プラズマ発生装置
【課題】構造が簡単であって、安価に製造することが可能なプラズマ発生装置を提供する。
【解決手段】プラズマ発生装置1aは、主陰極54及び主外套55,56からなる主トーチと、副トーチ陽極59及び副外套61からなる副トーチ52と、副トーチ陽極60及び副外套62からなる副トーチ53と、を備えており、電源73の負端子が主陰極54に接続され、電源73の正端子が副トーチ陽極59に接続され、電源74の正端子が副トーチ陽極60に接続されるとともに、スイッチ2を介して主外套55,56に接続され、電源74の負端子が主陰極54に接続されている。
【解決手段】プラズマ発生装置1aは、主陰極54及び主外套55,56からなる主トーチと、副トーチ陽極59及び副外套61からなる副トーチ52と、副トーチ陽極60及び副外套62からなる副トーチ53と、を備えており、電源73の負端子が主陰極54に接続され、電源73の正端子が副トーチ陽極59に接続され、電源74の正端子が副トーチ陽極60に接続されるとともに、スイッチ2を介して主外套55,56に接続され、電源74の負端子が主陰極54に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマアークによって金属やセラミックス等を溶融させるとともに、対象物に吹き付けて、その表面に皮膜を形成するプラズマ溶射等に用いられるプラズマ発生装置に係り、特に、安価に製造することが可能なプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ溶射とは、アルゴンなどの不活性ガスに通電して発生させたプラズマを熱源として、セラミック等の高融点金属を溶融させ、プラズマジェット(プラズマの高速流)によって被施工物に吹き付けることにより、その表面に緻密で硬度の高い皮膜を形成する方法である。
従来、プラズマ溶射には一対の陽極と陰極の間にプラズマアークを発生させる単トーチ型プラズマ発生装置が用いられてきた。しかし、単トーチ型プラズマ発生装置では電流の増加に伴い、電極が著しく損耗するという課題があった。
そのため、このような課題を解決するものとして、陽極と陰極からなる2個以上のトーチを備え、プラズマアークをトーチの外部に引き出すことによって電流値を低くする構造の複合トーチ型プラズマ発生装置が注目されている。
この複合トーチ型プラズマ発生装置について、近年、様々な研究や開発がなされており、既に幾つかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「プラズマ溶射装置」という名称で、皮膜の高品質化を図ることが可能な複合トーチ型のプラズマ溶射装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、軸方向に材料搬送管が形成された主陽極と、冷却要素を有するとともに、主陽極を囲むように、かつ、その軸方向前方に主開口部が配置される主外套からなる主トーチと、中心軸が主陽極の中心軸と交差するように配置される副陰極と、副陰極を囲むとともに、その軸方向前方に副開口部が配置される副外套からなる副トーチを備えたプラズマ溶射装置において、主陽極の先端部に第1凹部及び第2凹部を有するものである。
そして、第1凹部は主陽極の径方向について材料搬送管よりも外側から連続的に縮径しながら主陽極の軸方向後方に向かってくぼむように形成されている。さらに、第2凹部は主陽極の径方向について第1凹部の内縁から材料搬送管に至るまで連続的又は断続的に縮径しながら主陽極の軸方向後方に向かって第1凹部よりも大きく又は急峻にくぼむように形成されている。
このような構造によれば、材料搬送管の先端部から放出された材料が、プラズマに接触するまでの間に拡散し得る空間が広く確保される。この場合、材料が十分に拡散するため、材料の飛散単位のサイズの縮小化と均等化を図ることができる。これにより、皮膜がさらに緻密化するため、その品質が高まる。
【0004】
また、特許文献2には、「複合トーチ型プラズマ発生装置」という名称で、副トーチの部品点数を削減して製造コストを安くするとともに、副トーチ全体の簡素化及び小型化を図り、また、プラズマ及びプラズマフレームの直進性や安定性を向上させてプラズマ出力の増加を図ることが可能なプラズマ発生装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、一対の陰極と陽極からなる主トーチ及び副トーチと、プラズマガス供給手段を有する複合トーチ型プラズマ発生装置において、主トーチの軸芯を中心として複数の副トーチが放射線上に設置され、各副トーチの陽極が外套により囲まれるとともに、この外套の内壁に陰極が設置された構造となっている。
このような構造によれば、従来の複合トーチ型プラズマ発生装置のように副トーチの陽極の手前にタングステン陰極部を設ける必要がない。また、保護ガス挿入手段を有する絶縁部や配線あるいは配管を、タングステン陰極部に付随する陽極間に設ける必要がない。これにより、部品点数が削減されるため、製造コストが安くなり、副トーチ全体が簡素化及び小型化される。さらに、複数の副トーチが主トーチの軸芯を中心として放射線状に配置されていることから、プラズマ及びプラズマフレームの直進性及び安定性が向上する。その結果、プラズマ出力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−110669号公報
【特許文献2】特開2010−43341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来の汎用的な複合トーチ型のプラズマ発生装置について、図8乃至図12を用いて詳細に説明する。なお、図8乃至図12では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。そして、図8(a)は複合トーチ型のプラズマ発生装置の従来例の構造の一部を示した模式図であり、図8(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の全体構造を示した模式図である。また、図9乃至図12は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
図8(a)に示すように、複合トーチ型のプラズマ発生装置50は主トーチ51と、副トーチ52,53を備えている。副トーチ52,53は互いの中心軸が一致するように対向配置されており、主トーチ51は、その中心軸が副トーチ52,53の中心軸と交差するように配置されている。
【0007】
主トーチ51は、同軸に配置される主陰極54及び主外套55,56によって構成されており、主外套55,56の放出口は主陰極54の中心軸上に配置され、主陰極54と主外套55の間及び主外套55と主外套56の間には絶縁物57,58がそれぞれ設置されている。
副トーチ52は、同軸に配置される副トーチ陽極59及び副外套61によって構成されており、副外套61の放出口は副トーチ陽極59の中心軸上に配置され、副トーチ陽極59と副外套61の間には絶縁物63が設置されている。
また、副トーチ53は、同軸に配置される副トーチ陽極60及び副外套62によって構成されており、副外套62の放出口は副トーチ陽極60の中心軸上に配置され、副トーチ陽極60と副外套62の間には絶縁物64が設置されている。
【0008】
絶縁物57,58には主外套55,56の内部へアルゴン等の不活性ガスをプラズマガスとして送入するための送入口65,66がそれぞれ設けられており、絶縁物63,64には副外套61,62の内部へ上記プラズマガスを送入するための送入口67,68がそれぞれ設けられている。
主トーチ51と副トーチ52,53はそれぞれ絶縁性を保たれた状態で連結管69によって固定されており、連結管69には、材料送入管(図示せず)が設けられている。この材料送入管から連結管69の内部へ送入された溶射材料は、プラズマの熱によって溶融した後、溶融粒子70となってプラズマフレーム86に同伴されながら母材71に吹き付けられる。その結果、母材71の表面に皮膜72が形成される。
【0009】
図8(b)に示すように、電源73は負端子が主陰極54に接続され、正端子がスイッチ75〜77を介して主外套55,56及び副トーチ陽極59にそれぞれ接続されている。
一方、電源74は正端子がスイッチ78,79を介して副トーチ陽極59,60にそれぞれ接続され、負端子がスイッチ80〜82を介して主陰極54及び副外套61,62にそれぞれ接続されている。
