説明

プラットホームドア状態監視システム

【課題】センサー毎の個別判別パターンや複数の組合わせ判別パターンを基にして作成されており、センサーが複数になればなる程、認識率は向上するが、逆に機器構成が複雑で高価となり、また組み合わせ判別パターンが多くなる事で、パターンマッチング処理に時間を要し、判定処理が遅くなるという課題がある。
【解決手段】プラットホームドア周辺の状態を検出するためのエリアセンサーと、前記エリアセンサーから入力された情報を基に、検出物の大きさ及び動線から駆け込み乗車の判定を行う駆け込み乗車判定部を備えた駆け込み乗車検出部とを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅構内に設けられたプラットホームドアの状態を監視するプラットホームドア状態監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプラットホームドア状態監視システムとしては特開2006−205970号公報に示すようなものがある。センサーから入力される検出信号を判定させる為に、複数の判定パターンを装置内に予め登録しておき、センサーより入力された検出信号に対して、登録していた判定パターンが一致していないかを判定し、一致した場合は、時系列に記録していき、それらの状態変化によって、物体の検出と接近を把握する仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−205970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のプラットホームドア状態監視システムにおいては、複数のセンサーによって構成されているが、判定処理回路は、上記に述べた通り、センサー毎の個別判別パターンや複数の組合わせ判別パターンを基にして作成されており、センサーが複数になればなる程、認識率は向上するが、逆に機器構成が複雑で高価となり、また組み合わせ判別パターンが多くなる事で、パターンマッチング処理に時間を要し、判定処理が遅くなるといった課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で短時間に判定処理を行なうことができるプラットホームドア状態監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わるプラットホームドア状態監視システムは、プラットホームドア周辺の状態を検出するためのエリアセンサーと、前記エリアセンサーから入力された情報を基に、検出物の大きさ及び動線から駆け込み乗車の判定を行う駆け込み乗車判定部を備えた駆け込み乗車検出部とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わるプラットホームドア状態監視システムは、簡単な構成で短時間に判定処理を行なうことができるプラットホームドア状態監視システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムにおけるエリアセンサーによる測定状態を示す状態図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムにおける入力処理部の処理状態を示す状態図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの動作を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1ないし図5に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの構成を示すブロック図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムにおけるエリアセンサーによる測定状態を示す状態図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムにおける入力処理部の処理状態を示す状態図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの動作を示すブロック図である。図5はこの発明の実施の形態1に係わるプラットホームドア状態監視システムの動作を示すフローチャート図である。
【0010】
これら各図において、1はプラットホームドア周辺の状態を検出するための例えばレーザー光1aを利用したエリアセンサー、2はエリアセンサー1から入力された情報を基に、検出物の大きさ及び動線から駆け込み乗車の判定を行う駆け込み乗車判定部を備えた駆け込み乗車検出部である。また、駆け込み乗車検出部2は、エリアセンサー1からの入力された情報の処理を行う入力処理部3と、この入力処理部3で処理したデータを基に所定の距離にある物体毎に仕分け処理を行う物体検知情報処理部4と、物体の大きさのフィルタリングや動線を求め、駆け込み乗車を判定処理する駆け込み乗車判定部5と、判定結果をホーム柵個別制御部へ通知する判定結果出力処理部6とから構成される。
【0011】
図2は、エリアセンサー1によるプラットホームドア周辺の状態を検出内容について説明する。エリアセンサー1は、図2に示す通り、レーザー光1aを一定の角度で高速に検出対象エリアに対して例えば測定ポイント−1〜測定ポイント−90のように走査しており、検出対象エリア内に検出物である物体が進入した場合、エリアセンサー1は物体からの反射光の到達時間を測定し、物体までの距離を測定し、上位へ出力する。検出物である物体が複数あった場合でも、同様に処理し、その処理時間は、検出エリアを全て走査し、距離を求めるまでおよそ数10msecである。
