説明

プラスチック物品の処理方法

本発明の方法において、プラスチック物品(例えば、熱可塑性ポリカーボネートの成形品)の表面の少なくとも一部を、一以上の性能添加剤を含む処理用組成物と接触させる(例えば、その中に浸漬させる)。処理用組成物は、(i)少なくとも一つの性能添加剤(例えば、紫外線吸収剤)、(ii)水、(iii)以下の一般式I〔式中、Rは、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイルおよびフェニルからなる群から選択される基であり、Rは、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイル、フェニルおよびHからなる群から選択される基であり、nは、2、3または4であり、およびmは、1〜35である〕で示される少なくとも一つの担体、および(iv)直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオール、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)、環中に5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオール、単環式芳香族ジオール、ビスフェノールおよび水素化ビスフェノールの少なくとも一つから選択されるジオールを含有する。本発明の一実施態様において、担体はエチレングリコールモノブチルエーテルであり、ジオールはジエチレングリコールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック物品の処理方法に関する。プラスチック物品(例えば、熱可塑性ポリカーボネートの成形品)の表面の少なくとも一部を、水と、少なくとも一つの担体(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル)と、ジオール(例えば、ジエチレングリコール)と、少なくとも一つの添加剤(例えば、紫外線(UV)安定剤)を含む処理用組成物と接触させる。処理用組成物との接触の間、添加剤は、プラスチック物品中に吸収(拡散または浸透)し、そして改善された物理的性質(例えば、改善された耐UV性)を有する処理プラスチック物品が形成される。
【背景技術】
【0002】
(例えば、性能増強添加剤を含有する)処理プラスチック物品は、物品が製造されるポリマー材料中に添加剤を直接組み込むことによって(例えば、配合によって)、製造することができる。このような直接(またはバルク)組込法は、プラスチック物品のバルクの実質的に全体に渡って分散された添加剤をもたらす。
【0003】
性能増強添加剤、例えば、UV安定剤(吸収剤)は、典型的に高価であり、十分なレベルの性能を維持するのと同時に、プラスチック物品中に組み込まれる量を最小限にすることが望ましいものである。直接組込法は、性能増強添加剤をプラスチック物品全体に渡って分配するので、使用される性能増強添加剤の量を最小限にすることに関して、とりわけ適しているわけではない。直接組込法を用いてプラスチック物品のバルクの全体に渡って性能増強添加剤の量を低減することは、表面と環境(例えば、光、酸素、および/または型の内面)との相互作用に起因して添加剤が典型的に最も必要とされる、その表面において同等に低減することになる。結果として、直接組込方法において性能増強添加剤の量を極端に低減する場合、プラスチック物品の物理的性質は、典型的に犠牲になる。
【0004】
プラスチック物品の表面に処理用組成物を塗布することによる処理プラスチック物品の製造は、一般に知られている。添加剤は、主としてプラスチック物品の表面中に組み込まれることから、このような表面処理方法は、性能の十分なレベルを維持すると同時に、使用される性能増強添加剤の量を最小限化することに関して、より適している。典型的に、プラスチック物品の表面に塗布される処理用組成物は、非水性である。
【0005】
有機溶媒の使用に関する環境問題が脚光を浴びるなか、最近になって、処理用水性組成物を活用する処理方法の開発に対する重要性が増している。処理用水性組成物によるプラスチック物品の処理方法は、典型的に、例えば、物品の不均一なおよび/または不十分な処理、および同じプラスチック物品の異なるバッチ間での、処理/得られる物理的性質の一貫性のない程度を含む不利益を受ける。
【0006】
米国特許4,535,104は、特別のクラスの紫外線劣化抑制化合物を含浸させた表面の熱可塑性芳香族コポリエステルカーボネート物品を開示する。該104特許は、熱可塑性コポリエステルカーボネート物品を、125℃の温度に加熱した、ブトキシエタノールとUV安定剤の非水性溶液中に浸漬し、続いて該物品を150℃で乾燥することを開示する。
【0007】
米国特許4,323,597は、紫外線吸収剤と非攻撃的液体担体を含有する組成物を、その表面に塗布することによる、紫外線安定化ポリマー物品(例えば、ポリカーボネート物品)の製造方法を開示する。該597特許は、例えば、ヒドロキシエーテル、アルコール、アルコール-水混合物、液体炭化水素およびクロロフルオロ炭素を含む、非攻撃的液体担体の例を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
処理用水性組成物を活用し、そして均一におよび十分に処理された物品の形成をもたらす、プラスチック物品の新規処理方法の開発が所望されている。さらに、このような新規方法が、経時的に一貫性のある処理の程度を提供することも所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、プラスチック物品の処理方法であって、
(a)熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーから選択される少なくとも一つのポリマーを含んでなるプラスチック物品を用意し、
(b)上記プラスチック物品の表面の少なくとも一部を、
(i)UV安定剤、蛍光増白剤、離型剤、帯電防止剤、熱安定剤、IR吸収剤および抗菌剤から選択される少なくとも一つの添加剤と、
(ii)水と、
(iii)以下の一般式I
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、Rは、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイルおよびフェニルからなる群から選択される基であり、
は、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイル、フェニルおよびHからなる群から選択される基であり、
nは、2、3または4であり、および
mは、1〜35である〕
で示される少なくとも一つの担体と、
(iv)直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオール、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)、環中に5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオール、単環式芳香族ジオール、ビスフェノールおよび水素化ビスフェノールの少なくとも一つから選択されるジオールと
を含んでなる処理用組成物と接触させ、
(c)処理プラスチック物品を形成するのに少なくとも十分な時間、上記プラスチック物品の上記部分と上記処理用組成物との接触を維持し、および
(d)上記処理プラスチック物品を、上記処理用組成物との接触から解除することを含む、方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の方法に使用される処理用組成物(または浴)は、上記したように、式Iで示される少なくとも一つの担体を含む。式Iで示される担体に関して、Rは水素基であってもよく、Rは水素基でなくてもよい。式IのRおよびRが互いに独立して選択され得る直鎖状または分枝状アルキルとしては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルおよびオクタデシル、およびそれらの構造異性体(例えば、イソプロピル、i-ブチル、t-ブチルなど)が挙げられる。
【0013】
さらに式Iに関して、RおよびRは、互いに独立して、ベンジル、ベンゾイルおよびフェニル基から選択することができる。これらは、互いに独立しておよび必要に応じて、ハロ基(例えば、クロロ、ブロモおよびフルオロ)、直鎖状または分枝状C〜Cアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびノニル)、および芳香族基(例えば、フェニル)から選択される1〜5個の基で置換されていてもよい。
【0014】
本発明の一実施態様において、式Iに関しては、nは2であり、Rはn-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチルから選択され、およびRは水素(H)である。特に好適な本発明の実施態様において、nは2であり、mは1であり、Rはn-ブチルであり、およびRはHである。
【0015】
担体は、ポリ(C〜Cアルコキシル化)フェノールおよび/またはポリ(C〜Cアルコキシル化)C〜Cアルキル置換フェノールから選択されてもよい。ポリ(C〜Cアルコキシル化)フェノールの例としては、エトキシル化、プロポキシル化および/またはブトキシル化フェノールが挙げられる。ポリ(C〜Cアルコキシル化)C〜Cアルキル置換フェノールの例としては、オクチルフェノキシポリエチレンオキシエタノールおよびα-フェニル-ω-ヒドロキシ、スチレン化ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)が挙げられる。
【0016】
担体は、典型的に、30重量%以下、好適には25重量%以下、より好適には20重量%以下の量で処理用組成物中に存在する。また、担体は、典型的に、少なくとも10重量%の量で、好適には少なくとも15重量%の量で、より好適には少なくとも17重量%の量で処理用組成物中に存在する。担体は、これらの上限値と下限値(それらの値も含む)の任意の組合せの間の範囲の量で処理用組成物中に存在することができる。例えば、担体は、典型的に10〜30重量%の量で、より典型的に15〜25重量%の量で、さらに典型的に17〜20重量%の量で処理用組成物中に存在することができる。重量%は、いずれの場合も処理用組成物の総重量に基づく。
【0017】
