説明

プリンタ言語(コマンド)に基づくユーザごとのプリンタ制御

【課題】プリンタ管理者が、ユーザごとにプリンタ言語機構へのユーザアクセスを許可または拒否する方法を提供する。
【解決手段】マルチユーザデータ処理システムにおいて、画像形成装置は、画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶し、ユーザが画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定に基づき、ユーザにプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定し、ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、画像形成装置の当該コマンドを実行し、ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、コマンドを実行するよう求める要求を拒否する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ言語(コマンド)に基づくユーザごとのプリンタ制御のための方法またはプロセスに関し、より詳細には、プリンタ管理者が、プリンタ言語機構へのユーザアクセスを、ユーザごとに許可し、拒否し、かつ/または全般的に制御するための方法またはプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(すなわちプリンタ)は、PostScript、PCL(Printer Command Language:プリンタコマンド言語)、PJL(Printer Job Language:プリンタジョブ言語)等の多種多様なプリンタ言語をサポートする。これらの言語を見ると、これらの言語は、後続のジョブにおけるプリンタの動作に対してユーザが影響を与えることを可能にする多くの方法を提供することがわかる。例えばPCLは、ユーザが、後続の印刷ジョブに新しいフォントを用いることができるように、その新しいフォントをプリンタにダウンロードすることを可能にする。同様にPJLは、ユーザが、すべての後続のジョブについて自動入力トレイ選択を有効化することを可能にする。プリンタ言語によって提供されるこれらの方法は、有用な機構および機能をもたらすことにより、ユーザ体験を豊富化し、向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、複数のユーザがいる環境においては、これらの方法が不用意に、または悪意を持って用いられることにより、他のユーザが印刷するための能力が悪影響を受ける可能性がある。例えば、あるユーザがPCLプリンタに新しいフォントをダウンロードする場合、別のユーザは、PCLコマンドを発行してそのフォントを削除し、他のユーザがその新しいフォントで文書を印刷するのを妨げることができる。あるいは、あるユーザがプリンタにダウンロードするフォント数が多過ぎる場合、プリンタの内部記憶領域がフォントでいっぱいになり、他のユーザが新しいフォントをアップロードするのを妨げる可能性がある。
【0004】
言語の中には、PJLのように、これらの問題に対処するための機構を提供するものもある。しかし、そこには限界もある。例えば、PJLでは、任意選択のパスワードを用いて、すべての後続のジョブについてユーザが印刷部数等のデフォルト値を設定することを許可し、または拒否することができる。しかし、このパスワードは、送信される前に暗号化されず、また非常に短い(0〜65535)ため、悪意のあるユーザによって容易に突き止められ得る。単にパスワードを求めてプリンタのネットワークトラフィックを調査するだけでも、あるいは可能なすべてのパスワードを即座に試すだけでも、プリンタのPJL設定への完全なアクセス権が得られるだろう。他の言語は、ユーザごとのアクセス権の付与、拒否、および制御に対処するのに必要なセキュリティ機構を全く提供しない。
【0005】
したがって、ユーザごとにプリンタ言語機構へのアクセス権を付与し、拒否し、制御することのできる能力をプリンタ管理者に与えることによって、これらの問題に対処することが望ましいだろう。例えば、あるユーザは、プリンタにPCLフォントをダウンロードし、記憶し、かつ/または削除することができ、別のユーザには、PCLフォントをダウンロードし、記憶し、かつ/または削除することが許可されない。さらに、あるユーザには、任意の選択したフォントを削除することが許可され、別のユーザには、そのユーザ自身がプリンタにダウンロードしたフォントを削除することだけしか許可されない。別の例では、あるユーザには、PJL変数のデフォルト値を変更することが許可され、さらに別のユーザには、デフォルト値を変更するためのアクセス権が付与されない。あるいは、別のユーザは、ごく少数の特定のPJL変数のデフォルト値だけを設定し得るよう制限される。
【0006】
別の例示的実施形態によれば、管理者には、他のユーザに影響を及ぼすプリンタ言語機構(PDLやPJL等)へのユーザアクセスを許可し、拒否し、全般的に制御するための方法が提供される。このようにして、管理者は、権限のないユーザが、故意にであれ意図せずにであれ他のユーザに対するプリンタの動作に悪影響を及ぼすのを、防ぐことができる。
