説明

プラスチック光ファイバケーブル

【課題】アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類などの薬品などに耐薬品性があり、信頼性の高いプラスチック光ファイバケーブルを提供すること。
【解決手段】光ファイバ素線と、光ファイバ素線の外周に被覆形成された被覆層(16)と、を有する光ファイバケーブルであって、被覆層(16)の厚さは、50〜700μmであり、被覆層(16)は、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、プラスチック光ファイバケーブル(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック光ファイバは、透明樹脂からなる芯の周囲を該透明樹脂より低屈折率の樹脂からなる鞘層で囲んだ構造を有し、芯と鞘層との境界で光を反射させることにより芯内で光信号を伝送する媒体である。通常、プラスチック光ファイバは、物理的あるいは化学的な損傷を防止するために芯と鞘層とからなるプラスチック光ファイバ素線の外側に被覆樹脂層を設けたプラスチック光ファイバケーブルとして使用される。
【0003】
例えば、耐熱性に優れたプラスチック光ファイバとして、芯を構成する透明樹脂をポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」ともいう。)系樹脂とし、鞘層を構成する鞘樹脂をポリビニリデンフロライド系樹脂とするプラスチック光ファイバ素線の上に、含フッ素ポリオレフィン樹脂を被覆したプラスチック光ファイバケーブルが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、芯樹脂をPMMA系樹脂とし、鞘樹脂をビニリデンフロライド、テトロフロロエチレン、及びヘキサフロロプロペンの特定組成の共重合体とするプラスチック光ファイバ素線の上に、融点が120℃以上のポリビニリデンフロライド系樹脂、ナイロン12、またはナイロン11からなる保護層を設けたプラスチック光ファイバ、及び、その外側にポリエチレンやポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン等のジャケットを施したケーブルが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、プラスチック光ファイバを車両と歩行者の衝突を検知する歩行者検知センサーに使用することが試みられている(特許文献3参照)。
【0006】
被覆層に含フッ素ポリオレフィン樹脂を用いたプラスチック光ファイバとしては、エチレンとテトラフロロエチレンとの共重合体などの融点が250〜320℃の含フッ素ポリオレフィン樹脂を2〜50μmの厚さに被覆したプラスチック光ファイバが知られている(特許文献4参照)。
【0007】
一方、燃料系樹脂ホースの技術分野においては、脂肪族ポリアミド樹脂に、変性フッ素樹脂、または金属箔の片面もしくは両面に変性テトラフルオロエチレン共重合体からなる層が積層されてなる金属ラミネートフィルムを積層使用する旨の提案がなされている(特許文献5、6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2951677号公報
【特許文献2】特開平11−160552号公報
【特許文献3】特許第4082692号公報
【特許文献4】特開2004−361610号公報
【特許文献5】特開2005−262673号公報
【特許文献6】特開2006−9957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたポリビニリデンフロライド系樹脂は、使用される環境によっては耐薬品性が不十分である場合がある。また、長期使用中に別途持ち込まれる部材が光ファイバにとって有害な化学物質物を含むこともありうるため、光ファイバの用途拡大にあたっては化学物質に対する耐薬品性を備えたものが望まれている。
【0010】
また、車載用配線、FA機器配線、家庭内機器配線として光ファイバケーブルが使用される場合は、該光ファイバケーブルの周りには、様々な化学物質を含む部材が配置されうる。光ファイバケーブルはこれらに接触しうるので、不用意に配線を行うと、該化学物質によって光ファイバケーブルの劣化が生じ、伝送損失が大きくなったり、断線に至ったりするという問題がある。
【0011】
光ファイバケーブルに影響を及ぼし得る化学物質としては、アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類などの化学物質が挙げられる。上述した用途においては、光ファイバケーブルを使用する前に、該光ファイバケーブルが接触する可能性のある全ての化学物質との適合性評価をすることが必要であり、この評価作業は大きな負担となっている。
【0012】
例えば、特許文献3に記載されている技術分野では、アルコールを成分とするウインドウォシャー液の飛散を受けることがあるため、耐アルコール性が要求される。
【0013】
そして、特許文献4に記載されている光ファイバは、高融点の含フッ素ポリオレフィン樹脂を光ファイバ素線に接して溶融被覆する方法で製造する必要があるため、被覆厚を2〜50μm程度しか取れない。従って、物理的な外力により損傷しないように光ファイバ素線を充分に保護するためには、さらに外側に別の被覆樹脂層を設けなければならないという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類などの薬品などに耐薬品性があり、かつ伝送損失が低く信頼性の高いプラスチック光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、被覆層の厚さを50〜700μmとし、かつ、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む被覆層とすることにより耐薬品性に優れ、かつ伝送損失が低く信頼性の高いプラスチック光ファイバケーブルを得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線の外周に被覆形成された被覆層と、を有する光ファイバケーブルであって、
