説明

プラント建設支援方法およびプラント建設支援装置

【課題】製品資材の固有識別番号コードを資材に貼りつけている場合に、個体管理のためのデバイスまたはシールを貼る作業が製品資材の製造工程の負担となる。また固有識別番号を認識するだけで設計時に作成した形状との照合がされておらず、据付形状として正しい資材が到着したかどうかが据付作業開始まで不明である等を解決するプラント建設支援装置を提供する。
【解決手段】自己位置計測機能、方位検知機能を備える光学的距離計測装置を用いてプラント建設用の製品資材の形状寸法、配置角度等を非接触で測定する手段と、測定した情報から得られる製品資材の物体境界情報と、あらかじめ設計時に作成しておいた三次元モデル情報を照合して、製品資材の個体認識番号を取得して、プラント建設用の製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント建設資材の入庫管理と所在把握に関し、特に資材の高精度かつ効率的な個体識別と位置管理を実施する際に付加的な識別装置の使用を必要としない、プラント建設支援方法およびこれに用いるプラント建設支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラント建設資材の入庫管理と所在把握に関して特許文献1が知られている。特許文献1には、あらかじめ記憶していた情報を無線送信するICチップ等の発信機を用いて、発信機が取り付けられた管理対象資材の位置座標を自動的に取得し、保管されている資材管理対象物の配置および管理対象資材が置かれていない場所の面積と座標を自動的に算出する手段が開示されている。また、特許文献2には、建設現場に資材が入着すると、資材のバーコードを読取ることにより入着状況が管理されることが開示されている。これらはいずれも、管理対象資材に発信機やバーコード等の識別装置を貼りつけることにより、資材の現場への到着や位置を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−210800号公報
【特許文献2】特開平5−287903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術で引用した上記特許文献では、固有識別番号コードを有するRFIDタグ(電子タグ)やバーコードを資材に貼りつけているが、個体管理のための電子デバイスまたはシールなどを貼る作業は配管資材等の製造や据付の作業工数を増加させ負担が増大する。RFIDを資材に貼りつけた場合には、固有識別番号を無線受信機(RFIDリーダー)で確実に検出されるように金属での電波遮蔽を回避できる位置に貼りつけるなどの工夫をする必要がある。
【0005】
また、資材置場等でリーダーを資材にかざしてRFIDやバーコードに格納されている固有識別番号を認識するだけであり、設計時に作成した3DCADモデル形状との照合をしていない。そのため、3DCADモデルに対応した据付形状を持つ正しい資材が到着したかどうかは据付作業をしてみるまで確認できない。さらに、据付時の溶接作業などの前にRFIDタグは異物となるので、配管資材などから取外す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定位置に搬入保管されたプラント建設用の製品資材と、該製品資材を測定して画像情報と位置情報を取得するカメラとGPSを有する携帯電子端末とを有し、前記携帯電子端末により非接触で測定された前記製品資材の位置及び形状寸法を含む製品資材情報と、搬入された製品資材の納品書情報とを用いて、製品資材のプラント建設サイトへの搬入管理を行うプラント建設支援装置において、前記製品資材情報から製品資材の物体境界情報を抽出するエッジ抽出部と、該エッジ抽出部の情報から製品資材モデルを抽出するモデル抽出部と、該モデル抽出部の情報とあらかじめ設計時に作成した三次元モデル情報および施工図情報を照合して前記製品資材モデルと前記三次元モデルの一致度を計算する一致度計算部と、前記製品資材の仮置保管位置を登録する仮置位置登録部と、表示画面を備えた入出力端末を有し、製品資材の個体認識番号を取得して前記製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定することを特徴とする。
【0007】
また、プラント建設支援装置において、前記携帯電子端末はさらに方位センサと時計を備え、測定した製品資材の方位または計測日時の少なくとも一つを前記個体認識番号と対応づけて記録することを特徴とする。
【0008】
