説明

プラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法、ブラスト加工装置、プラズマディスプレイパネル用背面板、並びに、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられる積層体

【課題】段差マトリクスリブを有するPDP用背面板を容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】背面板の製造方法は、リブ形成用基板20上にリブ層40を形成する工程と、リブ層上にブラストマスク50を形成する工程と、ブラストマスク側からリブ層へブラスト材75を噴射し、第1リブ34と第2リブ38とを有するマトリクスリブ31を形成する第1ブラスト工程と、第2リブの先端部分39を削って、段差マトリクスリブ30を形成する第2ブラスト工程と、を備える。第2ブラスト工程中、リブ形成用基板の法線に対して傾斜した方向であって平面視において第1リブに沿う方向に沿って、ブラスト材を噴射する。第2ブラスト工程において、リブ上にブラストマスクが配置されたままになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の第1リブおよび第1リブ間を延びる複数の第2リブを含むマトリクスリブを有するプラズマディスプレイパネル用背面板を製造する方法およびブラスト加工装置に係り、とりわけ、第2リブが第1リブよりも低くなっている段差マトリクスリブを有するプラズマディスプレイパネル用背面板を容易に製造することができる製造方法およびブラスト加工装置に関する。
【0002】
また、本発明は、プラズマディスプレイパネル用背面板、および、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられる積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも呼ぶ)に用いられる背面板は、リブ形成用基板と、リブ形成用基板上に所定のパターンで配列されたリブと、リブ形成用基板およびリブの側面上に形成された蛍光体層と、を有している。一般的に、リブ形成用基板は、ガラス基板と、ガラス基板上に配列された電極(アドレス電極とも呼ばれる)と、電極を覆うようにしてガラス基板上に積層された誘電体層と、を含んでいる。
【0004】
この背面板は、電極を有する前面板と重ね合わされて、PDPを構成するようになる。背面板と前面板との間の空間は、一旦排気された後にキセノン等の希ガスを充填され、放電空間として機能する。この放電空間でプラズマ放電を起こすと、紫外線が発生し、この紫外線が蛍光体に到達すると可視光が発生する。そして、放電空間での放電を制御することにより、PDPが表示装置として機能するようになる。
【0005】
従来のPDP用背面板として、ストライプ状のリブを有した背面板や、複数の第1リブおよび第1リブと交差する複数の第2リブからなるマトリクス状のリブを有した背面板が、用いられてきた。このうち、マトリクスリブによれば、ストライプリブと比較して蛍光体を支持する面積を広げることが可能となる。このため、マトリクスリブを有する背面板は、輝度向上の観点において優れている。
【0006】
一方、近年においては、第2リブが第1リブよりも低くなっている段差マトリクスリブを有した背面板が注目を集めている(例えば、特許文献1)。この段差マトリクスリブを有した背面板は、蛍光体の支持面積を増やせるだけでなく、前面板と重ね合わせた後の排気工程を容易に行うことができる、といった利点も有している。
【特許文献1】特許第3440907号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、背面板の製造、前面板の製造および背面板と前面板との組み合わせ等を含むプラズマディスプレイパネルの全製造工程内において、所定の寸法精度内のリブを形成することは、最も困難な工程のうちの一つとなっている。しかも、段差マトリクスリブの作製は、ストライプリブや通常のマトリクスリブの作製と比較して、極めて複雑かつ困難となる。このため、PDPの製造において、段差マトリクスリブを如何に容易に形成するかが、極めて重要な技術的課題となっている。
【0008】
特許文献1では、ドライフィルムレジスト(以下において、DFRとも呼ぶ)の積層、DFRの製版、製版されたDFRをブラストマスクとして用いたブラスト加工、ブラストマスク(DFR)の除去といった一連の作業を、二回繰り返すことにより、リブ形成用基板上に段差マトリクスリブを形成している。さらに詳細には、一回目のブラスト加工までの工程により、マトリクスリブを形成し、二回目のブラスト加工により、第2リブのみを削っている。すなわち、マトリクスリブを形成する場合と比較して略倍の手間が必要となり、この結果、PDP用背面板の製造コストが高価となってしまう。フラットパネルディスプレイ全分野において低価格化が強く要望されている今日において、このことは極めて深刻な問題となる。
【0009】
また、特許文献1によれば、一回目のブラスト加工によって形成されたマトリクスリブ上にDFRを積層および製版することになるが、この際に、種々の不具合が生じ得る。例えば、ラミネート圧力によって、マトリクスリブが潰れてしまう。また、ラミネート圧力によって、DFRの厚みが、リブ上と、リブとリブとの間の空間上と、で相違してしまう。あるいは、ラミネート圧力が低すぎて、DFRが剥がれてしまう。このようにDFRの二回目の積層を安定して行えないことから、DFRを精度よく製版して段差マトリクスリブを安定して精度良く形成することが困難となる。結果として、PDP用背面板の歩留まりが低下して、さらにPDP用背面板の製造コストを上昇させてしまう。
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、段差マトリクスリブを有するプラズマディスプレイパネル用背面板を容易に製造することができる製造方法およびブラスト加工装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、容易に製造され得るプラズマディスプレイパネル用背面板を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、ディスプレイパネル用背面板を製造する際に用いられる積層体であって、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造を容易にすることを可能とする積層体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による第1のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法は、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工工程と、前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工工程と、前記第2ブラスト加工工程後に、前記段差マトリクスリブ上から前記ブラストマスクを除去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明による第1のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られてもよい。
【0015】
本発明による第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法は、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工工程と、前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工工程と、を備え、前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られることを特徴とする。
【0016】
本発明による第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法が、前記第1ブラスト加工工程後であって前記第2ブラスト加工工程前に、前記マトリクスリブ上から前記ブラストマスクを除去する工程を、さらに備えるようにしてもよい。
【0017】
本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第2ブラスト加工工程において、前記ブラストマスクのうちの、前記第2リブの直上方に位置する部分の少なくとも一部を削り取るようにしてもよい。
【0018】
また、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されるよう、前記リブ層が削られてもよい。
【0019】
また、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記ブラストマスクは、前記第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1パターン部間を前記第2方向に沿って延びる複数の第2パターン部と、を有し、
前記ブラストマスクの前記第2パターン部の最小幅は、前記第1パターン部の最小幅よりも小さくなっていてもよい。
【0020】
このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第2パターン部の幅は一定であり、前記第1パターン部の幅よりも小さくなっていてもよい。あるいは、このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分よりも前記両端部分の間の中間部分において、小さくなっていてもよい。あるいは、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分において前記両端部分の間の中間部分よりも、小さくなっていてもよい。
【0021】
さらに、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第1ブラスト加工工程において、前記リブ層または前記リブ形成用基板上で跳ね返ったブラスト材による側方への削り込みによって、リブ層のうちの、前記第2リブの前記少なくとも一部分の直上方に位置する部分が削られるようにしてもよい。
【0022】
さらに、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記ブラストマスクは、前記第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1パターン部間を前記第2方向に沿って延びる複数の第2パターン部と、を有し、前記ブラストマスクの前記第2パターン部は、前記第1パターン部間で分断されているようにしてもよい。このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第1ブラスト加工工程において、前記第2パターン部の分断された領域に進むブラスト材による削り込みと、前記リブ層または前記リブ形成用基板上で跳ね返ったブラスト材による側方への削り込みと、によって、リブ層のうちの、前記第2リブの前記少なくとも一部分の直上方に位置する部分が削られるようにしてもよい。
【0023】
さらに、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記リブ層は、前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有し、前記第1ブラスト加工工程において、第1リブおよび第2リブは、それぞれ、前記第1リブ層からなる部分と、前記第2リブ層からなる部分と、前記第3リブ層からなる部分と、を含むように形成され、前記第2ブラスト加工工程において、前記第2リブの前記第3リブ層からなる部分が削られるようにしてもよい。
【0024】
このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第3リブ層のブラスト加工性よりも高くなっていてもよい。また、このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下であるようにしてもよい。さらに、このような本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法において、前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下であるようにしてもよい。
【0025】
さらに、本発明による第1または第2のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法の前記第2ブラスト加工工程において、前記リブ形成用基板の板面の法線に対するブラスト材の噴射方向の傾斜角度は、45°以上であるようにしてもよい。
【0026】
本発明による第1のブラスト加工装置は、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられるブラスト加工装置であって、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工と、前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記ブラストマスク下の前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工と、を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明による第1のブラスト加工装置において、前記第1ブラスト加工において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られてもよい。
【0028】
本発明による第2のブラスト加工装置は、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられるブラスト加工装置であって、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工と、前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工と、を実行するように構成されており、前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層を削ることを特徴とする。
