説明

プリンタードライバー、印刷方法および印刷システム

【課題】印刷された文書を第三者に覗き見され難く、所望の文書の検索が容易な合い紙を印刷用紙の消費を抑えて出力する。
【解決手段】プリンタードライバー50は、画像を印刷する第1の印刷ジョブを生成する第1の機能と、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成する第2の機能と、第2の印刷ジョブを出力し、続いて第1の印刷ジョブを出力する第3の機能と、次に印刷すべき画像の有無を判定する第4の機能と、次の画像が有る場合、画像を印刷する第1の印刷ジョブの生成、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブの生成、第2の印刷ジョブの出力、および第1の印刷ジョブの出力を次の画像が無くなるまで順次繰り返す第5の機能と、次の画像が無くなったら最後に出力した第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成し、生成した第2の印刷ジョブを出力する第6の機能と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタードライバー、印刷方法および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一人のユーザーが複数の文書をプリンターで印刷する場合や、ネットワークに接続されたプリンターに対して複数のユーザーがそれぞれの文書をプリンターで印刷する場合、ユーザーが印刷を指示した文書は、用紙に順次印刷されて排出部から排出される。ところが、1つの文書が複数のページで構成される場合、排出部には印刷された文書の束が積層されるため、文書の束の中から所望の文書のみを摘出するのは容易ではなかった。下記特許文献1には、このような問題を解決すべく、文書の非印刷面の側に文書の情報を印刷した合い紙を作成し、作成した合い紙を文書と文書の切れ目の位置に排出することで、所望の文書を容易に摘出できるような印刷装置が提案されている。また、ユーザーが印刷した文書の最初と最後に合い紙を印刷することで、文書の内容が第三者に見られないようにする技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−143017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、文書が連続して印刷される場合、文書の最初と最後に合い紙が印刷されるため、文書の最初の合い紙と1つ前に印刷された文書の最後の合い紙とが連続すると共に、文書の最後の合い紙と次に印刷された文書の最初の合い紙とが連続する。従って、文書束において合い紙が文書間で重複して印刷され、印刷用紙を多く消費する。
そこで本発明は、前記した課題に鑑みてなされたものであり、印刷用紙の消費を抑えつつ、印刷された文書の内容の漏洩を抑制する合い紙を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかるプリンタードライバーは、画像を印刷する第1の印刷ジョブを生成する第1の機能と、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成する第2の機能と、前記第2の印刷ジョブを出力し、続いて前記第1の印刷ジョブを出力する第3の機能と、次に印刷すべき前記画像の有無を判定する第4の機能と、前記第4の機能で次に印刷すべき前記画像が有ると判定した場合、前記画像を印刷する第1の印刷ジョブの生成、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブの生成、前記第2の印刷ジョブの出力、および前記第1の印刷ジョブの出力を次に印刷すべき前記画像が無くなるまで順次繰り返す第5の機能と、前記第4の機能で次に印刷すべき前記画像が無いと判定した場合、または前記第5の機能で次に印刷すべき前記画像が無くなった場合、最後に出力した前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブを生成し、生成した前記第2の印刷ジョブを出力する第6の機能と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような機能によれば、画像を印刷する第1の印刷ジョブが生成され、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力された後、第1の印刷ジョブが出力される。更に、次に印刷すべき画像が有る場合、次の画像を印刷する第1の印刷ジョブが生成され、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力された後、第1の印刷ジョブが出力され、次に印刷すべき画像が無くなるまで順次繰り返される。