なお、スイッチ75〜82は、電磁石の動作により電路を開閉する電磁接触器と、過大な負荷がかかった場合に電路を遮断するサーマルリレー等を組み合わせた電磁開閉器(マグネットスイッチ)によって構成されている。
【0010】
プラズマ発生装置50の動作について図9乃至図12を用いて説明する。なお、図9乃至図12では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
図8(b)に示したプラズマ発生装置50において、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ75を閉じて、電源73によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される(図9(a)参照)。
次に、スイッチ76を閉じた後、スイッチ75を開いて、電源73によって主陰極54と主外套56の間に高電圧を印加すると、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図9(b)参照)。
【0011】
さらに、スイッチ78,81を閉じて電源74によって副トーチ陽極59と副外套61の間に高電圧を印加するとともに、送入口67からプラズマガスを副外套61の内部へ送入すると、副起動アークが形成され、副外套61の先端の放出口よりプラズマフレーム83bが放出される(図10(a)参照)。
このとき、主トーチ51と副トーチ52の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83a,83bが導電性を有するため、スイッチ77を閉じると同時にスイッチ76を開くとともに、スイッチ78,81を開くと、副トーチ陽極59の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム84が形成される(図10(b)参照)。
【0012】
図10(b)に示した状態から、スイッチ79,82を閉じて電源74によって副トーチ陽極60と副外套62の間に高電圧を印加するとともに、送入口68からプラズマガスを副外套62の内部へ送入すると、副起動アークが形成され、副外套62の先端の放出口よりプラズマフレーム83cが放出される(図11(a)参照)。
このとき、主トーチ51と副トーチ53の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83cが導電性を有するため、スイッチ80を閉じると同時にスイッチ82を開くと、副トーチ陽極60の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム85が形成され、プラズマフレーム84と合わせて、T字状のプラズマフレームとなる(図11(b)参照)。
【0013】
図11(b)に示した状態のプラズマ発生装置50において、材料送入管から連結管69の内部へ溶射材料を送入すると、プラズマの熱によって溶射材料が溶融し、溶融粒子70の状態でプラズマフレーム86に同伴されて母材71に吹き付けられる。これにより、母材71の表面に皮膜72が形成される(図12参照)。
そして、前述したように、プラズマ発生装置50においてはT字状のプラズマフレーム85が形成されるため、プラズマフレーム86の直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。従って、特許文献1や特許文献2に開示された従来の複合トーチ型のプラズマ発生装置50によれば、単トーチ型のプラズマ発生装置よりも低電流状態で使用することができる。
【0014】
しかしながら、このような構造のプラズマ発生装置においては、スイッチが多く、その切り替え手順が複雑であるため、プラズマフレームを発生させるまでに時間がかかるという課題があった。また、構造が複雑なため、製造コストが高いという課題があった。
【0015】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたものであり、構造が簡単であって、安価に製造することが可能なプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、主陰極と,この主陰極を囲むとともにその軸方向前方に第1の主放出口を有する第1の主外套と,この主外套を囲むとともにその軸方向前方に第2の主放出口を有する第2の主外套からなる主トーチと、第1の副トーチ陽極と,この第1の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第1の副放出口を有する第1の副トーチと、第2の副トーチ陽極と,この第2の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第2の副放出口を有する第2の副トーチと、を備え、第1の副トーチ及び第2の副トーチは、互いの中心軸が一致するように対向配置され、主陰極は、その中心軸が第1の副トーチ及び第2の副トーチの中心軸と交差するように配置されたプラズマ発生装置において、負端子が主陰極に接続され、正端子が第1の副トーチ陽極に接続される第1の電源と、負端子が主陰極に接続され、正端子が第2の副トーチ陽極に接続されるとともに、第1のスイッチを介して第1の主外套及び第2の主外套に接続される第2の電源と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
このような構造のプラズマ発生装置において、第1の主外套の内部へプラズマガスを送入して第1のスイッチを閉じ、第2の電源によって主陰極と第1の主外套の間に高電圧を印加すると、主陰極の先端から第1の主外套の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレームとなって第1の主外套の先端より放出される。
このとき、第2の電源によって主陰極と第2の主外套の間にも高電圧が印加されているため、プラズマの陽極点が第1の主外套から第2の主外套へ移行し、第2の主外套の先端より主トーチの外部へプラズマフレームが放出される。
【0018】
さらに、第1の副外套及び第2の副外套の内部へプラズマガスを送入すると、主トーチと第1の副トーチ及び第2の副トーチの中心軸が交差し、かつ、第2の主外套の放出口から放出されたプラズマフレームが導電性を有することから、第2の電源により高電圧を印加して主陰極と第1の副トーチ陽極の間に高周波を流すと、第1の副トーチ陽極の先端から主陰極の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレームが形成される。
続いて、第1のスイッチを開いて第2の電源により高電圧を印加して主陰極と第2の副トーチ陽極の間に高周波を流すと、第2の副トーチ陽極の先端から主陰極の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレームが形成され、前述のプラズマフレームと合わさって、T字状のプラズマフレームとなる。その結果、プラズマフレームの直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。
【0019】
すなわち、請求項1記載の発明においては、1つの主陰極に対して2つの副トーチ陽極を有する従来のツインアノード型のプラズマ発生装置と同様の作用を有する。しかも、従来技術に係るプラズマ発生装置に比べると、スイッチの数とその操作回数が少なく、スイッチの切り替え手順が簡単である。従って、短時間でプラズマフレームが発生する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のプラズマ発生装置において、第2の電源は、正端子が第1のスイッチを介して第1の主外套及び第2の主外套に接続される代わりに、第2のスイッチを介して第1の主外套に接続されるとともに、第3のスイッチを介して第2の主外套に接続されることを特徴とするものである。
このような構造のプラズマ発生装置においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、第1の主外套の先端からプラズマフレームが放出されている状態であっても第3のスイッチの操作により第2の主外套と主陰極の間に高電圧が印加されるまで、主トーチの外部へプラズマフレームが放出されないという作用を有する。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のプラズマ発生装置において、第1の副トーチ及び第2の副トーチが主陰極の軸方向前方に複数設置されることを特徴とするものである。
