説明

プラットホーム用ステップ装置

【課題】本発明は、ロックを解除してステップを進出又は退避させる動作を迅速に行うことが可能なプラットホーム用ステップ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ステップ装置1は、モータユニット17による駆動と連動してステップ7の移動を進出位置及び退避位置でロックできるロック装置300を備えている。ステップ7の牽引部材24はステップ7に対して相対移動が可能である。また、ロック装置300の第1ロック部40は、牽引部材24にステップ7の退避方向に向かって付勢されることにより、ロック装置300の第1リンク機構60に係止してステップ7の進出方向への移動をロックする。ロック状態において、牽引部材24がステップ7に対して進出方向に相対移動して付勢が解除されることにより、ロック解除状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームと停車車両との隙間に乗客が転落することを防止するため、プラットホーム側から乗客の足場となるステップを当該隙間に進出させるように駆動するプラットホーム用ステップ装置が用いられており、例えば、特許文献1に開示されているプラットホーム用ステップ装置が知られている。
【0003】
このプラットホーム用ステップ装置は、ステップを進出位置、退避位置でロックできるロック機構を備えることにより、ステップを進出位置/退出位置で確実に保持することを可能としている。また、ソレノイド等の揺動手段を用いて揺動部材を揺動させることにより、ステップのロック状態を解除することができるとともに、カム体を回転させることによってもロック状態を解除することができる構成となっている。そのため、ロック解除に必要なソレノイド等の揺動手段が故障した場合等の非常時にも、カム体を回動させることでロック解除が可能であり、ステップ装置の故障等の万一の場合でも列車の運行への影響を小さく抑えることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−161188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたプラットホーム用ステップ装置は、ロック解除用のソレノイドが故障する等の非常時には、揺動部材を揺動させるためのカム体を工具等で回転させてロック状態を解除し、その後、ステップを手動で進出又は退避させる必要がある。即ち、カム体を回転させる動作とステップを進退させる動作との二つの動作が必要となるため、非常時におけるロック解除のための迅速な対応を妨げる虞がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ロックを解除してステップを進出又は退避させる動作を迅速に行うことが可能なプラットホーム用ステップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置に関する。
そして、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明のプラットホーム用ステップ装置は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第1の特徴は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、プラットホームに埋設可能なケースと、前記ケースに支持されるステップと、前記ステップを牽引するための牽引部材と、前記ステップを、前記牽引部材を介して車両側に対し進出または退避させるように前記ケースに対し相対移動させるための駆動手段と、前記駆動手段と連動して、当該ステップの移動を進出位置及び退避位置の少なくともいずれかの位置でロックできるロック装置と、を備え、前記牽引部材は、前記ステップに対して前記ステップの進退方向と平行に所定量の相対移動が可能となるように形成されており、前記ロック装置は、前記ステップに直接または間接的に固定されたステップ側ロック機構と、前記ケースに固定されたケース側ロック機構とを有し、前記ケース側ロック機構は、前記牽引部材に前記ステップの進退方向と平行な一方向に向かって付勢されることにより、前記ステップ側ロック機構に係止して前記ステップの当該一方向と反対方向への移動をロックするロック状態に移行し、当該ロック状態において、前記牽引部材が前記ステップに対して当該反対方向に相対移動して付勢が解除されることにより、ロック解除状態に移行できるように構成されていることである。
【0009】
この構成によると、ステップの移動がロックされている状態においても、牽引部材は所定量の移動が可能となる。
このロック装置は、ケース側ロック機構をステップの進退方向と平行な一方向に付勢されることにより、ロック状態に移行する。即ち、牽引部材の移動方向と、ロック状態に移行するためにケース側ロック機構を付勢する方向とが一致している。そのため、牽引部材とケース側ロック機構との当接部における摩擦等の影響が少なく、安定したロック動作を行うことが可能となる。同様に、当該付勢の解除によりロック解除が可能であるため、ロック解除動作においても当接部における摩擦等の影響は少ないため安定して当該動作を行うことが可能となる。
そして、ロック状態において、牽引部材を当該一方向と反対方向に移動させることで、ステップに対して牽引部材が相対移動してロック状態が解除されるとともに、ステップを牽引部材により牽引して当該反対方向に移動させることが可能となる。これより、ロックを解除しステップを進出又は退避させる動作を、牽引部材を一方向に移動させるという一つの動作によって行うことが可能となる。したがって、ロックを解除してステップを進出又は退避させる動作を迅速に行うことが可能である。