また、次に印刷すべき画像が無いと判定した場合、または次に印刷すべき画像が無くなった場合、最後に出力した第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力される。従って、プリンタードライバーは、画像を印刷する第1の印刷ジョブを連続して出力する場合、第2の印刷ジョブを複数の第1の印刷ジョブの最初と最後に出力し、更に、2つの第1の印刷ジョブ間に第2の印刷ジョブを出力する。この結果、これらの印刷ジョブを受け取った印刷装置において、画像を印刷する複数の印刷ジョブの各印刷ジョブ間と、複数の印刷ジョブの最初と最後に印刷ジョブの情報が印刷されるため、印刷ジョブの情報が印刷用紙に印刷された内容を秘匿し、印刷用紙の消費を抑えることができる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかるプリンタードライバーにおいて、前記第2の印刷ジョブは、前記第1の印刷ジョブに関する情報を1枚の用紙の両面に印刷することが好ましい。
【0009】
このような機能によれば、文書束を何れの側から捲った場合でも、第1の印刷ジョブに関する情報を容易に認識できる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかるプリンタードライバーにおいて、前記第2の印刷ジョブは、前記1枚の用紙の各面が対向する前記第1の印刷ジョブに関する情報をそれぞれの面に印刷し、一方の面が前記第1の印刷ジョブと対向しない場合、前記一方の面の裏面が対向する前記第1の印刷ジョブに関する情報を前記一方の面に印刷することが好ましい。
【0011】
このような機能によれば、文書束から印刷ジョブ毎の文書を容易に検索できる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかるプリンタードライバーにおいて、前記第4の機能は、次に印刷すべき前記画像を所定の時間内に取得できない場合、次に印刷すべき前記画像が無いと判定しても良い。
【0013】
[適用例5]
上記適用例にかかるプリンタードライバーにおいて、前記第2の印刷ジョブは、所定の色または所定の図形を印刷しても良い。
【0014】
[適用例6]
上記適用例にかかるプリンタードライバーにおいて、前記第2の印刷ジョブを生成して出力するか、否かを決定するための区切りページ設定機能を備えることが好ましい。
【0015】
このような機能によれば、第2の印刷ジョブを生成して出力するか、否かを決定できる。
【0016】
[適用例7]
本適用例にかかる印刷方法は、画像を印刷する第1の印刷ジョブを生成する第1の工程と、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成する第2の工程と、前記第2の印刷ジョブを出力し、続いて前記第1の印刷ジョブを出力する第3の工程と、次に印刷すべき前記画像の有無を判定する第4の工程と、前記第4の工程で次に印刷すべき前記画像が有ると判定した場合、前記画像を印刷する第1の印刷ジョブの生成、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブの生成、前記第2の印刷ジョブの出力、および前記第1の印刷ジョブの出力を次に印刷すべき前記画像が無くなるまで順次繰り返す第5の工程と、前記第4の工程で次に印刷すべき前記画像が無いと判定した場合、または前記第5の工程で次に印刷すべき前記画像が無くなった場合、最後に出力した前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブを生成し、生成した前記第2の印刷ジョブを出力する第6の工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
このような方法によれば、画像を印刷する第1の印刷ジョブが生成され、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力された後、第1の印刷ジョブが出力される。更に、次に印刷すべき画像が有る場合、次の画像を印刷する第1の印刷ジョブが生成され、第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力された後、第1の印刷ジョブが出力され、次に印刷すべき画像が無くなるまで順次繰り返される。また、次に印刷すべき画像が無いと判定した場合、または次に印刷すべき画像が無くなった場合、最後に出力した第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブが生成されて出力される。従って、画像を印刷する第1の印刷ジョブを連続して出力する場合、第2の印刷ジョブを複数の第1の印刷ジョブの最初と最後に出力し、更に、2つの第1の印刷ジョブ間に第2の印刷ジョブを出力する。この結果、これらの印刷ジョブを受け取った印刷装置において、画像を印刷する複数の印刷ジョブの各印刷ジョブ間と、複数の印刷ジョブの最初と最後に印刷ジョブの情報が印刷されるため、印刷ジョブの情報が印刷用紙に印刷された内容を秘匿し、印刷用紙の消費を抑えることができる。