また、処理用組成物は、直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオール、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)、環中に5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオール、単環式芳香族ジオール、ビスフェノールおよび水素化ビスフェノールの少なくとも一つから選択されるジオールをさらに含む。直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオールの例としては、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-および2,3-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、ノナデカンジオールおよびイコサンジオールが挙げられる。
【0018】
ジオール(iv)が選択され得るポリ(C〜C)アルキレングリコールの例としては、限定されないが、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-およびより高級のエチレングリコール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-およびより高級のプロピレングリコール、およびジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-およびより高級のブチレングリコールが挙げられる。ジオール(iv)として使用され得る5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオールとしては、限定されないが、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘプタンジオールおよびシクロオクタンジオールが挙げられる。ジオール(iv)として使用され得る単環式芳香族ジオールの例としては、限定されないが、ベンゼンジオール、例えば、1,2-ジヒドロキシベンゼンおよび1,3-ジヒドロキシベンゼン;C〜Cアルキル置換ベンゼンジオール、例えば、4-tert-ブチル-ベンゼン-1,2-ジオール、4-メチル-ベンゼン-1,2-ジオール、3-tert-ブチル-5-メチル-ベンゼン-1,2-ジオールおよび3,4,5,6-テトラメチル-ベンゼン-1,2-ジオール;ハロ置換ベンゼンジオール、例えば、3,5-ジクロロベンゼン-1,2-ジオール、3,4,5,6-テトラブロモ-ベンゼン-1,2-ジオールおよび3,4,5-トリクロロ-ベンゼン-1,2-ジオール;およびC〜Cアルキルおよびハロ置換ベンゼンジオール、例えば、3-ブロモ-5-tert-ブチル-ベンゼン-1,2-ジオール、3,6-ジクロロ-4-メチル-ベンゼン-1,2-ジオール、3,-ブロモ-4,5-ジメチル-ベンゼン-1,2-ジオールおよび3-クロロ-4,6-ジ-tert-ブチル-ベンゼン-1,2-ジオールが挙げられる。
【0019】
ジオール(iv)として使用され得るビスフェノールおよび水素化ビスフェノールは、以下の一般式II
【0020】
【化2】

【0021】
で示すことができる。
【0022】
式IIにおいて、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、および各pおよびqについて独立して、C〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル)、塩素および臭素から選択され;pおよびqは、互いに独立して、0〜4の整数であり;および-X-は、-O-、-S-、-S(O)-、-C(O)-、-CH-、-CH=CH-、-C(CH)-、および-C(CH)(C)-から選択される二価の連結基であり;および
【0023】
【化3】

【0024】
は、ベンゼン環またはシクロヘキサン環を示す。ジオール(iv)として使用され得るビスフェノールの例としては、4,4'-イソプロピリデンビスフェノール(すなわち、ビスフェノールA)が挙げられる。ジオール(iv)として使用され得る水素化ビスフェノールの例としては、4,4'-イソプロピリデンビスシクロヘキサノールが挙げられる。
【0025】
本発明の好適な実施態様において、ジオール(iv)は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択されるポリ(C〜Cアルキレングリコール)である。特に好適なジオールは、エチレングリコールおよびジエチレングリコールである。
【0026】
ジオールは、典型的に、20重量%以下の量で、好適には15重量%以下の量で、より好適には12重量%以下の量で処理用組成物中に存在する。また、ジオールは、典型的に、少なくとも5重量%の量で、好適には少なくとも7重量%の量で、より好適には少なくとも10重量%の量で処理用組成物中に存在する。ジオールは、これらの上限値と下限値(それらの値も含む)の任意の組合せの間の範囲の量で処理用組成物中に存在することができる。例えば、ジオールは、典型的に5〜20重量%の量で、より典型的に7〜15重量%の量で、さらに典型的に10〜12重量%の量で処理用組成物中に存在することができる。重量%は、いずれの場合も処理用組成物の総重量に基づく。
【0027】
水は、典型的に、90重量%以下の量で、好適には85重量%以下の量で、より好適には75重量%以下の量で処理用組成物中に存在する。また、水は、典型的に、少なくとも50または51重量%の量で、好適には少なくとも60重量%の量で、より好適には少なくとも65重量%の量で処理用組成物中に存在する。水は、これらの上限値と下限値(それらの値も含む)の任意の組合せの間の範囲の量で処理用組成物中に存在することができる。例えば、水は、典型的に50または51〜90重量%の量で、より典型的に60〜85重量%の量で、さらに典型的に65〜75重量%の量で処理用組成物中に存在することができる。重量%は、いずれの場合も処理用組成物の総重量に基づく。使用される水は、好適には脱イオン水および/または蒸留水である。
【0028】
また、処理用組成物は、例えば、UV安定剤、蛍光増白剤、離型剤、帯電防止剤、熱安定剤、IR吸収剤および抗菌剤(化合物または物質)の少なくとも一つから選択される少なくとも一つの性能増強添加剤を含む。性能増強添加剤は、熱可塑性および熱硬化性成形プラスチック物品の製造に使用されることが知られているものから選択することができる。
【0029】
本発明の処理用組成物に使用され得るUV(紫外線)安定剤(または吸収剤)のクラスとしては、限定されないが、サリチル酸UV吸収剤、ベンゾフェノンUV吸収剤、ベンゾトリアゾールUV吸収剤、シアノアクリレートUV吸収剤、およびそれらの混合物が挙げられる。ベンゾトリアゾールUV吸収剤のより具体的な例としては、限定されないが、2-(2'-ヒドロキシ-5'メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール(Ciba(タリタウン、ニューヨーク)からTinuvin(登録商標) Pとして市販);2-(3'-5'-ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(CibaからTinuvin(登録商標) 327として市販);2(2'-ヒドロキシ-3'-5'-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(CibaからTinuvin(登録商標) 328として市販);ベンゼンプロパン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-、C7〜9分枝状アルキルエステル(CibaからTinuvin(登録商標) 384として市販);2-(3',5'-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CibaからTinuvin(登録商標) 900として市販);2-[2-ヒドロキシ-3-ジメチルベンジルフェニル-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)]-2H-ベンゾトリアゾール(Tinuvin(登録商標) 928として市販);ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、α-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシおよびポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)の混合物、α-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-(CibaからTinuvin(登録商標) 1130として市販);および2-[4-[2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンおよび2-[4-[2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(CibaからTinuvin(登録商標) 400として市販)が挙げられる。市販のベンゾフェノンUV安定剤の例は、2-ヒドロキシ-4-(N-オクトキシ)ベンゾフェノン(Great Lakes Chemical Corp.(ウェストラフィエット、インディアナ州)からLowilite(登録商標) 22として市販)である。
【0030】
本発明に使用され得る市販のUV安定剤のさらなる例としては、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(以下、「BHT」)で安定化されたp-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(BASF(マウントオリーブ、ニュージャージー州)からUvinul MC 80として市販);非安定化p-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル(BASFからUvinul MC 80 Nとして市販);2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2'-エチルヘキシルエステル(BASFからUvinul 539 Tとして市販);2-ヒドロキシ-4-(N-オクトキシ)ベンゾフェノン(Cytec(ウエストパターソン、ニュージャージー州)からCyasorb UV-501として市販);2-(2'-ヒドロキシ-3'-5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(CytecからCyasorb UV-2337として市販);および2-(2-ヒドロキシ-5-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(CytecからCyasorb UV-5411 PAとして市販)が挙げられる。
