説明

プリオンベースの疾患を治療するための塩素グアナベンズ誘導体の使用

本発明は、プリオンベースの疾患の治療用の塩素グアナベンズ誘導体に関する。より詳細には、本発明は、式(I)(式中、R=HまたはClであり、フェニル基は、少なくとも2置換である)の分子または薬剤的に許容されるその塩の、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリオンベースの疾患を治療するための塩素グアナベンズ誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
今まで、プリオンベースの疾患に対する効果的な治療法はない。プリオン疾患治療の開発に向けた複数のアプローチが現在研究されており、特に、種々の細胞培養アッセイにおいてPrPScクリアランスを促進する薬理学的薬物が研究されている。このアプローチを用いて2、3の活性な分子が同定された。最も効果的な2つは、最初にキナクリン(抗マラリア剤)およびクロロプロマジン(抗精神病薬)であった。最近では、ビスアクリジン(リンカーによってつながれたキナクリン類似体の化学的ダイマー)がキナクリンより約10倍活性であることが分かった。これらの方法に固有の技術的な複雑さのため(例えば、非常に安全な研究所において全ての操作がなされなければならない)、高スループットスクリーニングは、達成困難であった。この理由のため、本発明者らは、新しく、簡単で、経済的な、安全な、かつ迅速な酵母ベースの抗プリオン薬のスクリーニング方法を開発した(非特許文献1、特許文献1〜2)。第1のスクリーニングにおいて、分子は、酵母[PSI+]プリオンに対するそれらのアクティビティを基礎として単離され、次いで、陽性の化合物のアクティビティが[URE3](第二の酵母プリオン)に対して確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許発明第0213022号明細書
【特許文献2】国際公開第04/035813号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】バッハ・エス(Bach,S.)、タラレク・エヌ(Talarek,N.)、アンドリュー・ティー(Andrieu,T.)、ビエルフォンド・ジェイ・エム(Vierfond,J.M.)、メッテイ・ワイ(Mettey,Y.)、ガロンス・エイチ(Galons,H.)、ドルモント・ディー(Dormont,D.)、メイジャー・エル(Meijer,L.)、クリン・シー(Cullin,C.)およびブロンデル・エム(Blondel,M.)著、「アイソレーション・ドラッグス・アクティブ・アゲンスト・マンマリアン・プリオン・ユージング・ア・イースト−ベースト・アッセイ(Isolation of drugs active against mammalian prions using a yeast-based screening assay)」、Nat Blotechnol、2003年、第21巻,p.1075−1081.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第一の研究において、本発明者らは、 [PSI+]表現型を治癒させる能力について、単純な比色レポーターシステム(colorimetric reporter system)を用いる主要スクリーニングにおいて、複数の化学的に多様な化合物ライブラリ(合成分子またはアカデミックな研究所によって種々の源から精製された天然物のいずれかからなる)のスクリーニングを行った。次いで、 [PSI+]表現型に対して活性な薬物が、 [URE3]表現型に対するそれらの活性について、同様の簡単なスクリーニングを用いて試験された。Sup35pおよびUre2pタンパク質の構造および機能の多様性のため、この二次的スクリーニングにおいても活性な分子は、一般的に酵母プリオンに対して活性である可能性があるとみなされた。この二工程アッセイを用いて、6個の活性な化合物が2500個の分子の第一のライブラリから単離された(Bach et al.,2003a;Bach et al.,2002;Bach et al.,2003b)。5個は、新分類の分子(カステルパオリチン(kastellpaolitine))に属しているのに対して、6番目のものは、既知分子(フェナントリジン)である。また、構造−活性アプローチを用いて、スクリーニングにおいて同定された分子より一層強力である複数のフェナントリジン誘導体が合成された。非常に興味深いことに、哺乳類プリオンクリアランスをエキソビボで促進することが現時点で知られている薬理学的化合物中で最も活性であるキナクリンおよびクロロプロマジンは、酵素ベースの方法においても活性であることが見出された。逆に、酵母ベースのアッセイにおいて陽性であることが見出された全ての分子は、上記のものと同様に哺乳類プリオンクリアランスをエキソビボ細胞系において促進する際に有効であったが(Korth et al.,2001)、2つの別の哺乳類細胞ベースのアッセイにおいても有効であった(Archer et al.,2004;Vilette et al.,2001)。