説明

プラバスタチンの医薬品製剤およびそれらの使用方法

本発明は、治療有効量のプラバスタチンまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤に関する。本発明の製剤は、胃におけるプラバスタチンの不活化を防止し、プラバスタチンに対する身体の全身曝露を制限し、かつ薬物の肝臓特異的吸収を最大化するように設計される。本発明の製剤は、身体において脂質および/またはコレステロールのレベルを低減させることによって利益を受ける状態を、処置および/または予防するために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全開示がここで本明細書中にて援用される米国仮特許出願第60/407269号(2002年9月3日出願)の優先権の利益を主張する。同様に、本願は、その全開示が本明細書中で援用される米国仮特許出願第60/347775号(2002年1月11日出願)に関する。
【0002】
プラバスタチンは、肝臓におけるコレステロール生合成を低減させることによって、血中脂質レベルを低下させる、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤である。これは、コレステロール生合成における初期律速段階であるHMG−CoAのメバロン酸への転換を触媒する3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼの競合阻害剤である。
【0003】
プラバスタチン(Pravachol(登録商標)として販売されている)は、10mg、20mg、40mgおよび80mgの錠剤で、経口投与用に市販されている。これは一般に、コレステロールレベルおよび血中脂質レベルを低下させるために処方される。この薬物は、冠状動脈性心疾患を有さない高コレステロール血症患者における冠状動脈事象の予防において;そして冠状動脈疾患を有する高コレステロール血症患者における冠状動脈性心血管事象の二次的な予防剤としても有用であることが見出されている。この薬物はまた、高められた総−C、LDL−C、ApoBおよびTGのレベルを低減させることにおいて(食事制限および運動を補うための)補助的治療として、そして食事制限に適切に応答しない患者において、原発性高コレステロール血症および混合型異常脂質血症(Fredrickson 11Ia型および11b型)、高い血清トリグリセリドレベル(Fredrickson IV型)および原発性異常βリポタンパク質血症(dysbetalip oproteinemia)(Fredrickson III型)を有する患者においてHDL−Cレベルを上昇させるために使用される。
【0004】
プラバスタチンナトリウムは典型的に、その活性形態で経口投与される。ヒトにおける臨床薬理学試験において、プラバスタチンは迅速に吸収され、親化合物のピーク血漿レベルは、服用の1〜1.5時間後に得られる。放射性標識した薬物の尿中回収に基づくと、プラバスタチンの平均経口吸収率は34%であり、絶対的バイオアベイラビリティは17%である。Pravachol添付文書。胃腸管内に食物が存在すると全身バイオアベイラビリティを低下させるが、この薬物の脂質低下効果は、食事と共に摂取しても、食事の1時間前に摂取しても同様である。Pravachol添付文書。
【0005】
プラバスタチンは、その主な作用部位であり、コレステロール生合成およびLDL−Cクリアランスの主な部位である肝臓において、大きいファーストパス抽出(抽出率0.66)を受ける。in vitroの研究により、プラバスタチンが肝細胞中に容易に輸送され、他の細胞中への取り込みは実質的に低いことが示されている。プラバスタチンの大きいファーストパス肝臓代謝を考慮すると、血漿レベルは脂質低下効力と必ずしも完全に相関しなくてもよい。プラバスタチン血漿濃度(以下のように観察される:濃度−時間曲線下の面積(AUC)、ピーク(Cmax)および定常状態最小(Cmin))は、投与された用量に正比例する。就寝時用量(PM)後の投与されたプラバスタチンの全身バイオアベイラビリティは、朝用量(AM)後のバイオアベイラビリティと比較して60%減少した。
【0006】
全身バイオアベイラビリティにおけるこの減少にもかかわらず、夕方投与されたプラバスタチンの効力は、朝用量の効力よりも僅かに有効であった。この知見は、この薬物が夕方投与された場合に、この薬物の肝臓抽出がより高いことを示唆している。
【0007】
プラバスタチンは、他のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と同様に、変動性のバイオアベイラビリティを有する。対象間の変動性に基づく変動係数は、50%〜60%のAUCであった。放射性標識された経口用量の約20%は尿中に排泄され、70%は糞便中に排出される。正常な健常人志願者に放射性標識したプラバスタチンを静脈内投与したところ、総身体クリアランスの約47%は腎排泄を介して、53%は非腎経路(すなわち、胆汁排泄および生体内変化)によるものであった。2つの排泄経路が存在するため、代替的経路による補償的排泄、ならびに腎不全または肝不全を有する患者における薬物および/または代謝産物の蓄積の両方の可能性が存在する。
【0008】
プラバスタチンについて解明された生体内変化経路には以下が含まれる:(a)6−epiプラバスタチンおよびプラバスタチンの3α−ヒドロキシ異性体(SQ 31,906)への異性体化、(b)SQ 31,945への酵素的環ヒドロキシル化、(c)エステル側鎖のω−1酸化、(d)カルボキシ側鎖のβ−酸化、(e)環酸化とその後の芳香族化、(f)ケト基へのヒドロキシル基の酸化、ならびに(g)抱合。主要な分解生成物は3α−ヒドロキシ異性体代謝産物であり、これは親化合物の10分の1〜40分の1のHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する。
【0009】
プラバスタチンは担体媒介性の機構によって腸から吸収される。この吸収は腸管全体を通じて一様ではない;この吸収は小腸で起こると考えられるが、遠位小腸(回腸)および結腸においては低い(LennernasおよびFager,1997)。腸におけるプラバスタチンの取り込みは、プロトン勾配の存在下で、見たところ飽和可能な機構によって起こる;この取り込みはモノカルボン酸によって阻害される(Tamaiら、1995)。
【0010】
腸を介した吸収後、プラバスタチンは、高い肝臓抽出率(0.66)(QuionおよびJones,1994)または適度に高い肝臓抽出率(0.45)(LennernasおよびPager,1997)を示す能動輸送機構によって、肝臓にて取り込まれる。肝臓抽出率とは肝臓によって抽出される薬物の割合をいう。肝細胞へのプラバスタチンのこの取り込みはOATP2であると考えられ(Hsiangら,1999)、飽和可能であるように見える(Nakaiら,2001)、多特異的アニオントランスポーターによって媒介され得る(Yamazakiら,1993)。
【0011】
肝臓系によって吸収されないプラバスタチンは、身体の残りの部分に全身送達され、血漿中で検出され得る。全身プラバスタチンは非肝臓組織において望まれない作用を引き起こし得る。例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタチン)の最も重大な副作用の1つは、筋肉痛、四肢の衰弱、血清クレアチニンキナーゼの上昇およびミオグロブリン尿症として現れる、筋壊死(横紋筋融解症)である(Hunninghake,1992)。重度の筋症は、プラバスタチンで処置した患者において観察されてきた(Schatkeら,1992)。
【0012】
プラバスタチンは比較的極性の親水性化合物である。図2は身体におけるプラバスタチンの運命を示す。この薬物は酸性条件(例えば、胃の環境)において低い安定性を示す。保護されないままの場合、プラバスタチンは胃において非酵素的に比較的不活性な代謝産物に変換される(Triscariら,1995)。
【0013】
胃の酸性条件から薬物を保護するために腸溶性コーティングが使用され得る。しかし、このようなコーティングはしばしば酸性である。結果として、プラバスタチンは酸性コーティングによって活性が低下し、処置の全体的効果が低下することがある。
【0014】
腸溶性コーティングは塩基性pHを有する賦形剤と合わせることができる。しかしこのような塩基性賦形剤は、腸内のやや酸性であるpH約5で生じる、最適な腸吸収を妨げる。塩基性賦形剤で生じる不十分な吸収を補償するために、より高い濃度のプラバスタチンを各用量中に提供しなければならない。結果的に各用量はより高価になり、活性成分のかなりの部分が肝臓中の作用部位に決してもたらされない。
【0015】
このように、腸における、次いで肝臓への、より最適な吸収を可能にしつつ、胃の酸性環境に耐える新たなプラバスタチン製剤についての必要性が当技術分野に存在する。
【0016】
プラバスタチンは、HMG−CoAのメバロン酸への転換を担うHMG−CoAレダクターゼを阻害する。プラバスタチンはコレステロール前駆体であるメバロン酸の形成を阻害することによってコレステロール合成を妨害する。しかし、メバロン酸はミトコンドリア中の電子伝達系の必須成分であるユビキノン(補酵素Q)の前駆体でもある(GoldsteinおよびBrown,1990)。図1はコレステロールおよびユビキノンの生合成を示す。従って、プラバスタチンは、コレステロールの生合成を妨害するのみならず、メバロン酸を必要とする他の代謝経路もまた妨害する。従って、非肝臓組織において、プラバスタチンは重要な代謝経路に対して望ましくない作用を発揮し得る。プラバスタチン媒介性の筋症は筋組織におけるユビキノン(補酵素Q)レベルの枯渇から生じると考えられる。
【0017】
また、プラバスタチンに対する身体の全身曝露を制限し、かつ薬物の肝臓特異的吸収を最大化し、それによってプラバスタチン処置の効力を増大させ、かつ望ましくない副作用を低減させるプラバスタチン製剤についての必要性が当技術分野に存在する。
【0018】
(図面の簡単な説明)
図1は、コレステロールおよびユビキノンの生合成を示す
図2は、プラバスタチンの薬物動態を示す。
【0019】
(発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、句「放出調節」製剤または投薬形態は、この製剤からの薬物の所望の放出を達成する医薬品調製物を含む。例えば、放出調節製剤は患者において治療有効用量の活性化合物の作用または効果を延長し得る。このような製剤は本明細書中で除放性製剤と称される。活性化合物の治療レベルを維持することに加えて、放出調節製剤はまた特定の期間にわたって活性化合物の放出を遅延させるように設計し得る。このような化合物は本明細書中で「遅延開始」製剤または投薬形態と称される。なおさらに、放出調節製剤は、遅延放出製剤および除放性製剤の両方の特性を示し得ることができ、従って遅延開始除放性製剤と称される。
【0020】
本明細書中で使用する場合、用語「プラバスタチン」はプラバスタチンおよびその任意の薬学的に許容される塩を含む。