また、プラント建設支援装置において、前記表示画面はプラント建設サイトの三次元モデル図面又は二次元モデル図面又は工程表画面の少なくとも一つを表示し、前記携帯電子端末を用いて測定した前記製品資材の、前記三次元モデル図面、二次元モデル図面又は工程表図面上での位置を表示することを特徴とする。
【0009】
また、プラント建設支援装置において、仮置保管された前記製品資材の測定日時と建設工程で決定された搬入時期を比較する到着遅れ確認部を有し、該到着遅れ確認部は、前記製品資材の搬入および建設が予定工期から遅れている場合に、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに警告表示を表示することを特徴とする。
【0010】
また、プラント建設支援装置において、前記製品資材に表示されている個体識別番号を認識し、前記製品資材の仮置保管位置を前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに表示する文字認識部を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、所定位置に搬入保管されたプラント建設用の製品資材と、該製品資材を測定して画像情報と位置情報を取得するカメラとGPSを有する携帯電子端末とを有し、前記携帯電子端末により非接触で測定された前記製品資材の位置及び形状寸法を含む製品資材情報と、搬入された製品資材の納品書情報とを用いて、製品資材のプラント建設サイトへの搬入管理を行うプラント建設支援方法において、前記測携帯電子端末で測定した前記製品資材情報から得られる製品資材の物体境界情報と、あらかじめ設計時に作成しておいた三次元モデル情報を照合して、製品資材の個体認識番号を取得して、プラント建設用の製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定することを特徴とする。
【0012】
さらに、プラント建設支援方法において、前記携帯電子端末はさらに方位センサと時計を備え、測定した製品資材の方位または計測日時の少なくとも一つを前記個体認識番号と対応づけて記録することを特徴とする。
【0013】
さらに。プラント建設支援方法において、個体認識番号を取得した前記製品資材のプラント建設サイトの三次元モデル画面または二次元モデル画面上の位置を表示することを特徴とする。
【0014】
さらに、プラント建設支援方法において、仮置保管された製品資材の計測日時と建設工程で決定された搬入時期を比較して、前記製品資材の搬入および建設が予定工期から遅れている場合に、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに警告表示を表示することを特徴とする。
【0015】
さらに、プラント建設支援方法において、前記製品資材に書かれている配管番号または機器番号を含む個体識別番号を認識して、前記製品資材の仮置保管位置を表示することを特徴とする。
【0016】
さらに、プラント建設支援方法において、前記携帯電子端末で仮置保管位置を計測した結果を経時的に複数回取得し、計測結果を比較して相違があった場合に差分部分に対応する配管資材を同定し、該配管資材が工事据付場所に無い場合に画面上に警告情報を表示することを特徴とする。
【0017】
さらに、プラント建設支援方法において、測定した前記製品資材の画像を収集し、製品資材の保管位置情報を常時データベースで管理し、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに表示することを特徴とする。
【0018】
さらに、プラント建設支援方法において、3Dモデル、作業工程、製品資材の搬入量及び移動状況をプラント建設サイトの前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに重畳して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプラント建設支援装置は、所定位置に搬入保管されたプラント建設用の製品資材を測定して画像情報と位置情報を取得するカメラとGPSを有する携帯電子端末とを備え、製品資材の位置及び形状寸法を含む製品資材情報と製品資材の納品書情報とを用いて、製品資材のプラント建設サイトへの搬入管理を行うプラント建設支援装置において、製品資材情報から製品資材の物体境界情報を抽出するエッジ抽出部と、エッジ抽出部の情報から製品資材モデルを抽出するモデル抽出部と、モデル抽出部の情報とあらかじめ設計時に作成した三次元モデル情報および施工図情報を照合して製品資材モデルと三次元モデルの一致度を計算する一致度計算部と、製品資材の仮置保管位置を登録する仮置位置登録部と、表示画面を備えた入出力端末を有し、製品資材の個体認識番号を取得して前記製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定することにより、特定の識別標識を製品資材に使用することなく個体識別を実現することで、製品資材の搬入確認作業、搬入前の作業、及び、現地での据付前の付加的な作業を軽減することができる。
