説明

プリンタ制御装置、プリンタ制御方法およびプリンタ制御プログラム

【課題】 複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止する。
【解決手段】 プリントサーバは、プリントデータとプリンタ識別情報とを含む第1プリント指示を受け付けるプリント指示受付部(S01)と、複数のMFP各々のプリントの進捗状態を取得する状態取得部(S06)と、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断する判断部(S04)と、第1プリントデータと第2プリントデータとが同じ場合、第2プリント指示で特定される第2MFPによるプリントの進行状態に基づいて、第1プリント指示で特定される第1MFPと第2MFPとのいずれか一方にプリントさせる重複プリント防止部(S10、S14)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ制御装置、プリンタ制御方法およびプリンタ制御プログラムに関し、特に、複数のプリンタを制御するプリンタ制御装置、そのプリンタ制御装置で実行されるプリンタ制御方法およびプリンタ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、パーソナルコンピュータ(PC)から入力されるプリントデータを記憶するためのメモリを備えており、複数のプリントデータをメモリに一時的に記憶することにより、複数のプリントデータを順にプリントする。このプリンタは、紙詰まり等でプリントを中断している間であってもプリントデータが入力されると、それをメモリに記憶する。一方、PCとプリントデータとをネットワークで接続する場合には、PCにおいては、プリントデータをプリンタに送信した後に、プリントされたか否かを確認することができない場合があり、その場合、ユーザは、プリンタからプリント結果が出力されていることを確認する必要がある。このため、複数のプリントデータがプリンタのメモリに記憶されているときに、プリントデータを送信した場合には、それより前に記憶されたプリントデータがプリントされた後でなければプリントされない。また、プリンタが紙詰まり等のトラブルが発生する場合にも同様に、PCから送信されたプリントデータは記憶されるので、ユーザは、プリンタからプリント結果が出力されていることを確認する必要がある。このため、プリンタにプリントデータを送信した後にプリント結果が出力されていない場合には、再度プリントデータを送信してしまう場合があり、同じプリントデータが複数回プリントされてしまう場合がある。
【0003】
特開2007−98847号公報には、印刷ジョブを複数格納可能な画像形成装置であって、新規の印刷ジョブを受信したときに既に格納済の少なくとも一つ以上の印刷ジョブとの内容を比較する手段を持ち、少なくとも一部の属性が等しいときにどちらか一方の印刷ジョブを消去する手段を有する画像形成装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、ネットワークに複数のプリンタが接続されている場合に、1台のプリンタに送信したプリントデータと同じプリントデータを別のプリンタに送信する場合には、いずれか一方を削除することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開2007−98847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、この発明の目的の1つは、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御方法を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、この発明の目的の1つは、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、プリンタ制御装置は、プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるプリント指示受付手段と、複数のプリンタのうち受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるプリンタ制御手段と、を備え、プリンタ制御手段は、複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得する状態取得手段と、プリント指示受付手段が第1プリント指示を受け付けることに応じて、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断する判断手段と、判断手段により第1プリントデータと第2プリントデータとが同じと判断される場合、複数のプリンタのうち第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、複数のプリンタのうち第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせる重複プリント防止手段と、を含む。
【0009】
この局面に従えば、第1プリント指示を受け付けることに応じて、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同じか否かが判断され、同じと判断される場合、複数のプリンタのうち第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、複数のプリンタのうち第1プリンタと第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせる。このため、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御装置を提供することができる。