【0021】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬品製剤中の他の成分(特に活性成分)と適合性であり、かつ許容される量で投与される場合に患者にとって有害でない成分を含む。
【0022】
本明細書中で使用する場合、用語、薬学的に「許容される塩」は、患者によって生理学的に許容される塩を含む。このような塩は典型的に無機酸および/または有機酸から調製される。適切な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸およびリン酸が含まれるが、これらに限定されない。有機酸には、脂肪族酸、芳香族カルボン酸および/またはスルホン酸があり得る。適切な有機酸には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、樟脳スルホン酸(camphorsulfonic acid)、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラ−トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、パモン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸などが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
ジカルボン酸には、2−エタン二酸(シュウ酸)、3−プロパン二酸(マロン酸)、4−ブタン二酸(コハク酸)、5−ペンタン二酸(グルタル酸)、6−ヘキサン二酸(アジピン酸)、シス−ブタン二酸(マレイン酸)、トランス−ブタン二酸(フマル酸)、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパン(propanetic)カルボン酸(クエン酸)、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
モノカルボン酸には、メタン酸(蟻酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、1−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、3−ベンジル−2−プロペン酸(ケイ皮酸)および2−オキソプロパン酸(ピルビン酸)が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書中で使用する場合、句「治療有効量」は、単独でおよび/または他の薬物と組み合わせて、高コレステロールおよび/または高脂質レベルと関連するか、あるいは血中脂質レベルまたはコレステロールレベルの低下から利益を受け得る1種または複数の状態または疾患の、予防、処置および/または管理において利益を提供する、プラバスタチン(またはその薬学的に許容される塩)の量を含む。このような状態または疾患には、高コレステロール血症、高脂血症、心筋梗塞、発作、虚血、冠状動脈性アテローム硬化症、冠状動脈死および/または心臓血管疾患による死亡が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、治療有効量のプラバスタチンは、肝臓3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼの活性を阻害または低減するために必要な量である。本発明の製剤および/または方法によって処置、管理および/または予防され得る1種または複数の疾患には、高コレステロール血症に対して二次的でない心臓血管疾患も含まれる。
【0026】
本発明は、治療有効量のプラバスタチンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物、およびそれらの使用方法に関する。これらの組成物は、胃におけるプラバスタチンの放出を最小化して、吸収前にプラバスタチンが不活性な代謝産物に転換されるのを回避するように設計され得る。従って、患者に投与される場合、本発明の組成物はこの組成物が胃を通過して腸に入るまで、かなりの量のプラバスタチンの放出を遅延させ得る。
【0027】
本発明の組成物はまた、腸からのプラバスタチンの肝臓特異的吸収を増大および/または最適化して、プラバスタチンへの身体の全身曝露を制限し、かつ例えば、従来のプラバスタチン製剤が投与された場合のこのような曝露から生じる少なくとも1つの望まれない副作用を低減させるように設計され得る。これは、ユビキノンの全身的合成を阻害せずに、この薬物を受ける対象にコレステロール低下効果を提供するのに充分な様式で、肝臓にプラバスタチンを送達することによって達成される。特に、これらの組成物からのプラバスタチンの放出は、腸吸収装置の飽和を回避する、設計された速度で小腸上部(主な吸収部位)に標的化される。
【0028】
本発明の組成物はまた、肝臓への送達を改善する従来の製剤よりも遅い吸収速度を達成し得、その結果この送達速度は肝細胞への取り込み速度とより一致する。これはプラバスタチンの取り込みを最大化しかつ肝臓による引き続く抽出を最小化して用量節約効果を提供し得る。これは全身循環に迂回されるプラバスタチンの量を有意に低減させ得る。任意の特定の理論によって束縛されることを望まないが、本発明の組成物は末梢組織におけるユビキノンの所望されない枯渇に関連する筋症の発症を回避し得る。
【0029】
肝臓吸収の最適化は、この薬物の従来の形態で必要とされる量と比較して、本発明の組成物においてより少ないプラバスタチンを使用することもまた可能にする。本発明の組成物によって達成されるプラバスタチンのより効果的な送達に起因して、含まれるプラバスタチンの量を、この薬物の従来の製剤と比較して、約10〜約90%、約10〜80%、約10〜約70%、約20〜約70%、約20〜約60%、または約25〜50%低減させることが可能である。一実施形態において本発明の組成物中のプラバスタチンの量はPRAVACHOL(登録商標)の用量と比較して約25%低減され得る。
【0030】
本発明はまた、等価な用量またはより高い用量が使用され得、よりよい効力および/またはより少ない副作用が観察される点において利点を提供する。例えば、本発明のプラバスタチン製剤は、例えば従来の製剤中のプラバスタチンの量の100%〜200%を含み得る。これらのより高い用量を用いてさえ、本発明の製剤はよりよい効力およびより少ない副作用を達成する。
【0031】
本発明の組成物は、身体における脂質および/またはコレステロールのレベルを低減させることによって利益を受ける状態または疾患を処置および/または予防するのに適切である。このような状態には、従来のプラバスタチン組成物で典型的に処置および/または予防される状態(例えば、臨床的に明らかな冠状心疾患を欠く高コレステロール血症患者における冠状動脈事象;および臨床的に明らかな冠状動脈疾患を示す高コレステロール血症患者における冠状動脈事象)が含まれる。本発明の組成物はまた、食事制限に適切に応答しない患者において、原発性高コレステロール血症および混合型異常脂質血症(Fredrickson IIa型およびIIb型)、高い血清トリグリセリドレベル(Fredrickson IV型)および原発性異常βリポタンパク質血症(Fredrickson III型)を有する対象において、高いコレステロール(総−C)、低密度リポタンパク質−コレステロール(LDL−C)、アポリポタンパク質B(ApoB)およびトリグリセリド(TG)のレベルを低減させ、高密度リポタンパク質−コレステロール(HDL−C)レベルを上昇させるために、(食事制限および運動に対する)補助的治療として、用いられる。
【0032】
本発明の組成物および方法はまた、高コレステロール血症に対して二次的でない1種または複数の心臓血管疾患を処置、管理および/または予防するために使用され得る。
【0033】
本発明の組成物はプラバスタチンの放出を改変する投薬形態に処方され得る。本発明に従って使用され得る適切な放出調節製剤の例には、マトリックスシステム、浸透圧ポンプおよび膜制御された投薬形態が含まれるが、これらに限定されない。本発明のこれらの製剤はプラバスタチンまたはその薬学的に許容される塩を含み得る。適切な薬学的に許容される塩は上記で考察される。これらの型の投薬形態は各々、以下に簡潔に記載される。このような形態のより詳細な考察はまた、例えば、The Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology, D.L.Wise(編), Marcel Dekker,Inc., New York(2000);およびTreatise on Controlled Drug Delivery:Fundamentals, Optimization, and Applications, a Kydoneius(編),Marcel Dekker,Inc., New York,(1992)中にも見出され得、これらの各々の関連する内容は、この目的のために本明細書中で参考として援用される。
【0034】
マトリックスベースの投薬形態
いくつかの実施形態において、本発明の放出調節製剤は、マトリックスベースの投薬形態として提供される。本発明に従うマトリックス製剤は、親水性(例えば、水溶性)および/または疎水性(例えば、水不溶性)のポリマーを含み得る。本発明のマトリックス製剤は、必要に応じて腸溶性(例えば、pH依存的な溶解性を示す)または非腸溶性(例えば、pH非依存的な溶解性を示す)であり得る、機能的コーティングを用いて調製され得る。
【0035】
本発明のマトリックス製剤は、例えば直接圧縮または湿式造粒を使用することによって調製され得る。次いで、上記のような機能的コーティングが本発明に従って適用され得る。さらに、バリアコートまたは密封剤コートが、機能的コーティングの適用前に、マトリックス錠剤コア上に適用され得る。このバリアコートまたは密封剤コートは、活性成分と相互作用し得る機能的コーティングから活性成分を分離する目的を果たし得るか、または湿気が活性成分と接触することを防止し得る。バリアおよび密封剤の詳細は、以下に提供される。
【0036】
本発明に従うマトリックスベースの投薬形態において、プラバスタチンおよび任意の薬学的に許容される賦形剤は、1種または複数の水溶性ポリマーおよび/あるいは1種または複数の水不溶性ポリマーを典型的に含むポリマーマトリックス内に分散される。この薬物は拡散および/または浸食によって投薬形態から放出され得る。このようなマトリックスシステムは前出のWiseおよびKydonieusによって詳細に記載されている。
【0037】
適切な水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはポリエチレングリコール、および/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