【0031】
本発明の方法に使用され得るUV安定剤のさらなるクラスとしては、少なくとも一つのポリ(オキシアルキレン)鎖で変性されたものが挙げられる。このようなポリ(オキシアルキレン)鎖変性UV安定剤は、一旦プラスチック物品中に吸収される(または拡散される)と低い移動性を有することを特徴とする(例えば、それらは、それらが吸収されたプラスチック物品から容易に浸出しない)。ポリ(オキシアルキレン)鎖は、C2〜20アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド)の反応から形成されたホモポリマー、コポリマーまたはブロック-コポリマーであり得る。ポリ(オキシアルキレン)基は、水酸基、C〜C20アルキルエーテル基、またはC〜C20エステル基で終結し得る。ポリ(オキシアルキレン)鎖変性UV安定剤は、例えば、米国特許6,602,447 B2中にさらに詳細に記載されている。
【0032】
本発明の方法における処理用組成物中に含まれ得る蛍光増白剤は、典型的に450nm以下の波長の光を吸収し、より高い波長(例えば、550nm以下、好適には525nm以下)の波長の光を放出する。放出光は、可視スペクトルの青色領域中にあることが好適である(例えば、少なくとも約400nmで、かつ、約525nmまでの波長を有する放出光)。最も好適には、放出光は、約500nm以下である。
【0033】
本発明に使用され得る蛍光増白剤のクラスとしては、限定されないが、ベンズオキサゾール誘導体およびスチルベン誘導体が挙げられる。本発明に使用され得る市販のベンズオキサゾール誘導体の例としては、限定されないが、2,2'-(2,5-チオフェンジイル)ビス[5-tert-ブチルベンズオキサゾール](CibaからUvitex(登録商標) OBとして市販);ベンズオキサゾール誘導体、例えば、Blankophor(登録商標) KLA(Bayer、ピッツバーグ、ペンシルバニア州);Hostalux(登録商標) KCB (Clariant、ムッテン、スイス);およびHostalux(登録商標) KCU (Clariant)が挙げられる。市販のスチルベン誘導体の例としては、4,4'-ビス(2-ベンゾキサゾリル)スチルベン(Eastman(キングズポート、テネシー州)からEastobrite(登録商標) OB-1として市販)が挙げられる。本発明に使用され得る蛍光増白剤のさらなるクラスとしては、限定されないが、4,4'-ジアミノスチルベン-2-2'-ジスルホン酸の誘導体;クマリン誘導体(例えば、4-メチル-7-ジエチルアミノクマリン);およびビス-(スチリル)ビフェニルが挙げられる。
【0034】
処理用組成物中に含まれ得る離型剤のクラスとしては、限定されないが、炭化水素系離型剤、脂肪酸系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、アルコール系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤、シリコーン系離型剤、およびそれらの混合物またはそれらの組合せが挙げられる。離型剤は、以下に議論されるように、後に成形品に製造されるプラスチック物品が熱可塑性ペレットおよび/または熱可塑性ストランドから選択される場合、典型的により有利に処理用組成物中に含まれる。炭化水素系離型剤の例としては、合成パラフィン、ポリエチレンワックスおよびフルオロ炭素が挙げられる。使用され得る脂肪酸系離型剤としては、例えば、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸が挙げられる。使用され得る脂肪酸アミド系離型剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアロアミドおよびアルキレンビス脂肪酸アミドが挙げられる。アルコール系離型剤の例としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール、および多価アルコール、例えば、ポリグリコールおよびポリグリセロールが挙げられる。染浴中に含まれ得る脂肪酸エステル系離型剤の例は、ステアリン酸ブチルである。
【0035】
本発明の方法において処理用組成物中に含まれ得る帯電防止剤としては、限定されないが、非イオン性帯電防止剤、例えば、フルオロ炭素基を含有するもの、およびシリコーン油、例えば、BAYSILONE O1(Bayer AG(独国)から市販)が挙げられる。本発明に使用され得る帯電防止剤のさらなる例としては、ジステアリルヒドロキシルアミン、トリフェニルアミン、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、ピリジンN-オキシドおよびエトキシル化ソルビタンモノラウレートが挙げられる。
【0036】
本発明の方法において処理用組成物中に含まれ得る熱(または耐熱)安定剤のクラスとしては、限定されないが、フェノール安定剤、有機チオエーテル安定剤、有機ホスファイド安定剤、ヒンダードアミン安定剤、エポキシ安定剤およびそれらの混合物が挙げられる。熱安定剤の具体例としては、限定されないが、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、o-t-ブチル-p-クレゾール、テトラキス-(メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート)メタン、β-ナフチルアミン、p-フェニレンジアミン、およびチオジエチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロシンナメート(これは、Ciba Specialty Chemicalから商品名IRGANOX 1035熱安定剤のもと市販されている)が挙げられる。
【0037】
本発明の方法に使用され得る赤外線(IR)吸収剤としては、スペクトルのIR領域を吸収する染料が挙げられる。市販のIR吸収剤の例としては、Glendale Protective Technologies, Inc.(レークランド、フロリダ州)から入手可能な、CYASORB IR-99、IR-126およびIR-165が挙げられる。
【0038】
本発明の処理用組成物中に含まれ得る抗菌剤としては、例えば、微生物(例えば、病原性微生物)に対して抗菌活性を有する物質が挙げられる。本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「抗菌剤」には、防腐物質、殺菌物質および抗真菌物質も含まれる。さらに、抗菌剤は、活性化前の形態、例えば、引き金となる事象(例えば、活性化前の物質への微生物の作用)の発生まで、抗菌活性にはならない形態で使用することもできる。
【0039】
処理用組成物中に含まれ得る抗菌剤の例としては、限定されないが、キノロン、例えば、ナリジクス酸、ピペミド酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシンおよびエノキサシン;アミノグリコシド、例えば、ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソマイシン、トブラマイシンおよびネチルミシン;マクロライド、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシン;ポリペプチド、例えば、バシトラシン、ムピロシン、チロトリシン、グラミシジンおよびチロシジン;リンコマイシン、例えば、リンコマイシンおよびクリンダマイシン;および抗マイコバクテリア剤、例えば、リファンピシンおよびフシジン酸が挙げられる。処理用組成物に使用され得る抗菌剤のさらなる例としては、10,10’-オキシビスフェノキシアルシン;2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン;2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノールとも呼ばれ、通常、Triclosanと称される);N-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン;およびN-(トリクロロメチルチオ)フタルアミドが挙げられる。
【0040】
処理用組成物中に存在する性能添加剤の量は、広く変動し得る。典型的に、性能添加剤は、改善された物理的性質、例えば、改善された耐紫外線性を有する処理プラスチック物品の形成をもたらすのに十分な量で処理用組成物中に存在する。
【0041】
処理用組成物中に実際に存在する性能添加剤の量は、水と担体とジオールの混合物内での性能添加剤の溶解性に依存する。処理用組成物内での性能添加剤の溶解性も該組成物の温度によって影響を受ける。該組成物中に完全に溶解しない性能添加剤のような場合、処理用組成物は、性能添加剤の飽和レベルを含有すると考えられる。該組成物中の該添加剤の飽和レベルを上回る性能添加剤の量を添加することによって(例えば、処理用組成物が連続的に通過するバグフィルター中に添加剤を置くことによって)、組成物中の性能添加剤のレベルは、処理操作中、飽和レベルに維持することができる。該組成物中の性能添加剤のレベル(例えば、飽和レベル)は、定期的に、または連続的に、例えば、熱重量分析または分光学的分析によって、決定することができる。
【0042】
性能増強添加剤は、典型的に、15重量%以下、より典型的に10重量%以下、好適には5重量%以下、より好適には1重量%以下の正の合計量で処理用組成物中に存在する。また、性能増強添加剤は、典型的に、少なくとも0.001重量%、好適には少なくとも0.005重量%、より好適には少なくとも0.01重量%の合計量で処理用組成物中に存在する。性能増強添加剤は、これらの上限値と下限値(挙げたその値も含む)の任意の組合せの間の範囲の合計量で処理用組成物中に存在することができる。例えば、性能増強添加剤は、典型的に0.001〜15重量%、より典型的に0.005〜5重量%、さらに典型的に0.01〜1重量%の合計量で処理用組成物中に存在することができる。重量%は、いずれの場合も処理用組成物の総重量に基づく。
【0043】