要約すると、これらの結果により、新しい抗プリオン薬を見出すための本発明者らの方法が検証され、さらに、哺乳類プリオンおよび酵母プリオンが明確な相違を呈するけれども、それらの形成および/または維持を制御する生化学経路は、酵母からヒトに至るまで保存されていることが示唆される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故に、本発明は、既に臨床における高血圧治療のための薬物であるグアナベンズの、プリオンベースの疾患に対する活性分としての単離に関する。グアナベンズは、最初、酵母プリオンに対するインビボの活性分として、上記の二工程の酵母ベースのアッセイを用いて単離され、次いで、細胞ベースのアッセイにおけるインビトロおよびプリオンベースの疾患のためのマウスモデルにおけるインビボの両方で哺乳類プリオンに対して活性であることが見出された。これらの結果により、哺乳類、特にヒトにおけるプリオンベースの疾患の治療は、グアナベンズの新しい潜在的な治療指標であることが証明される。
【0007】
プリオンベースの疾患とは、プリオンに起因する哺乳類の疾患、すなわち、ウシ海綿状脳症(狂牛病)、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease:CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(Gerstmann- Straeussler-Scheinker syndrome)、致死性家族性不眠症、クールー病、スクレイピー、慢性消耗病、猫海綿状脳症および外来性有蹄動物(exotic ungulate)脳症を意図しているが、好ましくは、ウシ海綿状脳症、CJD、クールー病およびスクレイピーである。
【0008】
より特定的には、本発明は、式:
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R=HまたはClであり、フェニル基は、少なくとも2置換である)
の分子または薬剤的に許容されるその塩の、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための使用に関する。
【0011】
好ましい実施形態において、本発明による分子は、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のためのグアナベンズまたは薬剤的に許容されるその塩である。
【0012】
用語「グアナベンズ」とは、式:
【0013】
【化2】

【0014】
の化合物またはその塩、より特定的には、式:
【0015】
【化3】

【0016】
の酢酸塩を意味する。
【0017】
別の好ましい実施形態において、本発明による分子は、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための式:
【0018】
【化4】

【0019】
のものまたは薬剤的に許容されるその塩である。
【0020】
本発明はまた、式(I)〜(IV)の化合物の治療上の有効量を、薬剤的に許容される担体と共にそれを必要とする患者に投与する工程を包含する治療方法に関する。
【0021】
「治療」とは、疾患またはこのような疾患の1以上の症候の進行の逆転、軽減、阻害、または疾患またはこのような疾患の1以上の症候の予防を意味する。
【0022】
「治療上の有効量」とは、プリオンベースの疾患を病理学的に予防または治療する際に有効な本発明の化合物の量を意図している。
【0023】
治療上の有効量は、医師または当業者によって、患者の体格、年齢および全体的な健康、その特定の発症疾患およびその重篤度、投与方法および他の関連する状況に応じて決定され得る。1日の用量は、0.01mg/kg〜0.1g/kg(体重)の範囲であることが好ましい。しかしながら、酢酸グアナベンズについては、好ましい1日の用量範囲は、0.01mg/kg〜1mg/kg(体重)であり、最大推奨の人間の1日の用量は約1.3mg/kgである。
【0024】
本発明の化合物は、投与方法:経口、非経口、吸入、外用、側脳室内の投与等に応じて種々の剤型で送達され得る。好ましい投与方法は経口ルートである。
【0025】
本発明の特徴および利点は、図1〜4を参照しながら以下の実施例によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】酵母プリオンに対する活性分としてのグアナベンズの単離;A.適切なerg6Δ [PSI+]株(STRg6−白色コロニーとして成長する−)の終夜培養物の一定分量が、200μMのGuHClが補充されたYPD培地を含有するペトリ皿上に散布され、小さいフィルタ(アンチバイオグラムのために用いられるものに類似する)が、寒天表面上に置かれた。Prestwick化学ライブラリからの個々の化合物(5mMの溶液5μL)が、DMSOが加えられた左最上部のフィルタ(ネガティブコントロール:−)および300mMのGuHClのDMSO溶液5μLが加えられた右底部のフィルタ(ポジティブコントロール:+)を除いて各フィルタに塗布された。次いで、ペトリ皿は、25℃で3日間インキュベートされた。化合物が[PSI+]に対して活性であった場合、赤色コロニーの光ぼけがフィルタの周囲のスポッティングされた所に現れる。酢酸アナベンズの分子構造は、上部に表されている。酢酸グアナベンズは[PSI+]プリオンに対する活性が強いことに留意。B.酢酸グアナベンズは、次いで、同一種のアッセイを用いて[URE3]プリオンに対して試験された。この他の酵母プリオンに対しても活性であることに留意。