【0029】
本発明による第2のブラスト加工装置において、前記第2ブラスト加工工程は、前記マトリクスリブ上から前記ブラストマスクが除去された後に実行されるようにしてもよい。
【0030】
本発明による第1または第2のブラスト加工装置において、前記第2ブラスト加工工程において、前記ブラストマスクのうちの、前記第2リブの直上方に位置する部分の少なくとも一部を削り取るようにしてもよい。
【0031】
また、本発明による第1または第2のブラスト加工装置において、前記第1ブラスト加工において、前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されるよう、前記リブ層が削られてもよい。
【0032】
また、本発明による第1または第2のブラスト加工装置において、前記第2ブラスト加工工程において、前記リブ形成用基板の板面の法線に対するブラスト材の噴射方向の傾斜角度は、45°以上であるようにしてもよい。
【0033】
本発明による第1のプラズマディスプレイパネル用背面板は、上述したいずれかの製造方法によって製造されることを特徴とする。
【0034】
本発明による第2のプラズマディスプレイパネル用背面板は、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、を備え、前記リブ層は、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクス状にパターニングされており、前記リブ層は、前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層および第1リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有し、前記第1リブは、前記第1リブ層からなる部分と、前記第2リブ層からなる部分と、前記第3リブ層からなる部分と、を含み、前記第2リブは、少なくとも前記第1リブ層からなる部分と前記第2リブ層からなる部分とを含み、前記第2リブの前記背面板基板からの高さは前記第1リブの前記背面板基板からの高さよりも低いことを特徴とする。
【0035】
本発明による第2のプラズマディスプレイパネル用背面板において、前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下であるようにしてもよい。
【0036】
また、本発明による第2のプラズマディスプレイパネル用背面板において、前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下であるようにしてもよい。
【0037】
本発明による第1の積層体は、ブラスト加工を用いてプラズマディスプレイパネル用背面板を製造する際に用いられる積層体であって、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を備え、前記ブラストマスクは、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1パターン部間を延びる複数の第2パターン部と、を有し、前記ブラストマスクの前記第2パターン部の最小幅は、前記第1パターン部の最小幅よりも小さくなっていてもよい。
【0038】
本発明による第1の積層体において、前記第2パターン部の幅は一定であり、前記第1パターン部の幅よりも小さくなっていてもよい。あるいは、本発明による第1の積層体において、前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分よりも前記両端部分の間の中間部分において、小さくなっていてもよい。あるいは、本発明による第1の積層体において、前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分において前記両端部分の間の中間部分よりも、小さくなっていてもよい。
【0039】
本発明による第2の積層体は、ブラスト加工を用いてプラズマディスプレイパネル用背面板を製造する際に用いられる積層体であって、リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を備え、前記ブラストマスクは、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1パターン部間を延びる複数の第2パターン部と、を有し、前記ブラストマスクの前記第2パターン部は、前記第1パターン部間で分断されていることを特徴とする。
【0040】
本発明による第1または第2の積層体において、前記リブ層は、前記第1パターン部の直下に位置する複数の第1リブと、前記第2パターン部の直下に位置し、前記第1リブ間を延びる第2リブと、を含むマトリクス状にパターニングされており、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが、前記第1リブの厚みよりも低くなっているようにしてもよい。このような本発明による第1または第2の積層体において、前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されているようにしてもよい。
【0041】
また、本発明による第1または第2の積層体において、前記リブ層は、前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有するようにしてもよい。
【0042】
このような本発明による第1または第2の積層体において、前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第3リブ層のブラスト加工性よりも高くてもよい。また、このような本発明による第1または第2の積層体において、前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下であるようにしてもよい。さらに、本発明による第1または第2の積層体において、前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ブラスト材の噴射方向を調節するといった極めて簡単な操作によって、第1リブと第2リブとからなるマトリクスリブのうちの第2リブを選択的に削っていくことができる。このため、段差マトリクスリブを有したプラズマディスプレイパネル用背面板を容易に製造することができる。これにともなって、段差マトリクスリブを有したプラズマディスプレイパネル用背面板の製造コストを大幅に低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比を、実物のそれと変更し誇張してある。
【0045】
図1乃至図15は本発明によるプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法および製造装置の一実施の形態を説明するための図である。
【0046】
<PDP用背面板>
このうち図1および図2は、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法および製造装置により製造され得るプラズマディスプレイパネル用背面板の一例を示す斜視図および断面図である。また、図3は、図1および図2に示されたプラズマディスプレイパネル用背面板のリブ形成用基板を説明するための図である。なお、図1は、プラズマディスプレイパネル用背面板の中央部における一部分を示す部分斜視図である。また、図2に示された断面は、図1のII−II線に沿った断面に対応している。まず、図1乃至図3を参照して、本実施の形態による製造方法および製造装置を用いて製造され得るプラズマディスプレイパネル用背面板(以下において、PDP用背面板とも呼ぶ)について説明する。
【0047】
図1および図2に示すように、PDP用背面板10は、リブを支持するようになる部材である板状のリブ形成用基板(背面板用基板)20と、リブ形成用基板20の一方の面20a上に形成された段差マトリクスリブ30と、を有している。また、図2に示すように、PDP用背面板10は、リブ形成用基板20の一方の面20a上および段差マトリクスリブ30の側面上に形成された蛍光体層18を、さらに有している。
【0048】
まず、リブ形成用基板20について説明する。リブ形成用基板20は、PDP用背面板に用いられ得る種々の既知なリブ形成用基板を用いることができる。
【0049】
一例として、図3(a)および図3(b)に示すように、リブ形成用基板20は、板状の支持基板22と、支持基板22の一方の面上の所定の領域に形成された電極24と、支持基板22の一方の面上に積層された誘電体層26と、を含んでいる。支持基板22は、焼成工程における加熱を考慮して、耐熱性を有する材料、例えばガラスから構成される。図3(a)に示すように、電極24は、いわゆるアドレス電極として機能するよう、支持基板22の一方の面上にストライプ状の形態で配置され得る。このような電極24は、種々の導電性材料、例えば銀から構成され得る。また、誘電体26は、アドレス電極24を覆うようにして、所定の誘電率を有する材料を支持基板22の一方の面上に成膜することによって、形成され得る。
【0050】
なお、図3に示されたリブ形成用基板20は、以下のようにして製造され得る。まず、ガラス等からなる支持基板22を準備し、この支持基板22の一方の面上に感光性材料を含んだ導電性ペーストからなる層を形成する。このときの塗布装置としては、スクリーン印刷機や種々のコーター等の既知の装置を採用することができる。その後、フォトリソグラフィー技術を用いた露光および現像を行い、導電性ペースト層を所望のパターンにパターニングする。次に、焼成により銀ペーストを焼結することにより、支持基板22上に電極24が形成される(図3(a)参照)。
【0051】
その後、所望の誘電率を有する材料を、電極24を覆うようにして支持基板22の一方の面上に塗工する。このとき、スクリーン印刷機や種々のコーター等の種々の既知な機器を用いて、支持基板22上に成膜することができる。その後、焼成を行うことによって、所望の誘電率を有する材料から誘電体層26が形成されるようになる。以上のようにして、図3(b)に示されたリブ形成用基板20が得られる。
【0052】
次に、段差マトリクスリブ30について説明する。段差マトリクスリブ30は、PDP用背面板に用いられ得る種々の既知な構成を取り得る。段差マトリクスリブ30は、リブ形成用基板20の一方の面20a上、図示する例においては、誘電体層26上に形成されている。図1に示すように、段差マトリクスリブ30は、リブ形成用基板20の板面上の第1方向に沿って延びる第1リブ34と、第1方向と交差するリブ形成用基板20の板面上の第2方向に沿って延びる第2リブ38と、を有している。第1リブ34は、第1方向に直交する方向に沿って略一定の間隔を空け、複数形成されている。第2リブ38は、隣り合う二つの第1リブ34間を第2方向に沿って延びている。第2リブ38は、第2方向に直交する方向に沿って略一定の間隔を空けて複数形成されている。
【0053】
本発明において必須ではないが、図示する例において、第1方向および第2方向は互いに直交している。なお、本願において、「交差」とは、直角に交わること(直交すること)、および、90°以外の角度で互いに傾斜して交わること、の両方を含むものとする。
【0054】
そして、図1および図2に示すように、第2リブ38のリブ形成用基板20からの高さ(より厳密には、リブ形成用基板20の板面の法線に沿った第2リブ38の基端部から頂部までの長さ)は、第1リブ34のリブ形成用基板20からの高さよりも低くなっている。第1リブ34の高さと第2リブ38の高さの差は、上述したように、完成したPDP用背面板10をPDP用前面板と組み合わせた後に、隣り合う二つの第1リブ34間の全域を、第1方向における一方側または両側から排気することができる程度に設定され得る。また、第2リブ38の高さは、蛍光体の支持面積を十分に増大させることを可能とし得るように、設定され得る。一例として、第2リブ38の高さを、第1リブ34の高さの1/5〜95/100程度に設定することができる。
【0055】
また、第1リブ34および第2リブ38の具体的な形状や寸法については、PDP用背面板に用いられ得る種々の既知な構成を取り得る。例えば、第1リブ34および第2リブ38は、その長手方向に直交する断面において、略四角形形状または略台形形状とすることができる。また、第1リブ34および第2リブ38の焼成後における頂部(リブ形成用基板20から離れる側の部分)の幅は、5μm〜120μmとすることができる。さらに、第1リブ34および第2リブ38の配置ピッチは、50μm〜2000μmとすることができる。さらに、第1リブ34および第2リブ38の焼成後における高さは、20μm〜300μmとすることができる。
【0056】
このような段差マトリクスリブ30は、後述する製造方法に対応し、例えば、ガラスフリットと無機粉体とを含む混合物から構成される。
【0057】
蛍光体層18は、隣り合う二つの第1リブ34および隣り合う二つの第2リブ38によって囲まれたリブ形成用基板20の一方の面20a上、第1リブ34の側面上、および、第2リブ38の側面上に支持されている。蛍光体層18の構成は、PDP用背面板に用いられ得る種々の既知な構成を採用することができる。
【0058】
<PDP用背面板の製造方法および製造装置>
次に、主に図4乃至図16を参照して、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法および製造装置(製造ライン)について説明する。
【0059】