牽引部材の移動に伴ってロックできる構成であるため、ロックのタイミングを検出するための位置センサ等が不要となり、簡易な構成とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第2の特徴は、前記牽引部材は、前記ステップに直接または間接的に固定された被取付部材に対して取り付けられており、前記牽引部材と前記被取付部材とのいずれか一方には進退方向に延びる長穴が形成され、他方には当該長穴に挿入され当該長穴に沿ってスライド可能な軸部材が固定されており、前記牽引部材は、前記ステップに対して、前記軸部材が前記長穴に沿ってスライド可能な所定量の相対移動を行うことが可能であることである。
【0011】
この構成によると、牽引部材のステップに対する相対移動が長穴と軸部材とからなる簡易な機構で可能となる。したがって、容易に装置を製造することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第3の特徴は、前記ケース側ロック機構は、前記牽引部材の移動に伴って当該牽引部材に押込まれる押込部と、当該押込部が押込まれることにより前記ステップ側ロック機構に向かって突出するロッド部と、を備え、前記ステップ側ロック機構は、前記ステップの進退方向と垂直な方向に変位可能に設けられ前記ロッド部と係止可能な係止ラッチ部と、当該係止ラッチ部を付勢して前記ロッド部との係止位置に保持する係止ラッチ付勢手段と、を備え、前記牽引部材が一方向に移動して前記押込部が押込まれると、前記係止ラッチ部は、前記係止ラッチ付勢手段による付勢方向と逆方向に向かって前記ロッド部により付勢されて変位しながら、当該ロッド部に付勢されない位置まで当該一方向に移動し、前記係止ラッチ付勢手段により付勢されて係止位置に戻されることで当該一方向と反対方向への移動を前記ロッド部により係止されたロック状態に移行し、当該ロック状態において、前記牽引部材が当該一方向と反対方向に向かって前記ステップに対して相対移動すると、当該牽引部材による前記押込部の押込みが解除されて前記ロッド部が非係止位置まで引き込まれ、ロック解除状態に移行することである。
【0013】
この構成によると、係止ラッチ部がロッド部により付勢されて変位しながらロック状態に移行する。即ち、係止ラッチ部が変位可能に設けられていることにより、ロッド部の突出動作を係止ラッチ部が妨げることがなくなる。したがって、牽引部材は、押込部を押込みながら進退方向と平行な一方向に移動することができ、これにより、ステップをロック位置まで牽引することが可能となる。そして、ロッド部が係止ラッチ部を付勢しない位置(ロック位置)まで係止ラッチ部が移動すると係止ラッチ付勢手段により、係止ラッチ部は係止位置に戻るため、ロック状態への移行を自動的に行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るプラットホーム用ステップ装置における第4の特徴は、前記ケース側ロック機構は、複数の連結点を有するリンク機構であって、一端を前記ケースに対して回動自在に支持されるとともに、他端において前記ロッド部が前記ステップの進退方向に対して垂直な方向にのみ変位可能に設置され、前記連結点の少なくとも一つを前記押込部として前記牽引部材に向かって突出させるように屈曲した屈曲状態と、直線状に延びた直線状態とに変形可能であり、前記屈曲状態に保持するように付勢するバネ部材を備えることである。
【0015】
この構成によると、押込部を進退方向と平行に付勢することによりロッド部を進退方向と垂直な方向に突出させる動作を端部及び連結点における回動により可能としており、摩擦等の影響を受けにくい。これにより、ケース側ロック機構の劣化を抑制し、安定してロック動作及びロック解除動作を行うことが可能となる。また、バネ部材により、ロック解除状態に保持するように付勢されているため、牽引部材がステップに対して相対移動することにより、確実にロック解除を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置(以下、ステップ装置と称する。)が設置されたプラットホームの全体概略図である。図1は柵201を自動的に開閉することが可能な可動柵タイプのホームドア装置200(APG)とともにステップ装置1を適用した状態を示している。図1に示すように、プラットホーム100に設置されたステップ装置1は、ステップ7を車両側に対して進退させることができる。これにより、プラットホーム100と停車車両との間に乗客が転落することを防止することができる。
【0018】
図2及び図3は、図1に示すステップ装置1の平面図である。図2はステップ7が車両に対して退避した退避位置にある状態(以下退避状態と称する。)を示す図であり、図3はステップ7が車両に対して進出した進出位置にある状態(以下進出状態と称する。)を示す図である。図4は、図2におけるX−X部分断面矢視図である。また、図5は、図2におけるステップ装置1の一点鎖線Aで示す部分の拡大図であり、図6は、図5におけるステップ装置1を矢印B方向から見た図である。
【0019】
ステップ装置1は、プラットホーム100に埋設可能なケース2と、当該ケース2に車両側に対し進退移動できるように支持されるステップ7と、ケース2内に設置されてステップ7を車両側に対し進退移動させるための駆動モータ及び駆動ベルト等からなる駆動手段とを備えて構成される。
【0020】
このステップ装置1は、プラットホーム100の車両に対向する端部に形成された凹所100aに設置されている(図4参照)。当該凹所100aはプラットホーム100を形成する例えばコンクリートを長方形状に切り欠いて形成される。凹所100aの底面はステップ装置1を設置するための設置面とし、かつ、上面及び車両側を開放させるように構成している。
【0021】
ステップ装置1を構成するケース2は、複数の平板状のベース板3と、車両に対向する面を除く他の三辺の側面を形成する側板4と、アンカー等により凹所100aに固定される底板5と、乗降客の踏面となる天板6(図2、図3において省略)とを備えている。