適切な水不溶性ポリマーには、エチルセルロース、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、およびポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)低密度、ポリ(エチレン)高密度、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(塩化ビニル)もしくはポリウレタン、および/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
適切な薬学的に許容される賦形剤には、以下が含まれるが、これらに限定されない:キャリア(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム);充填剤もしくは増量剤(例えば、ステアレート、シリカ、石膏、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、タルクおよびケイ酸);結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチル−セルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア);保湿剤(例えば、グリセロール);崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモおよびタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、EXPLOTAB(商標)、クロスポビドンおよび炭酸ナトリウム);溶出遅延剤(例えば、パラフィン);吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物);湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール);吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土);滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウム);安定剤(例えば、フマル酸);着色剤;緩衝剤;分散剤;保存剤;有機酸;および有機塩基。上記の賦形剤は、例としてのみ示されており、可能な選択の全てを含むという意味ではない。さらに、多くの賦形剤が、1種を超える役割もしくは機能を有し得るか、または1つを超える群に分類され得;これらの分類は説明的なものに過ぎず、特定の賦形剤のいずれの使用を限定することも意図しない。
【0040】
一実施形態において、マトリックスベースの投薬形態は、プラバスタチン;充填剤(例えば、デンプン、ラクトースまたは微結晶セルロース(AVICEL(商標));結合剤/制御された放出のポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン);崩壊剤(例えば、EXPLOTAB(商標)、クロスポビドンまたはデンプン);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸);界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート);および潤滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素(AEROSIL(商標)またはタルク)を含む。
【0041】
本発明の製剤中のポリマーの量および型、ならびに水不溶性ポリマーに対する水溶性ポリマーの比は、一般に、以下に記載されるように、プラバスタチンの所望の送達プロフィールを達成するために選択される。例えば、水溶性ポリマーの量に対する水不溶性ポリマーの量を増大させると、この薬物の放出は遅延または減速され得る。これは、一部はポリマーマトリックスの不透過性の増大に起因し、いくつかの場合には胃腸管の通過の間の浸食速度の低下に起因する。
【0042】
浸透圧ポンプ投薬形態
別の実施形態において、本発明の放出調節製剤は浸透圧ポンプ投薬形態として提供される。浸透圧ポンプ投薬形態において、プラバスタチンおよび必要に応じて1種または複数の浸透圧賦形剤を含むコアが、典型的に少なくとも1つの開口部を有する半透膜によって包まれる。この半透膜は一般に水に対して透過性であるが薬物に対して不透過性である。このシステムが体液に曝露されると、水がこの半透膜を通って薬物および任意の浸透圧賦形剤を含むコアに浸透する。この投薬形態内の浸透圧が上昇する。結果として、この薬物は半透膜を横切って浸透圧を等しくする試みにおいて開口部を通じて放出される。
【0043】
より複雑なポンプにおいて、この投薬形態はコア中に2つの内部区画を含み得る。第一の区画は薬物を含み、第二の区画は水性流体との接触の際に膨潤するポリマーを含み得る。服用後、このポリマーは薬物含有区画へと膨潤して、薬物によって占められる容積を減じることによって、延長された期間にわたって制御された速度でこのデバイスから薬物を送達する。このような投薬形態は0次放出プロフィールが所望される場合にしばしば使用される。
【0044】
浸透圧ポンプは当技術分野で周知である。例えば、米国特許第4088864号、同第4200098号および同第5573776号(これらの各々が、この目的のために本明細書中で参考として援用される)は、浸透圧ポンプおよびその製造方法を記載している。本発明に従って有用な浸透圧ポンプは、浸透圧的に活性な薬物の錠剤、または浸透圧的に活性な薬物と組み合わせた浸透圧的に不活性な薬物の錠剤を圧縮し、次いでこの錠剤を、外部の水性ベースの流体に対して透過性であるが、薬物および/または浸透圧剤に対しては不透過性の半透膜によってコーティングすることによって、形成され得る。
【0045】
1つまたは複数の送達開口部はこの半透膜の壁に穿たれ得る。あるいは、この壁中の1つまたは複数の開口部は、壁中に浸出可能な孔形成物質を取り込むことによって形成され得る。作動中、外部の水性ベースの流体が、この半透膜壁を通って吸収されて薬物と接触し、この薬物の溶液または懸濁液を形成する。次いで、この薬物の溶液または懸濁液は、新たな流体が半透膜を通って吸収されるにつれて、この開口部を通って外にポンプされる。
【0046】
半透膜用の典型的な物質には、浸透性または逆浸透性の膜において有用である、当技術分野で公知の半透性ポリマー(例えば、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、ポリアミド、ポリウレタン、スルホン化ポリスチレン、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートスクシナート、セルロースアセテートジメチルアミノアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートクロルアセテート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレート、セルロースジペンタノエート(dipentanlate)、セルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシナート、セルロースプロピオネートスクシナート、メチルセルロース、セルロースアセテートp−トルエンスルホン酸、セルロースアセテートブチレート、軽架橋ポリスチレン誘導体、架橋ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(ビニルベンジルトリメチル塩化アンモニウム)、セルロースアセテート、セルロースジアセテートセルローストリアセテートおよび/またはこれらの混合物)が含まれる。
【0047】
このポンプにおいて使用され得る浸透圧剤は、典型的に、投与後にデバイスに入る流体中で可溶性であり、外部流体に対して、半透性の壁を横切る浸透圧勾配を生じる。適切な浸透圧剤には、以下が含まれるがこれらに限定されない:硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、d−マンニトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、親水性ポリマー(例えば、セルロースポリマー)および/またはこれらの混合物。
【0048】
上記で考察したように、この浸透圧ポンプ投薬形態は膨潤性のポリマーを含む第二の区画を含み得る。適切な膨潤性ポリマーは、典型的にこの膨潤性ポリマーを平衡状態まで膨潤または膨張させる、水および/または水性の生物学的流体と接触する。許容されるポリマーは、水および/または水性の生物学的流体中で膨潤する能力を示し、このような吸収された流体の有意な部分をそのポリマー構造中に保持し、投薬形態内の静水圧を増大させる。これらのポリマーは非常に高い程度まで膨潤または膨張し得、通常2〜50倍の体積の増大を示す。これらのポリマーは非架橋または架橋であり得る。一実施形態においてこれらの膨潤性ポリマーは親水性ポリマーである。適切なポリマーには以下が含まれるがこれらに限定されない:30,000〜5,000,000の分子量を有するポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);κ−カラギーン(κ−carrageen)および;10,000〜360,000の分子量を有するポリビニルピロリドン;アニオン性ヒドロゲルおよびカチオン性ヒドロゲル;ポリ電解質錯体;グリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドで架橋され、200〜30,000の重合度を有する、少量のアセテートを有するポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋寒天およびカルボキシメチルセルロースを含む混合物;スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンもしくはイソブチレンを用いて、微細に分割された無水マレイン酸の分散物を形成することによって生成される、水不溶性で水膨潤性のコポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー;ならびに/または上記いずれかの混合物。
【0049】
用語「開口部」は、本明細書中で使用する場合、投薬形態から薬物を放出するのに適切な手段および方法を含む。この表現は、機械的手順によって半透膜を通じて穿たれた、1つまたは複数の穴または開口部を含む。あるいは、開口部は浸食性要素(例えば、ゼラチンプラグ)を半透膜中に取り込むことによって形成され得る。このような場合、半透膜の孔は薬物の通過のための「通路」を形成する。このような「通路」製剤は、例えば米国特許第3845770号および同第3916899号(これらの関連する開示は、この目的のために本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0050】
本発明に従って有用な浸透圧ポンプは、当技術分野で公知の技術によって製造され得る。例えば、薬物および他の成分は、一緒に粉砕されて所望の寸法(例えば、第一の区画に対応する寸法)を有する固体へと押圧され得る。次いで、膨潤性ポリマーが、薬物と接触して配置されて形成され、両方が半透性の薬剤で囲まれる。所望される場合、この薬物成分およびポリマー成分は半透膜を適用する前に一緒に押圧され得る。この半透膜は任意の適切な方法(例えば、成型、噴霧または浸漬)によって適用され得る。