【0018】
[適用例8]
本適用例にかかる印刷システムは、画像の印刷に関する情報を印刷して排出した後、前記画像を印刷して排出し、次に印刷すべき前記画像が有る場合、次に印刷すべき前記画像が無くなるまで、次に印刷すべき前記画像の印刷に関する情報の印刷と排出、および前記画像の印刷と排出を順次繰り返し、次に印刷すべき画像が無い場合、最後に印刷した前記画像の印刷に関する情報を印刷して排出することを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、複数の画像を連続して印刷する場合、画像の印刷に関する情報を画像群の最初と最後に印刷し、更に、2つの画像間に画像の印刷に関する情報を印刷する。この結果、印刷される画像間と、画像群の最初と最後に画像の印刷に関する情報が印刷されるため、印刷用紙に印刷された内容を秘匿し、印刷用紙の消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係るプリンタードライバーの機能構成を示すブロック図。
【図3】印刷設定のユーザーインターフェイスの一例を示す図。
【図4】プリンタードライバーの印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図5】区切りページの両面印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図6】区切りページの印刷例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、区切りページを生成して排出する印刷システムについて図面を参照して説明する。
【0022】
(実施形態)
図1は、印刷システム5の構成を示す図である。印刷システム5は、ホスト装置としてのコンピューター10と、印刷装置としてのプリンター30とが通信可能に接続されて構成される。
コンピューター10は、ハードウェアとして演算処理の中枢をなすCPU(Central Processing Unit)12を備えており、このCPU12は、システムバス26を介してROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリー14にアクセス可能となっている。また、システムバス26には入出力I/F18とデータ入出力I/F16が接続されている。
【0023】
入出力I/F18には、外部記憶装置としてのHDD20が接続されており、HDD20には、ソフトウェアとしてオペレーティングシステム(図示は略す。)や、プリンター30の機能を制御し、プリンター30の機能に応じた印刷データを生成するプリンタードライバー50(図2)、および文書情報や画像情報を作成可能なアプリケーション80(図2)等が格納されている。これらのソフトウェアは、実行時にCPU12によって適宜メモリー14のRAMに転送される。CPU12は、RAMに適宜アクセスしてソフトウェアを実行する。即ち、RAMは一時的なワークエリアとして利用されることにより、種々のプログラムが実行される。
【0024】
また、入出力I/F18には、画像や文字情報を表示する表示装置22、および、キーボードやマウスのように、ユーザーが操作することで指示情報が入力される入力装置24が接続されている。
データ入出力I/F16は、例えば、USB(Universal Serial Bus)による接続を想定し、プリンタードライバー50が生成する印刷ジョブのデータをプリンター30に出力したり、プリンター30からステータスに関する情報を入力したりする。尚、プリンター30との接続は、ネットワークにより接続された様態も想定できる。
プリンター30は、コントローラー32、搬送ユニット42、キャリッジユニット44およびヘッドユニット46を備える。本実施形態では、プリンター30の印刷方式は、インクジェット方式を想定し、コンピューター10から印刷ジョブのデータを受信した場合、コントローラー32が搬送ユニット42、キャリッジユニット44、およびヘッドユニット46を制御し、何れも図示を略した印刷ヘッドのノズルからインク滴を吐出することで、印刷用紙に画像を形成する。
【0025】
コントローラー32は、プリンター30の制御を行うための制御ユニットである。データ入出力I/F38は、コンピューター10との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU34は、プリンター30全体の制御を行う。また、メモリー36は、CPU34のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU34は、ユニット制御回路40を介して各ユニットを制御する。これらはバス48を介して接続されている。
