説明

プラスチック基材及びプラスチックレンズの製造方法

【課題】外部離型剤を用いてプラスチック基材成形品を成形型から容易に取り出すことができ、製造工程の変更及び増加がないプラスチック基材の製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチック基材を製造するための成形型の成形面に、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物による処理面を形成し、この成形型にプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填し、成形型から取り出したプラスチック基材をアルカリ洗浄してプラスチック基材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック形成用の成形型を用いるプラスチック基材及びプラスチックレンズの製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
高い屈折率を有するプラスチックレンズ及び光学部材等に用いるプラスチック基材は、エピチオ化合物と硫黄原子とからなるモノマー組成物を重合硬化することで製造されている。一般的にプラスチック基材の重合硬化は、モノマー組成物をレンズ形成用の成形型内へ充填して加熱することで行われている。
【0003】
ところで、モノマー組成物を重合硬化した後、成形されたプラスチック基材を成形型から容易に取り外すため、離型剤が使用されている。離型剤としては、プラスチック基材を形成するためのモノマー組成物中に混合して用いる内部離型、又は、プラスチック基材形成用の成形型に塗布して使用する外部離型剤が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−93862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プラスチック基材の製造において内部離型剤を用いた場合、内部離型剤とプラスチック基材用組成物との相溶性が悪いと、プラスチック基材の成形品に曇り等が発生する場合がある。特に、屈折率の高いプラスチック基材では、内部離型剤との相溶性が悪い原材料が使用されることが多い。このため、高屈折率のプラスチック基材の製造では内部離型剤を使用することができない場合が多い。
【0006】
また、外部離型剤をプラスチック基材形成用の成形型の成形面に塗布してプラスチック基材を製造する場合には、成形型から取り出したプラスチック基材の表面に外部離型剤が付着する。
プラスチック基材の表面に外部離型剤が付着した状態では、後工程においてプラスチック基材の表面にハードコート層等を形成する際に、不良が発生しやすい。このため、プラスチック基材の表面に付着した外部離型剤を除去するための工程、例えば研磨、UVオゾン処理による物理的除去、有機溶剤による化学的除去、各種洗剤を用いる洗剤処理等が必要となる。
このため、プラスチック基材の製造において、外部離型剤を除去するための工程の増加や、外部離型剤を除去する工程での人員の増加等により、プラスチック基材の製造コストが増加してしまう。
【0007】
上述した問題の解決のため、本発明においては、外部離型剤を用いてプラスチック基材成形品を成形型から容易に取り出すことができ、さらに、製造工程の増加がないプラスチック基材の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラスチック基材の製造方法は、プラスチック基材を製造するための成形型の成形面に、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物による処理面を形成し、この成形型にプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填し、成形型から取り出したプラスチック基材をアルカリ洗浄することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、少なくとも下記(1)〜(7)の工程を有し、外部離型剤が、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むことを特徴とする。
(1)エピチオ化合物に硫黄を混合、撹拌し、エピチオ化合物と硫黄とを反応させる工程
(2)エピチオ化合物と硫黄とからなるモノマー組成物に反応抑制剤を投入すると共に、冷却を行う工程
(3)モノマー組成物に対して、触媒等を添加して混合する工程
(4)プラスチックレンズ形成用成形型の成形面に、外部離型剤を塗布する工程
(5)モノマー組成物をプラスチックレンズ形成用成形型に充填する工程
(6)モノマー組成物を重合、硬化させてプラスチックレンズを成形する工程
(7)成形したプラスチックレンズをアルカリ洗浄する工程
【0010】
フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物を用いて、プラスチック形成用の成形型に形成する外部離型剤の処理層は、アルカリ溶液によって容易に除去することができる。このため、通常のプラスチック基材やプラスチックレンズの製造工程におけるアルカリ洗浄工程において、プラスチック基材又はプラスチックレンズの表面に付着した外部離型剤を確実に除去することができる。
従って、上述のコーティング組成物を外部離型剤として使用することにより、従来の外部離型剤を使用しないプラスチック基材又はプラスチックレンズの製造工程から、工程数を増加させずにプラスチック基材又はプラスチックレンズを製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プラスチック基材及びプラスチックレンズの成形品を成形型から容易に取り出すことができ、さらに、工程数を増加せずにプラスチック基材及びプラスチックレンズを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
まず、プラスチック基材の製造方法の実施の形態について説明する。
本実施の形態のプラスチック基材の製造方法は、プラスチック基材を製造するための成形型の成形面に、外部離型剤を塗布する工程(塗布工程)と、成形型にプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填する工程と(充填工程)、成形型から取り出したプラスチック基材を洗浄する工程(洗浄工程)とを有する。
【0013】
[塗布工程]
塗布工程では、プラスチック基材形成用の成形型に外部離型剤の処理層を形成する。
プラスチック基材の原料となるモノマー組成物を熱硬化するための成形型において、対向する一対の成形型の成形面に、外部離型剤の処理層を形成する。
外部離型剤としては、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物を用いる。
また、外部離型剤の塗布性を向上させるために、コーティング組成物の溶剤を加えることができる。コーティング組成物の溶解度、非引火性等を考慮し、溶剤としてヒドロフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボンエーテルを用いることが好ましい。
【0014】
上記コーティング組成物を用いることにより、製造したプラスチック基材の表面に付着した外部離型剤を、アルカリ洗浄により容易に除去することができる。製造したプラスチック基材のアルカリ洗浄は、通常のプラスチック基材の製造工程において行われているものである。このため、外部離型剤を除去するために別の剥離工程を設ける必要がない。
また、上記のコーティング組成物は、耐熱性に優れるため、モノマー組成物をプラスチック基材形成用成形型内で熱硬化させるときの高温に耐えられる。このため、成形型内での変性がなく、離型性が低下しない。
【0015】
成形型への外部離型剤の塗布は、従来の外部離型剤と同様に、コーティング組成物を用いるスピンコーティング、浸漬、はけ塗り、又は、スプレー等を用いる。具体的には、例えば、洗剤や溶剤を用いて成形型表面に付着している油分・水分などの汚れを、超音波洗浄機を使用して除去する。そして、成形型を100℃程度で3〜5分程度加熱乾燥する。
次に、成形型を外部離型剤溶液に浸漬し、3〜4mm/sec程度の速度で引き上げる。このとき、酢酸溶液等の酸触媒を併用することにより加工後に外部離型剤の性能が発揮されるまで時間を短縮することができる。
次に、成形型を溶剤ですすぎ、60〜120℃で30分〜1時間程度加熱乾燥する。加熱乾燥させることで、外部離型剤に含まれている溶剤等の揮発成分を除去し、不揮発性分のみを成形型に付着させることができる。
外部離型剤としては、ガラスや金属酸化膜に強固に密着し、外部離型剤による処理層の厚さが5〜10nm程度であることが好ましく、特に、成形型の成形面に外部離型剤による単分子膜が形成されていることが好ましい。
【0016】
外部離型剤におけるフルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーとしては、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、Rfは直鎖、枝分かれまたは環式の炭素数2〜12の少なくとも部分的にフッ素化された脂肪族基、例えば、少なくとも部分的にフッ素化されたアルキル基であり、好ましくは完全にフッ素化されたアルキル基であり、RはHまたはCHであり、Qは低級アルキレン基、例えば、−CH−、−CHCH−、または、−SONR−低級アルキレン基、−SONR−CH−、−SONR−CHCH−であり、Rは水素または低級アルキル基、例えば、−CHまたは−Cである。)
【0019】
Rfの末端基は、完全にフッ素化された−CF基であるときに、高い撥水、撥油および防汚性を示すので好ましい。Qは共重合体の撥水性等が阻害されないように低級アルキル基であり、好ましくは、−CH−または−CHCH−である。より具体的には、F(CFCHOC(=O)C(CH)=CH、C15SON(C)COC(=O)C(CH)=CH、c−C11CHOC(=O)C(CH)=CH、C13OC(=O)CH=CH、(CFCF(CFOC(=O)CH=CH、H(CFCHOC(=O)CH=CH、F(CFOC(=O)CH=CH、F(CFCHOC(=O)CH=CHが挙げられる。