【0012】
例えば、図2に示すように、物体Aを検出したときは物体Aまでの距離LAと測定されるとともに、物体Bを検出したときは物体Bまでの距離LBと測定されることになる。
【0013】
図3は、駆け込み乗車検出部2内の入力処理部3の処理内容について説明する。駆け込み乗車検出部2内の入力処理部3では、エリアセンサー1が検出した物体の情報(距離、角度など)を各測定ポイント毎に、内部データテーブルDT1を生成する。
【0014】
次に、駆け込み乗車検出部2の動作について、図4に示すブロック図と図5に示すフローチャート図に基づいて説明する。
【0015】
まず、エリアセンサー1のセンシングが開始(ST1)されると、エリアセンサー1から検出されたスキャンデータが送信され、上記にて説明した入力処理部3で生成された各測定ポイント毎のデータテーブルDT1が生成される。
【0016】
次に、物体検知情報処理部4にて、測定ポイントデータを参照し、検出した物体の中で、同じ距離で検出角度が連続しているものをグルーピング処理(ST2)し、物体検知情報DT2が生成される。
【0017】
次に、駆け込み乗車判定部5に移り、まずは、グルーピングされたデータである物体検知情報DT2を基に、検出物である物体の大きさ(サイズ)を検出位置(距離)と検出方向(
角度)から算出して検出物サイズ生成処理(ST3)を行い、その検出サイズが予め設定
しておいた所定サイズ以上かを比較(ST4)して、所定サイズ以上でなく小さければ、対象外として、駆け込み乗車判定対象から除外する(ST5)。このような所定サイズ以上か否かのサイズチェックにより、鳥や飛来物などの小物体による誤検知を抑制する事が可能となる。
【0018】
次に、サイズチェックが完了すると、過去にスキャンして記録しておいた物体検知情報DT3を読み出し(ST6)、同一物体の確認(検出時間、物体の大きさ、検出距離)(ST7)を行い、その物体検知情報を書き込み(ST8)を行い、同一物体か否かを比較(ST9)し、同一物体と判断されなかった場合は、駆け込み乗車判定対象から除外される(ST10)。
【0019】
同一物体と判断された場合は、前回からの移動量(位置の差分)から、検出した全ての物体の移動方向と移動スピードを算出する(ST11)。
【0020】
次に、駆け込み乗車判定処理にて、物体の移動方向と移動スピードから、プラットホームドアのホーム柵に向かって、所定のスピード以上で接近している物体の駆け込み乗車判定処理を行う(ST12)。移動物体の方向をチェックする事で、ホーム柵を横切る人は検知しない様にする事が可能となる。
【0021】
駆け込み乗車と判定された場合は、判定結果出力処理部6に対して、検出した物体の大きさ、移動方向を通知し、判定結果出力処理部6から図示しないホーム柵の制御装置や車両扉制御装置に出力する(ST13)事で、ホーム柵扉や車両扉の開閉スピードを遅くしたり停止させたりする事が可能となり、駆け込み乗車による扉での戸バサミを事前に防止し、スムーズな列車運行と、乗車客の安全性が向上する。
【0022】
以上説明したような、この発明の実施の形態1によれば、上述した従来のプラットホームドア状態監視システムのように、パターンマッチング処理ではなく、演算処理が中心としたことにより、高速(100msec以内)で処理する事が可能となり短時間で判定処理を行なうことができる。また、入力処理部内にある登録用データテーブルも少なくて済み、構成が簡単になるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、簡単な構成で短時間に判定処理を行なうことができるプラットホームドア状態監視システムの実現に好適である。
【符号の説明】
【0024】
1 エリアセンサー
1a レーザー光
2 駆け込み乗車検出部
3 入力処理部
4 物体検知情報処理部
5 駆け込み乗車判定部
6 判定結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームドア周辺の状態を検出するためのエリアセンサーと、前記エリアセンサーから入力された情報を基に、検出物の大きさ及び動線から駆け込み乗車の判定を行う駆け込み乗車判定部を備えた駆け込み乗車検出部とを設けたことを特徴とするプラットホームドア状態監視システム。
【請求項2】
前記駆け込み乗車検出部は、前記エリアセンサーから入力された情報を処理する入力処理部と、前記入力処理部で処理したデータを基に所定の距離にある物体毎に仕分け処理を行う物体検知情報処理部と、前記物体の大きさのフィルタリングや動線を求めて駆け込み乗車を判定処理する駆け込み乗車判定部と、前記駆け込み乗車判定部の判定結果を出力する判定結果出力処理部とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載のプラットホームドア状態監視システム。
【請求項3】
前記エリアセンサーはレーザー光を利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホームドア状態監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−183823(P2011−183823A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47783(P2010−47783)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】