【0022】
複数のベース板3は、ねじ等の取付部材や溶接などにより底板5と固着されている。また、底板5の四辺のうち車両側の辺を除いた三辺の部分に断面「コ」字状の側板4が溶接により固着されている(図4参照)。更に、側板4の上側に、天板6がボルト止めで固定される。この天板6は、ケース2を凹所100aに設置した際に、プラットホーム100の上面の一部を形成する。
【0023】
また、天板6には、プラットホームに沿った方向と平行に延びるガイド溝6aが形成されている。ガイド溝6aは、天板6を貫通する開口部であり、開口縁部において鉛直方向下向きに天板を折り曲げた形状となっており(図4参照)、ホームドア装置200の柵201(図1参照)の下部に設置される振れ止め金具等が当該ガイド溝6aに沿って移動できるようになっている。
【0024】
以上のようにして、車両側に開口を有する箱状のケース2が構成される。このケース2は、凹所100aに設置されることで、プラットホーム100に埋設可能とされている。
【0025】
そして、ケース2に対し、水平平板状のステップ7が支持される(図2及び図3において二点鎖線で示す)。このステップ7はフレーム8の車両側端部における上面に固定された構成とされており、フレーム8とともに、ケース2の底板5と天板6との間の空間に収容可能とされている。尚、ステップ7は、乗降客の歩行しやすさの観点から天板6と略水平に上面が位置するように設置されている(図4参照)。
【0026】
フレーム8は、底板5の面に対して平行に配置される複数本の角棒状部材を互いに溶接等で固着した枠体状の構成とされている。具体的には、図2及び図3に示すように、フレーム8は、車両に対してステップ7が進退する方向と平行に延びる平行支持部材81a〜81dと、当該平行支持部材に対して垂直に(プラットホームに沿った方向と平行に)延びる垂直支持部材82a〜82eとから構成される。
【0027】
図2及び図3においてステップ装置1の左側面よりの領域に位置する平行支持部材81aと81bとは、長手方向の中央付近において垂直支持部材82aにより連結支持されるとともに、反車両側の端部において垂直支持部材82bに連結支持されている。同様に、ステップ装置1の右側面よりの領域に位置する平行支持部材81cと81dとは垂直支持部材82dと82eとにより連結支持されている。そして、平行支持部材81bと81cとは、長手方向の中央付近において垂直支持部材82cに連結支持されている。この垂直支持部材82cには、長手方向の中央付近において、進退方向と平行に延びる長板状の連結支持部材90(被取付部材)が固定されている。当該連結支持部材90は、後述する牽引部材24が取り付けられており、を介して牽引可能であるとともに、ロック装置300の一部が固定されている。
【0028】
ケース2の底板5には、上記平行支持部材と平行に延びる4本のスライドレール83a、83b、83c、83dが固定されている。平行支持部材81a、81b、81c、81dはそれぞれスライドレール83a、83b、83c、83dに対して、当該スライドレールに沿って摺動可能に支持されている。具体的には、スライドレール83a〜83dは、側面に長手方向に延びる溝が形成されており、平行支持部材81a〜81dの側面に形成された凸部が当該溝に支持されながら当該スライドレールに沿って移動することになる。尚、平行支持部材81a〜81dの側面にカムフォロア等のガイドローラを取り付けて溝に沿わせて移動させることもできる。この結果、ステップ7及びフレーム8は、後述するモータユニット17の駆動によってプラットホーム100側から車両側に対して進退できるようになっている。
【0029】
また、ケース2のベース板3には、天板6を介して鉛直方向下向きに作用する荷重を支持することが可能な天板支持体9が設置されている。図4に示すように、天板支持体9は、ケース2内における反車両側の端部に近づいた位置に設置され、ステップ7の進退方向と平行な方向が長手方向となるように配置されている。当該天板支持体9は、両端をボルト等によりベース板3に固定され、中央部をベース板3から浮かし天板6と当接して支持するように、「コ」字状に曲げられた板状部材として形成されている。フレーム8の垂直支持部材82b、82eは天板支持体9とベース板3との間に位置し、進退方向に移動することが可能である。
【0030】
次に、ステップ7を車両側に対し進退させるための構成を説明する。図2及び図3に示すように、ケース2を構成するベース板3の反車両側の端部近傍には、モータユニット17(駆動手段)が固定される。このモータユニット17は、電動モータと、そのモータ軸の回転を減速しトルク増強する減速機と、の一体構成とされており、その駆動出力軸を鉛直方向に向けて配置される。当該駆動出力軸には原動プーリ18が固定される。電動モータは、図示せぬ給電線を介して制御盤と接続されている。一方、原動プーリ18よりもロック装置300側(図中において左側)において変換プーリ19が回転自在に軸支され、当該変換プーリ19よりも車両側の位置には従動プーリ20が回転自在に軸支されている。図6に示すように、変換プーリ19はベルト巻回部分が上下二段に形成されており回転比の調整を行うことが可能である。上段のプーリ19aは前記原動プーリ18と同じ高さとなるように設置され、当該原動プーリ18と上段のプーリ19aとの間には、可撓性を有する無端状のベルト21が巻回される。また、下段のプーリ19bと従動プーリ20との間にも、可撓性を有する無端状のベルト22が巻回される。
【0031】