このような構造のプラズマ発生装置においては、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加えて、互いに対向配置されている複数組の第1の副トーチ陽極及び第2の副トーチ陽極に対して、主トーチの先端に近い側から軸方向前方へ向かって順に高電圧を印加することにより、主トーチの先端から軸方向前方へ向かって形成されるプラズマフレームが伸長されるという作用を有する。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置において、主トーチは主陰極に代えて主陽極を備え、第1の副トーチ及び第2の副トーチは第1の副トーチ陽極及び第2の副トーチ陽極に代えて第1の副トーチ陰極及び第2の副トーチ陰極をそれぞれ備え、第1の電源は、正端子が主陽極に接続され、負端子が第1の副トーチ陰極に接続され、第2の電源は、正端子が主陽極に接続され、負端子が第2の副トーチ陰極、第1の主外套及び第2の主外套に接続されることを特徴とするものである。
このような構造によれば、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有するツインカソード型のプラズマ発生装置においても請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された発明と同様の作用を有する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の請求項1記載のプラズマ発生装置によれば、単トーチ型のプラズマ発生装置に比べて低電流状態で使用することができる。また、プラズマフレームを発生させるまでに要する時間が短縮されるため、プラズマガスの消費量を少なくすることができる。さらに、電源と各電極の間の回路構成が単純であるため、製造コストを安くすることができる。
【0024】
本発明の請求項2記載のプラズマ発生装置によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、プラズマフレームを主トーチの外部へ放出するタイミングを容易に調整できるという効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項3記載のプラズマ発生装置によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、溶射材料がプラズマフレームに熱暴露される時間を長くすることができる。
【0026】
本発明の請求項4記載のプラズマ発生装置によれば、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有するツインカソード型のプラズマ発生装置においても請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された発明と同様の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置の実施例の構造を示した模式図である。
【図2】図1のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図3】図1のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図4】図1のプラズマ発生装置の第1の変形例を示した模式図である。
【図5】図4のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図6】図4のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図7】(a)及び(b)はそれぞれ図1のプラズマ発生装置の第2の変形例及び第3の変形例を示した模式図である。
【図8】(a)は複合トーチ型のプラズマ発生装置の従来例の構造の一部を示した模式図であり、(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の全体構造を示した模式図である。
【図9】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図10】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図11】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図12】図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のプラズマ発生装置は、従来の複合トーチ型のプラズマ発生装置において主トーチや副トーチと電源との間の配線を改良したものである。以下、その具体的な構造について図1乃至図7を用いて説明する。なお、図8乃至図12を用いて既に説明した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。また、図1乃至図7では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
【実施例】
【0029】
図1は本実施例のプラズマ発生装置の構造を模式的に示した図である。
図1に示すように、プラズマ発生装置1aは従来のプラズマ発生装置50において、スイッチ75〜82の代わりに、スイッチ2を備えた構造となっている。
そして、電源73は負端子が主陰極54に接続され、正端子が副トーチ陽極59に接続されている。また、電源74は正端子が副トーチ陽極60に接続され、スイッチ2を介して主外套55,56に接続され、負端子が主陰極54に接続されている。
なお、スイッチ2は、プラズマ発生装置50のスイッチ75〜82と同じ電磁開閉器(マグネットスイッチ)によって構成されている
【0030】
プラズマ発生装置1aの動作について図2及び図3を用いて説明する。なお、図2及び図3では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
図1に示したプラズマ発生装置1aにおいて、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ2を閉じて、電源74によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される。
このプラズマフレーム83aが導電性を有することに加え、電源74によって主陰極54と主外套56の間に高電圧が印加されていることから、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図2参照)。
【0031】
このとき、主トーチ51と副トーチ52の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83aが導電性を有することを利用して、電源73により主陰極54と副トーチ陽極59の間に高周波を流すとともに、送入口67からプラズマガスを副外套61の内部へ送入すると、図11(a)に示した場合と同様に、副トーチ陽極59の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム84が形成される。
次に、送入口68からプラズマガスを副外套62の内部へ送入するとともに、スイッチ2を開いて電源74により主陰極54と副トーチ陽極60の間に高周波を流す。この場合、主トーチ51と副トーチ53の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83aが導電性を有するため、副トーチ陽極60の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム85が形成され、前述のプラズマフレーム84と合わさって、T字状のプラズマフレームとなる(図3参照)。その結果、プラズマフレーム86の直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。