【0020】
また、製品資材の仮置保管位置を非接触で間接的に測定することができ、形状を設計時の三次元モデルを用いて確認することができるので、確実に正しい製品資材が搬入されたことを据付時期より以前に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のプラント建設支援システムを示す構成図。
【図2】本発明のプラント建設支援装置における配管資材管理画面の説明図。
【図3】本発明のプラント建設支援装置における配管資材の説明図。
【図4】本発明のプラント建設支援装置における配管資材の写真画像の説明図。
【図5】本発明の配管資材撮影カメラ、GPS及び3軸センサを連動した撮影物体の絶対位置計測方法を示す模式図。
【図6】本発明のプラント建設支援装置における資材に対応した3Dモデルを示す模式図。
【図7】本発明のプラント建設支援装置における資材管理図面の説明図。
【図8】本発明のプラント建設支援装置における納品書の説明図。
【図9】本発明のプラント建設支援装置における資材形状認識部の処理方法を示すフローチャート。
【図10】本発明のプラント建設支援装置における資材番号文字列認識部の処理を示すフローチャート。
【図11】本発明のプラント建設支援装置における資材位置登録DBのテーブル構成例を示す説明図。
【図12】本発明のプラント建設支援装置における資材位置検索部の処理方法を示すフローチャート。
【図13】本発明のプラント建設支援装置における工程情報画面を示す説明図。
【図14】本発明のプラント建設支援装置における資材到着遅れ警報可視化画面を示す説明図。
【図15】本発明のプラント建設支援装置における資材移動状況認識部の処理方法を示すフローチャート。
【図16】本発明のプラント建設支援装置における資材移動状況可視化画面の説明図。
【図17】本発明のプラント建設支援装置における資材仮置保管状況の複数写真からの合成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のプラント建設支援装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
(1)プラント建設支援システムの構成
図1は本発明のプラント建設支援装置を有するプラント建設支援システムを示す構成図である。本発明のプラント建設支援システムは、GPSとカメラと方位センサと時計を有する携帯電子端末100により撮影する配管スプール等の配管資材の写真画像101、位置情報102を利用するプラント建設支援装置20を有する。
【0023】
これらの構成からなるプラント建設支援装置は、建設対象のプラント50の周辺にトラック30などにより運搬されて資材仮置ヤード40に搬入された製品資材の一例である配管資材60を非接触で検出し、携帯電子端末100の位置検出を衛星10のGPS信号11に基づいて実施する。また配管資材の方位を決定し、さらに撮影計測時の日時を記録することができる。31は搬入された配管資材の電子化された納品書である。
【0024】
プラント建設支援装置20は、写真画像のエッジ抽出部210と、写真画像101と納品書31の情報から配管番号などの文字を抽出する文字認識部220と、予めCADで作成された3DモデルDB420と施工図DB430と文字認識部220の画像エッジ認識結果、文字認識結果を入力して配管資材60のモデルを抽出するモデル抽出部230を有する。
【0025】
プラント建設支援装置20はまた、抽出された配管資材モデルと3DモデルDB420の3Dモデルとの一致度を計算する一致度計算部240、3DモデルDB420のうち一致度の最も高い3Dモデルを携帯電子端末100からの位置情報と合わせて配管資材60の仮置保管位置を製品位置DB410に登録する仮置位置登録部250、入出力端末500から入力された情報をもとに対応する配管資材の位置を検索する製品位置検索部320を有する。また、計画工程DB440の製品搬入時期と、製品位置DB410に登録された日時を比較して現着の遅れを確認する現着遅れ確認部310を有する。
【0026】