前記被覆層の厚さは、50〜700μmであり、
前記被覆層は、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、プラスチック光ファイバケーブル。
[2]
前記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である、[1]のプラスチック光ファイバケーブル。
[3]
前記光ファイバ素線が、透明樹脂で形成された芯と、前記透明樹脂より屈折率の低いフッ素樹脂によって前記芯の外周に被覆形成された少なくとも1層の鞘層からなる、[1]又は[2]のプラスチック光ファイバケーブル。
[4]
前記光ファイバ素線が、前記鞘層の外周に被覆形成された保護層を更に有する、[3]のプラスチック光ファイバケーブル。
[5]
前記光ファイバ素線が、多芯光ファイバ素線である、[1]〜[4]のいずれかのプラスチック光ファイバケーブル。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類などの化学薬品の耐薬品性に優れ、かつ伝送損失が低く信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の単芯光ファイバケーブルの一態様の断面図である。
【図2】本実施形態の単芯光ファイバケーブルの別の態様の断面図である。
【図3】本実施形態の多芯光ファイバケーブルの一態様の断面図である。
【図4】本実施形態の多芯光ファイバケーブルの別の態様の断面図である。
【図5】本実施形態の多芯光ファイバケーブルの更に別の態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0020】
本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線の外周に被覆形成された被覆層と、を有するプラスチック光ファイバケーブルであって、被覆層の厚さは、50〜700μmであり、前記被覆層は、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含むものである。
【0021】
なお、「光ファイバ素線の外周に被覆形成された被覆層」とは、必ずしも光ファイバ素線の外周表面に被覆層が接している必要はなく、被覆層と光ファイバ素線との間に別なる層が介在していてもよい。
【0022】
図1は、本実施形態の単芯光ファイバケーブルの一態様の断面図である。図1に示すプラスチック光ファイバケーブル10は、1本の芯12を有する単芯光ファイバケーブルである。プラスチック光ファイバケーブル10は、中央に芯12を有し、芯12の外周に被覆形成された鞘層14と、鞘層14の外周に被覆形成された被覆層16と、を備えている。この場合、芯12と鞘層14を含めて光ファイバ素線という。そして、被覆層16の外周に外被覆層(図示せず。)を更に設けてもよい。これにより、屋外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響から、光ファイバ素線を一層確実に保護することができる。本実施形態の光ファイバケーブルは、アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類、可塑剤などの化学薬品などに耐薬品性があり、かつ伝送損失が低いので信頼性も高い。
【0023】
図2は、本実施形態の単芯光ファイバケーブルの別の態様の断面図である。図2に示すように、本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、鞘層と被覆層との間に保護層を備えることが好ましい。プラスチック光ファイバケーブル20は、中央に芯22を有し、芯22の外周に被覆形成された鞘層24と、鞘層24の外周に被覆形成された保護層26と、保護層26の外周に被覆形成された被覆層28と、を備えている。光ファイバ素線が、鞘層の外周に被覆された保護層を更に有することで、野外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響等からより確実に保護することができる。
【0024】
図3は、本実施形態の多芯光ファイバケーブルの一態様の断面図である。図3に示すように、本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、複数の芯を有する多芯光ファイバケーブルであってもよい。プラスチック光ファイバケーブル30は、7芯タイプの光ファイバケーブルである。プラスチック光ファイバケーブル30は、7個の芯32が鞘層34によって被覆されていることにより多芯化されている。鞘層34の外周を被覆層36により被覆形成されている。そして、被覆層36の外周に外被覆層(図示せず。)を更に設けてもよい。これにより屋外での長期的使用や接触する化学薬品等の影響から光ファイバ素線をより確実に保護することができる。
【0025】
図4は、本実施形態の多芯光ファイバケーブルの別の態様の断面図である。図4に示すように、本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、夫々の芯が個別に鞘層によって被覆されていてもよい。プラスチック光ファイバケーブル40は芯42が第一の鞘層44で夫々被覆されており、これらを第二の鞘層46で被覆することで多芯化されている。第二の鞘層46の外周に被覆層48が被覆形成されている。
【0026】
図5は、本実施形態の多芯光ファイバケーブルの更に別の態様の断面図である。図5に示すように保護層を有する多芯光ファイバケーブルであってもよい。プラスチック光ファイバケーブル50は芯52が夫々鞘層54で被覆されており、鞘層54で被覆された7個の芯52を保護層56によって被覆することで多芯化されている。保護層56の外周に被覆層58が被覆形成されている。