【図2】グアナベンズの化学的誘導体の活性。同一量の酢酸グアナベンズおよび6種の誘導体が、図1に記載された手順と同一の手順の後にフィルタ上にスポッティングされた。5種の類似体の活性の欠如およびトリクロロ誘導体(PSI210)の最も強い活性に留意。
【図3】エキソビボのマウス細胞ベースのアッセイにおいてPrPScクリアランスを効果的に促進するグアナベンズ。A.スクレイピー感染MovS細胞が、示された濃度の酢酸グアナベンズにより7日間にわたって処理され、次いで、化溶化された。細胞可溶化液は、次いで、プロテイナーゼK消化に付された後、抗PrP抗体を用いてウエスタンブロット分析が行われる(上側ゲル)か、または、プロテイナーゼK処理の前に抗PrP抗体を用いてウエスタンブロット分析により直接的に分析された(下側ゲル)。右に、酢酸グアナベンズ濃度に応じた残存PrPScの量を示すグラフが示される。酢酸グアナベンズは、用量依存性にPrPScに対して活性であり(IC50:5μM)、PrP発現に何等の有意な効果を有していないことに留意。B.スクレイピー感染MovS細胞の細胞可溶化液は、直接的に、示された濃度の酢酸グアナベンズまたは、コントロールとしての対応する量のDMSO(媒体化合物)に付され、次いで、プロテイナーゼK消化に付され、その後に、抗PrP抗体を用いてウエスタンブロッティング分析が行われた。グアナベンズは、100μM(IC50の20倍)においてさえも、PrPScを再可溶化することができなかったが、このことは、おそらく、予め存在しているプリオン凝集物上に直接的に作用していないことを示していることに留意。
【図4】A.ヒツジPrPを発現するスクレイピー感染マウスが、腹腔内注射によって、週に一回、10mg/kgの酢酸グアナベンズにより処理されるか、または、処理されない(コントロール)。処理の49日後に、図3に記載されたようなプロテイナーゼK耐性検査を用いて脾臓において検出可能なPrPScの量が測定された。酢酸グアナベンズにより処理されたマウスの脾臓は、コントロール(未処理マウス)の脾臓より有意に少ないPrPScを含有することに留意。B.上記に示されるウエスタンブロットの定量化。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施例1:酵母プリオンに対する活性分としてのグアナベンズの単離)
酵母株および培地。この研究において用いられた酵母株は以下の通りであった:Strg6:Mata、erg6::TRP1、adel-14、trpl-289、his3Δ200、ura3-52、leu2-3、 112、[PSI+](Bach et al.,2003a)およびSB34:Mata、erg6::TRPl、dal5::ADE2、ade2-1、trpl-1、leu2-3, 112、his3-ll,15、ura2::HIS3、[URE3](Bach et al.,2003a)。標準的な酵母成長条件および遺伝子操作は、記載された通りであった(Guthrie and Fink, 1991)。
【0028】
結果。以前に記載された二工程の酵母ベースのアッセイ(Bach et al.,2003a; Bach et al.,2002; Bach et al.,2003b)を用いて、本発明者らは、フェーズII/IIIの臨床試験中または既に市販されて臨床において用いられているかのいずれかの薬物からなる化合物のライブラリをスクリーニングした。
【0029】
880個の分子からなるPrestwick化学ライブラリが選ばれた。これらの薬物の全ての中で、酢酸グアナベンズが、[PSI+]プリオンに対する強活性分として単離された(図1のパネルAおよびパネルBの左)。グアナベンズは、高血圧の治療に用いられるα2アドレナリンレセプタのアゴニストである。酢酸グアナベンズは、次いで、[URE3](第二の酵母プリオン)に対して評価され、ここでも非常に活性であることが見出された(図1のパネルBの右)。
【0030】
(実施例2:グアナベンズ誘導体の活性)
結果。グアナベンズの6種の誘導体(PSI136、PSI137、PSI140、PSI203、PSI209およびPSI210)が、次に、試験され、これらの中で、4種は、グアナベンズ中にある一つのみの塩素置換基を保持している。これら4種の分子の全ては、酵母[PSI+]プリオンに対して全く不活性であることが分かり(図2)、これにより、これらの2つの塩素の重要性が強調される。これにより、スクリーニング方法の特殊性も確認される。興味深いことに、さらなる塩素を含むPSI210は、グアナベンズ自体より強力であり、これにより、再度、塩素の重要性が強調される。
【0031】
また、本発明者らは、薬理学的および化学的にグアナベンズに非常に近く、高血圧の治療のためにα2アドレナリンレセプタのアゴニストとして臨床において同様に用いられている化合物であるクロニジンも試験した。クロニジンは、抗プリオン活性を何等呈さす(データは示されない)、このことにより、グアナベンズの抗プリオン活性は、おそらく、その高血圧作用に関連する機構と同一の機構を含まないことが示される。
【0032】
(実施例3:グアナベンズは、エキソビボ細胞ベースアッセイにおいてPrPScクリアランスを効果的に促進することができる)