3Dモデルの寸法が既知であることから、3DモデルDB420の情報と携帯電子端末100により撮影された配管資材60の距離と形状寸法を求める。440は計画工程情報を記録する計画工程DBである。
【0027】
図2は図1のプラント建設支援システムにおいて、収集した情報に基づき入出力端末500に表示された仮置保管場所の管理画面を示す。管理画面はプラント50や資材仮置ヤード40、資材仮置ヤード40におかれた配管資材60を3Dアイソメトリックビューで表示する画面501と、2Dヤードレイアウトを表示する画面502と、配管資材60の各種情報を検索して状態を確認する画面503とからなる。
【0028】
施工図番、スプール番号、ヤード番号などの属性選択条件5033を指定し、現着などの状態指定条件5032を指定して確認ボタン5031を押すと、検索条件で絞られて検索された情報が状態確認表5034に表示される。
【0029】
本発明のプラント建設支援装置は、現地プラント建設サイト等に搬入された製品資材の番号を3D表示装置上に重ねて表示することにより、ユーザに製品資材の仮置保管位置をわかりやすく表示することができる。
【0030】
図3は配管資材の一つである60aに付与される属性60bを示す。配管資材60は現地建設単位として、配管工場であらかじめ配管部品を接合した配管スプールと呼ぶアセンブリで納入される。配管スプールには施工図番、スプール番号、建設対象のプラントの建屋名、工事エリア番号、ライン番号、重量、配管長などが属性として付与される。これらの属性が資材を管理する製品位置DB410と連携して、その内部に格納される。
(2)現場計測方法
図4は資材仮置ヤード40で携帯電子端末100により撮影した配管スプールの写真画像101を示す。配管スプール101a、101b、101cにはスプール番号S002、S003、S004などの文字列が配管上にペイント又は刻印されている。また、配管スプールを置くための仮設木材101dなども画像中に存在する場合がある。いずれも適切な画像処理(コントラストが異なる部分のエッジ抽出、撮影画像のRGB色情報を用いた配管の特定、配管番号による配管の認識等)により配管スプールを画像中から抽出することができる。
【0031】
図5は二つのカメラ1001、1002を用いて配管スプール601、602、603の特定の点までの距離を計測する原理を説明するものである。例えばカメラ間の距離をcとして配管スプール601の特定の点までの各カメラ中心からの距離をそれぞれ、a、bとする。三角形の正弦定理によれば
c/sinγ=b/sinα=a/sinβ
となるので、
b=c・sinα/sinγ、a=c・sinβ/sinγ
となり、既知のカメラ間距離から配管スプールまでの距離が判明する。これらの計算を、配管スプールの代表的な特徴点について繰り返すことによって、配管スプールの寸法を求め、設計時に作成した3Dモデルとの比較を行う。
(3)配管モデルの設計情報
図6に配管スプールに対応した3Dモデルを示す。配管スプール4201は例えば、配管入口4201aと出口の端点4201gを特徴点として、写真で撮影した画像と比較することができる。また、モデルの途中の点4201b〜4201fや配管モデルを2次元平面に投影したときの配管の境界(エッジ)も特徴点(線)として利用することができる。
【0032】
図7は配管施工図を示す資材管理図面である。プラント建設サイトに納入される配管スプールをプラント50に据え付ける際の組み合わせ方を配管スプールの中心線4303と溶接点4304の組合せで記述している。図7にはスプール番号4301がリスト形式で示され、通常数本から十数本の配管スプールが描かれる。図面には施工図番4302が与えられ、図面番号を特定すると共に番号ごとに配管スプールの納入管理をしたり、計画工程を立案する。配管スプールは配管中心線4303から引き出し線で配管スプールごとに(1)、(2)、(3)のように区別して描かれる。
【0033】
図8は資材を資材製作工場からプラント建設サイトに送るときに利用する納品書31である。資材送付単位に作成し、管理用の番号3101、施工図番3102、スプール番号3103、配管の名称3104、質量3105、備考3106などからなる。施工図番とスプール番号でプラントの中で唯一の配管スプールを特定することが可能である。
(4)資材認識・位置登録処理
図9はプラント建設支援装置20の資材形状認識ブロックの処理を説明するフローチャートである。この処理はエッジ抽出部210、文字認識部220、モデル抽出部230、一致度計算部240、および仮置位置登録部250で実行される。
【0034】