【0010】
好ましくは、重複プリント防止手段は、第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、第1プリンタによるプリントを中止させる。
【0011】
好ましくは、重複プリント防止手段は、第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、重複プリントであることを報知するための報知手段をさらに含み、報知に応じてユーザによる許可が受け付けられることを条件に、第1プリンタによるプリントを中止させる。
【0012】
好ましくは、重複プリント防止手段は、第2プリンタによるプリントが未実行の場合、第2プリンタによるプリントを中止させる。
【0013】
この発明の他の局面によれば、プリンタ制御方法は、プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるステップと、複数のプリンタのうち受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるステップと、を含み、プリントさせるステップは、複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得するステップと、プリント指示を受け付けるステップにおいて第1プリント指示が受け付けられることに応じて、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断するステップと、判断するステップにおいて第1プリントデータと第2プリントデータとが同じと判断される場合、複数のプリンタのうち第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、複数のプリンタのうち第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせるステップと、を含む。
【0014】
この局面に従えば、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御方法を提供することができる。
【0015】
この発明のさらに他の局面によれば、プリンタ制御プログラムは、プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるステップと、複数のプリンタのうち受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるステップと、をコンピュータに実行させ、プリントさせるステップは、複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得するステップと、プリント指示を受け付けるステップにおいて第1プリント指示が受け付けられることに応じて、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断するステップと、判断するステップにおいて第1プリントデータと第2プリントデータとが同じと判断される場合、複数のプリンタのうち第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、複数のプリンタのうち第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせるステップと、を含む。
【0016】
この局面に従えば、複数のプリンタにより同一のプリントデータがプリントされるのを防止することが可能なプリンタ制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるプリントシステムの全体概要を示す図である。図1を参照して、プリントシステム1は、それぞれがネットワーク2に接続され、プリンタとして機能する複合機(以下、「MFP」という)100〜102と、プリンタ制御装置として機能するプリントサーバ200と、PC300と、を含む。なお、図ではネットワーク2に3台のMFP(Multi Function Peripheral)100〜102が接続される例を示しているが、MFPの数はこれに限定されるものではなく、2台以上であればよい。また、MFP100〜102に代えて、画像を形成する機能を備えた装置であれば、例えば、ファクシミリ、プリンタ等であってもよい。ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。また、ネットワーク2は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0019】
MFP100〜102は、それぞれが備える機能は同じであってもよく異なっていてもよいが、基本的には、プリントデータを受信して、プリントデータに基づいて紙などの用紙に画像を形成するためのプリント機能を少なくとも含む。
【0020】
PC300およびプリントサーバ200は、一般的なコンピュータである。本実施の形態におけるプリントシステム1においては、ユーザがPC300を操作し、PC300がユーザの指示にしたがってプリントデータとMFP100〜102のいずれかを指定するプリント指示をプリントサーバ200に送信する場合を説明する。プリントサーバ200においては、プリントデータを一時的に記憶し、プリントサーバ200がMFP100〜102のうちプリント指定により特定されるものにプリントデータを送信し、プリントさせる。
【0021】