【0007】
本発明は、上記の問題を考慮してなされたものであり、プリンタ管理者が、ユーザごとにプリンタ言語機構へのユーザアクセスを許可し、拒否し、かつ/または全般的に制御するための改善された画像形成装置、および方法またはプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一例示的実施形態によれば、印刷ジョブを処理するための画像形成装置を含むマルチユーザデータ処理システムにおいて実施される方法は、(a)前記画像形成装置において、前記画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、を含む。
【0009】
別の例示的実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、画像形成装置に印刷ジョブを作成するためのプロセスを実行させるように構成された、画像形成装置を制御するためのコンピュータ可読プログラムコードが含まれる、コンピュータが使用可能な一時的でない媒体を備え、このプロセスは、(a)前記画像形成装置において、前記画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、を含む。
【0010】
別の例示的実施形態によれば、画像形成装置は、(a)画像形成装置において、画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、を実行するファームウェアアプリケーションを有する記憶装置と、印刷ジョブから少なくとも1部の文書を印刷するためのプリントエンジンと、を備える。
【0011】
前述の概要も以下の詳細な説明も例示と説明を目的とし、特許請求される発明をさらに説明するためのものであることを理解すべきである。
【0012】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を促すために含まれ、本明細書に組み入れられ、その一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を示し、以下の説明と併せて、本発明の原理を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一例示的実施形態による、ホストコンピュータと、ホストコンピュータに接続されたプリンタとしての画像形成装置と、プリンタ管理者とを含むデータ処理システムを示す図である。
【図2】別の例示的実施形態による、プリンタ言語(コマンド)に基づくユーザごとのプリンタ制御のための方法を示すフローチャートである。
【図3】一例示的実施形態による、プリンタ言語ポリシー設定を設定するために管理者によって行われる工程を含む、プリンタ言語(コマンド)に基づくユーザごとのプリンタ制御のための方法を示すフローチャートである。
【図4】別の例示的実施形態による、権限付与モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付図に例示する本発明の好ましい実施形態を詳しく参照する。図面および説明においては、可能な限り、同一または類似の部分を指すのに同一の参照番号を用いる。
【0015】
本明細書で説明する方法は、ホスト(またはクライアント装置)110と、ホスト110に接続された画像形成装置(すなわちプリンタ)120とを備えるデータ処理システム100において実施することができる。データ処理システムの典型的な構造を図1に示す。ホスト110は、プロセッサ112と、ソフトウェアプログラム116およびデータ(印刷されるべきファイル等)を記憶するための1つまたは複数のメモリ114とを備える。ホスト110は、印刷されるべき文書を表すデータおよび印刷ジョブを記述する情報を送信することによって、画像形成装置またはプリンタ120に印刷ジョブを実行依頼する。一例示的実施形態によれば、ホスト110はパーソナルコンピュータである。
【0016】
管理者(またはプリンタ管理者)118は、データ処理システム100内の各画像形成装置120を維持する能力を有する。また管理者118は、画像形成装置120を設置し、サポートし、維持すると共に、システム100に付随する他の問題への対策を立て、その問題に対処する役割を担うことができる。管理者118は、好ましくは、ネットワーク(またはネットワーク接続)150を介して画像形成装置120に接続される。管理者118と画像形成装置120との間のネットワーク接続150は、パーソナルコンピュータや他の適切なネットワーク接続装置等のホスト装置を介したものとすることができる。
【0017】
一例示的実施形態によれば、画像形成装置(すなわちプリンタ)120は、外部から入力された印刷データを画像データに変換し、変換された画像を形成し、用紙上に出力するためのプリンタ部122と、文書を光学的に読み取るためのスキャナ部124と、文書を複写し、その文書を印刷するためのコピー機部126と、公衆回線を介して外部装置との間で画像データをファクシミリで送受信するためのファクシミリ部128とを含む、多機能周辺(MFP:multi−functional peripheral)装置またはオールインワン(AIO:all−in−one)として構成される。