【0020】
外部離型剤における不飽和シランモノマーとしては、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、RはHまたはCHであり、Rは水素または低級アルキル基、例えば、メチルまたはエチル基であり、Xはアルコキシ、ハロゲンまたはRCOO−であり、Rは水素または低級アルキル基、例えば、メチルまたはエチル基であり、Yは単結合であるかまたは−CH−であり、そしてnは0、1または2の整数である。)
【0023】
Xがアルコキシ基である具体的な化合物としては、ビニルトリアルコキシシラン、例えば、(CHO)SiCH=CH、(CO)SiCH=CH、アリルトリアルコキシシラン、例えば、(CHO)SiCHCH=CH等が挙げられる。また、Xがハロゲンである具体的な例としては、CH=CHSiClが挙げられる。さらに、XがRCOO−である具体的な化合物としては、(CHCOO)SiCH=CHが挙げられる。
【0024】
[充填工程]
プラスチック基材の原料となるモノマー組成物をろ過し、プラスチック基材形成用の形成型内にモノマー組成物を充填する。
まず、上述の外部離型剤による処理層を形成した成形型を用いて、プラスチック基材形成用の成形型を構成する。成形型は、例えば、一対の対応する成形型を対向させて配置し、成形型の周囲をガスケットにより密封して構成する。
プラスチック基材形成時には、対向する成形型同士の間に間隔を空けることにより、キャビティ部を設ける。そして、ガスケットの注入孔からキャビティ部内にプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填する。
また、充填の際、モノマー組成物をテフロン膜などによりろ過し、不純物を取り除く。
【0025】
プラスチック基材の原料となるモノマー組成物としては、例えば、光学部材用のモノマー組成物、プラスチックレンズ用のモノマー組成物、熱硬化性樹脂用のモノマー組成物等が挙げられる。
【0026】
プラスチックレンズ用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成としては、例えば、エピチオ化合物と硫黄とを混合して反応させたモノマー組成物を用いる。
また、光学部材用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成物としては、例えば、(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いる。
【0027】
熱硬化性樹脂用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成物としては、例えば、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いる。
【0028】
上述エピチオ化合物としては、エピチオ構造を少なくとも1つ以上有するものを用いることができる。
例えば、ビスエピチオエチルスルフィド、ビスエピチオエチルジスルフィド、ビスエピチオエチルチオメタン、ビスエピチオエチルジチオメタン、1,1−ビスエピチオエチルチオエタン、1,1−ビスエピチオエチルジチオエタン、1−エピチオエチルジチオ−1−エピチオエチルチオエタン、1,2−ビスエピチオエチルチオエタン、1,2−ビスエピチオエチルジチオエタン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオエタン、1,1−ビスエピチオエチルチオプロパン、1,1−ビスエピチオエチルジチオプロパン、1−エピチオエチルジチオ−1−エピチオエチルチオプロパン、1,2−ビスエピチオエチルチオプロパン、1,2−ビスエピチオエチルジチオプロパン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオプロパン、1−エピチオエチルチオ−2−エピチオエチルジチオプロパン、1,3−ビスエピチオエチルチオプロパン、1,3−ビスエピチオエチルジチオプロパン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオプロパン、2,2−ビスエピチオエチルチオプロパン、2,2−ビスエピチオエチルジチオプロパン、2−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオプロパン、1,2−ビスエピチオエチルチオブタン、1,2−ビスエピチオエチルジチオブタン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオブタン、1−エピチオエチルチオ−2−エピチオエチルジチオブタン、1,3−ビスエピチオエチルチオブタン、1,3−ビスエピチオエチルジチオブタン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオブタン、1−エピチオエチルチオ−3−エピチオエチルジチオブタン、1,4−ビスエピチオエチルチオブタン、1,4−ビスエピチオエチルジチオブタン、1−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオブタン、1,1−ビスエピチオエチルチオヘプタン、1,1−ビスエピチオエチルジチオヘプタン、1−エピチオエチルジチオ−1−エピチオエチルチオヘプタン、1,2−ビスエピチオエチルチオヘプタン、1,2−ビスエピチオエチルジチオヘプタン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオヘプタン、1,3−ビスエピチオエチルチオヘプタン、1,3−ビスエピチオエチルジチオヘプタン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオヘプタン、1,4−ビスエピチオエチルチオヘプタン、1,4−ビスエピチオエチルジチオヘプタン、1−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオヘプタン、1,5−ビスエピチオエチルチオヘプタン、1,5−ビスエピチオエチルジチオヘプタン、1−エピチオエチルジチオ−5−エピチオエチルチオヘプタン、1,3−ビス(エピチオエチルチオ)−2−チアプロパン、1,3−ビス(エピチオエチルジチオ)−2−チアプロパン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオ−2−チアプロパン、1,4−ビス(エピチオエチルチオ)−2−チアブタン、1,4−ビス(エピチオエチルジチオ)−2−チアブタン、1−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオ−2−チアブタン、1,5−ビス(エピチオエチルチオ)−3−チアペンタン、1,5−ビス(エピチオエチルジチオ)−3−チアペンタン、1−エピチオエチルジチオ−5−エピチオエチルチオ−3−チアペンタン、1,1−ビスエピチオエチルチオシクロペンタン、1,1−ビスエピチオエチルジチオシクロペンタン、1−エピチオエチルジチオ−1−エピチオエチルチオシクロペンタン、1,2−ビスエピチオエチルチオシクロペンタン、1,2−ビスエピチオエチルジチオシクロペンタン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオシクロペンタン、1,3−ビスエピチオエチルチオシクロペンタン、1,3−ビスエピチオエチルジチオシクロペンタン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオシクロペンタン、1,1−ビスエピチオエチルチオシクロヘキサン、1,1−ビスエピチオエチルジチオシクロヘキサン、1−エピチオエチルジチオ−1−エピチオエチルチオシクロヘキサン、1,2−ビスエピチオエチルチオシクロヘキサン、1,2−ビスエピチオエチルジチオシクロヘキサン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオシクロヘキサン、1,3−ビスエピチオエチルチオシクロヘキサン、1,3−ビスエピチオエチルジチオシクロヘキサン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオシクロヘキサン、1,4−ビスエピチオエチルチオシクロヘキサン、1,4−ビスエピチオエチルジチオシクロヘキサン、1−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオシクロヘキサン、1,2−ビスエピチオエチルチオベンゼン、1,2−ビスエピチオエチルジチオベンゼン、1−エピチオエチルジチオ−2−エピチオエチルチオベンゼン、1,3−ビスエピチオエチルチオベンゼン、1,3−ビスエピチオエチルジチオベンゼン、1−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオベンゼン、1,4−ビスエピチオエチルチオベンゼン、1,4−ビスエピチオエチルジチオベンゼン、1−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオベンゼン、1,2−ビス(エピチオエチルチオメチル)ベンゼン、1,2−ビス(エピチオエチルジチオメチル)ベンゼン、1−エピチオエチルジチオメチル−2−エピチオエチルチオメチルベンゼン、1,3−ビス(エピチオエチルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(エピチオエチルジチオメチル)ベンゼン、1−エピチオエチルジチオメチル−3−エピチオエチルチオメチルベンゼン、1,4−ビス(エピチオエチルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(エピチオエチルジチオメチル)ベンゼン、1−エピチオエチルジチオメチル−4−エピチオエチルチオメチルベンゼン、4,5−ビスエピチオエチルチオ−1,3−ジチオラン、4,5−ビスエピチオエチルジチオ−1,3−ジチオラン、4−エピチオエチルジチア−5−エピチオエチルチア−1,3−ジチオラン、2,3−ビスエピチオエチルチオ−1,4−ジチアン、2,3−ビスエピチオエチルジチオ−1,4−ジチアン、2−エピチオエチルジチオ−3−エピチオエチルチオ−1,4−ジチアン、2,5−ビスエピチオエチルチオ−1,4−ジチアン、2,5−ビスエピチオエチルジチオ−1,4−ジチアン、2−エピチオエチルジチオ−5−エピチオエチルチオ−1,4−ジチアン、3,4−ビスエピチオエチルチオ−ビシクロ[4.3.0]−2,5,7,9−テトラチアノナン、3,4−ビスエピチオエチルジチオ−ビシクロ[4.3.0]−2,5,7,9−テトラチアノナン、3−エピチオエチルジチオ−4−エピチオエチルチオ−ビシクロ[4.3.0]−2,5,7,9−テトラチアノナン、2,3−ビスエピチオエチルチオ−1,4−ベンゾジチアン、2,3−ビスエピチオエチルジチオ−1,4−ベンゾジチアン、2−エピチオエチルジチオ−3−ビスエピチオエチルチオ−1,4−ベンゾジチアン等が挙げられる。
これらの化合物は、シス−異性体とトランス−異性体とを有する場合がある。
これらの化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
また、硫黄は、例えば、硫黄原子を有する無機化合物として添加することができる。
硫黄は、プラスチック基材全体に対して、5〜30質量%含むことが好ましい。
硫黄原子を有する無機化合物としては、例えば、硫黄(単体)、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化硼素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化砒素、金属硫化物、金属水硫化物等が挙げられる。
これらの中で、特に好ましくは、硫黄(単体)である。
【0030】
また、エピチオ化合物と硫黄原子との反応には、加硫化触媒を加える。
この加硫化触媒としては、例えば、2メルカプト−N−メチルイミダゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール,2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−ブチルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール系、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等のグアニジン系を使用することができる。
【0031】
さらに、エピチオ化合物と硫黄とのモノマー組成物に、ポリチオール化合物を混合することもできる。ポリチオール化合物をオリゴマー化して加えることにより、屈折率を低下させずに、機械的強度に優れたプラスチック基材を製造することができる。
ポリチオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、テトラキスメルカプトメチルメタン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート、2,3−ジメルカプトプロパノール、ジメルカプトメタン、トリメルカプトメタン、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,4−ベンゼンジチオール、1,3,5−ベンゼントリチオール、1,2−ジメルカプトメチルベンゼン、1,3−ジメルカプトメチルベンゼン、1,4−ジメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、トルエン−3,4−ジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,2,3,4−テトラメルカプトブタン等が挙げられる。
これらの化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
(光学部材用のモノマー組成物)
光学部材用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成としては、例えば、アリル化合物や(メタ)アクリレートモノマー、ポリイソシアネートとポリオール(又はポリチオール)との混合体、エン化合物とポリチオールとの混合体、エポキシ、エピチオモノマーなどが挙げられ、これらを単独で重合しても併用して共重合もしくはポリマーアロイとしても良い。
【0033】
(熱硬化性樹脂用のモノマー組成物)
熱硬化性樹脂用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成としては、例えば、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性を有する合成ポリマーを形成するモためのノマー全般を挙げることができる。
【0034】
[洗浄工程]