本発明の一実施態様において、処理用組成物は、必要に応じて、該担体および該ジオールの各々とは異なる界面活性剤(または乳化剤)をさらに含有することができる。本発明における適当な界面活性剤は、水に注がれる際に容易に分散可能であり、次いで、その攪拌に際して乳白エマルジョンを形成する。界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤;両性界面活性剤;および少なくとも一つのポリ(C〜Cアルコキシル化)C14〜C18不飽和脂肪酸から選択される非イオン性界面活性剤の少なくとも一つから選択することができる。
【0044】
本発明に使用され得る陰イオン性界面活性剤の例としては、例えば、カルボン酸、スルファミン酸またはリン酸のアミン塩またはアルカリ塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、リグノスルホン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ナトリウム塩およびアミンの酸性塩、例えば、ラウリルアミン塩酸塩またはフェノール1-(メチルフェニル)エチル誘導体との、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、α-スルホ-ω-ヒドロキシエーテルのアンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
染浴中に存在し得る両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルスルホベタイン;ジヒドロキシエチルアルキルベタイン;ココナッツ酸に基づくアミドベタイン;N-ラウリルアミノプロピオン酸二ナトリウム;またはジカルボン酸ココナッツ酸誘導体のナトリウム塩が挙げられる。
【0046】
ポリ(C〜Cアルコキシル化)C14〜C18不飽和脂肪酸の例としては、エトキシル化、プロポキシル化および/またはブトキシル化テトラデセニルカルボン酸が挙げられる。
【0047】
任意の界面活性剤(乳化剤)は、5重量%以下の量で使用することができる。好適には任意の界面活性剤は、0.5〜5重量%の量で、より好適には3〜4重量%の量で処理用組成物中に存在する。重量%は、いずれの場合も処理用組成物の重量に基づく。
【0048】
本発明の方法は、プラスチック物品を処理することを含む。プラスチック物品は、熱可塑性および/または 熱硬化性ポリマーから選択される少なくとも一つのポリマーを含んでなり得る。本発明の一実施態様において、プラスチック物品は、(コ)ポリエステル、(コ)ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネートコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)およびスチレンコポリマー(例えば、スチレンアクリロニトリルコポリマー)の少なくとも一つから選択されるポリマーを含んでなる。(コ)ポリエステル、(コ)ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネートコポリマーは、(例えば、ビスフェノールAの残基を含有する)脂肪族または芳香族ポリマーであり得る。挙げられたこれらのポリマーは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、または場合によってはそれらの組合せであり得る。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「熱可塑性ポリマー」および同様の用語は、軟化点または融点を有し、および化学的反応性基(例えば、活性水素基および遊離イソシアネート基)の間の共有結合の形成により得られる三次元架橋ネットワークを実質的に含有しないポリマーを意味する。本発明に使用され得る熱可塑性ポリマーとしては、当業者に既知のもの、例えば、熱可塑性(コ)ポリエステル、熱可塑性(コ)ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステルポリカーボネートコポリマー、熱可塑性アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)コポリマー、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアルキル(メタ)アクリレートおよび熱可塑性スチレンコポリマーが挙げられる。
【0050】
本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「熱硬化性ポリマー」および同様の用語は、化学的反応性基(例えば、活性水素基および遊離イソシアネート基またはオキシラン基;または不飽和基(例えば、アリル基))の間の共有結合の形成により得られる三次元架橋ネットワークを有するポリマーを意味する。熱硬化性ポリマーは、典型的に融点を有しない。本発明に使用され得る熱硬化性ポリマーとしては、当業者に既知のもの、例えば、熱硬化性(コ)ポリエステル、熱硬化性(コ)ポリカーボネート、熱硬化性ポリエステルポリカーボネートコポリマー、熱硬化性ポリアミド、熱硬化性ポリウレタン、および熱硬化性ポリアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0051】
好適な熱硬化性ポリマーとしては、熱硬化性ポリカーボネートが挙げられる。好適な熱硬化性ポリカーボネートは、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、PPG Industries, Inc.から市販されているCR-39 ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマーを含んでなる重合可能な組成物の重合物である。
【0052】
プラスチック物品は、当業者に既知の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:染料(例えば、スタティック染料および/またはフォトクロミック染料);離型剤;充填剤;繊維またはフレークの形状の補強剤(例えば、アルミニウムフレークなどの金属フレーク);難燃剤;顔料;および乳白剤、例えば、二酸化チタン;光拡散剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、酸化亜鉛、Rohm and Haasから入手可能なParaloid EXL-5136および架橋ポリメチルメタクリレートミクロスフェア(例えば、Nagase Americaからのn-licrosphere);UV安定剤;加水分解安定剤;熱安定剤;および抗菌剤(例えば、処理用組成物に関して上記に挙げた抗菌剤)。一実施態様において、プラスチック物品は、スタティック染料、フォトクロミック染料、顔料、架橋ポリメチルメタクリレートミクロスフェア、ガラスミクロスフェアおよび金属フレークの少なくとも一つを含有する。
【0053】
プラスチック物品が染料(例えば、スタティック染料および/またはフォトクロミック染料)を含有する場合、染料は、染料とプラスチック物品が製造されるプラスチック材料とを配合することによって(すなわち、直接組込法によって)、プラスチック物品中に組み込むことができる。あるいは、または、それに加えて、染料は、少なくとも一つの染料を含む組成物を、プラスチック物品の表面に接触させることによって、プラスチック物品の表面に吸収(拡散または注入)させることができる。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「スタティック染料」は、紫外線(UV)への暴露(または紫外線からの遮蔽)に際して実質的に色を変化させない染料を意味する。本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「フォトクロミック染料」は、当業者に既知であるように、紫外線への暴露に際して色を可逆的に変化させる染料(または物質)を意味する。典型的に、特定の紫外線波長への暴露に際して、フォトクロミック染料は、(可視スペクトルの特定領域内の)色になる開形態または活性化形態に変換される。UV光源の除去に際して、開/活性化フォトクロミック染料は、色がないか、または少なくとも活性化形態よりも色がない閉/不活性化形態に戻る。
【0055】
プラスチック物品中に存在し得るスタティック染料としては、例えば、織物染料および分散染料ならびにプラスチック物品(例えば、熱可塑性ポリカーボネート物品)の着色に適当であると当該分野で既知の染料が挙げられる。適当な分散染料の例としては、限定されないが、Disperse Blue #3、Disperse Blue #14、Disperse Yellow #3、Disperse Red #13およびDisperse Red #17が挙げられる。スタティック染料の分類および名称は、Society of Dyers and ColoristおよびAmerican Association of Textile Chemists and Coloristsが一緒に発行した「Colour Index」第3版(1971年)(これは、参照により本明細書に組み込まれる)にしたがって本明細書中に挙げた。染料は、通常、所望の色に応じて、単独の染料構成成分として、または染料混合物の成分として使用することができる。したがって、本明細書で使用される用語スタティック染料には、スタティック染料の混合物が含まれる。
【0056】
「溶剤染料」として既知のスタティック染料クラスは、プラスチック物品中に存在し得る。溶剤染料の例としては、限定されないが、Solvent Blue 35、Solvent Green 3およびAcridine Orange Baseが挙げられる。しかしながら、溶剤染料は、典型的に、プラスチック物品の表面に吸収される場合、分散染料(これは上記している)ほど強くはプラスチック物品を彩色(着色/染色)しないことが観察された。
【0057】
さらなる適当なスタティック染料としては、例えば、水不溶性アゾ、ジフェニルアミンおよびアントラキノン化合物が挙げられる。特に適当な例としては、例えば、Colour Index、第3版、第2巻、Society of Dyers and Colourists、1971年、2479頁および2187〜2743頁(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているような、アセテート染料、分散アセテート染料、分散染料および分散性染料が挙げられる。好適な分散染料としては、Dystar’s Palanil Blue E-R150 (アントラキノン/Disperse Blue)およびDIANIX Orange E-3RN(アゾ染料/CI Disperse Orange 25)が挙げられる。