【0027】
<芯>
芯を構成する樹脂(以下、「芯樹脂」ともいう。)は透明樹脂であることが好ましい。芯樹脂としては、プラスチック光ファイバの芯樹脂として公知のものを使用でき、例えば、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。それらの中でも、透明性の観点から、好ましいのはポリメチルメタクリレート系樹脂である。
【0028】
ポリメチルメタクリレート系樹脂とは、メチルメタクリレートの単独重合体、またはメチルメタクリレート成分を50質量%以上含んだ共重合体をいう。ポリメチルメタクリレート系樹脂は、メチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合可能な成分と、を含む共重合体であってもよい。メチルメタクリレートと共重合可能な成分としては、特に限定されず、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、イソプロピルマレイミドのようなマレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンなどが挙げられ、これらの中から2種以上選択してもよい。
【0029】
ポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量は、メルトフロー(成形しやすさ)の観点から、重量平均分子量として8万〜20万のものが好ましく、特に10万〜12万がより好ましい。
【0030】
本実施形態の光ファイバケーブルの断面における芯の数としては、単芯の場合は1個、または多芯の場合は最低7個で、円形配置が可能となり好ましい。多芯の場合の断面における芯の最大数については、製造の容易さの観点から、10000個以内が好ましく、より好ましくは19個〜1000個である。多芯の場合の芯の直径は5μm〜500μmが好ましく、より好ましくは60μm〜200μmである。芯の直径が5μm以上であれば通過する光量を一層大きくすることができる。また、芯の直径が500μm以下であれば、曲げによる透過光量の低下を一層少なくできる。
【0031】
<鞘層>
鞘層は、芯の外周に被覆形成される。鞘層を設けることで、鞘層と芯との界面での反射により曲がった光ファイバ内を光信号が伝搬される。鞘層を複数形成してもよく、その場合には内側に位置する第一の鞘層よりも外側に位置する第二の鞘層の屈折率を低くすれば、第一の鞘層を突き抜けた光の一部を第一の鞘層と第二の鞘層の界面反射により回収することが可能となるので好ましい。
【0032】
鞘層を構成する樹脂(以下、「鞘樹脂」ともいう。)は、芯を構成する樹脂より屈折率が小さい樹脂であれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルの好ましい態様としては、光ファイバ素線が、上記した透明樹脂で形成された芯と、前記透明樹脂より屈折率の低いフッ素樹脂によって前記芯の外周に被覆形成された少なくとも1層の鞘層からなるものが挙げられる。より好ましくは芯を構成する樹脂の屈折率が、鞘層を構成する樹脂の屈折率よりも、0.01〜0.15高いことが好ましい。芯を構成する樹脂と鞘層を構成する樹脂の屈折率の差が小さいほど、高い周波数の信号まで伝搬させることができるがケーブルの曲げに対して脆弱となる傾向がある。一方、屈折率の差が大きいほど、ケーブルの曲げに対して強くすることができるが、高い周波数の光は通りにくくなる傾向がある。かかる観点から、芯を構成する樹脂と鞘層を構成する樹脂の屈折率の差を上記数値範囲とすることが好ましい。
【0033】
鞘層を構成する樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、フッ素樹脂等が挙げられる。それらの中でも好ましくは、使用する光に対する透過率の高いフッ素樹脂である。該フッ素樹脂を用いることにより伝送損失を一層抑えることができる。フッ素樹脂としては、例えば、フッ化メタクリレート系重合体やポリビニリデンフロライド系樹脂等が挙げられる。
【0034】
フッ化メタクリレート系重合体としては、特に限定されないが、透過率が高く耐熱性や成形性に優れるという観点から、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルアクリレート、α−フロロ−フルオロアルキルアクリレートなどのフッ素を含有するアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマーが好ましい。また、フッ素を含有する(メタ)アクリレートモノマーと、これらと共重合可能な他の成分を含む共重合体であってもよく、メチルメタクリレートなどの共重合可能な炭化水素系のモノマーとの共重合体が好ましい。フッ素を含有する(メタ)アクリレートモノマーと、これと共重合可能な炭化水素系のモノマーとの共重合体とすることで、屈折率をコントロールすることができるので好ましい。
【0035】
一方、ポリビニリデンフロライド系樹脂としては、特に限定されないが、耐熱性や成形性に優れるという観点から、ビニリデンフロライドの単独重合体;ビニリデンフロライドと、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロペン、トリフロロエチレン、ヘキサフロロアセトン、パーフロロアルキルビニルエーテル、クロロトリフロロエチレン、エチレン、プロピレンからなる群から選択される少なくとも1種類以上のモノマーとの共重合体;これらのビニリデンフロライド成分を含む重合体とPMMA系樹脂とのアロイ、が好ましい。
【0036】
<保護層>