【0051】
膜制御された投薬形態
本発明の放出調節製剤は膜制御された製剤としても提供され得る。本発明の膜制御された製剤は、一体(例えば、錠剤)型または多単位(例えば、ペレット)型であり得る迅速放出のコアを調製し、膜でこのコアをコーティングすることによって作製され得る。次いでこの膜制御されたコアは機能的コーティングでさらにコーティングされ得る。膜制御されたコアと機能的コーティングとの間にバリアまたは密封剤が適用され得る。膜制御された投薬形態の詳細を以下に提供する。
【0052】
一実施形態において、プラバスタチンは多粒子状の膜制御された製剤において提供される。プラバスタチンは、約0.4〜約1.1mmまたは約0.85〜約1.00mmの範囲の平均直径を有する無比の核に薬物を適用することによって、活性コアへと形成され得る。プラバスタチンは、不活性コア上にさらなる賦形剤ありまたはなしで適用され得るか、あるいは流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)またはパンコーティングシステムを使用して、溶液または懸濁液から噴霧され得る。あるいは、プラバスタチンは、プラバスタチンをコアに結合させる結合剤を使用して、不活性コア上に粉末として適用され得る。活性なコアはまた、必要に応じて、適切な可塑剤(以下に記載される)および任意の他の加工助剤を用いたコアの押し出しによって形成され得る。
【0053】
本発明の放出調節製剤は、薬物含有コアに膜コーティングとして適用される、少なくとも1種のポリマー物質を含む。適切な水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはポリエチレングリコール、および/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
適切な水溶性ポリマーには、エチルセルロース、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、およびポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)低密度、ポリ(エチレン)高密度、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(塩化ビニル)もしくはポリウレタンならびに/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
Eudragit(商標)ポリマー(Rohm Pharmaから入手可能)は、アクリレートおよび/またはメタクリレートに基づくポリマーラッカー物質である。活性成分および水に対して自由に透過性の適切なポリマーはEUDRAGIT(商標)RLである。活性成分および水に対して僅かに透過性の適切なポリマーはEUDRAGIT(商標)RSである。活性成分および水に対して僅かに透過性であり、かつpH依存的な透過性を示す他の適切なポリマーには、EUDRAGIT(商標)L、EUDRAGIT(商標)SおよびEUDRAGIT(商標)Eが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
EUDRAGIT(商標)RLおよびEUDRAGIT(商標)RSは、低含量の第四級アンモニウム基を含む、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのコポリマーを含む、アクリル樹脂である。これらのアンモニウム基は塩として存在し、ラッカーフィルムの透過性を生じる。EUDRAGIT(商標)RLおよびEUDRAGIT(商標)RSはpHに依存せず、それぞれ自由に透過性(RL)および僅かに透過性(RS)である。これらのポリマーはpH非依存的な様式で水および消化液中で膨潤する。膨潤状態でこれらのポリマーは水および溶解した活性化合物に対して透過性である。
【0057】
EUDRAGIT(商標)Lは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルから合成されるアニオン性ポリマーである。これは酸および純水中で不溶性である。中性〜弱アルカリ性条件では可溶性になる。EUDRAGIT(商標)Lの透過性はpH依存的である。pH5.0を超えるとこのポリマーは徐々に透過性になる。
【0058】
膜制御された投薬形態を含む一実施形態において、このポリマー物質はメタクリル酸コポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマーまたはこれらの混合物を含む。メタクリル酸コポリマー(例えば、EUDRAGIT(商標)SおよびEUDRAGIT(商標)L(Rohm Pharma))は、本発明の制御された放出の製剤中での使用に特に適切である。これらのポリマーは胃で耐性でありかつ腸で可溶性のポリマーである。それらのポリマーフィルムは純水および希釈酸中で不溶性である。これらは、カルボン酸含量に依存してより高いpHで溶解する。EUDRAGIT(商標)SおよびEUDRAGIT(商標)Lは、ポリマーコーティング中の単一成分としてまたは任意の比で組み合わせて使用され得る。これらのポリマーの組み合わせを使用することによって、このポリマー物質は、EUDRAGIT(商標)LおよびEUDRAGIT(商標)Sが別々に可溶性であるpHの間のあるpHで、溶解性を示し得る。
【0059】
膜コーティングは、主要部分(すなわち、総ポリマー含量の50%を超える)の1種または複数の薬学的に許容される水溶性ポリマーと、必要に応じて微量部分(すなわち、総ポリマー含量の50%未満)の1種または複数の薬学的に許容される水不溶性ポリマーとを含む、ポリマー物質を含み得る。あるいは、この膜コーティングは、主要部分(すなわち、総ポリマー含量の50%を超える)の1種または複数の薬学的に許容される水不溶性ポリマーと、必要に応じて微量部分(すなわち、総ポリマー含量の50%未満)の1種または複数の薬学的に許容される水溶性ポリマーとを含む、ポリマー物質を含み得る。
【0060】
アンモニオメタクリレートコポリマー(例えば、Eudragit RSおよびEudragit RL(Rohm Pharma))は、本発明の制御された放出の製剤中での使用に適切である。これらのポリマーは、純水、希釈酸、緩衝溶液または消化液中で、全生理学的pH範囲にわたって不溶性である。これらのポリマーは、pH非依存的に、水および消化液中で膨潤する。膨潤状態で、次いで、これらのポリマーは、水および溶解した活性物質に対して透過性である。これらのポリマーの透過性は、ポリマー中のエチルアクリレート(EA)基、メチルメタクリレート(MMA)基およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド(TAMCI)基の比に依存する。1:2:0.2のEA:MMA:TAMCI比を有するポリマー(Eudragit RL)は、1:2:0.1の比のEA:MMA:TAMCI比を有するポリマー(Eudragit RS)よりも透過性である。Eudragit RLのポリマーは高い透過性の不溶性ポリマーであり、Eudragit RSのポリマーは低い透過性の不溶性フィルムである。
【0061】
アンモニアメタクリレートコポリマーは任意の所望の比率で合わせることができる。例えば、Eudragit RS:Eudragit RL(90:10)の比を使用し得る。これらの比は、薬物の放出における遅延を提供するためにさらに調整され得る。例えば、Eudragit RS:Eudragit RLの比は、約100:0〜約80:20、約100:0〜約90:10、またはこれらの間の任意の比であり得る。このような製剤において、透過性の低いポリマーEudragit RSは、一般にポリマー物質の大部分を構成する。
【0062】
このアンモニオメタクリレートコポリマーは、薬物の放出における所望の遅延を達成するために、ポリマー物質内でメタクリル酸コポリマーと合わされ得る。約99:1〜約20:80の範囲の、メタクリル酸コポリマーに対するアンモニオメタクリレートコポリマー(例えば、Eudragit RS)の比が使用され得る。2つの型のポリマーはまた、同じポリマー物質へと合わされ得るか、またはコアに適用される別個のコートとして提供され得る。
【0063】
上記のEudragitポリマーに加えて、多数の他のこのようなコポリマーが、薬物の放出を制御するために使用され得る。これらには、メタクリレートエステルコポリマー(例えば、Eudragit NE 30D)が含まれる。Eudragitポリマーに関するさらなる情報は、「Chemistry and Application Properties of Polymethacrylate Coating Systems」、Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms,編者James McGinity, Marcel Dekker Inc., New York 109〜114頁)中に見出され得る。
【0064】
コーティング膜は、ポリマー物質の透過性を増大させるように、1種または複数の可溶性賦形剤をさらに含み得る。適切には、この可溶性賦形剤は、可溶性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖および糖アルコールの中から選択される。このような可溶性賦形剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート)、有機酸(例えば、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸および酒石酸)、糖(例えば、デキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトースおよびスクロース)、糖アルコール(例えば、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトール)、キサンタンガム、デキストリンならびにマルトデキストリン。いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドン、マンニトールおよび/またはポリエチレングリコールが可溶性賦形剤として使用され得る。可溶性賦形剤は、ポリマーの総乾燥重量に基づいて、約1重量%〜約10重量%の量で使用され得る。
【0065】
別の実施形態において、このポリマー物質は、胃腸液中でも不溶性である1種または複数の水不溶性ポリマーと、1種または複数の水溶性孔形成化合物を含む。例えば、この水不溶性ポリマーは、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテートおよび/またはポリビニルアルコールのターポリマーを含み得る。適切な水溶性孔形成化合物としては、サッカロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールが含まれるがこれらに限定されない。これらの孔形成化合物は水不溶性ポリマー中に均一またはランダムに分布し得る。典型的に、これらの孔形成化合物は、水不溶性ポリマーの約1部〜約10部各々について、約1部〜約35部を構成する。