図5、図6に示すように、ベルト22には、ベルト掴み部材23が適宜位置に固定されており、当該ベルト掴み部材23に牽引部材24が固定されている。牽引部材24は、ベルト掴み部材23との固定位置からベルト22の移動方向(進退方向)と垂直な方向(図5における左右方向)に延びるように形成されており、中途位置において鉛直方向下向きに延びる板状の垂下部24bを有する。そして、ベルト掴み部材23が固定されている端部と反対側の端部近傍において、進退方向と平行な方向を長手方向として延びる長穴24aが、当該長手方向に2つ並んで形成されている。この長穴24aにボルト等の軸部材25を貫通させた状態で当該軸部材25を連結支持部材90に対して固定することにより、牽引部材24と連結支持部材90とが連結されている。ここで、2本の軸部材25は、2つの長穴24aの間隔(長穴中心を結ぶ距離)と同間隔で並ぶように連結支持部材90に固定されており、これにより、牽引部材24は連結支持部材90に対して長穴24aの長手方向の径に相当する所定量の相対移動が可能となる。尚、図6に示すように牽引部材24は、上下から上面支持プレート91と連結支持部材90とにより挟み込まれている。上面支持プレート91と牽引部材24の上面との間、及び、連結支持部材90と牽引部材24の下面との間には、それぞれスライドブシュ92が介在しており、牽引部材24が連結支持部材90に対して容易にスライド可能となっている。
【0032】
上記構成により、モータユニット17を正逆駆動してベルト21及び変換プーリ19を介してベルト22を走行させることでベルト22に連結される牽引部材24を車両側に対して進退移動させることができる。そして、移動する牽引部材24によってフレーム8に固定される連結支持部材90が牽引される。これより、ステップ7をケースから突出させるとともに車両側に進出させ、一方、車両側から退避させてケース2内に収容させることができる。このように、モータユニット17は、ステップ7をケース2に対して相対移動させるための駆動手段としての役割を果たしている。
【0033】
尚、駆動手段は、上述したようなベルト駆動機構によるものに限らず、フレームにラックを固定して、電動モータで当該ラックに噛み合うピニオンを回転させることにより、フレームを進退移動させる構成とすることも可能である。
【0034】
次に、ステップ7の移動を進出位置及び退避位置でロックするためのロック装置300について説明する。図7〜図13は、退避位置及び進出位置におけるロック動作・ロック解除動作を説明するためのロック装置300の模式図である。
【0035】
図5に示すように、ロック装置300は、連結支持部材90における牽引部材24の取付位置よりも反車両側に位置する当該連結支持部材90の端部近傍に固定された第1ロック部40(ステップ側ロック機構)と、連結支持部材90における牽引部材24よりも車両側に固定された第2ロック部50(ステップ側ロック機構)と、ベース板3に固定された第1リンク機構60(ケース側ロック機構)と、当該第1リンク機構よりも車両側のベース板3に固定された第2リンク機構70(ケース側ロック機構)とからなる。
【0036】
そして、ステップ7が退避位置(図2に示す位置)にある場合のステップ7の進出方向への移動は、第1ロック部40が第1リンク機構60により係止されることによりロックされる。一方、ステップ7が進出位置(図3に示す位置)にある場合のステップ7の退避方向への移動は、第2ロック部50が第2リンク機構70により係止されることによりロックされる。
【0037】
第1リンク機構60は、ベース板3にボルト等で固定された板状のリンクベース3a上に設置されており、一端をリンクベース3a上に垂直に立設された支点ピン61を支点として回動自在に支持されている。この支点ピン61に回動自在に支持される長板状の第1リンク部62は、支点ピン61に支持される側とは逆側の端部において、連結ピン63により二枚の長板状部材からなる第2リンク部64で挟み込まれて回動自在に連結されている。この連結ピン63の下方の端部はリンクベース3aの上面から浮いた状態となるように設置されているため、支点ピン61を中心として揺動可能となっている。第2リンク部64は、連結ピン63による連結点とは逆側の端部において、連結ピン65により円柱状のロッド部66の一端に回動自在に連結されている。この連結ピン65の下端はリンクベース3aから浮いた状態となるように設置されている。
【0038】
リンクベース3aには、ロッド部66が摺動可能に形成されたガイド孔を有するガイド部材67が固定されており、当該摺動方向がリンクベース3aの上面と平行であって、ステップ7の進退方向と垂直方向となるように設置されている。これにより、ガイド部材67のガイド孔に挿入されているロッド部66は、当該ガイド孔に沿って一方向(ステップの進退方向と垂直方向)にのみ変位可能に設置されている。
【0039】
したがって、第1リンク機構60は、連結ピン63を進退方向と平行に変位させることで屈曲し、ロッド部66の先端(連結ピン65と逆側の端部)がガイド部材67のガイド孔内に引き込まれた屈曲状態とすることができ(図7参照)、また、支点ピン61及び連結ピン65を結ぶ直線上に連結ピン63が位置することにより、直線状に延び、ロッド部66の先端がガイド部材67のガイド孔から突出した直線状態とすることができる(図5参照)。
【0040】
そして、支点ピン61を巻回するようにコイルバネ68が設置されている。コイルバネ68は、線材の一端側をリンクベース3aに固定されたバネ支持ピン69に当接させ、他端側を第1リンク部62に固定されており、第1リンク部62が直線状態(図5で示す状態)のとき、当該一端側に延びる線と他端側に延びる線との角度(図5中αで示す)が大きくなる方向に弾性回復できるように設置されている。即ち、コイルバネ68は、支持連結ピン63を進出方向(牽引部材24側)に変位させるように、支点ピン61を中心とした回転力を第1リンク部62に対して付与するように設置されている。これにより、第1リンク機構60は屈曲状態に保持するようにコイルバネ68により付勢される。そして、第1リンク機構60が屈曲状態のとき、牽引部材24の移動に伴って牽引部材24の垂下部24bにより連結ピン63が押込まれてロッド部66が突出することになる。
【0041】