保護層は、鞘層の外周に被覆形成されたものである。保護層は、必要に応じて、機械物性、耐熱性、光遮光性等の機能を光ファイバケーブルに付与することができるものであり、鞘層の外側に接した樹脂からなる層である。本実施形態では、屈折率が内側の鞘層より高いか、不透明又は着色したもの(すなわち、対象とする光を反射できる程度の透明さを有しないもの)である場合は外側の鞘層ではなく保護層であるものとする。保護層の材料としては、特に限定されず、例えば、ポリビニリデンフロライド系樹脂等が使用できる。なお、屈折率とは、ナトリウムD線によって20℃で測定した値を用いる。
【0037】
ここで多芯光ファイバケーブルの場合、光ファイバ素線断面における芯、鞘層、保護層の各断面積の比率について述べれば、芯の断面積比率が60〜90%であることが好ましく、75〜90%がより好ましい。60%以上とすることで十分な光量を得ることができるので好ましい。90%以下とすることで、芯が円形から変形する現象が起こり難くなるため伝送損失の低下を抑えることができるので好ましい。
【0038】
鞘層の断面積比率は2〜20%が好ましく、2〜10%がより好ましい。鞘層の断面積比率の下限値を上記数値とすることで、光ファイバとして確実に機能するような鞘層の厚さとすることができる。鞘層の断面積比率の上限値を上記数値とすることで、良好な面積効率とすることができる。
【0039】
保護層の断面積比率は8〜20%が好ましく、10〜20%がより好ましい。保護層の断面積比率の上限値を上記数値とすることで、機械的な強度を向上させることができる。保護層の断面積比率の上限値を上記数値とすることで、良好な面積効率とすることができる。
【0040】
鞘層は芯の周りをほぼリング状に配置され、保護層は鞘層の周りを取り囲むように配置されることが好ましく、特に機械的な補強の観点から、光ファイバ素線の断面における芯以外の面積の大半を保護層にまわすことがより好ましい。特に、保護層は、光ファイバケーブルを側圧等の外力から保護する機能を発揮でき、かつ外部からの衝撃を緩和する効果も発揮できる。
【0041】
本実施形態において、多芯プラスチック光ファイバの場合、素線の直径は、好ましくは0.2mm〜3.0mm、さらに好ましくは0.5mm〜2.0mmである。また、鞘層の厚さは、好ましくは1μm〜30μm、より好ましくは1μm〜20μmである。さらに、保護層の厚さは、好ましくは1μm〜50μmであり、より好ましくは1μm〜30μmである。上記数値範囲とすることで伝送損失値が一層安定した多芯プラスチック光ファイバとすることができる。
【0042】
単芯光ファイバケーブルの場合、素線の直径は好ましくは0.2mm〜3.0mmであり、鞘層の厚さは好ましくは2μm〜50μmであり、保護層の厚さは好ましくは2μm〜300μmである。上記数値範囲とすることで伝送損失値が一層安定した単芯プラスチック光ファイバとすることができる。
【0043】
<被覆層>
本実施形態において被覆層は、上記した光ファイバ素線の外周に被覆形成されるものである。被覆層は、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(以下、「変性フッ素樹脂」ともいう。)を含むものである。本発明者は、このような変性フッ素樹脂を被覆層に用いることで、耐薬品性だけでなく、耐熱性、耐水性に優れ、かつ機械的強度に優れ、更には表面平滑性を有し、表面粘着性を抑えることができることを見出した。ここで、「反応性官能基末端を有する」とは、主鎖及び/又は側鎖の末端に反応性官能基を有することをいう。
【0044】
被覆層として使用される変性フッ素樹脂とは、全部または一部の水素原子がフッ素原子で置換されたエチレン性モノマー(塩素等のフッ素以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。以下、「含フッ素モノマー」ともいう。)の重合体、または該含フッ素モノマーと共重合可能な単量体との共重合体であって、主鎖あるいは側鎖に反応性官能基、例えばカーボネート基(カルボニルジオキシ基)、エステル基、ハロホルミル基、カルボキシル基などを導入して、変性したものをいう。上記した反応性官能基を導入することで、隣接する層、特に保護層又は外被覆層との接着性を向上させることができる。それらの中でもカーボネート基を有するものが好ましい。カーボネート基を有する反応性官能基を導入した変性フッ素樹脂は、変性フッ素樹脂の重合時に重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることで容易に導入できることや、幅広い樹脂との接着性が優れることや、それらのなかでも特にナイロン12等のポリアミド樹脂との接着性が特に優れること等の利点を有する。その結果、プラスチック光ファイバに優れた耐薬品性や耐熱性等を付与することができる。
【0045】
被覆層における変性フッ素樹脂の含有量は、特に限定されないが、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。上記含有量とすることにより、本実施形態の効果がより一層顕著になる。
【0046】
また、上記した鞘層、保護層、被覆層等には、本実施形態の効果を損なわない範囲で、変性フッ素樹脂以外のその他の添加剤成分を含ませてもよい。使用目的に応じて、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性剤、滑剤、難燃(助)剤、充填剤等の添加剤を使用することができる。
【0047】
上記の反応性官能基の導入は、特に限定されず、例えば公知の方法によって行うことができるが、重合開始剤として共重合体に導入することが好ましく、得られる共重合体100質量部に対して、該重合開始剤0.05〜20質量部であることが好ましい。
【0048】