上述の成形型内でプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を重合してプラスチック基材を製造した後、プラスチック基材を成形型から取り出し、アルカリ性の洗浄剤、又は、アルカリ性の溶液で洗浄する。
成形型の成形面には、外部離型剤の処理層が形成されているため、成形型から製造したプラスチック基材の取り出しを容易に行うことができる。
【0035】
プラスチック基材を成形型から離型させた後、アルカリ性の溶液、又は、アルカリ性の洗浄剤を用いた公知の洗浄方法によりアルカリ洗浄を行う。例えば、60℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬し、プラスチック基材を洗浄する。
プラスチック基材をアルカリ洗浄することにより、プラスチック基材の表面に付着した外部離型剤を除去する。
【0036】
また、成形型から離型したプラスチック基材のアルカリ洗浄は、従来の外部離型剤を使用しないプラスチック基材の製造方法においても行われている。例えば、プラスチック基材にハードコート層を形成する工程において、成形型から離型したプラスチック基材に対し、表面に付着している不純物の除去やコーティング液の濡れ性の向上のための前処理としてアルカリ洗浄が行われている。
【0037】
このように、上述のフルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物を、外部離型剤とてして用いることにより、製造したプラスチック基材の表面に付着した外部離型剤を、アルカリ洗浄により容易に除去することができる。このアルカリ洗浄は、通常のプラスチック基材の製造工程において行われている工程である。このため、外部離型剤として上述のコーティング組成物を用いることにより、成形型から離型したプラスチック基材の表面に付着した外部離型剤を除去するための剥離工程を、通常工程とは別に設ける必要がない。
従って、プラスチック基材の製造方法において、工程数を増加させずに外部離型剤を用いることができる。
【0038】
次に、プラスチックレンズの製造方法の実施の形態について説明する。
本実施の形態のプラスチックレンズの製造方法は、以下の工程を含んで構成される。
(1)エピチオ化合物に硫黄を混合、撹拌し、エピチオ化合物と硫黄とを反応させる(反応工程)。
(2)エピチオ化合物と硫黄とからなるモノマー組成物に反応抑制剤を投入すると共に、冷却を行う(冷却工程)。
(3)モノマー組成物に対して、触媒等を添加して混合する(混合工程)。
(4)プラスチックレンズ形成用成形型の成形面に、外部離型剤を塗布する(塗布工程)。
(5)モノマー組成物をプラスチックレンズ形成用の成形型に充填する(充填工程)。
(6)モノマー組成物を重合、硬化させてプラスチックレンズを成形する(重合工程)。
(7)成形したプラスチックレンズをアルカリ洗浄する(洗浄工程)。
【0039】
次に、上述のプラスチックレンズの製造方法の各工程について具体的に説明する。
(1)反応工程
エピチオ化合物と硫黄とを混合して反応させ、プラスチックレンズの原料となるモノマー組成物を製造する。
【0040】
プラスチックレンズの原料となるモノマー組成物となるエピチオ化合物及び硫黄は、上述のプラスチック基材の製造方法と同様の物質を使用することができる。
エピチオ化合物を重合してエピチオ樹脂を形成するときに、硫黄を混合して反応させる。この反応工程により、硫黄を含むエピチオ樹脂が形成される。
好ましくは、エピチオ化合物100質量%に対して、硫黄を10質量%〜50質量%混合する。
反応工程において、エピチオ化合物と硫黄とを混合することにより、液状モノマーであるエピチオ化合物に、硫黄が溶解していく。エピチオ化合物100質量%に対して、硫黄が10質量%程度まで溶解する。そして、エピチオ化合物100質量%に対して、硫黄の混合量が10質量%程度を超えると、溶解しない硫黄がエピチオ化合物の構造の内部に組み込まれる、いわゆる加硫により架橋とオリゴマー化が進行する。
【0041】
また、上述のプラスチック基材の製造方法と同様に、エピチオ化合物と硫黄とのモノマー組成物に、ポリチオール化合物を混合することもできる。ポリチオール化合物をオリゴマー化して加えることにより、屈折率を低下させずに、機械的強度に優れたプラスチックレンズを製造することができる。
ポリチオール化合物としては、上述のプラスチック基材の製造方法と同様の物質を使用することができる。
【0042】
(2)冷却工程
プラスチックレンズの原料となるモノマー組成物に反応抑制剤を投入し、冷却を行う。
加硫が進み過ぎると、ゲル化して樹脂とならなくなるため、ある程度加硫が進んだ段階で、加硫の反応をとめる必要がある。そこで、反応抑制剤を投入すると共に冷却する。この冷却工程では、強制的に冷却することが望ましい。
冷却工程では、30℃未満、具体的には20℃〜30℃未満の範囲内(室温程度)になるまで、冷却することが望ましい。
【0043】
反応抑制剤としては、加硫の反応を停止する作用を有するものであればよい。
例えば、酸性リン酸エステル類やハロゲン化スズを、使用することができる。