尚、第2リンク機構70は、第1リンク機構60と対称(進退方向を法線方向とする面に対して対称)に形成されている。即ち、第1リンク機構60の各要素と対応して、支点ピン71、連結ピン73、75、第1リンク部72、第2リンク部74、ロッド部76、ガイド部材77、コイルバネ78、バネ支持ピン79等を備えて構成される。
【0042】
第1ロック部40は、一端側を連結支持部材90にボルト等で固定され、当該固定位置からベルト22と反対側に延出し、延出した位置において鉛直方向下向きに屈曲して形成されている。そして当該延出した位置における下端部において、前記第1リンク機構60のロッド部66と略等しい高さでラッチ41(係止ラッチ)と、当該ラッチ41を付勢するバネ42(係止ラッチ付勢手段)とが設けられている(図6参照)。
【0043】
ラッチ41は進退方向と垂直方向(前記ロッド部66の変位方向と平行な方向)に変位可能であり、バネ42に付勢されることで、第1リンク機構60側に向かって突出した状態に保持される。この状態において、ラッチ41は直線状に延びたリンク機構のロッド部66により係止されることになる(図5参照)。尚、第2ロック部50は、当該第1ロック部40と対称(進退方向を法線方向とする面に対して対称)に形成されている。即ち、第1ロック部40の各要素に対応して、ラッチ51及びバネ52等を備えて構成されている。
【0044】
次に、以上の構成のロック装置300が、ステップ7を車両側から退避した位置でロックする様子を説明する。図7〜図9には、この様子が順を追って示されている。
【0045】
図7は、退避方向にステップを牽引している状態を示しており、退避位置でロックされる前のロック装置300の様子を示す図である。
図7において、牽引部材24は、ベルト22とともに退避方向(図中矢印方向)に向かって駆動されている。即ち、ステップ7に繋がっている連結支持部材90、第1ロック部40及び第2ロック部50は、軸部材25を介して牽引部材24に退避方向に向かって牽引されている。図7では、牽引部材24の垂下部24bが第1リンク機構60における連結ピン63近傍の連結部(押込部、図7においてβ1で示す。)に当接する位置まで移動した状態を示している。ここで、牽引部材24が第1リンク機構60と当接する位置に到達したときに、進退方向において第1ロック部40のラッチ41がロッド部66と略同じ位置にくるように、即ち、ロッド部66の突出によりラッチ41を付勢可能な位置に当該ラッチ41が位置するように、軸部材25からラッチ41までの距離が決定されている。
【0046】
続いて、図8に示すように、牽引部材24が更に退避方向に変位すると、連結ピン63近傍の連結部β1が当該牽引部材24の垂下部24bにより付勢されながら退避方向に変位するとともに、ロッド部66はラッチ41の先端をバネ42による付勢方向と逆方向に付勢しながら突出する。ラッチ41は、ロッド部66に付勢されバネ42側に押込まれながら退避方向に移動する。
【0047】
その後、図9に示すように、更に、牽引部材24が退避方向に変位すると、ラッチ41はロッド部66により付勢されない位置まで移動して、バネ42の弾性回復により、進行方向(退避方向と逆方向)に移動したときにロッド部66に係止される位置に戻される。ここで、連結ピン63近傍の連結部β1が当該牽引部材24の垂下部24bにより付勢されて屈曲状態から直線状態に移行したときに、ラッチ41がロッド部66により付勢されない位置に移動するように軸部材25からラッチ41までの距離が決定されている。
【0048】
これにより、当該ステップを進出方向に移動させるようにステップ7に対して外力が作用した場合でも、フレーム8及び連結支持部材90を介してステップ7と一体に形成されている第1ロック部40のラッチ41が第1リンク機構60のロッド部66によって進出方向への移動を係止されるため、当該ステップ7の進出方向への移動をロックすることが可能となる。尚、図2で示すように、退避位置に到達したフレーム8(垂直支持部材82b、82e)と当接する退避位置ストッパ11a、12aが設けられている。これにより、退避位置におけるフレーム8の反車両側に向かう移動が退避位置ストッパ11a、12aにより拘束されるため、ロック状態においてステップ7が更に退避方向に移動することを防ぐことができる。
【0049】
次にロック解除について説明する。図10には、図9のロック状態からロックを解除する様子が示されている。ここで、図9のロック状態において、連結支持部材90は第1ロック部40及び第1リンク機構60の作用により進出方向への移動を拘束されているが、牽引部材24は、連結支持部材90に対して相対移動可能であるため、長穴24aの長さに相当する所定量だけ進出方向に移動可能である。したがって、図10に示すように、牽引部材24を進出方向に移動させるようにベルト22を駆動させると、牽引部材24は長穴24aの長さに相当する所定量だけ進出方向に移動することになる。
【0050】
すると、牽引部材24の垂下部24bによる連結部β1の付勢が解除された第1リンク機構60は、コイルバネ68に付勢されて直線状態から屈曲状態に移行する。これにより、ロッド部66は支点ピン61側に引き込まれ、ラッチ41を係止しない位置まで変位する。これにより、ロック状態からロック解除状態に移行することになる。そして、図11に示すように引き続き牽引部材24が進行方向に移動することにより、長穴24aの反車両側縁部に軸部材25が当接して、軸部材及び連結支持部材90が進行方向に牽引されることになる。
【0051】
次に、ステップ7が進出した状態におけるロック動作、及びロック解除動作について説明する。尚、ステップ7の進出位置におけるロック動作、及び、ロック解除動作は、第2ロック部50と第2リンク機構70とにより行われ、当該第2ロック部50と第2リンク機構70の動作は、上述した退避位置における第1ロック部40と第1リンク機構60の動作と同様である。
【0052】