【0018】
プリンタ部122は、電子写真プロセスを用いて画像データに対応する画像を形成し、記録紙上に出力する機能を果たす。一例示的実施形態によれば、プリンタ部122は、記録紙搬送装置(図示せず)と、感光体ドラムと、帯電部と、入力された画像データに対応するLD(Laser Diode:レーザダイオード)と、感光体ドラム上にLDから照射されるレーザ光をスキャンするためのスキャン部と、現像部と、転写分離部と、クリーニング部と、定着部と、を有するいわゆるレーザプリンタとして構成される。
【0019】
スキャナ部124は、コピー機部126を備えていてもよく、文書を読み取って画像データを取得する機能を果たすとともに、文書を照らす光源と、幅方向に1度に1行ずつ文書を読み取るCCD(Charge Coupled Device:荷電結合素子)画像センサと、画像センサによって出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器とを備える。図面には示されていないが、スキャナ部124は、画像センサの1行ごとの読取り位置を文書の長手方向に移動させる移動機構と、文書からの反射光を導いて画像センサ上の像に焦点を合わせるレンズおよびミラーを備える光学部品と、をさらに備える。
【0020】
ファクシミリ部128は、公衆回線(図示せず)に接続し、ファクシミリに適合する圧縮モードで画像データを圧縮および展開する機能と、公衆回線を介してファクシミリを送受信するための様々な通信プロトコルを制御する機能とを有する。
【0021】
画像形成装置120はプリントエンジン130を備えており、プリントエンジン130はマイクロプロセッサ(すなわちCPU)132によって制御される。マイクロプロセッサ132は、システムの他の要素とやりとりし、キャッシュメモリ134を備えている。プリントエンジンコントローラ(またはプリンタコントローラ)136と、関連するプリントエンジン130は、プリンタ部122のための印刷出力機能を提供する。ランダムアクセスメモリ(RAM)138は、プリンタ部122がクライアント装置またはホストコンピュータ110から受け取った印刷ジョブデータストリームを記憶し、処理するためのメインメモリを提供する。読取り専用メモリ(ROM)140およびハードディスクドライブ(HDD)142は、マイクロプロセッサ132およびプリントエンジン130の動作を制御するファームウェアを保持している。ここで、ファームウェアは、画像形成装置120の様々なハードウェアの基本制御を実行するためのソフトウェアアプリケーションと、画像形成装置120の動作を制御する埋め込みオペレーティングシステム(OS)とを含む。メモリ(ROM)140に記憶されるコードプロシージャは、例えば、ページコンバータ、ラスタライザ、圧縮コード、ページ印刷スケジューラ、およびプリントエンジンマネージャ等を含む。
【0022】
入手力ポート144は、プリンタ部122とホスト(またはクライアント装置)110との間の通信を提供し、画像形成装置120内で処理するためにホストからページ記述(すなわち印刷データ)を受け取る。一例示的実施形態によれば、プリンタ部122の動作は、プリンタ部122が、印刷ジョブデータストリームとして、I/Oポート144を介してホスト(またはクライアント装置)110からページ記述を受け取ったときに開始する。
【0023】
図1に示す一例示的実施形態によれば、画像形成装置(すなわちプリンタ)120とホスト(またはクライアント装置)110は、ネットワーク(例えばLANやWAN等)150を介して相互に接続される。一例示的実施形態によれば、画像形成装置120は、クライアント装置110から印刷ジョブを受け取り、次いで印刷ジョブは、少なくとも1枚の紙および/または他の印刷可能媒体上に印刷される。本発明の実施形態と合致するネットワーク150の例には、限定はしないが、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)が含まれる。画像形成装置120およびホスト(またはクライアント装置)110は、有線で接続することもでき、無線周波数(RF)および/または赤外線(IR)伝送を用いて無線で接続することもできる。本発明の例示的実施形態と合致する画像形成装置120の例には、限定はしないが、レーザビームプリンタ(LBP)、LEDプリンタ、コピー機能を含む多機能レーザビームプリンタ(MFP)が含まれる。一例示的実施形態によれば、画像形成装置120は、好ましくは、カラープリンタまたは白黒(B/W)プリンタである。
【0024】
図2に示す一例示的実施形態によれば、印刷ジョブを処理するための画像形成装置を含むマルチユーザデータ処理システムにおいて実施される方法200は、(a)画像形成装置において、画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程210と、(b)ユーザが画像形成装置のためのプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定に基づき、ユーザにプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程220と、(c)ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する工程230と、(d)ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、プリンタ言語コマンドを実行するよう求める要求を拒否する工程240と、を含む。