搬送ユニット42は、印刷用紙を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に搬送方向に所定の搬送量で印刷用紙を搬送する。キャリッジユニット44は、印刷ヘッドを搬送方向と交差する方向に移動させる。ヘッドユニット46は、印刷ヘッドを有し、ノズルに対応するピエゾ素子を駆動することで、印刷用紙にインク滴を吐出し画像を描画する。
【0026】
図2は、プリンタードライバー50の機能構成を示すブロック図である。プリンタードライバー50は、ユーザーが印刷設定を行うための印刷設定UI(User Interface)55と、印刷ジョブを生成する印刷処理モジュール60とを有する。
印刷設定UI55は、ユーザーがプリンタードライバー50に対して印刷設定するためのユーザーインターフェイスであり、本実施形態では、図3に示すようなユーザーインターフェイスを想定する。この印刷設定UI55は、区切りページ設定機能を有する区切りページ設定部58を備える。区切りページとは、合い紙やジョブセパレーターとも呼ばれ、印刷ジョブの始まりと終わりに印刷用紙を出力することで、印刷ジョブの区切りを示すためのものである。図3においては、区切りページを挿入するか、否かをチェックボックスで選択できる。
尚、本実施形態では、プリンタードライバー50には、区切りページ挿入以外に、種々の機能も実装されているが、これら機能については記載せず、区切りページの機能についてのみ記載する。
【0027】
印刷設定UI55で決定された区切りページ挿入の可否に関する情報は、オペレーティングシステムに応じて、DevModeやプリントチケットと呼ばれる所定の記憶領域に記憶され、所定の記憶領域の情報はアプリケーション80から必要に応じて参照される。
【0028】
アプリケーション80は、文書や画像等のコンテンツ画像を作成する機能を備える。ユーザーは、アプリケーション80で所望のコンテンツ画像を作成し、印刷を指示することができる。アプリケーション80は、ユーザーからの印刷指示を受けて、所定の記憶領域を参照し、この記憶領域に記憶されている印刷設定情報を取得すると共に、印刷設定情報に基づいて所定の大きさのコンテンツ画像のベクター画像データを作成し、作成したベクター画像データおよび印刷設定データを印刷処理モジュール60に送る。
【0029】
印刷処理モジュール60は、画像処理部65、区切りページ印刷指示部70および印刷ジョブ生成部75を有する。また、画像処理部65は、コンテンツ画像処理部66と区切りページ画像処理部68を備える。
コンテンツ画像処理部66は、アプリケーション80から送られるコンテンツ画像のベクター画像データを取得し、取得したベクター画像データが示すベクターイメージに対して画像処理を行い、RGB(Red Green Blue)のラスターイメージに変換する機能を有する。更に、コンテンツ画像処理部66は、RGBのラスターイメージに対して、3次元の変換テーブル(Look Up Table)や補間演算法を適用し、CMYK(Cyan Magenta Yellow Black)のラスターイメージに変換する。変換されたコンテンツのラスターイメージのデータ(ラスター画像データ)は、印刷ジョブ生成部75に送られる。
【0030】
区切りページ画像処理部68は、区切りページ印刷指示部70から送られる区切りページ画像の生成指示に基づき、コンテンツ画像処理部66が直近に処理したコンテンツ画像の印刷設定データ等を参照して予め決められたジョブ情報(印刷ジョブに関する情報)を取得し、取得したジョブ情報を含むラスターイメージを生成する。
本実施形態では、ジョブ情報として、印刷ジョブ名、ユーザー名および印刷する日時に関する情報等を想定する。更に、区切りページ画像処理部68は、区切りページ印刷指示部70から区切りページ画像の両面生成を指示された場合、両面のそれぞれに応じたラスターイメージを生成する。
【0031】
例えば、一方の印刷ジョブと対向する側の区切りページには、対向する印刷ジョブが一方の印刷ジョブであることを示すラスターイメージを生成し、他方の印刷ジョブと対向する側の区切りページには、対向する印刷ジョブが他方の印刷ジョブであることを示すラスターイメージを生成しても良い。また、印刷ジョブと対向しない側の区切りページには、裏側が対向する印刷ジョブの情報を示すラスターイメージを生成しても良い。
尚、プリンタードライバー50内部で文字列データからラスターイメージを生成する処理は、スタンプマーク印刷機能において、予め決定されたテキスト文字列のラスターイメージを生成する処理と同様の処理を適用できる。このようにして生成されたジョブ情報のラスターイメージのデータ(ラスター画像データ)は、印刷ジョブ生成部75に送られる。
【0032】
区切りページ印刷指示部70は、印刷設定データを解析し、区切りページを挿入すると判断した場合、コンテンツ画像の印刷に続いて一枚の区切りページを印刷すべく、区切りページ画像処理部68に対して区切りページ画像の生成指示を送ると共に、印刷設定データに基づいて区切りページを印刷するための制御データを生成し、生成した区切りページの制御データを印刷ジョブ生成部75に送る。