本実施の形態において、PDP用背面板の製造方法は、リブ形成用基板20上にリブ層(リブ形成材料層)40を形成するリブ層形成工程(図4(a)参照)と、リブ層40上にブラストマスク50を形成するマスク形成工程(図4(b)および(c)参照)と、ブラストマスク50側からリブ層40へブラスト材75を噴射してリブ層40を削るブラスト加工工程(図4(d)および(e)参照)と、ブラスト加工工程後にブラストマスク50を除去する工程と、を備えている。とりわけ本実施の形態においては、ブラスト加工工程が、互いに異なるブラスト加工条件で実施される第1ブラスト加工工程および第2ブラスト加工工程を含んでいる。また、PDP用背面板の製造装置(製造ライン)70は、製造方法に対応して、リブ形成用基板20上にリブ層40を形成するリブ層形成装置71と、リブ層40上にブラストマスク50を形成するマスク形成装置と、リブ形成用基板20上のリブ層40へブラストマスク50側からブラスト材75を噴射するブラスト加工装置80と、ブラストマスク50を除去する除去装置と、を備えている。以下、各工程について、各工程で用いられる装置(手段)とともに説明していく。なお、図4においては、図1に示された部分に対応する部分が示されている。
【0060】
(リブ層形成工程)
まず、リブ層形成工程について説明する。リブ層形成工程においては、まず、リブ形成用基板20を準備し、次に、リブ形成用基板20の誘電体層26上に、第1リブ34および第2リブ38をなすようになるリブ層(リブ形成材料層)40を形成する。
【0061】
本実施の形態においては、リブ層形成工程は、リブ形成用基板20上に第1リブ層41を形成する工程と、第1リブ層41上に、第1リブ層41よりもブラスト加工性の低い第2リブ層42を形成する工程と、第2リブ層42上に、第2リブ層42よりもブラスト加工性の高い第3リブ層43を形成する工程と、を含んでいる。すなわち、図5に示すように、形成されたリブ層40は、第1リブ層41と、第2リブ層42と、第3リブ層43と、を含む三層構造となっている。
【0062】
ここで、ブラスト加工性とは、同一のブラスト加工条件により比較対象となる層へブラスト材75を噴射した場合における、切削量によって評価する。なお、評価に当たり、切削量の測定は、比較対象層間において同一の方法(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面像の確認等)で行うこととする。そして、同一条件での切削量が多い場合に、ブラスト加工性が高い(良い)と評価し、同一条件での切削量が少ない場合に、ブラスト加工性が低い(悪い)と評価する。また、二つ以上の層間でブラスト加工性を対比する場合、同一条件での切削量(切削深さ)を用いて対比する。例えば、一方の層の切削深さが30μmで、同一ブラスト加工条件における他方の層の切削深さが10μmである場合、一方の層のブラスト加工性は他方の層のブラスト加工性の3倍である、と評価する。
【0063】
本件発明者らは、鋭意研究を重ねることによって、第1リブ層41のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下、さらに好ましくは、2倍以上25倍以下であることが、好ましいことを知見した。すなわち、第2リブ層42を10μm削る間に、同一のブラスト加工条件により、第1リブ層41が15μm〜1000μm、さらに好ましくは20μm〜250μm削られるようになっていることが好ましい。また、第3リブ層43のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下であることが好ましく、1.5倍以上10倍以下であることがさらに好ましいことも、知見された。これらの点については、その理由を後に詳述する。
【0064】
第1乃至第3のリブ層41,42,43は、例えば、溶剤を含んだリブ層形成組成物45を塗工し、リブ層形成組成物45を乾燥させて溶剤を除去することにより、形成され得る。リブ層形成組成物45の塗工方法および塗工装置としては、従来既知の種々の方法および装置を用いることができる。例えば、リブ層形成装置71が、ダイコーター(図5参照)やスクリーン印刷機等を塗工装置71aとして含み、この塗工装置71aによって、第1乃至第3のリブ層41,42,43をなすようになるリブ層形成組成物45がリブ形成用基板20上に塗工されていくようにしてもよい。このような方法によれば、リブ形成用基板20上に、それぞれ均一な膜厚を有した第1乃至第3のリブ層41,42,43を形成し、これにより、リブ形成用基板20の板面上において均一な膜厚を有したリブ層40を得ることができる。
【0065】
リブ層形成組成物45としては、PDP用背面板10のリブに用いられている種々の既知な組成物を、リブ層40の形成方法(リブ層形成組成物45の塗工方法)に応じて適宜選択することができる。一例として、リブ層形成組成物45が、上述したガラスフリットおよび無機粉体と、樹脂成分と、溶剤と、を含むようにしてもよい。ガラスフリットは後述する焼成工程において、骨材として機能する無機粉体に融着して、第1リブ34および第2リブ38を形成するようになる。樹脂成分は、リブ層形成組成物45中においてバインダーとして機能する。溶剤は、リブ層形成組成物45の塗工方法に応じて省くことが可能である。また、リブ層形成組成物45が、無機顔料等のさらに他の成分を含むようにしてもよい。
【0066】
なお、例えば、樹脂成分の含有割合を調節することによって、リブ層形成組成物45から形成される第1乃至第3リブ層41,42,43のブラスト加工性を調整することができる。具体的には、樹脂成分の含有量を増加させることにより、当該リブ層形成組成物45から形成されるリブ層のブラスト加工性を低くすることができ、樹脂成分の含有量を減少させることにより、当該リブ層形成組成物45から形成されるリブ層のブラスト加工性を高くすることができる。ただし、これに限られず、別の方法を用いて、各リブ層41,42,43のブラスト加工性を操作するようにしてもよい。
【0067】
ところで、第1乃至第3リブ層41,42,43の各厚みは種々設定することができる。ただし、後述するように第2リブ38の高さを高精度に制御する観点から、第2リブ38が、第3リブ層43からなる部分を削り取られ、第1リブ層41からなる部分と第2リブ層42からなる部分とから構成されるようにすることが好ましい。この場合、第1リブ34と第2リブ38との高低差は、第3リブ層43の厚さによって決定されるようになる。また、比較的にブラスト加工により切削しにくい第2リブ層42の厚みが厚いと、ブラスト加工工程に要する時間が長くなってしまう。これらの点を考慮して、第1リブ層41の乾燥後における厚さを10μm〜250μm程度とし、第2リブ層42の乾燥後における厚さを1μm〜30μm程度とし、第3リブ層43の乾燥後における厚さを5μm〜150μm程度としてもよい。
【0068】
(マスク形成工程)
次に、ブラストマスク形成工程について説明する。ブラストマスク形成工程は、リブ形成用基板20上に形成されたリブ層40上に、所定のパターンを有したブラストマスク50を形成する工程である。
【0069】
具体的には、図4(b)に示すように、まず、リブ形成用基板20上に形成されたリブ層40上に、耐ブラスト加工性を有したレジスト層54を積層する。本実施の形態においては、ドライフィルム(DFR)を、リブ形成用基板20上に形成されたリブ層40上に積層している。このような方法によれば、溶剤を含むレジスト形成組成物をリブ層40上に塗工し、その後に、このレジスト形成組成物を乾燥させてレジスト層54を形成することと比較して、極めて簡便かつ短時間でレジスト層54を形成することができる。ただし、本発明は、レジスト形成組成物を塗工および乾燥してレジスト層54を形成する方法を排除するものではない。また、レジスト層は、耐ブラスト加工性を有した種々の既知の材料から構成され得る。
【0070】
次に、レジスト層54を製版し、所定のパターンを有するブラストマスク50を形成する。具体的には、フォトリソグラフィー技術を用いた露光および現像を行い、レジスト層54を所望のパターンにパターニングする。
【0071】
以上のようにして、リブ層40上にブラストマスク50を形成することができる(図4(c)参照)。したがって、図示しないマスク形成装置は、ドライフィルムのラミネートに用いられるラミネータや、レジスト層54のパターニングに用いられる露光装置および現像装置等を含むようになる。これらの装置類としては、従来既知の種々の装置を用いることができる。
【0072】
ここで、本実施の形態において形成されるブラストマスク50の形状について、主に図6を参照して、説明する。図6は、ブラストマスク形成後におけるブラストマスク50、リブ層40およびリブ形成用基板20の積層体を示す部分平面図である。図6に示すように、得られたブラストマスク50は、形成対象となる段差マトリクスリブ30(マトリクスリブ31)の平面視における形状に対応して、平面視においてマトリクス状に形成されている。すなわち、ブラストマスク50は、第1リブ34に対応するように配置された複数の第1パターン部51と、第2リブ38に対応するように配置され、隣り合う二つの第1パターン部51間を延びる複数の第2パターン部52と、を有するようになる。第1パターン部51はリブ形成用基板20上の第1方向と平行に延び、第2パターン部52はリブ形成用基板20上の第2方向と平行に延びている。
【0073】
とりわけ、本実施の形態においては、図6に示すように、形成された第2パターン部52の第1方向に沿った幅の最小値が、第1パターン部51の第2方向に沿った幅の最大値よりも狭くなっている。なお、第1パターン部51の幅w1は、第1方向に沿った各位置において変化することなく、一定の値を取るようになっている。一方、第2パターン部52の幅w2は、第1パターン部51に接続する両端部分52aよりも両端部分52aの間の中間部分52bにおいて、狭くなっている。より厳密に説明すると、第2パターン部52の第1方向に沿った幅w2は、端部分52aのうちの第1パターン部51への接続部から、それぞれ、一対の端部分52aの中間に位置する中間部分52bの中間点へ近付くに連れて、漸次狭くなっていっている。
【0074】
(第1ブラスト加工工程)
上述したように、第1ブラスト加工工程および第2ブラスト加工工程の二つのブラスト加工工程が、ブラスト加工条件を変化させて行われる。このうち、まず、先に実施される第1ブラスト加工工程について説明する。第1ブラスト加工工程は、ブラストマスク50側からリブ層40へブラスト材75を噴射し、リブ層40の一部を削り取ってリブ層40をパターニングする工程である。この結果、図4(d)に示すように、リブ層40から、第1リブ34と第2リブ38とを有したマトリクスリブ31が形成されるようになる。
【0075】
まず、主に図7乃至図10を参照して、第1ブラスト加工工程に用いられるブラスト加工装置80について説明する。なお、ここで説明するブラスト加工装置80は、後述する第2ブラスト加工工程においても用いられ得る。
【0076】
図7および図8に示すように、ブラスト加工装置80は、ブラスト材75を噴射するノズル85と、ノズル85に連結された配管81と、配管81に連結された圧縮ガス源82およびブラスト材供給源83と、被加工体Wを保持する保持装置88と、を有している。このブラスト加工装置80においては、圧縮ガス源82からガスを供給するとともにブラスト材供給源83からブラスト材75を供給するようになっている。供給されたブラスト材75は圧縮ガスとともに、ノズル85から噴射され、保持装置88に保持された被加工体Wに衝突する。この結果、被加工体Wがブラスト材75によって切削されていくようになっている。ここで被加工体Wは、リブ形成用基板20とリブ層40とブラストマスク50との積層体であって、実際に切削されるのはリブ層40である。
【0077】
本実施の形態において、ブラスト加工装置80は、第1乃至第3のノズル85a,85b,85cを有している。このうち、第1ノズル85aは第1ブラスト加工工程において用いられ、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cは、第2ブラスト加工工程において用いられる。これらの第1乃至第3のノズル85a,85b,85cは、それぞれ図示しない保持手段を介して別個に保持されている。保持手段は、各ノズル85a,85b,85cの被加工体Wに対する相対位置を独立して調節することができる。これにより、各ノズル85a,85b,85cの被加工体Wに対する高さ位置(リブ形成用基板20の板面の法線に沿った位置)、被加工体Wに対する平面方向位置(リブ形成用基板20の板面上における位置)、および、被加工体Wに対するブラスト材75の噴射角度(リブ形成用基板20の板面の法線NLと噴射方向とがなす角度θ)を別個に制御することができる。
【0078】
なお、ブラストノズル85の吐出口86の形態は、特に限定されず、例えばスリット状、円状、楕円状および多角形状等の種々の既知な形態を採用することができる。このうち、被加工体Wを広範囲に渡って一度に加工することができ、これにより、均一かつ効率的な加工を実現することができることから、図9に示すように、ノズル85がスリット状の開口86を有していることが好ましい。この場合の吐出口86の幅(吐出口86の長手方向に直交する方向の開口幅)は、例えば50μm〜10000μmの範囲内、好ましくは100μm〜5000μmの範囲内とすることができる。また、図10に示すように、略円形の吐出口86を有する複数の吐出機構を並列配置してノズル85を構成するようにしてもよい。このようなノズル85によっても、被加工体Wを広範囲に渡って一度に加工することができ、これにより、均一かつ効率的な加工を実現することができる。
【0079】
次に、このようなブラスト加工装置80を用いて実行される第1ブラスト加工工程について説明する。
【0080】
第1ブラスト加工工程では、第1ノズル85aからブラスト材75を噴射して、リブ層40を切削する。このとき、第1ノズル85aを保持する保持手段は、リブ形成用基板20の板面の略法線NLに沿ってブラスト材75が噴射されるように、第1ノズル85aを保持装置88に保持されたリブ形成用基板20とリブ層40とブラストマスク50との積層体Wに対して位置決めする。なお、ブラスト材75はノズル85aからある程度の幅を持って噴射されるようになるが、ここでは、ある程度の幅のうちの中心方向が、リブ形成用基板20の板面の法線に概ね平行となるように、ノズル85aの位置を調整することを意味している。
【0081】
第1ブラスト加工において用いられるブラスト材75としては、特に限定されないが、例えばダイアモンド、アルミナ、炭化シリコン、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ステンレス等が挙げられる。また、ブラスト材75の粒径は、特に限定されないが、例えば3μm〜200μmの範囲内、好ましくは7μm〜100μmの範囲内とすることができる。
