説明

プランター付水槽装置

【目的】 水槽プランターを設けてなるプランター付水槽装置において、水槽内に収容される観賞魚や水草などが、また、プランターに植え込まれる陸上植物などが、常に最良の状態に保ち、外観上の景観を良好にして商品価値を高める。
【構成】 水槽Vと、その開放上面1に、着脱自在かつ横方向に移動自在に設けられる器状のプランターPとよりなり、プランターPは、中空の円筒部3と、その下方に凸の球面に形成されて多数の小孔6を穿設した底壁5と、前記筒部3の外周面より横方向に張り出して外周縁に通気口8を開口した受けフランジ7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚、金魚などの観賞魚や水草を育成するための水槽に、陸上植物を育成するためのプランターを併設したプランター付水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の容器に水槽とプランターとを纏めて設備した、プランター付水槽装置は公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3802632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プランター付水槽装置では、水槽にあっては、そこに収容される観賞魚や水草などが、また、プランターにあっては、そこに植え込まれる観葉植物、ハーブなどの陸上植物などが、共に常に最良の状態に保たれて、外観上の景観を良好にして商品価値を高めることが求めらる。そのためには、水槽およびプランターのメンテナンスをし易くすること、水槽内の水と外気との接触をよくして、エアーレーションをし易くすること、プランター内に常に積極的に綺麗な水を流通させると共にプランター内へのエア噛みをしないようにすることなどが要求されるが、前記特許文献1のものでは、かかる要求を満たすような技術的手段がなされていない。
【0005】
本発明は、斯かる要求を満足させるようにした、新規なプランター付水槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、上面を開放した中空筒状の水槽と、その水槽の開放上面に、着脱自在かつ横方向に移動自在に設けられる器状のプランターとよりなり、前記プランターは、中空の筒状部と、その下方に凸の球面に形成される底壁と、前記筒状部の外周面の上下方向の中間部にその全周にわたって横方向に張り出す外向きの受けフランジとを備え、前記底壁には、その全面に亘って多数の小孔が穿設され、前記受けフランジの外周には通気口が開口され、前記水槽の開口上面に、前記プランターを設けたとき、その開口上面上に、前記受けフランジが移動可能に載置されて、プランターの底壁を含む下半部が、水槽内の水槽水内に浸漬され、さらに、水槽の内周面とプランターの外周面間に間隙が形成されると共に前記通気口を通して水槽内と外気とが常時連通されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記水槽および前記プランターは、いずれも透明に形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
各請求項の発明によれば、水槽の開口上面に、プランターが着脱自在かつ横方向に移動自在に設けられるので、水槽およびプランターのメンテナンスが簡単、容易であって、それらを最良の状態に保ち易く、また、水槽に対してプランターの位置を変更して形態、趣の異なる水槽装置を楽しむことができる。また、プランターの位置に関係なく、水槽内は通気口を通して外気と常に連通状態にあるので、水槽水を常に新鮮な外気を流通させてエアーレーションをし易くすることができる。さらに、プランターの底壁は、下方に凸の球面に形成されてそこの多数の小孔が穿設されているので、たとえば、エアポンプからエアストンを通して水槽内にエアを噴出させるなどして、水槽内にエアが混入する場合にも、そのエアをその底壁に沿って上方へスムーズに導くことができて、プランター内にエアが侵入することを防止すると共に小孔を通してプランター内に新鮮な水を循環させることができ、プランターに植え付けられる陸上植物の育成を良好にすることができる。
【0009】
また、特に請求項2の発明によれば、水槽およびプランターは共に透明に形成されるので、水槽とプランターの内部を外部から観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明水槽装置の全体斜視図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図2の3−3線の沿う断面図
【図4】本発明水槽装置の使用状態を示す一部破断側面図
【図5】水槽に対するプランターの相対位置を示す、水槽装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0012】
図1〜3において、プランター付水槽装置は、水槽Vと、この水槽Vの開放上面に着脱自在、かつ横方向に移動自在に載置されるプランターPとを備えている。
【0013】
前記水槽Vは、透明な、アクリル等の硬質の合成樹脂材、またはガラス材より、上面を開放した中空円筒状に構成され、その開放上面1は平坦に形成される。
【0014】
前記プランターPは、透明な、アクリル等の硬質の合成樹脂材またはガラス材より、上面を開放した器状に形成され、上面開放の中空円筒部3と、底壁5と、外向きの受けフランジ7とを一体に形成して構成される。中空円筒部3の平面面積は、水槽Vの平面面積よりも小さく形成され、後に述べるように、このプランターPを水槽Vの開放上面1に載置したときに、このプランターPと水槽Vとの間には、比較的大きな環状に間隙10が形成され、プランターPは水槽Vの開放上面1上を自由に水平移動できるようにされる。プランターPの底壁5は、そのプランターPの中心軸線L−L上に中心Cを持つ、下方に凸の球面に形成されており、この底壁5には、その全面にわたり多数の小孔6が穿設されており、これらの小孔6の大きさは、プランターP内に収容される用土12の粒径よりも小径である。