図12では、牽引部材24の垂下部24bが第2リンク機構70における連結ピン73近傍の連結部(押込部、図12においてβ2で示す。)に当接する位置まで移動した状態を示しており、更に、牽引部材24が進出方向に移動すると、連結ピン73近傍の連結部β2が当該牽引部材24の垂下部24bにより付勢されながら退避方向に変位するとともに、ロッド部76はラッチ51の先端をバネ42による付勢方向と逆方向に付勢しながら突出する。
【0053】
その後、図13に示すように、ラッチ51はロッド部76により付勢されない位置まで移動して、バネ52の弾性回復により、進行方向に移動したときにロッド部76に係止される位置に戻される。これにより、当該ステップを退避方向に移動させるようにステップ7に対して外力が作用した場合でも、フレーム8及び連結支持部材90を介してステップ7と一体に形成されている第2ロック部50のラッチ51が第2リンク機構70のロッド部76によって退避方向への移動を係止されるため、当該ステップ7の退避方向への移動をロックすることが可能となる。尚、図3で示すように、退避位置に到達したフレーム8(垂直支持部材82b、82e)と当接する進出位置ストッパ11b、12bが設けられている。これにより、進出位置におけるフレーム8の車両側に向かう移動が進出位置ストッパ11b、12bにより拘束されるため、ロック状態においてステップ7が更に進出方向に移動することを防ぐことができる。
【0054】
進出位置における退避方向へのステップの動きを規制するロックは、ベルト22により牽引部材24を退避方向に移動させることで解除される。第2ロック部50と第2リンク機構70との作用により連結支持部材90の移動が拘束された状態(図13に示す状態)で、牽引部材24を退避方向に移動させるようにベルト22を駆動させると、牽引部材24は長穴24aの長さに相当する所定量だけ進出方向に移動する。これにより、ロッド部76は支点ピン71側に引き込まれ、ラッチ51を係止しない位置まで変位し、ロック状態から非ロック状態に移行することになる。そして、引き続き牽引部材24が退避方向に移動することにより、長穴24aの車両側縁部に軸部材25が当接して、軸部材25及び連結支持部材90が退避方向に牽引されることになる。
【0055】
以上の構成で、例えば停電等により、進出位置においてステップ7の移動がロックされた状態でモータユニット17の駆動ができなくなった場合を考える。このようなトラブルが発生した場合は、モータユニット17の駆動出力軸を牽引部材24を退避方向に移動させるように手動で回転することによりロックが解除されるとともに、ステップ7の退避移動を行うことができる。即ち、ロック解除とステップの退避移動とを一連の動作で行うことができる。また、退避位置においてステップ7の移動がロックされた状態で停電等によりモータユニット17の駆動ができなくなった場合は、牽引部材24を進出方向に移動させるようにモータユニット17の駆動出力軸を手動で回転させることでロック解除とステップの進出移動とを行うことができる。
【0056】
以上、説明したように、本実施形態に係るステップ装置1は、プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、プラットホームに埋設可能なケース2と、ケース2に支持されるステップ7と、ステップ7を牽引するための牽引部材24と、ステップ7を牽引部材24を介して車両側に対し進出または退避させるようにケース2に対し相対移動させるためのモータユニット17等の駆動手段と、モータユニット17による駆動と連動してステップ7の移動を進出位置及び退避位置でロックできるロック装置300と、を備えている。
そして、牽引部材24は、ステップ7に対してステップ7の進退方向と平行に所定量の相対移動が可能である。
また、ロック装置300は、ステップ7に間接的に固定された第1ロック部40及び第2ロック部50と、ケース2に固定された第1リンク機構60及び第2リンク機構70とからなり、第1ロック部40は、牽引部材24にステップ7の退避方向に向かって付勢されることにより、第1リンク機構60に係止してステップ7の進出方向への移動をロックするロック状態に移行し、当該ロック状態において、牽引部材24がステップ7に対して進出方向に相対移動して付勢が解除されることにより、ロック解除状態に移行できるように構成されており、第2ロック部50は、牽引部材24にステップ7の進出方向に向かって付勢されることにより、第2リンク機構70に係止してステップ7の退避方向への移動をロックするロック状態に移行し、当該ロック状態において、牽引部材24がステップ7に対して退避方向に相対移動して付勢が解除されることにより、ロック解除状態に移行できるように構成されている。
【0057】
この構成により、ステップ7の移動がロックされている状態においても、牽引部材24は所定量の移動が可能となる。また、ロック装置300は、第1リンク機構60をステップの進退方向と平行な一方向(退避方向)に付勢されることにより、ロック状態に移行する。即ち、牽引部材24の移動方向と、ロック状態に移行するために第1リンク機構60を付勢する方向とが一致している。そのため、牽引部材24と第1リンク機構60の当接部における摩擦等の影響が少なく、安定したロック動作を行うことが可能となる。同様に、当該付勢の解除によりロック解除が可能であるため、ロック解除動作においても当接部における摩擦等の影響は少ないため安定して当該動作を行うことが可能となる。
そして、ロック状態において、牽引部材24を当該一方向と反対方向(進出方向)に移動させることで、ステップ7に対して牽引部材24が相対移動してロック状態が解除されるとともに、ステップ7を牽引部材24により牽引して当該反対方向(進出方向)に移動させることが可能となる。これより、ロックを解除しステップ7を進出させる動作を、牽引部材24を一方向に移動させるという一つの動作によって行うことが可能となる。したがって、ロックを解除してステップ7を進出させる動作を迅速に行うことが可能である。