上記変性フッ素樹脂は、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を主骨格とする。エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体における、エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、70/30〜30/70であることが好ましい。さらに、テトラフルオロエチレン、及びエチレンとともに、これらと共重合可能な他の単量体(例えば、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のオレフィンを共重合させたものであってもよい。この場合、エチレン/テトラフルオロエチレン/共重合可能な他の単量体のモル比は、特に限定されないが、成形性と耐薬品性のバランスの観点から、(10〜80)/(20〜80)/(0〜40)であることが好ましい。
【0049】
より好ましい変性フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン62〜80モル%、エチレン20〜38モル%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜10モル%からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体;テトラフルオロエチレン20〜80モル%、エチレン10〜80モル%、ヘキサフルオロプロピレン0〜30モル%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜10モル%からなる単量体成分から得られるポリマー鎖を有するカルボニルジオキシ基含有共重合体が挙げられる。上記変性フッ素樹脂は耐薬品性、耐熱性に優れるので好ましい。
【0050】
変性フッ素樹脂の融点は150℃から250℃の範囲にある。融点がかかる温度範囲であることにより、ポリメチルメタクリレート系樹脂の熱分解が許容できる300℃以下の成形温度で成形可能であるので好ましい。融点の測定は、示差走査熱量測定によって行うことができる。例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(EXSTAR DSC6200)を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温することで、測定できる。
【0051】
このような変性フッ素樹脂としては、市販品として、ダイキン工業社製のネオフロンEFEP RP5000及びRP4020、並びに旭硝子社製のフルオンLM−ETFE AH2000などが挙げられる。このうち、ネオフロンEFEP RP5000及びRP4020は、反応性官能基としてカルボニルジオキシ基を含有するカーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である。
【0052】
本実施形態において被覆層の厚さは50μm〜700μmである。50μm未満では変性フッ素樹脂を光ファイバ素線の外周に被覆することによる機械強度の確保が十分ではない。700μmを超えるとケーブルが剛直になり過ぎるため好ましくない。かかる観点から、より好ましい厚さは100μm〜300μmである。
【0053】
<外被覆層>
本実施形態の光ファイバケーブルは被覆層を最表面層として使用することも可能であるが、その外周にナイロン12、ソフトナイロン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂からなる外被覆層(「外ジャケット」ともいう。)を施して、より補強した光ファイバケーブルとして用いることもできる。
【0054】
本実施形態の光ファイバケーブルは、上述したように単芯・多芯いずれのタイプであってもよく、多芯の場合には、7芯、あるいはそれ以上の芯数のタイプであってもよい。
【0055】
<製造方法>
本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルの製造にあたっては、特に限定されず、公知の方法によって行うことができる。例えば、公知の複合紡糸法で製造されたプラスチック光ファイバ素線の外側に、クロスヘッドダイにより熱溶融させた上記変性フッ素樹脂を被覆して形成する方法を好ましく使用することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
[測定方法]
(1)屈折率測定
ナトリウムD線を使用し、20℃で測定した値を採用した。
(2)メルトフローインデックス測定
ASTM D1238に準拠して測定した。
(3)融点測定
融点は、示差走査熱量測定によって測定した。測定は、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(EXSTAR DSC6200)を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温することで行った。
(4)ショアD硬度測定
ASTM D2240に準拠して測定した。
【0058】
<実施例1>
芯樹脂として、ナトリウムD線によって20℃で測定した屈折率が1.492のポリメチルメタクリレート樹脂であって、重量平均分子量10万であり、メルトフローインデックスが230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件で、2.5g/10分であるものを用いた。
【0059】
鞘樹脂として、ビニリデンフロライド57モル%、テトロフロロエチレン32モル%、ヘキサフロロプロペン11モル%からなる共重合体であって、メルトフローインデックスが8g/10分、屈折率が1.36で、融点120℃の樹脂を用いた。
【0060】
上記芯樹脂、鞘樹脂を2層複合ダイに導入し、ダイの温度を235℃で紡糸した。ダイから吐出されたストランドを2倍に延伸し熱処理して、芯径980μm、鞘厚み10μmの直径1000μmである、図1に示す構造の単芯プラスチック光ファイバ素線を得た。この素線の波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は135dB/kmであった。