【0082】
また、第1ブラスト加工工程において、第1ノズル85aからブラスト材75が噴射される際の噴射圧力や、ブラスト材75の噴射量等のブラスト加工条件は、マトリクスリブをブラスト加工で作製する際における通常の設定値を採用することができる。さらに、第1ブラスト加工工程において、第1ノズル85aの吐出口86と切削対象となるリブ層40との離間距離も、マトリクスリブをブラスト加工で作製する際における通常の設定値を採用することができる。
【0083】
そして、第1ブラスト加工工程においては、第1ノズル85aと、保持装置88に保持された被加工体(積層体)Wと、の相対位置を、リブ形成用基板20の板面上において変化させ、ブラスト材75が被加工体Wの全域に噴射されるようになる。例えば、リブ形成用基板20の板面の法線方向から観察した場合に、第1ノズル85aが図8の点線で示す経路に沿って、切削対象となるリブ層40の直上方を移動するよう、第1ノズル85aおよびリブ形成用基板20上のリブ層40が相対移動する。以上のようにして、リブ形成用基板20の板面の法線方向からブラスト材75がリブ層40の全領域に対して噴射されていく。
【0084】
なお、本件で用いる「直上(直上方)」とは、リブ形成用基板20の板面の法線に沿った上方(リブ形成用基板20よりもブラストマスク50(レジスト層54)側)を意味し、「直下(直下方)」とは、リブ形成用基板20の板面の法線に沿った下方(ブラストマスク50(レジスト層54)よりもリブ形成用基板20側)を意味するものとする。
【0085】
このようにしてリブ形成用基板20の法線NLの方向に沿って噴射されたブラスト材75は、ブラストマスク50、あるいは、リブ層40のうちのブラストマスク50によって覆われていない部分に衝突する。この結果、リブ層40のうちのブラストマスク50によって覆われていない部分は、ブラスト材75によって削られていく。最終的には、ブラストマスク50によって覆われていない領域においては、リブ層40が除去され、リブ形成用基板20の一方の面20aが露出するようになる。これにより、リブ層40は、ブラストマスク50のパターンと略同一なマトリクス状へパターニングされる。
【0086】
ところで、図11に示すように、リブ形成用基板20の法線方向に沿って移動(飛行)してきたブラスト材75は、リブ層40または露出したリブ形成用基板20に衝突して、不規則な方向に跳ね返るようになる。ここで、図11は、図6のXI−XIに沿った断面、すなわち、第1方向に沿った断面の第1ブラスト加工工程中の一状態を示している。跳ね返ったブラスト材75a,75bの一部は、リブ層40のうちのブラストマスク50の直下に位置する部分に衝突する。このとき、ブラスト材75a,75bが十分な移動速度を有していれば、リブ層40のうちの、本来削られることのないブラストマスク50に覆われた部分が削られていくことになる。すなわち、リブ層40のうちのブラストマスク50に覆われている部分も、リブ層40または露出したリブ形成用基板20に衝突して跳ね返ったブラスト材75によって、側方から削り込まれることになる(以下において、この側方への削り込みをサイドエッチとも呼ぶ)。
【0087】
とりわけ、本実施の形態においては、上述したように、リブ層40の表面層をなす第3リブ層43の下方には、ブラスト加工性の低い、すなわち、ブラスト加工によって削られにくい第2リブ層42が配置されている。このようなリブ層40をブラスト加工した場合、図11に示すように、まず、ブラストマスク50に覆われていない第3リブ層43が削られ、第2リブ層42が露出することになる。しかしながら、第2リブ層42はブラスト加工によって切削しにくい層であることから、第2リブ層42の切削にしばらく時間がかかる。この間、第2リブ層42に入射して反射したブラスト材75a,75bは、図11に示すように、第2リブ層42よりも上方に配置され、第2リブ層42よりも削り取られやすい第3リブ層43を側方から削り込むようになる。すなわち、第3リブ層43の下方に第3リブ層43よりもブラスト加工性の低い第2リブ層42を設けておくことにより、第3リブ層43のうちのブラストマスク50の直下に位置する部分における側方削り込み(サイドエッチ)が促進されるようになる。
【0088】
そして、本実施の形態においては、この側方削り込みを利用して、第2リブ38の少なくとも一部分における高さがリブ層40の厚みよりも低くなるまで、リブ形成用基板20の板面の法線に沿ったブラスト材75の噴射を継続して、リブ層40のうちの形成される第2リブ38の直上方に位置する部分を削る。この結果、本実施の形態においては、図12に示すように、第1ブラスト加工工程後、第2リブ38の少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置するブラストマスク50と、の間に隙間55が形成されるようになる。
【0089】
上述したように、リブ層40上に形成されたブラストマスク50の第2パターン部52の最小幅は第1パターン部51の最小幅よりも小さくなっている。したがって、このブラストマスク50のパターンに起因して、その他の特別な操作を要することなく、第2パターン部52の幅w2が最小となる部分の直下におけるリブ層40を削り、ブラストマスク50の当該部分と第2リブ38との間に隙間55を形成することができる。とりわけ、本実施の形態においては、図6に示すように、第2パターン部52の幅w2は、両端部分52aのうちの第1パターン部51に接続する接続部から、両端部分52aの中間に位置する中間部分52bの中間点に向けて漸次小さくなっていっている。これにより、第2パターン部52の中間部分52bの直下におけるリブ層40(第3リブ層43)を削り、第2リブ38のうちの第2パターン部52の中間部分52bに対面する部分における高さをリブ層40の厚みよりも小さくすることができる。
【0090】
なお、ブラストマスク50のその他の部分に覆われているリブ層40もサイドエッチによって削られる。しかしながら、第2パターン部52の中間部分52bの幅が、第2パターン部52のその他の部分の幅および第1パターン部51の幅よりも小さくなっている。したがって、ブラストマスク50の直下に位置するリブ層40を貫通する隙間55は、まず、第2パターン部52の中間部分52bの直下方において形成される。そして、本実施の形態においては、この状態で、第1ブラスト加工工程は終了する。すなわち、第1リブ34の厚さがリブ層40の厚さのままであり、その一方で、第2リブ38の少なくとも一部分における高さがリブ層40の厚さよりも低くなっている状態で、第1ブラスト加工工程が終了する。
【0091】
(第2ブラスト加工工程)
次に、第1ブラスト加工工程後に実行される第2ブラスト加工工程について説明する。なお、第2ブラスト加工工程は、第1ブラスト加工工程で形成されたマトリクスリブ31上からブラストマスク50を除去する前に実行される。
【0092】
第2ブラスト加工工程は、上述したブラスト加工装置80を用い、マトリクスリブ31にブラスト材75を噴射し、第2リブ38のうちのリブ形成用基板20から離間する側に位置する先端部分39を削る工程である。この結果、図4(e)に示すように、第2リブ38のリブ形成用基板20からの高さが第1リブ34のリブ形成用基板20からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブ30が形成されるようになる。
【0093】
第2ブラスト加工工程では、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cからブラスト材75を噴射して、リブ形成用基板20上のマトリクスリブ31を切削する。このとき、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cをそれぞれ保持する保持手段は、所定の方向に沿ってブラスト材75が噴射されるように、保持装置88に保持されたリブ形成用基板20とマトリクスリブ31とブラストマスク50との積層体Wに対し、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cを位置決めする。ここでいう所定の方向とは、図7に示すように、リブ形成用基板20の板面の法線NLに対して傾斜した方向であり、かつ、図8に示すように、リブ形成用基板20の平面視において(リブ形成用基板20の板面の法線方向から観察した場合において)第1方向に沿った方向である。なお、ブラスト材75はノズル85b,85cからある程度の幅を持って噴射されるようになるが、ここでは、ある程度の幅のうちの中心方向が所定の方向に概ね平行となるように、ノズル85b,85cの位置を調整することを意味している。
【0094】
第2ブラスト加工において用いられるブラスト材75は、特に限定されず、例えば第1ブラスト加工において用いられ得るブラスト材をそのまま用いることができる。
【0095】
また、第2ブラスト加工工程において、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cからブラスト材75が噴射される際の噴射圧力や、ブラスト材75の噴射量等のブラスト加工条件は、PDP用背面板の製造時に用いられ得る一般的な条件に設定され得る。具体例として、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cからブラスト材75が噴射される際の噴射圧力を、例えば0.01kgf/cm2〜3.0kgf/cm2の範囲内、好ましくは0.1kgf/cm2〜1.0kgf/cm2の範囲内に設定することができる。また、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cからブラスト材75が噴射される際のブラスト材75の噴射量を、例えば100g/min〜10000g/minの範囲内、好ましくは250g/min〜5000g/minの範囲内に設定することができる。
【0096】
さらに、第2ブラスト加工工程において、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cの吐出口86と切削対象となるリブ層40との離間距離も、PDP用背面板20の製造時に用いられ得る一般的な条件に設定され得る。第2ノズル85bおよび第3ノズル85cの吐出口86と切削対象となるリブ層40との離間距離を、例えば1mm〜300mmの範囲内、好ましくは3mm〜100mmに設定することができる。
【0097】
また、図7および図8に示すように、リブ形成用基板20の平面視において、第2ノズル85bの噴射方向と、第3ノズル85cの噴射方向と、は第1方向に沿って互いに逆向きとなっている。これにより、被加工体(積層体)Wは、互いに逆向きからブラスト材75を噴射されるようになる。この結果、被加工体(積層体)Wを均一に処理することができる。また、本実施の形態においては、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cは、時間をずらしてブラスト材75を噴射するようになっている。一方のノズルから噴射されたブラスト材75の進路方向が、他方のノズルからのブラスト材75の噴射によって、影響を受けないようにするためである。
【0098】
そして、第2ブラスト加工工程においては、第2ノズル85bと、第3ノズル85cと保持装置88に保持された被加工体(積層体)Wとの相対位置を、リブ形成用基板20の板面上において変更させながら、マトリクスリブ31の全領域へ均一にブラスト加工を施していくようになっている。第2ノズル85bおよび第3ノズル85cと保持装置88に保持された被加工体Wとの相対移動は、種々の既知な方法によって実施され得る。すなわち、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cと被加工体Wとの少なくとも一方を、第1方向および第2方向の少なくとも一方に沿って移動させることによって、実現され得る。
【0099】
具体例としては、図13に示すように、図示しない保持手段によってノズル85b,85cを高速で第1方向に往復移動させながら、保持装置88によって被加工体Wを低速で第2方向に移動させるようにして、被加工体Wの全領域にブラスト加工を施すことができる。この方法において、ノズル85b,85cが1往復する間に被加工体Wが送られる量を、被加工体Wの移動方向に沿ったノズル85b,85cの噴射幅より十分小さくしておけば、被加工体Wの同一箇所にブラスト材75が複数回噴射され、加工量のばらつきが生じてしまうことを効果的に防止することができる。
【0100】
以上のようにして第2および第3のノズル85b,85cからブラスト材75が噴射され、マトリクスリブ31がブラスト加工されていく。この第2ブラスト工程中、ブラストマスク50は、マトリクスリブ31上から除去されておらず、マトリクスリブ31上に残ったままとなっている。したがって、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cから噴射されたブラスト材75は、第1リブ34の上面へ衝突することはない。これにより、リブ形成用基板20からの高さが低くなるように第1リブ34が上面側から効果的に削られていくことはない。
【0101】
また、ブラスト材75は、リブ形成用基板20の板面の法線NLに対して傾斜した方向であってリブ形成用基板20の板面の法線方向から観察した場合に第1方向に沿う方向に沿って噴射される。したがって、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cから噴射されたブラスト材75が第1リブ34の側面に衝突したとしても、その衝突角度(ブラスト材75の進行方向と第1リブ34の側面が延びる方向(概ね第1方向)とによってなされる角度)は非常に小さくなる。同一密度のブラスト材75が飛行している気流中に第1リブ34が配置されている場合、第1リブ34の側面が延びる方向とブラスト材75とがなす角度によって、第1リブ34の側面に衝突するブラスト材の数が大きく変化する。本件発明者が鋭意研究を重ねたところ、その板面が気流に対して5°だけ傾斜するようにして気流中に立てられた板に衝突するブラスト材の数は、その板面が気流に直交するようにして立てられた板に衝突するブラスト材の数の1/10以下となることが知見された。したがって、第2ブラスト加工工程において、リブ形成用基板20からの高さが低くなる程度で、第1リブ34が側面側から効果的に削られていくことはない。