【0015】
プランターPの外周面には、その上下方向の中間部に、横方向外方に延びる環状の外向きの受けフランジ7が一体に張り出し形成され、この受けフランジ7の外径は、水槽Vの外径よりも若干大径に形成されており、この外向きフランジ7が、水槽Vの開放上面1に載置可能とされる。外向きの受けフランジ7の外縁には、その径方向の両側に、一対の円弧状の通気口8が形成され、これらの通気口8は、水槽V上に、プランターPを載置したとき、水槽V内を外気に連通する。
【0016】
つぎに、図4を参照して、本発明にかかる水槽装置の一使用態様について説明する。
【0017】
前記プランターPには、用土12が収容される。この用土12の粒径は、前記小孔20よりも大きいので、これが外部に落下することがない。そして、用土12には、観葉植物、ハーブなどの陸上植物13を植え込んだ後、このプランターPを、水槽V内に、その開放上面1より組み込み、その受けフランジ7を水槽Vの開口上面1に着座させる。これにより、プランターPは、水槽Vの開口上面に着脱自在かつ横方向に移動自在に取り付けられる。この取付状態では、プランターPは、その下半部が、底壁5と共に水槽V内に水槽水W内に浸漬される。そして、プランターPの外周面と、水槽本体Vの内周面との間には、比較的広い環状間隙10が形成されて、プランターPは、水槽Vに対して横方向に自由に移動することができる。図5(A)(B)および(C)には、プランターPが水槽V上を移動したときの例が示される。このとき、プランターPが、水槽Vに対してどの位置にある場合でも、水槽Vと外気とが通気口8を通して連通状態となり、水槽V内に、新鮮な外気が流通するようにされる。
【0018】
エアポンプPuにエアパイプ15を介して接続されるエアストン16は、通気口8を通して水槽V内にセットされる。エアポンプPuの駆動によれば、そこからの加圧エアは、エアパイプ15を通り、エアストン16より水槽V内の水槽水W内に噴出される。加圧エアは、気泡となって上昇し、水槽水Wをエア−レーションすることができる。図4矢印に示すように、水槽V内を上昇する気泡は、プランターPの底壁5に達するが、この底壁5が下方に凸の球面よりなり、その中央から外側に向かって上向きに傾斜しているため、その気泡は、プランターP内に噛み込むことなく、その底壁5に沿ってスムーズに流れながら、その底壁5から中空円筒部2の外面に沿って上昇して外気に放出される。プランターP内には、気泡と共に上昇する水が複数の小孔6を通ってプランターP内を循環して、プランターP内に古い水が滞留したままになることがないのに対し、気泡は前述のように、プランターP内に噛み込むことがないので、プランターPに植え付けられる陸上植物31の根腐れなどを防止して、その良好な育成が促進され、また、水槽水の浄化が一層促進され、さらに、プランターP内に気泡が滞留することがないので、水槽装置全体の外観上の美観が向上する。
【0019】
また、プランターPは、水槽Vに対して横方向に自由に移動できるので、水槽Vに対して陸上植物の位置を変えることができ、水槽装置の形態を適宜に変更して外観上の趣を変えることができ、その商品価値が高められる。そして、プランターPが水槽Vに対してどの位置にある場合でも水槽V内は、プランターPの通気口8を通って常に外気に連通されるので、水槽Vの開放上面の全面にわたってプランターPを載置しても、水槽水Wは常に外気に曝されることになり、水槽水の浄化作用が促進される。
【0020】
なお、前記通気口8は、前記実施例に示すように、エアポンプPuに接続されるエアパイプ15の挿入孔として、また、魚の餌の投入口として利用することができる。
【0021】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこの実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば、前記実施例では、水槽およびプレートは円筒状に形成されるが、これらを多角筒状、楕円筒状などに形成してもよい。
【符号の説明】
【0022】
P・・・・プランター
V・・・・水槽
W・・・・水槽水
1・・・・開放上面
3・・・・筒部(円筒部)
5・・・・底壁
6・・・・小孔
7・・・・受けフランジ
8・・・・通気孔
10・・・間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開放した中空筒状の水槽(V)と、その水槽(V)の開放上面(1)に、着脱自在かつ横方向に移動自在に設けられる器状のプランター(P)とよりなり、
前記プランター(P)は、中空の筒部(3)と、その下方に凸の球面に形成される底壁(5)と、前記筒部(3)の外周面の上下方向の中間部にその全周にわたって横方向に張り出す外向きの受けフランジ(7)とを備え、
前記底壁(5)には、その全面に亘って多数の小孔(6)が穿設され、前記受けフランジ(7)の外周には通気口(8)が開口され、
前記水槽(V)の開口上面(1)に、前記プランター(P)を設けたとき、その開口上面(1)上に、前記受けフランジ(7)が移動可能に載置されて、プランター(P)の底壁(5)を含む下半部が、水槽(V)内の水槽水(W)内に浸漬され、さらに、水槽(V)の内周面とプランター(P)の外周面間に間隙(10)が形成されると共に前記通気口(8)を通して水槽(V)内と外気とが常時連通されることを特徴とする、プランター付水槽装置。
【請求項2】
前記水槽(V)および前記プランター(P)は、いずれも透明に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプランター付水槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−200137(P2011−200137A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68633(P2010−68633)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000193313)水作株式会社 (17)
【Fターム(参考)】