次に、各ステップについて説明する。始めに携帯電子端末1001、1002に備えたカメラで撮影した配管資材のステレオ画像をエッジ抽出部210で読み込む(S11)。読み込んだ各画像のエッジを抽出し(S12)、3Dモデルと比較すべき特徴点を抽出し割り当てる(S13)。また、文字認識部220で配管に記載された配管番号を認識する(S14)。さらに、抽出した特徴点間の距離を配管の寸法を概算するために計算する(S15)。次に、モデル抽出部230で、3DモデルDB420と施工図DB430を利用して、認識された配管番号をもとに画像情報と比較すべき配管スプール3Dモデル候補を読み込む(S16)。
【0035】
次に、全ての3Dモデル候補について処理を繰り返す(S17、no)。まず、候補モデルごとに全特徴点を確認する(S18)。一致度計算部240で特徴点を抽出した画像と3Dモデルの座標の差を一致度として計算し、差が小さいほど一致度が大きいと判定する(S19)。
【0036】
以上の処理を全ての3Dモデル候補について繰り返したら(S17、yes)、仮置位置登録部250で、S12で抽出した配管資材ごとに最も一致度が大きいモデルを割り当てて、それらの配管資材の仮置保管位置の座標を製品位置DB410に登録する(S20)。
【0037】
図10は配管資材の番号文字列を認識する文字認識部220の処理を説明するフローチャートであり、図9のS14の処理を詳細に説明するものである。
【0038】
配管番号の文字を画像からエッジ抽出する(S21)。文字として切り出した形状から文字列を認識する(S22)。認識した文字列をもとに施工図DB430からスプール番号を検索する(S23)。このとき、施工図番は図1の納品書31に書かれているものを電子的に利用する。次に、施工図に書かれている全配管スプールを検索し一致しているスプール番号があるかどうかを判定する(S24、S25)。
【0039】
もし、一致しているスプール番号があれば、メモリに記憶する(S26)。全配管スプールを確認しても一致するものがなければ、検索したスプール番号と認識したスプール番号の文字列としての一致度を表示し(S27)、ユーザにスプール番号の手動入力を促す画面を表示する(S28)。
【0040】
図11は資材位置を登録する製品位置DB410のデータテーブル構成例を示す。製品位置情報410aにおいて、4101は施工図番、4102はスプール番号、4103はヤード位置、4104は絶対座標、4105は計測日時である。画像から得られる形状認識の結果と文字列認識の結果にもとづき、スプール番号と仮置保管位置の絶対座標、及び、計測日時を対応づけて製品位置DB410に格納する。
(5)資材到着遅れの表示
図12は製品位置検索部320の処理を説明するフローチャートである。例えば、図14のような管理画面で施工図番、スプール番号等の資材管理属性を入力する(S31)。製品位置DB410から対象資材の到着の有無、位置を検索する(S32)。これにより資材が現地に到着していたなら(S33、yes)、3Dモデルから対象資材を選択し、据付完了状態と資材仮置状態を同時表示する(S34)。もし、製品位置DB410に資材到着情報がなかったら(S33、no)、3Dモデルから対象資材を選択して、将来の据付完了の状態を示して、資材が未到着である旨表示する(S35)。
【0041】
図13は工程情報画面を示し、計画対象として機器、配管、サポートの据付工程を選択する画面505と、選択の結果としてプラント建設計画工程を表示する画面504からなる。5041は機器E001、5042は配管D001、5043は配管D002を示す。
【0042】
機器、配管とも作業の開始時点までに製品資材が到着している必要があるので、到着遅れ確認部310で、この情報をもとに製品資材の現地到着遅れを判断することができる。例えば、作業開始時点の少なくとも一週間前までには製品資材が届いているという制約を設定すれば、その条件が成立していない情報を検索して、リスト表示画面や2D、3D画面上に警告表示することができる。
【0043】
図14は到着遅れ確認部310による資材到着遅れ警報を可視化する画面を示す。5032のように「現着」という検索条件で指定すると、工程上は検索時点とあらかじめ設定した制約および計画工程との比較により、到着しているべき配管スプールのリストが5034のように表示される。このうち、製品位置DB410に資材仮置ヤード名及び着荷日が格納されていない場合は、資材管理状態として「未着」と表示する。また3Dアイソメビューの画面501の中で建屋側据付完了状態表現モデルの中で「S003未着」51のように3Dモデル的にも警告を表示する。本願発明のプラント建設支援装置は、上記の構成により建設計画工程に記されている資材搬入予定日と現地資材到着実績を比較することにより、資材の遅れの警告を可視化することができ、現地建設遅れのリスクを軽減することができる。