さらに、材料送入管から連結管69の内部へ溶射材料を送入すると、プラズマの熱によって溶射材料が溶融し、溶融粒子70の状態でプラズマフレーム86に同伴されて母材71に吹き付けられる。その結果、母材71の表面に皮膜72が形成される。
【0032】
このように、プラズマ発生装置1aにおいては、1つの主陰極54に対して2つの副トーチ陽極59,60を有する従来のツインアノード型のプラズマ発生装置50と同様の作用を有する。しかも、プラズマ発生装置50に比べると、スイッチの数とその操作回数が少なく、スイッチの切り替え手順が簡単であるため、短時間でプラズマフレームが発生する。
従って、プラズマ発生装置1aによれば、単トーチ型のプラズマ発生装置に比べて低電流状態で使用することができる。また、プラズマフレームを発生させるまでに要する時間が短縮されるため、プラズマガスの消費量を少なくすることが可能である。加えて、電源と各電極の間の回路構成が単純であるため、安価に製造することができる。
【0033】
なお、本発明のプラズマ発生装置の構造は本実施例に示した場合に限定されるものではない。例えば、図4にプラズマ発生装置1bとして示すように、プラズマ発生装置1aにおいて電源74の正端子がスイッチ2を介して主外套55,56に接続される代わりに、スイッチ3を介して主外套55に接続されるとともに、スイッチ4を介して主外套56に接続される構造とすることもできる。
【0034】
プラズマ発生装置1bの動作について図5及び図6を用いて説明する。
図4に示したプラズマ発生装置1bにおいて、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ3を閉じて、電源74によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される(図5参照)。
次に、スイッチ4を閉じた後、スイッチ3を開いて、電源74によって主陰極54と主外套56の間に高電圧を印加すると、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、図2におけるプラズマ発生装置1aの場合と同様に、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図6参照)。
【0035】
このように、プラズマ発生装置1bにおいては、主外套55の先端からプラズマフレーム83aが放出されている状態であってもスイッチ4の操作により主外套56と主陰極54の間に高電圧が印加されるまで主トーチ51の外部へプラズマフレーム83aが放出されることがない。従って、プラズマ発生装置1bによれば、プラズマフレーム83aを主トーチ51の外部へ放出するタイミングを容易に調整することができる。
【0036】
また、図7(a)にプラズマ発生装置1cとして示すように、電源73の正端子と副トーチ陽極59がスイッチ5を介して接続され、電源74の正端子と副トーチ陽極60がスイッチ6を介して接続される構造とすることもできる。
この場合、主トーチ51の外部へプラズマフレーム83aが放出されている状態であってもスイッチ5,6の操作により副トーチ陽極59,60の先端と主陰極54の間に高電圧が印加されるまで副トーチ陽極59,60の先端から主陰極54の陰極点にヘアピン状のプラズマフレーム84が形成されることがない。従って、プラズマ発生装置1cによれば、副トーチ陽極59,60の先端から主陰極54の陰極点にかけてヘアピン状のプラズマフレーム84がそれぞれ形成されるタイミングを容易に調整することができる。
【0037】
さらに、プラズマ発生装置1a〜1cにおいて、副トーチ52,53の組が主陰極54の軸方向前方に複数設置された構造とすることもできる。このような構造によれば、互いに対向配置されている複数組の副トーチ陽極59,60に対して、主トーチ51の先端に近い側から軸方向前方へ向かって順に高電圧を印加することにより、主トーチ51の先端から軸方向前方へ向かって形成されるプラズマフレーム86が伸長されるという作用を有する。これにより、連結管69の内部において溶射材料がプラズマフレーム86に熱暴露される時間を長くすることができる。
【0038】
また、図7(b)にプラズマ発生装置1dとして示すように、プラズマ発生装置1aにおいて、主トーチ51の主陰極54を主陽極7に代え、副トーチ52,53の副トーチ陽極59,60をそれぞれ副トーチ陰極8,9に代えるとともに、電源73の正端子が主陽極7に接続され、電源73の負端子が副トーチ陰極8に接続され、電源74の正端子が主陽極7に接続され、電源74の負端子が副トーチ陰極9に接続されるとともに、スイッチ2を介して主外套55,56に接続された構造としても良い。
この場合、プラズマ発生装置1dは、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有する「ツインカソード型」となるが、このような構造であってもプラズマ発生装置1aと同様の作用及び効果が発揮される。なお、プラズマ発生装置1b,1cについてもプラズマ発生装置1aに対する場合と同様の変更を加えることによれば、プラズマ発生装置1dの場合と同様の作用及び効果が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
請求項1乃至請求項4に記載のプラズマ発生装置は、プラズマ溶射に限らず、溶接や切断などのように高温のプラズマを熱源として利用する各種の加工方法に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1a〜1d…プラズマ発生装置 2〜6…スイッチ 7…主陽極 8,9…副トーチ陰極 50…プラズマ発生装置 51…主トーチ 52,53…副トーチ 54…主陰極 55,56…主外套 57,58…絶縁物 59,60…副トーチ陽極 61,62…副外套 63,64…絶縁物 65〜68…送入口 69…連結管 70…溶融粒子 71…母材 72…皮膜 73,74…電源 75〜82…スイッチ 83a〜83c…プラズマフレーム 84〜86…プラズマフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマアークによって金属やセラミックス等を溶融させるとともに、対象物に吹き付けて、その表面に皮膜を形成するプラズマ溶射等に用いられるプラズマ発生装置に係り、特に、安価に製造することが可能なプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ溶射とは、アルゴンなどの不活性ガスに通電して発生させたプラズマを熱源として、セラミック等の高融点金属を溶融させ、プラズマジェット(プラズマの高速流)によって被施工物に吹き付けることにより、その表面に緻密で硬度の高い皮膜を形成する方法である。
従来、プラズマ溶射には一対の陽極と陰極の間にプラズマアークを発生させる単トーチ型プラズマ発生装置が用いられてきた。しかし、単トーチ型プラズマ発生装置では電流の増加に伴い、電極が著しく損耗するという課題があった。
そのため、このような課題を解決するものとして、陽極と陰極からなる2個以上のトーチを備え、プラズマアークをトーチの外部に引き出すことによって電流値を低くする構造の複合トーチ型プラズマ発生装置が注目されている。
この複合トーチ型プラズマ発生装置について、近年、様々な研究や開発がなされており、既に幾つかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「プラズマ溶射装置」という名称で、皮膜の高品質化を図ることが可能な複合トーチ型のプラズマ溶射装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、軸方向に材料搬送管が形成された主陽極と、冷却要素を有するとともに、主陽極を囲むように、かつ、その軸方向前方に主開口部が配置される主外套からなる主トーチと、中心軸が主陽極の中心軸と交差するように配置される副陰極と、副陰極を囲むとともに、その軸方向前方に副開口部が配置される副外套からなる副トーチを備えたプラズマ溶射装置において、主陽極の先端部に第1凹部及び第2凹部を有するものである。
そして、第1凹部は主陽極の径方向について材料搬送管よりも外側から連続的に縮径しながら主陽極の軸方向後方に向かってくぼむように形成されている。さらに、第2凹部は主陽極の径方向について第1凹部の内縁から材料搬送管に至るまで連続的又は断続的に縮径しながら主陽極の軸方向後方に向かって第1凹部よりも大きく又は急峻にくぼむように形成されている。