PC300は、ユーザにより使用され、アプリケーションプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。種々の処理は、使用するユーザを識別するログイン処理、プリントデータを生成し、プリントサーバ200に送信するプリント処理を含む。本実施の形態においては、PC300は、ログイン処理を実行した後に、プリント処理を実行すると、それを使用するユーザを識別するためのユーザ識別情報と、プリントデータと、MFP100〜102のうちプリントさせるMFPを識別するための装置識別情報との組を含むプリント指示をプリントサーバ200に送信する。
【0022】
プリントサーバ200は、PC300からプリント指示を受信すると、それを一時的に記憶し、MFP100〜102のうちプリント指示に含まれる装置識別情報で特定されるものに、プリントデータを送信する。MFP100〜102それぞれは、プリントサーバ200から受信されるプリントデータを、受信された順にプリントする。MFP100〜102それぞれは、プリントデータをプリントする速度と、プリントデータを受信する速度との差を吸収するためにプリントデータを一時的に記憶するメモリを有する。MFP100〜102それぞれは、プリントサーバ200から連続してプリントデータを受信する場合、受信された順にメモリに記憶する。このため、MFP100〜102それぞれにおいて、プリントされていないがプリントサーバ200から受信したプリントデータがメモリに記憶される状態となる場合がある。
【0023】
図2は、プリントサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、プリントサーバ200は、それぞれがバス208に接続され、プリントサーバ200の全体を制御するための中央演算装置(CPU)201と、CPU201が実行するプログラム等を記憶するためのROM202と、CPU201の作業領域として用いられるRAM203と、プリントサーバ200をネットワークに接続するためのネットワークI/F204と、大容量記憶装置としてのHDD205と、表示部206と、ユーザの操作の入力を受け付ける操作部207と、外部記憶装置209と、を含む。
【0024】
外部記憶装置209は、プリンタ制御プログラムを記憶したCD−ROM(Compact Disc−ROM)209Aが装着される。CPU201は、外部記憶装置209を介してCD−ROM209Aに記憶されたプログラムをRAM203にロードし、実行する。なお、プログラムを記憶する記録媒体としては、CD−ROM209Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などの半導体メモリ等でもよい。
【0025】
また、HDD205に記憶されたプログラムをRAM203にロードして実行するようにしてもよい。この場合、プリントサーバ200が、ネットワーク2に接続された他のコンピュータからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD205に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU201が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0026】
図3は、プリントサーバが備えるCPUが有する機能の概要をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。図3を参照して、CPU111は、プリント指示を受け付けるプリント指示受付部11と、プリント指示にしたがってMFP100〜102のいずれかにプリントさせるプリンタ制御部15と、MFP100〜102のいずれかにプリントさせたことを示す履歴情報を記憶する履歴記憶部13と、を含む。
【0027】
プリント指示受付部11は、ネットワークI/F204がPC300からプリント指示を受信すると、そのプリント指示を受け付ける。プリント指示受付部11は、プリント指示をプリンタ制御部15に出力する。プリント指示は、プリントを指示したユーザを識別するためのユーザ識別情報と、プリント対象となるプリントデータと、MFP100〜102のいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報と、を含む。
【0028】
プリンタ制御部15は、プリント指示受付部11から入力されるプリント指示にしたがってMFP100〜103のいずれかにプリントさせるためのプリント指令部21と、MFP100〜103各々のプリントの進捗状態を取得する状態取得部25と、複数のプリント指示が入力される場合に同一のプリントデータをプリントさせる2以上のプリント指示があるか否かを判断する判断部23と、判断部23による判断結果に基づいて重複プリントを防止する重複プリント防止部27と、を含む。
【0029】
プリント指令部21は、プリント指示受付部11からプリント指示が入力されると、判断部23にプリント指示を出力する。そして、判断部23にプリント指示を出力した後、後述する重複プリント防止部27からプリントを中止させる中止コマンドが入力されないことを条件に、MFP100〜102のうちからプリント指示に含まれる装置識別情報で識別されるものに、プリント指示に含まれるプリントデータをプリントさせるためのプリント指令を、オペレーティングシステムに出力する。CPU201は、オペレーティングシステムプログラムと、MFP100〜102各々を制御するためのドライバプログラムと、を実行する。このため、プリント指令部21は、MFP100〜102のうちからプリント指示に含まれる装置識別情報で識別されるものにプリント指示が出力されるように、オペレーティングシステムにプリント指令を出力する。なお、プリント指令部21は、判断部23にプリント指示を出力した後、重複プリント防止部27からプリントを中止させる中止コマンドが入力される場合、プリント指令を出力しない。また、プリント指令部21は、プリント指令を出力すると、プリント指示を履歴記憶部13に出力する。