(6)資材移動の表示と資材仮置状態での3Dモデル化
図15は資材移動状況認識処理を説明するフローチャートである。例えば資材画像を一日に一回、または数時間おきにユーザの携帯電子端末のカメラまたは別の固定カメラで撮影し、資材位置DBを更新する(S41)。更新対象の資材位置の前回位置と更新後の位置を比較する(S42)。比較の結果資材位置が異なれば(S43、yes)、資材位置移動フラグを設定する(S44)。資材位置が動いていない場合は(S43、no)、何もしない。
【0044】
図16は資材移動状況を可視化処理する画面である。資材S001が例えばヤードAからCに移動した結果をリスト、2Dモデル、3Dモデルに重ねて各々表示している。ここでは、移動前の位置を合わせて表示し、対象の資材が移動したことを強調表示してもよい。また、移動の軌跡を重ねて表示することも考えられる。本発明のプラント建設支援装置は、製品資材の仮置保管位置の時系列的な差分、移動の監視をすることにより、製品資材の紛失を防止することができる。さらに、製品資材の搬入量や移動状況をプラント建設サイトの3Dモデルに重畳して表示するので、据付に必要な製品資材の搬入量をマクロ的に監視し、適切な搬入量にコントロールするのに必要な情報を得ることができる。
【0045】
図17は資材仮置保管状況の複数写真からの合成方法を示す。一方位から撮影したステレオ写真では、配管資材601〜603の前面の距離計測ができるのみである。これに対し、例えば円柱状の物体からなる配管であることを確実に認識するためには、少なくとも3方位からの画像撮影が必要で、カメラ1001、1002、1003による撮影でこれを実現する。通常、写真測量では基準点が必要となるが、比較対象となる配管3Dモデルがすでに作成されているので、配管上の特徴点を指定して写真画像による絶対距離計測を可能にする。
【0046】
さらに、本発明のプラント建設支援装置は、製品資材のプラント建設サイト到着の検出結果、及び、仮置保管位置の検出結果を可視化することができるので、現地資材の保管場所の管理を合理化することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 GPS通信衛星
11 GPS信号
30 トラック
31 納品書
40 資材仮置ヤード
50 プラント
60 配管資材
100 携帯電子端末
101 写真画像
102 位置情報
210 エッジ抽出部
220 文字認識部
230 モデル抽出部
240 一致度計算部
250 仮置位置登録部
310 現着遅れ確認部
320 製品位置検索部
410 製品位置DB
420 3Dモデル登録DB
430 施工図DB
440 計画工程DB
500 入出力端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に搬入保管されたプラント建設用の製品資材と、該製品資材を測定して画像情報と位置情報を取得するカメラとGPSを有する携帯電子端末とを備え、該携帯電子端末により非接触で測定された前記製品資材の位置及び形状寸法を含む製品資材情報と、搬入された製品資材の納品書情報とを用いて、製品資材のプラント建設サイトへの搬入管理を行うプラント建設支援装置において、
前記製品資材情報から製品資材の物体境界情報を抽出するエッジ抽出部と、該エッジ抽出部の情報から製品資材モデルを抽出するモデル抽出部と、該モデル抽出部の情報とあらかじめ設計時に作成した三次元モデル情報および施工図情報を照合して前記製品資材モデルと前記三次元モデルの一致度を計算する一致度計算部と、前記製品資材の仮置保管位置を登録する仮置位置登録部と、表示画面を備えた入出力端末を有し、製品資材の個体認識番号を取得して前記製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定することを特徴とするプラント建設支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラント建設支援装置において、前記携帯電子端末はさらに方位センサと時計を備え、測定した製品資材の方位または計測日時の少なくとも一つを前記個体認識番号と対応づけて記録することを特徴とするプラント建設支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラント建設支援装置において、前記表示画面はプラント建設サイトの三次元モデル図面又は二次元モデル図面又は工程表画面の少なくとも一つを表示し、前記携帯電子端末を用いて測定した前記