【0102】
さらに、噴射されたブラスト材75が第1リブ34の側面に衝突したとしても、ブラスト材75の速度成分のうちの、第1リブ34の側面の法線に沿った方向の成分は非常に小さくなる。これにともなって、ブラスト材75が第1リブ34に対して与える衝突エネルギーも非常に小さくなる。しかも、第1ブラスト加工工程後における第1リブ34の側面は概ね平坦となっている。したがって、この第1リブ34の側面に向かって浅い角度で向かってくるブラスト材75にはいわゆる水面効果が働く。この結果、ブラスト材75の速度成分のうちの、第1リブ34の側面の法線に沿った方向の成分はさらに小さくなる。ここで水面効果とは、飛行する物体が水面(地面)の近傍を通過する際に、この物体に対して大きな揚力が生じる現象をいう。水面効果の具体例としては、例えば、海面の極近傍を飛行する飛行機に大きな揚力が生じる現象等を挙げることができる。
【0103】
以上のように、リブ形成用基板20の平面視においてブラスト材75が第1方向に沿う方向に沿って噴射されることから、ブラスト材75が第1リブ34の側面に対してブラスト加工を有効に行える角度で衝突せず、これにより、第1リブ34の側面も大きく削られていくことはない。すなわち、第2ブラスト加工工程において、リブ形成用基板20からの高さが低くなるように第1リブ34が側面側から効果的に削られていくことはない。
【0104】
一方、第2リブ38についても、ブラストマスク50が残っているため、上面から有効に削られていくことはない。しかしながら、図14に示すように、第2リブ38の少なくとも先端部分39における側面は、法線方向から傾斜した方向に噴射されるブラスト材75の直線進路上に位置するようになる。ここで、図14は、図11と同様の断面(図6のXI−XI線に沿った断面)、すなわち、第1方向に沿った断面の、第2ブラスト加工工程中の一状態を示している。したがって、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cから噴射されたブラスト材75は第2リブ38の先端部分39における側面へ直撃し、第2リブ38の先端部分39における側面は、側方から削り込まれていく。この結果、ブラストマスク50が上方に残っているにもかかわらず、第2リブ38の先端部分39がブラスト材75によって削られていく。
【0105】
このようにして所定の方向に沿って噴射されたブラスト材75は、マトリクスリブ31のうちの第2リブ38の先端部分39を選択的に削っていくようになる。これにより、図15に示すように、第2リブ38のリブ形成用基板20からの高さを第1リブ34のリブ形成用基板20からの高さよりも低くすることができる。このようにして、複数の第1リブ34と、隣り合う二つの第1リブ34間を延び、第1リブ34よりも高さが低い第2リブ38と、からなる段差マトリクスリブ30がリブ形成用基板20上に得られる(図4(e)および図15参照)。
【0106】
なお、ブラスト材75の噴射方向のリブ形成用基板20の法線NLに対する傾斜角度θ(図7参照)、より厳密には、リブ形成用基板20の板面の法線方向および第1方向の両方に沿った断面において、ブラスト材75の噴射方向とリブ形成用基板20の板面の法線NLとがなす角度θは、特に限定されるものではない。ただし、第2リブ38の先端部分39を側方から効果的に切削していくことを考慮すると、この傾斜角度θは45°以上であることが好ましい。傾斜角度θがこの範囲内に設定されている場合、ブラスト材75の速度成分のうちの、第2リブ38の先端部分39の切削に寄与し得る成分、すなわち、第2リブ38の側面の法線に沿った方向の成分が、第2リブ38の先端部分の切削に直接的に寄与しない成分よりも多く含まれるようになる。さらに、本件発明者は、鋭意研究を重ねたところ、傾斜角度θが80°以上90°以下であることがより好ましく、傾斜角度θが82°以上89.5°以下であることがさらにより好ましいことを知見した。この場合、極めて効率率的に第2リブ38の先端部分39を切削することができ、これにより、第2ブラスト加工工程に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0107】
なお、ブラスト材75の噴射方向のリブ形成用基板20の法線NLに対する傾斜角度θは90°であってもよい。傾斜角度θが90°の場合、すなわち、ブラスト材75の噴射方向が実質的にリブ形成用基板20の板面と平行になっている場合であっても、気流や重力等の影響により、第2リブ38を切削することができる。
【0108】
ところで、本実施の形態においては、第1ブラスト加工工程において、マトリクスリブ31のうちの第2リブ38の少なくとも一部分における高さがリブ層40の厚みよりも小さくなるよう、リブ層40のうちの第2リブ38の直上方に位置する部分が削られている。したがって、第2ブラスト加工工程において必要となる切削量を低減することができ、第2ブラスト加工工程を短時間で行うことができる。
【0109】
とりわけ、第1ブラスト加工工程において、第2リブ38の少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置するブラストマスク50と、の間に隙間55が形成されるよう、リブ層40が削られている。つまり、第2リブ38の少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置するブラストマスク50と、の間に位置していたリブ層40の部分が削られている。この場合、第2ブラスト加工工程における切削に要する時間を、さらに大幅に短縮することができるようになる。このような現象が生じるメカニズムは正確には不明であるが、以下のことが一要因となっているものと推測される。まず第1に、第2リブ38を側方および上方の両方から削ることができ、これにより、第2ブラスト加工工程における第2リブ38の切削を短時間で行うことが可能となる。つまり、第2リブ38の隙間に対面する部分(面)が起点となって、第2リブ38の切削を促進させることが可能となる。また、第2に、噴射されたブラスト材75および圧縮ガスが、第2リブ38およびブラストマスク50の近傍に停滞することなく、第2リブ38とブラストマスク50との間の隙間55を抜けていくことができる。これにより、ブラスト材75を第2リブ38に安定して衝突させ、第2ブラスト加工工程における第2リブ38の切削を短時間で行うことが可能となる。なお、本件発明は以上の推定メカニズムに限定されるものではない。
【0110】
また、本実施の形態によれば、上述したように、リブ層40の表面層をなす第3リブ層43の下方には、ブラスト加工性の低い、すなわち、ブラスト加工によって削られにくい第2リブ層42が配置されている。そして、ブラスト加工性の相違に起因して、第2ブラスト加工工程においては、図14に示すように、第2リブ38の先端部分39のうちの第3リブ層43からなる部分が優先的に削られていく。この結果、第3リブ層43からなる部分を削り取り第2リブ38の上面を第2リブ層42からなる部分によって形成することが可能となる。すなわち、所望の形状を有する第2リブ38を極めて容易に形成することができる。とりわけ、第2リブ38の高さを一定にすることが可能になるとともに、第2リブ38の上面を略平坦な面とすることが可能となる。
【0111】
なお、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、上述したように、第3リブ層43のブラスト加工性は、第2リブ層42のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下に設定されていることが好ましく、1.5倍以上10倍以下に設定されていることがさらに好ましい。第3リブ層43のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性に比較して高過ぎると、つまり、第2リブ層42と比較して第3リブ層43が削られやす過ぎると、ブラスト加工工程中における側方削り込み(サイドエッチ)が促進され過ぎ、得られた第1リブ34の第3リブ層43からなる部分が第2リブ層42からなる部分と比較して大きく削り込まれる。これにより、図16に示すように、第1リブ34の外輪郭に凹凸が形成され、可視光を発する蛍光体層18を支持する面として不都合が生じる。
【0112】
一方、第3リブ層43のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性に対して低過ぎると、つまり、第3リブ層43が削られにく過ぎると、第2ブラスト加工工程において、第3リブ層43からなる部分を優先的に切削することが困難となり、第2リブ層42の一部または全部が削れてしまうことになる。この結果、第2ブラスト加工工程後における第2リブ38の形状、とりわけ、第2リブ38の高さおよび第2リブ38の上面の平坦性を安定させることができない。
【0113】
また、第3リブ層43のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性に対して低過ぎると、つまり、第3リブ層43が削られにく過ぎると、第1ブラスト加工工程において、リブ層40のうちのマトリクスリブ31以外の部分を切削する際に、第3リブ層43を削り取るのに長時間を要するようになる。同様に、第2ブラスト加工工程において、第2リブ38のうちの第3リブ層43からなる部分を削り取るのに長時間を要するようになる。すなわち、生産性を悪化させてしまう。
【0114】
さらに、本件発明者らがブラスト加工性について鋭意研究を重ねたところ、上述したように、第1リブ層41のブラスト加工性は第2リブ層42のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下に設定されていることが好ましく、2倍以上25倍以下に設定されていることがさらに好ましい。結果として、第1リブ層41のブラスト加工性は、第3リブ層43のブラスト加工性よりも高いことが好ましいことになる。
【0115】
第1リブ層41のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性に比較して高過ぎると、つまり、第2リブ層42と比較して第1リブ層41が削られやす過ぎると、ブラスト加工工程中における側方削り込み(サイドエッチ)が促進され過ぎ、得られた第1リブ34および第2リブ38の第1リブ層41からなる部分が第2リブ層42からなる部分と比較して大きく削り込まれる。これにより、第1リブ34の外輪郭(図16参照)および第2リブ38の外輪郭に凹凸が形成され、可視光を発する蛍光体層18を支持する面として不都合が生じる。
【0116】
一方、第1リブ層41のブラスト加工性が、第2リブ層42のブラスト加工性に対して低過ぎると、つまり、第1リブ層41が削られにく過ぎると、第1ブラスト加工工程において、リブ層40のうちのマトリクスリブ31以外の部分を切削する際に、第1リブ層41を削り取るのに長時間を要するようになる。すなわち、生産性を悪化させてしまう。
【0117】
(その他の工程)
以上のようにしてリブ形成用基板20上に段差マトリクスリブ30が形成された後、段差マトリクス30上からブラストマスク50が除去される。ブラストマスク50の除去方法としては、PDP用背面板の製造において用いられ得る種々の既知の方法を採用することができる。例えば、苛性ソーダを用いてブラストマスク50を除去することができる。この場合のブラストマスク除去装置は、苛性ソーダを噴射する噴射機構あるいは苛性ソーダを貯留する苛性ソーダ貯留槽を含むようになる。このようにして、リブ形成用基板20の一方の面20a上に段差マトリクスリブ30が露出するようになる(図1参照)。
【0118】
次に、リブ形成用基板20上の段差マトリクスリブ30を焼成する。上述したように、本実施の形態によれば、段差マトリクスリブ30を精度良く安定して作製することができる。したがって、焼成によって段差マトリクスリブ30が変形し、結果として、前面板との組み合わせ時に不具合を来してしまうことを効果的に防止することができる。
【0119】
最後に、段差マトリクスリブ30の側面およびリブ形成用基板20の一方の面20a上に蛍光体層18を形成する。蛍光体層18の形成方法は、PDP用背面板の製造において用いられ得る種々の既知の方法、例えばスクリーン印刷による成膜方法を採用することができる。
【0120】
以上のようにして、図2に示されたプラズマディスプレイパネル用背面板10が得られる。
【0121】
<本実施の形態の作用効果の概要>
以上のような本実施の形態によれば、第1ブラスト加工として、ブラストマスク50越しにリブ層40へ向けてブラスト材75を噴射することにより、リブ層40をパターニングしてマトリクスリブ31を形成している。その後、第2ブラスト加工として、リブ形成用基板20の板面の法線NLに対して傾斜した方向であって、リブ形成用基板20の板面の法線方向から観察した場合に第1方向と平行な方向に沿って、マトリクスリブ31にブラスト材75を噴射する。この第2ブラスト加工中、ブラストマスク50は、マトリクスリ31上から除去されておらず、マトリクスリブ31上に残ったままとなっている。したがって、ブラスト材75が第1リブ34の上面へ衝突することはなく、これにより、リブ形成用基板20からの高さが低くなるように第1リブ34が効果的に削られていくことはない。また、ブラスト材75の噴射方向は、平面視において、第1リブ34の延在方向(第1方向)と一致している。したがって、ブラスト材75が第1リブ34の側面に対して、ブラスト加工を有効に行える角度で衝突することはなく、これにより、第1リブ34の側面が大きく削られていくことはない。すなわち、第2ブラスト加工中、第1リブ34のリブ形成用基板20からの高さをそのままに維持することが可能である。
【0122】
一方、第2リブ38についても、第2ブラスト加工中、ブラストマスク50が残っているため、上面から有効に削られていくことはない。しかしながら、第2リブ38の少なくとも先端部分39における側面は、法線方向から傾斜した方向に噴射されるブラスト材75の噴射軌道上に位置するようになる。このため、噴射されたブラスト材75は第2リブ38の先端部分39における側面へ直撃し、第2リブ38の先端部分39における側面は、側方から削り込まれていく。この結果、ブラストマスク50が上方に残っているにもかかわらず、第2リブ38の先端部分39がブラスト材75によって削られていく。