【0058】
適当なスタティック染料の別のクラスとしては、非移動性スタティック染料(すなわち、それらが組み込まれたプラスチック物品からのそれらの流出を最小限化するか、排除するように化学的に変性されたスタティック染料)が挙げられる。非移動性スタティック染料の特定のクラスは、以下の式IV
-(ポリマー構成成分-Y) IV
〔式IV中、Rは、有機染料基(または発色基)を示し;ポリマー構成成分は、各(t)から独立して、ポリ(C〜Cアルキレンオキシド)のホモポリマー、コポリマーおよびブロック-コポリマー、例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのホモポリマー、ポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)コポリマー、およびエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのジ-またはより高級のブロックコポリマーから選択され;(t)は、1〜6の整数であり得;および(Y)は、各(t)から独立して、ヒドロキシル、第一級アミン、第二級アミンおよびチオール基から選択される〕
で示すことができる。ポリマー構成成分は、例えば、44〜1500の分子量を有し得る。(Y)が選択され得る染料基としては、限定されないが、ニトロソ、ニトロ、アゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾおよびトリアゾ)、ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテン、アクリデン、メチン、チアゾール、インダミン、アジン、オキサジンおよびアントラキノン染料基が挙げられる。式IVで示される非移動性スタティック染料は、米国特許第4,284,729号;第4,640,690号;および第4,812,141号により詳細に記載されている。
【0059】
非移動性スタティック染料は、プラスチック物品を吸収または拡散によって(例えば、プラスチック物品への染料組成物の浸漬および/または噴霧によって)染色する場合、有用であることが見出された。吸収によってプラスチック物品中に組み込まれる場合、過剰の非移動性スタティック染料は、プラスチック物品から浸出する吸収された非移動性スタティック染料の最小量と共に、プラスチック物品から洗い流すことができる。非移動性スタティック染料(例えば、式IVで示されるもの)は、熱可塑性ポリウレタンから作られたプラスチック物品を(例えば、吸収によって)染色する場合、特に有用であることが見出された。
【0060】
プラスチック物品中に存在し得るフォトクロミック染料としては、当業者に既知のものが挙げられる。適当なフォトクロミック染料のクラスとしては、限定されないが、スピロ(インドリン)ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンゾオキサジン(例えば、米国特許4,818,096に記載);およびクロメン、例えば、ベンゾピランおよびナフトピラン(例えば、米国特許5,274,132に記載)、およびピラン環の2位に置換基を有するベンゾピランおよび必要に応じて置換されたヘテロ環式環、例えば、ベンゾピランのベンゼン部分に縮合したベンゾチエノまたはベンゾフラノ環(例えば、米国特許5,429,774に記載)が挙げられる。フォトクロミック染料のさらなるクラスとしては、例えば、有機金属ジチゾネート、例えば、(アリールアゾ)-チオホルミックアリールヒドラジデート、例えば、水銀ジチゾネート(例えば、米国特許3,361,706に記載);フルギドおよびフルギミド、例えば、3-フリルおよび3-チエニルフルギド(fulgie)およびフルギミド(例えば、米国特許4,931,220に記載)が挙げられる。
【0061】
本発明の方法において、フォトクロミック染料またはそれらの混合物は、プラスチック物品中、単独で、または一以上のスタティック染料と組み合わせて使用することができる。典型的に、熱可塑性プラスチック物品(例えば、熱可塑性ポリカーボネート物品)中へのフォトクロミック染料の吸収は、紫外線への暴露または紫外線の遮蔽に際して容易に色を変化させない染色プラスチック物品をもたらす。いかなる理論にも束縛されることを意図しないが、最近の情報に基づいて、フォトクロミック染料は、熱可塑性ポリマーマトリックス内で開形態または閉形態のいずれかで補足されていると考えられる。熱硬化性ポリマー(例えば、熱硬化性ポリカーボネートまたは熱硬化性ポリウレタン)から製造されたプラスチック物品中へのフォトクロミック染料の吸収は、典型的に、フォトクロミック特性を有する染色プラスチック物品の形成をもたらす。
【0062】
プラスチック物品は、当該分野で認識された方法で製造された成形プラスチック物品であり得る。成形方法としては、例えば、圧縮成形、射出成形、回転成形、押出成形、射出成形および押出ブロー成形、および注型成形が挙げられる。成形プラスチック物品は、造形品、フィルム(例えば、30ミル(762μm)未満の厚みを有するもの)、およびシート(例えば、30ミル(762μm)以上の厚みを有するもの)から選択され得る。造形成形品の例としては、光学レンズ、眼科用レンズ、サンシェードレンズおよび窓ガラス(例えば、運搬用車両(例えば、自動車、トラックおよび航空機)における窓、ならびに、住居用および商業用建物における窓)が挙げられる。成形プラスチック物品のさらなる例としては、コンピューターフェースプレート;キーボード;ベゼルおよび携帯電話;全てのタイプの色分けされた包装および容器(工業用部品用を含む);住居用および商業用の照明器具およびそれらの部品;シート(例えば、建物および建築に使用されるもの);食卓用食器類(プレート、カップおよび食器を含む);小型電化製品およびそれらの部品;ならびに装飾フィルム(フィルム挿入成形品における使用が意図されたフィルム)が挙げられる。
【0063】
本発明の一実施態様において、プラスチック物品は、熱可塑性ペレットおよび/または熱可塑性ストランドから選択される。熱可塑性ペレットおよびストランドは、当該分野で認識された方法(例えば、押出または溶融紡績)で製造することができる。熱可塑性ペレットおよび/またはストランドは、処理し、次いで、さらに加工することができる。本発明の一実施態様において、処理熱可塑性ペレットおよび/またはストランドを、(例えば、押出機中で)溶融して溶融された処理熱可塑性組成物を形成し、次いで、該溶融された処理熱可塑性組成物を型中に導入(例えば、射出)する。型の内容物を冷却し、型を開け、および処理造形成形品をそこから取り出す。
【0064】
処理熱可塑性ペレットおよび/またはストランドをさらに加工するこの方法は、好適には上記直接組込法とは異なる。処理熱可塑性ペレットおよび/またはストランドに関して、性能増強添加剤は、予め熱可塑性ポリマー内に存在し(独立してポリマーに添加されるよりはむしろ)、所望のおよび再現可能な物理的性質レベルを有する成形品を製造することに関して、一層の制御および信頼性を可能にする。
【0065】
本発明の方法において、プラスチック物品を、(i)プラスチック物品の表面の少なくとも一部を処理用組成物中に浸漬することによって;および/または(II)処理用組成物をプラスチック物品の表面の少なくとも一部に塗布することによって、処理用組成物と接触させる。
【0066】
処理用組成物をプラスチック物品と接触させる手段として浸漬を用いる場合、処理されるプラスチック物品(例えば、レンズ)を、少なくとも部分的に処理用組成物中に、プラスチック物品の表面への性能増強添加剤の少なくとも幾らかの含浸(拡散または吸収)を促進するのに少なくとも十分な時間および温度で浸漬し、これにより、その処理を達成する。用いられる時間および温度は、プラスチック物品の組成に典型的に依存する。熱硬化性プラスチック物品は、典型的に、熱可塑性プラスチック物品よりも耐熱性(例えば、より高い加熱ひずみ温度を有する)である。このように、熱硬化性プラスチック物品は、典型的に、熱可塑性プラスチック物品よりも高温の処理浴中への浸漬に耐えることができる。
【0067】
浸漬時間は、典型的に8時間以下、より典型的に4時間以下、さらにより典型的には1時間以下である。また、浸漬時間は、典型的に少なくとも5秒、より典型的に少なくとも15秒、さらにより典型的に少なくとも1分である。浸漬時間は、これらの上限値および下限値(挙げた値も含む)の任意の間の範囲とすることができる。本発明の一実施態様において、浸漬時間は、典型的に5秒〜8時間、より典型的に15秒〜4時間、さらに典型的に1分〜1時間(例えば、1〜15分)である。
【0068】
次いで、処理プラスチック物品を、処理用組成物から取り出す。処理浴からの処理プラスチック物品の回収は、迅速にまたはゆっくりな速度で(例えば、色の勾配を達成するのに十分な速度で)行うことができる。処理勾配を有する染色されたプラスチック物品を形成する場合、処理浴中に長時間残る物品の部分は、(より短時間で処理浴から取り出されたそれらの部分に対して)性能増強添加剤がより含浸されるので、より大きい処理の程度を示す。
【0069】
浸し塗りの他に、またはそれに加えて、処理用組成物は、限定されないが、噴霧塗布、カーテン塗布および/またはスピン塗布を含む方法によって、プラスチック物品の表面の少なくとも一部に塗布することができる。噴霧塗布方法は、典型的に、プラスチック物品を、複数の噴霧ノズルを含む噴霧チャンバー中に置くことを含む。処理用組成物は、噴霧ノズルを通過して、プラスチック物品の表面の少なくとも一部に接触する。過剰の処理用組成物を、典型的には、噴霧チャンバーの基底部から収集し、ろ過し、および噴霧ノズルに戻して再利用する。処理プラスチック物品を、チャンバーから取り出し、および過剰の処理用組成物を、脱イオン水または蒸留水を用いるさらなる噴霧によって、そこから除去することができ、続いて乾燥させる。
【0070】
カーテン塗布方法は、限定されないが、実質的に平面プラスチック物品、例えば、フィルムまたはシートの形態のプラスチック物品の処理に特によく適している。プラスチック物品は、典型的に、少なくとも一つの連続的に流下する処理用組成物のカーテン(または下)を通過する。処理用組成物の流下するカーテンを通過させた後、プラスチック物品を、典型的には、脱イオン水ですすぎ、乾燥する。
【0071】
スピン塗布方法は、限定されないが、実質的に平面のプラスチック物品、例えば、平面ディスクの形態のプラスチック物品の処理に適している。処理用組成物の測定された量を、典型的に、プラスチック物品(例えば、プラスチックディスク)の中央に塗布し、およびプラスチック物品をスピンさせ、処理用組成物をそれらの表面上に広げる。処理用組成物は、ある時間(例えば、60秒)プラスチック物品の表面と接触したまま残り得る。続いて、脱イオン水または蒸留水ですすぎ、乾燥する。