【0025】
一例示的実施形態によれば、工程(a)210の前に、管理者(またはプリンタ管理者)118は、複数のユーザの各々について、1つまたは複数のプリンタ言語ポリシー設定を画像形成装置に入力する。プリンタ言語ポリシー設定は、好ましくは、管理者118により、管理者のホストまたはネットワーク装置上のユーザインターフェースを介して画像形成装置に入力される。しかし、プリンタ言語ポリシー設定は、任意の適切な方法によって画像形成装置120に入力され得る。
【0026】
一例示的実施形態によれば、画像形成装置120内のファームウェアアプリケーション(および/またはソフトウェアアプリケーション)は、工程(a)〜(d)210、220、230、240を制御する。さらに、工程(c)230および工程(d)240は、各画像形成装置内でプリンタ言語コマンド設定を実行するよう求める要求の権限の有無をユーザに通知する方法も含み得る。
【0027】
別の例示的実施形態によれば、工程(b)220は、複数のユーザの各々に、画像形成装置120のプリンタ言語へのアクセス権が付与される前に権限付与モジュールに入るよう要求する工程を含む。例えば、権限付与モジュールは、複数のユーザの各々に、ユーザ識別子(ID)およびパスワードを持つよう要求するログイン機構とすることができる(図4参照)。
【0028】
図3は、一例示的実施形態による、プリンタ言語ポリシー設定を設定するために管理者118によって行われる工程を含む、プリンタ言語(コマンド)に基づくユーザごとのプリンタ制御方法300のフローチャートである。図3に示すように、工程310で、管理者118は、画像形成装置120にアクセスする権限を付与されている複数のユーザのリストまたは表を呼び出すことができる。権限のある複数のユーザのリストまたは表が取得されると、工程320で、プリンタ管理者118は個々のユーザおよび/またはユーザのグループのどちらかを選択することができ、個々のユーザおよび/またはユーザのグループごとに、どのプリンタ言語コマンド(または機構)が有効化され、かつ/または無効化されるか判定する。工程330で、管理者118は、個々のユーザおよび/またはユーザのグループのプリンタ言語ポリシー設定を画像形成装置に入力する(または記録する)。ユーザおよび/またはユーザのグループの各々についてのプリンタ言語ポリシー設定は、管理者118により必要に応じて修正され、または変更され得る。
【0029】
プリンタ言語機構および対応するプリンタ言語設定は、画像形成装置がどのように動作し、かつ/または印刷ジョブを印刷するかに影響を及ぼし得る能力を、複数のユーザに提供する。一例示的実施形態によれば、プリンタ言語機構は、PostScript、PCL(Printer Command Language)および/またはPJL(Printer Job Language)の各言語を含み得る。例えば、一例示的実施形態によれば、管理者118は、ユーザが後続の印刷ジョブに用いることのできる新しいフォントを画像形成装置(すなわちプリンタ)120にダウンロードすることを可能にする、画像形成装置のPCL(Printer Command Language)機構へのユーザアクセスを制御することができる。あるいは、プリンタ言語PJLにおいて、管理者118は、ユーザごとに、ユーザが後続の印刷ジョブのために自動入力トレイ選択を有効化することを可能にすることもできる。別の例示的実施形態によれば、各プリンタ言語ポリシー設定は、特定のポリシー設定がいつ実施されるべきか指定する実施期間を含み得る。
【0030】
図4は、個々のユーザによる、画像形成装置120上でプリンタ言語コマンドを実行するよう求める要求の実行依頼時に現れる、ホスト装置(またはクライアントコンピュータ)110と関連付けられたドライバユーザインターフェース400の図である。図4に示すように、ユーザインターフェース400は、要求する動作を行うための権限をユーザが付与されることを求める権限付与モジュール(またはセキュリティ機構)を含む。一例示的実施形態によれば、ユーザは、ログイン画面または他の適切な識別方法によって識別され、次いで、ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定に基づき、ユーザにそのようなプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否かが判定される。
【0031】