【0123】
このように、第1ブラスト加工によって形成されたマトリクスリブ31上に新たなブラストマスクを再度形成し直すことなく、ブラスト材75の噴射方向を変更するといった極めて簡単な操作のみによって、第1リブ34と第2リブ38とからなるマトリクスリブ31のうち、第2リブ38を選択的に削っていくことができる。これにより、第2リブ38のリブ形成用基板20からの高さを第1リブ34のリブ形成用基板20からの高さよりも低くすることができる。このようにして、複数の第1リブ34と、隣り合う二つの第1リブ34間を延び、第1リブ34よりも高さが低い第2リブ38と、からなる段差マトリクスリブ30を有したプラズマディスプレイパネル用背面板10を容易に製造することができる。とりわけ、ブラストマスク50を一回のみ形成すればよいので、プラズマディスプレイパネル用背面板10を安価かつ短時間で製造することができる。
【0124】
また、本実施の形態においては、第1ブラスト加工中、第2リブ38の少なくとも一部分における高さがリブ層40の厚みよりも小さくなるよう、リブ層が削られる。したがって、第2ブラスト加工中において必要となる第2リブ38の切削量を低減することができ、第2ブラスト加工を短時間で行うことができる。すなわち、第1ブラスト加工と比較して、噴射方向やブラスト材75の噴射量等のブラスト条件について微調整が必要となる傾向のある第2ブラスト加工を、短時間で行うことができる。これにより、プラズマディスプレイパネル用背面板10をより安価かつより短時間で安定して製造することができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、第1ブラスト加工により、第1リブ34および第2リブ38は、それぞれ、第1リブ層41からなる部分と、第2リブ層42からなる部分と、第3リブ層42からなる部分と、を含むように形成される。ここで、第3リブ層43は第2リブ層42よりもブラスト加工によって削られやすくなっている。このブラスト加工性の相違を利用して、第2ブラスト加工において、第2リブ38のうちの、第2リブ層42からなる部分を残しながら、第3リブ層43からなる部分を主に削り取っていくことができる。この結果、第3リブ層43からなる部分を削り取り第2リブ38の上面を第2リブ層42からなる部分によって形成することが可能となる。すなわち、一定の形状を有する第2リブ38を極めて容易に形成することができる。とりわけ、第2リブ38の高さを一定にすることが可能になるとともに、第2リブ38の上面を略平坦な面とすることも可能となる。
【0126】
<変形例>
上述した実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。以下、変形例の一例について説明する。
【0127】
上述した実施の形態において、リブ層40が第1乃至第3リブ層41,42,43の三層を含んでいる例を示したが、これに限られず、リブ層40の層構成を適宜変更することができる。例えば、リブ層40が単一層から形成されているようにしてもよい。このような場合であっても、第1ブラスト加工中に、リブ層40またはリブ形成用基板20上で跳ね返ったブラスト材75によって、リブ層40を側方から削り込むことを期待することができる。また、第2ブラスト加工における、ブラスト材75の噴射方向を調節することにより、第2リブ38の所望の範囲にのみへブラスト材75が直撃するようにして、所定の寸法を有した第2リブ38を形成することも可能となる。
【0128】
また、上述した実施の形態において、ブラストマスク50の第2パターン部52の幅w2が、両端部分52aのうちの第1パターン部51に接続する接続部から、一対の両端部分52aの中間に位置する中間部分52bの中間点に向け、漸次狭くなっていく例を示したが、これに限られない。例えば、図17に示すようにして、ブラストマスク50の第2パターン部52の幅w2が、第1パターン部51に接続する両端部分52aよりも一対の両端部分52a間に位置する中間部分52bにおいて小さくなっているようにしてもよい。図17に示すようなブラストマスク50においても、第2パターン部52の最小幅が第1パターン部51の最小幅よりも小さくなっていれば、その他の特別な操作を要することなく、第2パターン部52の幅が最小となる部分の直下におけるリブ層40を側方から削り込むことを促進することができる。結果として、第1ブラスト加工によって得られたマトリクスリブ31の第2リブ38の少なくとも一部分の高さを、リブ層40の厚みよりも低くし、かつ、マトリクスリブ31のその他の部分の高さよりも低くすることが可能となる。
【0129】
また、ブラストマスク50の第2パターン部52の幅w2が、第1パターン部51に接続する両端部分52aにおいて、一対の両端部分52a間に位置する中間部分52bよりも小さくなっているようにしてもよい。例えば、図18に示す例において、第2パターン部52の両端部分52aにおける幅は、第1パターン部51に接続する接続部を除いて一定であり、第2パターン部52の最小幅をなしている。
【0130】
一般的に、リブ層40のうちの、第1リブ34および第2リブ38の交点に隣接する領域およびその近傍の領域は比較的に削り取られにくくなる傾向がある。そして、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しが多く存在すると、焼成工程後の焼成収縮にともなって段差マトリクスリブ30が大きく変形しやすくなる。より具体的には、当該領域における削り残り部分が、上方へ(リブ形成用基板20から離間する方向へ)突出してしまうことがある。そしてこの場合、作製されたPDP用背面板10を前面板と組み合わせた際に、背面板10と前面板との間にがたつきが生じ、PDPとしての使用中、とりわけ放電時に異音が発生してしまうという不具合を来すことすらある。したがって、焼成収縮にともなう段差マトリクスリブ30の変形を抑制する上で、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しを抑制することが極めて重要となる。
【0131】
図18に示す例においては、リブ層40のうちの第1リブ34の近隣部分における側方削り込みを促進させ、図19に示すように、第1ブラスト加工工程によって、ブラストマスク50直下の隙間55を、リブ層40の第1リブ34へ隣接する部分および/または第1リブ34近傍の部分に形成することが可能となる。結果として、第1ブラスト加工によって得られたマトリクスリブ31において、第2リブ38のうちの、第1リブ34に隣接する部分および/または第1リブ34近傍の部分の高さを、リブ層40の厚みよりも低くすることができる。この場合、第2ブラスト加工工程を短時間化させることが可能になるだけでなく、第1リブ34の第2リブ38近傍における頂部幅が広くなり過ぎてしまうことを防止し、第1リブ34のその長手方向(つまり、第1方向)に沿った頂部幅のバラツキを大幅に抑制することが可能となる。同時に、第2リブ38のその長手方向(つまり、第2方向)に沿った頂部幅のバラツキおよび高さのバラツキを大幅に抑制することも可能となる。このようにして、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しを抑制し、PDP用背面10を精度良く安定して製造することが可能となる。
【0132】
なお、図19は、図12に対応する図であって、第2方向に沿った断面において第1ブラスト加工後の状態を示す図である。
【0133】
ところで、図18に示す例において、第2パターン部52の各端部分52aにおける幅は、第1パターン部51に接続する接続位置において、当該部分52a内のその他の位置の幅よりも太くなっている。これは、ブラスト加工中に、ブラストマスク50の第2パターン部52が第1パターン部51から引きちぎられてしまうことの防止を主目的としている。ただし、この構成は必須ではなく、それどことろか、以下において説明するように、第2パターン部52が第1パターン部51から引きちぎられることを促進した方が好ましいこともある。したがって、第2パターン部52の両端部分52aにおける幅は、全域において一定となっていてもよい。
【0134】
なお、図19に実線で示す状態よりもさらに切削が進んだ状態で第1ブラスト加工を終了させるようにしてもよい。この場合、図19に実線で示す状態から、第2リブ38の隙間55に対面する部分(面)が起点となって、第2リブ38の切削が促進される。このとき、より側方削り込みされやすい部分側へ向けて、切削が進行する。図示する例においては、第2リブ38のうちの中間部分52b下方の部分側へ向けて、切削を進行させることが可能となる。この結果、図19に二点鎖線で示すように、略全域において第2リブ38の高さを低くすることができるようになる。図19に二点鎖線で示すような場合には、第2リブ38のその長手方向に沿った頂部幅のバラツキおよび高さのバラツキを極めて効果的に抑制することができる。
【0135】
さらに、図20に示すように、ブラストマスク50の第2パターン部52の幅が、第2方向に沿った少なくとも一部分において、第2パターン部52の第2方向に沿った中心位置52eから第1パターン部51への接続位置52dに向けて小さくなっていくようにしてもよい。ここでいう「細くなっていく」とは、当該一部分内において太くなる箇所がないことを意味し、当該少なくとも一部分内に、幅の太さが一定となっている部分が部分的に含まれていてもよい。つまり、「細くなっていく」には、幅が連続的に小さく(狭く、細く)なっていくことだけでなく、段階的に小さくなっていくことも含まれる。とりわけ、図20に示す例においては、第2パターン部52の第2方向に沿った中心位置52eから第1パターン部51への接続位置52dに向け、第2パターン部52の第2方向に沿った全長にわたって、第2パターン部52の幅が漸次小さくなっていく。この結果、第2パターン部52の幅は、中心位置52eにおいて最も太く、接続位置52dにおいて最も細くなっている。このようなブラストマスク50を用いた場合、図18および図19を参照しながら説明したブラストマスクと略同一の作用効果を得ることができる。すなわち、図20に示すブラストマスクを用いた場合、第2リブ38のうちの第1リブ34の近隣部分における側方削り込みを促進させ、第1ブラスト加工工程によって、ブラストマスク50直下の隙間55を、第2リブ38の第1リブ34へ隣接する部分および/または第1リブ34近傍の部分に形成することが可能となる。結果として、第1ブラスト加工によって得られたマトリクスリブ31において、第2リブ38のうちの、第1リブ34に隣接する部分および/または第1リブ34近傍の部分の高さを、リブ層40の厚みよりも低くすることができる。この場合、第2ブラスト加工工程を短時間化させることが可能になるだけでなく、第1リブ34の第2リブ38近傍における頂部幅が広くなり過ぎてしまうことを防止し、第1リブ34のその長手方向(つまり、第1方向)に沿った頂部幅のバラツキを大幅に抑制することが可能となる。同時に、第2リブ38のその長手方向(つまり、第2方向)に沿った頂部幅のバラツキおよび高さのバラツキを大幅に抑制することも可能となる。結果として、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しを抑制し、PDP用背面10を精度良く安定して製造することが可能となる。
【0136】
なお、上述してきたように、リブ層40のうちの、第1リブ34と第2リブ38とが交差する位置に隣接する領域およびその近傍の領域は比較的に削り取られにくくなる傾向がある。したがって、図18や図20に示すブラストマスク50のように、第2パターン部52の幅が、端部分52aにおいて中間部分52bよりも狭くなっていたとしても、端部分52aの直下における第2リブ38の幅が、中間部分52bの直下における第2リブ38の幅と比較して格段に小さくなってしまうことはない。それどころか、両端部分52aにおける第2パターン部52の幅および中間部分52bにおける第2パターン部52の幅を適宜調節することによって、第2リブ38の幅を、第2方向に沿った第2リブ38の全長にわたって、略一定に仕上げることも可能である。
【0137】
さらに、図21に示すように、ブラストマスク50の第1パターン部51の幅が変化するようにしてもよい。図21に示されたブラストマスク50の第1パターン部51の幅は、第2パターン部52との接続箇所近傍において、第2パターン部52との接続箇所へ向けて漸次細くなっていく。このようなブラストマスク50によれば、特別な操作を要することなく、第1リブ34のうちの第2リブ38に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しを抑制することができる。また、図21に示されたブラストマスク50において、第2パターン部52の幅は、図20に示されたブラストマスク50と同様に、第2パターン部52の第2方向に沿った中心位置52eから第1パターン部51への接続位置52dに向けて小さくなっていく。したがって、図21に示されたブラストマスク50によれば、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域における削り残しを抑制することも可能となる。
【0138】
さらに、図22に示すように、ブラストマスク50の第2パターン部52の幅w2が一定であり、第1パターン部51の幅w1よりも小さくなっているようにしてもよい。図22に示すようなブラストマスク50においても、その他の特別な操作を要することなく、第2パターン部52の直下におけるリブ層40を側方から削り込むことを促進することができる。結果として、第1ブラスト加工によって得られたマトリクスリブ31の第2リブ38の少なくとも一部分の高さを、リブ層40の厚みよりも低くし、かつ、マトリクスリブ31のその他の部分の高さよりも低くすることが可能となる。
【0139】