また、牽引部材24の移動に伴ってロックまたはロック解除できる構成であるため、ロックまたはロック解除のタイミングを検出するための位置センサや、ロックまたはロック解除用のソレノイドが不要となり、簡易な構成とすることができる。尚、進出位置におけるロック・ロック解除動作についても第1ロック部40及び第1リンク機構60と同様の構成である第2ロック部50及び第2リンク機構70の作用により同様の効果を奏する。
【0058】
また、牽引部材24は、ステップ7にフレーム8を介して間接的に固定された連結支持部材90に対して取り付けられており、牽引部材24には進退方向に延びる長穴24aが形成され、連結支持部材90には長穴24aに挿入され長穴24aに沿ってスライド可能な軸部材25が固定されており、牽引部材24は、ステップ7に対して、軸部材25が長穴24aに沿ってスライド可能な所定量の相対移動を行うことが可能である。
【0059】
この構成により、牽引部材24のステップ7に対する相対移動が長穴24aと軸部材25とからなる簡易な機構で可能となる。したがって、容易にステップ装置1を製造することが可能となる。
【0060】
また、第1リンク機構60は、牽引部材24の移動に伴って牽引部材24に押込まれる連結ピン63の近傍の連結部β1と、当該連結部β1が押込まれることにより第1ロック部40に向かって突出するロッド部66と、を備え、また、第1ロック部40は、ステップ7の進退方向と垂直な方向に変位可能に設けられロッド部66と係止可能なラッチ41と、ラッチ41を付勢してロッド部66との係止位置に保持するバネ42と、を備えている。そして、牽引部材24が一方向(退避方向)に移動して連結ピン63の近傍の連結部が押込まれると、ラッチ41は、バネ42による付勢方向と逆方向に向かってロッド部66により付勢されて変位しながら、ロッド部66に付勢されない位置まで当該一方向に移動し、バネ42により付勢されて係止位置に戻されることで当該一方向と反対方向(進出方向)への移動をロッド部66により係止されたロック状態に移行する。
当該ロック状態において、牽引部材24が当該一方向と反対方向(進出方向)に向かってステップ7に対して相対移動すると、牽引部材24による連結ピン63の近傍の連結部β1の押込みが解除されてロッド部66が非係止位置まで引き込まれ、ロック解除状態に移行する。
【0061】
この構成により、ラッチ41がロッド部66により付勢されて変位しながらロック状態に移行する。即ち、ラッチ41が変位可能に設けられていることにより、ロッド部66の突出動作をラッチ41が妨げることがなくなる。したがって、牽引部材24は、連結ピン63の近傍の連結部βを押込みながら進退方向と平行な一方向(退避方向)に移動することができ、これにより、ステップ7をロック位置(退避位置)まで牽引することが可能となる。そして、ロッド部66がラッチ41を付勢しない位置(ロック位置)までラッチ41が移動するとバネ42により、ラッチ41は係止位置に戻るため、ロック状態への移行を自動的に行うことが可能となる。尚、進出位置におけるロック・ロック解除動作についても第1ロック部及び第1リンク機構60と同様の構成である第2ロック部50及び第2リンク機構70の作用により同様の効果を奏する。
【0062】
また、第1リンク機構60は、複数の連結点63、65を有するリンク機構であって、一端を支点ピン61によりケース2に対して回動自在に支持されるとともに、他端においてロッド部66がステップ7の進退方向に対して垂直な方向にのみ変位可能に設置されている。そして、連結点63を牽引部材24に向かって突出させるように屈曲した屈曲状態と、直線状に延びた直線状態とに変形可能であり、屈曲状態に保持するように付勢するコイルバネ68を備えている。
【0063】
この構成により、連結ピン63を進退方向と平行(退避方向)に付勢することによりロッド部66を進退方向と垂直な方向に突出させることが可能である。そして当該動作は、支点ピン61により回動自在に支持された端部及び連結ピン63、65により連結された連結点における回動により可能としており、摩擦等の影響を受けにくい。これにより、第1リンク機構60の劣化を抑制し、安定してロック動作及びロック解除動作を行うことが可能となる。また、コイルバネ68により、ロック解除状態に保持するように付勢されているため、牽引部材24がステップ7に対して相対移動することにより、確実にロック解除を行うことが可能となる。尚、第2リンク機構70も第1リンク機構60と同様の構成であり、進出位置におけるロック・ロック解除動作において同様の効果を奏する。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0065】
本発明に係るステップ装置のロック装置を、進出位置及び退避位置の双方に設置する場合に限らず、進出位置及び退避位置のいずれか一方に設置した構成とすることも可能である。
【0066】
また、ロック状態において、牽引部材がステップに対して相対移動したときに押込部の押込みを解除するためにバネを用いる場合に限らない。例えば、永久磁石を用いて押込部を牽引部材に引き付けることにより押込みを解除するように構成することもできる。また、永久磁石により、常に押込みを解除するように力を作用させた構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るプラットホーム用ステップ装置が設置されたプラットホームの全体概略図である。
【図2】図1に示すステップ装置(退避状態)の平面図である。
【図3】図1に示すステップ装置(進出状態)の平面図である。
【図4】図2におけるX−X部分断面矢視図である。
【図5】図2におけるステップ装置の一点鎖線Aで示す部分の拡大図である。
【図6】図5におけるステップ装置を矢印B方向から見た図である。