一例示的実施形態によれば、ユーザインターフェース400は、ログイン名(またはユーザ名)ウィンドウ410およびパスワードウインドウ420を含む。認証方法は、使い捨てパスワード、セキュリティトークン、公開鍵暗号化に基づくアクセス制御、不変の個人的特徴に基づくバイオメトリック認証法(例えば、指紋、虹彩等)、シングルサインオン、エンボールティング(envaulting)技術(例えば、ネットワークソースへのユーザのアクセス権に基づいてアクセス制御を提供するフラッシュドライブ等の取り外し可能な記憶装置、グラフィカルパスワードやマウス移動、2D鍵(二次元鍵)等の非テキストベースのパスワード等)、および/または認知パスワードを含む永続的または半永続的パスワードを有する任意の適切な方法またはセキュリティ機構を含み得る。
【0032】
画像形成装置120によって少なくとも1ユーザに権限が付与された後で、画像形成装置内のファームウェアは、各ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定を決定する。各ユーザごとのプリンタ言語ポリシー設定は、複数のユーザの各々について、どのプリンタ言語設定(または機構)が修正され、部分的に変更され、かつ/または全面的に変更され得るかを決定する。よって、フォントをダウンロードし、記憶し、削除することができるか否か、デフォルト値を変更または設定することができるか否か、およびプリンタ言語設定(または機構)全般を部分的に変更し、かつ/または全面的に変更することができるか否かは、ユーザごとの、各ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定に基づくものである。
【0033】
画像形成装置のデフォルト値(または設定)は、フォント、ページ書式および間隔、印刷部数、トレイ選択および/または割当て、ハードドライブおよび/またはメモリ、文書の1ページだけ、文書全体、または文書内のある範囲のページの印刷、文書の複数部印刷、文書内のページの逆順序での印刷、文書の複数ページの1枚の紙への印刷、横長および縦長での印刷、異なるサイズのページへの印刷、ラベル印刷、ページの両面が印刷される両面印刷、ならびに/または透かし入り印刷に関連する設定を含み得る。さらに、デフォルト値(または設定)は、前後のトラクタのためのページ長さ、ミシン目のスキップ、自動切り離し、自動改行、印刷方向、ソフトウェア0スラッシュ、I/F(インターフェース)モード、自動I/F(インターフェース)待機時間、パラレルI/F双方向モード、パケットモード、イタリック表のための国際的な文字セットを含む文字表、手差し給紙待機時間、ブザー、および自動キャリッジリターン(CR:carriage return)に関連する設定も含み得る。
【0034】
さらに、必ずしもすべてのプリンタ言語設定が、修正可能であり、かつ/またはユーザによって部分的に変更され、または全面的に変更され得るとは限らない。例えば、一例示的実施形態によれば、プリンタ言語アクセスポリシーは、修正され、部分的に変更され、かつ/または全面的に変更され得るプリンタ言語設定のリストまたは表を含むこともでき、修正され、部分的に変更され、かつ/または全面的に変更され得ないプリンタ言語設定のリストまたは表を含むこともできる。
【0035】
また、複数のユーザの各々についてのプリンタ言語ポリシー設定は、画像形成装置120のスキャナ部124、コピー機部126、およびファクシミリ部128内の動作も含み得る。例えば、プリンタ言語ポリシー設定は、複数のユーザの各々について、画像形成装置120のメモリおよびハードドライブへのアクセスを制御することができ、画像形成装置120のメモリおよびハードドライブ内の印刷、スキャン、コピーおよびファクシミリの各ジョブの記憶、印刷および/または削除を制御することができ、画像形成装置120内に記憶されたある特定の文書または画像へのアクセスを制御することができる。
【0036】
別の例示的態様によれば、ホスト(またはクライアント装置)110には、ホスト(またはクライアント装置)110へのユーザアクセス権に基づくプリンタ言語アクセスポリシーが割り当てられ得る。例えば、ホストまたはクライアント装置110は、ホスト(またはクライアント装置)110にアクセスすることのできる権限のあるユーザのリストを含むことができ、後でユーザに、画像形成装置のプリンタ言語コマンドへのアクセスを許可する。
【0037】
別の例示的実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、画像形成装置に印刷ジョブを作成するためのプロセスを実行させるように構成された、画像形成装置を制御するためのコンピュータ可読プログラムコードが含まれている、コンピュータが使用可能な一時的でない媒体を備え、このプロセスは、(a)画像形成装置において、画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、(b)ユーザが画像形成装置のためのプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、ユーザについてのプリンタ言語ポリシー設定に基づき、ユーザにプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、(c)ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する工程と、(d)ユーザに画像形成装置のプリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、プリンタ言語コマンドを実行するよう求める要求を拒否する工程と、を含む。