本実施形態では、区切りページ印刷指示部70は、印刷ジョブの最初と最後に区切りページを印刷するべく生成指示を送る。この場合、1つの印刷ジョブに続いて他の印刷ジョブを印刷する場合、最後の区切りページは印刷せず、最初の区切りページのみを印刷する。本実施形態では、他の印刷ジョブが存在するか、否かの判定は、タイマーにより所定の時間内に次に印刷するコンテンツのベクター画像データが送られるか、否かで判定するが、これには限定されない。例えば、ベクター画像データを一時的に保持するメモリーが空か、否かで判定しても良い。
【0033】
また、本実施形態では、区切りページ印刷指示部70は、プリンター30が両面印刷可能か、否かを判定し、両面印刷が可能な場合、区切りページ画像の両面生成を区切りページ画像処理部68に対して指示する。他方で、プリンター30が両面印刷できない場合やユーザーが両面印刷を行わない設定を選択している場合、区切りページ画像は印刷用紙の何れか一方の側に印刷するべく指示する。
印刷ジョブ生成部75は、画像処理部65からコンテンツのラスター画像データが送られた場合、印刷設定データに基づいて制御データを生成し、生成した制御データと、ラスター画像データとを組み合わせてプリンター30が認識可能なコマンド群に変換し、変換したコマンド群をページ単位で記述した印刷ジョブ(第1の印刷ジョブ)を作成する。作成された印刷ジョブはプリンター30に送信され、プリンター30は印刷ジョブに基づいてページ単位でコンテンツ画像を印刷する。
【0034】
また、印刷ジョブ生成部75は、画像処理部65からジョブ情報のラスター画像データが送られた場合、区切りページ印刷指示部70から送られる制御データと、生成した制御データおよびラスター画像データと、を組み合わせてプリンター30が認識可能なコマンド群に変換し、変換したコマンド群をページ単位で記述した印刷ジョブ(第2の印刷ジョブ)を作成する。作成された印刷ジョブはプリンター30に送信され、プリンター30は印刷ジョブに基づいて、ジョブ情報を一枚の区切りページとして印刷する。
【0035】
図4は、プリンタードライバー50による区切りページ印刷の処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、印刷すべきコンテンツのベクター画像データがアプリケーション80から送られた場合に実行される。
この処理が実行されると、最初に、コンピューター10のCPU12は、第1の区切りページの印刷ジョブを生成する(ステップS100)<第2の機能および第2の工程>。
ここで、区切りページの印刷ジョブを生成する処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
最初に、CPU12は、プリンター30が両面印刷可能か、否かを判定する(ステップS120)。
ここで、CPU12が両面印刷可能であると判定した場合(ステップS120でYes)、CPU12は区切りページの一方の面のラスターデータを生成する(ステップS122)。
続いて、CPU12は区切りページの他方の面、即ち、一方の面の裏側のラスターデータを生成する(ステップS124)。
【0037】
次に、CPU12は両面印刷する区切りページの印刷ジョブを生成し(ステップS126)、ステップS140に進む。
また、ステップS120において、プリンター30が両面印刷不可能と判定した場合、(ステップS120でNo)、CPU12は区切りページのラスターデータを生成し(ステップS130)、区切りページの印刷ジョブを生成して(ステップS132)、ステップS140に進む。
ステップS140では、CPU12は生成した印刷ジョブをプリンター30に送り<第3の機能および第3の工程>、一連の処理を終了して、呼び出し元(ステップS100)に戻る。
【0038】
図4に戻り、CPU12はコンテンツのラスター画像データを生成する(ステップS102)。
次に、CPU12は印刷設定情報に基づいて、生成したコンテンツのラスター画像データの印刷ジョブを生成する(ステップS104)<第1の機能および第1の工程>。
続いて、CPU12は、生成した印刷ジョブをプリンター30に送る(ステップS106)<第3の機能および第3の工程>。
【0039】
次に、CPU12は、次に印刷するコンテンツが有るか、否かを判定する(ステップS108)<第4の機能および第4の工程>。
ここで、次に印刷するコンテンツが有ると判定した場合(ステップS108でYes)、ステップS100の最初に戻り<第5の機能および第5の工程>、次に印刷するコンテンツが無くなるまでステップS100からステップS108を繰り返す。