MovS細胞におけるPrPSc阻害アッセイ。ヒツジ・プリオンに感染したマウス神経膠細胞MovS細胞(Archer et al.,2004)が、7日間にわたって示された濃度の薬物の存在下に分裂・成長させられた。培地および薬物は、インキュベーションの中間点において変えられた。培養物は、次いで、洗浄剤(detergent)により可溶化され、以前に記載されたようにして正常または異常なPK消化PrPに対する抵抗性の存在についての免疫ブロッティングによって分析された(Vilette et al.,2001)。
【0033】
結果。酢酸グアナベンズの活性は、上記細胞ベースのアッセイを用いて哺乳類プリオンに対して評価された。このアッセイは、ヒツジPrP遺伝子をその内因性プロモーターの制御下に発現するマウスの神経膠細胞系(MovS細胞)に基づく。細胞は、次いで、ヒツジ・プリオンに感染したトランスジェニックマウスの脳から調製されたホモジネートによって感染させられた。これらのスクレイピー感染MovS細胞は、その後成長し、分裂し、PrPScを増殖させることができた。PrPScの状態は、プロテイナーゼK感受性アッセイを用いてモニタリングされた。酢酸グアナベンズは、この細胞ベースのアッセイにおいて哺乳類プリオンに対して活性であることが見出された(図3のパネルA)。異なる濃度の酢酸グアナベンズを試験することによって、用量依存の抗プリオン作用が観察され、これにより、本発明者らは、酢酸グアナベンズについて約5μMのIC50を決定することができた(図3のパネルA、右)。同一の実験において、酢酸グアナベンズはMovS細胞においてその発現に効果を有し得るかどうかを観察するためにPrPのレベルが追跡された(図3のパネルAの底部)。(プロテイナーゼK処理前のタンパク質抽出物についてのウエスタンブロット分析によって判断されるように)PrPレベルが未変化のままであるので、本発明者らは、酢酸グアナベンズはPrPScに対して活性であり、PrPScのレベルについての効果を間接的に有し得るPrP発現のレベルを減少させることによって作用しないと結論付ける。
【0034】
感染MovS細胞からのタンパク質可溶化液も、2時間にわたって10または100μMの酢酸グアナベンズと共にインキュベートされ、次いで、プロテイナーゼKアッセイに付されて、この薬物が事前に存在するPrPSc凝集物にそれらを溶解させることによって直接的に作用することができるであろうかどうかが観察された。図3のパネルBに示されるように、100μMの酢酸グアナベンズ(これは、細胞培養において観察されたIC50値の20倍を示す)によってさえ、PrPScのレベルは未変化のままであり、このことは、この分子は事前に存在するPrPSc凝集物を可溶化することができないことを意味している。
【0035】
(実施例4:グアナベンズは、プリオンベースの疾患のためのインビボマウスモデルにおいてPrPScクリアランスを促進する)
トランスジェニックマウスにおけるPrPSc阻害。ヒツジPrPを発現しておりヒツジプリオン感染に非常に罹りやすいトランスジェニックマウス(tg338)(Vilotte et al.,2001)は、ヒツジプリオンに末期的に感染したトランスジェニックマウスからの10%の脳ホモジネート100μlの腹腔内接種によって感染させられた。感染マウスは、次いで、酢酸グアナベンズ(10mg/kg)の腹腔内感染によって毎週処理された。脾臓中の異常PrPのレベルは、以前に記載されたようにして測定された(Beringue et al.,2000)。
【0036】
結果。哺乳類プリオンについての酢酸グアナベンズのインビボ効果が、次いで、上記のプリオンベースの疾患のためのマウスモデルを用いて評価された。ヒツジPrPを発現するマウスは、ヒツジスクレイピー剤の腹腔内接種によってスクレイピー感染させられ、次いで、酢酸グアナベンズ(10mg/kg)により週に1回処理されるか、または、処理されなかった。このモデルにおいて、感染の進行に起因して、PrPScの存在は、感染後すでに数週間であり平坦域に達して4週間後であるヒツジにおいてモニタリングされ得る。感染後49日に、PrPScのレベルが、未処理マウス(図4のパネルAの左)および酢酸グアナベンズにより処理されたマウス(図4のパネルAの右)の脾臓において測定された。PrPScの量において有意な減少が観察されたが、このことにより、酢酸グアナベンズは、感染の過程を減少させるまたは遅くすることができることが示される。ポジティブコントロールとして、このような効果を有することが既に知られている(Beringue et al.,2000)デキストラン硫酸500が用いられた。
【0037】
(実施例5:クロイツフェルト・ヤコブ病を治療するためにグアナベンズを含む治療組成物)
経口投与に適した錠剤の組成:
酢酸グアナベンズ
ラクトース
リン酸カルシウム
コーンスターチ
コロイダルシリカ
ポビドン
ステアリン酸
可溶性スターチ
薬量学
4mgの酢酸グアナベンズ、1日2回。
【0038】
(文献)
Archer, F., Bachelin, C, Andreoletti, O. , Besnard, N., Perrot, G., Langevin, C, Le Dur, A., Vilette, D., Baron- Van Evercooren, A., Vilotte, J. L. and Laude, H. (2004) Cultured peripheral neuroglial cells are highly- permissive to sheep prion infection. J" Virol, 78, 482- 490.