【0038】
このプロセスおよび方法は、画像形成装置の不揮発性メモリ内のファームウェアをアップデートすることによって装置に適用され得る。これに関して、この方法は、インストールソフトウェアとファームウェアとのパッケージとして装置に適用されてもよく、ファームウェアは、インストールソフトウェアがファームウェアを効果的にインストールするように分割され、かつ/または圧縮されてもよい。パッケージは、コンパクトディスク等のコンピュータ可読ディスケットに固定的に記憶されていてもよく、有線/無線通信回線を介して送信されてもよい。
【0039】
前述の方法は、紙、または薄いプラスチックシート等のような他の適切な印刷媒体上への印刷に用いることができる。コンピュータ可読媒体は、当然ながら、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または将来において開発される他の任意の記録媒体とすることができ、これらすべてが、あらゆる点において同様に本発明に適用可能とみなされ得るものである。1次および2次の複製品その他を含むそのような媒体の複製品は、当然ながら、上記媒体の均等物とみなされる。さらに、本発明の一実施形態がソフトウェアとハードウェアとの組み合わせである場合でさえも、それは決して本発明の概念から逸脱するものではない。本発明は、そのソフトウェア部分があらかじめ記録媒体上に書き込まれており、動作に際し、必要に応じて読み取られるように実施されてもよい。
【0040】
以上においては印刷ジョブが詳細に説明されているが、この方法およびプロセスは、ユーザがハードコピー原稿を提供するコピージョブにも適用することができる。よって、本開示および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「画像形成装置」、「プリンタ」、または「印刷装置」という用語は、プリンタ、コピー機、ならびに、印刷、スキャン、およびコピーの各機能を有するオールインワンマシンを含む、印刷機能を有する任意の機械を指すものと広く理解すべきである。「印刷」という用語も、同様に、印刷とコピーの両方を含む。すなわち、「印刷」とは、ホストコンピュータ等の外部装置から受け取られるデータから、またはハードコピー原稿をスキャンすることにより生成されるデータから記録媒体上に画像を作成することをいう。
【0041】
本発明の構造には、本発明の範囲または趣旨を逸脱することなく、様々な改変および変形が加えられ得ることが、当業者には明らかであろう。以上に鑑み、本発明は、本発明の改変および変形が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に該当する場合には、それらを包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを処理するための画像形成装置を含むマルチユーザデータ処理システムにおいて実施される方法であって、
(a)前記画像形成装置において、前記画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、
(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、
(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、
(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記工程(a)の前に、管理者が、前記複数のユーザの各々について、前記画像形成装置に1つまたは複数のプリンタ言語ポリシー設定を入力する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(e)前記複数のユーザのリストを呼び出す工程と、
(f)前記複数のユーザの前記リストから少なくとも1ユーザを選択する工程と、
(g)前記少なくとも1ユーザについて前記画像形成装置に前記1つまたは複数のプリンタ言語ポリシー設定を入力する工程と
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリンタ言語アクセスポリシーは管理者によりユーザごとに設定される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(b)は、前記複数のユーザの各々に、前記画像形成装置の前記プリンタ言語へのアクセス権が付与される前に権限付与モジュールに入るよう要求する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記権限付与モジュールは、前記複数のユーザの各々に、ログイン名および/またはユーザ識別子(ID)とパスワードとを持つよう要求するログイン機構である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(c)および前記工程(d)は、前記ユーザに、前記要求の許可または不許可を通知する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プリンタ言語は、前記複数のユーザに、前記画像形成装置がどのように印刷ジョブを印刷するかに影響を及ぼし得る能力を提供する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザはホストおよび/またはクライアント装置である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プリンタ言語はPostScript、PCL(Printer