さらに、図23に示すように、ブラストマスク50の第2パターン部52が、隣り合う二つの第1パターン部51間で分断されているようにしてもよい。図23に示すようなブラストマスク50によれば、第1ブラスト加工において、第2パターン部52の分断された領域52cを通過するブラスト材75による削り込みと、リブ層40またはリブ形成用基板20上で跳ね返ったブラスト材75による側方への削り込みと、によって、第2パターン部52の分断箇所52cの直下およびその周囲におけるリブ層40を削ることができる。結果として、第1ブラスト加工によって得られたマトリクスリブ31の第2リブ38の少なくとも一部分の高さを、リブ層40の厚みよりも低くし、かつ、マトリクスリブ31のその他の部分の高さよりも低くすることが可能となる。
【0140】
ここで、図24は、図12に対応する図であって、第2方向に沿った断面の第1ブラスト加工後の状態を示す図である。図24に示す例においては、第2リブ38のうちの第2パターン部52の分断箇所52cの直下に位置する部分の周囲と、当該部分の直上方に位置するブラストマスク50と、の間に隙間55が形成されている。この場合、上述した実施の形態と同様に、第2ブラスト加工工程における切削を、極めて短時間で行うことができるようになる。
【0141】
なお、以上において複数のブラストマスク50を説明してきたが、これらは本発明において用いられ得るブラストマスクの一例である。すなわち、本発明においては、上述してきた複数のブラストマスクに限定されることなく、例えば、上述してきたブラストマスクのいずれかと一部分のみにおいて同一の形状を有するブラストマスクや、上述してきたブラストマスクのいずれとも異なる形状を有したブラストマスク等を、用いることも可能である。
【0142】
さらに、上述した実施の形態における第2ブラスト加工工程において、ブラストマスク50のうちの、第2リブ38の直上方に位置する部分の少なくとも一部を削り取るようにしてもよい。すなわち、図20に点線で示すように、第2ブラスト加工工程において、ブラストマスク50の第2パターン部52の少なくとも一部を削り取るようにしてもよい。上述したように、第2ブラスト加工工程において、ブラスト材75は平面視において第1方向に沿った方向に噴射される(例えば、図20参照)。したがって、ブラストマスク50のうちの第2パターン部52は、その他の部分(つまり、第1パターン部51)から引きちぎられやすくなっている。とりわけ、図20や図21に示されたブラストマスク50においては、第2パターン部52の第2方向に沿った中心位置52eから第1パターン部51への接続位置52dに向け、第2パターン部52の幅は漸次小さくなり、切り欠きのような最小幅が、第1パターン部51と第2パターン部52とが交差する位置(第2パターン部52の接続位置52d)に形成されているため、第2パターン部52の両方の端部分52aにおいて、第1パターン部51から引きちぎられやすくなる。この結果、各第2パターン部52の略全体が第1パターン部51から引きちぎられやすくなる。
【0143】
このようにして第2パターン部52が除去されると、その後ブラスト加工工程中、第2リブ38の直上方にはブラストマスク50が存在しない。この場合、第2ブラスト加工工程を短時間化させることが可能になるだけでなく、第2リブ38の頂部をより平坦に形成することが可能になる。言い換えると、第2リブ38の頂部が曲面状になってしまうことを大幅に抑制することができる。また、第2リブ38のうちの第1リブ34に隣接する領域およびその近傍の領域の切削を促進することができる。結果として、焼成収縮時の不都合な変形が大幅に抑制され得る段差マトリクスリブ30を精度良く安定して作製することが可能となる。
【0144】
さらに、上述した実施の形態において、第1ブラスト加工において、第2リブ38の少なくとも一部分における高さがリブ層40の厚みよりも小さくなるよう、リブ層を削る例を示したが、これに限られない。第1ブラスト加工において、第2リブ38の少なくとも一部分における高さをリブ層40の厚みよりも小さくする必要はない。すなわち、第2ブラスト加工のみによって、第2リブ38の高さを変化させるようにしてもよい。
【0145】
さらに、上述した実施の形態において、第2ブラスト加工工程後にブラストマスク50を除去する例を示したが、これに限られず、例えば、第2ブラスト加工工程前にブラストマスク50を除去するようにしてもよい。第2ブラスト加工工程前にブラストマスク50を除去した場合、第2ブラスト加工工程中に第2リブ38上にブラストマスク50が存在しないため、第2リブ38を所望の形状に精度良く短時間で切削することができる。なお、ブラスト材75の噴射角度を調節することによって、第2工程中に第1リブ34を大きく削り込んでしまうことを回避することができる。
【0146】
さらに、上述した実施の形態において説明したブラスト加工装置80の構成は、例示に過ぎない。例えば、図25に示すように、被加工体Wが一方向に移動するとともに、その移動経路に沿って複数のブラストノズル85が配置されているようにしてもよい。図25に示す例においては、被加工体(リブ形成用基板20、リブ層40およびブラストマスク50の積層体)Wが、当該被加工体Wのリブ形成用基板20の第2方向と進行方向とが一致するようにして、搬送される。被加工体Wの搬送経路の上流側に第1ブラスト加工用の第1ノズル85aが複数配置され、被加工体Wの搬送経路の下流側に第1ブラスト加工用の第2ノズル85bおよび第3ノズル85cがそれぞれ複数配置されている。また、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cは、被加工体Wの搬送方向に沿って交互に配置されている。各ノズル85a,85b,85cは、細長い吐出口86が被加工体Wの搬送方向に沿うようにして、つまり、搬送される被加工体Wのリブ形成用基板20の第1方向に沿うようにして配置されている。また、各ノズル85は、被加工体Wの搬送方向に直交する方向、つまり、搬送される被加工体Wのリブ形成用基板20の第2方向に沿って、往復移動するようになっている。このようなブラスト加工装置80によれば、被加工体Wの全面をムラなく加工していくことが可能となる。
【0147】
また、上述した実施の形態において、第2ブラスト加工中、第2ノズル85bからブラスト材75を噴射する時間帯と、第3ノズル85cからブラスト材75を噴射する時間帯と、を別々にする例を示したがこれに限られない。図26に示すように、第2ノズル85bと第3ノズル85cとの配置間隔を十分大きく取ることにより、ブラスト材85を対向する方向から同時に噴射したとしても、異なるノズル85b,85cから噴射されたブラスト材75の移動(飛行)が互いに阻害し合ってしまうことを防止することが可能となる。さらに、図27に示すように、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cから、互いから離間する向きにブラスト材75が噴射されるようにしてもよい。このような例によっても、異なるノズル85b,85cから噴射されたブラスト材75の移動(飛行)が互いに阻害し合ってしまうことを防止することが可能となる。
【0148】
さらに、上述した実施の形態において、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cの二つのノズルによって、第1方向に沿った両側から第2リブ38にブラスト材75を噴射する例を示したが、これに限られない。一つのノズルを用い、当該一つのノズルをマトリクスリブ31(被加工体W)に対して相対移動させることによって、第1方向に沿った両側から第2リブ38にブラスト材75を噴射するようにしてもよい。また、第1方向に沿った両側から第2リブ38にブラスト材75を噴射することは必須ではなく、第1方向に沿ったいずれか一方の側のみから第2リブ38にブラスト材75を噴射するようにしてもよい。この場合、第2ノズル85bおよび第3ノズル85cのうちのいずれか一方を省略することが可能となる。
【0149】
以上のように上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】図1は、プラズマディスプレイパネル用背面板の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、プラズマディスプレイパネル用背面板の一例を示す断面図である。
【図3】図3(a)および(b)は、図1に示されたプラズマディスプレイパネル用背面板に組み込まれたリブ形成用基板を説明するための図であって、図3(b)はリブ形成用基板を示す斜視図であり、図3(a)は誘電体層を省いた状態におけるリブ形成用基板を示す斜視図である。
【図4】図4、本発明によるプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法および製造装置の一実施の形態を説明するための図である。
【図5】図5は、プラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法のリブ層形成工程を説明するための図である。
【図6】図6は、ブラストマスク形成工程において形成されたブラストマスクを示す平面図である。
【図7】図7は、ブラスト加工装置の概略構成を示す側面図である。
【図8】図8は、図7に示されたブラスト加工装置の概略構成を示す平面図である。
【図9】図9は、図7および図8に示されたブラスト加工装置に組み込まれ得るノズルの一例を示す斜視図である。
【図10】図10は、図7および図8に示されたブラスト加工装置に組み込まれ得るノズルの他の例を示す斜視図である。
【図11】図11は、図6のXI−XIに沿った断面を示す図であって、第1ブラスト加工中における被加工体の一状態を第1方向に沿った断面において示す図である。
【図12】図12は、図6のXII−XIIに沿った断面を示す図であって、第1ブラスト加工後における被加工体の状態を第2方向に沿った断面において示す図である
【図13】図13は、第2ブラスト加工時におけるノズルおよび被加工体の相対移動方法の一例を説明するための図である。
【図14】図14は、図11に対応する断面図であって、第2ブラスト加工中における被加工体の一状態を第1方向に沿った断面において示す図である。
【図15】図15は、図12に対応する断面図であって、第2ブラスト加工後における被加工体の状態を第2方向に沿った断面において示す図である。
【図16】図16は、第1リブの好ましくない例を説明するための断面図である。
【図17】図17は、図6に対応する図であって、ブラストマスクの変形例を示す平面図である。
【図18】図18は、図6に対応する図であって、ブラストマスクの他の変形例を示す平面図である。
【図19】図19は、図12に対応する図であって、図18に示されたブラストマスクを用いて第1ブラスト加工を行った後における被加工体の状態を第2方向に沿った断面において示す図である。
【図20】図20は、図6に対応する図であって、ブラストマスクのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図21】図21は、図6に対応する図であって、ブラストマスクのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図22】図22は、図6に対応する図であって、ブラストマスクのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図23】図23は、図6に対応する図であって、ブラストマスクのさらに他の変形例を示す平面図である。
【図24】図24は、図12に対応する図であって、図23に示されたブラストマスクを用いて第1ブラスト加工を行った後における被加工体の状態を第2方向に沿った断面において示す図である。
【図25】図25は、ブラスト加工装置の変形例を示す平面図である。
【図26】図26は、ブラスト加工装置の他の変形例を示す平面図である。
【図27】図27は、図7に対応する図であって、ブラスト加工装置のさらに他の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0151】
10 プラズマディスプレイパネル用背面板(PDP用背面板)
20 リブ形成用基板
30 段差マトリクスリブ
31 マトリクスリブ
34 第1リブ
38 第2リブ
39 先端部分
40 リブ層
41 第1リブ層
42 第2リブ層
43 第3リブ層
50 ブラストマスク
51 第1パターン部
52 第2パターン部
52a 端部分
52b 中間部分
52d 接続位置
52e 中心位置
70 プラズマディスプレイパネル用背面板の製造装置
71 リブ形成装置
75 ブラスト材
80 ブラスト加工装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工工程と、
前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工工程と、
前記第2ブラスト加工工程後に、前記段差マトリクスリブ上から前記ブラストマスクを除去する工程と、を備える
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項2】
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られる
ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項3】
リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工工程と、
前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工工程と、を備え、
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られる
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項4】
前記第2ブラスト加工工程において、前記ブラストマスクのうちの、前記第2リブの直上方に位置する部分の少なくとも一部を削り取る
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項5】
前記第1ブラスト加工工程後であって前記第2ブラスト加工工程前に、前記マトリクスリブ上から前記ブラストマスクを除去する工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項6】