Bach, S., Talarek, N., Andrieu, T., Vierfond, J. M. , Mettey, Y., Galons, H., Dormont, D., Meijer, L., Cullin, C. and Blondel, M. (2003a) Isolation of drugs active against mammalian prions using a yeast-based screening assay. Nat Blotechnol, 21, 1075-1081.
Bach, S., Talarek, N., Vierfond, J. -M., Mettey, Y., Cullin, C. and Blondel, M. (2002) Criblage de molecules a activite anti-prion : kits, methodes et molecules criblees. Demande de brevet francals, numero d' enregistrement : 0213022.
Bach, S., Talarek, N., Vierfond, J. -M., Mettey, Y., Cullin, C. and Blondel, M. (2003b) Criblage de molecules a activite anti-prion : kits, methodes et molecules criblees. Demande de Brevet International, PCT/FR03/03101.
Beringue, V., Adjou, K. T., Lamoury, F., Maignien, T., Deslys, J. P., Race, R. and Dormont, D. (2000) Opposite effects of dextran sulfate 500, the polyene antibiotic MS-8209, and Congo red on accumulation of the protease-resistant isoform of PrP in the spleens of mice inoculated intraperitoneally with the scrapie agent. J Virol, 74, 5432-5440.
Guthrie, C. and Fink, G. R. (1991) Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology. Academic Press Inc., San Diego, California, U.S.A.
Vilette, D., Andreoletti, 0., Archer, F., Madelaine, M. F., Vilotte, J. L., Lehmann, S. and Laude, H. (2001) Ex vivo propagation of infectious sheep scrapie agent in heterologous epithelial cells expressing ovine prion protein. Proc Natl Acad Sex US A, 98, 4055-4059.
Vilotte, J. L., Soulier, S., Essalmani, R., Stinnakre, M. G., Vaiman, D., Lepourry, L., Da Silva, J. C, Besnard, N., Dawson, M., Buschmann, A., Groschup, M., Petit, S., Madelaine, M. F., Rakatobe, S., Le Dur, A., Vilette, D. and Laude, H. (2001) Markedly increased susceptibility to natural sheep scrapie of transgenic mice expressing ovine prp. J Virol, 75, 5977-5984.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、R=HまたはClであり、フェニル基は、少なくとも2置換である)
の分子または薬剤的に許容されるその塩の、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための使用。
【請求項2】
前記分子は、式:
【化2】

のものまたは薬剤的に許容されるその塩である、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記分子は、式:
【化3】

の酢酸塩である、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記分子は、式:
【化4】

のものまたは薬剤的に許容されるその塩である、プリオンベースの疾患の治療用の医薬の製造のための請求項1に記載の使用。
【請求項5】
プリオンベースの疾患は、ウシ海綿状脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、クールー病、スクレイピー、慢性消耗病、猫海綿状脳症および外来性有蹄動物脳症からなる群において選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の使用。
【請求項6】
プリオンベースの疾患は、ウシ海綿状脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クールー病およびスクレイピーからなる群において選択される、請求項5に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505815(P2010−505815A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530967(P2009−530967)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004178
【国際公開番号】WO2008/041134
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【出願人】(507199997)アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ アグロノミク (4)
【Fターム(参考)】