【0072】
プラスチック物品の表面の少なくとも一部と接触する場合(例えば、浸漬または塗布(例えば、噴霧塗布)方法の間)の処理用組成物の温度は、典型的に少なくとも室温(例えば、25℃)および処理用組成物の沸点および/または分解温度未満である。典型的に、処理用組成物は、25℃〜99℃、例えば、60℃〜97℃または70℃〜95℃の温度に維持される。上記したように、プラスチック物品との接触時間および接触温度は、処理されるプラスチック物品のタイプに少なくとも部分的には依存する。例えば、熱可塑性芳香族ポリカーボネートのプラスチック物品に関して、処理は、典型的に1時間未満、より典型的に1〜15分の範囲内の接触時間で90〜99℃の温度で効率的に実施することができる。幾つかの例において、性能増強添加剤は、より迅速におよびより効率的に、軟性プラスチック物品(例えば、軟性熱可塑性プラスチック物品)中に吸収される。この場合、より低い処理用組成物温度で典型的には十分である。例えば、熱可塑性ポリウレタン、または熱可塑性スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN’s)から製造されたプラスチック物品は、熱可塑性芳香族ポリカーボネートを処理するために使用されるのと同じ処理用組成物を使用して(温度は、それぞれ70℃および80℃であるが)、容易に処理することができる。
【0073】
処理用組成物は、性能添加剤、水、担体、ジオールおよび任意の界面活性剤を一緒に任意の順番で混合することによって、製造することができる。例えば、担体およびジオールを、性能添加剤と一緒に混合し、次いで、この混合物を、水に添加するか、または水を混合物に添加するかのいずれかを行うことができる。一実施態様において、処理用組成物は、(i)水と担体とジオールの混合物を製造し;(ii)性能添加剤をフィルターに導入し;および(iii)混合物を、性能添加剤中を通してフィルターを通過させ、これにより、処理用組成物を形成することによって形成される。次いで、処理用組成物または少なくともその一部を、典型的には、連続的にフィルターを通過させる。必要に応じて、水と担体とジオールの混合物は、例えば、25℃〜99℃、または60℃〜97℃、または70℃〜95℃の温度に加熱することができ、次いで、加熱した混合物を、フィルター中で性能添加剤と接触させる。
【0074】
性能添加剤が添加されるフィルターは、当業者に既知の任意の適当なフィルターであり得る。フィルターの好適なタイプは、バグフィルターである。この方法で処理用組成物を製造および維持することは、該浴/組成物中の性能添加剤のレベルを、(上記で議論したように)実質的に飽和レベルに維持することを確実にする。さらに、処理用組成物を、連続的にバグフィルターを通過させることは、処理用組成物中に浸漬させることにより製造される処理プラスチック物品を汚し得る、それからの粒状汚染物質(例えば、溶解しなかった性能添加剤粒子)を除去するのに役立つ。
【0075】
さらなる実施態様において、処理用組成物は、浸漬タンク(または容器)に連続的に導入され、そして取り出される。典型的に、浸漬タンクは、タンクから出口へと出口管を介して液体連絡するポンプと、(入口管を介して)液体連絡する入口を含む回路の一部である。回路は、必要に応じて、入口管および/または出口管と直列に位置する少なくとも一つのフィルター、例えば、上記したようなバグフィルターを含むことができる。好適には、浸漬タンクの入口および出口は、タンク中の処理用組成物の液体レベルよりも低い位置にある。
【0076】
浸漬タンク入口は、複数の穿孔を有するプレート(例えば、拡散器または拡散プレート)を含み得る。複数の穿孔を有するプレートを通過させることによって浸漬タンクに処理用組成物を連続的に導入することは、浸漬タンク内での乱流混合のレベルを増大させ、浸漬させたプラスチック物品の処理の効率および均一性を改善する。拡散プレート中の穿孔は、任意の適当な形状、例えば、円形、楕円、多角形またはそれらの組合せを有することができる。拡散プレートの穿孔は、典型的に、0.79mm〜12.70mm、例えば、3.17mm〜6.35mmの直径を有する。拡散プレートは、任意の適当な立体配置を有することができる。例えば、拡散プレートは、平担、凹状または凸状であり得る。
【0077】
本発明の方法の範囲は、さらなる工程を含み、これにより処理用組成物の組成は、例えば、最初の性能増強添加剤が、その後の性能増強添加剤で置換され得るように変化する。本発明の一実施態様において、性能増強添加剤(および任意の染料)は、処理用組成物の他の成分(例えば、水、担体、ジオールおよび任意の界面活性剤)から分離される。このような分離は、組成物の非添加剤成分の再利用、例えば、別の性能増強添加剤との、または新鮮な性能増強添加剤との再利用を可能にするので、環境的に好適である。さらに、性能増強添加剤の分離方法は、処理用組成物の性能増強添加剤が損傷を受けた場合、例えば、酸化された場合、またはそうでなければ(例えば、温度の急上昇に起因する過熱に起因して)変性された場合、行うことができる。
【0078】
性能増強添加剤の分離方法は、処理用組成物を粒状活性炭に接触させ、次いで、分離工程前と実質的に同じ相対比率で水、担体、ジオールおよび任意の界面活性剤を含有する実質的に添加剤を含有しない液体をそこから分離することによって行うことができる。次いで、添加剤非含有液体を別の性能増強添加剤と混合して、異なる処理用組成物を形成してもよく、または処理用組成物との接触から取り出した後、処理プラスチック物品をすすぐためのすすぎ組成物として使用してもよい。処理用組成物は、処理用組成物を活性炭含有床またはカラムに連続的に通過させることによって活性炭と接触させてもよい。
【0079】
活性炭は、典型的に、処理用組成物の実質的に全ての性能増強添加剤を保持し、好適には最小限未満の処理用組成物の有機液体成分(例えば、担体、ジオールおよび任意の界面活性剤)を保持する。しかしながら、有機液体成分の幾らかの蒸発があり得るので、蒸発した成分のその後の追加によって添加剤非含有液体の調整が必要となり得る。
【0080】
本発明の一実施態様において、方法は、
(i)処理用組成物を粒状活性炭と接触させ、処理用組成物と粒状活性炭の混合物を形成し、
(ii)混合物から、水と担体とジオールを含んでなる実質的に添加剤を含まない液体を単離し、および
(iii)必要に応じて、実質的に添加剤を含まない液体に、少なくとも一つの性能増強添加剤を添加して、これにより、さらなる処理用組成物を形成する
ことを含む、性能増強添加剤の分離方法をさらに含む。
【0081】
上記で議論したように、処理用組成物は、処理用組成物を粒状活性炭を含有する床またはカラムに通過させることによって、粒状活性炭と接触し得る。添加剤の分離方法において単離された添加剤非含有液体は、実質的に性能増強添加剤を含有しない(例えば、分光学的分析によって決定されるようには検出できない量の添加剤を含有する)。粒状活性炭は、典型的に、200メッシュの粒度(例えば、0.075mmの粒度)を有する。本発明に使用され得る市販の粒状活性炭の例は、Calgon Carbon CorporationからのFiltrasorb 200活性炭である。
【0082】
性能増強添加剤の分離を達成するために必要とされる活性炭の量は、処理用組成物の温度に部分的に依存する。一般に、添加剤の分離を達成するために必要とされる活性炭の量は、処理用組成物の温度が低くなるにつれて低くなり、および処理用組成物の温度が上昇するにつれて上昇する。本発明の一実施態様において、処理用組成物は、25℃の温度で活性炭と接触する。
【0083】
必要に応じて添加剤非含有液体に添加される性能増強添加剤は、UV安定剤、蛍光増白剤、離型剤、帯電防止剤、熱安定剤、IR吸収剤および抗菌剤から選択することができる。添加剤非含有液体に添加され得る性能増強添加剤としては、上記したクラスおよび例のものが挙げられる。添加剤非含有液体に添加される性能増強添加剤は、処理用組成物から除去された添加剤と同じタイプのものであり得る。この場合、さらなる処理用組成物は、新鮮なまたは再生された処理用組成物であり得る。あるいは、添加剤非含有液体に添加された性能増強添加剤は、処理用組成物から除去された添加剤と異なり得る。この場合、さらなる処理用組成物は、新規または異なる処理用組成物である。
【0084】
性能増強添加剤の分離方法は、添加剤非含有液体および/またはさらなる添加剤浴に、さらなる材料を添加することをさらに含み得る。このような他のさらなる材料としては、例えば、界面活性剤および/または染料が挙げられ、これらは、各々、上記したようなクラスおよび例から選択することができる。
【0085】
処理用組成物との接触からの解除に際して、処理プラスチック物品を、典型的には、すすいで余分な性能増強添加剤をそこから除去する。すすぎ工程は、典型的に、処理プラスチック物品の表面の少なくとも一部を、水、および必要に応じて式Iで示される担体(iii)、および/またはジオール(iv)を含むすすぎ組成物に接触させることにより達成される。すすぎ組成物の水は、脱イオン水または蒸留水であり得る。すすぎ組成物中に存在し得る担体およびジオールは、処理用組成物に関して上記したようなものであり、それぞれ上記で挙げたクラスおよび例のものから選択することができる。例えば、一実施態様において、担体は、エチレングリコールモノブチル(butly)エーテルであり、およびジオールは、ジエチレングリコールである。好適には、すすぎ組成物は、水、式Iで示される担体およびジオール(処理用組成物のジオール(iv)に関して上記したもの)から構成される。
【0086】
すすぎ組成物は、例えば、浸漬(浸し塗り)、噴霧塗布および/またはカーテン塗布によって、処理プラスチック物品の表面と接触させることができる。処理プラスチック物品の表面との接触後、すすぎ組成物は、再利用して、さらなる処理プラスチック物品をすすぐのに使用することができる。多くのすすぎサイクル後、性能増強添加剤は、典型的に、再利用したすすぎ組成物中に蓄積する。蓄積された添加剤は、性能添加剤の分離方法に関して上記したように、再利用したすすぎ組成物を粒状活性炭と接触させることによって、再利用したすすぎ組成物から除去することができる。次いで、再利用したすすぎ組成物からの蓄積された性能増強添加剤の分離に際して、添加剤を含まない再利用したすすぎ組成物は、さらなる処理物品をすすぐために使用することができる。
【0087】