【0061】
次に、上記プラスチック光ファイバ素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、250℃で溶融させた変性フッ素樹脂(ダイキン工業社製、ネオフロンEFEP RP5000:融点200℃)を200μmの厚さに被覆し、直径が1400μmの光ファイバケーブルを得た。このケーブルの波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は143dB/kmであった。
【0062】
こうして製造したプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1.5mを99.8%のエタノールに常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付のテスタ(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で光パワーを測定し、浸漬前の値が−10.9dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.9dBmであり安定しており、浸漬部の直径は1415μmで膨潤は小さかった。
【0063】
また、実施例1のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをN,N−ジメチルホルムアルデヒド(DMF)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で測定した。浸漬前の値が−10.8dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.8dBmであり安定していた。
【0064】
また、実施例1のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをブレーキフルード(トヨタブレーキフルード2500H)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で2本測定し、浸漬前の値が−10.5dBmと−10.6dBmであったのに対して、3000時間後の値も−10.6dBmと−10.6dBmであり安定していた。
【0065】
<実施例2>
実施例1の素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、235℃で溶融させた変性フッ素樹脂(ダイキン工業社製、ネオフロンEFEP RP4020:融点166℃)を600μmの厚さに被覆し、直径が2200μmである、図1に示す構造の単芯光ファイバケーブルを得た。このケーブルの波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は140dB/kmであった。
【0066】
こうして製造したプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1.5mを99.8%のエタノールに常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付のテスタ(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で光パワーを測定し、浸漬前の値が−10.3dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.4dBmであり安定しており、浸漬部の直径は2224μmで膨潤は小さかった。
【0067】
また、実施例2のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で測定した。浸漬前の値が−10.3dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.3dBmで安定していた。
【0068】
また、実施例2のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをブレーキフルード(トヨタブレーキフルード2500H)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で2本測定し、浸漬前の値が−10.2dBmと−10.4dBmであったのに対して、3000時間後の値も−10.2dBmと−10.4dBmであり安定していた。
【0069】
<実施例3>
芯樹脂として、ナトリウムD線によって20℃で測定した屈折率が1.492のポリメチルメタクリレート樹脂であって、重量平均分子量10万であり、メルトフローインデックスが230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件で、2.5g/10分であるものを用いた。
【0070】
鞘樹脂として、ビニリデンフロライド57モル%、テトロフロロエチレン32モル%、ヘキサフロロプロペン11モル%からなる共重合体であって、メルトフローインデックスが8g/10分、屈折率が1.36で、融点120℃の樹脂を用いた。
【0071】
被覆層の樹脂として、テトラフルオロエチレン43モル%、エチレン41モル%、ヘキサフルオロプロピレン15.5モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−ペンテン)0.5モル%からなる単量体成分から得られるポリマー鎖の主鎖及び側鎖の末端にカルボニルジオキシ基を導入したカルボニルジオキシ基含有共重合体であって、屈折率が1.358、メルトフローインデックスが230℃、荷重3.8kg、オリフィスの直径2mm、長さ8mmの条件で11g/10分、融点が166℃、ショアD硬度の値が67の変性フッ素樹脂を用いた。
【0072】