製品資材の、前記三次元モデル図面、二次元モデル図面又は工程表図面上での位置を表示することを特徴とするプラント建設支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラント建設支援装置において、仮置保管された前記製品資材の測定日時と建設工程で決定された搬入時期を比較する到着遅れ確認部を有し、該到着遅れ確認部は、前記製品資材の搬入および建設が予定工期から遅れている場合に、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに警告表示を表示することを特徴とするプラント建設支援装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプラント建設支援装置において、前記製品資材に表示されている個体識別番号を認識し、前記製品資材の仮置保管位置を前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに表示する文字認識部を有することを特徴とするプラント建設支援装置。
【請求項6】
所定位置に搬入保管されたプラント建設用の製品資材と、該製品資材を測定して画像情報と位置情報を取得するカメラとGPSを有する携帯電子端末とを備え、該携帯電子端末により非接触で測定された前記製品資材の位置及び形状寸法を含む製品資材情報と、搬入された製品資材の納品書情報とを用いて、製品資材のプラント建設サイトへの搬入管理を行うプラント建設支援方法において、
前記測携帯電子端末で測定した前記製品資材情報から得られる製品資材の物体境界情報と、あらかじめ設計時に作成しておいた三次元モデル情報を照合して、製品資材の個体認識番号を取得して、プラント建設用の製品資材のプラント建設サイトへの到着を判定することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプラント建設支援方法において、前記携帯電子端末はさらに方位センサと時計を備え、測定した製品資材の方位または計測日時の少なくとも一つを前記個体認識番号と対応づけて記録することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプラント建設支援方法において、個体認識番号を取得した前記製品資材のプラント建設サイトの三次元モデル画面または二次元モデル画面上の位置を表示することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載のプラント建設支援方法において、仮置保管された前記製品資材の計測日時と建設工程で決定された搬入時期を比較して、前記製品資材の搬入および建設が予定工期から遅れている場合に、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに警告表示を表示することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項10】
請求項8に記載のプラント建設支援方法において、前記製品資材に書かれている配管番号または機器番号を含む個体識別番号を認識して、前記製品資材の仮置保管位置を表示することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項11】
請求項8に記載のプラント建設支援方法において、前記携帯電子端末で仮置保管位置を計測した結果を経時的に複数回取得し、計測結果を比較して相違があった場合に差分部分に対応する配管資材を同定し、該配管資材が工事据付場所に無い場合に画面上に警告情報を表示することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項12】
請求項8に記載のプラント建設支援方法において、測定した前記製品資材の画像を収集し、製品資材の保管位置情報を常時データベースで管理し、前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに表示することを特徴とするプラント建設支援方法。
【請求項13】
請求項8に記載のプラント建設支援方法において、3Dモデル、作業工程、製品資材の搬入量及び移動状況をプラント建設サイトの前記三次元モデル画面または二次元モデル図面または工程表画面の少なくとも一つに重畳して表示することを特徴とするプラント建設支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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