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されるよう、前記リブ層が削られる
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項7】
前記ブラストマスクは、前記第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1パターン部間を前記第2方向に沿って延びる複数の第2パターン部と、を有し、
前記ブラストマスクの前記第2パターン部の最小幅は、前記第1パターン部の最小幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項8】
前記第2パターン部の幅は一定であり、前記第1パターン部の幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項9】
前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分よりも前記両端部分の間の中間部分において、小さくなっている
ことを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項10】
前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分において前記両端部分の間の中間部分よりも、小さくなっている
ことを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項11】
前記第1ブラスト加工工程において、前記リブ層または前記リブ形成用基板上で跳ね返ったブラスト材による側方への削り込みによって、リブ層のうちの、前記第2リブの前記少なくとも一部分の直上方に位置する部分が削られる
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項12】
前記ブラストマスクは、前記第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1パターン部間を前記第2方向に沿って延びる複数の第2パターン部と、を有し、
前記ブラストマスクの前記第2パターン部は、前記第1パターン部間で分断されている
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項13】
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2パターン部の分断された領域に進むブラスト材による削り込みと、前記リブ層または前記リブ形成用基板上で跳ね返ったブラスト材による側方への削り込みと、によって、リブ層のうちの、前記第2リブの前記少なくとも一部分の直上方に位置する部分が削られる
ことを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項14】
前記リブ層は、前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有し、
前記第1ブラスト加工工程において、第1リブおよび第2リブは、それぞれ、前記第1リブ層からなる部分と、前記第2リブ層からなる部分と、前記第3リブ層からなる部分と、を含むように形成され、
前記第2ブラスト加工工程において、前記第2リブの前記第3リブ層からなる部分が削られる
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項15】
前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第3リブ層のブラスト加工性よりも高い
ことを特徴とする請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項16】
前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下である
ことを特徴とする請求項14または15に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項17】
前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下である
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項18】
前記第2ブラスト加工工程において、前記リブ形成用基板の板面の法線に対するブラスト材の噴射方向の傾斜角度は、45°以上である
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板の製造方法。
【請求項19】
プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられるブラスト加工装置であって、
リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工と、
前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記ブラストマスク下の前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工と、
を実行するように構成されている
ことを特徴とするブラスト加工装置。
【請求項20】
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層が削られる
ことを特徴とする請求項19に記載のブラスト加工装置。
【請求項21】
プラズマディスプレイパネル用背面板の製造に用いられるブラスト加工装置であって、
リブ形成用基板と、前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を含む被加工体の前記ブラストマスク側から前記リブ層へブラスト材を噴射し、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクスリブを前記リブ層から形成する第1ブラスト加工と、
前記リブ形成用基板の板面の法線に対して傾斜した方向であって、前記リブ形成用基板の平面視において前記第1方向に沿った方向から、前記マトリクスリブにブラスト材を噴射し、前記第2リブの先端部分を削って、前記第2リブの前記リブ形成用基板からの高さが前記第1リブの前記リブ形成用基板からの高さよりも低くなっている段差マトリクスリブを形成する第2ブラスト加工と、
を実行するように構成されており、
前記第1ブラスト加工工程において、前記第2リブの少なくとも一部分における高さが前記リブ層の厚みよりも小さくなるよう、前記リブ層を削る
ことを特徴とするブラスト加工装置。
【請求項22】
前記第2ブラスト加工工程において、前記ブラストマスクのうちの、前記第2リブの直上方に位置する部分の少なくとも一部を削り取る
ことを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項23】
前記第2ブラスト加工工程は、前記マトリクスリブ上から前記ブラストマスクが除去された後に実行される
ことを特徴とする請求項21に記載のブラスト加工装置。
【請求項24】
前記第1ブラスト加工において、前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されるよう、前記リブ層を削る
ことを特徴とする請求項20乃至23のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項25】
前記第2ブラスト加工工程において、前記リブ形成用基板の板面の法線に対するブラスト材の噴射方向の傾斜角度は、45°以上である
ことを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項26】
請求項1乃至18に記載された製造方法によって製造された
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用背面板。
【請求項27】
リブ形成用基板と、
前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、を備え、
前記リブ層は、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1リブと、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1リブ間を延びる複数の第2リブと、を含むマトリクス状にパターニングされており、
前記リブ層は、前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層および第1リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有し、
前記第1リブは、前記第1リブ層からなる部分と、前記第2リブ層からなる部分と、前記第3リブ層からなる部分と、を含み、
前記第2リブは、少なくとも前記第1リブ層からなる部分と前記第2リブ層からなる部分とを含み、前記第2リブの前記背面板基板からの高さは前記第1リブの前記背面板基板からの高さよりも低い
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用背面板。
【請求項28】
前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下である
ことを特徴とする請求項27に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板。
【請求項29】
前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下である
ことを特徴とする請求項27または28に記載のプラズマディスプレイパネル用背面板。
【請求項30】
ブラスト加工を用いてプラズマディスプレイパネル用背面板を製造する際に用いられる積層体であって、
リブ形成用基板と、
前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、
前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を備え、
前記ブラストマスクは、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1パターン部間を延びる複数の第2パターン部と、を有し、
前記ブラストマスクの前記第2パターン部の最小幅は、前記第1パターン部の最小幅よりも小さい
ことを特徴とする積層体。
【請求項31】
前記第2パターン部の幅は一定であり、前記第1パターン部の幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項30に記載の積層体。
【請求項32】
前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分よりも前記両端部分の間の中間部分において、小さくなっている
ことを特徴とする請求項30に記載の積層体。
【請求項33】
前記第2パターン部の幅は、前記第1パターン部に接続する両端部分において前記両端部分の間の中間部分よりも、小さくなっている
ことを特徴とする請求項31に記載の積層体。
【請求項34】
ブラスト加工を用いてプラズマディスプレイパネル用背面板を製造する際に用いられる積層体であって、
リブ形成用基板と、
前記リブ形成用基板上に形成されたリブ層と、
前記リブ層上に形成されたブラストマスクと、を備え、
前記ブラストマスクは、前記リブ形成用基板上の第1方向に沿って延びる複数の第1パターン部と、前記第1方向と交差する前記リブ形成用基板上の前記第2方向に沿って、前記第1パターン部間を延びる複数の第2パターン部と、を有し、
前記ブラストマスクの前記第2パターン部は、前記第1パターン部間で分断されている
ことを特徴とする積層体。
【請求項35】
前記リブ層は、前記第1パターン部の直下に位置する複数の第1リブと、前記第2パターン部の直下に位置し、前記第1リブ間を延びる第2リブと、を含むマトリクス状にパターニングされており、
前記第2リブの少なくとも一部分における高さが、前記第1リブの厚みよりも低くなっている
ことを特徴とする請求項30乃至34のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項36】
前記第2リブの前記少なくとも一部分と、当該一部分の直上方に位置する前記ブラストマスクと、の間に隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項35に記載の積層体。
【請求項37】
前記リブ層は、
前記リブ形成用基板上に形成された第1リブ層と、
前記第1リブ層上に形成され、前記第1リブ層よりもブラスト加工性の低い第2リブ層と、
前記第2リブ層上に形成され、前記第2リブ層よりもブラスト加工性の高い第3リブ層と、を有する
ことを特徴とする請求項30乃至36のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項38】
前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第3リブ層のブラスト加工性よりも高い
ことを特徴とする請求項37に記載の積層体。
【請求項39】
前記第1リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.5倍以上100倍以下である
ことを特徴とする請求項37または38に記載の積層体。
【請求項40】
前記第3リブ層のブラスト加工性は、前記第2リブ層のブラスト加工性の1.1倍以上20倍以下である
ことを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−170168(P2009−170168A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4771(P2008−4771)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(501280677)ディー・エー・ピー・テクノロジー株式会社 (19)
【Fターム(参考)】