このような構造によれば、材料搬送管の先端部から放出された材料が、プラズマに接触するまでの間に拡散し得る空間が広く確保される。この場合、材料が十分に拡散するため、材料の飛散単位のサイズの縮小化と均等化を図ることができる。これにより、皮膜がさらに緻密化するため、その品質が高まる。
【0004】
また、特許文献2には、「複合トーチ型プラズマ発生装置」という名称で、副トーチの部品点数を削減して製造コストを安くするとともに、副トーチ全体の簡素化及び小型化を図り、また、プラズマ及びプラズマフレームの直進性や安定性を向上させてプラズマ出力の増加を図ることが可能なプラズマ発生装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、一対の陰極と陽極からなる主トーチ及び副トーチと、プラズマガス供給手段を有する複合トーチ型プラズマ発生装置において、主トーチの軸芯を中心として複数の副トーチが放射線上に設置され、各副トーチの陽極が外套により囲まれるとともに、この外套の内壁に陰極が設置された構造となっている。
このような構造によれば、従来の複合トーチ型プラズマ発生装置のように副トーチの陽極の手前にタングステン陰極部を設ける必要がない。また、保護ガス挿入手段を有する絶縁部や配線あるいは配管を、タングステン陰極部に付随する陽極間に設ける必要がない。これにより、部品点数が削減されるため、製造コストが安くなり、副トーチ全体が簡素化及び小型化される。さらに、複数の副トーチが主トーチの軸芯を中心として放射線状に配置されていることから、プラズマ及びプラズマフレームの直進性及び安定性が向上する。その結果、プラズマ出力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−110669号公報
【特許文献2】特開2010−43341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来の汎用的な複合トーチ型のプラズマ発生装置について、図8乃至図12を用いて詳細に説明する。なお、図8乃至図12では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。そして、図8(a)は複合トーチ型のプラズマ発生装置の従来例の構造の一部を示した模式図であり、図8(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の全体構造を示した模式図である。また、図9乃至図12は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
図8(a)に示すように、複合トーチ型のプラズマ発生装置50は主トーチ51と、副トーチ52,53を備えている。副トーチ52,53は互いの中心軸が一致するように対向配置されており、主トーチ51は、その中心軸が副トーチ52,53の中心軸と交差するように配置されている。
【0007】
主トーチ51は、同軸に配置される主陰極54及び主外套55,56によって構成されており、主外套55,56の放出口は主陰極54の中心軸上に配置され、主陰極54と主外套55の間及び主外套55と主外套56の間には絶縁物57,58がそれぞれ設置されている。
副トーチ52は、同軸に配置される副トーチ陽極59及び副外套61によって構成されており、副外套61の放出口は副トーチ陽極59の中心軸上に配置され、副トーチ陽極59と副外套61の間には絶縁物63が設置されている。
また、副トーチ53は、同軸に配置される副トーチ陽極60及び副外套62によって構成されており、副外套62の放出口は副トーチ陽極60の中心軸上に配置され、副トーチ陽極60と副外套62の間には絶縁物64が設置されている。
【0008】
絶縁物57,58には主外套55,56の内部へアルゴン等の不活性ガスをプラズマガスとして送入するための送入口65,66がそれぞれ設けられており、絶縁物63,64には副外套61,62の内部へ上記プラズマガスを送入するための送入口67,68がそれぞれ設けられている。
主トーチ51と副トーチ52,53はそれぞれ絶縁性を保たれた状態で連結管69によって固定されており、連結管69には、材料送入管(図示せず)が設けられている。この材料送入管から連結管69の内部へ送入された溶射材料は、プラズマの熱によって溶融した後、溶融粒子70となってプラズマフレーム86に同伴されながら母材71に吹き付けられる。その結果、母材71の表面に皮膜72が形成される。
【0009】
図8(b)に示すように、電源73は負端子が主陰極54に接続され、正端子がスイッチ75〜77を介して主外套55,56及び副トーチ陽極59にそれぞれ接続されている。
一方、電源74は正端子がスイッチ78,79を介して副トーチ陽極59,60にそれぞれ接続され、負端子がスイッチ80〜82を介して主陰極54及び副外套61,62にそれぞれ接続されている。
なお、スイッチ75〜82は、電磁石の動作により電路を開閉する電磁接触器と、過大な負荷がかかった場合に電路を遮断するサーマルリレー等を組み合わせた電磁開閉器(マグネットスイッチ)によって構成されている。
【0010】
プラズマ発生装置50の動作について図9乃至図12を用いて説明する。なお、図9乃至図12では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
図8(b)に示したプラズマ発生装置50において、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ75を閉じて、電源73によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される(図9(a)参照)。
次に、スイッチ76を閉じた後、スイッチ75を開いて、電源73によって主陰極54と主外套56の間に高電圧を印加すると、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図9(b)参照)。
【0011】
さらに、スイッチ78,81を閉じて電源74によって副トーチ陽極59と副外套61の間に高電圧を印加するとともに、送入口67からプラズマガスを副外套61の内部へ送入すると、副起動アークが形成され、副外套61の先端の放出口よりプラズマフレーム83bが放出される(図10(a)参照)。
このとき、主トーチ51と副トーチ52の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83a,83bが導電性を有するため、スイッチ77を閉じると同時にスイッチ76を開くとともに、スイッチ78,81を開くと、副トーチ陽極59の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム84が形成される(図10(b)参照)。
【0012】
図10(b)に示した状態から、スイッチ79,82を閉じて電源74によって副トーチ陽極60と副外套62の間に高電圧を印加するとともに、送入口68からプラズマガスを副外套62の内部へ送入すると、副起動アークが形成され、副外套62の先端の放出口よりプラズマフレーム83cが放出される(図11(a)参照)。
このとき、主トーチ51と副トーチ53の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83cが導電性を有するため、スイッチ80を閉じると同時にスイッチ82を開くと、副トーチ陽極60の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム85が形成され、プラズマフレーム84と合わせて、T字状のプラズマフレームとなる(図11(b)参照)。
【0013】
図11(b)に示した状態のプラズマ発生装置50において、材料送入管から連結管69の内部へ溶射材料を送入すると、プラズマの熱によって溶射材料が溶融し、溶融粒子70の状態でプラズマフレーム86に同伴されて母材71に吹き付けられる。これにより、母材71の表面に皮膜72が形成される(図12参照)。
そして、前述したように、プラズマ発生装置50においてはT字状のプラズマフレーム85が形成されるため、プラズマフレーム86の直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。従って、特許文献1や特許文献2に開示された従来の複合トーチ型のプラズマ発生装置50によれば、単トーチ型のプラズマ発生装置よりも低電流状態で使用することができる。