【0030】
履歴記憶部13は、プリント指令部21からプリント指示が入力されると、プリント指示を含む履歴情報をHDD205に記憶する。これにより、HDD205に履歴情報51が記憶される。履歴記憶部13には、プリント指令部21がプリント指令を出力した後に、プリント指示が入力されるので、履歴情報51は、MFP100〜102のうちプリント指示に含まれる装置識別情報で特定されるものに、プリント指示に含まれるプリントデータをプリントさせるプリント指令が出力されたことを示す。
【0031】
判断部23は、プリント指令部21からプリント指示が入力される。判断部23は、HDD205に記憶されている履歴情報51を参照して、プリント指令部21から入力されるプリント指示に含まれるプリントデータと、履歴情報51に含まれるプリント指示に含まれるプリントデータとが同一か否かを判断する。ここでは、プリント指令部21から入力されるプリント指示を第1プリント指示といい、第1プリント指示に含まれるプリントデータを第1プリントデータといい、第1プリント指示に含まれるプリンタを識別するための装置識別情報を第1装置識別情報といい、MFP100〜102のうち第1装置識別情報で識別されるMFPを第1MFPという。また、履歴情報51に含まれるプリント指示を第2プリント指示といい、第2プリント指示に含まれるプリントデータを第2プリントデータといい、第2プリント指示に含まれるプリンタを識別するための装置識別情報を第2装置識別情報といい、第2装置識別情報で識別されるMFPを第2MFPという。第2プリント指示は、第1プリント指示より前にプリント指示受付部11により受け付けられ、履歴情報51としてHDD205に記憶されたプリント指示である。
【0032】
判断部23は、第1プリントデータと第2プリントデータとが同一か否を、プリントデータが生成される基になったデータに基づいて、次の方法のいずれかまたは、2以上の組み合わせにより判断する。プリントデータが生成される基になったデータとは、例えば、アプリケーションプログラムが実行されてCPUにより生成されるデータである。
(1)第1プリントデータが生成される基になったデータを識別するためのデータ識別情報と第2プリントデータが生成される基になったデータのデータ識別情報とを比較し、それらが同じか否かを判断する。
(2)第1プリントデータが生成される基になったデータのデータ量と第2プリントデータが生成される基になったデータのデータ量とを比較し、それらが同じか否かを判断する。
(3)第1プリントデータが生成される基になったデータの保存日時と第2プリントデータが生成される基になったデータの保存日時とを比較し、それらが同じか否かを判断する。
【0033】
判断部23は、第1プリントデータと第2プリントデータとが同一と判断する場合、第1プリント指示および第2プリント指示を重複プリント防止部27に出力する。換言すれば、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとは、基になったデータが同じである。
【0034】
状態取得部25は、MFP100〜102各々のプリントの進捗状態を取得する。ネットワークI/F204を介してMFP100〜102それぞれに状態の送信を要求する信号を送信し、ネットワークI/F204がMFP100〜102がそれぞれ送信する状態を受信すると、その状態を取得する。そして、プリント指令部21が出力するプリント指令ごとの進捗状態を、重複プリント防止部27に出力する。
【0035】
重複プリント防止部27は、それぞれのプリントデータが同一の第1プリント指示と、第2プリント指示とが入力され、状態取得部25から進捗状態が入力される。重複プリント防止部27は、第2プリント指示に含まれる第2プリントデータの進捗状態に基づいて、第2プリント指示に含まれる第2プリントデータが、第2MFPによりプリントされているか否かを判断し、第2MFPによるプリントが既に終了している状態および現在プリント中である状態を含む第1状態と、第2MFPによるプリントが未だ終了していない第2状態とのいずれかを判断する。
【0036】
重複プリント防止部27は、報知部31と、プリント中止部33とを含む。報知部31は、同一のプリントデータがMFP100〜102のうち異なる2つのMFPで実行されることを報知する。報知部31は、第1状態の場合、2つのプリント指示のうち先に入力されたプリント指示に基づくプリントが既に開始されているか、または既に終了していることを報知し、第2の状態の場合、2つのプリント指示に基づくプリントが未だ実行されていないことを報知する。
【0037】
報知する方法は、例えば、第1プリント指示を送信してきたPC300に、メッセージを送信し、PC300にメッセージを表示させる。PC300のユーザは、第1プリント指示に基づくプリントを実行させるか否かを決定することができ、決定結果をPC300に入力すれば、決定結果がプリントサーバ200に返信される。報知部31は、PC300から受信される決定結果が、第1プリント指示に基づくプリントを実行させないことを示す不許可の場合、プリント中止部33に第1プリント指示に基づくプリントを中止させるための中止コマンドを出力する。報知部31は、PC200から受信される決定結果が、第1プリント指示に基づくプリントを実行させることを示す許可の場合、プリント中止部33に第1プリント指示に基づくプリントを中止させないための継続コマンドを出力する。
【0038】
プリント中止部33は、第1状態または第2状態において、報知部31から中止コマンドが入力されることを条件に、第1プリント指示に基づくプリントまたは第2プリント指示に基づくプリントを中止させる。
【0039】
