコンベア)
29 排水口
31 プラスチックペレット
32 ペレット切屑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックを溶融して押出し加工を行う押出機と、該押出機から押し出されて棒状になったプラスチックを所定の長さで切断してペレット状にするカッタと、該カッタで切断されてペレット状になったプラスチックを冷却水で冷却しながら搬送する冷却水槽と、該冷却水槽から冷却水で冷却しながら搬送されてきたペレット状プラスチックを冷却水から分離して次工程に搬送する次搬送設備と、該次搬送設備で分離された冷却水を循環使用するための冷却水循環設備とを備えており、前記次搬送設備が、前記冷却水槽からペレット状プラスチックを冷却しながら搬送してきた冷却水を受入れる受入水槽と、ペレット状プラスチックを冷却水から分離するための水切り手段と、水切りされたプラスチックペレット31を次工程に搬送するコンベアとを備えているプラスチックペレット製造設備において、
前記水切り手段として、前記受入水槽内の冷却水の水面より上方に、前記棒状のプラスチックを前記カッタで切断した際に生じる切屑を通過させない大きさの網目を有する金網コンベアが設置されていることを特徴とするプラスチックペレット製造設備。
【請求項2】
前記金網コンベアの目詰まりを除去する目詰まり除去装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックペレット製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43288(P2013−43288A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180066(P2011−180066)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】