【0014】
しかしながら、このような構造のプラズマ発生装置においては、スイッチが多く、その切り替え手順が複雑であるため、プラズマフレームを発生させるまでに時間がかかるという課題があった。また、構造が複雑なため、製造コストが高いという課題があった。
【0015】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたものであり、構造が簡単であって、安価に製造することが可能なプラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、主陰極と,この主陰極を囲むとともにその軸方向前方に第1の主放出口を有する第1の主外套と,この主外套を囲むとともにその軸方向前方に第2の主放出口を有する第2の主外套からなる主トーチと、第1の副トーチ陽極と,この第1の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第1の副放出口を有する第1の副トーチと、第2の副トーチ陽極と,この第2の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第2の副放出口を有する第2の副トーチと、を備え、第1の副トーチ及び第2の副トーチは、互いの中心軸が一致するように対向配置され、主陰極は、その中心軸が第1の副トーチ及び第2の副トーチの中心軸と交差するように配置されたプラズマ発生装置において、負端子が主陰極に接続され、正端子が第1の副トーチ陽極に接続される第1の電源と、負端子が主陰極に接続され、正端子が第2の副トーチ陽極に接続されるとともに、第1のスイッチを介して第1の主外套及び第2の主外套に接続される第2の電源と、を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
このような構造のプラズマ発生装置において、第1の主外套の内部へプラズマガスを送入して第1のスイッチを閉じ、第2の電源によって主陰極と第1の主外套の間に高電圧を印加すると、主陰極の先端から第1の主外套の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレームとなって第1の主外套の先端より放出される。
このとき、第2の電源によって主陰極と第2の主外套の間にも高電圧が印加されているため、プラズマの陽極点が第1の主外套から第2の主外套へ移行し、第2の主外套の先端より主トーチの外部へプラズマフレームが放出される。
【0018】
さらに、第1の副外套及び第2の副外套の内部へプラズマガスを送入すると、主トーチと第1の副トーチ及び第2の副トーチの中心軸が交差し、かつ、第2の主外套の放出口から放出されたプラズマフレームが導電性を有することから、第2の電源により高電圧を印加して主陰極と第1の副トーチ陽極の間に高周波を流すと、第1の副トーチ陽極の先端から主陰極の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレームが形成される。
続いて、第1のスイッチを開いて第2の電源により高電圧を印加して主陰極と第2の副トーチ陽極の間に高周波を流すと、第2の副トーチ陽極の先端から主陰極の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレームが形成され、前述のプラズマフレームと合わさって、T字状のプラズマフレームとなる。その結果、プラズマフレームの直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。
【0019】
すなわち、請求項1記載の発明においては、1つの主陰極に対して2つの副トーチ陽極を有する従来のツインアノード型のプラズマ発生装置と同様の作用を有する。しかも、従来技術に係るプラズマ発生装置に比べると、スイッチの数とその操作回数が少なく、スイッチの切り替え手順が簡単である。従って、短時間でプラズマフレームが発生する。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のプラズマ発生装置において、第2の電源は、正端子が第1のスイッチを介して第1の主外套及び第2の主外套に接続される代わりに、第2のスイッチを介して第1の主外套に接続されるとともに、第3のスイッチを介して第2の主外套に接続されることを特徴とするものである。
このような構造のプラズマ発生装置においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、第1の主外套の先端からプラズマフレームが放出されている状態であっても第3のスイッチの操作により第2の主外套と主陰極の間に高電圧が印加されるまで、主トーチの外部へプラズマフレームが放出されないという作用を有する。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のプラズマ発生装置において、第1の副トーチ及び第2の副トーチが主陰極の軸方向前方に複数設置されることを特徴とするものである。
このような構造のプラズマ発生装置においては、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加えて、互いに対向配置されている複数組の第1の副トーチ陽極及び第2の副トーチ陽極に対して、主トーチの先端に近い側から軸方向前方へ向かって順に高電圧を印加することにより、主トーチの先端から軸方向前方へ向かって形成されるプラズマフレームが伸長されるという作用を有する。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置において、主トーチは主陰極に代えて主陽極を備え、第1の副トーチ及び第2の副トーチは第1の副トーチ陽極及び第2の副トーチ陽極に代えて第1の副トーチ陰極及び第2の副トーチ陰極をそれぞれ備え、第1の電源は、正端子が主陽極に接続され、負端子が第1の副トーチ陰極に接続され、第2の電源は、正端子が主陽極に接続され、負端子が第2の副トーチ陰極、第1の主外套及び第2の主外套に接続されることを特徴とするものである。
このような構造によれば、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有するツインカソード型のプラズマ発生装置においても請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された発明と同様の作用を有する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の請求項1記載のプラズマ発生装置によれば、単トーチ型のプラズマ発生装置に比べて低電流状態で使用することができる。また、プラズマフレームを発生させるまでに要する時間が短縮されるため、プラズマガスの消費量を少なくすることができる。さらに、電源と各電極の間の回路構成が単純であるため、製造コストを安くすることができる。
【0024】
本発明の請求項2記載のプラズマ発生装置によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、プラズマフレームを主トーチの外部へ放出するタイミングを容易に調整できるという効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項3記載のプラズマ発生装置によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、溶射材料がプラズマフレームに熱暴露される時間を長くすることができる。
【0026】
本発明の請求項4記載のプラズマ発生装置によれば、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有するツインカソード型のプラズマ発生装置においても請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された発明と同様の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置の実施例の構造を示した模式図である。
【図2】図1のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図3】図1のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図4】図1のプラズマ発生装置の第1の変形例を示した模式図である。