上記芯樹脂、鞘樹脂を2層複合ダイに導入し、ダイの温度を235℃で紡糸した。ダイから吐出されたストランドを2倍に延伸し熱処理して、芯径980μm、鞘厚み10μmの直径1000μmである、図1に示す構造の単芯プラスチック光ファイバ素線を得た。この素線の波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は135dB/kmであった。
【0073】
上記プラスチック光ファイバ素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、235℃で溶融させた上記変性フッ素樹脂を600μmの厚さに被覆し、直径が2200μmの光ファイバケーブルを得た。このケーブルの波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は140dB/kmであった。
【0074】
こうして製造したプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1.5mを99.8%のエタノールに常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付のテスタ(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で光パワーを測定し、浸漬前の値が−10.3dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.4dBmで安定しており、浸漬部の直径は2224μmで膨潤は小さかった。
【0075】
また、実施例3のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で測定した。浸漬前の値が−10.3dBmであったのに対して、240時間後の値も−10.3dBmで安定していた。
【0076】
また、実施例3のプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1mをブレーキフルード(トヨタブレーキフルード2500H)に常温で浸漬して経時変化をみた。まず、伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で2本測定し、浸漬前の値が−10.2dBmと−10.4dBmであったのに対して、3000時間後の値も−10.2dBmと−10.4dBmであり安定していた。
【0077】
<比較例1>
実施例1で用いたプラスチック光ファイバ素線を電線被覆用のクロスヘッドダイに導入し、210℃で、ナイロン12(融点:178℃)を200μmの厚さに被覆し、直径が1400μmである、単芯のケーブルを得た。このケーブルの波長650nm、開口角0.16ラジアンの光源を用いた52m−2mのカットバック法によって測定した伝送損失は138dB/kmであった。
【0078】
こうして製造したプラスチック光ファイバケーブルを3mとり、そのうちの1.5mを99.8%のエタノールに常温で浸漬した。伝送性能については、650nmのLED光付の光パワーメーター(ハクトロニクス社製、オプティカルパワーメーター PHOTOM205)で光パワーを測定し、浸漬前の値が−10.9dBmであったのに対して、120時間後には−14.4dBmに低下し、浸漬部の直径は1440μmで膨潤していた。
【0079】
以上より、本実施形態のプラスチック光ファイバケーブルは、耐薬品性に優れ、伝送損失の低下が少ないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、アルコール類、油脂類、ワックス、潤滑剤、石油類などの薬品などに対する耐性があり、伝送損失が低く信頼性が高いので、車載用配線、FA機器配線、家庭内機など薬品との接触の可能性のあるところであっても好適に使用できる。
【符号の説明】
【0081】
10,20,30,40,50 プラスチック光ファイバケーブル
12,22,32,42,52 芯
14,24,34,44,46,54 鞘層
26,56 保護層
16,28,36,48,58 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線の外周に被覆形成された被覆層と、を有する光ファイバケーブルであって、
前記被覆層の厚さは、50〜700μmであり、
前記被覆層は、融点が150〜250℃であり、反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体を含む、プラスチック光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記反応性官能基末端を有するエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が、カーボネート変性エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体である、請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記光ファイバ素線が、透明樹脂で形成された芯と、前記透明樹脂より屈折率の低いフッ素樹脂によって前記芯の外周に被覆形成された少なくとも1層の鞘層からなる、請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記光ファイバ素線が、前記鞘層の外周に被覆形成された保護層を更に有する、請求項3に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記光ファイバ素線が、多芯光ファイバ素線である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−271710(P2010−271710A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98971(P2010−98971)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】