ハロゲン化スズの例としては、四塩化スズ、ジメチルチンクロライド、トリメチルチンクロライド、エチルチントリクロライド、ジエチルチンジクロライド、トリエチルチンクロライド、プロピルチンクロライド、ジプロピルチンジクロライド、トリプロピルチンクロライド、n−ブチルチントリクロライド、ジブチルチンジクロライド、トリブチルチンクロライド等の、スズの塩化物が挙げられる。その他スズのフッ化物、臭化物、ヨウ化物を使用することが可能である。
反応抑制剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
反応抑制剤は、温度が30℃以上、具体的には30℃〜100℃のときに添加することが望ましい。温度が低すぎると反応抑制剤が溶解しにくくなる。
特に、ハロゲン化スズ等の反応抑制剤は、20℃程度では溶解しにくい。この観点からも、反応工程においてより好ましくは30℃〜80℃、さらに好ましくは60℃程度となるように制御することが望ましい。
【0045】
(3)混合工程
上述の、プラスチックレンズの原料となるモノマー組成物に、レンズ材料用の重合触媒等を混合する。さらに、モノマー組成物に、必要に応じてブルーイング剤(色素)、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を混合する。紫外線吸収剤は、紫外線照射により生じるプラスチックレンズの樹脂の黄変を防ぐことができる。
【0046】
重合触媒としては、例えば、4級ホスホニウム塩を用いるのが好ましい。第4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムヨーダイド、テトラ−n−ヘキシルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−オクチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
重合触媒の使用量は、モノマー組成物全量に対して0.01〜2.0重量%であるのが好ましい。
【0047】
(4)塗布工程
上述のモノマー組成物の製造工程とは別に、プラスチックレンズ形成用の成形型に外部離型剤の処理層を形成する。
外部離型剤の処理層は、上述のプラスチック基材の製造方法の塗布工程と同様に行うことができる。また、外部離型剤も上述のプラスチック基材の製造方法と同様に、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物を用いることができる。
また、外部離型剤の塗布性を向上させるために、コーティング組成物の溶剤を加えることができる。コーティング組成物の溶解度、非引火性等を考慮し、溶剤としてヒドロフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボンエーテルを用いることが好ましい。
【0048】
上記コーティング組成物を用いることにより、製造したプラスチックレンズの表面に付着した外部離型剤を、アルカリ洗浄により容易に除去することができる。製造したプラスチックレンズのアルカリ洗浄は、通常のプラスチックレンズの製造工程において行われているものである。このため、外部離型剤を除去するために別の剥離工程を設ける必要がない。
また、上記のコーティング組成物は、耐熱性に優れるため、モノマー組成物をプラスチックレンズ形成用成形型内で熱硬化させるときの高温に耐えられる。このため、成形型内での変性がなく、離型性が低下しない。
【0049】
(5)充填工程
プラスチックレンズ製造用のモノマー組成物をろ過し、プラスチックレンズ形成用の形成型内にモノマー組成物を充填する。
【0050】
まず、上述の外部離型剤の処理層を形成した成形型を用いて、プラスチックレンズ形成用成形型を構成する。成形型は、例えば、レンズの凸面を成形するためのレンズ成形面を有する成形型と、レンズの凹面を成形するためのレンズ成形面を有する成形型を対向させて配置し、対応する一対の成形型の周囲をガスケットにより密封する。
プラスチックレンズ形成時には、対向する成形型同士の間に間隔を空けることにより、キャビティ部を設ける。そして、ガスケットの注入孔からキャビティ部内にプラスチックレンズ製造用のモノマー組成物を充填する。
また、充填の際、モノマー組成物をテフロン膜などによりろ過し、不純物を取り除く。
【0051】
(6)重合工程
成形型内に充填したモノマー組成物を重合させてプラスチックレンズを形成する。
モノマー組成物の重合反応は、重合触媒や重合開始剤を含んだモノマー組成物への加熱により行う。
まず、レンズの原料となるモノマー組成物を、外部離型剤による処理層を形成した成形型内に充填し、成形型を比較的低温、例えば20℃以下で保ち、モノマー組成物の粘度をゆっくりと上昇させる。
次に、形成用成形型の温度モノマーの反応温度、例えば80℃〜140℃まで除々に上昇させることにより、モノマーをゲル化、固化させる。そして、充分な温度まで上げたところで、温度を一定に保持する。この温度において、モノマーの重合反応を充分に進行させ、成形型内でプラスチックレンズを形成する。