他方で、次に印刷するコンテンツが無いと判定した場合(ステップS108でNo)、即ち、次に印刷するコンテンツが最初から無いか、または、ステップS100からステップS108までの処理を繰り返すことで次に印刷するコンテンツが無くなった場合、第2の区切りページの印刷ジョブを生成し(ステップS110)<第6の機能および第6の工程>、一連の処理を終了する。尚、ステップS110の処理は、ステップS100の処理(図5)と同一であるので、説明を省略する。
【0040】
図6は、上述の処理により印刷された区切りページP,Q,Rの一例を示す。この場合、最初に、区切りページPが印刷され、続いて、JOB1が印刷され、区切りページQが印刷される。更に続いて、JOB2が印刷され、最後に区切りページRが印刷される。上記の順で印刷されたJOB1、区切りページP,Q,RおよびJOB2を、JOB1が上側になるように取り出した状態を示している。
区切りページPの下面P2、即ち、JOB1が印刷された印刷用紙と対向する面には、「この面側はJOB1」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。また、区切りページPの上面P1、即ち、下面P2の反対面には、「この面の裏側はJOB1」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。
また、区切りページQの上面Q1、即ち、JOB1が印刷された印刷用紙と対向する面には、「この面側はJOB1」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。また、区切りページQの下面Q2、即ち、JOB2が印刷された印刷用紙と対向する面には、「この面側はJOB2」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。
【0041】
更に、区切りページRの上面R1、即ち、JOB2が印刷された印刷用紙と対向する面には、「この面側はJOB2」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。また、区切りページRの下面R2、即ち、上面R1の反対面には、「この面の裏側はJOB2」と大きく表示された領域と、ユーザー名および印刷日時を示すテキスト情報が印刷される。
区切りページP、JOB1の印刷用紙、区切りページQ、JOB2の印刷用紙および区切りページRを1つの束としてユーザーが保持し、区切りページPからパラパラと用紙を捲りJOB1とJOB2の区切りを探した場合、および、区切りページRからJOB1とJOB2の区切りを探した場合の何れの場合であっても、ユーザーは区切りページQに印刷された文字情報を視認できる。この結果、印刷用紙の束からJOB1とJOB2とを容易に分離できる。また、印刷ジョブ間の区切りページは1枚であるため、印刷用紙の消費を抑制できる。
【0042】
更に、区切りページP、JOB1の印刷用紙、区切りページQ、JOB2の印刷用紙および区切りページRがプリンター30の排出口から順次排出された場合、区切りページQが印刷用紙の束の最上部になり、第三者はJOB2の印刷内容を容易に覗き見できないため、印刷内容の機密を保持できる。
尚、印刷ジョブに関する文字情報を印刷する書式には限定されない。また、区切りページP,QおよびRに印刷される情報は文字情報には限定されず、所定の色による所定の領域の塗りつぶしや、所定の図形やシンボルマークの描画であっても良い。また、区切りページP,QおよびRに記載するジョブ情報は、印刷ジョブ名、ユーザー名および印刷する日時に限定されず、印刷設定情報やオペレーティングシステム等から取得できる他の情報でも良い。これにより、印刷ジョブの区切りを見つけ易くなる。
【0043】
尚、本実施形態では、印刷システム5として、コンピューター10にプリンタードライバー50が設定され、プリンタードライバー50が生成した印刷ジョブを通信可能に接続されたプリンター30に送る様態を採用したが、このような様態には限定されず、複合機のようなスタンドアロンタイプのプリンター30も想定できる。この場合、メモリーカード等に記録された画像データを読み取り、プリンター30に組み込まれたプリンタードライバー50が印刷ジョブを生成して印刷する様態でも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0044】
5…印刷システム、10…コンピューター、12…CPU、14…メモリー、16…データ入出力I/F、18…入出力I/F、20…HDD、22…表示装置、24…入力装置、26…システムバス、30…プリンター、32…コントローラー、34…CPU、36…メモリー、38…データ入出力I/F、40…ユニット制御回路、42…搬送ユニット、44…キャリッジユニット、46…ヘッドユニット、48…バス、50…プリンタードライバー、55…印刷設定UI、58…区切りページ設定部、60…印刷処理モジュール、65…画像処理部、66…コンテンツ画像処理部、68…区切りページ画像処理部、70…区切りページ印刷指示部、75…印刷ジョブ生成部、80…アプリケーション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷する第1の印刷ジョブを生成する第1の機能と、