【0066】
このような投薬形態が、溶解媒体(例えば、腸液)と接触すると、ポリマー物質内の孔形成剤が溶解して、薬物が拡散する多孔構造を生じる。このような製剤は、米国特許第4557925号(この関連する部分は、この目的のために本明細書中で参考として援用される)においてより詳細に記載される。この多孔性膜はまた、本明細書中に記載されるような腸溶性コーティングでコーティングされて、胃における放出を阻害し得る。
【0067】
一実施形態において、このような孔形成制御された放出の投薬形態は、プラバスタチン;充填剤(例えば、デンプン、ラクトースまたは微結晶セルロース(AVICEL(商標)));結合剤/制御された放出のポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン);崩壊剤(例えば、EXPLOTAB(商標)、クロスポビドンまたはデンプン);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸);界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート);および潤滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素(AEROSIL(商標))またはタルクを含む。
【0068】
このポリマー物質はまた、1種または複数の補助剤(例えば、充填剤、可塑剤および/または消泡剤)を含み得る。典型的な充填剤には、タルク、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、カオリン、コロイド状シリカ、石膏、微小化シリカおよび三ケイ酸マグネシウムが含まれる。使用される充填剤の量は、典型的にポリマーの総乾燥重量に基づいて、約2重量%〜約300重量%の範囲であり、約20%〜約100%の範囲であり得る。一実施形態においてタルクが充填剤である。
【0069】
コーティング膜は機能的コーティングと同様にポリマーの加工を改善する物質も含み得る。このような物質は一般に可塑剤と称され、例えば、アジペート、アゼレート、ベンゾエート、シトレート、イソエブケート(isoebucate)、フタレート、セバケート、ステアレートおよびグリコールが含まれる。典型的な可塑剤には、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチンシトレート、トリアセチン、トリプロピノイン(tripropinoin)、ジアセチン、ジブチルフタレート、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、トリエチルシトレート、多価アルコール、酢酸エステル、グリセロールトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート(tallate)、トリイソオクチル(triisoctyl)トリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレートジブチルセバケート、グリセリルモノカプリレートおよびグリセリルモノカプレートが含まれる。一実施形態においてこの可塑剤はジブチルセバケートである。ポリマー物質中で使用される可塑剤の量は、典型的に乾燥ポリマーの重量に基づいて、約10%〜約50%の範囲、例えば約10%、20%、30%、40%または50%である。
【0070】
消泡剤もまた含まれ得る。一実施形態においてこの消泡剤はシメチコンである。使用される消泡剤の量は典型的に最終製剤の約0%〜約0.5%を構成する。
【0071】
膜制御された製剤中で使用されるポリマーの量は、典型的に、所望の薬物送達特性(送達されるべき薬物の量、薬物送達の速度および位置、薬物放出の時間遅延、ならびに製剤中の多粒子のサイズを含む)を達成するために調整され得る。適用されるポリマーの量は、典型的にコアに約10%〜約100%の重量増加を提供する。一実施形態においてこのポリマー物質に由来する重量増加は約25%〜約70%の範囲である。
【0072】
ポリマー物質の全ての固体成分(コポリマー、充填剤、可塑剤ならびに任意の賦形剤および加工助剤を含む)の組み合わせは、典型的にコアに約10%〜約450%の重量増加をもたらす。一実施形態においてこの重量増加は約30%〜約160%である。
【0073】
このポリマー物質は、任意の公知の方法、例えば流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)またはパンコーティングシステムを使用して噴霧することによって適用され得る。コーティングされたコアは典型的にポリマー物質の適用後に乾燥または硬化される。硬化とは、多粒子が、安定な放出率を提供するのに充分な時間にわたって、制御された温度で維持されることを意味する。硬化は例えばオーブンまたは流体床ドライヤー中で実施され得る。硬化は室温を超える任意の温度で実施され得る。
【0074】
密封剤またはバリアもまたポリマーコーティングに適用され得る。密封剤層またはバリア層はまたポリマー物質を適用する前にコアに適用され得る。密封剤層またはバリア層は、プラバスタチンの放出を改変することを意図しない。適切な密封剤またはバリアは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースおよびキサンタンガムのような、透過性または可溶性の薬剤である。
【0075】
他の薬剤が、密封剤層またはバリア層の加工可能性を改善するために添加され得る。このような薬剤には、タルク、コロイド状シリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、微小化シリカ、ヒュームドシリカ、モノステアリン酸グリセロール、三ケイ酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウム、またはこれらの混合物が含まれる。この密封剤層またはバリア層は、任意の公知の手段(例えば、流動床コーター(例えば、Wursterコーティング)またはパンコーティングシステム)を使用して、溶液(例えば、水溶液)または懸濁液から適用され得る。適切な密封剤またはバリアには、例えばOPADRY WHITE Y−1−7000およびOPADRY OY/B/28920 WHITEが含まれ、これらは各々英国Colorcon Limitedから入手可能である。
【0076】
本発明はまた、カプレット剤、カプセル剤、投与前に懸濁するための粒子、サシェ剤または錠剤の形態で、本明細書中上で規定したような多粒子プラバスタチン製剤を含む経口投薬形態を提供する。この投薬形態が錠剤形態の場合、これらの錠剤は、崩壊性錠剤、迅速溶出錠剤、発泡(effervescent)錠剤、迅速溶融錠剤および/またはミニ錠剤であり得る。この投薬形態は薬物の経口投与に適切な任意の形状(例えば、長球体、立方体状長円体または楕円体)であり得る。これらの投薬形態は、当技術分野で公知の様式で多粒子から調製され得、さらなる薬学的に許容される賦形剤を所望の場合に含み得る。
【0077】
軟ゼラチンカプセル剤
本発明の製剤は、軟ゼラチンカプセル剤へと充填され得る液体としても調製され得る。例えば、この液体には、スタチンを保有する、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミクロエマルジョン、沈殿物または任意の他の所望の液体媒体が含まれ得る。この液体は、放出の際のスタチンの溶解性を改善するように設計され得るか、または放出の際に薬物含有エマルジョンもしくは分散相を形成するように設計され得る。このような技術の例は当技術分野で周知である。軟ゼラチンカプセル剤は、所望の場合、薬物の放出を遅延させるために、機能的コーティングでコーティングされ得る。
【0078】
一体型および/または多単位の投薬形態の形態をさらに取り得る、上記の特定の実施形態の全て(マトリックスベースの形態、浸透圧ポンプベースの形態、軟ゼラチンカプセル剤の形態および/または膜制御された形態を含むが、これらに限定されない)は、機能的コーティングを有し得る。このようなコーティングは、一般に所定の期間にわたって薬物の放出を遅延させる目的を果たす。例えば、このようなコーティングにより、胃酸または消化液に供されることなくこの投薬形態が胃を通過することが可能であり得る。従って、このようなコーティングは、胃腸管(例えば、上部腸)における所望の点に達すると溶解または浸食され得る。
【0079】
このような機能的コーティングはpH依存的またはpH非依存的な溶解性プロフィールを示し得る。pH非依存的なプロフィールを有するコーティングは、一般に所定の期間の後に浸食または溶解し、この期間は、一般にコーティングの厚さと正比例する。一方、pH依存的なプロフィールを有するコーティングは、胃の酸性pH中でもその一体性を保持し得るが、より塩基性の上部腸に入ると迅速に浸食または溶解され得る。
【0080】
このように、マトリックスベースの製剤、浸透圧ポンプベースの製剤または膜制御された製剤は、薬物の放出を遅延させる機能的コーティングでさらにコーティングされ得る。例えば、膜制御された製剤は、上部腸に達するまで、この膜制御された製剤の曝露を遅延させる腸溶性コーティングでコーティングされ得る。酸性の胃を離れ、より塩基性の腸に入る際に、この腸溶性コーティングは溶解する。次いで、この膜制御された製剤は、胃腸液に曝露され、次いで本発明に従って、延長された期間にわたってプラバスタチンを放出する。これらのような機能的コーティングの例は当技術分野で周知である。
【0081】
一実施形態において、このプラバスタチン製剤は薬物の放出を最初に遅延させる。遅延後、この製剤は薬物を迅速に放出し得る。このような製剤は、対象に、より迅速かつ/または即座の治療効果を提供する。
【0082】
本発明の製剤は、pH改変剤(例えば、約1〜約6.5のpKaを示す薬剤)をさらに含み得る。このような薬剤にはジカルボン酸が含まれるがこれに限定されない。ジカルボン酸には、2−エタン二酸(シュウ酸)、3−プロパン二酸(マロン酸)、4−ブタン二酸(コハク酸)、5−ペンタン二酸(グルタル酸)、6−ヘキサン二酸(アジピン酸)、シス−ブタン二酸(マレイン酸)、トランス−ブタン二酸(フマル酸)、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパンカルボン酸(クエン酸)、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において1種または複数のジカルボン酸が製剤中に含められる。
【0083】