すすぎ組成物は、典型的に、水を典型的に50(または51)〜100重量%の量で、より典型的に60〜87重量%の量で、さらに典型的に65〜75重量%の量で含有する。重量%は、いずれの場合もすすぎ組成物の総重量に基づく。
【0088】
存在する場合、すすぎ組成物中に存在し得る担体および/またはジオールの量は、染浴に関して上記で挙げた範囲および量から選択することができる。例えば、担体は、すすぎ組成物中に、典型的に10〜30重量%の量で、より典型的に15〜25重量%の量で、さらに典型的に17〜20重量%の量で存在することができる。重量%は、いずれの場合もすすぎ組成物の総重量に基づく。ジオールは、例えば、すすぎ組成物中に、典型的に1〜20重量%の量で、より典型的に5〜15重量%の量で、さらに典型的に10〜12重量%の量で存在することができる。重量%は、いずれの場合もすすぎ組成物の総重量に基づく。
【0089】
すすぎ後、処理プラスチック物品を、典型的には乾燥する。乾燥は、すすいだ処理プラスチック物品を乾燥布でぬぐうことによって、および/または室温(25℃)に放置することによって達成することができる。あるいは、すすいだ処理プラスチック物品は、高温(25℃を超える)、例えば、50℃〜100℃の温度に曝すことによって乾燥することができる。さらに、暖気(例えば、50℃〜100℃の温度を有するもの)を、すすいだ処理プラスチック物品の表面上に通過させることができる。
【0090】
本発明の一実施態様において、染色および処理プラスチック物品が製造される。染色および処理プラスチック物品は、処理プラスチック物品(本発明にしたがって製造されたもの)を、少なくとも一つの染料を含む染料組成物と接触させることによって製造することができる。
【0091】
上記で議論したように、染色プラスチック物品は、プラスチック物品が製造されるプラスチック材料に染料を直接組み込み、および/またはプラスチック物品の表面の少なくとも一部を、染料組成物に接触させることによって製造することができる。本発明の一実施態様において、染色および処理プラスチック物品は、プラスチック物品の表面の少なくとも一部を少なくとも一つの染料を含んでなる染料組成物と接触させ、これにより染色プラスチック物品を形成し、次いで、染色プラスチック物品を本発明の処理用組成物と接触させることによって製造される。
【0092】
本発明の一実施態様において、処理プラスチック物品または非処理プラスチック物品のいずれかと接触される染料組成物は、
(i)少なくとも一つの染料、
(ii)水、
(iii)以下の一般式III
【0093】
【化4】

【0094】
〔式中、R、R、nおよびmは、各々式Iに関して上記した通りである〕
で示される少なくとも一つの担体、および
(iv)直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオール、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)、環中に5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオール、単環式芳香族ジオール、ビスフェノールおよび水素化ビスフェノールの少なくとも一つから選択されるジオール
を含む。
【0095】
担体およびジオールの各々は、処理用組成物に関して上記したような、それらの担体およびジオール(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびジエチレングリコール)から独立して選択され得る。染料は、上記したように、スタティック染料および/またはフォトクロミック染料から選択することができる。染料組成物の水は、好適には脱イオン水または蒸留水である。染料組成物中に存在する水、担体およびジオールの量は、処理用組成物に関して上記したような、それらの量および範囲から独立して選択され得る。
【0096】
典型的に、染料は、染浴中に、15重量%以下、より典型的に5重量%以下、さらに典型的に1重量%以下、さらにまた典型的に0.5重量%未満の量で存在する。また、染料は、典型的に、少なくとも0.001重量%の量で、好適には少なくとも0.005重量%の量で、より好適には少なくとも0.01重量%の量で染浴中に存在する。染料は、染浴中に、これらの上限値と下限値(それらの値も含む)の任意の組合せの間の範囲にある量で存在することができる。例えば、染料は、典型的に0.001〜15重量%、より典型的に0.005〜5重量%、さらに典型的に0.01〜1重量%、さらにまた典型的に0.01〜0.5重量%の量で染浴中に存在することができる。一実施態様において、染料は、染浴中に0.03重量%の量で存在する。重量%は、いずれの場合も染浴の総重量に基づく。
【0097】
染料組成物は、(i)プラスチック物品の表面の少なくとも一部を染料組成物中に浸漬し、および/または(II)染料組成物を、(例えば、噴霧塗布、カーテン塗布またはスピン塗布によって)プラスチック物品の表面の少なくとも一部に塗布することによって、処理または非処理プラスチック物品の表面の少なくとも一部と接触することができる。プラスチック物品の表面の少なくとも一部と染料組成物の接触は、処理用組成物とプラスチック物品の表面の少なくとも一部の接触に関して上記したものと同様の方法および条件下(接触時間および組成物温度を含む)で行うことができる。
【0098】
染色プラスチック物品は、好適には処理用組成物との接触の前にすすがれる。染料組成物との接触から解除した後、染色プラスチック物品を、典型的に、脱イオン水ですすぎ、過剰の染料組成物をそこから除去する。また、必要に応じて、すすいだ染色プラスチック物品を、処理用組成物との接触前に乾燥することができる。
【0099】
本発明の別の実施態様において、染色および処理プラスチック物品を、少なくとも一つの染料を処理用組成物中に含ませることによって製造することができる。処理用組成物中に含まれる染料は、スタティック染料および/またはフォトクロミック染料から選択することができる。これらは、各々、上記で挙げたクラスおよび例のものから選択することができる。処理浴中に存在する場合、染料は、染浴単独に関して上記に挙げたそれらの量および範囲から選択される量で存在することができる。染料は、処理用組成物を形成する場合に使用される方法と同様の方法で、例えば、染料を、組成物の液体成分が通過するフィルターに添加することによって、処理用組成物中に導入することができる。染料含有処理用組成物とプラスチック物品との接触によって、染色および処理プラスチック物品は、本発明の方法にしたがって製造することができる。
本発明を以下の実施例でより詳細に説明する。これらは、例示のみを意図しており、その多くの改変および変形は、当業者にとって明らかであろう。他に示さない限り、全ての部およびパーセンテージは、重量基準である。
【実施例】
【0100】
以下の実施例において、各処理用組成物(浴)を、18,976gの脱イオン水、4929gのエチレングリコールモノブチルエーテル(担体として)、および3081gのジエチレングリコール(ジオールとして)を一緒に混合タンク中で混合することによって製造した。かくして形成された液体混合物は、26,986gの総重量を有した。液体混合物を95℃に加熱し、次いで、50gの添加剤を予め置いたバグフィルターを通して連続的に送った。該加熱した添加剤含有混合物を、該添加剤で該水と担体とジオールの混合物を飽和させるのに十分な時間、混合タンクからバグフィルターを通して混合タンクに戻すように循環させた。かくして処理浴を形成した。該処理浴を、(4.8mmの直径を有する)小さな開口部を通して混合タンクに戻して再循環して、処理操作の間、処理浴の乱流混合を高めた。
【0101】
飽和処理浴を形成するための最初の循環を、約60分間(昇温時間を含む)行った。次いで、処理浴を、95℃の温度にて、および72リットル/分の速度で、上記系を通じて連続的に循環させた。
【0102】
以下の実施例において、処理浴中の添加剤の量は、処理浴の総重量に基づいて、0より大きい正の量で、かつ、0.2重量%以下と見積もられた(使用した水、担体、ジオールおよび添加剤の既知の重量から算出)。典型的に、少量の添加剤は、各実験の完了時において、バグフィルター内に存在することが観察された。
【0103】
実施例1〜4
実施例1〜4の処理用組成物を上記のように製造した。実施例1〜4の処理用組成物の各々に使用した添加剤を、以下の表1に記載した。
【0104】
【表1】

【0105】
5cm×7.5cm×0.25cmの寸法を有する成形熱可塑性ポリカーボネートの透明試験片を、処理用組成物中に3分間浸漬させた。使用した熱可塑性ポリカーボネートは、MAKROLON 2600ホモポリカーボネートであり、これは、ビスフェノールAに基づくものであり、10〜12g/10分のMFR値(ASTM D 1238にしたがって決定)を有し、およびBayer Polymer LLCから市販されている。処理用組成物から取り出すと同時に、処理プラスチック物品を脱イオン水ですすぎ、柔らかい布を用いて手で乾燥させた。処理プラスチック物品は、いずれの場合も、比較例の非処理プラスチック物品に対して、(紫外線光源下)欠点または欠陥がないことが観察された。
【0106】
処理プラスチック物品の透過率を、(Varianから市販されるCary 300走査型UV可視分光光度計器を使用して)測定し、波長の関数としてプロットした。その結果を図1に図示する。また、図1には、処理されなかったポリカーボネート比較試験片についての、波長の関数としての透過率のプロットも含めた。
【0107】
プロットは、本発明の方法による処理プラスチック物品が、比較例の非処理プラスチック物品に対して光吸収特性が向上したことを示す。より詳細には、プロットは、本発明の方法が、プラスチック物品(例えば、熱可塑性ポリカーボネート)への添加剤(例えば、UV安定剤および蛍光増白剤)の吸収(または拡散)および処理プラスチック物品の形成をもたらすことを示す。
【0108】
水、ジオール、UV安定剤および蛍光増白剤を含有する処理浴(担体を含まない)は、実質的に処理されていない熱可塑性ポリカーボネート物品の形成をもたらすことが観察された(UV光源下での浸漬したポリカーボネート試験片の目視検査によって決定)。水、担体、UV安定剤および蛍光増白剤を含有する処理浴(ジオールを含まない)は、均一に処理されていない熱可塑性ポリカーボネート物品の形成をもたらすことが観察された(UV光源下での浸漬したポリカーボネート試験片の目視検査によって決定)。
【0109】