【図5】図4のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図6】図4のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図7】(a)及び(b)はそれぞれ図1のプラズマ発生装置の第2の変形例及び第3の変形例を示した模式図である。
【図8】(a)は複合トーチ型のプラズマ発生装置の従来例の構造の一部を示した模式図であり、(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の全体構造を示した模式図である。
【図9】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図10】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図11】(a)及び(b)は図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【図12】図8(a)のプラズマ発生装置の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のプラズマ発生装置は、従来の複合トーチ型のプラズマ発生装置において主トーチや副トーチと電源との間の配線を改良したものである。以下、その具体的な構造について図1乃至図7を用いて説明する。なお、図8乃至図12を用いて既に説明した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。また、図1乃至図7では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
【実施例】
【0029】
図1は本実施例のプラズマ発生装置の構造を模式的に示した図である。
図1に示すように、プラズマ発生装置1aは従来のプラズマ発生装置50において、スイッチ75〜82の代わりに、スイッチ2を備えた構造となっている。
そして、電源73は負端子が主陰極54に接続され、正端子が副トーチ陽極59に接続されている。また、電源74は正端子が副トーチ陽極60に接続され、スイッチ2を介して主外套55,56に接続され、負端子が主陰極54に接続されている。
なお、スイッチ2は、プラズマ発生装置50のスイッチ75〜82と同じ電磁開閉器(マグネットスイッチ)によって構成されている
【0030】
プラズマ発生装置1aの動作について図2及び図3を用いて説明する。なお、図2及び図3では、回路が閉じていない状態を破線で示し、回路が閉じている状態を実線で示している。
図1に示したプラズマ発生装置1aにおいて、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ2を閉じて、電源74によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される。
このプラズマフレーム83aが導電性を有することに加え、電源74によって主陰極54と主外套56の間に高電圧が印加されていることから、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図2参照)。
【0031】
このとき、主トーチ51と副トーチ52の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83aが導電性を有することを利用して、電源73により主陰極54と副トーチ陽極59の間に高周波を流すとともに、送入口67からプラズマガスを副外套61の内部へ送入すると、図11(a)に示した場合と同様に、副トーチ陽極59の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム84が形成される。
次に、送入口68からプラズマガスを副外套62の内部へ送入するとともに、スイッチ2を開いて電源74により主陰極54と副トーチ陽極60の間に高周波を流す。この場合、主トーチ51と副トーチ53の中心軸が交差し、かつ、プラズマフレーム83aが導電性を有するため、副トーチ陽極60の先端から主陰極54の陰極点に至るヘアピン状のプラズマフレーム85が形成され、前述のプラズマフレーム84と合わさって、T字状のプラズマフレームとなる(図3参照)。その結果、プラズマフレーム86の直進性と安定性が向上し、プラズマの出力が増加する。
さらに、材料送入管から連結管69の内部へ溶射材料を送入すると、プラズマの熱によって溶射材料が溶融し、溶融粒子70の状態でプラズマフレーム86に同伴されて母材71に吹き付けられる。その結果、母材71の表面に皮膜72が形成される。
【0032】
このように、プラズマ発生装置1aにおいては、1つの主陰極54に対して2つの副トーチ陽極59,60を有する従来のツインアノード型のプラズマ発生装置50と同様の作用を有する。しかも、プラズマ発生装置50に比べると、スイッチの数とその操作回数が少なく、スイッチの切り替え手順が簡単であるため、短時間でプラズマフレームが発生する。
従って、プラズマ発生装置1aによれば、単トーチ型のプラズマ発生装置に比べて低電流状態で使用することができる。また、プラズマフレームを発生させるまでに要する時間が短縮されるため、プラズマガスの消費量を少なくすることが可能である。加えて、電源と各電極の間の回路構成が単純であるため、安価に製造することができる。
【0033】
なお、本発明のプラズマ発生装置の構造は本実施例に示した場合に限定されるものではない。例えば、図4にプラズマ発生装置1bとして示すように、プラズマ発生装置1aにおいて電源74の正端子がスイッチ2を介して主外套55,56に接続される代わりに、スイッチ3を介して主外套55に接続されるとともに、スイッチ4を介して主外套56に接続される構造とすることもできる。
【0034】
プラズマ発生装置1bの動作について図5及び図6を用いて説明する。
図4に示したプラズマ発生装置1bにおいて、送入口65からプラズマガスを主外套55の内部へ送入し、スイッチ3を閉じて、電源74によって主陰極54と主外套55の間に高電圧を印加すると、主陰極54の先端から主外套55の放出口に向かって主起動アークが形成される。その結果、プラズマガスが加熱され、プラズマフレーム83aとなって主外套55の先端より放出される(図5参照)。
次に、スイッチ4を閉じた後、スイッチ3を開いて、電源74によって主陰極54と主外套56の間に高電圧を印加すると、プラズマフレーム83aの陽極点は主外套55から主外套56へ移行し、図2におけるプラズマ発生装置1aの場合と同様に、プラズマフレーム83aは主外套56の先端より主トーチ51の外部へ放出される(図6参照)。
【0035】
このように、プラズマ発生装置1bにおいては、主外套55の先端からプラズマフレーム83aが放出されている状態であってもスイッチ4の操作により主外套56と主陰極54の間に高電圧が印加されるまで主トーチ51の外部へプラズマフレーム83aが放出されることがない。従って、プラズマ発生装置1bによれば、プラズマフレーム83aを主トーチ51の外部へ放出するタイミングを容易に調整することができる。
【0036】
また、図7(a)にプラズマ発生装置1cとして示すように、電源73の正端子と副トーチ陽極59がスイッチ5を介して接続され、電源74の正端子と副トーチ陽極60がスイッチ6を介して接続される構造とすることもできる。
この場合、主トーチ51の外部へプラズマフレーム83aが放出されている状態であってもスイッチ5,6の操作により副トーチ陽極59,60の先端と主陰極54の間に高電圧が印加されるまで副トーチ陽極59,60の先端から主陰極54の陰極点にヘアピン状のプラズマフレーム84が形成されることがない。従って、プラズマ発生装置1cによれば、副トーチ陽極59,60の先端から主陰極54の陰極点にかけてヘアピン状のプラズマフレーム84がそれぞれ形成されるタイミングを容易に調整することができる。
【0037】
さらに、プラズマ発生装置1a〜1cにおいて、副トーチ52,53の組が主陰極54の軸方向前方に複数設置された構造とすることもできる。このような構造によれば、互いに対向配置されている複数組の副トーチ陽極59,60に対して、主トーチ51の先端に近い側から軸方向前方へ向かって順に高電圧を印加することにより、主トーチ51の先端から軸方向前方へ向かって形成されるプラズマフレーム86が伸長されるという作用を有する。これにより、連結管69の内部において溶射材料がプラズマフレーム86に熱暴露される時間を長くすることができる。