具体的には、プリント中止部33は、第1状態において、報知部31から中止コマンドが入力されると、第1プリントに基づくプリントを中止する。具体的には、プリント中止部33は、プリント指令部21に中止コマンドを出力する。これにより、第1プリント指示に基づくプリントが中止され、第2プリント指示に基づくプリントが実行される。また、プリント中止部33は、第2状態において、報知部31から中止コマンドが入力されると、第2プリントに基づくプリントを中止する。具体的には、第2プリント指示に含まれる装置識別情報で識別される第2MFPに、第2プリントデータのプリントを中止させるためのコマンドを送信する。これにより、第2プリント指示に基づくプリントが中止され、第1プリント指示に基づくプリントが実行される。
【0040】
図4は、プリンタ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。プリンタ制御処理は、プリントサーバ200が備えるCPU201が、プリンタ制御プログラムを実行することによりCPU201により実行される処理である。図4を参照して、CPU201は、第1プリント指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。第1プリント指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、第1プリント指示を受け付けたならば(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。ネットワークI/F204がPC300からプリント指示を受信すると、第1プリント指示として受け付ける。次のステップS02においては、MFP100〜102のうち、第1プリント指示に含まれる第1装置識別情報で識別されるMFPを第1MFPとして特定する。

【0041】
次のステップS03においては、HDD205に記憶されている履歴情報51を読み出す。そして、同一判断処理を実行する。(ステップS04)。同一判断処理については後述するが、ステップS01において受け付けられた第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、履歴情報51に含まれる第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとの同一性を判断する処理である。ステップS05においては、ステップS04において実行された同一判断処理による判断結果に基づいて、第1プリントデータと同一の第2プリントデータが存在するか否かを判断する。第1プリントデータと同一の第2プリントデータが存在すれば処理をステップS06に進めるが、そうでなければ処理をステップS12に進める。ステップS06においては、第2MFPの状態を取得する。そして、第1プリント指示を送信してきたPC300に警告メッセージを送信することにより、警告を報知する(ステップS07)。次のステップS08においては、第1プリントデータのプリントの許可を受け付けたか否かを判断する。PC300のユーザがPC300に入力し、PC300がプリントサーバ200に送信する許可または不許可の信号のうち、許可信号を受信したか否かを判断する。許可を受け付けたならば処理をステップS12に進めるが、そうでなければ処理をステップS09に進める。
【0042】
ステップS09においては、ステップS06において取得された第2MFPの状態に基づいて、第2プリントデータのプリントが未実行か否かを判断する。第2プリントデータのプリントが未実行か否かは、第2MFPから取得された状態が、第2プリントデータが未だ実行されていない状態であるか否かにより判断する。第2プリントデータのプリントが未実行の状態は、第2プリントデータのプリントの実行が完了している状態または第2プリントデータのプリント中の状態を除く状態である。第2プリントデータのプリントが未実行ならば処理をステップS10に進め、そうでなければ処理をステップS14に進める。ステップS10においては、第2MFPによる第2プリントデータのプリントを中止する。具体的には、第2MFPに、第2プリントデータを含むプリント中止コマンドを送信する。そして、次のステップS11においては、HDD205に記憶されている履歴情報51を更新する。具体的には、第2プリントデータを含む履歴情報51を削除する。そして、次のステップS10においては、第1MFPに第1プリントデータを含む第1プリント指示を送信する。さらに次のステップS13において、HDD205に記憶されている履歴情報51に、第1プリント指示を含む新たな履歴情報を追加して記憶する。
【0043】
一方、ステップS14においては、第1MFPによるプリントを中止する。具体的には、第1MFPに、第1プリントデータを含むプリント中止コマンドを送信する。
【0044】
図5は、同一判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。同一判断処理は、図4に示したプリンタ制御処理のステップS04において実行される処理である。図5を参照して、CPU201は、履歴情報51のうちから1つを処理対象としての第2プリントデータに選択する(ステップS21)。次のステップS02においては、第1プリントデータが生成される基になったデータと第2プリントデータが生成される基になったデータそれぞれのファイル名が同一か否かを判断する。ファイル名が同一ならば処理をステップS23に進めるが、そうでなければ処理をステップS26に進める。
【0045】
ステップS23においては、第1プリントデータが生成される基になったデータと第2プリントデータが生成される基になったデータそれぞれのデータ量が同一か否かを判断する。データ量が同一ならば処理をステップS24に進めるが、そうでなければ処理をステップS26に進める。ステップS24においては、第1プリントデータと第2プリントデータそれぞれの更新日時が同一か否かを判断する。更新日時が同一ならば処理をステップS25に進めるが、そうでなければ処理をステップS26に進める。