前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成する第2の機能と、
前記第2の印刷ジョブを出力し、続いて前記第1の印刷ジョブを出力する第3の機能と、
次に印刷すべき前記画像の有無を判定する第4の機能と、
前記第4の機能で次に印刷すべき前記画像が有ると判定した場合、前記画像を印刷する第1の印刷ジョブの生成、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブの生成、前記第2の印刷ジョブの出力、および前記第1の印刷ジョブの出力を次に印刷すべき前記画像が無くなるまで順次繰り返す第5の機能と、
前記第4の機能で次に印刷すべき前記画像が無いと判定した場合、または前記第5の機能で次に印刷すべき前記画像が無くなった場合、最後に出力した前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブを生成し、生成した前記第2の印刷ジョブを出力する第6の機能と、を備えることを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタードライバーにおいて、
前記第2の印刷ジョブは、前記第1の印刷ジョブに関する情報を1枚の用紙の両面に印刷することを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタードライバーにおいて、
前記第2の印刷ジョブは、前記1枚の用紙の各面が対向する前記第1の印刷ジョブに関する情報をそれぞれの面に印刷し、一方の面が前記第1の印刷ジョブと対向しない場合、前記一方の面の裏面が対向する前記第1の印刷ジョブに関する情報を前記一方の面に印刷することを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに1項に記載のプリンタードライバーにおいて、
前記第4の機能は、次に印刷すべき前記画像を所定の時間内に取得できない場合、次に印刷すべき前記画像が無いと判定することを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに1項に記載のプリンタードライバーにおいて、
前記第2の印刷ジョブは、所定の色または所定の図形を印刷することを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに1項に記載のプリンタードライバーにおいて、
前記第2の印刷ジョブを生成して出力するか、否かを決定するための区切りページ設定機能を備えることを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項7】
画像を印刷する第1の印刷ジョブを生成する第1の工程と、
前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する第2の印刷ジョブを生成する第2の工程と、
前記第2の印刷ジョブを出力し、続いて前記第1の印刷ジョブを出力する第3の工程と、
次に印刷すべき前記画像の有無を判定する第4の工程と、
前記第4の工程で次に印刷すべき前記画像が有ると判定した場合、前記画像を印刷する第1の印刷ジョブの生成、前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブの生成、前記第2の印刷ジョブの出力、および前記第1の印刷ジョブの出力を次に印刷すべき前記画像が無くなるまで順次繰り返す第5の工程と、
前記第4の工程で次に印刷すべき前記画像が無いと判定した場合、または前記第5の工程で次に印刷すべき前記画像が無くなった場合、最後に出力した前記第1の印刷ジョブに関する情報を印刷する前記第2の印刷ジョブを生成し、生成した前記第2の印刷ジョブを出力する第6の工程と、を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
画像の印刷に関する情報を印刷して排出した後、前記画像を印刷して排出し、次に印刷すべき前記画像が有る場合、次に印刷すべき前記画像が無くなるまで、次に印刷すべき前記画像の印刷に関する情報の印刷と排出、および前記画像の印刷と排出を順次繰り返し、次に印刷すべき画像が無い場合、最後に印刷した前記画像の印刷に関する情報を印刷して排出することを特徴とする印刷システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−108831(P2012−108831A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258652(P2010−258652)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】