Command Language)および/またはPJL(Printer Job Language)である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記PCL(Printer Command Language)は、ユーザが、後続の印刷ジョブに新しいフォントを用いることができるように、前記新しいフォントをプリンタにダウンロードすることを可能にする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記PJLは、ユーザが、後続の印刷ジョブのために自動入力トレイ選択を有効化することを可能にする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
各プリンタ言語ポリシー設定は、前記ポリシー設定がいつ実施されるべきか指定する実施期間を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記画像形成装置内に、前記工程(a)〜前記工程(d)を制御するファームウェアアプリケーションをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
画像形成装置を制御するためのコンピュータ可読プログラムコードが含まれる、コンピュータが使用可能な一時的でない媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読プログラムコードは、前記画像形成装置に、
(a)前記画像形成装置において、前記画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、
(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、
(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、
(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、
を含む、印刷ジョブを作成するためのプロセスを実行させるように構成されているコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記工程(a)の前に、管理者が、前記複数のユーザの各々について、前記画像形成装置に1つまたは複数のプリンタ言語ポリシー設定を入力する工程をさらに含む請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
管理者に、前記複数のユーザの各々について前記プリンタ言語アクセスポリシーを設定するためのユーザインターフェースコンポーネントを提供する工程をさらに含む請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記プリンタ言語アクセスポリシーはユーザごとに管理者によって設定される請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
(a)画像形成装置において、画像形成装置にアクセスすることのできる複数のユーザの各々についての複数のプリンタ言語ポリシー設定を含むプリンタ言語アクセスポリシーを記憶する工程と、
(b)ユーザが前記画像形成装置用のプリンタ言語コマンドを実行するよう要求すると、前記ユーザについての前記プリンタ言語ポリシー設定に基づき、前記ユーザに前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されているか否か判定する工程と、
(c)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていると判定されると、前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する工程と、
(d)前記ユーザに前記画像形成装置の前記プリンタ言語コマンドを実行する権限が付与されていないと判定されると、前記プリンタ言語コマンドを実行するよう求める前記要求を拒否する工程と、
を実行するファームウェアアプリケーションを有する記憶装置と、
印刷ジョブから少なくとも1部の文書を印刷するためのプリントエンジンと、
を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−216089(P2011−216089A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−67165(P2011−67165)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】