【0046】
ステップS25においては、第2プリントデータが第1プリントデータと同一とし、処理をステップS27に進める。一方、ステップS26においては、第2プリントデータが第1プリントデータと同一でないとし、処理をステップS27に進める。ステップS27においては、履歴情報51のうち未だ処理対象とされていない履歴情報が含まれるか否かを判断する。未処理の履歴情報が存在するならばその履歴情報を新たな処理対象に設定し、処理をステップS21に戻すが、そうでなければ処理をプリンタ制御処理に戻す。
【0047】
以上説明したように本実施の形態におけるプリントサーバ200は、PC300から第1プリント指示が受信されることに応じて、第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、履歴情報51に記憶され、第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同じか否かを判断し、両者が同じ場合、複数のMFP100〜102のうち第2プリントデータをプリントする第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、複数のMFP100〜102のうち第1プリンタと第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせる。このため、複数のMFP100〜102により同一のプリントデータがプリントされるのを防止することができる。
【0048】
また、MFP100〜102のうち第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、第1プリンタによるプリントを中止させる。このため、後に入力されたプリント指示に基づくプリントを中止させて、重複してプリントされるのを防止することができる。
【0049】
また、MFP100〜102のうち第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、重複プリントであることが報知されるので、ユーザに重複してプリント指示を入力したことを知らせることができる。また、報知に応じてユーザによる許可が受け付けられることを条件に、MFP100〜102のうち第1プリンタによるプリントが中止される。このため、既にプリントが終了しているか、または、プリント中の場合には、後に入力されたプリント指示に基づくプリントを中止させて、重複してプリントされるのを防止することができる。
【0050】
また、MFP100〜102のうち第2プリンタによるプリントが未実行の場合、第2プリンタによるプリントを中止させる。このため、後に入力された第1プリント指示を優先させることができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態においては、プリンタ制御装置の一例としてプリントサーバ200を例に説明したが、MFP100〜102のいずれかまたは、PC300がプリンタ制御装置として機能させるようにしてもよい。すなわち、PC300がプリンタ制御装置として機能するようにしてもよい。この場合には、プリントサーバ200は不用である。また、図4および図5に示したプリンタ制御処理を実行するためのプリンタ制御方法およびそのプリンタ制御方法をコンピュータに実行させるためのプリンタ制御プログラムとして発明を捕らえることができる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
<付記>
(1) 前記プリンタ制御手段が前記プリント指示に含まれるプリントデータを前記対象プリンタにプリントさせたことを示す履歴情報を記憶する履歴記憶手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記第2プリント指示に含まれる第2プリントデータを前記第2プリンタにプリントさせたことを示す履歴情報を参照して、前記第1プリントデータと前記第2プリントデータとが同一か否かを判断する、請求項1に記載のプリンタ制御装置。
(2)前記判断手段は、前記第1プリントデータと前記第2プリントデータそれぞれを識別するための識別情報が同じか否かを判断する識別情報判定手段を含む、請求項1または(1)に記載のプリンタ制御装置。
(3)前記判断手段は、前記第1プリントデータと前記第2プリントデータそれぞれのデータ量が同じか否かを判断するデータ量判定手段を含む、請求項1、(1)および(2)のいずれかに記載のプリンタ制御装置。
(4)前記判断手段は、前記第1プリントデータと前記第2プリントデータそれぞれが記憶された日時が同じか否かを判断する記憶日時判定手段を含む、請求項1、(1)、(2)および(3)のいずれかに記載のプリンタ制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるプリントシステムの全体概要を示す図である。
【図2】プリントサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】プリントサーバが備えるCPUが有する機能の概要をHDDに記憶するデータとともに示す機能ブロック図である。