【図7】退避位置におけるロック動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図8】退避位置におけるロック動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図9】退避位置におけるロック動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図10】退避位置におけるロック解除動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図11】退避位置におけるロック解除動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図12】進出位置におけるロック動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【図13】進出位置におけるロック動作を説明するためのロック装置の模式図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ステップ装置
2 ケース
7 ステップ
17 モータユニット(駆動手段)
24 牽引部材
24a 長穴
25 軸部材
40 第1ロック部(ロック装置、ステップ側ロック機構)
41 ラッチ(係止ラッチ)
42 バネ(係止ラッチ付勢手段)
50 第2ロック部(ロック装置、ステップ側ロック機構)
60 第1リンク機構(ロック装置、ケース側ロック機構)
63 連結ピン(押込部)
66 ロッド部
68 コイルバネ
70 第2リンク機構(ロック装置、ケース側ロック機構)
90 連結支持部材(被取付部材)
100 プラットホーム
200 ホームドア装置
300 ロック装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、
プラットホームに埋設可能なケースと、
前記ケースに支持されるステップと、
前記ステップを牽引するための牽引部材と、
前記ステップを、前記牽引部材を介して車両側に対し進出または退避させるように前記ケースに対し相対移動させるための駆動手段と、
前記駆動手段と連動して、当該ステップの移動を進出位置及び退避位置の少なくともいずれかの位置でロックできるロック装置と、を備え、
前記牽引部材は、前記ステップに対して前記ステップの進退方向と平行に所定量の相対移動が可能となるように形成されており、
前記ロック装置は、前記ステップに直接または間接的に固定されたステップ側ロック機構と、前記ケースに固定されたケース側ロック機構とを有し、
前記ケース側ロック機構は、前記牽引部材に前記ステップの進退方向と平行な一方向に向かって付勢されることにより、前記ステップ側ロック機構に係止して前記ステップの当該一方向と反対方向への移動をロックするロック状態に移行し、当該ロック状態において、前記牽引部材が前記ステップに対して当該反対方向に相対移動して付勢が解除されることにより、ロック解除状態に移行できるように構成されていることを特徴とするプラットホーム用ステップ装置。
【請求項2】
前記牽引部材は、前記ステップに直接または間接的に固定された被取付部材に対して取り付けられており、
前記牽引部材と前記被取付部材とのいずれか一方には進退方向に延びる長穴が形成され、他方には当該長穴に挿入され当該長穴に沿ってスライド可能な軸部材が固定されており、
前記牽引部材は、前記ステップに対して、前記軸部材が前記長穴に沿ってスライド可能な所定量の相対移動を行うことが可能であることを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項3】
前記ケース側ロック機構は、前記牽引部材の移動に伴って当該牽引部材に押込まれる押込部と、当該押込部が押込まれることにより前記ステップ側ロック機構に向かって突出するロッド部と、を備え、
前記ステップ側ロック機構は、前記ステップの進退方向と垂直な方向に変位可能に設けられ前記ロッド部と係止可能な係止ラッチ部と、当該係止ラッチ部を付勢して前記ロッド部との係止位置に保持する係止ラッチ付勢手段と、を備え、
前記牽引部材が一方向に移動して前記押込部が押込まれると、前記係止ラッチ部は、前記係止ラッチ付勢手段による付勢方向と逆方向に向かって前記ロッド部により付勢されて変位しながら、当該ロッド部に付勢されない位置まで当該一方向に移動し、前記係止ラッチ付勢手段により付勢されて係止位置に戻されることで当該一方向と反対方向への移動を前記ロッド部により係止されたロック状態に移行し、
当該ロック状態において、前記牽引部材が当該一方向と反対方向に向かって前記ステップに対して相対移動すると、当該牽引部材による前記押込部の押込みが解除されて前記ロッド部が非係止位置まで引き込まれ、ロック解除状態に移行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項4】
前記ケース側ロック機構は、複数の連結点を有するリンク機構であって、
一端を前記ケースに対して回動自在に支持されるとともに、他端において前記ロッド部が前記ステップの進退方向に対して垂直な方向にのみ変位可能に設置され、
前記連結点の少なくとも一つを前記押込部として前記牽引部材に向かって突出させるように屈曲した屈曲状態と、直線状に延びた直線状態とに変形可能であり、
前記屈曲状態に保持するように付勢するバネ部材を備えることを特徴とする請求項3に記載のプラットホーム用ステップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−68639(P2008−68639A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246369(P2006−246369)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】