【0038】
また、図7(b)にプラズマ発生装置1dとして示すように、プラズマ発生装置1aにおいて、主トーチ51の主陰極54を主陽極7に代え、副トーチ52,53の副トーチ陽極59,60をそれぞれ副トーチ陰極8,9に代えるとともに、電源73の正端子が主陽極7に接続され、電源73の負端子が副トーチ陰極8に接続され、電源74の正端子が主陽極7に接続され、電源74の負端子が副トーチ陰極9に接続されるとともに、スイッチ2を介して主外套55,56に接続された構造としても良い。
この場合、プラズマ発生装置1dは、1つの主陽極に対して2つの副トーチ陰極を有する「ツインカソード型」となるが、このような構造であってもプラズマ発生装置1aと同様の作用及び効果が発揮される。なお、プラズマ発生装置1b,1cについてもプラズマ発生装置1aに対する場合と同様の変更を加えることによれば、プラズマ発生装置1dの場合と同様の作用及び効果が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
請求項1乃至請求項4に記載のプラズマ発生装置は、プラズマ溶射に限らず、溶接や切断などのように高温のプラズマを熱源として利用する各種の加工方法に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1a〜1d…プラズマ発生装置 2〜6…スイッチ 7…主陽極 8,9…副トーチ陰極 50…プラズマ発生装置 51…主トーチ 52,53…副トーチ 54…主陰極 55,56…主外套 57,58…絶縁物 59,60…副トーチ陽極 61,62…副外套 63,64…絶縁物 65〜68…送入口 69…連結管 70…溶融粒子 71…母材 72…皮膜 73,74…電源 75〜82…スイッチ 83a〜83c…プラズマフレーム 84〜86…プラズマフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主陰極と,この主陰極を囲むとともにその軸方向前方に第1の主放出口を有する第1の主外套と,この主外套を囲むとともにその軸方向前方に第2の主放出口を有する第2の主外套からなる主トーチと、
第1の副トーチ陽極と,この第1の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第1の副放出口を有する第1の副トーチと、
第2の副トーチ陽極と,この第2の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第2の副放出口を有する第2の副トーチと、
を備え、
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチは、互いの中心軸が一致するように対向配置され、
前記主陰極は、その中心軸が前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチの中心軸と交差するように配置されたプラズマ発生装置において、
負端子が前記主陰極に接続され、正端子が前記第1の副トーチ陽極に接続される第1の電源と、
負端子が前記主陰極に接続され、正端子が前記第2の副トーチ陽極に接続されるとともに、第1のスイッチを介して前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続される第2の電源と、
を備えたことを特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第2の電源は、
前記正端子が前記第1のスイッチを介して前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続される代わりに、
前記第2のスイッチを介して前記第1の主外套に接続されるとともに、第3のスイッチを介して前記第2の主外套に接続されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチが前記主陰極の軸方向前方に複数設置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記主トーチは前記主陰極に代えて主陽極を備え、
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチは前記第1の副トーチ陽極及び前記第2の副トーチ陽極に代えて第1の副トーチ陰極及び第2の副トーチ陰極をそれぞれ備え、
前記第1の電源は、正端子が前記主陽極に接続され、負端子が前記第1の副トーチ陰極に接続され、
前記第2の電源は、正端子が前記主陽極に接続され、負端子が前記第2の副トーチ陰極、前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項1】
主陰極と,この主陰極を囲むとともにその軸方向前方に第1の主放出口を有する第1の主外套と,この主外套を囲むとともにその軸方向前方に第2の主放出口を有する第2の主外套からなる主トーチと、
第1の副トーチ陽極と,この第1の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第1の副放出口を有する第1の副トーチと、
第2の副トーチ陽極と,この第2の副トーチ陽極を囲むとともにその軸方向前方に第2の副放出口を有する第2の副トーチと、
を備え、
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチは、互いの中心軸が一致するように対向配置され、
前記主陰極は、その中心軸が前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチの中心軸と交差するように配置されたプラズマ発生装置において、
負端子が前記主陰極に接続され、正端子が前記第1の副トーチ陽極に接続される第1の電源と、
負端子が前記主陰極に接続され、正端子が前記第2の副トーチ陽極に接続されるとともに、第1のスイッチを介して前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続される第2の電源と、
を備えたことを特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第2の電源は、
前記正端子が前記第1のスイッチを介して前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続される代わりに、
前記第2のスイッチを介して前記第1の主外套に接続されるとともに、第3のスイッチを介して前記第2の主外套に接続されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチが前記主陰極の軸方向前方に複数設置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記主トーチは前記主陰極に代えて主陽極を備え、
前記第1の副トーチ及び前記第2の副トーチは前記第1の副トーチ陽極及び前記第2の副トーチ陽極に代えて第1の副トーチ陰極及び第2の副トーチ陰極をそれぞれ備え、
前記第1の電源は、正端子が前記主陽極に接続され、負端子が前記第1の副トーチ陰極に接続され、
前記第2の電源は、正端子が前記主陽極に接続され、負端子が前記第2の副トーチ陰極、前記第1の主外套及び前記第2の主外套に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−101787(P2013−101787A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244015(P2011−244015)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(511269945)株式会社PSET (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(511269945)株式会社PSET (1)
【Fターム(参考)】
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