いくつかの実施形態において、この製剤はモノカルボン酸を実質的に含まない。この文脈において使用される場合、「実質的に含まない」は、モノカルボン酸がこの製剤に添加されていないが、他の方法で存在し得ることを意味する。モノカルボン酸には、メタン酸(蟻酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、1−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、3−ベンジル−2−プロペン酸(ケイ皮酸)および2−オキソプロパン酸(ピルビン酸)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明の製剤は、水性流体に曝露された場合に、プラバスタチンの周りに微小環境を生み出すpH改変剤を含み得る。例えば、これらの薬剤は、プラバスタチンの周りに、約3〜約6のpH、または例えば、約5のpHを有する微小環境を生み出し得る。
【0085】
本発明の製剤は、患者への投与の際に、以下の特徴を一般に示す:
(i)約2時間までにわたり、放出が最小であるかまたはない、その後
(ii)4〜6時間にわたって延長された放出。
【0086】
PRAVACHOL(登録商標)からの絶対的な全身バイオアベイラビリティは、約20%である。本発明の組成物を使用して、プラバスタチンの全身バイオアベイラビリティは、20%未満、例えば約15%、10%、5%または0%、あるいは20%未満の任意の量まで、低減され得る。
【0087】
PRAVACHOL(登録商標)からのプラバスタチンの肝臓抽出は、約45%〜約65%の範囲である。本発明の組成物を使用して、プラバスタチンの肝臓抽出は、約45%〜65%を超えて、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%、あるいは45%を超える任意の量まで、増大され得る。
【0088】
PRAVACHOL(登録商標)からのAUCにおける変動性は、約50%〜約60%である。本発明の組成物を使用して、AUCにおける変動性は、約50%〜60%未満、例えば、約40%〜約50%、約30%〜約40%、または約20%〜約30%、あるいは60%未満の任意の変動性まで、低減され得る。
【0089】
治療レベルは、特定の患者において治療的に有効なプラバスタチンの最小濃度である。もちろん、当業者は、この治療レベルが、処置される個体および状態の重症度に依存して変動し得ることを認識する。例えば、個々の患者の年齢、体重および病歴が、治療の治療的効力に影響を与え得る。有能な医師は、これらの要因を考慮して投与レジメンを調整して、用量が過度の実験なしに所望の治療結果を達成することを確実にし得る。臨床医および/または処置にあたる医師は、個々の患者の応答と組み合わせて、如何にかつ何時、治療を中断、調整および/または終了させるかを知っていることもまた、留意される。
【0090】
一般に、本発明の製剤中のプラバスタチンの1日続投薬量は、約1mg〜約200mg、約1mg〜約160mg、約1mg〜約80mg、約1mg〜約40mg、約5mg〜約30mgまたは約10mg〜約20mg、あるいはその間の任意の整数または分数の量の範囲である。単回用量(single dose)は、約1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mgまたは200mgのプラバスタチンを含むように処方され得る。一実施形態において、単回用量は、5mg、10mgまたは15mgのプラバスタチンを含む。
【0091】
本発明のプラバスタチン組成物のin vitroの溶出プロフィールは、以下に対応し得る:
(1)約20%未満のプラバスタチンが、約2時間後に放出される;
(2)約20%〜約80%のプラバスタチンが、約4時間後に放出される;および
(3)80%を超えるプラバスタチンが、約6〜8時間後に放出される。
【0092】
当業者は、このような溶出プロフィールを決定するために使用される技術に精通している。米国薬局方(その方法論は、関連する部分において本明細書中で参考として援用される)に示される標準的な方法が使用され得る。例えば、溶出プロフィールは、米国薬局方I型装置(バスケット)または米国薬局方II型装置(パドル)のいずれかによって測定され得る。pH非依存的製剤について、これらの製剤はpH6.8以上のリン酸緩衝液中で37℃かつ50〜100 rpmで試験され得る。pH依存的製剤について、これらの製剤は0.01〜0.1NのHCl中で最初の2時間にわたり37℃かつ50〜100 rpmで試験され、その後試験の残りの期間にわたってpH6.8以上のリン酸緩衝液中で試験され得る。pH依存的製剤およびpH非依存的製剤についての溶出プロフィールを測定するために適切な他の緩衝液系は当業者に周知である。
【0093】
本発明の放出調節プラバスタチン製剤の溶出プロフィールは、in vitroの放出率に基づいて、以下に提供されるプロフィールの1つまたは複数を実質的に模倣し得る。これらの製剤からの薬物の放出は、2時間にわたり酸中で遅延され、次いでpH6.8以上の緩衝液に移されてプラバスタチンの吸収部位である小腸への通過と一致する様式で薬物を放出し得る。この放出プロフィールは、50〜75rpmでのパドル、または100rpmでのバスケットのいずれかを使用して得られる。
【0094】
時間(時間) %放出

2 約10以下
pH6.8
2.0 約20〜40
4.0 約40〜60
6.0 約60〜840
8.0 約80以下
いくつかの実施形態において、プラバスタチン製剤は、pH依存的な溶出プロフィールを示すポリマーコーティングを用いて調製され得る。このような製剤は、pH6.8の緩衝液中でI型溶出試験装置によって測定した場合、以下のプラバスタチン放出率を示し得る:1時間:約0〜約50%;2時間:約30〜約70%;4時間:約50〜約90%;および6時間:約60%以上。このような製剤は、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置によって測定した場合、以下のプラバスタチン放出率を示し得る:1時間:約20〜約40%;2時間:約40〜約60%;4時間:約60〜約80%;および6時間:約80%以上。
【0095】
0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いで試験の残りの期間にわたりpH6.8以上の緩衝液中で、II型溶出試験装置によって測定した場合、このようなpH依存的なコーティングを有する本発明の製剤は、以下の溶出プロフィールを示し得る:2時間(HCl中):約20%以下;1時間(pH6.8以上のpH中):約0〜約50%;2時間(pH6.8以上のpH中):約30〜約70%;4時間(pH6.8以上のpH中):約50〜約90%;および8時間(pH6.8以上のpH中):約60%以上。このような製剤は、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いで試験の残りの期間にわたりpH6.8以上の緩衝液中で、II型溶出試験装置によって測定した場合、以下の放出プロフィールを示し得る:2時間(HCl中):約10%以下;1時間(pH6.8以上のpH中):約20〜約40%;2時間(pH6.8以上のpH中):約40〜約60%;4時間(pH6.8以上のpH中):約60〜約80%;8時間(pH6.8以上のpH中):および約80%以上。
【0096】
いくつかの実施形態において、これらのプラバスタチン製剤は、pH非依存的な溶出プロフィールを示すポリマーコーティングを用いて調製され得る。このような製剤は、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置によって測定した場合、以下のプラバスタチン放出率を示し得る:1時間:約20%以下;2時間:約0〜約50%;4時間:約30〜約70%;6時間:約50〜約90%;および8時間:約60%以上。このような製剤は、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置によって測定した場合、以下のプラバスタチン放出率を示し得る:1時間:約10%以下;2時間:約20〜約40%;4時間:約40〜約60%;6時間:約60〜約80%;および8時間:約80%以上。
【0097】
任意の上記の薬学的組成物は、プラバスタチン以外の1種または複数の薬学的に活性な化合物をさらに含み得る。このような化合物は、プラバスタチンまたは異なる薬剤を用いて処置されるのと同じ状態または異なる状態を処置するために提供され得る。当業者は本発明の製剤中にさらなる活性成分を取り込むための技術の例に精通している。あるいは、このようなさらなる薬学的化合物は、別個の製剤中に提供されて、プラバスタチン組成物とともに患者に同時投与され得る。このような別個の製剤は、プラバスタチン投与の前、後、または同時に投与され得る。
【0098】
本発明は以下の実施例を参照してさらに説明される。材料および方法の両方に対する多数の改変が、本発明の目的および範囲から逸脱せずに実施され得ることは、当業者に明らかである。
【0099】
(実施例)
実施例1:メトセル E4 Premiumを使用した、放出調節プラバスタチン(ナトリウム)10mgマトリックス錠剤の製造
表1に示される成分を含む、プラバスタチンの放出調節製剤を、以下のように製造する。
【0100】
【表1】

【0101】
各成分を計量する。Avicel、プラバスタチンナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、メトセルおよびラクトースを、ブレンダー中で15分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを添加し、これらの成分をさらに5分間混合する。次いで、この混合物を分割し、単純な長円形型押機を使用して、適切な錠剤機械で錠剤へと圧縮する。各錠剤の目標重量は180mgである。
【0102】
実施例2:メトセル K100M Premium 2208を使用した、放出調節プラバスタチン(ナトリウム)10mgマトリックス錠剤の製造
表2に示される製剤を、実施例1のプロセスに従って製造する。
【0103】
【表2】

【0104】
実施例3:メトセル K100LV Premiumを使用した、放出調節プラバスタチン(ナトリウム)10mgマトリックス錠剤の製造
表3に示される製剤を、実施例1のプロセスに従って製造する。
【0105】
【表3】

【0106】
in vitroの溶解試験を、以下のパラメータに基づいて、放出調節コア錠剤について実施する:USP(711);50RPMにてパドル;媒体:リン酸緩衝液pH6.8;および適切な波長でのUV吸光度。
【0107】
目的溶解は以下の通りである:
時間 %放出
1.0 20〜40
2.0 40〜60
4.0 60〜80
6.0 >80。
【0108】
実施例4:腸溶性コーティングした錠剤
上記の実施例1〜3の錠剤を腸溶性コーティング懸濁液でコーティングすることによって、腸溶性コーティングしたマトリックス錠剤を調製する。放出調節錠剤について必要な腸溶性コーティングの量を決定するために、コーティング実験を実施する。コーティング試験を、選択された10mgの強度の製剤原型(約2〜3kgのバッチサイズ)に対して実施する。
腸溶性コーティング懸濁液についての詳細な組成:
【0109】
【表4】

【0110】
製造プロセス
このコーティングを、Eudragit L30 D55を使用して、5%,10%,15%および20%のコーティングポリマー厚(すなわち、錠剤コートに対する重量増加の%)にて錠剤に適用する。このコーティングを適切なコーティング装置を使用して、放出調節錠剤コア上に適用する。
【0111】
in vitroの溶解試験を、以下のパラメータを使用して腸溶性コーティングした放出調節錠剤について実施する:USP(711);50RPMにてパドル;媒体:2時間にわたり0.1NのHCl、その後試験の残りの期間にわたってpH6.8以上のリン酸緩衝液;適切な波長でのUV吸光度。
【0112】
サンプルを収集し、溶解試験に供する。腸溶性コーティングした錠剤についての目的のin vitroの溶解を以下に示す:
実施例5:迅速放出の錠剤コア
表4に示される成分を含む、プラバスタチンの迅速放出の錠剤コアを、以下のように製造する。これらのコアは膜制御された製剤において使用され得る。
【0113】
【表5】

【0114】
各成分を計量する。Avicel、プラバスタチンナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、メトセルおよびラクトースを、ブレンダー中で30分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを添加し、これらの成分をさらに5分間混合する。次いで、この混合物を分割し、単純な長円形型押機を使用して、適切な錠剤機械で錠剤へと圧縮する。各錠剤の目標重量は180mgである。
【0115】
実施例6:迅速放出の錠剤(膜制御された)の腸溶性コーティング
上記実施例5に示される製剤を、表5に記載されるコーティングでコーティングする。
【0116】
【表6】

【0117】
実施例7:pH非依存的な機能的コーティングの製剤
本発明に従う任意の投薬形態は、例えば、以下の表に提供されるようなpH非依存的なコーティングでコーティングされ得る。
【0118】
【表7】

【0119】
実施例8:pH非依存的な機能的コーティングの製剤
本発明に従う任意の投薬形態は、例えば、以下のようなpH非依存的なコーティングでコーティングされ得る。
【0120】
【表8】

【0121】
in vitroの溶解試験を、以下のパラメータを使用して、pH非依存的な機能的コーティングでコーティングされた、放出調節錠剤について実施する:USP(711);50RPMにてパドル;媒体:リン酸緩衝液pH6.8;および適切な波長でのUV吸光度。
【0122】
非腸溶性コーティングした錠剤についての目的のin vitroの溶解は、以下に示される:
【0123】
【表9】

【0124】
実施例9:患者においてコレステロールを低下させることにおける、放出調節プラバスタチン製剤と従来のプラバスタチン製剤との比較
本発明の放出調節製剤の効力を評価するために、これらの製剤を、原発性高コレステロール血症および混合型異常脂質血症を有する患者におけるコレステロールの低減について試験し、同じ用量でPRAVACHOL(登録商標)と比較する。本発明の製剤がPRAVACHOL(登録商標)よりも低い用量でより有効であることを示すために、低用量もまた試験する。本発明の製剤を、PRAVACHOLによって引き起こされる全身ユビキノン枯渇と比較した、この枯渇に対する効果についても試験する。結果は、本発明の製剤が、PRAVACHOL(登録商標)のような従来のプラバスタチン製剤と比較して、有意に低い全身ユビキノン枯渇を引き起こすことを示す。
【0125】
研究を4週間のプラセボ期間で開始し、ここで患者は食餌のアドバイスを受ける。患者を以下を受ける群に無作為化する:
A.従来のプラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))を1日40mgで6週間;その後、1日80mgまで増量し、8週間、
B.本発明の製剤を1日10mgで6週間。この期間の最後に患者を無作為化し、1日10mgまたは20mgのいずれかをさらに6週間、
C.本発明の製剤を1日20mgで6週間。この期間の最後に患者を無作為化し、1日20mgまたは40mgのいずれかをさらに6週間、または
D.本発明の製剤を40mgで6週間。この期間の最後に患者を無作為化し、1日40mgまたは80mgのいずれかをさらに6週間。
【0126】
A群は20人の患者を含むが、B、CおよびD群は各々6週目の時点で20人の患者の群への無作為化を可能とするために40人の患者を含む。この設計により、プラセボ期間、および従来の製品との本発明の製剤の用量応答比較が可能である。
【0127】
コレステロールレベルを、試験開始前、無作為化前(ベースライン)ならびに1週目、2週目、4週目、6週目、8週目、10週目および12週目に測定する。全身ユビキノンレベルを、全身ユビキノンレベルの相対的な枯渇を決定するために、無作為化前、ならびに6週目および12週目に測定する。集団分析のためのプラバスタチン濃度を、6週目および12週目に得る。
【0128】
有効性の評価基準には、総コレステロール(C)、LDL−C、トリグリセリド(TG)、HDL−C、VLDL−Cならびに総−C/HDL−C/HDL−Cの比およびLDL−C/HDL−Cの比における、ベースラインからの変化を含む。主要な安全性評価基準は、全身ユビキノンレベルにおけるベースラインからの変化である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】コレステロールおよびユビキノンの生合成を示す。
【図2】プラバスタチンの薬物動態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高コレステロール血症の処置を必要とする対象に、医薬品製剤中の治療有効量のプラバスタチンを投与するステップを含む、高コレステロール血症を処置するための方法であって、前記製剤は、前記対象の胃における前記プラバスタチンの放出を阻害し、かつ前記対象の腸における前記プラバスタチンの放出を許容し、前記製剤は、pH非依存的な溶出プロフィールを示すポリマーコーティングを含む方法。
【請求項2】
前記ポリマーコーティングが、浸食性または溶出制御されたコーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製剤が、約1〜約6.5の範囲のpKaを有する少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記製剤が少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、I型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約20%以下
2時間:約0〜約50%
4時間:約30〜約70%
6時間:約50〜約90%
8時間:約60%以上
を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、I型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約10%以下
2時間:約20〜約40%
4時間:約40〜約60%
6時間:約60〜約80%
8時間:約80%以上
を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約1〜約200mgの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約5〜約80mgの範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約10〜約20mgの範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記製剤が、前記高コレステロール血症に対して二次的な1種または複数の心臓血管疾患を処置するために前記対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルが、前記製剤の投与後に低下する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の血清高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルが、前記製剤の投与後に上昇する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
高コレステロール血症に対して二次的でない1種または複数の心臓血管疾患の処置を必要とする対象に、医薬品製剤中の治療有効量のプラバスタチンを投与するステップを含む、高コレステロール血症に対して二次的でない1種または複数の心臓血管疾患を処置するための方法であって、前記製剤は、前記対象の胃における前記プラバスタチンの放出を阻害し、かつ前記対象の腸における前記プラバスタチンの放出を許容する方法。
【請求項15】
プラバスタチンの肝臓でのアベイラビリティを増大させるための方法であって、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.8以上の緩衝液中で試験の残りの期間にわたり、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約20%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約0〜約50%
2時間(pH6.8以上のpH中):約30〜約70%
4時間(pH6.8以上のpH中):約50〜約90%
8時間(pH6.8以上のpH中):約60%を超える
を示す医薬品製剤において、約1〜約200mgのプラバスタチンを対象に投与するステップを含み、前記製剤は少なくとも1種のジカルボン酸を含む方法。
【請求項16】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬品製剤が、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.8以上の緩衝液で試験の残りの期間にわたり、I型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約10%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約20〜約40%
2時間(pH6.8以上のpH中):約40〜約60%
4時間(pH6.8以上のpH中):約60〜約80%
8時間(pH6.8以上のpH中):約80%を超える
を示し、前記製剤は少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
治療有効量のプラバスタチン;
胃における前記プラバスタチンの放出を阻害するための手段;および
前記プラバスタチンの取り込みを最適化するための手段
を含む、経口投与のための製剤。
【請求項20】
前記胃における前記プラバスタチンの放出を阻害するための手段が、ポリマーコーティングを含む、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