【図4】プリンタ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】同一判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 プリントシステム、2 ネットワーク、11 プリント指示受付部、13 履歴記憶部、15 プリンタ制御部、21 プリント指令部、23 判断部、25 状態取得部、27 重複プリント防止部、31 報知部、33 プリント中止部、100〜102 MFP、200 プリントサーバ、201 CPU、202 ROM、203 RAM、204 ネットワークI/F、205 HDD、206 表示部、207 操作部、208 バス、209 外部記憶装置、209A CD−ROM、300 PC。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるプリント指示受付手段と、
前記複数のプリンタのうち前記受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるプリンタ制御手段と、を備え、
前記プリンタ制御手段は、前記複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得する状態取得手段と、
前記プリント指示受付手段が第1プリント指示を受け付けることに応じて、前記第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、前記第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記第1プリントデータと前記第2プリントデータとが同じと判断される場合、前記複数のプリンタのうち前記第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、前記複数のプリンタのうち前記第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、前記第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせる重複プリント防止手段と、を含むプリンタ制御装置。
【請求項2】
前記重複プリント防止手段は、前記第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、前記第1プリンタによるプリントを中止させる、請求項1に記載のプリンタ制御装置。
【請求項3】
前記重複プリント防止手段は、前記第2プリンタによるプリントが実行中または実行済の場合、重複プリントであることを報知するための報知手段をさらに含み、
前記報知に応じてユーザによる許可が受け付けられることを条件に、前記第1プリンタによるプリントを中止させる、請求項2に記載のプリンタ制御装置。
【請求項4】
前記重複プリント防止手段は、前記第2プリンタによるプリントが未実行の場合、前記第2プリンタによるプリントを中止させる、請求項1に記載のプリンタ制御装置。
【請求項5】
プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるステップと、
前記複数のプリンタのうち前記受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるステップと、を含み、
前記プリントさせるステップは、前記複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得するステップと、
前記プリント指示を受け付けるステップにおいて第1プリント指示が受け付けられることに応じて、前記第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、前記第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断するステップと、
前記判断するステップにおいて前記第1プリントデータと前記第2プリントデータとが同じと判断される場合、前記複数のプリンタのうち前記第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、前記複数のプリンタのうち前記第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、前記第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせるステップと、を含むプリンタ制御方法。
【請求項6】
プリント対象となるプリントデータと複数のプリンタのいずれか1つを識別するためのプリンタ識別情報とを含むプリント指示を受け付けるステップと、
前記複数のプリンタのうち前記受け付けられたプリント指示に含まれるプリンタ識別情報で特定される対象プリンタにプリントさせるステップと、をコンピュータに実行させ、
前記プリントさせるステップは、前記複数のプリンタ各々のプリントの進捗状態を取得するステップと、
前記プリント指示を受け付けるステップにおいて第1プリント指示が受け付けられることに応じて、前記第1プリント指示に含まれる第1プリントデータと、前記第1プリント指示より前に受け付けられた第2プリント指示に含まれる第2プリントデータとが同一か否かを判断するステップと、
前記判断するステップにおいて前記第1プリントデータと前記第2プリントデータとが同じと判断される場合、前記複数のプリンタのうち前記第2プリント指示に含まれる第2プリンタ識別情報で特定される第2プリンタによるプリントの進行状態に基づいて、前記複数のプリンタのうち前記第1プリント指示に含まれる第1プリンタ識別情報で特定される第1プリンタと、前記第2プリンタとのいずれか一方にプリントさせるステップと、を含むプリンタ制御プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−191572(P2010−191572A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33675(P2009−33675)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】