本発明をその特定の実施態様の詳細な説明を参照して説明した。このような詳説は、本発明の範囲が特許請求の範囲に含まれる範囲まで限定され得る場合を除いて、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、処理プラスチック物品および非処理プラスチック物品の波長の関数としての光透過率(%T)のプロットをグラフ的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック物品の処理方法であって、
(a)熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーから選択される少なくとも一つのポリマーを含んでなるプラスチック物品を用意し、
(b)上記プラスチック物品の表面の少なくとも一部を、
(i)UV安定剤、蛍光増白剤、離型剤、帯電防止剤、熱安定剤、IR吸収剤および抗菌剤から選択される少なくとも一つの添加剤と、
(ii)水と、
(iii)以下の一般式I
【化1】

〔式中、Rは、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイルおよびフェニルからなる群から選択される基であり、
は、直鎖状または分枝状C〜C18アルキル、ベンジル、ベンゾイル、フェニルおよびHからなる群から選択される基であり、
nは、2、3または4であり、および
mは、1〜35である〕
で示される少なくとも一つの担体と、
(iv)直鎖状または分枝状C〜C20脂肪族ジオール、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)、環中に5〜8個の炭素原子を有する脂環族ジオール、単環式芳香族ジオール、ビスフェノールおよび水素化ビスフェノールの少なくとも一つから選択されるジオールと
を含んでなる処理用組成物と接触させ、
(c)処理プラスチック物品を形成するのに少なくとも十分な時間、上記プラスチック物品の上記部分と上記処理用組成物との接触を維持し、および
(d)上記処理プラスチック物品を、上記処理用組成物との接触から解除することを含む、方法。
【請求項2】
上記処理用組成物を、25〜99℃の温度に維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記プラスチック物品を、
(i)上記プラスチック物品の表面の少なくとも一部を上記処理用組成物中に浸漬すること、および
(II)上記処理用組成物を、上記プラスチック物品の表面の少なくとも一部に塗布すること
の少なくとも一つによって、上記処理用組成物と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記処理用組成物を、噴霧塗布、カーテン塗布およびスピン塗布の少なくとも一つによって、上記プラスチック物品の表面の少なくとも一部に塗布する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記プラスチック物品は、(コ)ポリエステル、(コ)ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネートコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレンコポリマーの少なくとも一つから選択されるポリマーを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
は直鎖状または分枝状C〜C18アルキルから選択され、Rは直鎖状または分枝状C〜C18アルキルおよびHから選択され、およびnは2である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
はn-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチルから選択され、およびRはn-ブチル、i-ブチル、t-ブチルおよびHから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記処理用組成物は、上記担体とは異なる界面活性剤をさらに含み、上記界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および少なくとも一つのポリ(C〜Cアルコキシル化)C14〜C18不飽和脂肪酸から選択される非イオン性界面活性剤の少なくとも一つから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記界面活性剤は、上記処理用組成物の総重量に基づいて、1〜15重量%の量で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記ジオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択されるポリ(C〜Cアルキレングリコール)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記ジオールはジエチレングリコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
は直鎖状または分枝状C〜C18アルキルから選択され、RはHであり、nは2であり、およびmは1である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
はn-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチルから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記プラスチック物品は、スタティック染料、フォトクロミック染料、顔料、架橋ポリメチルメタクリレートミクロスフェア、ガラスミクロスフェアおよび金属フレークの少なくとも一つを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
上記プラスチック物品は、熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよび熱可塑性脂肪族ポリカーボネートの少なくとも一つから選択される熱可塑性ポリカーボネートを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記プラスチック物品は、熱硬化性ポリカーボネートを含んでなる成形品である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上記熱硬化性ポリカーボネートは、ポリオール(アリルカーボネート)モノマーを含んでなる重合可能な組成物の重合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記プラスチック物品は、造形品、フィルムおよびシートから選択される成形品である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
上記成形品は、光学レンズ、眼科用レンズ、サンシェードレンズおよび窓ガラスから選択される造形品である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記プラスチック物品は、熱可塑性ペレットおよび熱可塑性ストランドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
上記処理熱可塑性ペレットおよび上記処理熱可塑性ストランドの少なくとも一つを溶融して溶融された処理熱可塑性組成物を形成し、および
上記溶融された処理熱可塑性組成物を型中に導入し、これにより処理造形成形品を形成することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記処理プラスチック物品を、少なくとも一つの染料を含んでなる染料組成物と接触させ、これにより、処理および染色プラスチック物品を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)のプラスチック物品は、上記プラスチック物品を、少なくとも一つの染料を含んでなる染料組成物と接触させることによって形成された、染色プラスチック物品であり、さらに、工程(c)の上記処理プラスチック物品は、処理および染色プラスチック物品である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
(i)上記処理用組成物を、粒状活性炭と接触させて上記処理用組成物と粒状活性炭の混合物を形成し、
(ii)上記混合物から、水と上記担体と上記ジオールを含んでなる実質的に添加剤を含まない液体を単離し、および
(iii)必要に応じて、上記実質的に添加剤を含まない液体に、少なくとも一つの添加剤を添加して、これにより、さらなる処理用組成物を形成する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
(i)水と上記担体と上記ジオールの混合物を製造し、
(ii)上記添加剤をフィルターに導入し、および
(iii)上記混合物を、上記添加剤中を通して上記フィルターを通過させ、これにより、上記処理用組成物を形成することによって、上記処理用組成物を形成し、および
上記処理用組成物を、上記フィルターを連続的に通過させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
上記処理用組成物を、複数の穿孔を有するプレートを通して、浸漬タンク中に連続的に導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
上記処理用組成物は、スタティック染料およびフォトクロミック染料から選択される少なくとも一つの染料をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
上記処理用組成物との接触から解除された処理プラスチック物品の表面の少なくとも一部を、水と必要に応じて上記担体(iii)および上記ジオール(iv)の少なくとも一つとを含んでなるすすぎ組成物と接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−514039(P2007−514039A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543897(P2006−543897)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/040542
【国際公開番号】WO2005/061597
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】