前記ポリマーコーティングが、pH依存的な溶出プロフィールを示す、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
前記ポリマーコーティングが腸溶性コーティングである、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
前記ポリマーコーティングが、pH非依存的な溶出プロフィールを示す、請求項20に記載の製剤。
【請求項24】
前記ポリマーコーティングが、浸食性または溶出制御されたコーティングである、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
前記プラバスタチンの取り込みを最適化するための手段が、約1〜約6.5の範囲のpKaを有する少なくとも1種の化合物を含む、請求項19に記載の製剤。
【請求項26】
前記プラバスタチンの取り込みを最適化するための手段が、少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間:約0〜約50%
4時間:約30〜約70%
6時間:約50〜約90%
8時間:約60%以上
を示す、請求項23に記載の製剤。
【請求項29】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間:約20〜約40%
4時間:約40〜約60%
6時間:約60〜約80%
8時間:約80%以上
を示す、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
前記製剤が、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.8以上の緩衝液で試験の残りの期間にわたり、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約20%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約0〜約50%
2時間(pH6.8以上のpH中):約30〜約70%
4時間(pH6.8以上のpH中):約50〜約90%
8時間(pH6.8以上のpH中):約60%以上
を示す、請求項21に記載の製剤。
【請求項31】
前記製剤が、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.8以上の緩衝液で試験の残りの期間にわたり、I型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約10%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約20〜約40%
2時間(pH6.8以上のpH中):約40〜約60%
4時間(pH6.8以上のpH中):約60〜約80%
8時間(pH6.8以上のpH中):約80%以上
を示す、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約20%以下
2時間:約0〜約50%
4時間:約30〜約70%
6時間:約50〜約90%
8時間:約60%以上
を示す、請求項23に記載の製剤。
【請求項33】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約10%以下
2時間:約20〜約40%
4時間:約40〜約60%
6時間:約60〜約80%
8時間:約80%以上
を示す、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約1〜約200mgの範囲である、請求項19に記載の製剤。
【請求項35】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約5〜約80mgの範囲である、請求項34に記載の製剤。
【請求項36】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約10〜約20mgの範囲である、請求項35に記載の製剤。
【請求項37】
前記製剤が、対象において低密度リポタンパク質−コレステロール(LDL−C)レベルを、前記製剤の投与後に低下させる、請求項19に記載の製剤。
【請求項38】
前記製剤が、対象において高密度リポタンパク質−コレステロール(HDL−C)レベルを、前記製剤の投与後に上昇させる、請求項19に記載の製剤。
【請求項39】
治療有効量のプラバスタチンを含むマトリックス、
少なくとも1種のジカルボン酸、および
少なくとも1種の水溶性または水透過性のポリマー、
を含む、製剤。
【請求項40】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項39に記載の製剤。
【請求項41】
プラバスタチンの肝臓アベイラビリティを増大させるための方法であって、前記方法は、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約20%以下
2時間:約0〜約50%
4時間:約30〜約70%
6時間:約50〜約90%
8時間:約60%以上
を示す医薬品製剤において、約200mgのプラバスタチンを対象に投与するステップを含み、前記製剤は、少なくとも1種のジカルボン酸を含む方法。
【請求項42】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記製剤が、pH6.8の緩衝液中で、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
1時間:約10%以下
2時間:約20〜約40%
4時間:約40〜約60%
6時間:約60〜約80%
8時間:約80%以上
を示し、前記製剤は、少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
高コレステロール血症の処置を必要とする対象に、医薬品製剤中の治療有効量のプラバスタチンを投与するステップを含む、高コレステロール血症を処置するための方法であって、前記製剤は、前記対象の胃における前記プラバスタチンの放出を阻害し、かつ前記対象の腸における前記プラバスタチンの放出を許容し、前記製剤は、pH依存的な溶出プロフィールを示すポリマーコーティングを含み、かつ前記製剤は、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.6以上の緩衝液で試験の残りの期間にわたり、I型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約20%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約0〜約50%
2時間(pH6.8以上のpH中):約30〜約70%
4時間(pH8.8以上のpH中):約50〜約90%
8時間(pH6.8以上のpH中):約60%以上
を示す、方法。
【請求項46】
前記製剤が少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記製剤が、0.1NのHCl緩衝液中で2時間、次いでpH6.8以上の緩衝液で試験の残りの期間にわたり、II型溶出試験装置で測定した場合、以下のプラバスタチン放出率:
2時間(HCl中):約10%以下
1時間(pH6.8以上のpH中):約20〜約40%
2時間(pH6.8以上のpH中):約40〜約60%
4時間(pH6.8以上のpH中):約60〜約80%
8時間(pH6.8以上のpH中):約80%以上
を示す、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記製剤が少なくとも1種のジカルボン酸を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約1〜約200mgの範囲である、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約5〜約80mgの範囲である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記プラバスタチンの治療有効量が、約10〜約20mgの範囲である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
治療有効量のプラバスタチンと少なくとも1種のジカルボン酸とを含むコア;および
50重量%未満の少なくとも1種の水溶性または水透過性のポリマーと、50重量%を超える少なくとも1種の水不溶性または水不透過性のポリマーとを含む、膜制御されたポリマーコーティング
を含む製剤。
【請求項55】
前記製剤がモノカルボン酸を実質的に含まない、請求項54に記載の製剤。
【請求項56】
プラバスタチンの投与に関連する1種または複数の副作用を低減する方法であって、前記方法は、このような副作用の低減を必要とする対象に、医薬品製剤中の治療有効量のプラバスタチンを投与するステップを含み、前記製剤は、前記対象の胃における前記プラバスタチンの放出を阻害し、かつ前記対象の腸における前記プラバスタチンの放出を許容し、1種または複数の副作用が、等量の従来のプラバスタチン製剤の投与から生じる副作用と比較して低減される方法。
【請求項57】
前記製剤が、高コレステロール血症に対して二次的な1種または複数の心臓血管疾患を処置するために前記対象に投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項58】
前記対象の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルが、前記製剤の投与後に低下する、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
前記対象の血清高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルが、前記製剤の投与後に上昇する、請求項45に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504686(P2006−504686A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−533791(P2004−533791)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004523
【国際公開番号】WO2004/021973
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(504251366)バイオヴェイル ラボラトリーズ インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】BIOVAIL LABORATORIES INC.
【出願人】(305055725)
【出願人】(305055655)
【出願人】(305055666)
【Fターム(参考)】