【0052】
(7)洗浄工程
製造したプラスチックレンズを成形型から取り出し、アルカリ性の洗浄剤、又は、アルカリ性の溶液で洗浄する。
成形型の成形面には、外部離型剤の処理層が形成されているため、成形型からのプラスチックレンズの取り出しを容易に行うことができる。
【0053】
プラスチックレンズを成形型から離型させた後、アルカリ性の洗浄剤、又は、アルカリ性の溶液を用いた公知の洗浄方法によりアルカリ洗浄を行う。例えば、60℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬し、プラスチックレンズを洗浄する。
プラスチックレンズをアルカリ洗浄することにより、プラスチックレンズの表面に付着した外部離型剤を除去する。
【0054】
また、成形型から離型したプラスチックレンズのアルカリ洗浄は、従来の外部離型剤を使用しないプラスチックレンズの製造方法においても行われている。例えば、プラスチックレンズにハードコート層を形成する工程において、成形型から離型したプラスチックレンズに対し、レンズの表面の不純物の除去やコーティング液の濡れ性の向上のための前処理としてアルカリ洗浄が行われている。
【0055】
このように、上述のフルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物を、外部離型剤とてして用いることにより、製造したプラスチックレンズの表面に付着した外部離型剤を、アルカリ洗浄により容易に除去することができる。このアルカリ洗浄は、通常のプラスチックレンズの製造工程において行われている工程である。このため、外部離型剤として上述のコーティング組成物を用いることにより、成形型から離型したプラスチックレンズの表面に付着した外部離型剤を除去するための剥離工程を、通常工程とは別に設ける必要がない。
従って、プラスチックレンズの製造方法において、工程数を増加させずに外部離型剤を用いることができる。
【0056】
また、アルカリ洗浄したプラスチックレンズの表面に、必要に応じてプライマー層や、有機ケイ素化合物又は無機物質から成る硬化皮膜を形成し、さらに、硬化皮膜上に反射防止膜や、フッ素原子を含有した有機ケイ素化合物からなる撥水膜を形成しもよい。
【0057】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基材を製造するための成形型の成形面に、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含むコーティング組成物による処理面を形成し、
前記成形型にプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填し、
前記成形型から取り出したプラスチック基材をアルカリ洗浄する
ことを特徴とするプラスチック基材の製造方法。
【請求項2】
前記成形型に、光学部材用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基材の製造方法。
【請求項3】
前記成形型に、プラスチックレンズ用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基材の製造方法。
【請求項4】
前記成形型に、熱硬化性樹脂用のプラスチック基材の原料となるモノマー組成物を充填することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基材の製造方法。
【請求項5】
前記成形型に、エピチオ化合物及び硫黄を含んで形成された前記モノマー組成物を充填することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基材の製造方法。
【請求項6】
少なくとも下記(1)〜(7)の工程を有し、
(1)エピチオ化合物に硫黄を混合、撹拌し、前記エピチオ化合物と前記硫黄とを反応させる工程
(2)前記エピチオ化合物と前記硫黄とからなるモノマー組成物に反応抑制剤を投入すると共に、冷却を行う工程
(3)前記モノマー組成物に対して、触媒等を添加して混合する工程
(4)プラスチックレンズ形成用成形型の成形面に、外部離型剤を塗布する工程
(5)前記モノマー組成物を前記プラスチックレンズ形成用成形型に充填する工程
(6)前記モノマー組成物を重合、硬化させてプラスチックレンズを成形する工程
(7)成形した前記プラスチックレンズをアルカリ洗浄する工程
前記外部離型剤が、フルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体を含む
ことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。

【公開番号】特開2010−234563(P2010−234563A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82906(P2009−82906)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】